(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018593
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】通信制御と映像表示が行える風力発電システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230201BHJP
F03D 17/00 20160101ALI20230201BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230201BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230201BHJP
G06Q 50/02 20120101ALI20230201BHJP
【FI】
G06Q50/10
F03D17/00
H02J3/38 160
H02J7/00 P
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122817
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】599138744
【氏名又は名称】中村 一
(72)【発明者】
【氏名】中村 一
【テーマコード(参考)】
3H178
5G066
5G503
5L049
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB58
3H178CC01
3H178DD52X
5G066HB02
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA07
5G503BB01
5G503FA06
5L049CC01
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】小型風力発電システムは企業や公的施設などESGシンボル的な導入需要に向け単なる風車ではなく付加価値を高め導入意義を高める。
【解決手段】小型風力発電システムと利用者のインタラクションを実現し価値ある存在として記憶にどどめて頂く課題を実現する為に、風力発電システムにAI活用の映像創作装置を組み合わせて、周辺センサーからの情報を映像化しインタラクションのきっかけを作る、その実施構成に低遅延通信と並列処理GPUサーバーを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低遅延通信部を付加した通信制御部で遠隔地にある中央AI処理装置とインターネットで接続されたGPUサーバーと可動式表示装置を具備し、風力、風速、温度など各種センサーとセンサーカメラからのデータ群を中央AI処理装置で正規化AIコンテナを作成しGPUサーバーに転送設定以後センサーデータ群はGPUサーバーのカオス的規則性アーキテクチャで映像化され表示装置に映し出す風力発電システム
【請求項2】
前記センサー部に接続された車両センサー等を使いEV車の自動充電管理が行える請求項1に記載の風力発電システム
【請求項3】
前記通信制御部に付加された低遅延通信部を使いローカルエリア内で低遅延通信サービスが行える請求項1に記載の風力発電システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリア内低遅延通信とカオス的規則性アーキテクチャ映像表示が行える風力発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電システムは自然エネルギーの風を電気に変える発電システムで再生可能エネルギーの一つとして大型は洋上発電への期待が大きい、今回注目する3~5kw級の小型風力発電システムは太陽光発電のように広いスペースを必要としない為に人気があり再生可能エネルギー推進のシンボルとして公園や公的施設などコミュニティエリアに設置されている。
【0003】
しかし、設置台数は伸びてない、その理由の一つ目は主要部品の小型のブラシレスPMG発電機の価格が高止まりなのに買取制度の調達単価は4年前の1/3まで下落し事業としては成り立たない、理由の二つ目は再生可能エネルギー推進の広告塔としての設置については小型風力発電は洋上発電のように迫力もなく目新しさが薄れて客寄せに繋がらない事から費用対効果が低下している。
【0004】
低価格な海外製PMG発電機を輸入して小型風力発電システムを組むも異音や故障の保守体制に課題が残り設置増には繋がらない。
【0005】
この改善策として、低価格高性能PMG発電機を開発する方法だけでは目新しさが薄れており需要は望めない、そこで本発明では設置した小型風力発電システムの魅力を倍加する新しい価値を付加して費用対効果を高めた小型風力発電システムとする。
【特許文献1】特開2019ー132178 風力発電装置及び風力発電システム
【特許文献2】特開2020ー170215 状態監視システム及びそれを備える風力発電システム
【特許文献3】特開2016ー90643 デジタルサイネージ
【非特許文献1】牛山 泉著 風車工学入門 第2版:基礎理論から運用のノウハウまで 2013年
【非特許文献2】Alex Kirlik著 Adaptive Perspectives on Methods and Models for Cognitive Engineering and Human-computer Interaction 2006年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小型風力発電システムは企業や公的施設などシンボル的な導入が主な顧客と考えられるので、いかに費用対効果を高めるか課題になる。被設置者以外の方々はこれまでは小型風力発電システムを眺めるだけだったが、発明では被設置者以外の方々と小型風力発電システムとの効果的インタラクションを実現して意識の中にどどめる事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
図1小型風力発電システムは
図2の様に風力発電機11と電力制御部12と系統連系部14に蓄電部15とEV充電制御部13を加えた風力発電システムでありながら、
図3のセンサー部30と低遅延通信部22を付加した通信制御部21に遠隔地の中央AI処理部50とインターネット接続されたGPUサーバー部23と可動式表示部24を具備し、持続的にエリア内低遅延通信とカオス的規則性映像表示が行える機能を有する事でエリア内でのインタラクション実現を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の小型風力発電システムは、持続的にエリア内で低遅延通信とカオス的規則性映像を含む映像をリアルタイムに映し出すことが出来る事から、電力供給の心配をする事なくエリア独自の鮮度の高いセンサー情報を持続的に発信すると共に、センサー部の扱いを変えることでエリア内の人の動きや車の状態監視が行えたり、低遅延のVRゲームイベントを開催したり、農地や放牧地で環境認識をしながら作業車両の遠隔操作が行えたり出来る。
【0009】
車両に乗ったままで行政サービスを受けたりなどエリア内での低遅延通信サービスが行えるなど、風力発電システムタワーがシンボルとなったコミュニティエリアで持続的に様々なインタラクションが実現できる、この付加価値の追加は風力発電システムの導入普及を後押しし国民の自然エネルギーへの関心と気候変動への関心を高める効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
AI技術を使った描画創作技術のカオス的規則性アーキテクチャを風力発電と組み合わせる理由は何か、その構成にローカル5G技術などの低遅延通信と並列処理が得意なGPUサーバーを具備する必然は何か、それは、それらの高度な機能要素を重ねることで効果的なインタラクションが実施できて記憶を作る非日常インパクトが創作できるからである。
【0011】
非日常インパクトとは、これもこの発明の為に考案した概念で、人は生活において無意識に環境情報を得て行動をしている、日常が続けば安心感が増し穏やかに過ごせる、しかし周囲から日常以外の情報を感じたり取得すると、人は警戒モードに入り、その情報の出どころを探査し原因が判明して自身に危険がないと分かると警戒モードが解けて日常に戻る。この無意識に警戒モードに入るきっかけを「非日常インパクト」と言い、脳に記憶として残すトリガーと考えた。
【0012】
この風力発電システムにおいて非日常インパクトを創出する為に、カオス的規則性(Chaotic Regularity)の概念を考案した。カオス的規則性とは、「規則的に計画された情報に自然の変化情報を融合した集合値から生まれるカオス情報」のこと。
【0013】
人は目を通じて二次元イメージを網膜に映してしているが、形状や名称の認識での判断は後付けであり、単にカラー色周波数の点群の変化を感じている。無意識に「あれ何か光った」「何か近づいてきてる」など日常とは異なる変化を察知し「非日常インパクト」発出すると、ここからは意識が集中して過去体験や知識から物体識別を試みるが、物理法則にない動きや推定できないカオス的変化においては「ハテナ」が残り、この過程が記憶に残る。
【0014】
この自然環境に起こる非日常インパクトの概念を、低遅延通信の環境センサーとAI処理並列コンピュータと表示機器に置き換えて風力発電システムで創作するのが今回の発明である。周辺の環境変化に同期してコンピュータから創作表示されるChaotic Regularityにおける非日常インパクト映像は、人間の認知工学(Cognitive Engineering and Human-computer Interaction)の中で人間とコンピュータとの無意識のインタラクションを脳内に発出できると考えた。
【0015】
その仕組みは、センサーカメラによる周辺映像からの季節感を示す全体の色味、車や人の数や移動速度情報、環境センサーからは、風力、風向、温度、湿度、地磁気、環境音、振動などの情報、これら情報を画像に置き換えて時間経過と変化を表示していくことで映像化される、例えば風向きが変わったタイミングで映像内容が切り変わる。表示部を可動式としているのも、環境データの変化とともに表示装置の位置が上下する事で直感的に変化を伝えている。
【0016】
ここにカオス的規則性の概念が実行されている。人が周辺の変化を感じた時に同期するように映像内容が変化することが非日常インパクトの発出に大切な要素と考えている。
【0017】
周辺の動きを捉える環境センサーの変化から創作映像が目に入るまでの時間差は人が同時と感じる100msec以下が必要と考えられセンサーの変化を遅れなく読み込む為にローカル5G等の低遅延通信が必要となり、読み込んだデータを高速に画像処理できる並列処理GPUサーバーが必須機能になる。
【0018】
非日常インパクトを創り出すには日常データの蓄積が不可欠であり昼夜を問わない連続性と持続性が提供できる電力系統事故の際も無停電で電源供給ができる
図2の蓄電部15を持った風力発電機11との組み合わせは必然である。
【0019】
風力発電システムを単なる風車とポールにしない為に、小型風力発電システムと被設置者他との効果的インタラクションを実現し気になる存在として記憶にどどめて頂く課題を実現するには、風力発電システムにAI処理を活用した映像創作技術のカオス的規則性アーキテクチャを組み合わせる理由があり、その実施構成に低遅延通信と並列処理GPUサーバーを具備する事が最善の形態になる。
【0020】
屋外で映像を映し出すという観点から、触れておく必要があるのが町中に溢れるデジタルサイネージとの区別がある。デジタルサイネージは文字が示す様にデジタルの広告表示装置で広報宣伝の映像コンテンツを有償で流すことで商いとしている。
【0021】
脳内無意識とは全くの無関係ではないが基本は商品コンテンツを流している、これがデジタルサイネージの弱い部分でテレビ放送コンテンツと似たコンテンツで日常映像を流している為に非日常インパクトは殆んどない、そこで近年はアニメキャラが声かけしたりタッチパネルを付加するなどのインタラクション機能を付加している。
【0022】
本発明のカオス的規則性アーキテクチャによる映像コンテンツは、CGIと呼ばれるコンピュータ創作のコンテンツになり、デジタルサイネージでも使われるが、デジタルサイネージのそれはデザイナーが作るコンテンツで、本発明のように環境データの変化からコンピュータが直接創作されるものではない。
【実施例0023】
図1は、本発明が実施される風力発電システム10で、コンクリート製タワー土台10cに、タワー下部機器収納部10aが設置され、電力制御部12、EV充電制御部13、系統連系部14、蓄電部15、加えて通信制御部21、GPUサーバー部23、電源部25からなる映像創作装置20が収納される。
【0024】
タワー下部機器収納部10aの上にタワー上部ポール部10bを設置し、映像を映す可動式表示部24、GPUサーバー部23で制御され上部ポール部と風力発電機を照らす可動式LED照明器25が設置され、タワー上部ポール部最上部にはアンテナを具備した低遅延通信部22とセンサーカメラ31を装備する。
【0025】
図2の風力発電システム10は、風力発電機11が運転を始めると48V~96Vを発生させ電力制御部12で単相200Vに変換し、系統連系部14経由で電力会社の低圧送電網に接続し売電が行われる、また、EV充電制御部13を経由しEV車両の充電が行える。電力制御部12には蓄電部15が接続され無負荷時の充電と無風時の放電が行われる。
【0026】
EV車両の充電施設は、無用な方の偶発的事故を防ぐ為に、車両が風力発電タワー土台近くに設置された車両センサー32に乗り上げロックされて車両が検出されると、EV充電操作部34が操作可能になり、開始ボタンで、EV充電ケーブル収納部35のドアが開いて充電ケーブルが取り出せる状態となり充電を開始できる。
【0027】
EV充電中は利用者以外が充電エリアに入ると音声にて危険を知らせる、充電が完了し充電ケーブルを所定の場所に収納しEV充電ケーブル収納部のドアを閉めると、車両留めのロックが外れて車両は移動可能になる。
【0028】
図3の映像創作装置20は、電源がONになると各機能部の状態の診断プログラムを実行した後スタンバイモードに入り、センサー部30に繋がる複数のセンサーカメラ31で得た映像からGPUサーバー部23が車と人を検出しその動く速度と方向などを数値化、映像から色味を数値化する。一方で、低遅延通信部22経由で風向、風力、温度、湿度、地磁気、環境音、振動等のセンサーデータがそれぞれGPUサーバー部に読み込まれる、全てのデータ集めた集合データ群を通信制御部21に接続したインターネット経由で中央AI処理部50に転送する。
【0029】
データ群を受け取った中央AI処理部50は、映像制作装置20での処理効率を高める目的に各データまちまちの振幅値や周期を調整しデータを正規化した表現に変換するフィルターを作成すると共に、既に稼働している複数箇所から送られてきたAIコンテナ評価データを基にAIエンジンを使いフィルターのパラメータを修正したAIコンテナを生成する。
【0030】
中央AI処理部50で生成されたAIコンテナは、
図6の流れでインターネット経由で通信制御部2を通じGPUサーバー部23に書き込まれると、映像創作装置20はスタンバイモードからクリエイティブモードに移行する。
【0031】
クリエイティブモードに移行した映像創作装置20は、センサー部30と低遅延通信部22から各種センサーデータを読み込み、センサーデータ属性毎にAIコンテナのフィルターを通して正規化変換し、
図7のChaotic Regularity Engineに送られる。
【0032】
Chaotic Regularity Engineは、カオス的規則性アーキテクチャに基づいたハードウェアで、GPUサーバーにより制御される複数レイヤーを持つ描画フレームバッファのImage Stack Layer 61と、各レイヤーの描画フレームバッファから2種類の切り出しサイズでディスプレイ制御チップにデータを渡す Display Out 62、そして、どのレイヤーのDisplay Outを使うかを切り換える Chaotics Director 63から構成される。
【0033】
正規化されたセンサーデータは、値とサンプル間隔タイムを乗じた面積に変換され順に指定されたレイアーの描画フレームバッファに書き込まれる。並行してChaotics Director に選ばれたレイヤーのDisplay Outから描画フレームバッファのデータがディスプレイ制御チップにより読み出されてスクリーンに表示されていく。Chaotics Director は、書き込みと読み出しが同一のレイヤーとロケーションに重ならないように制御を行う。
【0034】
GPUサーバーは、ディスプレイ制御チップに対して表示解像度とフレームバッファの表示開始アドレスを指定するが、広いフレームバッファにより表示開始アドレスを自在に移動させる事でスムーズなパンとチルト移動表示が容易になり幅広い表現ができる。
【0035】
Chaotics Director は、効果的なインタラクションを創作する目的で、環境センサーデータの変化、例えば、突然の環境音、風向きが変わったなどのデータの変化のタイミングで Image Stack Layer のDisplay Outレイヤーを切り替えてカオス的非日常インパクト映像を創り出す。
【0036】
このChaotic Regularity Engineの機能は、Field-programmable gate array FPGA を利用することで、GPUサーバーの負荷を低減させることができる。また非日常インパクト映像発出時、センサーカメラは映像内に映る人物を捉え顔認識にて映像表示方向を向いているか否かを判断しAIコンテナ評価データとしてタイムスタンプを付けて保存する。
情報通信は電気と一体が良い再生可能エネルギーならなお良い、風力発電に低遅延通信とAI活用の映像創作表示機能を付加したシステムは、屋外で作業を行いデジタル化を進める産業や大型駐車場を有するショッピングモールや企業内駐車場などでの利用が主に考えられる。
農業分野で、電力会社の送電がされてない農場に本発明の風力発電システムを設置することで、管理農業へのデータ取得、低遅延リモートによる農具機器の遠隔運転などができる。
農業分野の酪農で、放牧エリアに本発明の風力発電システムを設置することで、遠隔カメラで家畜の群れの構成を監視したり、放牧する家畜にIDセンサータグを付けて個々の運動量を管理したり、畜舎の電力需要に対応する。
自治体が公園や施設等に当風力発電システムを設置することで、センサーカメラでエリア内の人や車の動きを捉えられ利用状況の把握ができる。また訪れた見学者が簡単なスマホ操作でタワー高所に設置するカメラ映像を見ることができるなど風力タワーならではのサービスが行える。景勝地への当風力発電システムの設置であればデジタル展望台サービスになる。