(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018488
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】穿孔方法及び穿孔装置
(51)【国際特許分類】
B28D 1/14 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
B28D1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122652
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】502263905
【氏名又は名称】ダイヤモンド機工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000165424
【氏名又は名称】株式会社コンセック
(71)【出願人】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 立
(72)【発明者】
【氏名】向井 啓通
(72)【発明者】
【氏名】垣中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】上條 宏明
(72)【発明者】
【氏名】渡部 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 豪
(72)【発明者】
【氏名】神田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】綿川 文治
(72)【発明者】
【氏名】大下 貴史
(72)【発明者】
【氏名】眞野 敬英
【テーマコード(参考)】
3C069
【Fターム(参考)】
3C069AA04
3C069BA09
3C069BB01
3C069CA07
3C069CB02
3C069DA07
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】効率的に穿孔することができる穿孔方法及び穿孔装置を提供する。
【解決手段】第1チップ部30は、円筒体の穿孔方向側の円周面に離間して配置された複数のチップ31と、円筒体の中心に配置されチップ31から先端が穿孔方向に突出したセンタドリルとを備える。この第1チップ部30を取り付けた第1コアビット25を用いて、コンクリート部材10の表面をセンタドリルのドリル刃部37で穿孔しながら、ガイド溝を形成する。その後、円筒体の穿孔方向側の円周面に離間して配置された複数のチップ31を取り付けた第2コアビットをガイド溝に挿入して穿孔する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアビットを備えたコアドリルを用いて穿孔対象物に孔を形成する穿孔方法であって、
円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第1チップと、前記円筒体の中心に配置され前記第1チップから先端が前記穿孔方向に突出したセンタドリルとを備えた第1チップ部を取り付けた第1コアビットを用いて、前記穿孔対象物の表面を前記センタドリルで穿孔しながら、ガイド溝を形成し、
円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第2チップを取り付けた第2コアビットを前記ガイド溝に挿入して穿孔することを特徴とする穿孔方法。
【請求項2】
コアビットを備えたコアドリルを用いて穿孔対象物を穿孔する穿孔装置であって、
前記コアビットは、
円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第1チップと、前記円筒体の中心に配置され前記第1チップから先端が前記穿孔方向に突出したセンタドリルとを備え、前記穿孔対象物の表面を前記センタドリルで穿孔しながらガイド溝を形成する第1チップ部と、
前記ガイド溝に配置可能であって、円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第2チップを備えた第2チップ部とを交換して取付可能であることを特徴とする穿孔装置。
【請求項3】
コアビットを備えたコアドリルを用いて穿孔対象物を穿孔する穿孔装置であって、
円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第1チップと、前記円筒体の中心に配置され前記第1チップから先端が前記穿孔方向に突出したセンタドリルとを備えた第1チップ部を取り付け、前記穿孔対象物の表面を前記センタドリルで穿孔しながらガイド溝を形成する第1コアビットと、
前記ガイド溝に配置可能であって、円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第2チップを備えた第2チップ部を取り付け、前記第2チップを前記ガイド溝に挿入して穿孔する第2コアビットとを備えたことを特徴とする穿孔装置。
【請求項4】
前記第1コアビットを設けた第1コアドリルと、前記第2コアビットを備えた第2コアドリルとを保持する移動機構を更に備え、
前記移動機構は、前記第1コアビットにより穿孔した前記ガイド溝に、前記第2コアビットの先端を配置することを特徴とする請求項3に記載の穿孔装置。
【請求項5】
前記センタドリルは、前記第1チップ部の内部に設けた取付板に固定されて先端側に突出する支持部と、この支持部に固定されるドリル刃部とを備えることを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート部材等に孔を形成する穿孔方法及び穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート等の構造物を穿孔するために、円筒形状のコアビットを備えた穿孔装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載された穿孔装置は、コアビットを、回転させながら直進させて、穿孔対象物に孔を形成する。更に、この穿孔装置は、コアビットのシャンクの内部空間に配置され外周に吸引口が形成された吸引部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コアドリルを支持する箇所から刃があるビットの先端までが長く、また穿孔対象物のコンクリート部材が硬い場合、コンクリート部材への切り込み時に、遠心力によりコアビットの先端が振れることがある。従って、円滑な穿孔が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する穿孔方法は、コアビットを備えたコアドリルを用いて穿孔対象物に孔を形成する穿孔方法であって、円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第1チップと、前記円筒体の中心に配置され前記第1チップから先端が前記穿孔方向に突出したセンタドリルとを備えた第1チップ部を取り付けた第1コアビットを用いて、前記穿孔対象物の表面を前記センタドリルで穿孔しながら、ガイド溝を形成し、円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第2チップを取り付けた第2コアビットを前記ガイド溝に挿入して穿孔する。
【0006】
更に、上記課題を解決する穿孔装置は、コアビットを備えたコアドリルを用いて穿孔対象物を穿孔する穿孔装置であって、前記コアビットは、円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第1チップと、前記円筒体の中心に配置され前記第1チップから先端が前記穿孔方向に突出したセンタドリルとを備え、前記穿孔対象物の表面を前記センタドリルで穿孔しながらガイド溝を形成する第1チップ部と、前記ガイド溝に配置可能であって、円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第2チップを備えた第2チップ部とを交換して取付可能である。
また、上記課題を解決する穿孔装置は、コアビットを備えたコアドリルを用いて穿孔対象物を穿孔する穿孔装置であって、円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第1チップと、前記円筒体の中心に配置され前記第1チップから先端が前記穿孔方向に突出したセンタドリルとを備えた第1チップ部を取り付け、前記穿孔対象物の表面を前記センタドリルで穿孔しながらガイド溝を形成する第1コアビットと、前記ガイド溝に配置可能であって、円筒体の穿孔方向側の円周上に配置された複数の第2チップを備えた第2チップ部を取り付け、前記第2チップを前記ガイド溝に挿入して穿孔する第2コアビットとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、効率的に穿孔することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の穿孔装置の第1コアドリルによる穿孔を示す正面図である。
【
図2】実施形態の第1コアドリルの先端の構造を示す部分拡大断面図である。
【
図3】実施形態の第1コアドリルのセンタドリルを拡大した斜視図である。
【
図4】実施形態の第1コアドリルを用いて穿孔前の状態を説明する説明図である。
【
図5】実施形態の第1コアドリルのセンタドリルによって穿孔している状態を説明する説明図である。
【
図6】実施形態の第1コアドリルを用いた穿孔により形成したガイド溝を説明する説明図である。
【
図7】実施形態の穿孔装置の第2コアドリルの先端をガイド溝に配置した状態を説明する説明図である。
【
図8】実施形態の第2コアドリルによりコンクリートを穿孔した状態を説明する説明図である。
【
図9】第1変更例における第1コアドリルのセンタドリルを拡大した斜視図である。
【
図10】第2変更例において第1コアドリルのセンタドリルの周囲にエア噴射ノズルを設けた構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図8を用いて、穿孔方法及び穿孔装置を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、原子炉建屋(1次遮蔽壁)を構成するコンクリートブロックに円筒形状の孔を形成する穿孔方法及び穿孔装置として説明する。本実施形態では、穿孔装置としてのコアドリル20は、2種類の異なる第1チップ部及び第2チップ部を交換して穿孔を行なう。なお、第1チップ部を取り付けたコアドリル20を第1コアドリル、第2チップ部を取り付けたコアドリル20を第2コアドリルという。
【0010】
本実施形態では、
図1に示すように、コアドリル20は、ポールベース21、ポール22、ドリルヘッド23、コアビット25を備える。ポールベース21は、取付板15の上面に固定される。ここで、取付板15は、穿孔するコンクリート部材10の上方に配置された鉄等の金属で構成された板である。ポールベース21にはポール22が立設される。このポール22のラック(図示せず)には、ドリルヘッド23のスライドブロック23sのピニオン(図示せず)が噛み合っている。そして、スライドブロック23sを、ポール22の延在方向に移動させることにより、ドリルヘッド23が穿孔方向(
図1の下方向)に直進可能になる。このドリルヘッド23は、モータを内蔵している。以下では、ドリルヘッド23側を基端側、その反対側(穿孔方向側)を先端側と呼ぶ。このモータの回転力によって、ドリルヘッド23の先端に設けられたコアビット25が回転する。
【0011】
コアビット25は、基端側が閉塞した略円筒形状を有している。コアビット25の基端部には、排出管を介して吸引装置(図示せず)が接続されている。この吸引装置は、穿孔時に発生した切り粉を吸引してコアビット25から外部に排出する。
【0012】
コアビット25は、取付部25a、筒状部25t及び第1チップ部30を備える。取付部25aは、コアビット25の基端側の閉塞面の中心において、基端側に突出して形成されている。この取付部25aは、ドリルヘッド23のモータの回転軸に取り付けられる。取付部25aには、筒状部25tが一体固定されている。本実施形態では、この筒状部25tの長さL1は、4m~6mである。
【0013】
図2に示すように、コアビット25の先端側には、第1チップ部30が設けられている。具体的には、コアビット25の筒状部25tと第1チップ部30とが螺合して、筒状部25tの外周面と第1チップ部30の外周面とが面一になっている。
【0014】
(第1チップ部30の構成)
第1チップ部30は、略円筒形状を有し、コアビット25の筒状部25tから取り外して、交換することができる。第1チップ部30の円筒体の先端部の下面(円周上)には、複数のチップ31が、離間して設けられている。本実施形態では、各チップ31は、人造ダイヤモンドを金属と焼結したダイヤモンドチップであり、断面が円弧断面の柱形状をしている。そして、各チップ31は、同じ厚みの第1刃部及び第2刃部を径方向に重ねて一体的に接合されることにより構成されている。第2刃部は、第1刃部の外周側に位置する。第1刃部の刃先は、第2刃部よりも先端方向に突出した形状で構成されている。
【0015】
第1チップ部30の基端部には、円形の取付板32が固定されている。取付板32には、複数の排出孔32hが配置されて形成される。排出孔32hを介して、第1チップ部30内における切り粉が、筒状部25tへと排出される。
【0016】
取付板32には、複数のねじ等の固定具(図示せず)により、センタドリル35が固定される。このセンタドリル35は、支持部36とドリル刃部37とを備える。
センタドリル35の支持部36は、取付板32より先端側に突出している。支持部36は、先端方向に突出するドリル刃部37を支持する。
【0017】
図3に示すように、支持部36は、中心の貫通孔36hが形成された肉厚の円筒形状を有したブロックである。この貫通孔36hには、ドリル刃部37の基端部が挿通された状態で溶接されて固定される。
【0018】
図2に示すように、支持部36は、この支持部36の先端から突出するドリル刃部37の長さDL1が70mm以下となるように、ドリル刃部37を支持する。ここで、ドリル刃部37の中心軸を、第1チップ部30の中心軸C1と一致するように、ドリル刃部37を配置する。本実施形態のドリル刃部37には、複数の刃が螺旋状に形成され、その間に溝37gが設けられている。このドリル刃部37は、例えば、20mm以上の直径の市販されている打撃用(ハンマー)ドリルに用いられる超硬ドリルを用いる。ここでは、直径D1が24mmのドリル刃部37を用いる。本実施形態では、ドリル刃部37の長さDL1は、形成するガイド溝の深さに応じて決められる。ここでは、例えば、63mm程度である。そして、ドリル刃部37の先端は、チップ31の先端から長さh1(=約10mm)分、先端側に突出している。
【0019】
(第2チップ部40)
また、
図7に示すように、第2チップ部40は、本実施形態のコアドリル20のコアビット25の先端に取り付けて使用される。この第2チップ部40は、コアビット25の先端に取り付けられた第1チップ部30を取り外して、この代わりに螺合して取り付けられる。第2チップ部40の外周面は、取り付けられると、筒状部25tの外周面と面一になる。
【0020】
この第2チップ部40は、第1チップ部30において、取付板32及びセンタドリル35を取り外した構成と同じである。具体的には、第2チップ部40は、第1チップ部30の同じ径の円筒体を有し、この円筒体の先端に複数の離間したチップ31を備える。
【0021】
(穿孔方法)
次に、
図4~
図8に従って、上述したコアドリル20を用いて、コンクリート部材10に貫通孔を形成する穿孔方法について説明する。
【0022】
まず、貫通孔を形成するコンクリート部材10の上方に、第1チップ部30を先端に取り付けたコアドリル20を配置する。
この場合、
図4に示すように、第1チップ部30を、コンクリート部材10の孔を形成する位置の上面(表面)の直上に配置する。
【0023】
そして、コアドリル20を回転させながら降下させる。この場合、吸引装置を駆動させる。
その後、
図5に示すように、まず、第1チップ部30のドリル刃部37の先端がコンクリート部材10に当接する。この場合、ドリル刃部37がコンクリート部材10を穿孔する。なお、削られたコンクリート部材10の切り粉は、ドリル刃部37の溝37g及び取付板32の排出孔32h、筒状部25t及び排出管を介して吸引装置に排出される。
【0024】
そして、ドリル刃部37がコンクリート部材10を穿孔することにより、コンクリート部材10に対する第1チップ部30の中心位置が固定される。
このようにドリル刃部37により第1チップ部30の中心位置が固定された状態で、コアドリル20を降下させることにより、第1チップ部30の複数のチップ31がコンクリート部材10を穿孔する。
そして、
図1に示すように、第1チップ部30のチップ31により、コンクリート部材10の表面から25~60mm程度(例えば、40mm)の深さまで穿孔する。
【0025】
次に、コアドリル20の回転を止めて、コアドリル20を上方に引き上げる。
この場合、
図6に示すように、コンクリート部材10には、センタドリル35で形成された略円柱形状の孔Gh1と、チップ31によって形成された略リング形状のガイド溝Gt1とが形成される。
【0026】
次に、コアドリル20のコアビット25の先端の第1チップ部30を、第2チップ部40と交換する。
次に、
図7に示すように、コアドリル20を降下させて、第2チップ部40の先端のチップ31を、ガイド溝Gt1に挿入する。
【0027】
次に、吸引装置を駆動させながら、コアドリル20を、回転させながら降下させる。これにより、コアドリル20を用いて、ガイド溝Gt1よりも深い穿孔を行なう。
そして、
図8に示すように、コアビット25でコンクリート部材10を貫通させる。その後、コアドリル20を引き上げることにより、コンクリート部材10には円筒形状の貫通孔が形成される。
【0028】
(作用)
突出したセンタドリル35を設けた第1チップ部30を備えたコアドリル20を用いてコンクリート部材10を穿孔する。これにより、第1チップ部30による穿孔前に、センタドリル35のドリル刃部37の穿孔により、コンクリート部材10に第1チップ部30の中心位置が位置決めされて保持された状態になる。この状態で、第1チップ部30のチップ31により穿孔を行なうので、コアビット25の振れを抑制し、効率的にガイド溝Gt1を形成することができる。
【0029】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、センタドリル35によって第1チップ部30をコンクリート部材10に穿孔した後、第1チップ部30のチップ31でガイド溝Gt1を形成する。これにより、チップ31で穿孔する際には、センタドリル35のドリル刃部37により位置決めされるので、所望のガイド溝Gt1を形成することができる。そして、このガイド溝Gt1には、第2チップ部40のチップ31を挿入して穿孔を行なうので、長い筒状部25tを有するコアビット25であっても、的確な位置に、円滑に穿孔することができる。
【0030】
(2)本実施形態では、センタドリル35は、第1チップ部30に溶接された取付板32に固定された支持部36の先端に、ドリル刃部37が溶接されて固定される。これにより、ドリル刃部37は、固定された支持部36からの長さDL1を短くできるので、コンクリート部材10が硬くても、ドリル刃部37の曲げ変形を抑制することができる。
【0031】
(3)本実施形態では、センタドリル35のドリル刃部37には、複数の刃が螺旋状に形成され、その間に溝37gが設けられている。これにより、各溝37gに沿って、穿孔によって発生した切り粉を、刃先から基端側に移動させて排出することができる。
【0032】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ガイド溝Gt1を形成する第1チップ部30は、螺旋状に刃及び溝37gが形成されたドリル刃部37を備える。センタドリルは、螺旋状の刃や溝37gを有する構成に限られず、コアビット25の中心軸に中心が一致し、かつチップ31の先端から先端が突出した構成であればよい。
【0033】
例えば、
図9に示すセンタドリル55を、第1チップ部30の取付板32に固定してもよい。このセンタドリル55は、支持部36とドリル刃部57とを有する。ドリル刃部57は、先端に複数の刃57bが中心から径外方向に放射線状に設けられる。更に、刃57bの間に、穿孔で発生した切り粉を排出する排出孔57hを設ける。このセンタドリル55においても、支持部36を介してドリル刃部57を固定するので、支持部36からドリル刃部57の先端までの長さを短くして、ドリル刃部57の曲げ変形を抑制することができる。
【0034】
・上記実施形態では、コアビット25の基端側に排気管を介して接続した吸引装置を用いて、穿孔で発生した切り粉をコアビット25内から排出した。これに加えて、コアビット25のセンタノズルにおいて付着した切り粉を吹き飛ばすエア噴射部を設けてもよい。
【0035】
例えば、
図10に示すように、センタノズル61は、段付きの支持部62と、ドリル刃部37とを有する。そして、支持部62の大径部にノズル63を設ける。このノズル63の先端をドリル刃部37の先端に向ける。更に、支持部62は、取付板32を介して第3チップ部60に固定される。取付板32の中心には、ノズル63に空気を供給する取付部材64が設けられている。この取付部材64には、空気供給装置に接続されるホース65が接続されている。そして、センタノズル61のドリル刃部37によって穿孔している際には、空気供給装置から、ホース65、取付部材64、支持部62及びノズル63を介してドリル刃部37の先端に空気が噴射される。これにより、ドリル刃部37に付着する切り粉を吹き飛ばしながら穿孔することができる。
【0036】
・上記実施形態では、ガイド溝Gt1を形成する第1チップ部30と、ガイド溝Gt1に配置されて穿孔を行なう第2チップ部40とを、コアビット25に交換して設けた。第1チップ部30を取り付けた第1コアビットを備える第1コアドリルと、第2チップ部40を取り付けた第2コアビットを備える第2コアドリルとをそれぞれ別体で構成してもよい。この場合には、ガイド溝に第2コアドリルの第2チップ部を配置するために、第1コアドリルと第2コアドリルとを移動させる更に移動機構を設ける。そして、第1コアドリルによるガイド溝の形成後、移動機構により第1及び第2コアドリルを移動させる。次に、この移動機構を用いて、第2コアドリルの第2チップ部をガイド溝に配置した後、第2コアドリルを稼働させて穿孔する。従って、第2コアドリルによる穿孔時に、第1コアドリルで他の場所のガイド溝を形成することができるので、連続的に孔を形成することができる。
【0037】
・上記実施形態では、第2チップ部40は、ガイド溝Gt1を形成する第1チップ部30の取付板32及びセンタドリル35を除いた形状と同じ形状で構成する。穿孔を行なう第2チップ部40のチップ31は、ガイド溝Gt1に配置可能な形状であれば、第1チップ部30のチップ31と同じ形状でなくてもよい。例えば、第1チップ部30のチップ31と同じ径であるが、細い刃厚を有するチップであってもよい。
【0038】
・上記実施形態では、コンクリート部材10の上方にコアドリル20を配置し、コンクリート部材10の上面から孔を形成した。コアドリルを用いた穿孔は、上面から貫通孔を形成する場合に限られず、例えば、コンクリートの側面から、水平方向に向けて貫通孔を形成してもよい。
【0039】
・上記実施形態では、コンクリート部材10を長尺のコアビット25を用いて穿孔する。穿孔を行なう穿孔対象物は、コンクリート部材10に限られず、例えば、金属ブロック等、他の硬い材料を、長尺のコアビットを用いて穿孔する場合に用いることができる。
【0040】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記第2コアビットは、前記第1コアビットのチップと同じ形状及び大きさのチップを有し、前記ガイド溝と同じ口径の穿孔を行なうことを特徴とする請求項2~5の何れか1項に記載の穿孔装置。
【0041】
(b)前記第1コアビット及び前記第2コアビットは、長さの異なる複数の刃部を径方向に有したビットを備えていることを特徴とする請求項2~5の何れか1項又は前記(a)に記載の穿孔装置。
【符号の説明】
【0042】
C1…中心軸、D1…直径、L1,DL1,h1…長さ、Gh1…孔、Gt1…ガイド溝、10…コンクリート部材、15,32…取付板、20…コアドリル、21…ポールベース、22…ポール、23…ドリルヘッド、23s…スライドブロック、25…コアビット、25a…取付部、25t…筒状部、30…第1チップ部、31…チップ、32h,57h…排出孔、35,55…センタドリル、36,62…支持部、36h…貫通孔、37,57…ドリル刃部、37g…溝、40…第2チップ部、60…第3チップ部、61…センタノズル、63…ノズル、64…取付部材、65…ホース。