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特開2023-18530測設点編集方法、測設点編集装置及び測設点編集プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018530
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】測設点編集方法、測設点編集装置及び測設点編集プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
G01C15/00 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122724
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮介
(72)【発明者】
【氏名】一里山 海洋
(57)【要約】
【課題】効率良く適切な測設を可能とする測設点編集方法、測設点編集装置及び測設点編集プログラムを提供すること。
【解決手段】表示部により、複数の第一測設点を含む設計データを表示させる工程と、入力部により、設計データから任意の範囲の前記第一測設点を選択する選択指示と、選択された前記第一測設点間に追加する第二測設点の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付ける工程と、選択指示で選択された前記第一測設点間に前記配置間隔指示で指定された前記配置間隔で前記第二測設点を配置して編集データを作成する工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部及び入力部を含む測設点編集装置における測設点編集方法であって、
前記表示部により、複数の第一測設点を含む設計データを表示させる工程と、
前記入力部により、前記設計データから任意の範囲の前記第一測設点を選択する選択指示と、選択された前記第一測設点間に追加する第二測設点の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付ける工程と、
前記選択指示で選択された前記第一測設点間に前記配置間隔指示で指定された前記配置間隔で前記第二測設点を配置して編集データを作成する工程と、
を含む測設点編集方法。
【請求項2】
複数の前記第一測設点は、始点及び終点を含み、
前記編集データを作成する工程において、前記第二測設点は、前記始点側の前記第一測設点から指定された前記配置間隔で配置される、
請求項1に記載の測設点編集方法。
【請求項3】
前記編集データを作成する工程において、前記第二測設点は、隣接する前記第一測設点間の区間において、前記区間の距離を前記配置間隔で除した商の数配置される請求項2に記載の測設点編集方法。
【請求項4】
前記設計データは、路線データであり、
前記配置間隔指示は、前記路線データの中心線における線路長に対して行われ、
前記第一測設点は路線杭の測設点であり、
前記第二測設点はプラス杭の測設点である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測設点編集方法。
【請求項5】
前記第一測設点は、役杭の測設点を含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の測設点編集方法。
【請求項6】
複数の第一測設点を含む設計データを表示可能な表示部と、
前記設計データから任意の範囲の前記第一測設点を選択する選択指示と、選択された前記第一測設点間に追加する第二測設点の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付ける入力部と、
前記選択指示で選択された前記第一測設点間に前記配置間隔指示で指定した前記配置間隔で前記第二測設点を配置して編集データを作成する制御部と、
を備える測設点編集装置。
【請求項7】
測設点編集プログラムであって、
表示部により複数の第一測設点を含む設計データを表示させる工程と、
入力部により、前記設計データから任意の範囲の前記第一測設点を選択する選択指示と、選択された前記第一測設点間に追加する第二測設点の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付ける工程と、
前記選択指示で選択された前記第一測設点間に前記配置間隔指示で指定された前記配置間隔で前記第二測設点を配置して編集データを作成する工程と、
をコンピュータに実行させるための測設点編集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測設点編集方法、測設点編集装置及び測設点編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め設定された測設点の位置に杭が測設されるように、杭打ちを行う作業者を誘導する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、概観画像を撮影したカメラ位置、測量機の位置、測設点・側点の位置等の相互の位置関係を平面内の位置として表示し、測設点に対するターゲットの位置を、作業者に平面図等を用いて視覚的、空間的に把握させる測量システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-85551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、設計データを用いて測設を実施する場合、現場の状況等に応じて測設点を変更する等の柔軟な対応が難しく、例えば設計データを再編集してから再度測設を実施する方法では作業効率が低下する。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、効率良く適切な測設を可能とする測設点編集方法、測設点編集装置及び測設点編集プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明に係る測設点編集方法は、表示部及び入力部を含む測設点編集装置における測設点編集方法であって、前記表示部により、複数の第一測設点を含む設計データを表示させる工程と、前記入力部により、前記設計データから任意の範囲の前記第一測設点を選択する選択指示と、選択された前記第一測設点間に追加する第二測設点の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付ける工程と、前記選択指示で選択された前記第一測設点間に前記配置間隔指示で指定された前記配置間隔で前記第二測設点を配置して編集データを作成する工程と、を含む。
【0007】
また上述の測設点編集方法として、複数の前記第一測設点は、始点及び終点を含み、前記編集データを作成する工程において、前記第二測設点は、前記始点側の前記第一測設点から指定された前記配置間隔で配置されてもよい。
【0008】
また上述の測設点編集方法として、前記編集データを作成する工程において、前記第二測設点は、隣接する前記第一測設点間の区間において、前記区間の距離を前記配置間隔で除した商の数配置される構成としてもよい。
【0009】
また上述の測設点編集方法として、前記設計データは、路線データであり、前記配置間隔指示は、前記路線データの中心線における線路長に対して行われ、前記第一測設点は路線杭の測設点であり、前記第二測設点はプラス杭の測設点であってもよい。
【0010】
また上述の測設点編集方法として、前記第一測設点は、役杭の測設点を含んでもよい。
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明に係る測設点編集装置は、複数の第一測設点を含む設計データを表示可能な表示部と、前記設計データから任意の範囲の前記第一測設点を選択する選択指示と、選択された前記第一測設点間に追加する第二測設点の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付ける入力部と、前記選択指示で選択された前記第一測設点間に前記配置間隔指示で指定した前記配置間隔で前記第二測設点を配置して編集データを作成する制御部と、を備える。
【0012】
上記した目的を達成するために、本発明に係る測設点編集プログラムは、測設点編集プログラムであって、表示部により複数の第一測設点を含む設計データを表示させる工程と、入力部により、前記設計データから任意の範囲の前記第一測設点を選択する選択指示と、選択された前記第一測設点間に追加する第二測設点の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付ける工程と、前記選択指示で選択された前記第一測設点間に前記配置間隔指示で指定された前記配置間隔で前記第二測設点を配置して編集データを作成する工程と、をコンピュータに実行させるため。
【発明の効果】
【0013】
上記手段を用いる本発明に係る測設点編集方法、測設点編集装置及び測設点編集プログラムによれば、効率良く適切な測設を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る測設支援システムの全体構成図である。
図2】測設支援システムにおける測量装置及び端末の制御ブロック図である。
図3】測設点編集の処理工程を含む測設支援システムの制御フローチャートである。
図4】測設路線設定画面を示す図である。
図5】プラス杭設定画面を示す図である。
図6】測設点表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る測設支援システム1の全体構成図である。また、図2は、測量装置2及び端末4の制御ブロック図である。なお、本実施形態の説明において、各装置や配置関係は、模式的に示しており、説明の便宜上実際の縮尺と異なって示している。
【0017】
測設支援システム1は、測量装置2と、測定対象(又はターゲット)であるプリズム31と、測設点編集装置である端末4とを含む。測量装置2は、例えば、トータルステーションであり、三脚等の脚部23に設置され、プリズム31までの角度と距離とを測定して測量を行うことができる。測量装置2は、上記脚部23に着脱可能であって整準を行う整準部(詳細な構成は不図示)と、整準部によって整準されて鉛直軸周りに回動可能に設けられた本体部21と、本体部21に水平軸周りに回動可能に設けられた望遠鏡部22とを備える。従って、望遠鏡部22は整準部に対して水平軸及び鉛直軸周りに対して回動可能に設けられる。整準は整準部を調整して作業者(又は操作者)による手作業で行ってもよいし、自動整準であってもよい。また、測量装置2は、測量装置2を制御するためのコンピュータ(不図示)を備える。
【0018】
図2は、測量装置2及び端末4の制御ブロック図である。まず測量装置2の構成として示す通信部201は、端末4等の外部機器と通信可能に構成され、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。なお、通信部201は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。
【0019】
記憶部202は、追尾プログラムや測量プログラム等の各種プログラム、測量データ、GPS時刻、測量装置2の大きさ(高さ、幅、奥行き等)、追尾光送受光部208が撮像した画像等の各種データを記憶可能に構成される。
【0020】
表示部203は、追尾光送受光部208が受光して撮像した画像等を表示することができ、例えば本体部21の後方部に設けられる。操作部204は、各種の動作指示や設定を入力可能な操作手段である。例えば、動作指示として、電源のオン、オフの切替、測量を開始するトリガ、測量モードの切替、測量周期の設定等を含むことができる。また操作部204は、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでもよい。表示部203がタッチパネルである場合は、表示部203と操作部204とは一体に形成されていてもよい。
【0021】
水平回動駆動部205は、測量装置2の本体部21を鉛直軸周りの水平方向に回動可能に制御する。鉛直回動駆動部206は、望遠鏡部22を水平軸周りの鉛直方向に回動可能に制御する。
【0022】
測距部207は、測距光を出射する送光部と、送光部からの測距光が照射されてプリズム31により反射された反射光を受光する受光部とを含む。測距部207は、例えば、パルスレーザ光である測距光を出射すると共にプリズム31により反射された反射光を受光することで測量装置2からプリズム31までの距離(斜距離)を測定する。なお、測距方式はこのようなパルス方式に限られず、例えばレーザ光の波の数に基づき測距するいわゆる位相差方式等の周知の方式を適用することも可能である。
【0023】
追尾光送受光部208は、プリズム31に向けて追尾光を照射可能な光源(送光部)を有する。また、追尾光送受光部208は、プリズム31により反射された追尾光の一部を受光し、例えば電気信号に変換するイメージセンサ(CCDセンサやCMOSセンサ等)等の受光素子(受光部)を有する。追尾光送受光部208は、広がり角を有する追尾光を照射する。従って、追尾光は、測量装置2からの距離が遠くなるほど追尾光照射範囲の空間領域が広がる特性を持っている。制御部211は、追尾光送受光部208が送光した追尾光を追尾光送受光部208が受光し続けるように水平回動駆動部205及び鉛直回動駆動部206を制御することで、プリズム31の追尾機能を制御することができる。
【0024】
また、測量装置2は、本体部21の水平方向の回動角(即ち鉛直軸周りの回転角)を検出する水平角検出部209(水平エンコーダ)と、望遠鏡部22の鉛直方向の回動角(即ち水平軸周りの回転角)を検出する鉛直角検出部210(鉛直エンコーダ)が設けられている。望遠鏡部22は、プリズム31を視準可能な光学系を含む望遠鏡を内部に有する。望遠鏡部22は、測距光学系を含む測距部207を内蔵しており、この測距部207の測距光学系の光路の一部は望遠鏡の光学系の一部と共有されている。前述の測距部207又は追尾光送受光部208から出射された光は、望遠鏡の視準軸と同軸に導光されて出射される。また、プリズム31により反射されて外部から受光した光は、望遠鏡の視準軸に沿って導光され、測距部207又は追尾光送受光部208により受光される。
【0025】
また、制御部211は、水平角検出部209及び鉛直角検出部210により検出された角度(水平角及び鉛直角)、測距部207により測定された距離(斜距離)、追尾光送受光部208により撮像された画像、等の各種情報の取得、記憶、演算等を行い、例えば表示部203にその取得結果、演算結果を表示する。また、制御部211は、操作部204に対する操作に応じて、又は演算結果に応じて、各部の駆動制御等を行う。
【0026】
図1に示すプリズム31は、例えばピンポール3の適宜の高さの位置に設けられたコーナーキューブプリズムである。従って、プリズム31は、再帰反射特性を有し、測量装置2からの光を入射方向とは反対方向の測量装置2の方向に反射することができる。なお、プリズム31は、その他の再帰反射部材を用いてもよいし、再帰反射部材に限らず、測量装置2から照射された光を反射して測量装置2に反射光を検出させることが可能な程度の強度で反射可能なその他の反射部材(例えば、反射シート、ターゲット板又は壁等)であってもよい。
【0027】
端末4は、測設を行う作業者に測設点の位置を知らせる等の測設支援機能を有する。端末4として、例えば、作業者が携帯可能な携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の機器を用いることができる。図2に示すように、端末4は、制御部41、通信部42、操作部43(入力部)、表示部44及び記憶部45を有する。また、端末4は、端末4の動作を制御するためのコンピュータ(不図示)を備える。通信部42は、測量装置2等の外部機器と通信可能に構成され、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。なお、通信部42は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。
【0028】
操作部43は、端末4に各種の指示や設定を入力可能な操作手段である。また表示部44は、液晶ディスプレイ等により形成される。なお表示部44がタッチパネルである場合は、操作部43と表示部44とは一体に形成され、操作部43は感圧式や静電式等の方式により作業者からの入力操作を受け付けることができる。また、表示部44には、測設支援プログラムの測設点表示画面54を表示することができる(図1等参照)。
【0029】
記憶部45は、設計データ451、編集データ452、測設支援プログラム453、及び測設点編集プログラム454等の情報を記憶する。設計データ451は、例えば、端末4とは別途の装置(又は機器)等を用いてCADにより予め作成された路線データ6(図1参照)である。編集データ452は、設計データ451に対して後述する第二測設点64を追加して編集して得た路線データ6'(図6参照)である。また、本実施形態の測設点編集プログラム454は、測設支援プログラム453の一部に含まれるように構成されていてもよいし、測設支援プログラム453とは別途に構成されてもよい。測設支援プログラム453及び測設点編集プログラム454は、例えば端末4が有するコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体(又は記憶装置)に記憶することができる。
【0030】
端末4は、表示部44に測設点表示画面54を表示して、測設点表示画面54に含まれる路線データ6,6'の測設点に作業者を誘導することができる。
【0031】
次に、端末4が測設支援プログラム453を実行した場合の各処理工程の例について図3等を参照しながら説明する。まず作業者(又は使用者)の操作部43からの入力操作により、制御部41は、測設支援プログラム453を起動する。ステップS01で、制御部41は、作業者の操作部43による入力操作により、測設に使用する設計データ451を選択し読み出す。なお、設計データ451は、外部装置や記録媒体から予め取得して記憶部45に記憶しておいてもよいし、ステップS01の処理で設計データ451の選択指示に基づいて外部装置や記録媒体から都度取得して記憶部45に記憶してもよい。
【0032】
図4に示す測設路線設定画面51は、測設路線を設定する設定画面である。「路線」は、ステップS01の処理において設計データ451を選択する設定項目である。選択された設計データ451の例として図1に示す路線データ6は、直線部61と曲線部62とを有している。路線データ6は、例えば、予め設計データ451の作成の際に配置された第一測設点63として、路線杭631(又はナンバー杭ともいい、以下杭ナンバーに対応する添え字nを用いて路線杭631と表記する場合がある)を有する。また、第一測設点63は、路線杭631に中心杭632と、左右の幅杭633とを含む。図1に示す路線データ6では、左右の幅杭633は、それぞれ二箇所ずつに設けられる。
【0033】
その他の設定項目について、「標準断面選択」は、予め設定登録された断面データ(例えば横断面のデータ)を選択する設定項目である。断面データの設定は予め記憶部45に記憶させておくことができる。「始点杭」は、路線杭631の始点を設定する設定項目であり、「終点杭」は、路線杭631の終点を設定する設定項目である。始点杭には、例えば「No.0」の杭ナンバーが割り当てられる。また、終点杭には、路線杭631の最終ナンバーが割り当てられ、例えば「No.20」の杭ナンバーが割り当てられる。
【0034】
「幅杭」は、路線測設において幅杭633を測設点として設定するか否か、及び、幅杭633を測設点として配置する場合は幅杭633の中心杭632に対するオフセット距離について設定可能な設定項目である。「プラス杭」は、第一測設点63間(例えば、路線杭631間)に第二測設点64としてプラス杭641を追加するか否か、及び、第二測設点64を追加する場合の路線方向D1の区間や追加する第二測設点64の間隔(ピッチ)等を設定する設定項目である。「誘導方向」は、測設作業を行う際に、測設の順を設定する設定項目である。「誘導方向」としては、「横断方向」や「縦断方向」を設定することができる。
【0035】
ステップS02において、操作部43からの作業者の入力操作により、制御部41は、端末4と通信接続を行う器械を選択する。通信接続を行う器械としては、例えば図1に示した測量装置2が選択される。また、通信接続可能な測量装置2が複数ある場合、制御部41は、例えば一つの測量装置2を選択することができる。
【0036】
ステップS03では測量装置2の器械設置を行う。制御部41は、操作部43からの作業者の入力操作により、交会法(例えば後方交会法)や後視点(既知点)等の設定から器械設置方法の選択を受け付ける。制御部41は、選択された器械設置方法で測量装置2の器械点を特定するように測量装置2に対して制御指示を送信する。測量装置2の制御部211は、端末4により選択された器械設置方法で器械点を求めると、端末4に器械点の情報を送信する。制御部41は、測量装置2の器械点の情報を取得し、記憶部45に記憶する。
【0037】
ステップS04において、制御部41は、操作部43からの作業者の入力操作により、操作部43から幅杭の設定指示を受け付けて、ステップS01で選択した路線データ6に幅杭633を設定する。幅杭633の設定は、測設路線設定画面51(図4参照)の「幅杭」から設定することができる。なお、図1の路線データ6に示すように幅杭633が予め設定されている場合や、幅杭633の測設を行わない場合は、ステップS04の設定を省略してもよい。
【0038】
ステップS05において、制御部41は、操作部43からの作業者の入力操作により、第二測設点64としてプラス杭641の設定指示を受け付けて、ステップS01選択した路線データ6に対してプラス杭641の追加処理を行う。プラス杭641の設定は、測設路線設定画面51(図4参照)の「プラス杭」から行うことができる。制御部41は、操作部43により「プラス杭」の選択指示を受け付けると、端末4の表示部44に表示する画面を図5のプラス杭設定画面におけるメイン設定画面52に表示を遷移させる。
【0039】
メイン設定画面52において、「入力方法」は、プラス杭641を配置する路線方向D1の数を設定することができる。「入力方法」の選択可能な項目としては、例えば、「単一」又は「連続」を設定することができる。「単一」を選択した場合は、メイン設定画面52の「路線杭」で選択する路線杭631に対してプラス杭641が一つ設定される。また、「連続」を選択した場合は、「路線杭」で選択した路線杭631にプラス杭641が複数設定される。図5の例では、「連続」が選択されている。なお、「入力方法」の選択肢として、追加したいプラス杭641の数を入力する構成としてもよい。
【0040】
「路線杭」は、プラス杭641を編集(ここでは追加)する路線杭631を設定する設定項目である。また、「プラス距離」は、後述の詳細設定画面53において設定される「ピッチ」の値が表示される。制御部41は、操作部43から「路線杭」の選択指示を受け付けると、端末4の表示部44に表示する画面をプラス杭設定画面における詳細設定画面53に表示を遷移させる。
【0041】
詳細設定画面53において、「始点」及び「終点」は、ぞれぞれ、プラス杭641を追加する路線杭631の範囲を設定する設定項目である。「始点」及び「終点」は、路線データ6の路線杭631から選択することができる。制御部41は、表示部44に表示された路線データ6に含まれる複数の路線杭631(第一測設点63)から、「始点」及び「終点」の路線杭631を任意に選択する。例えば、「始点」として「No.4」の路線杭631が選択され、「終点」として「No.5」の路線杭631が選択される(図6のA部拡大図の区間D参照)。
【0042】
なお、プラス杭641を設置する区間を指定する「始点」の路線杭631と「終点」の路線杭631とは、互いに隣接していてもよいし隣接してなくてもよい。
【0043】
また、詳細設定画面53の「ピッチ」は、選択した路線杭631の始点及び終点の区間に配置するプラス杭641の配置間隔を設定する項目である。
【0044】
制御部41は、操作部43により表示部44に表示された設計データ451である路線データ6から任意の範囲の第一測設点63(本実施形態では路線杭631の測設点)を選択する選択指示と、選択された第一測設点63間に追加する第二測設点64(本実施形態ではプラス杭641)の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付ける。配置間隔指示は、中心線における路線長に対して行われる。
【0045】
そして、制御部41は、上記選択指示で選択された第一測設点63間に、上記配置間隔指示で指定された配置間隔(ピッチ)で第二測設点64を配置して編集データ452を作成する。このとき、第二測設点64は、始点側の第一測設点である路線杭631から指定された間隔で配置される。
【0046】
例えば図6の路線データ6'において、直線部61におけるA部拡大図に示すように、「No.4」の路線杭631と、「No.5」の路線杭631との間にプラス杭641を配置する場合は、「No.4」の路線杭631側からプラス杭641が配置され、新たに配置されるプラス杭641と、始点側の隣接する路線杭631又は直前に配置されたプラス杭641との配置間隔は、詳細設定画面53の「ピッチ」で設定した配置間隔(例えば、「5m」)に設定される。なお、本実施形態では、路線杭631間の距離は「20m」であるため、プラス杭641は路線方向D1には3箇所に追加され、プラス杭641と、始点側及び終点側の隣接する路線杭631との各間隔は、路線方向D1にそれぞれ4mの等間隔に設定される。
【0047】
また、例えば曲線部62におけるB図拡大図に示すように、「No.17」の路線杭63117と、「No.18」の路線杭63118との間にプラス杭641を配置する場合は、「No.17」の路線杭63117側からプラス杭641が配置される。詳細設定画面53の「ピッチ」で設定した配置間隔が「6m」である場合、路線杭631「20m」に対してプラス杭641の配置間隔で割り切れないが、その場合、始点側の路線杭631から順にプラス杭641を配置して、終点側の隣接する路線杭631との残りの間隔がプラス杭641の配置間隔以下であった場合、制御部41は、その区間Dのプラス杭641を追加する処理を終了する。即ち、編集データ452を作成する工程において、第二測設点64(プラス杭641の測設点)は、隣接する路線杭631間の区間Dにおいて、区間Dの距離を配置間隔で除した商の数だけ配置される。
【0048】
なお、「始点」及び「終点」として選択された第一測設点63(本実施形態では路線杭631)が複数の区間に亘る場合、プラス杭641の配置は隣接する路線杭631の区間毎に行われる。また、ステップS05のプラス杭641の設定(ステップS04の幅杭633の設定やその他の処理を含んでもよい)は、前述の測設点編集プログラム454により実行される。
【0049】
また、プラス杭641は、路線データ6の中心杭632の路線方向D1だけでなく、横断方向に配置された各幅杭633測設点に対応して路線方向D1(縦断方向)に複数配置される。図1及び図6に示すように路線データ6,6'に幅杭633が含まれる場合、プラス杭641は幅杭633の路線方向D1に対しても追加される。
【0050】
プラス杭641を設定する処理が終了すると、制御部41は、設計データ451に対してプラス杭641が追加された路線データ6'を、編集データ452として記憶部45に記憶する。このプラス杭641を含む編集データ452は、測設の作業工程において一時的に使用されるデータとして用いることができる。従って、作業者は、現場の測設地点の地形等の状況に応じて簡易な操作で第二測設点64を自動的に追加し、路線外形等を容易に把握することができる。
【0051】
編集データ452が作成されると、作業者は、編集データ452に設定された測設点(路線杭631、プラス杭641の他、役杭、中心杭、幅杭等の測設点を含めてもよい)に対し、測設を行うことができる。
【0052】
ステップS06において、制御部41は、操作部43から作業者の入力操作を受けて、路線測設の測設支援を行う。制御部41は、表示部44に、第二測設点64を含む編集後の路線データ6'を表示させ、路線データ6'の始点側の第一測設点63又は第二測設点64(例えば、杭ナンバーの小さい路線杭631の測設点)から順に、プリズム31の誘導を行う。制御部41は、現在のプリズム31と誘導対象の測設点(第一測設点63又は第二測設点64)とを表示部44に表示するとともに、プリズム31から誘導対象の測設点までの距離を表示する。これにより、作業者は、表示部44を確認しながらプリズム31を誘導対象の測設点まで容易に移動することができる。
【0053】
誘導対象の測設点に測設を行った作業者が操作部43により測設完了指示を入力すると、制御部41は、誘導対象を次の未測設の測設点に切り替えてプリズム31を誘導させる。なお、測設済みの測設点と、未測設の測設点とは、色分けする等して(例えば、測設済みの測設点を緑色の点で表示し、未測設の測設点を赤色の点で表示する等して)視認性を向上させることができる。制御部41は、路線データ6'に含まれる始点側から終点側までの測設点に対して上記処理を繰り返し、作業者が操作部43から全ての測設対象の測設点について測設完了指示を入力すると、路線データ6'に対する測設支援処理を終了する。なお、制御部41は、作業者が操作部43から測設作業を中断又は終了させる旨の指示を入力した場合でも、路線データ6'の測設支援処理を終了させてもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態では、表示部44により複数の第一測設点63を含む設計データ451を表示させ、入力部(操作部43)により設計データ451から任意の範囲の第一測設点63を選択する選択指示と、選択された第一測設点63間に追加する第二測設点64の配置間隔を指定する配置間隔指示とを受け付け、選択指示で選択された第一測設点63間に配置間隔指示で指定された配置間隔で第二測設点64を配置して編集データ452を作成する、構成を含む測設点編集方法、測設点編集装置及び測設点変種プログラムについて説明した。このような構成により、例えば、設計データ451の全体を編集し直す等の大幅な修正作業を行うことなく、路線測設の曲線部等の必要な個所において簡易な操作で適切な間隔により測設点を設定する柔軟な対応が可能となる。従って、効率良く適切な測設を行うことができる。
【0055】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0056】
例えば、本実施形態では、路線杭631を選択する選択指示と、選択された路線杭631間に追加するプラス杭641の配置間隔を指定する配置間隔指示とを操作部43により受け付ける構成について説明したが、外部から上記選択指示及び配置間隔指示の情報を受信して設定したり、予め設定された選択指示及び配置間隔指示を含むプロファイルを読み出して設定する等、その他の入力部から設定を受け付ける構成としてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、第二測設点64は、路線杭631を基準に配置する例について説明したが、路線杭以外のその他の杭を第一測設点63として基準に配置してもよい。例えば、制御部41は、ステップS05の選択指示において選択可能な第一測設点63として、任意の役杭の測設点(曲線部の始点及び終点等)を含めてもよい。
【0058】
また、端末4を例に説明した測設点編集装置は、操作部43と表示部44とを一体装置に設けた例について説明したが、これに限らず測設点編集装置は複数の装置により別体に構成してもよい。即ち、操作部43及び表示部44の機能を含む構成を測設点編集装置とすることができる。
【0059】
また、本実施形態の測設支援システム1では、測量装置2としてトータルステーションを用いた例について説明したが、測量装置2としてGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信装置を用いてもよい。この場合、作業者はGNSS受信装置を移動させて測設点を確認することができる。
【0060】
また、本実施形態で説明したステップS01~S06の処理は、制御部41により複数の工程を纏めて自動的に処理させてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 測設支援システム
2 測量装置
3 ピンポール
4 端末
6 路線データ
6' 路線データ
21 本体部
22 望遠鏡部
23 脚部
31 プリズム
41 制御部
42 通信部
43 操作部
44 表示部
45 記憶部
51 測設路線設定画面
52 メイン設定画面
53 詳細設定画面
54 測設点表示画面
61 直線部
62 曲線部
63 第一測設点
64 第二測設点
201 通信部
202 記憶部
203 表示部
204 操作部
205 水平回動駆動部
206 鉛直回動駆動部
207 測距部
208 追尾光送受光部
209 水平角検出部
210 鉛直角検出部
211 制御部
451 設計データ
452 編集データ
453 測設支援プログラム
454 測設点編集プログラム
631 路線杭
631 路線杭
632 中心杭
633 幅杭
641 プラス杭
631 路線杭
631 路線杭
63117 路線杭
63118 路線杭
D1 路線方向
区間
区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6