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特開2023-18482コントローラ、制御プログラム、制御方法及び電力供給システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018482
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】コントローラ、制御プログラム、制御方法及び電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20230201BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20230201BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230201BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230201BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20230201BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/46
H02J7/00 A
H02J7/00 302C
H02J7/02 F
G06Q50/06
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122641
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513213966
【氏名又は名称】横河ソリューションサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】数見 昌弘
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5L049
【Fターム(参考)】
5G066HB02
5G066HB03
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA00
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB05
5G503DA07
5G503GB06
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率を最適化する。
【解決手段】コントローラは、少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御するコントローラであって、複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、少なくとも1つの運転目的は、複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、動作効率は、充放電電力に対する蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御するコントローラであって、
前記複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、
前記少なくとも1つの運転目的は、前記複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように前記複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、
前記動作効率は、充放電電力に対する前記蓄電池の充放電効率及び前記電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である、
コントローラ。
【請求項2】
前記複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率のピーク位置が互いに異なっており、
前記第1の運転目的は、前記複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率をピーク位置に近づけることを含む、
請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記複数の蓄電池システムそれぞれの蓄電池の充放電効率のピーク位置が互いに異なっている、
請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記複数の蓄電池システムそれぞれの蓄電池は、設計及び使用期間の少なくとも一方が互いに異なっている、
請求項3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの運転目的は、前記複数の蓄電池システムそれぞれの蓄電池のうち、残存容量の大きい蓄電池を優先して放電させ、残存容量の小さい蓄電池を優先して充電させる、第2の運転目的をさらに含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの運転目的は、前記複数の蓄電池システムそれぞれの蓄電池のうち、充電されている電力の価格が低い蓄電池を優先して放電させる第3の運転目的をさらに含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの運転目的の反映の度合いを示す判定値が大きくなるように、前記複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記判定値は、各々が重み付けされた複数の運転目的の全体の度合いを示す、
請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記コントローラは、発電装置の発電電力に基づいて、前記発電装置、前記発電装置に接続された第1の蓄電池システム及び第2の蓄電池システムと、電力網との間の授受電力の変化速度を抑制するように、前記第1の蓄電池システム及び前記第2の蓄電池システムを充放電制御し、
前記第1の蓄電池システムの蓄電池は、前記第2の蓄電池システムの蓄電池の電池容量よりも大きい電池容量を有し、
前記充放電制御は、前記第1の蓄電池システムの最大充放電電力が、前記第2の蓄電池システムの最大充放電電力よりも小さくなるように、前記第1の蓄電池システム及び前記第2の蓄電池システムを充放電させることを含み、
前記第2の蓄電池システムが、前記複数の蓄電池システムである、
請求項1~8のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項10】
コンピュータに、
少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御する処理を実行させる制御プログラムであって、
前記複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、
前記少なくとも1つの運転目的は、前記複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように前記複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、
前記動作効率は、充放電電力に対する前記蓄電池の充放電効率及び前記電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である、
制御プログラム。
【請求項11】
少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御する制御方法であって、
前記複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、
前記少なくとも1つの運転目的は、前記複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように前記複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、
前記動作効率は、充放電電力に対する前記蓄電池の充放電効率及び前記電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である、
制御方法。
【請求項12】
複数の蓄電池システムと、
少なくとも1つの運転目的に従って、前記複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御するコントローラと、
を備え、
前記複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、
前記少なくとも1つの運転目的は、前記複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように前記複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、
前記動作効率は、充放電電力に対する前記蓄電池の充放電効率及び前記電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である、
電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラ、制御プログラム、制御方法及び電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、各々が蓄電池に接続された複数の電力変換装置それぞれの電力変換効率が高くなるように充放電電力を制御する手法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-137131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電池の充放電効率も充放電電力によって変化する。特許文献1のように電力変換装置の電力変換効率を見ているだけでは、蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率を最適化することができない場合がある。
【0005】
本発明は、蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率を最適化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面に係るコントローラは、少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御するコントローラであって、複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、少なくとも1つの運転目的は、複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、動作効率は、充放電電力に対する蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である。
【0007】
一側面に係る制御プログラムは、コンピュータに、少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御する処理を実行させる制御プログラムであって、複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、少なくとも1つの運転目的は、複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、動作効率は、充放電電力に対する蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である。
【0008】
一側面に係る制御方法は、少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御する制御方法であって、複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、少なくとも1つの運転目的は、複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、動作効率は、充放電電力に対する蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である。
【0009】
一側面に係る電力供給システムは、複数の蓄電池システムと、少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システムそれぞれを充放電制御するコントローラと、を備え、複数の蓄電池システムそれぞれは、蓄電池、及び、当該蓄電池に接続された電力変換装置を含み、少なくとも1つの運転目的は、複数の蓄電池システムそれぞれの動作効率が高くなるように複数の蓄電池システムそれぞれを充放電させる第1の運転目的を含み、動作効率は、充放電電力に対する蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蓄電池の充放電効率及び電力変換装置の電力変換効率の全体の効率を最適化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るコントローラ4が用いられる電力供給システム100の概略構成の例を示す図である。
図2】システムデータ444の例を示す図である。
図3】複数の蓄電池システム2それぞれのシステムデータ444の例を示す図である。
図4】複数の蓄電池システム2それぞれのシステムデータ444の例を示す図である。
図5】複数の蓄電池システム2それぞれのシステムデータ444の例を示す図である。
図6】複数の蓄電池システム2それぞれのシステムデータ444の例を示す図である。
図7】電力供給システム100において実行される処理の例を示すフローチャートである。
図8】コントローラのハードウェア構成の例を示す図である。
図9】第1応用例に係るコントローラ4が用いられる電力供給システム100の概略構成の例を示す図である。
図10】発電装置Gの電力PGの例を示す図である。
図11】蓄電池11の電力P1の目標値の例を示す図である。
図12】発電装置Gの電力PGと蓄電池11の電力P1の目標値との合計電力(PG+P1の目標値)の例を示す図である。
図13】蓄電池21の電力P2の目標値の例を示す図である。
図14】連携点3の電力P3の例を示す図である。
図15】蓄電池11の電力P1及び充放電電力量の例を示す図である。
図16】蓄電池21の電力P2及び充放電電力量の例を示す図である。
図17】比較例の概略構成を示す図である。
図18】比較例の電力P3Eの例を示す図である。
図19】比較例の蓄電池21Eの電力P2E及び充放電電力量の例を示す図である。
図20】蓄電池11の電力P1の目標値の例を示す図である。
図21】発電装置Gの電力PGと蓄電池11の電力P1の目標値との合計電力(PG+P1の目標値)の例を示す図である。
図22】蓄電池21の電力P2の目標値の例を示す図である。
図23】連携点3の電力P3の例を示す図である。
図24】蓄電池11の電力P1及び充放電電力量の例を示す図である。
図25】蓄電池21の電力P2及び充放電電力量の例を示す図である。
図26】平均化された電力PGに基づく電力P1の目標値の算出の例を示す図である。
図27】発電装置Gの電力PGと蓄電池11の電力P1の目標値との合計電力(PG+P1の目標値)の例を示す図である。
図28】蓄電池21の電力P2の目標値の例を示す図である。
図29】連携点3の電力P3の例を示す図である。
図30】蓄電池11の電力P1及び充放電電力量の例を示す図である。
図31】蓄電池21の電力P2及び充放電電力量の例を示す図である。
図32】蓄電池11の電力P1のシフトの例を示す図である。
図33】蓄電池11の電力P1のシフトの例を示す図である。
図34】第2応用例に係るコントローラ4Aが用いられる電力供給システム100Aの概略構成の例を示す図である。
図35】蓄電池11の電力P1の目標値の計画の例を示す図である。
図36】負荷の例を示す図である。電力線Wに接続され、電力線Wからの電力を消費する負荷を負荷Lと称し図示する。
図37】変形例に係るコントローラ4Bの概略構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。同一の要素、機能及び処理等には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係るコントローラ4が用いられる電力供給システム100の概略構成の例を示す図である。電力供給システム100は、複数の蓄電池システム2と、連携点3と、コントローラ4と、電力線Wと、電力線W2と含む。
【0014】
先に電力線W、電力線W2及び連携点3について説明する。電力線W及び電力線W2は、複数の蓄電池システム2と、連携点3とを接続する。電力線W2は、複数の蓄電池システム2と電力線Wとの間に接続される。とくに説明がある場合を除き、電力線W及び電力線W2は交流電力線であるものとする。交流電力は有効電力を指し示すものとする。なお、電力線W2は、複数の蓄電池システム2を束ねる電力線として便宜上図示され説明される。電力線W2は無くてもよく、その場合、電力線Wが、蓄電池システム2と連携点3とを接続する。
【0015】
連携点3は、電力線Wと電力網9との接続点である。連携点3を介して、蓄電池システム2と電力網9との間で電力の授受が行われる。電力網9の例は商用電力網(商用系統)であり、その場合、電力供給システム100は電力網9と連携運転してよい。
【0016】
複数の蓄電池システム2は、電力線W、より具体的には電力線W2からみたときに互いに並列に接続される。複数の蓄電池システム2それぞれを区別できるように、蓄電池システム2-1、蓄電池システム2-2、蓄電池システム2-3及び蓄電池システム2-nとして図示する。なお、複数の蓄電池システム2の数は2以上であればよく、従って、nは2以上の整数であればよい。
【0017】
蓄電池システム2は、蓄電池21と、PCS22と、端子23と、バッテリコントローラ24とを含む。複数の蓄電池システム2それぞれの蓄電池21を区別できるように、蓄電池21-1、蓄電池21-2、蓄電池21-3及び蓄電池21-nと称し図示する。PCS22、端子23及びバッテリコントローラ24についても同様である。
【0018】
蓄電池21は、PCS22を介して、電力線W2ひいては電力線Wとの間で充放電を行う。PCS22は、蓄電池21に接続され、蓄電池21を充放電させる電力変換装置である。より具体的に、PCS22は、蓄電池21からの電力を交流電力に変換して電力線W2に供給したり、電力線W2からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池21に供給したりする双方向電力変換装置である。PCS22は、Power Conditioning System、Power Converter等とも称される。
【0019】
PCS22を介した蓄電池21の充放電電力を、電力pと称し図示する。電力pにおいては、放電電力がプラスであるものとする。蓄電池システム2-1、蓄電池システム2-2、蓄電池システム2-3及び蓄電池システム2-nの電力pを、電力p-1、電力p-2、電力p-3及び電力p-nと称し図示する。
【0020】
複数の蓄電池システム2それぞれの電力pは、電力線W2でまとめられる。電力線W2によってまとめられた電力を、電力P2と称し図示する。電力P2においても、放電電力がプラスであるものとする。電力P2は、電力p-1~電力p-nの合計電力である。以下、複数の蓄電池システム2それぞれの電力pを、「各電力p」とも称する。
【0021】
端子23は、蓄電池システム1の出力端子であり、PCS22と電力線Wとの接続を与える。バッテリコントローラ24は、PCS22を制御することによって、蓄電池21を充放電制御する。例えば、バッテリコントローラ24は、PCS22に出力指令値を与える。出力指令値は、例えば電力pの大きさ及び向き(充電又は放電)を規定する。他にも、バッテリコントローラ24は、端子23における電力pを監視したり、蓄電池21のSOC(State Of Charge)や残存容量を監視したりする。バッテリコントローラ24は、コントローラ4と通信可能に構成される。SOCの単位の例は、%であり、残存容量の単位の例は、Ah、Wh等である。以後、矛盾の無い範囲で、SOC及び残存容量は適宜読み替えられてよく、また、SOC及び残存容量の一方が他方を含む意味に解されてよい。
【0022】
コントローラ4は、電力供給システム100の運転目的に従って、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御する。コントローラ4は、取得部41と、算出部42と、充放電制御部43と、記憶部44とを含む。
【0023】
取得部41は、蓄電池システム2の充放電制御に必要な情報を取得する。例えば、取得部41は、電力情報を取得する。電力情報の例は、電力値等であり、図示しない電力測定装置等によって測定、監視等される。電力の例は、蓄電池システム2の電力p等である。例えば、電力pの情報は、蓄電池システム2のバッテリコントローラ24からコントローラ4に送信され、取得部41によって取得される。
【0024】
また、取得部41は、蓄電池情報を取得する。蓄電池情報の例は、蓄電池21の残存容量及び電力価格である。残存容量を残存容量Qと称し、電力価格を電力価格Cと称する。残存容量Qは、バッテリコントローラ24からコントローラ4に送信され、取得部41によって取得される。電力価格Cは、蓄電池21に充電されている電力(残存容量Qに対応する電力)の価格である。例えば、蓄電池21の充電が行われた時間帯の電力価格(例えば電気料金)が、電力価格Cとなり得る。電力価格の異なる複数の時間帯で蓄電池21の充電が行われていた場合には、それぞれの電力価格を対応する充電電力量で重み付け平均して求められた価格が電力価格Cとして用いられてよい。電力価格Cは、バッテリコントローラ24が算出してもよいし、コントローラ4が算出してもよい。バッテリコントローラ24で算出された電力価格C、若しくは、電力価格Cの算出のもととなる充電時間帯等の情報が、バッテリコントローラ24からコントローラ4に送信され、取得部41によって取得される。
【0025】
算出部42は、電力P2の目標値に基づいて、各電力pの目標値を算出する。電力P2の目標値は、コントローラ4の外部から与えられてもよいし、算出部42内で算出されてもよい。算出部42による算出の詳細は後述する。
【0026】
充放電制御部43は、算出部42によって算出された各電力pの目標値に基づいて、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御する。例えば、充放電制御部43は、電力pの目標値に対応するPCS22の出力指令値をバッテリコントローラ24に送信する。バッテリコントローラ24は、受信した出力指令値をPCS22に与える。PCS22は、与えられた出力指令値に従って蓄電池21を充放電させる。蓄電池システム2の電力pが目標値に近づく。
【0027】
記憶部44は、コントローラ4での制御に必要な種々の情報を記憶する。記憶部44に記憶される情報として、制御プログラム441及びシステムデータ444が例示される。制御プログラム441は、コントローラ4において実行される制御(処理)をコンピュータに実行させるプログラムである。システムデータ444は、蓄電池システム2に関するデータである。システムデータ444について、図2図6を参照して説明する。
【0028】
図2は、システムデータ444の例を示す図である。この例では、システムデータ444は、蓄電池システム2と、効率関数E(p)と、残存容量Qと、電力価格Cとを対応付けて記述する。蓄電池システム2-1、蓄電池システム2-2、蓄電池システム2-3及び蓄電池システム2-nそれぞれの効率関数E(p)を、効率関数E(p)、効率関数E(p)、効率関数E(p)及び効率関数E(p)と称する。残存容量Q及び電力価格Cについても同様である。
【0029】
効率関数E(p)は、蓄電池システム2の電力pを引数とし、蓄電池システム2の動作効率Eを戻り値とする関数である。動作効率Eは、蓄電池システム2の充放電電力に対する蓄電池21の充放電効率とPCS22の電力変換効率との全体の効率である。或る電力pでの蓄電池21の充放電効率をηbatとし、PCS22の電力変換効率をηpcsとすると、その電力pでの動作効率Eは、下記の式(1)のように、充放電効率ηbatと、電力変換効率ηpcsとの積で表される。充電と放電で効率が異なる場合は各変数を分けてもよい。
【数1】
【0030】
残存容量Q及び電力価格Cについては、先に説明したとおりである。効率関数E(p)、残存容量Q及び電力価格Cは、複数の蓄電池システム2それぞれで異なり得る。これについて、図3図6を参照して説明する。
【0031】
図3図6は、複数の蓄電池システム2それぞれのシステムデータ444の例を示す図である。図3図4図5及び図6には、蓄電池システム2-1、蓄電池システム2-2、蓄電池システム2-3及び蓄電池システム2-nのシステムデータ444が例示される。各図の(A)には効率関数E(p)が模式的に示され、(B)には残存容量Q及び電力価格Cが模式的に示される。
【0032】
図3図6の(A)において、電力p(の大きさ)に対する動作効率Eが最大となるピーク位置を含む動作領域が破線で囲まれて示される。理解されるように、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率のピーク位置は、互いに異なり得る。複数の蓄電池システム2それぞれの蓄電池21の充放電効率のピーク位置が異なったり、それぞれのPCS22の電力変換効率のピーク位置が異なったりする等の理由からである。蓄電池21の充放電効率のピーク位置の相違の要因の例は、蓄電池21の設計(型番等)が異なる場合や、使用期間(運用開始時期等)が異なる場合等である。設計が異なれば、充放電電力に対する充放電効率を示す充放電効率特性が異なり得る。使用期間が異なれば、蓄電池21の劣化の進行の程度等が異なるので、充放電効率特性が異なり得る。PCS22についても同様のことがいえる。
【0033】
例示される蓄電池システム2の中では、蓄電池システム2-1のピーク位置に対応する電力pの大きさが最も大きく、蓄電池システム2-2のピーク位置に対応する電力pの大きさが最も小さい。蓄電池システム2-3及び蓄電池システム2-nのピーク位置に対応する電力pの大きさは、それらの間の大きさである。なお、蓄電池システム2の電力pの大きさがゼロの場合には、蓄電池システム2のPCS22が停止し、電力消費が最小化される。この電力pの大きさがゼロの位置も、ピーク位置として扱われてよい。この場合には、充放電を行う蓄電池システム2の数の制御(台数制御)も、蓄電池システム2の充放電制御に含まれる。
【0034】
図3図6の(B)に示されるように、複数の蓄電池システム2それぞれの残存容量Qは、互いに異なり得る。電力価格Cについても同様である。例示される蓄電池システム2の中では、蓄電池システム2-1の残存容量Qが最も大きく(例えばSOC100%)、蓄電池システム2-nの残存容量Qが最も小さい(例えばSOC20%)。蓄電池システム2-2の残存容量Q2及び蓄電池システム2-3の残存容量Q3は、それらの間の大きさ(例えばSOC50%及びSOC70%)である。
【0035】
図1に戻り、システムデータ444の一部は予め生成されて記憶部44に記憶され、他は記憶部44に適時生成、取得等されて記憶部44に記憶される。例えば、蓄電池システム2の初期の効率関数E(p)は、予め生成され、記憶部44に記憶される。蓄電池システム2の使用期間等によって効率関数E(p)が変化し得るので、効率関数E(p)は、適時アップデートされてよい。残存容量Q及び電力価格Cは、取得部41によって取得され、記憶部44に記憶される。
【0036】
他にも、記憶部44は、取得部41による取得や算出部42による算出に関するさまざまな情報を記憶する。
【0037】
算出部42について詳述する。算出部42は、電力P2の目標値と、システムデータ444とに基づいて、各電力pの目標値を算出する。算出部42は、各電力pの目標値の合計が、電力P2の目標値と等しくなるように、各電力pの目標値を算出する。本実施形態では、少なくとも1つの運転目的に従って、各電力pの目標値が算出される。以下では、3つの運転目的を例に挙げて説明する。
【0038】
第1の運転目的は、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eが高くなるように複数の蓄電池システム2それぞれを充放電させることを含む。第1の運転目的は、充電時(電力P2の目標値が正)及び放電時(電力P2の目標値が負)のいずれでも採用可能である。例えば、算出部42は、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eがピーク位置に近づくように、各電力pの目標値を算出する。第1の運転目的に従う充放電制御により、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eを最適化することができる。
【0039】
第2の運転目的は、複数の蓄電池システム2それぞれの蓄電池21のうち、残存容量Qの大きい蓄電池21を優先して放電させ、残存容量Qの小さい蓄電池21を優先して充電させることを含む。第2の運転目的は、充電時及び放電時のいずれでも採用可能である。例えば、放電時には、算出部42は、残存容量Qが大きい(つまり空き容量が小さい)蓄電池21の電力pが、他の蓄電池21の電力pよりも大きくなるように、各電力pの目標値を算出する。充電時には、算出部42は、残存容量Qが小さい(つまり空き容量が大きい)蓄電池21の電力pが、他の蓄電池21の電力pより大きくなるように、各電力pの目標値を算出する。第2の運転目的に従う充放電制御により、各蓄電池21の残存容量Qの差を小さくする(バランスさせる)ことができる。各蓄電池21の残存容量Qを結果的にSOC50%付近にすることができるため、その後の運転が充電になっても放電になっても対応できる容量を確保することができる。
【0040】
第3の運転目的は、複数の蓄電池システム2それぞれの蓄電池21のうち、充電されている電力の価格が低い(安い)蓄電池21を優先して放電させることを含む。第3の運転目的は、充電時及び放電時のうち、放電時のみ採用可能である。例えば、算出部42は、電力価格Cが低い電力が充電されている蓄電池21の電力pが、他の蓄電池21の電力pよりも大きくなるように、各電力pの目標値を算出する。第3の運転目的に従う充放電制御により、電力価格Cが低い電力を優先して供給し、一方で、電力価格Cが高い電力をなるべく蓄電池21に温存することができる。電力コストの節約等のメリットが得られる。
【0041】
一実施形態において、判定値Dが用いられる。判定値Dは、少なくとも1つの運転目的の反映の度合いを示す値(スコア)である。複数の運転目的を考慮する場合、判定値Dは、各々が重み付けされた複数の運転目的の度合いを示す。算出部42は、判定値Dが最も大きくなるように(スコアが最大化するように)、各電力pの目標値を算出する。放電時と充電時とで、用いられる判定値Dが異なり得る。以下、放電時及び充電時の順に説明する。なお、以下で示す判定式は一例である。
【0042】
放電時に用いられる判定値Dを、判定値D1と称する。判定値D1は、蓄電池システム2の動作効率Eが大きいほど判定値D1が大きくなるように定められる。また、判定値D1は、残存容量Qが大きいほど判定値D1が大きくなるように定められる。また、判定値D1は、電力価格Cが低いほど判定値D1が大きくなるように定められる。
【0043】
例えば、算出部42は、以下の式(2)で与えられる判定値D1が最も大きくなり、且つ、式(3)を満たすように、各電力pを算出する。
【数2】
【数3】
上記の式(2)の左辺は、判定値D1である。右辺において、pは、k番目の蓄電池システム2の電力pの目標値である。E(P)は、k番目の蓄電池システム2の効率関数E(p)である。Qは、k番目の蓄電池システム2の蓄電池21の残存容量Qである。Cは、k番目の蓄電池システム2の蓄電池21に充電されている電力の電力価格Cである。係数Kは、効率関数E(p)の重み付け係数である。係数Kは、残存容量Qの重み付け係数である。係数Kは、電力価格Cの重み付け係数である。
【0044】
係数Kを大きくするほど、判定値D1に占める動作効率Eの割合が大きくなり、第1の運転目的の重みが大きくなる。係数Kを大きくするほど、判定値D1に占める残存容量Qの割合が大きくなり、第2の運転目的(ここでは放電時の第2の運転目的)の重みが大きくなる。係数Kを小さくするほど、判定値D1に占める電力価格Cの逆数の割合、すなわち電力価格Cの低い電力を供給することの割合が大きくなり、第3の運転目的の重みが大きくなる。
【0045】
なお、判定値D1が第1の運転目的の反映の度合いだけを示す場合には、上記の式(2)の右辺は、効率関数E(p)に関する項目だけで記述されてもよい。同様に、第2の運転目的の場合には、残存容量Qに関する項目だけで記述されてもよい。第3の運転目的の場合には、電力価格Cに関する項目だけで記述されてもよい。
【0046】
上記の式(3)の左辺は、電力P2の目標値である。右辺は、各電力pの目標値の合計値である。
【0047】
一方で、充電時に用いられる判定値Dを、判定値D2と称する。判定値D2は、蓄電池システム2の動作効率Eが大きいほど判定値D2が大きくなるように定められる。また、判定値D2は、残存容量Qが小さいほど判定値D2が大きくなるように定められる。
【0048】
例えば、算出部42は、以下の式(4)で与えられる判定値D2が最も大きくなり、且つ、前述の式(3)を満たすように、各電力pを算出する。
【数4】
上記の式(4)の左辺は、判定値D2である。右辺は、先に説明した式(2)と比較して、電力価格Cに関する項が無い点、及び、残存容量Qに関する項が逆数となっている点において相違する。係数Kを大きくするほど、判定値D2に占める動作効率Eの割合が大きくなり、第1の運転目的の重みが大きくなる。係数Kを大きくするほど、判定値D2に占める残存容量Qの逆数(つまり空き容量)の割合が小さくなり、第2の運転目的(ここでは充電時の目標)の重みが大きくなる。
【0049】
なお、判定値D2が第1の運転目的の反映の度合いだけを示す場合には、上記の式(4)の右辺は、効率関数E(p)に関する項目だけで記述されてもよい。同様に、第2の運転目的の場合には、残存容量Qに関する項目だけで記述されてもよい。
【0050】
先にも述べたように、上記の式(2)~式(4)は、判定値D1及び判定値D2の計算式の一例に過ぎない。判定値D1及び判定値D2の趣旨を逸脱しない範囲内において、判定値D1及び判定値D2を与えることのできるさまざまな計算式が用いられてよい。
【0051】
図1に戻り、例えば以上のようにして、算出部42は、少なくとも1つの運転目的に従って、各電力pを算出する。運転目的は、手動又は自動で設定され、例えば取得部41によって取得される。複数の運転目的が優先度(重み付けに相当)とともに設定されてよい。その場合、算出部42は、優先度に応じて上述係数K、係数K、係数Kを調整したうえで、各電力p2の目標値を算出する。優先度が高いほど、対応する重み付け係数が大きくなるように調整される。充放電制御部43は、算出部42によって算出された各電力pに基づいて、すなわち少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御する。判定値Dが用いられる場合には、充放電制御部43は、例えば上述の判定値D1や判定値D2が最も大きくなるように、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御する。
【0052】
図7は、コントローラ4において実行される処理(制御方法)の例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、電力P2の目標値が与えられたことに応じて開始される。
【0053】
ステップS1において、放電又は充電のいずれであるかが判断される。例えば、コントローラ4の算出部42は、電力P2の目標値が正の場合に放電と判断し、電力P2の目標値が負の場合に充電と判断する。放電である場合(ステップS1:Yes)、ステップS2に処理が進められる。そうでない場合、すなわち充電の場合(ステップS1:No)、ステップS4に処理が進められる。
【0054】
ステップS2において、判定値D1の係数が調整される。コントローラ4の算出部42は、第1の運転目的、第2の運転目的及び第3の運転目的の優先度に応じて、前述の式(2)中の係数K、K及びKを調整する。
【0055】
ステップS3において、各電力pの目標値が算出される。コントローラ4の算出部42は、先のステップS2で係数調整した判定値D1が最も大きくなるように、各電力pの目標値を算出する。ステップS3の処理が完了した後は、ステップS6に処理が進められる。
【0056】
ステップS4において、判定値D2の係数が調整される。コントローラ4の算出部42は、第1の運転目的及び第2の運転目的の優先度に応じて、前述の式(4)中の係数K及びKを調整する。
【0057】
ステップS5において、各電力pの目標値が算出される。コントローラ4の算出部42は、先のステップS4で係数調整した判定値D2が最も大きくなるように、各電力pの目標値を算出する。ステップS5の処理が完了した後は、ステップS6に処理が進められる。
【0058】
ステップS6において、充放電制御が行われる。コントローラ4の充放電制御部43は、先のステップS3又はステップS5において算出された各電力pの目標値に基づいて、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御する。
【0059】
図8は、コントローラのハードウェア構成の例を示す図である。例示されるハードウェア構成を備えるコンピュータ等が、これまで説明したコントローラ4として機能する。コントローラ4は、ハードウェア構成として、バス等で相互に接続される通信装置4a、表示装置4b、HDD(Hard Disk Drive)4c、メモリ4d及びプロセッサ4eを備える。
【0060】
通信装置4aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を可能にする。表示装置4bは、例えばタッチパネルやディスプレイなどである。HDD4cは、記憶部44として機能し、例えば制御プログラム441を記憶する。
【0061】
プロセッサ4eは、制御プログラム441をHDD4c等から読み出してメモリ4dに展開することで、コンピュータをコントローラ4として機能させる。コントローラ4としての機能は、これまで説明したような取得部41の機能、算出部42の機能及び充放電制御部43の機能等を含む。
【0062】
制御プログラム441は、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、制御プログラム441は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0063】
以上で説明したように、コントローラ4は、少なくとも1つの運転目的に従って、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御する。複数の蓄電池システム2それぞれは、蓄電池21、及び、蓄電池21に接続されたPCS22(電力変換装置)を含む。少なくとも1つの運転目的は、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eが高くなるように複数の蓄電池システム2それぞれを充放電させる第1の運転目的を含む。動作効率Eは、電力p(充放電電力)に対する蓄電池21の充放電効率ηbat及びPCS22の電力変換効率ηpcsの全体の効率である。
【0064】
上記のコントローラ4によれば、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eが高くなるように、複数の蓄電池システム2が充放電制御される。従って、蓄電池21の充放電効率ηbat及びPCS22(電力変換装置)の電力変換効率ηpcsの全体の効率を最適化することができる。
【0065】
図2図6等を参照して説明したように、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eのピーク位置が互いに異なっており、第1の運転目的は、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eをピーク位置に近づけることを含んでよい。例えばこのようにして、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eを最適化することができる。
【0066】
複数の蓄電池システム2それぞれの蓄電池21の充放電効率ηbatのピーク位置が互いに異なっていてよい。例えば、複数の蓄電池システム2それぞれの蓄電池21の設計や使用期間の相違により、充放電効率ηbatのピーク位置が互いに異なり得る。設計や使用期間の異なる蓄電池21を各々が含む複数の蓄電池システム2の動作効率Eを最適化することができる。例えば、蓄電池システム2の追加や交換等にも柔軟に対応することができる。
【0067】
少なくとも1つの運転目的は、複数の蓄電池システム2それぞれの蓄電池21のうち、残存容量Qの大きい蓄電池21を優先して放電させ、残存容量Qの小さい蓄電池21を優先して充電させる、第2の運転目的をさらに含んでよい。第2の運転目的に従う充放電制御により、各蓄電池21の残存容量Qを近づける(バランスさせる)ことができる。
【0068】
少なくとも1つの運転目的は、複数の蓄電池システム2それぞれの蓄電池21のうち、充電されている電力の価格(電力価格C)が低い蓄電池21を優先して放電させる第3の運転目的をさらに含んでよい。第3の運転目的に従う充放電制御により、電力価格Cが低い電力を優先して供給し、一方で、電力価格Cが高い電力をなるべく蓄電池21に温存することができる。電力コストの節約等のメリットが得られる。
【0069】
コントローラ4は、少なくとも1つの運転目的の反映の度合いを示す判定値D(判定値D1や判定値D2)が大きくなるように、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御してよい。判定値Dは、各々が重み付けされた複数の運転目的の度合いを示してよい。例えばこのような判定値Dを用いることで、運転目的に応じた充放電制御を行うことができる。
【0070】
図1等を参照して説明した制御プログラム441も、開示される技術の1つである。制御プログラム441は、コンピュータに、少なくとも1つの運転目的(第1の運転目的を含む)に従って、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御する処理を実行させる。図7等を参照して説明した制御方法も、開示される技術の1つである。制御方法は、少なくとも1つの運転目的(第1の運転目的を含む)に従って、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御する(ステップS6)。図1等を参照して説明した電力供給システム100も、開示される技術の1つである。電力供給システム100は、複数の蓄電池システム2と、少なくとも1つの運転目的(第1の運転目的を含む)に従って、複数の蓄電池システム2それぞれを充放電制御するコントローラ4と、を備える。これらの制御プログラム441、制御方法及び電力供給システム100によっても、これまで説明したように、蓄電池21の充放電効率ηbat及びPCS22の電力変換効率ηpcsの全体の効率を最適化することができる。
【0071】
<応用例>
これまで説明した複数の蓄電池システム2は、例えば電力の平滑化に用いられる。その場合、複数の蓄電池システム2は、別の蓄電池システムと組み合わされて用いられてよい。コントローラ4は、それらの蓄電池システムそれぞれを充放電制御してよい。以後、これまで説明した蓄電池システムの充放電電力を、単に、蓄電池の充放電電力と呼ぶ場合がある。蓄電池システムの充放電制御を、単に、蓄電池の充放電制御と呼ぶ場合がある。
【0072】
<第1応用例>
図9は、第1応用例に係るコントローラ4が用いられる電力供給システム100の概略構成の例を示す図である。電力供給システム100は、発電装置Gと、蓄電池システム1とをさらに含む。なお、複数の蓄電池システム2は、とくに説明がある場合を除き、単に蓄電池システム2と呼ぶ。蓄電池システム2の蓄電池21の充放電電力が、これまで説明した電力P2である。電力線Wは、発電装置G、蓄電池システム1及び蓄電池システム2と、連携点3とを接続する。連携点3を介して、発電装置G、蓄電池システム1及び蓄電池システム2と、電力網9との間で電力の授受が行われる。連携点3における授受電力を、電力P3と称し図示する。電力P3においては、電力網9に向かう電力がプラスであるものとする。
【0073】
発電装置Gによる発電は、自然エネルギーを利用した発電を含む。自然エネルギーの例は、風力エネルギー、太陽光エネルギー等であり、その場合、発電装置Gは、風力発電装置、太陽光発電装置等を含んで構成される。発電装置Gの発電電力、より具体的には発電装置Gから電力線Wに向かう電力を電力PGと称し図示する。
【0074】
図10は、発電装置Gの電力PGの例を示す図である。グラフの横軸は時刻tを示し、グラフの縦軸は電力(kW)を示す。或る時間帯における電力PGの時間変化が例示される。図10に示されるように、発電電力PGは刻一刻と変化する。
【0075】
電力の時間変化を表す指標として、変化速度を用いる。変化速度は、単位期間ごとの電力値の変化率を示し、例えば発電装置Gの定格電力(定格出力)に対する電力値の変化量の比率(%)で表される。短周期安定目標の単位期間は1分であることが一般的であり、変化速度は%/分であるものとする。
【0076】
発電装置Gの電力PGだけが電力線Wに供給されると、電力PGの大きな変化速度がそのまま連携点3の電力P3の変化速度として現れる。電力網9の安定性等の観点から、連携点3の電力P3の変化速度の抑制が求められる。この変化速度の抑制、換言すると発電装置の安定化が、蓄電池システム1及び蓄電池システム2の目的の1つである。
【0077】
図9に戻り、蓄電池システム1は、蓄電池11と、PCS12と、端子13と、バッテリコントローラ14とを含む。これらの要素は、蓄電池システム2の対応する部分と同様であるので、詳細な説明は省略する。蓄電池システム1の充放電電力を、電力P1と称し図示する。電力P1においても、放電電力がプラスであるものとする。
【0078】
蓄電池11及び蓄電池21は、互いに異なる特徴を有する第1の蓄電池及び第2の蓄電池である。蓄電池11は大容量型蓄電池であり、蓄電池21は高出力型蓄電池である。大容量型蓄電池は、高出力型蓄電池と比較して、大きな充放電電力量(電池容量)が得られやすい一方で大きな充放電電力(出力)が得られにくいという特徴を有する。高出力型蓄電池は、大容量型蓄電池と比較して、大きな充放電電力が得られやすい一方で大きな充放電電力量が得られにくいという特徴を有する。これらの特徴の異なる蓄電池が存在することは公知であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0079】
蓄電池11は、蓄電池21の電池容量よりも大きい電池容量を有する。また、蓄電池11の最大充放電電力(最大出力)が、蓄電池21の最大充放電電力よりも小さくなるように、蓄電池11及び蓄電池21がコントローラ4によって充放電制御される。なお、ここでいう蓄電池11の最大充放電電力は、電力P1の絶対値の最大値を指し示す。蓄電池21の最大充放電電力は、電力P2の絶対値の最大値を指し示す。
【0080】
コントローラ4は、蓄電池システム1の蓄電池11及び蓄電池システム2の蓄電池21を充放電制御する。コントローラ4の取得部41によって取得される電力情報には、発電装置Gの電力PG、蓄電池11の電力P1及び蓄電池21の電力P2、連携点3の電力P3等も含まれる。例えば、電力PGの情報は、発電装置Gからコントローラ4に送信され、取得部41によって取得される。電力P1及び電力P2の情報は、バッテリコントローラ14及びバッテリコントローラ24からコントローラ4に送信され、取得部41によって取得される。電力P3の情報は、連携点3からコントローラ4に送信され、取得部41によって取得される。また、取得部41によって取得される蓄電池情報には、蓄電池11の残存容量等も含まれる。
【0081】
算出部42は、取得部41によって取得された情報に基づいて、蓄電池11の電力P1の目標値及び蓄電池21の電力P2の目標値を算出する。詳細は後述する。
【0082】
充放電制御部43は、算出部42によって算出された電力P1の目標値及び電力P2の目標値に基づいて、蓄電池11及び蓄電池21を充放電制御する。例えば、充放電制御部43は、電力P1の目標値に対応するPCS12の出力指令値をバッテリコントローラ14に送信する。バッテリコントローラ14は、受信した出力指令値をPCS12に与える。PCS12は、与えられた出力指令値に従って蓄電池11を充放電させる。蓄電池11の電力P1が目標値に近づく。また、充放電制御部43は、電力P2の目標値に対応するPCS22の出力指令値をバッテリコントローラ24に送信する。バッテリコントローラ24は、受信した出力指令値をPCS22に与える。PCS22は、与えられた出力指令値に従って蓄電池21を充放電させる。蓄電池21の電力P2が目標値に近づく。
【0083】
充放電制御部43による充放電制御は、先に述べた変化速度の単位期間(1分等)以下の間隔で行われる。充放電制御の間隔の例は、数秒、十数秒、数十秒、1分等である。なお、算出部42による算出の間隔も、充放電制御の間隔と同じであってよい。
【0084】
算出部42について詳述する。算出部42は、第1算出部421と、第2算出部422とを含む。第1算出部421は、電力P1の目標値を算出する。第2算出部422は、電力P2の目標値を算出する。第1算出部421及び第2算出部422は、連携点3の電力P3の変化速度を抑制するように、電力P1の目標値及び電力P2の目標値を算出する。以下では、変化速度は1%/分以下に抑制されるものとする。
【0085】
第1算出部421は、電力P1の大きさが設定値を上回らない範囲内で、連携点3の電力P3の変化速度を抑制するように、電力P1の目標値を算出する。設定値は、蓄電池21の最大充放電電力よりも小さい値に設定される。第1算出部421は、計算上で電力P1の目標値の大きさが設定値を上回る場合には、設定値と同じ大きさの電力を、電力P1の目標値として算出する。これにより、電力P1の目標値は、設定値に制限(固定)される。以下では、設定値が400kWである場合を例に挙げて説明する。
【0086】
図11は、蓄電池11の電力P1の目標値の例を示す図である。電力P1の大きさが400kWを上回らない範囲内、すなわち電力P1が±400kWの範囲内で、電力P3の変化速度を抑制するように、電力P1の目標値が算出される。計算上で電力P1が+400kWを上回る場合には、+400kWが電力P1の目標値として算出される。計算上で電力P1が-400kWを下回る場合には、-400kWが電力P1の目標値として算出される。
【0087】
図9に戻り、第2算出部422は、電力PGと、第1算出部421によって算出された電力P1の目標値との合計電力を算出する。この合計電力は、電力P1によって変化速度が抑制された後の電力P3であり、蓄電池21の電力P2が無いと仮定した場合の電力P3に相当する。
【0088】
図12は、発電装置Gの電力PGと蓄電池11の電力P1の目標値との合計電力(PG+P1の目標値)の例を示す図である。もともとの電力PG(図10)と比較すると、変化速度がかなり抑制されている。ただし、電力P1の目標値が設定値に制限された期間では、変化速度の抑制が未だ十分ではない。すなわち変化速度は1%/分以下に抑制されていない。
【0089】
図9に戻り、第2算出部422は、電力PGと電力P1の目標値との合計電力の変化速度、すなわち電力P1によって抑制された後の電力P3の変化速度をさらに抑制するように、電力P2の目標値を算出する。
【0090】
図13は、蓄電池21の電力P2の目標値の例を示す図である。上述の図12において変化速度の抑制が十分でなかった期間での変化速度をさらに抑制するように、蓄電池21の電力P2の目標値が算出される。
【0091】
図9に戻り、算出部42では、第2算出部422によって算出された電力P2の目標値に基づいて、複数の蓄電池システム2それぞれの電力p(各電力p)の目標値が算出される。具体的な算出手法は、先に図1図7を参照して説明したとおりであるので、詳細な説明は繰り返さない。以降の説明において、電力P2の目標値は、各電力pの目標値の合計値として適宜読み替えられてよい。
【0092】
充放電制御部43は、算出部42によって算出された電力P1の目標値及び電力P2の目標値に基づいて、蓄電池11及び蓄電池21を充放電制御する。すなわち、充放電制御部43は、蓄電池11の最大充放電電力が、蓄電池21の最大充放電電力よりも小さくなるように、蓄電池11及び蓄電池21を充放電させる。より具体的に、充放電制御部43は、電力P1の大きさが設定値(蓄電池21の最大充放電電力よりも小さい値)を上回らない範囲内で、電力P3の変化速度を抑制するように、蓄電池11を充放電させる。そして、充放電制御部43は、蓄電池11によって抑制された後の電力P3の変化速度をさらに抑制するように、蓄電池21を充放電させる。
【0093】
図14は、連携点3の電力P3の例を示す図である。電力P1及び電力P2によって、任意の時刻tにおける電力P3の変化速度がいずれも抑制される。すなわち変化速度が1%/分以下に抑制される。
【0094】
以上のように充放電制御された蓄電池11及び蓄電池21それぞれの最大充放電電力及び電池容量について、図15及び図16を参照して説明する。
【0095】
図15は、蓄電池11の電力P1及び充放電電力量の例を示す図である。蓄電池11の最大充放電電力は、電力P1が±400kWの範囲内に制限されるので、400kWである。蓄電池11が必要とする電池容量は、充放電電力量が約+70kWHから約-1430kWhの間で変化するので、約1500kWhである。
【0096】
図16は、蓄電池21の電力P2及び充放電電力量の例を示す図である。蓄電池21の最大充放電電力は、電力P2が約+480kWから約-930kWの間で変化するので、約930kWである。蓄電池21が必要とする電池容量は、充放電電力量が約+0kWhから約-270kWhの間で変化するので、約270kWhである。
【0097】
蓄電池11の最大充放電電力400kWは、蓄電池21の最大充放電電力約930kWよりも小さい。また、蓄電池21が必要とする電池容量約270kWhは、蓄電池11が必要とする電池容量約1500kWhよりも小さい。従って、蓄電池11の出力(最大充放電電力)を抑制しつつ、蓄電池21の電池容量(充放電電力量)を抑制することができる。この効果について、比較例を用いてさらに説明する。
【0098】
図17は、比較例の概略構成を示す図である。比較例に係る電力供給システム100Eは、これまで説明した電力供給システム100(図9)と比較して、とくに、蓄電池システム1を含まない点において相違する。電力供給システム100E中のいくつかの要素の符号には「E」を追加している。電力供給システム100Eでは、蓄電池システム2Eの蓄電池21Eの電力P2Eによってのみ、連携点3Eの電力P3Eの変化速度が抑制される。
【0099】
図18は、比較例の電力P3Eの例を示す図である。電力P3Eの変化速度を抑制する電力P2Eで、蓄電池21Eが充放電制御される。
【0100】
図19は、比較例の蓄電池21Eの電力P2E及び充放電電力量の例を示す図である。蓄電池21Eの最大充放電電力は、電力P2Eが約+820kWから約-1270kWの間で変化するので、約1270kWである。蓄電池21Eが必要とする電池容量は、充放電電力量が約+0kWhから約-600kWhで変化するので、約600kWhである。比較例の蓄電池21Eが必要とする電池容量約600kWhは、先に図16を参照して説明した蓄電池21が必要とする電池容量約270kWhよりもかなり大きい。
【0101】
改めて図18及び図19を参照して蓄電池21Eの充放電電力量(必要な電池容量)が大きくなることの原因を考察する。例えば時刻t1~時刻t2において、電力PGの時間変化がかなり大きくなることに起因して、電力PGと、連携点3Eの電力P3Eとの差分が大きくなる勾配状態が継続する。ここでの勾配状態の継続は、同符号での勾配の差分(正の差分又は負の差分)が継続することを意味する。このような差分が継続する結果、電力P2Eが同じ方向(この例では充電方向)になる状態が継続し、蓄電池21Eが必要とする電池容量が大きくなる。実施形態に係る電力供給システム100では、蓄電池11が、勾配を抑制するための容量を負担する。その分、蓄電池21が必要とする電池容量が抑制される。従って、先にも述べたように、蓄電池11の出力の抑制だけでなく、蓄電池21の電池容量の抑制をも行うことが可能になる。
【0102】
<蓄電池11の一時停止>
上記の図18及び図19を参照して説明した知見に基づけば、勾配状態が長く継続しないときに蓄電池11の充放電を停止しても、蓄電池21の電池容量を抑制するという効果は得られる。このような充放電制御が充放電制御部43によって行われてもよい。
【0103】
例えば、算出部42の第1算出部421は、勾配状態が長く継続しない状態(非勾配状態)が一定期間継続していると判断した場合、蓄電池11の電力P1の目標値をゼロとして算出する。非勾配状態が継続しているか否かの判断には、閾値判断が用いられてよい。例えば、発電装置Gの電力PGの変化速度が閾値未満の状態が一定期間継続すると、第1算出部421は、非勾配状態が継続していると判断する。例えば、10分間の平均勾配が10%以下である場合、蓄電池11の充放電を一時停止させてよい。閾値の大きさ及び一定期間の長さは、任意に設定されてよい。
【0104】
上述のように第1算出部421が電力P1の目標値をゼロとして算出した結果、充放電制御部43は、電力P1がゼロになるように蓄電池11を充放電制御させる。その間、蓄電池11の充放電は、一時的に停止される。すなわち、充放電制御部43は、電力P3の変化速度が閾値未満の状態が一定期間継続したことに応じて、蓄電池11の充放電を一時停止する。
【0105】
停止開始後、ある程度の期間(長さは任意に設定されてよい)が経過したり、再び勾配状態の継続が開始したりすると、第1算出部421は、これまでと同様に、電力P3の変化速度を抑制するように、電力P1の目標値を算出する。充放電制御部43は、蓄電池11を充放電させる。具体例について、図20図25を参照して説明する。
【0106】
図20は、蓄電池11の電力P1の目標値の例を示す図である。時刻t3は、先に説明した図18の時刻t2よりも後の時刻である。非勾配状態が一定期間継続し、時刻t3に至る。時刻t3において、電力P1の目標値がゼロとして算出される。この算出は、時刻t4まで繰り返される。時刻t4において、再び±400kWの範囲内で電力P1の目標値が算出される。
【0107】
図21は、発電装置Gの電力PGと蓄電池11の電力P1の目標値との合計電力(PG+P1の目標値)の例を示す図である。電力P1の目標値が設定値に制限された期間やゼロとして算出された期間では、変化速度の抑制が未だ十分ではない。
【0108】
第2算出部422については、これまでと同様である。第2算出部422は、電力P1によって抑制された後の電力P3の変化速度をさらに抑制するように、電力P2の目標値を算出する。
【0109】
図22は、蓄電池21の電力P2の目標値の例を示す図である。上述の図21において変化速度の抑制が十分でなかった期間での変化速度をさらに抑制するように、蓄電池21の電力P2の目標値が算出される。
【0110】
図23は、連携点3の電力P3の例を示す図である。電力P1及び電力P2によって、任意の時刻tにおける電力P3の変化速度がいずれも抑制される。
【0111】
図24は、蓄電池11の電力P1及び充放電電力量の例を示す図である。蓄電池11の最大充放電電力は、電力P1が±400kWの範囲内に制限されるので、400kWである。蓄電池11が必要とする電池容量は、充放電電力量が約+110kWHから約-420kWhの間で変化するので、約530kWhである。
【0112】
図25は、蓄電池21の電力P2及び充放電電力量の例を示す図である。蓄電池21の最大充放電電力は、電力P2が約+480kWから約-930kWの間で変化するので、930kWである。蓄電池21が必要とする電池容量は、充放電電力量が約+0kWhから約-330kWhの間で変化するので、約330kWhである。
【0113】
蓄電池21が必要とする電池容量約330kWhは、蓄電池11が必要とする電池容量約530kWhよりも小さい。このように非勾配状態のときに蓄電池11の充放電を一時停止しても、依然として蓄電池21の電池容量を抑制することができる。
【0114】
<長周期型蓄電池としての蓄電池11で勾配をキャンセル>
再び図9に戻り、大容量型蓄電池である蓄電池11の充放電が比較的長い周期(長周期)での平滑化に用いられ、高出力型蓄電池である蓄電池21の充放電が比較的短い周期(短周期)での平滑化に用いられてもよい。この場合、蓄電池11は長周期用蓄電池であり、蓄電池21は短周期用蓄電池であるといえる。蓄電池システム1は長周期用蓄電池システムであり、蓄電池システム2は短周期用蓄電池システムであるといえる。
【0115】
例えば、第1算出部421は、所定期間ごとの発電装置Gの電力PGに基づいて、電力P1の目標値を算出する。所定期間は、先に説明した変化速度の単位期間(1分等)よりも長い期間であり、例えば、数分、十数分、数十分、数時間等の期間である。
【0116】
一実施形態において、第1算出部421は、平均化された発電装置Gの電力PGに基づいて、電力P1の目標値を算出してよい。1つの平均値を得るための期間が、所定期間に対応する。平均化手法はとくに限定されないが、例えば指数化平均、区間平均、移動平均等が用いられてよい。指数化平均はメモリ容量が他の平均化法と比較し少なくてよく、突発的な変化に追従しやすいという特徴を有する。区間平均は長く同じ変化が継続する場合はその傾向を示しやすく、平均化後のデータ処理負担が少ないという特徴を有する。移動平均は長く同じ変化が継続する場合には、代表的に用いられる。第1算出部421は、平均化された電力PGを算出する。
【0117】
図26は、平均化された電力PGに基づく電力P1の目標値の算出の例を示す図である。第1算出部421は、平均化された電力PGの変動を抑制する計算上での電力P1の目標値を、電力P1cとして算出する。電力P1cは、電力P1の目標値の候補値ともいえる。以下では、設定値が400kWである場合を例に挙げて説明する。
【0118】
電力P1cは、約1140kWから約-510kWの広範囲にわたって変化する。これまでも説明してきたように、例えば設定値が400kWである場合、第1算出部421は、±400kWの範囲内(設定値の範囲内)で電力P1の目標値を算出する。電力P1cの大きさが400kWを上回る場合には、電力P1の目標値が設定値に固定されてよい。非勾配状態が一定期間継続しているときには、電力P1の目標値がゼロとして算出されてよい。これら以外の算出手法も可能である。ここで例示する形態では、第1算出部421は、電力P1cの大きさが400kWを上回る場合に、電力P1の目標値の大きさをシフトさせる。以下、具体的に説明する。
【0119】
一実施形態において、第1算出部421は、電力P1の目標値が、電力P1cの時間変化と同様の時間変化を継続させつつ、電力P1の目標値の大きさが設定値を上回らないように、電力P1の目標値の大きさをシフトさせる。この例では、時間変化は、平均化された電力PGの時間変化に対応する。例えば、第1算出部421は、電力の大きさが400kWを上回るタイミングで、シフト量に相当するオフセットを与えることにより、電力の大きさをシフトさせる。シフト後の電力の大きさが再び400kWを上回る場合には、第1算出部421は、そのタイミングでさらなるオフセットを与える。例えばこのようにして得られた電力の値が、蓄電池11の電力P1の目標値として算出される。
【0120】
図26に示される例では、時刻t11~時刻t15それぞれにおいて、電力P1の目標値の大きさがゼロにシフトする。具体的に、時刻t14及び時刻t15において、電力P1の目標値が+400kW付近からゼロまでシフトする。例えばそれらの時刻の各々において-400kWのオフセットが与えられる。時刻t11~時刻t13において、電力P1の目標値が-400kW付近からゼロまでシフトする。例えばそれらの時刻の各々において、+400kWのオフセットが与えられる。
【0121】
図27は、発電装置Gの電力PGと蓄電池11の電力P1の目標値との合計電力(PG+P1の目標値)の例を示す図である。所定期間ごとの大きな変動は平滑化されているが、所定期間よりも短い期間を単位期間とする変化速度は未だ抑制されていない。
【0122】
図28は、蓄電池21の電力P2の目標値の例を示す図である。電力P3の変化速度を抑制するように、蓄電池21の電力P2の目標値が算出される。
【0123】
充放電制御部43は、以上のように算出された電力P1の目標値及び電力P2の目標値に基づいて、蓄電池11及び蓄電池21を充放電制御してもよい。例えば、充放電制御部43は、電力P3の変化速度の単位期間よりも長い所定期間ごとの電力PGに基づいて、蓄電池11を充放電制御する。そして、充放電制御部43は、単位期間ごとの電力PGに基づいて、蓄電池21を充放電制御する。その際、充放電制御部43は、蓄電池11の電力P1の時間変化を継続させつつ、その大きさが設定値を上回らないように、電力P1の大きさをシフトさせる。
【0124】
図29は、連携点3の電力P3の例を示す図である。電力P1及び電力P2によって、任意の時刻tにおける電力P3の変化速度がいずれも抑制される。
【0125】
図30は、蓄電池11の電力P1及び充放電電力量の例を示す図である。蓄電池11の最大充放電電力は、電力P1が±400kWの範囲内に制限されるので、400kWである。蓄電池11が必要とする電池容量は、充放電電力量が約+280kWhから約-520kWhの間で変化するので、約800kWhである。
【0126】
図31は、蓄電池21の電力P2及び充放電電力量の例を示す図である。蓄電池21の最大充放電電力は、電力P2が約+960kWから約-1120kWの間で変化するので、約1120kWである。蓄電池21が必要とする電池容量は、充放電電力量が約+0kWhから約-380kWhの間で変化するので、約380kWhである。
【0127】
従って、蓄電池11を長周期用蓄電池として用いたり、電力P1の大きさを制限値の範囲内でシフトさせたりしても、蓄電池11の出力を抑制しつつ、蓄電池21の電池容量を抑制することができる。なお、電力P1のシフトによっても蓄電池21の電池容量が抑制されるのは、蓄電池11が、発電装置Gの電力PGの時間変化に応じた時間変化を継続するように充放電制御されることで、勾配を抑制するための容量を負担するからである。
【0128】
上記では、蓄電池11の電力P1の大きさをゼロにシフトさせる例について説明した。これ以外にも、さまざまなシフトが可能である。例えば、電力P1の大きさが、蓄電池11の充放電が逆転する大きさまでシフトしてもよい。この点も含め、図32及び図33を参照して説明する。
【0129】
図32及び図33は、蓄電池11の電力P1のシフトの例を示す図である。設定値として、上限電力P1UL及び下限電力P1LLが例示される。上限電力P1ULは、電力P1の上限値を規定する。下限電力P1LLは、電力P1の下限値を規定する。
【0130】
図32に示される例では、蓄電池11の電力P1は、負から正に向かう勾配を作るように時間変化している。電力P1cが上限電力P1ULを上回るタイミングで、電力P1が電力P1までシフトする。これによって蓄電池21の負から正に向かわせるための必要充放電電力量を抑制できる。
【0131】
図33に示される例では、電力P1は、正から負に向かう勾配を作るように時間変化している。電力P1cが下限電力P1LLを下回るタイミングで、電力P1が電力P1までシフトする。これによって蓄電池21の正から負に向かわせるための必要充放電容量を抑制できる。
【0132】
重要なのは勾配であって、絶対値ではない。P1LLとP1ULの値が充電方向であれば、蓄電池11の充電電力量を増やすことができるし、P1LLとP1ULの値が放電方向であれば、蓄電池11の放電電力量を増やすことができる。これによって蓄電池11の蓄電容量も制御、抑制することもできる。
【0133】
上限電力P1UL及び下限電力P1LLの大きさ(絶対値)は、同じであっても良いし、異なっていてもよい。図32に示されるシフト後の電力P1は、上限電力P1ULよりも小さい値であればよい。電力P1は、ゼロ以下であってもよい。電力P1がゼロより小さい場合、電力P1の大きさは、蓄電池11の充放電が逆転する大きさまでシフトする。図33に示されるシフト後の電力P1は、下限電力P1LLよりも大きい値であればよい。電力P1は、ゼロ以上であってもよい。電力P1がゼロよりも大きい場合、電力P1の大きさは、蓄電池11の充放電が逆転する大きさまでシフトする。
【0134】
<第2応用例>
第2応用例では、蓄電池11が、予測に基づいて計画的に充放電制御される。
【0135】
図34は、第2応用例に係るコントローラ4Aが用いられる電力供給システム100Aの概略構成の例を示す図である。コントローラ4Aは、コントローラ4(図9)と比較して、取得部41、算出部42及び記憶部44に代えて、取得部41A、算出部42A及び記憶部44Aを含む点、並びに、計画部45をさらに含む点において相違する。
【0136】
取得部41Aは、これまでに説明した電力情報や蓄電池情報の他に、発電装置Gの電力PGの予測に必要な情報も取得する。そのような情報の例は、気象情報等であり、例えば時刻や時間帯ごとの風力、日射量、気温等を示す情報である。気象情報等は、例えば図示しない外部ネットワーク等を介して取得される。
【0137】
計画部45は、蓄電池21の電力P2の目標値を計画する。例えば、計画部45は、上述の取得部41Aによって取得された気象情報等に基づいて、将来の発電装置Gの電力PGを予測する。より具体的に、計画部45は、将来の時刻や時間帯ごとの発電装置Gの電力PGの予測値を算出する。発電電力予測のための種々の公知の手法が用いられてよい。
【0138】
計画部45は、算出した発電装置Gの電力PGの予測値の変動を抑制する電力P1の目標値を計画する。例えば、計画部45は、計画時間帯ごとの電力PGの予測値に基づいて、計画時間帯ごとの電力P1の目標値を計画する。計画時間帯は、先に説明した第1実施形態における所定期間に相当し得る。各計画時間帯の長さは、同じでなくてもよい。例えば、15分、30分等の計画時間帯ごとの電力P1の目標値が、24時間先、48時間先等まで計画される。
【0139】
図35は、蓄電池11の電力P1の目標値の計画の例を示す図である。時刻t21~時刻t22、時刻t22~時刻t23、時刻t23~時刻t24、時刻t24~時刻t25、時刻t25~時刻t26、時刻t26~時刻t27、時刻t27~時刻t28及び時刻t28~時刻t29それぞれが、計画時間帯に相当する。計画時間帯ごとの電力PGの予測値に基づいて、電力PGの変動を抑制する電力P1の目標値が計画される。
【0140】
この例では、電力P1の目標値は、計画時間帯ごとに、その計画時間帯にわたって、時間に対して一定の傾きを有して変化するように計画されるか、又は、一定の大きさを有するように計画される。時刻t23~時刻t24及び時刻t27~時刻t28では、電力P1の目標値は、正の傾きを有して変化するように計画される。時刻t21~時刻t22及び時刻t25~時刻t26では、電力P1の目標値は、負の傾きを有して変化するように計画される。時刻t22~時刻t23、時刻t24~時刻t25、時刻t26~時刻t27及び時刻t28~時刻t29では、電力P1の目標値は、一定の大きさを有するように計画される。
【0141】
計画部45は、電力P1の目標値の時間変化を継続させつつ、その大きさが設定値を上回らないように、その大きさをシフトさせる。シフト手法は、先に説明した第1実施形態における算出部42の第1算出部421と同様の手法が用いられてよい。例えば、時刻t21~時刻t22において、電力P1の目標値は、負の傾きを継続しつつ、-400kWを下回らないようにシフトする。時刻t23~時刻t24において、電力P1の目標値は、正の傾きを継続しつつ、+400kWを上回らないようにシフトする。
【0142】
なお、時刻t25~時刻t26及び時刻t27~時刻t28のように、電力P1の目標値がシフトしない計画時間帯も当然に存在し得る。また、時刻t22~時刻t23、時刻t24~時刻t25、時刻t26~時刻t27及び時刻t28~時刻t29では、電力P1の目標値が一定であるので、電力P1の目標値はシフトしない。
【0143】
図34に戻り、算出部42Aは、算出部42(図1)と比較して、第1算出部421に代えて第1算出部421Aを含む点において相違する。例えば、第1算出部421Aは、計画部45によって計画された電力P1の目標値をそのまま電力P1の目標値として算出する。第1算出部421Aは無くてもよく、その場合、計画部45が第1算出部421Aの機能を兼ねる。
【0144】
第2算出部422は、連携点3の電力P3の変化速度を抑制する電力P2の目標値を算出する。充放電制御部43は、算出部42Aの算出結果に基づいて、蓄電池11及び蓄電池21を充放電制御する。詳細は第1応用例と同様であるので、説明は繰り返さない。
【0145】
記憶部44Aは、コントローラ4Aでの制御に必要な種々の情報を記憶する。記憶部44Aに記憶される情報として、制御プログラム441Aが例示される。制御プログラム441Aは、コントローラ4Aにおいて実行される制御(処理)をコンピュータに実行させるプログラムである。この他にも、記憶部44Aは、取得部41Aによって取得された電力情報、蓄電池情報及び気象情報等を記憶したり、計画部45での計画や算出部42での算出に必要な情報を記憶したりする。
【0146】
電力供給システム100Aにおいても、蓄電池11の電力P1の時間変化が継続しつつ、その大きさが設定値を上回らないようにシフトする。従って、蓄電池11の出力の抑制と、蓄電池21の電池容量の抑制とを両立することができる。
【0147】
電力供給システム100Aにおいては、電力P1の目標値を、計画時間帯ごとに、一定の傾きを有して変化するように計画したり、一定の大きさを有するように計画したりするだけでよい。これにより、例えば複雑な制御を回避できるという効果もある。この効果は、電力P1のシフトが無い場合でも得られる効果であり、この意味において、電力P1をシフトさせない形態も電力供給システム100Aの形態の1つとなり得る。
【0148】
一実施形態において、蓄電池のSOCを考慮した制御が行われてよい。例えば、計画部45は、計画時間帯中の終期での蓄電池21のSOCが目標SOC(残存容量の目標値)に近くなるように、蓄電池11の電力P1の目標値を計画してよい。蓄電池11によって蓄電池21の電力を賄う計画ともいえる。計画時間帯中の終期は、その計画時間帯の終了時刻の数秒前、数十秒前、数分前等であってよい。目標SOCの例は、約50%である。蓄電池21の電池容量を最大限に活用できる可能性が高まる。例えばリチウムイオン電池のように満充電付近で放置すると劣化が進行する特性があるので、SOC50%付近での充放電頻度を増やすことで、蓄電池劣化の進行を抑制できる可能性が高まる。
【0149】
計画部45は、計画時間帯の終期での蓄電池21の実際のSOCに基づいて、次の計画時間帯の電力P2の目標値を再計画してよい。次の計画時間帯の終期での蓄電池21のSOCが目標SOCに近くなる可能性が高まる。次の計画時間帯の電力P2の目標値の再計画は、その時点から24時間先、48時間先等までの電力P1の目標値を改めて計画することを含んでよい。
【0150】
一実施形態において、許容範囲内において、蓄電池21の電力P2をできるだけ小さくするように、蓄電池21が充放電制御されてよい。例えば、±1%/分よりも小さい電力P3の変化速度を、あえて+1%/分や-1%/分に近づけ、その分、蓄電池21の電力P2を小さくする充放電制御が採用されてもよい。電力P2の大きさが抑制される分、蓄電池21が必要とする電池容量をさらに抑制することができる。また、蓄電池21の充放電を抑制することで劣化の進行を抑制することができる。
【0151】
<変形例>
これまで説明した形態のいくつかの変形例について説明する。一実施形態おいて、電力を消費する負荷(需要)が電力供給システムに含まれてよい。これについて、図36を参照して説明する。
【0152】
図36は、負荷の例を示す図である。電力線Wに接続され、電力線Wからの電力を消費する負荷を負荷Lと称し図示する。負荷Lの例は、家屋、工場等である。負荷Lが消費する電力を消費電力PLと称し図示する。消費電力PLの情報も、例えば負荷Lからコントローラに送信され取得される。
【0153】
発電装置Gの電力PGの少なくとも一部は、負荷Lで消費される。残りの電力(PG-PL)は、連携点3を介して電力網9に供給可能な電力である。この電力をこれまで説明した電力PGと同様に扱うことで、連携点3の電力P3の変化速度を抑制することができる。矛盾の無い範囲で、発電装置Gの電力PGは、発電装置Gの電力PGから負荷Lの電力PLを差し引いた減算した電力に読み替えられてよい。
【0154】
発電装置Gの電力PGの少なくとも一部は、負荷Lで消費される。残りの電力(PG-PL)は、連携点3を介して電力網9に供給可能な電力である。この電力をこれまで説明した電力PGと同様に扱うことで、連携点3の電力P3の変化速度を抑制することができる。矛盾の無い範囲で、発電装置Gの電力PGは、発電装置Gの電力PGから負荷Lの電力PLを差し引いた減算した電力に読み替えられてよい。
【0155】
上記実施形態では、複数の蓄電池システム2それぞれがコントローラ4によって充放電制御される例について説明した。ただし、複数の蓄電池システム1が存在してもよく、その場合には、複数の蓄電池システム1それぞれが、蓄電池システム2と同様に、コントローラ4によって充放電制御されてよい。
【0156】
一実施形態において、電力P1及び電力P2の目標値の算出に、学習済みモデルが用いられてよい。これについて、図37を参照して説明する。
【0157】
図37は、変形例に係るコントローラ4Bの概略構成の例を示す図である。コントローラ4Bは、コントローラ4(図9)と比較して、算出部42及び記憶部44に代えて、算出部42B及び記憶部44Bを含む点、並びに、学習部46をさらに含む点において相違する。
【0158】
記憶部44Bに記憶される情報として、制御プログラム441B、学習済みモデル442及び訓練データ443が例示される。制御プログラム441Bは、コントローラ4Bにおいて実行される制御(処理)をコンピュータに実行させるプログラムである。学習済みモデル442は、例えば、取得部41によって取得された情報に対応するデータ(入力データ)が入力されると、電力P1及び電力P2の目標値に対応するデータ(出力データ)を出力する。出力データが対応する電力P1及び電力P2の目標値は、先に説明した算出部42(図1)によって算出される電力P1及び電力P2の目標値と同様である。
【0159】
学習済みモデル442は、入力データが入力されると、出力データを出力するように、訓練データ443を用いて訓練(機械学習等)され、生成される。訓練データ443の例は、入力データと出力データとを組み合わせたデータセットである。データセットは、電力供給システムにおいて行われた過去の蓄電池11及び蓄電池21の充放電制御のデータ、実験データ、シミュレーションデータ等を用いて準備されてよい。
【0160】
算出部42Bは、学習済みモデル442を用いて、電力P1及び電力P2の目標値を算出する。算出部42Bは、入力データを学習済みモデル442に入力することによって得られた出力データを、電力P1及び電力P2の目標値として取得する。
【0161】
算出部42Bによって算出(取得)された電力P1及び電力P2の目標値に基づいて、充放電制御部43は、蓄電池11及び蓄電池21を充放電制御する。
【0162】
学習部46は、記憶部44Bに記憶された訓練データ443を用いて学習済みモデル442の学習を行う。これにより、学習済みモデル442を生成でき、また、最新の訓練データ443に基づいて学習済みモデル442をアップデートすることができる。なお、学習部46及び訓練データ443は、コントローラ4Bの外部(例えば図示しないサーバ装置等の情報処理装置)に設けられてもよい。この場合には、コントローラ4Bの外部において生成された訓練済みの学習済みモデル442がコントローラ4Bに提供され用いられる。
【0163】
なお、図示しないが、コントローラ4A(図34)の計画部45による電力P1の目標値の計画等にも、学習済みモデルが用いられてよい。また、複数の蓄電池システム2それぞれの電力pの目標値の算出等にも、学習済みモデルが用いられてよい。
【0164】
一実施形態において、蓄電池システム1のバッテリコントローラ14の機能が、コントローラ4に組み入れられてよい。蓄電池システム1の構成の簡素化等が可能になる。蓄電池システム2のバッテリコントローラ24の機能が、コントローラ4に組み入れられてよい。蓄電池システム2の構成の簡素化等が可能になる。
【0165】
以上で説明した応用例では、コントローラ4は、発電装置Gの電力PG(発電電力)に基づいて、発電装置G、発電装置Gに接続された蓄電池システム1(第1の蓄電池システム)及び蓄電池システム2(第2の蓄電池システム)と、電力網9との間の連携点3の電力P3(授受電力)の変化速度(単位期間ごとの電力値の変化率)を抑制するように、蓄電池システム1及び蓄電池システム2を充放電制御する。蓄電池システム1の蓄電池11は、蓄電池システム2の蓄電池21の電池容量よりも大きい電池容量を有する。充放電制御は、蓄電池システム1の最大充放電電力が、蓄電池システム2の最大充放電電力よりも小さくなるように、蓄電池システム1及び蓄電池システム2を充放電させることを含む。ここでの蓄電池システム2は、複数の蓄電池システム2であり、先に図1図7等を参照して説明したように、少なくとも1つの運転目的(第1の運転目的を含む)に従って、それぞれが充放電制御される。
【0166】
上記のコントローラ4では、蓄電池11及び蓄電池21の2種類の蓄電池が、連携点3の電力P3の変化速度を抑制するように充放電制御される。発電装置を安定化させることができる。また、充放電制御される。蓄電池11は、蓄電池21の電池容量よりも大きい電池容量を有する。蓄電池11の最大充放電電力は、蓄電池21の最大充放電電力よりも小さくなるように充放電制御される。このように用いられる蓄電池11は、大容量型蓄電池である。蓄電池21は、高出力型蓄電池である。図15図19等を参照して説明したように、蓄電池11の出力(最大充放電電力)を抑制しつつ、蓄電池11を用いない場合よりも、蓄電池21の電池容量(充放電電力量)を抑制することができる。蓄電池11(大容量型蓄電池)の出力の抑制と蓄電池21(高出力型蓄電池)の電池容量の抑制との両立が可能になる。
【0167】
加えて、複数の蓄電池システム2それぞれの動作効率Eが高くなるように、複数の蓄電池システム2が充放電制御される。従って、蓄電池21の充放電効率ηbat及びPCS22(電力変換装置)の電力変換効率ηpcsの全体の効率を最適化することができる。とくに、高出力型の蓄電池である蓄電池21を含む蓄電池システム2の動作効率Eを高めることで、蓄電池11の電池容量を抑制する効果がさらに高められる。
【符号の説明】
【0168】
1 蓄電池システム
2 蓄電池システム
3 連携点
4 コントローラ
41 取得部
42 算出部
43 充放電制御部
44 記憶部
45 計画部
46 学習部
441 制御プログラム
442 学習済みモデル
443 訓練データ
444 システムデータ
G 発電装置
P1 電力
P2 電力
p 電力
PG 電力
PL 消費電力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37