IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイスの特許一覧

特開2023-1860文字板、そのような文字板を備える時計、及びそのような文字板を時計内に据え付ける方法
<>
  • 特開-文字板、そのような文字板を備える時計、及びそのような文字板を時計内に据え付ける方法 図1
  • 特開-文字板、そのような文字板を備える時計、及びそのような文字板を時計内に据え付ける方法 図2
  • 特開-文字板、そのような文字板を備える時計、及びそのような文字板を時計内に据え付ける方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001860
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】文字板、そのような文字板を備える時計、及びそのような文字板を時計内に据え付ける方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/14 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
G04B19/14 G
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022042221
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】21180540.3
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ケラン
(72)【発明者】
【氏名】ゾエ・シャフター
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・エラール
(57)【要約】
【課題】文字板、そのような文字板を備える時計、及びそのような文字板を時計内に据え付ける方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、ユーザに見えることを意図する外側部品板(11)を備える文字板に関し、外側部品板(11)は、支持板(12)の支承面(120)上に載置され、支持板(12)の上に、外側部品板(11)が重ねられ、外側部品板(11)及び支持板(12)は、外側部品板(11)及び支持板(12)の両方が含む外周部締結部材の協働によって外側部品板(11)及び支持板(12)の外周部で互いに締結され、外側部品板(11)及び支持板(12)の両方が含む中心締結部材の協働によって外側部品板(11)及び支持板(12)の中心で互いに締結される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに見えることを意図する外側部品板(11)を備える文字板(10)であって、前記外側部品板(11)は、支持板(12)の支承面(120)上に載置され、前記支持板(12)の上に前記外側部品板(11)が重ねられ、前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)は、前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)の両方が含む外周部締結部材の協働によって前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)の外周部で互いに締結し、前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)の両方が含む中心締結部材の協働によって前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)の中心で互いに締結し、前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)の前記外周部締結部材、並びに前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)の前記中心締結部材は、取外し可能に互いに協働するように構成し、前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)を互いから分離できるようにすることを特徴とする、文字板(10)。
【請求項2】
前記外側部品板(11)の前記外周部締結部材は、少なくとも1つの径方向張出し部(112)を含み、前記支持板(12)の前記外周部締結部材は、切欠き(123)を形成する少なくとも1つの受け部(122)を含み、前記少なくとも1つの受け部(122)は、前記切欠き(123)が前記少なくとも1つの径方向張出し部(112)を受け入れ、挿入するように構成する、請求項1に記載の文字板(10)。
【請求項3】
前記支持板(12)の前記外周部締結部材は、前記支持板(12)の前記支承面(120)から延在するピン(125)と、前記支承面(120)に対して角度を付け、前記外側部品板(11)の径方向突出部(113)を挿入する間隙を形成する空間によって前記ピン(125)から離間する弾性ブラケット(126)とを含み、前記弾性ブラケット(126)は、前記間隙に前記径方向突出部(113)を挿入する間、前記径方向突出部(113)によって弾性変形させることができる、請求項1又は2に記載の文字板(10)。
【請求項4】
前記外側部品板(11)は、前記外側部品板(11)及び前記支持板(12)を互いから分離する際、前記径方向張出し部(112)の1つを、前記ピン(125)の、前記弾性ブラケット(126)とは反対の側に接して停止させることができるように構成する、請求項2又は3に記載の文字板(10)。
【請求項5】
前記外側部品板(11)の前記中心締結部材は、中心開口(111)によって形成し、前記中心開口(111)の横断面は、非円形形状を有し、前記支持板(12)の前記中心締結部材は、円筒形スリーブ(127)を含み、前記円筒形スリーブ(127)は、前記中心開口(111)を通じて挿入し、前記支持板(12)の中心開口(121)の一方の端部によって締結し、前記スリーブ(127)は、もう一方の端部に径方向カラー(128)を含み、前記径方向カラー(128)の横断面は、前記外側部品板(11)の前記中心開口(111)の横断面の形状と相補形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の文字板(10)。
【請求項6】
前記径方向カラー(128)の前記横断面の形状及び前記外側部品板(11)の前記中心開口(111)の形状は、少なくとも1つの直線区分に接続する少なくとも1つの円弧部を含む、請求項5に記載の文字板(10)。
【請求項7】
内側体積部を画定するケースを備える時計であって、前記内側体積部内に、請求項1から6のいずれか一項に記載の文字板(10)、並びに時針及び分針を駆動することを意図する測時器ムーブメント(20)を収容し、前記外側部品板(11)は、前記支持板(12)に締結し、前記支持板(12)自体は、前記測時器ムーブメント(20)の板(21)に締結する、時計。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の文字板(10)を時計内に据え付ける方法であって、前記方法は、
前記支持板(12)を測時器ムーブメント(20)の板(21)に締結するステップと、
前記外側部品板(11)が前記支持板(12)の前記支承面(120)に接して載置されるように前記外側部品板(11)を配設するステップと、
前記外側部品板(11)の前記外周部締結部材及び前記中心締結部材がそれぞれ、前記支持板(12)の前記外周部締結部材及び前記中心締結部材と協働するように、前記支承面(120)に直交する中心軸回りに前記支持板(12)に対して前記外側部品板(11)を回転させるステップと
を連続的に含む、方法。
【請求項9】
前記外側部品板(11)は、前記支持板(12)に対して枢動し、前記径方向張出し部(複数可)(112)は、前記切欠き(123)内に収容する、請求項2及び8に記載の方法。
【請求項10】
前記外側部品板(11)が前記支持板(12)に対して枢動すると、前記径方向張出し部(113)は、前記ピン(125)と前記弾性ブラケット(126)との間に形成した間隙内に収容される、請求項3及び8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記外側部品板(11)が前記支持板(12)に対して枢動すると、前記径方向カラー(128)は、軸方向バンクを形成するように前記外側部品板(11)の一部を覆う、請求項5及び8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記外側部品板(11)を前記支持板(12)の前記支承面(120)に接して配設する前記ステップの間、前記径方向張出し部(112)の1つは、前記ピン(125)の、前記弾性ブラケット(126)とは反対の側で前記ピン(125)に接して停止する、請求項2、3及び8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1又は3に記載の文字板(10)を分解する方法であって、前記方法は、
前記弾性ブラケット(126)と前記支持板(12)の前記支承面(120)との位置合せを維持するように、前記弾性ブラケット(126)に応力を加えるステップと、
前記径方向突出部(113)を前記間隙から取り外すため、前記支承面(120)に直交する中心軸回りに前記支持板(12)に対して前記外側部品板(11)を回転させるステップと、
前記外側部品板(11)を前記中心軸に従って並進させることによって前記外側部品板(11)を取り外すステップと
を連続的に含む方法。
【請求項14】
前記外側部品板(11)の回転は、前記径方向張出し部(複数可)(112)の1つが、前記ピン(125)の、前記弾性ブラケット(126)とは反対の側で前記ピン(125)に接して停止するまで実行する、請求項4及び13に記載の文字板(10)を分解する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測時器の分野に関し、より詳細には、測時器の構成要素の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、例えば脆弱材料から作製された文字板、そのような文字板を備える時計、前記文字板を時計内に据え付ける方法、及び前記文字板を分解する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
美観的な理由で、特定の時計の文字板は、脆弱材料、例えば、母貝、石、セラミック、ガラス等から作製される。
【0004】
この種の文字板を時計ケースの内部に締結するには、概して、脆弱材料から作製した外側部品板を、ケース内に収容した測時器ムーブメントに締結した支持板上に接着剤で留めるか、又は時計の中板上に直接接着剤で留める。
【0005】
この種の文字板の欠点は、機械的応力を受けた際、脆弱材料が塑性変形能力を有さない限り、外側部品板が衝撃の影響をかなり受けやすく、したがって、時計が衝撃を受けた際、破断する又は亀裂が入りやすいことである。
【0006】
更に、時計が衝撃を受けた際、外側部品板を損なうだけでなく、支持板が変形した場合、支持板が針を押して緩ませるおそれがある。
【0007】
最後に、衝撃に対する文字板の抵抗性の問題は、より一層考慮しなければならないものである。というのは、衝撃に対する要件は、製造されるいずれの時計も順守しなければならない品質規格NIHS_91-10の条件によって規定されているためである。
【0008】
より一般的には、時計への衝撃に起因する、機械的応力に対する感度を低減した文字板を提案する必要性があり、前記文字板に対する損傷を回避又は制限するようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、文字板を中に収容した時計が衝撃を受けた際、文字板が受ける応力の低減を可能にする解決策を提案することによって、上述の欠点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明は、ユーザに見えることを意図する外側部品板を備える文字板に関し、前記外側部品板は、支持板の支承面上に載置され、支持板の上に外側部品板が重ねられる。
【0011】
外側部品板及び支持板は、外側部品板及び支持板の両方が含む外周部締結部材の協働によって、外側部品板及び支持板の外周部で互いに締結され、外側部品板及び支持板の両方が含む中心締結部材の協働によって、外側部品板及び支持板の中心で互いに締結される。
【0012】
この特徴は、外側部品板及び支持板の互いへの締結を生じさせることにより、外側部品板及び支持板の外周部及び中心部の両方で、外側部品板が受ける機械的応力を低減し、したがって、起こり得る時計への衝撃の間、外側部品板の変形をかなり制限又は回避することが可能になる。
【0013】
そのような特徴は、外側部品板を形成する脆弱材料の使用を可能にする。
【0014】
更に、機械的締結というこの解決策は、板同士を互いに接着剤で留めるあらゆる手段をなくすことを可能にし、これにより、そのような文字板の製造工程を単純にすることを可能にする。
【0015】
更に、本発明は、時計の製造中、文字板が異なる外観を有する、同一の時計を供給可能にする。
【0016】
特定の実施形態では、本発明は、単独で、又は技術的に可能な組合せの全てにより、以下の特徴の1つ又は複数を更に含むことができる。
【0017】
特定の実施形態では、外側部品板及び支持板の外周部締結部材、並びに外側部品板及び支持板の中心締結部材は、取外し可能に互いに協働するように構成され、前記外側部品及び前記支持板を互いから分離することができる。
【0018】
この特徴は、文字板の外側部品のみを変更することによって、測時器ムーブメントを扱う必要なしに、時計の寿命の間いつでも文字板の外観を簡単に修正することを可能にする。
【0019】
本発明の特定の実施形態では、外側部品板の外周部締結部材は、少なくとも1つの径方向張出し部を含み、支持板の外周部締結部材は、切欠きを形成する少なくとも1つの受け部を含み、前記少なくとも1つの受け部は、切欠きが前記少なくとも1つの径方向張出し部を受け入れ、挿入するように構成される。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、支持板の外周部締結部材は、支持板の支承面から延在するピンと、支承面に対して角度が付けられ、外側部品板の径方向突出部を挿入する間隙を形成する空間によって前記ピンから離間する弾性ブラケットとを含み、前記弾性ブラケットは、間隙に径方向突出部を挿入する間、前記径方向突出部によって弾性変形させることができる。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、外側部品板は、径方向張出し部の1つは、外側部品板及び支持板を互いから分離する際、ピンの、弾性ブラケットとは反対の側に接して停止させることができるように構成される。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、外側部品板の中心締結部材は、中心開口によって形成し、中心開口の横断面は、非円形形状を有し、支持板の中心締結部材は、円筒形スリーブを含み、円筒形スリーブは、外側部品板の中心開口を通じて挿入し、支持板の中心開口の一方の端部によって締結し、前記スリーブは、もう一方の端部に径方向カラーを含み、径方向カラーの横断面は、外側部品板の中心開口の横断面の形状と相補形状を有する。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、カラーの横断面の形状及び外側部品板の中心開口の形状は、少なくとも1つの直線区分に接続される少なくとも1つの円弧部を含む。
【0024】
別の態様によれば、本発明は、内側体積部を画定するケースを備える時計に関し、内側体積部内に、上記した文字板、並びに時針及び分針の駆動を意図する測時器ムーブメントを収容し、外側部品板は、支持板に締結し、支持板自体は、前記測時器ムーブメントの板に締結する。
【0025】
本発明のまた別の態様では、上記した文字板を時計内に据え付ける方法に関し、前記方法は、
例えば螺入によって、支持板を測時器ムーブメントの板に締結するステップと、
外側部品板が支持板の支承面に接して載置されるように外側部品板を配設するステップであって、スリーブは、外側部品板の中心開口を通じて挿入される、ステップと、
外側部品板の外周部締結部材及び中心締結部材がそれぞれ、支持板の外周部締結部材及び中心締結部材と協働するように、支承面に直交する中心軸回りに支持板に対して外側部品板を回転させるステップと
を連続的に含む。
【0026】
本発明の特定の実施形態では、外側部品板を支持板に対して枢動させると、張出し部(複数可)は、切欠き内に収容される。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、外側部品板を支持板に対して枢動させると、径方向突出部は、ピンと弾性ブラケットとの間に形成した間隙内に収容される。
【0028】
本発明の特定の実施形態では、外側部品板を支持板に対して枢動させると、カラーは、軸方向バンクを形成するように前記外側部品板の一部を覆う。
【0029】
本発明の特定の実施形態では、外側部品板を支持板の支承面に接して配設するステップの間、径方向張出し部の1つは、ピンの、弾性ブラケットとは反対の側でピンに接して停止する。
【0030】
本発明のまた別の態様は、上記した文字板を分解する方法に関し、方法は、
-弾性ブラケットが支持板の支承面と位置合わせされた状態を維持するように、弾性ブラケットに応力を加えるステップと、
-径方向突出部を間隙から取り外すため、支持板に対して、支承面に直交する中心軸回りに外側部品板を回転させるステップと、
-前記外側部品板を中心軸に従って並進させることによって外側部品板を取り外すステップと
を含む。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、外側部品板の回転は、径方向張出し部(複数可)の1つが、前記ピンの、弾性ブラケットとは反対の側でピンに接して停止するまで実行される。
【0032】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、決して限定するものではない一例として示す以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】測時器ムーブメントを有する、本発明の好ましい例示的な実施形態による文字板の組立体の分解斜視図である。
図2図1の組立体の斜視図であり、文字板の外側部品板は、文字板の支持板に締結されている。
図3図1の組立体の斜視図であり、外側部品板は、外側部品板を支持板から取り外し可能にする角度位置、したがって文字板を分解する位置を占めている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、文字板10、及び時計内、より詳細には時計ケース内での文字板10の配置に関する。
【0035】
明確にする理由で、時計、より詳細には、時計ケースは図示しない。
【0036】
ケースは、従来の様式で、ガラスと裏蓋との間に画定される内側体積部内に測時器ムーブメント20を収容する。文字板10は、図1の分解図に示すように、測時器ムーブメント20の板21上に締結することが意図され、測時器ムーブメント20とガラスとの間に配置される。
【0037】
時針、分針及び任意で秒針(やはり図示せず)は、測時器ムーブメント20によって、文字板10とガラスとの間で回転駆動させることが意図される。
【0038】
図1で見えるように、文字板10は、2つの板によって形成されており、「外側部品板」11と呼ばれ、例えば脆弱材料から作製される一方の板は、ユーザに見えることが意図され、「支持板」12と呼ばれるもう一方の板は、好ましくは金属材料から作製され、外側部品板11と測時器ムーブメント20との間に介挿することが意図される。
【0039】
「脆弱材料」という概念は、当業者には周知であり、衝撃等の機械的応力の影響下、変形せずに破断する又は亀裂が入る可能性がある材料を示す。言い換えれば、脆弱材料は、機械的応力を受けた際に塑性変形する能力がない。
【0040】
例えば、脆弱材料は、石、ガラス、母貝、水晶、セラミック等とし得る。
【0041】
文字板10を組み付ける際、外側部品板11は、支持板12の支承面120上に載置される。
【0042】
外側部品板11及び支持板12は、有利には、それぞれ、互いに協働する外周部締結部材と、互いに協働する中心締結部材とを含む。外周部締結部材が互いに協働し、中心締結部材が互いに協働すると、前記外側部品板11及び前記支持板12を互いに機械的に結合させる。
【0043】
この特徴は、外側部品板11及び支持板12の互いへの締結を生じさせることにより、外側部品板11及び支持板12の外周部及び中心部の両方で、外側部品板11が受ける機械的応力を制限し、したがって、起こり得る時計の衝撃の間、外側部品板11の変形を強力に低減又は回避することが可能になる。
【0044】
外側部品板11及び支持板12は、従来の様式で、支承面120に直交し軸方向に平行な共通の中心軸に従って延在する中心開口111、121を含み、前記中心開口111及び121は、針の軸を受け入れることが意図される。概して、外側部品板11及び支持板12は、本発明の状況を逸脱することなく、アパーチャを形成するように設けた凹部等、当業者に公知のあらゆる構成を受け入れることができる。
【0045】
有利には、外側部品板11及び支持板12の外周部締結部材は、ちょうど外側部品板11及び支持板12の中心締結部材のように、取外し可能に互いに協働するように構成される。
【0046】
したがって、前記外側部品板11及び前記支持板12を互いから分離することが可能であり、外側部品板11を取り替えるのに特に有用である。
【0047】
図1に示すように、本発明の例示的な実施形態では、支持板12の外周部締結部材は、切欠き123を形成する少なくとも1つの受け部122を含む。
【0048】
より詳細には、図示する例示的な実施形態では、支持板12は、4つの受け部122を含む。
【0049】
受け部122は、支持板12の外周部上に形成され、径方向に直交する接線平面で長さ方向に延在する。前記受け部122はそれぞれ、「端部分」1220と呼ばれる一部分を含み、端部分1220は、支承面120に平行に、支承面120からある距離で配置される。端部分1220は、接合部分1221によって支持板12の本体124に接続される。
【0050】
外側部品板11の外周部締結部材は、外側部品板11の外周部から延在する少なくとも1つの径方向張出し部112を含む。
【0051】
図示の例示的な実施形態では、支持板12は、4つの径方向張出し部112を含み、径方向張出し部112のそれぞれは、切欠き123に挿入されることを意図する。
【0052】
図2の詳細図で示すように、各受け部122は、受け部の端部分1220によって、受け部122が協働する径方向張出し部112を軸方向で所定の位置に維持することが意図される。ここで、外側部品板11は、支承面120及び受け部(複数可)122に接して支承され、受け部(複数可)122の端部分1220と接触するので、支持板12の本体124の間で所定の位置で維持されることを理解されたい。
【0053】
図2の詳細図に示すように、支持板12の外周部締結部材は、軸方向に実質的に平行な軸に従って支承面120から延在するピン125と、弾性ブラケット126とを更に備えることができ、弾性ブラケット126は、偏向変形可能であり、角度が付けられている、即ち、測時器ムーブメント20とは反対の方向で傾斜している。
【0054】
図2の詳細図に示すように、ピン125は、外側部品板11の厚さに実質的に等しい長さを有し、このため、ピン125の自由端は、外側部品板11の見える面と面一である。
【0055】
弾性ブラケット126は、支持板12の本体124を接続する端部と、ピン125の方に向かう自由端との間で、径方向に直交する接線平面で長さ方向に延在する。
【0056】
弾性ブラケット126及びピン125は、外側部品板11の径方向突出部113が挿入される間隙を形成する空間によって互いから離間する。
【0057】
径方向突出部は、互いに実質的に平行な2つの横面を互いに接続する端壁を含み、前記壁及び前記横面は、外側部品板11の縁部内に画定される。
【0058】
有利には、弾性ブラケット126は、弾性ブラケット126の自由端が、径方向突出部113の縁部、より詳細には、前記径方向突出部113の横面の1つに接して支承配置されるような角度に従って、支持板12の本体124に対して角度が付けられ、外側部品板11が中心軸回りに回転するのを停止するバンクを形成するようにする。
【0059】
より詳細には、径方向突出部113は、間隙内に嵌合するように配置され、中心軸回りに支持板12に対して外側部品板11の角度が動くのを禁止するようにする。
【0060】
図2は、例示的な実施形態を示す詳細図を示し、外側部品板11の中心締結部材は、その中心開口111によって形成され、中心締結部材の横断面は、非円形であり、支持板12の中心締結部材は、前記中心開口111を通じて挿入される円筒形スリーブ127を含む。
【0061】
より詳細には、図1の詳細図に示すように、スリーブ127は、スリーブの端部の一方によって支持板12の中心開口121に締結され、「自由端」と呼ばれるもう一方の端部で支承面120を越えて突出する。
【0062】
スリーブ127は、その自由端に、径方向カラー128を備え、径方向カラー128の横断面は、外側部品板11の中心開口111の横断面の形状と相補形状を有する。言い換えれば、径方向カラー128の横断面は、機械的遊びの範囲内で外側部品板11の中心開口111の横断面の形状と同様の形状を有する。
【0063】
この特徴は、外側部品板11の中心開口111を通じてスリーブ127を挿入することによって、外側部品板11を支持板12の支承面120に接して配設することを可能にする。更に、スリーブ127は、有利には、支持板12に対して、外側部品板11を所定の位置で中心に配置することを実行可能にする。
【0064】
図2の詳細図に示すように、外側部品板11の中心開口111の横断面の非円形形状により、外側部品板11を支持板12に対して中心軸回りに枢動させることによって、径方向カラー128が前記外側部品板11の一部を覆い、軸方向バンクを形成することを可能にする。
【0065】
図示の例示的な実施形態では、上述の横断面は、2つの直線区分によって互いに接続される、直径周りに対向する2つの円弧部を含む。
【0066】
この横断面の形状は、生成が単純であるという利点を有する。
【0067】
代替的に、横断面は、単一直線区分及び単一円弧部、又は任意の多角形若しくは楕円形状を備えることができる。
【0068】
文字板10は、有利には、支持板12によって、好ましくは取外し可能に測時器ムーブメント20の板21に締結される。例えば、支持板12は、前記板21に螺入される。維持板は、任意で、図1の分解図に示すように、板21と支持板12との間に配置することができる。
【0069】
したがって、外側部品板11及び支持板12を測時器ムーブメント20から分離することが可能である。
【0070】
図1に示す好ましい実施形態では、支持板12は、その外周部上に、ねじを受け入れるように設けた、複数、例えば3つの貫通孔129を含み、ねじのねじ部は、板21内に作製したねじ穴22と協働する。
【0071】
更に、支持板12は、好ましくは、外周部上に配置される他のねじよりも前記板の中心開口121に近いねじによって前記板21に締結され、前記ねじも、前記板21内に作製したねじ穴22と協働する。
【0072】
本発明は、文字板10を時計内に据え付ける方法、及び前記文字板10を分解する方法に拡張する。
【0073】
方法は、好ましくは螺入によって、支持板12を測時器ムーブメント20の板21に締結する第1のステップを含む。
【0074】
次に、図3に示すように、外側部品板11は、支持板12の支承面120に接して載置されるように支持板12に接して当てられ、スリーブ127は、中心開口111を通じて挿入される。
【0075】
図3の詳細図に示すように、外側部品板11及び支持板12のこの第1の相対的な位置では、径方向カラー128は、外側部品板11の中心開口111と位置合わせされ、このため、径方向張出し部128の横断面の凸部及び前記中心開口111は、機械的遊びの範囲内で互いに一致する。
【0076】
このステップの実行を容易にするため、外側部品板11は、スリーブ127を外側部品板11の中心開口111を通じて挿入する際、径方向張出し部112の1つが、前記ピン125の、弾性ブラケット126とは反対の側でピン125に接して停止されることを意図するように構成することができる。図3に見えるそのような配置は、外側部品板11及び支持板12の組付けに対するポカヨケの役割も果たす。
【0077】
この場合、外側部品板11は、ピン125と弾性ブラケット126との間に形成された間隙内に収容されるまで、径方向突出部113を前進させるように中心軸回りに枢動する。図示の例示的な実施形態では、文字板10の回転方向は、時計回り方向であるが、他の例示的な実施形態では、回転方向は、反時計回り方向であってよい。
【0078】
外側部品板11の回転中、間隙に挿入する図では、径方向突出部113は、外側部品板11を支持板12の本体124と位置合わせさせるように、前記弾性ブラケット126によって生成される弾性戻り応力に反する軸方向成分の力が加わることによって弾性ブラケット126を偏向変形させる。前記径方向突出部113が、ピン125接して支承される状態で間隙内に収容されると、弾性ブラケット126をもはや拘束しないため、角度の付いた載置状態に戻り、図2の詳細図に示すように、外側部品板11の中心軸回りでの回転を停止させるバンクを形成する。
【0079】
更に、図2の詳細図に示すように、このステップは、スリーブ127に対して外側部品板11の中心開口111を角度的にずらす効果を有し、このため、径方向カラー128は、前記外側部品板11の一部を覆い、軸方向バンクを形成し、径方向張出し部112を切欠き123内に収容する。
【0080】
外側部品板11及び支持板12は、このように互いに締結される。
【0081】
有利には、前記板は、可逆的に互いに組み付けられ、外側部品板11及び支持板12の外周部締結部材及び中心締結部材は、互いに対してそれぞれ取外し可能に協働する。
【0082】
外側部品板11及び支持板12を分離するには、支持板12の本体124と位置を合わせるように弾性ブラケット126に応力を加え、外側部品板11を中心軸回りに枢動させて径方向突出部113を間隙から取り外す。この回転は、図示の例示的な実施形態では、反時計回りで実行されるが、他の例示的な実施形態では、外側部品板11及び支持板12を分離する回転方向は、時計回り方向であってよい。
【0083】
有利には、径方向張出し部112は、径方向張出し部112の1つが停止する際、横面の1つによって、ピン125の、弾性ブラケット126とは反対の側に接して停止されるように寸法決定され、外側部品板11及び支持板12の外周部締結部材及び中心締結部材は、それぞれ互いから分離される。より詳細には、径方向張出し部112は、切欠き123から外され、径方向カラー128の横断面の凸部及び外側部品板11の中心開口111は、機械的遊びの範囲内で一致するため、軸方向に従った並進によって支持板12から外側部品板11を取り外すことが可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 文字板
11 外側部品板
12 支持板
112 径方向張出し部
113 径方向突出部
120 支承面
122 受け部
123 切欠き
125 ピン
126 弾性ブラケット
図1
図2
図3
【外国語明細書】