IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローレルバンクマシン株式会社の特許一覧 ▶ ローレル機械株式会社の特許一覧 ▶ ローレル精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-硬貨処理装置 図1
  • 特開-硬貨処理装置 図2
  • 特開-硬貨処理装置 図3
  • 特開-硬貨処理装置 図4
  • 特開-硬貨処理装置 図5
  • 特開-硬貨処理装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018564
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 3/00 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
G07D3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122778
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 誠
(72)【発明者】
【氏名】池本 保則
(72)【発明者】
【氏名】増田 隆宏
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA04
3E141HA05
3E141JA10
3E141JA14
3E141LA58
(57)【要約】
【課題】本発明は、硬貨の計数終了又は異常停止時において選別孔を閉じさせてセキュリティ面をより向上させた硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】硬貨処理装置1であって、投入された硬貨を識別計数する識別計数部45と、前記識別計数部45により硬貨を少なくとも二種に分けて、一の種類に分けた硬貨を落下させる選別孔71a,71bと、前記選別孔71a,71bに設けられ、当該選別孔71a,71bを開閉する開閉機構72a,72bと、計数開始時に前記開閉機構72a,72bにより前記選別孔71a,71bを開放させ、計数終了時に前記開閉機構72a,72bにより前記選別孔71a,71bを閉鎖する制御を行う制御部14とを備える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨処理装置であって、
投入された硬貨を識別計数する識別計数部と、
前記識別計数部により硬貨を少なくとも二種に分けて、一の種類に分けた硬貨を落下させる選別孔と、
前記選別孔に設けられ、当該選別孔を開閉する開閉機構と、
計数開始時に前記開閉機構により前記選別孔を開放させ、計数終了時に前記開閉機構により前記選別孔を閉鎖する制御を行う制御部とを備えた硬貨処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、硬貨の再投入または追加投入がされる場合、前記開閉機構により前記選別孔を開放させ、再計数または追加計数終了時に前記開閉機構により前記選別孔を再び閉鎖に制御することを特徴とする請求項1記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、異常検知に伴って前記開閉機構により前記選別孔を閉鎖に制御し、異常検知後の正常検知に伴って前記開閉機構により前記選別孔を開放可能に制御することを特徴とする請求項1または2記載のいずれか1項記載の硬貨処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的なATM(Automatic Teller Machine)においては、小口(小数枚数)の硬貨の入出金が可能である。他方で、利用者によっては、大量の硬貨を入金する場合があり、ATMとは別に、硬貨処理装置を横付けして、大量の硬貨の入金を可能とする運用がなされている。
【0003】
硬貨処理装置は、多種多様である。例えば、特許文献1に開示されている硬貨処理装置は、硬貨を金種別に小径順に選別して計数し、一時貯留した後、一時貯留した硬貨群を下方の金種別の収納箱に収納するものである。
【0004】
特許文献2に開示されている硬貨処理装置は、硬貨を任意の種類別に選別することが可能な選別機構を多数備える。そして、最初の硬貨が第1の選別機構に到達するまでの間に識別計数された硬貨の中で最も枚数の多い金種の硬貨が第1の金種と自動的に設定される。そして、第1の選別機構で選別し、以下、第2の金種の硬貨を第2の選別機構で選別するようにしたものである。
【0005】
特許文献3に開示されている硬貨処理装置は、硬貨を受け入れ可能か受入不可能かの二種に分け、受け入れ可能な硬貨については、さらに、金種混合状態で、複数の振分部の一つ一つに順に振り分けるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭55-092989号公報
【特許文献2】特開平04-293188号公報
【特許文献3】特許第4732121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、いずれの特許文献に開示されている硬貨処理装置は、硬貨が、選別機構の選別孔で下方に落下し、一時貯留部又は収納部に収納されるものであって、少なくとも、搬送される硬貨通路最後(硬貨の搬送される方向において最下流)の選別孔は、単なる孔(穴)である。このため、例えば、硬貨通路の上方に張設される搬送ベルトを退避させると、外部に、選別孔を介して一時貯留部又は収納部が露出していることになる。
【0008】
一般に硬貨処理装置にあっては、硬貨通路が設けられる硬貨計数機構部は、搬送ジャムなどの対応が容易に可能なように、上部カバーが開閉可能に設けられている。そのため、上部カバーを開放し、搬送ベルトを退避させることが行われる。そのためこの作業において、外部に、選別孔を介して一時貯留部又は収納部が露出すると、第三者が、選別孔から一時貯留部又は収納部に収納された硬貨を取り出し得ることができるようになる。また計数されていない硬貨が落下し、選別孔を介して一時貯留部又は収納部に収納されてしまうことがある。
【0009】
本発明は、硬貨の計数終了又は異常停止時において選別孔を閉じることができる硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点は、硬貨処理装置であって、投入された硬貨を識別計数する識別計数部と、識別計数部により硬貨を少なくとも二種に分けて、一の種類に分けた硬貨を落下させる選別孔と、選別孔に設けられ、当該選別孔を開閉する開閉機構と、計数開始時に開閉機構により選別孔を開放させ、計数終了時に開閉機構により選別孔を閉鎖する制御を行う制御部とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
計数終了時には選別孔が閉じられた状態になるので、収納された硬貨に対する計数結果の信頼性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態の硬貨処理装置の外観斜視図である。
図2】本実施の形態の硬貨処理装置の内部を真上から見た図である。
図3】本実施の形態の硬貨処理装置を右方向から見た構成図である。
図4】本実施の形態の図1の硬貨処理装置の断面A-Aである。
図5】本実施の形態の硬貨処理装置の硬貨を収納する構成を説明するための説明図である。
図6】本実施の形態の硬貨処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する本実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想(構造、配置)は、下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なる。また、既に公知な技術は説明を省略する。前後左右は、硬貨処理装置1の前(操作者が操作する場所から見て手前側)、硬貨処理装置1の後(操作者から見て奥側)および硬貨処理装置1の左右(操作者から見て左右)である。また、上下は前後、左右方向に垂直な方向をいうもので各図面に方向を座標で示す。
【0014】
硬貨処理装置1は、ATMを含む金融機関のシステムにおいて、ATMとは別に設けられる硬貨の大量入金を可能とする。硬貨処理装置1は、投入された硬貨を識別計数する識別計数部45と、識別計数部45により硬貨を少なくとも二種に分けて一の種類に分けた硬貨を落下させる選別孔71a,71b(図3)と、選別孔71a,71bに設けられ、選別孔71a,71bを開閉する開閉機構72a,72b(図3)とを備え、計数開始時に開閉機構72a,72bにより選別孔71a,71bを開放させ、計数終了時に開閉機構72a,72bにより選別孔71a,71bを閉鎖する。
【0015】
<硬貨処理装置1の具体的構成>
硬貨処理装置1(図1)は、上部カバー2を備え、上部カバー2は装置後方の幅方向に軸線を有する水平軸を起点として、装置前方部が上方に向けて旋回開放可能に支持されている。上部カバー2の上面には、開閉装置であるシャッタ2aが設けられている。なお、図2は上部カバー2を開いた場合の見える状態を示している。上部カバー2の開閉検知部(図示しない)は、装置前方部に、上部カバー2が旋回して下りて来た上部カバー2の一部を検出する構造となっている。
【0016】
台車3(図1)は、下部に設けられたキャスタ31を転動させることで、硬貨処理装置1に対し前面側に引き出される。さらに硬貨処理装置1から取り外されて運搬される一方、前面側から装填されることで硬貨処理装置1に装着されるようになっている。台車3には、図3に示すように、前後方向に並設して金庫12a,12bが設けられている。
【0017】
硬貨計数部4(図3図5)は、ホッパ41、回転円盤42、硬貨分離部43、硬貨通路44および識別計数部45を有する。ホッパ41は、シャッタ2aの直下に設けられ投入された硬貨を貯留する。回転円盤42は、ホッパ41の下側にその底部を形成するように設けられた水平旋回可能な円盤である。
【0018】
硬貨分離部43は、硬貨が一枚のみ通過可能な開口を有し回転円盤42の回転時の遠心力で硬貨を一枚ずつ硬貨通路44に繰り出す。硬貨通路44は、硬貨分離部43で一枚ずつ繰り出された硬貨を水平に搬送する通路で、周知のように、図示せぬ搬送ベルトが硬貨通路44に沿って吊架され、上方から硬貨を硬貨通路44に押し付けるように搬送ベルトが配設されている。識別計数部45(図3図5)は、硬貨通路44の上流側に設けられ、硬貨通路44で搬送中の硬貨の真偽及び金種を識別するとともに、それらの枚数を計数する。
【0019】
リジェクト部5は、硬貨計数部4の識別計数部45の計数結果に基づいて真貨以外のもの(以下、リジェクト硬貨と称する)をリジェクトボックス6に収納する。リジェクト部5は、リジェクト孔51と、リジェクト孔51に硬貨を落下させるためのリジェクト部材52と、上流側の硬貨センサ53を有している。硬貨センサ53は、リジェクト部材52の開閉タイミングを制御するために用いられる。リジェクトボックス6は、リジェクト部5で硬貨通路44から排除されたリジェクト硬貨を収納する着脱自在なボックスである。
【0020】
振分部7a及び7b(図3図5)は、硬貨通路44におけるリジェクト部5の下流側に配置される。振分部7a及び7b(以下、個々に区別する必要がない場合、単に、振分部7と称する。他の場合も同様である)は、識別計数部45の計数結果に基づいて真の硬貨であって受け入れ可能と識別及び計数された硬貨を、一時貯留部8aまたは一時貯留部8bに振り分ける機構を有している。
【0021】
振分部7a及び振分部7bのそれぞれは、取り扱う最大径の硬貨(日本国内では500円硬貨)を落下可能な選別孔71a及び選別孔71bを有している。振分部7a及び振分部7bには、選別孔71a及び選別孔71bを個別に開閉可能な開閉機構(シャッタ)72aおよび開閉機構(シャッタ)72bが設けられている(図3)。
【0022】
開閉機構72a,72bは、例えばソレノイドを利用したものである。ソレノイドは電流を流すことによって、コイル内に磁界をつくる筒形コイルをいう。ソレノイドに係る直動アクチュエータは、パワー源から送られた直流によってコイルが励磁され、可動型の鉄心に、電磁力で応答の早い微小な直進運動を行わせるものである。ソレノイドを利用した開閉機構72a,72bは、可動型の鉄心に直結した開閉機構72a,72bによって開閉を高速で行われる。なお開閉機構72a,72bは、ソレノイドコイルを利用するものの他、カム機構を利用するなど他の方法でもよい。
【0023】
一時貯留部8aは、平面視で四角状の枠体であり、振分部7aの下方に設けられている。一時貯留部8bは、平面視で四角状の枠体であり、振分部7bの下方に設けられている。振分部7aの開閉機構72aにより選別孔71aが開かれることで、選別孔71aに到達した硬貨は選別孔71aから一時貯留部8aに落下する。振分部7aの開閉機構72aにより振分部7aが閉じられると、硬貨は選別孔71bに到達し、選別孔71bが開状態の場合、硬貨は、選別孔71bから一時貯留部8bに落下する。
【0024】
一時貯留部8a,8bの底は、1枚の水平状の一時庫底板81で構成されている(図3図5)。
【0025】
一時貯留部8a,8bは、一体的に装置筐体の左右方向に水平移動可能に支持されている。一時庫底板81も、一時貯留部8a,8bとは独立して左右方向に水平移動可能に支持されている。一時貯留部8a,8b、一時庫底板81が水平移動することにより硬貨を所定の場所に収納することができる。
【0026】
ガイド11(図5)は、一時貯留部8a,8bと一時庫底板81が左側に水平移動した際に、そこに格納されている硬貨を、金庫12a,12bに受け渡すために案内するガイドである。なお、ガイド11を設けずに、金庫12a,12bの高さをガイド11分高くして一時貯留部8a,8bに格納されている硬貨が金庫12a,12bに受け渡されるようにすることもできる。
【0027】
金庫12a,12bは、一時貯留部8a,8bが装置筐体の左側部に沿って設けられた状態において、その下方に位置する場所に配置されている。
【0028】
金庫12a,12bは、硬貨処理装置1に対して着脱可能な台車3に置かれている。なお、硬貨処理装置1に対して出し入れ可能なスライドレールに支持された金庫キャリアによって支持されるようにもできる。
【0029】
金庫12a,12bは、その上部が開口を有する箱体であり、且つその上部開口には、開口を開閉するシャッタ部材(図示せず)が設けられる。シャッタ部材は、金庫12a,12bが装置本体内に位置しているときには、上部開口を開放して、上方からの硬貨の受け入れを可能とされている。
【0030】
金庫12a,12bのシャッタ部材は、金庫12a,12bが硬貨処理装置1内にある時に、回収指示を受けることで、それらの上部開口を閉じてロックされる。その後、装置筐体内から引き出すことができて、台車3ごと、または、スライドレールに支持された金庫キャリア上より、上部開口がシャッタ部材で閉じられた状態の金庫12a,12bを装置筐体外に引き出すことができるようになっている。
【0031】
金庫12a,12bは、硬貨処理装置1外にあるときには、専用のカギによって、シャッタまたは開放蓋(図示せず)を開いて、収納している硬貨を取り出すことができるようになっている。
【0032】
表示操作部13(図3)は、利用者への情報表示を行うとともに利用者による操作入力を受け付ける。制御部14は、各部を制御して、硬貨処理装置1における硬貨入金処理を実行する。
【0033】
<硬貨処理装置1の硬貨入金処理>
図6は、硬貨入金処理を説明するフローチャートである。利用者によりATMに対して大量硬貨入金のための操作がなされ、ATMから大量硬貨入金があることの指示を受けると、ステップS1において、硬貨処理装置1の制御部14は、シャッタ2aを開かせて硬貨を受け付ける。なお、ATMから大量硬貨入金の指示を受ける前を含め、この時点でも、硬貨通路44の選別孔71a,71bは開閉機構72a,72bによって閉じられた状態で待機している。
【0034】
また、利用者がATMに対して計数を開始するための操作を行うと、ステップS2において、制御部14は、シャッタ2aを閉じるとともに、識別計数処理を実行する。この時点、すなわち計数開始時点において、硬貨通路44の選別孔71a,71bは開閉機構72a,72bによって閉じられた状態から開いた状態に変更制御される(シャッタが開く)。なお、選別孔71a,71bの両方を同時に開いても良いし、いずれか一方のみを開くように制御しても良い。ここにおいて、識別計数処理が実行されると、回転する回転円盤42上の硬貨が1枚ずつに分離されて硬貨通路44の上方に配置された搬送ベルト(図示せず)に送られる。搬送ベルトによって、硬貨が硬貨通路44面に押し付けられながら、硬貨通路44を下流に向けて搬送される。シャッタ2aから投入された硬貨の識別および計数が開始される。
【0035】
このとき、上記した通り、制御部14は、開閉機構72a,72bを制御して選別孔71a,71bを開閉させ、識別計数部45の計数結果に基づいて真の硬貨であって、受け入れ可能と識別及び計数された硬貨の、一時貯留部8aまたは一時貯留部8bへの振り分けを行う。一時貯留部8aに硬貨を振り分ける場合、選別孔71aが開くように制御され、選別孔71aから硬貨が時貯留部8aに落下する。一時貯留部8bに硬貨を振り分ける場合、選別孔71aが閉じ、選別孔71bが開くように制御され、選別孔71bから硬貨が時貯留部8bに落下する。なお選別孔71bが開いていても、上流側の選別孔71aが開いていればそこから硬貨が落下するので、処理を簡単にするために、識別計数処理が開始されると、選別孔71bは開かれる。
【0036】
識別計数部45で真の硬貨と識別できなかった硬貨(リジェクト硬貨)がリジェクト部5の硬貨センサ53で検出されると、制御部14は、リジェクト部材52を開く制御を行う。その結果、硬貨センサ53で検出されたリジェクト硬貨は、リジェクト孔51を通って、リジェクトボックス6に収納される。なお、取り扱い対象となっていない記念硬貨や外国の真貨であっても、偽貨としてリジェクトボックス6に収納される。リジェクトボックス6への偽貨等排除がなされた場合には、ATMにおいてその旨が表示され、硬貨処理装置1の装置本体前面のLED(図示せず)での点灯・点滅がなされるので、利用者は偽貨等の排除物を確実に回収できる。
【0037】
ステップS3において、制御部14は、エラーが発生したか否かを判定する。例えば、上部カバー2が開かれた場合、計数停止ボタン(図示せず)が操作され計数停止が要求された場合、または電源系の異常(例えば、急な電源断状態)が発生した場合、エラーが発生したと判定される。
【0038】
ステップS3で、エラーが発生してないと判定した場合、制御部14は、ステップS4において、入金が完了した否かを判定する。回転円盤42上に硬貨が存在しないことが図示せぬセンサで検出され、かつ、最後に識別計数部45で正常に硬貨識別された硬貨が少なくとも最下流の選別孔72bに導かれるのに必要な時間が経過したとき、入金が完了した判定される。ステップS4で、入金が終了していないと判定した場合、制御部14は、ステップS3に戻り、それ以降の処理を同様に実行する。
【0039】
ステップS4で、入金が完了したと判定した場合、制御部14は、ステップS5において、識別計数処理を一旦停止(計数終了)させ、すなわち、回転円盤42の回転と搬送ベルト(図示せず)の駆動を停止させるとともに、硬貨通路44の選別孔71a,71bを開閉機構72a,72bによって閉じる(シャッタを閉める)。その上で、ステップS6において、制御部14は、再計数する硬貨があるか否かを判定する。ここで、再計数とは、リジェクト硬貨等の選別孔71a,71bへ導けなかった硬貨を含む。再計数する硬貨があると判定した場合、処理はステップS1に戻り、それ以降の処理が実行される。ステップS6で、再計数する硬貨が無いと判定した場合、制御部14は、開閉機構72a,72bを閉じたままで硬貨入金処理を終了する。ここにおいて、ステップS6の再計数の有無の判定に際しては、利用者に対する再計数を希望するか否かの照会を行いつつ、一定時間の間に再計数の希望が示されたときには、硬貨の再投入を可能とするべくシャッタ2aを開き(ステップS1)、他方、一定時間の間に再計数の希望が示されなかったときには、そのまま、硬貨入金処理を終了させたり、あるいは、利用者への再計数の希望の照会を行う代わりに、硬貨の再投入ないしは追加投入を可能とするべくシャッタ2aを開き、一定時間の間に、シャッタ2a・ホッパ41・回転円盤42内への硬貨の投入の有無を確認して、硬貨の投入があったときには再計数すべきものとしてステップ2へ戻り、硬貨の投入が確認できなかったときには再計数不要として、シャッタ2aを閉じたうえで硬貨入金処理を終了させるようにしても良い。
【0040】
他方、ステップS3で、エラーが発生したと判定した場合、制御部14は、ステップS7に進み、識別計数処理を一旦停止(計数終了)させ、識別計数部45の直前に設けられた硬貨搬送停止部(図示せず)を制御し、エラーが発生前の硬貨通路44上流の硬貨の搬送を阻止し、識別計数部45で正常に硬貨識別された硬貨に限り、選別孔71a,71bに導くようにした上で、制御部14は、また開閉機構72a,72bを制御して、選別孔71a,71bを閉じさせる(シャッタを閉める)。
【0041】
なおエラーが発生した際、選別孔71a,71b内に導いた硬貨の計数結果に異常があると認められると、選別した硬貨の返却と再計数が行われる。また選別孔71a,71b内に導いた硬貨の計数結果に異常が無いと認められる場合、選別した硬貨はそのままとされ、異常が発生したことについての確認だけが行われる。
【0042】
次に、ステップS8において、制御部14は、エラーが解消したか否かを判定し、エラーが解消したと判定した場合、ステップS2に戻り、識別計数処理を再開する。ステップS8でエラーが解消しないと判定した場合、制御部14は、硬貨入金処理を終了する。
【0043】
上述のように、硬貨処理装置1において、投入された硬貨を識別計数する識別計数部45と、識別計数部45により硬貨を少なくとも二種に分けて、一の種類に分けた硬貨を落下させる選別孔71a,71bと、当該選別孔71a,71bを開閉する開閉機構72a,72bとを備え、計数開始時に開閉機構72a,72bにより選別孔71a,71bが開放され(ステップS2)、計数終了時に開閉機構72a,72bにより選別孔71a,71bを閉鎖される(ステップS5,S7)。そのため、計数終了時には、選別孔71a,71bも閉じているので、外部に、選別孔71a,71bを介して一時貯留部8a,8bが露出しない。したがって計数終了時のタイミングにおいて、第三者が、選別孔71a,71bから一時貯留部8a,8bに収納された硬貨を取り出し得ることができない。また計数されていない硬貨が落下し、選別孔71a,71bを介して一時貯留部8a,8bに収納されてしまうことがない。すなわち計数結果に対する信頼性を保つことができる。
【0044】
また上述したように再計数または追加計数を開始可能とし、再計数または追加計数開始時に開閉機構により選別孔を開放させ(ステップS6YESの後のステップ2)、再計数または追加計数終了時に開閉機構72a,72bにより選別孔71a,71bを閉鎖することとしたので(ステップS6YESの後のステップ5またはその後)、当初の計数時と再計数または追加計数との間の時間帯であっても、選別孔71a,71bが開閉機構72a,72bによって閉鎖状態に維持されているので、計数結果に対する信頼性を保つことができる。
【0045】
異常検知に伴って開閉機構72a,72bにより選別孔71a,71bを閉鎖に制御し(ステップS7)、異常検知後の正常検知ないしはエラー解消検知に伴って開閉機構72a,72bにより選別孔71a,71bを開放可能に制御される(ステップS8YESの後のステップS2)。例えば搬送ジャムが発生した場合、上部カバーを開放し、搬送ベルトを退避させて処理を行うが、その際、図2に示すように、振分部7a、7b(具体的には選別孔71a、71b)が表に出る構成となっているが、開閉機構72a,72bにより選別孔71a,71bが閉じられているので、第三者が、選別孔71a,71bから一時貯留部8a,8bに収納された硬貨を取り出し得ることができない。また計数されていない硬貨が落下し、選別孔71a,71bを介して一時貯留部8a,8bに収納されてしまうことがない。すなわち計数結果に対する信頼性を保つことができる。
なお、本実施の形態においては、選別孔71a,71b、開閉機構72a,72b、一時貯留部8a,8b、金庫12a,12bを二個ずつ設けた構成で説明したが、これに限るものではなく、一個ずつでも、または三個ずつ以上であっても、含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 硬貨処理装置
2 上部カバー
3 台車
4 硬貨計数部
5 リジェクト部
6 リジェクトボックス
7 振分部
8 一時貯留部
9 シュート空間枠
11 ガイド
12 金庫
14 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6