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  • 特開-青果物の選別装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018603
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】青果物の選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/10 20060101AFI20230201BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B07C5/10
B07C5/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122840
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000163501
【氏名又は名称】近江度量衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】中井 剛
(72)【発明者】
【氏名】釆野 兼司
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC23
3F079CA21
3F079CA23
3F079CA31
3F079CA34
3F079CA41
3F079CB25
3F079CB28
3F079CB29
3F079CB38
3F079CC05
3F079DA18
3F079EA01
3F079EA08
(57)【要約】
【課題】青果物の外観品質を正確に判定することができる選別装置を提供する。
【解決手段】トマトTの選別装置であって、トマトTを単列搬送するコンベア10と、前記コンベア10によって搬送されている前記トマトTを撮像するカメラ21と、前記コンベア10によって搬送されている前記トマトTに対してエアを噴射するエアノズル41と、を備え、前記エアノズル41は、前記カメラ21の画角範囲に向かって前記エアを噴射する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を単列搬送するコンベアと、
前記コンベアによって搬送されている前記青果物を撮像するカメラと、
前記コンベアによって搬送されている前記青果物に対してエアを噴射するエアノズルと、
を備え、
前記エアノズルは、前記カメラの画角範囲に向かって前記エアを噴射することを特徴とする、青果物の選別装置。
【請求項2】
前記コンベアは、前記カメラの画角範囲において、前記青果物を回転させることを特徴とする、請求項1に記載の青果物の選別装置。
【請求項3】
前記エアノズルは、前記カメラよりも上流又は下流において、前記コンベアの上方に配置されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の青果物の選別装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物を選別する選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、青果物の集出荷施設では、生産者によって搬入された青果物を等階級別に選別する選別装置が用いられている。青果物の選別装置は、青果物を搬送するコンベアと、当該コンベアによる青果物の搬送経路に設けられ、青果物の等階級を判定する判定装置と、判定された等階級別に青果物を仕分ける仕分装置と、を備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の高速仕分け装置は、複数の品物からなる品物群から所定の品物を選別して仕分け作業を行う仕分け装置であって、品物を搬送するコンベアと、品物の仕分け条件を判定する判定装置と、コンベアの進行方向に対して略直角方向から圧縮空気を噴射する圧縮空気噴射ノズルと、を備え、当該圧縮空気噴射ノズルは、判定装置によって判定された仕分け条件に従って品物に圧縮空気を噴射するよう制御される。このような高速仕分け装置は、品物に対して圧縮空気を噴射することで、仕分け作業を高速かつ確実に実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-120162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、青果物の選別装置においては、青果物の仕分け条件である等級が青果物の外観品質や内部品質に基づいて判定されている。ここで、青果物の外観品質については、青果物の搬送経路に設けられたカメラから取得した青果物の画像に基づいて、コンピュータによって判定されている。しかしながら、青果物は天然物であるため、その表面にゴミや埃が付着していることがあり、このようなゴミや埃が上記の画像に映ることで、青果物の外観品質を正確に判定できない場合があった。
【0006】
そこで、上記の課題を解決するため、本発明は、青果物の外観品質を正確に判定することができる青果物の選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の選別装置は、青果物を単列搬送するコンベアと、前記コンベアによって搬送されている前記青果物を撮像するカメラと、前記コンベアによって搬送されている前記青果物に対してエアを噴射するエアノズルと、を備え、前記エアノズルは、前記カメラの画角範囲に向かって前記エアを噴射することを特徴とする。
【0008】
また、前記コンベアは、前記カメラの画角範囲において、前記青果物を回転させることを特徴とする。
【0009】
また、前記エアノズルは、前記カメラよりも上流又は下流において、前記コンベアの上方に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の選別装置は、青果物の外観品質を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るトマトの選別装置に設けられた判定エリアの概略側面図
図2】判定エリアのコンベアの回転体の概略図
図3】(a)トマトTの搬送態様を説明する側面図、(b)トマトTの搬送態様を説明する側面図
図4】本発明の第2実施形態に係るトマトの選別装置に設けられた判定エリアの概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る選別装置を図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
【0014】
本発明の実施形態は、青果物であるトマトTの選別装置であって、荷受けしたトマトTが供給される供給エリアと、供給されたトマトTの等階級を判定する判定エリア(図1)と、等階級ごとにトマトTを仕分ける仕分エリアと、を備えている。
【0015】
供給エリアは、トマトTを搬送するコンベアを有しており、作業員が、カゴに収容されているトマトTを取り出して当該コンベアへとトマトTを供給する。
【0016】
判定エリアは、図1に示すように、トマトTを単列搬送するコンベア10を備えている。当該コンベア10は供給エリアから搬送されてきたトマトTを受け取り、トマトTを1つずつ載置部に載せた状態でトマトTを回転搬送する。具体的には、判定エリアのコンベア10は、搬送方向に一列に等間隔で配置された回転体11を備えており、当該回転体11が搬送方向に循環して移動するように構成されている。回転体11同士の間隔は、特に限定されないが、規格内のトマトTが回転体11の間に跨って載置される程度の間隔が設けられている。回転体11は、例えば、図2に示すように、水平姿勢で設けられたシャフト12と、シャフト12が中心に通された1対のホイール13と、を備えている。当該ホイール13は、円錐台形状に形成されており、2つのホイール13の傾斜面が互いに内側を向くように対向配置されることで、1対のホイール13が構成されている。図1に示すように、回転体11(1対のホイール13)は、その下方に延在するレール14上を移動することにより回転する。そして、回転体11の回転移動に伴って、回転体11の間に載置されているトマトTが回転搬送されることとなる。このように本実施形態では、前後の1対のホイール13の間にトマトTが載せられており、1対のホイール13が載置部として機能している。また、回転体11とレール14がトマトTを回転させる回転機構として機能している。なお、一の1対のホイール13と、その後ろの他の1対のホイール13の間に受け皿を設けることで、前後の1対のホール13の間よりも小さなトマトTを受けるように構成しても構わない。
【0017】
判定エリアでは、上記コンベア10によるトマトTの搬送経路に、外観品質判定装置20と内部品質判定装置30が設けられている。
【0018】
外観品質判定装置20は、トマトTの外観品質を判定する装置であり、回転搬送されているトマトTを撮像するカメラ21と、カメラ21から取得したトマトTの画像に基づいて外観品質を判定するコンピュータ(不図示)と、を備えている。カメラ21は、コンベア10の上方に配置され、その画角内にコンベア10の所定範囲が含まれるように設けられている。具体的には、トマトTが1回転する間に移動する範囲が、カメラ21の画角内に収まるようになっており、カメラ21は所定レートで連続撮像する。これにより、カメラ21は、トマトTの平面、前面、下面、及び後面の画像を生成する。コンピュータは、カメラ21から取得した複数の画像に基づいて外観品質を判定する。
【0019】
内部品質判定装置30は、トマトTの内部品質を判定する装置であり、搬送されているトマトTに対して測定光を照射する光源31(図2)と、トマトTを透過した測定光を受光する受光部32(図2)と、受光した測定光を所定の波長ごとに分光する分光器(不図示)と、分光された測定光の明るさに基づいて内部品質を判定するコンピュータ(不図示)と、を備えている。
【0020】
上記外部品質判定装置20のコンピュータと内部品質判定装置30のコンピュータは、メインコンピュータと通信可能に接続されており、メインコンピュータは外部品質判定装置20のコンピュータおよび内部品質判定装置30のコンピュータから外部品質および内部品質の判定結果を取得して等階級を決定する。
【0021】
仕分エリアは、判定エリアから搬送されてきたトマトTを仕分排出する仕分コンベアと、仕分コンベアに沿って設けられた等階級別のプール部と、を備えている。当該仕分コンベアは、上記のメインコンピュータと通信可能であり、メインコンピュータによって指定されたプール部までトマトTを搬送し排出する。
【0022】
ここで、図1に示すように、本実施形態の選別装置は、判定エリアにエアブロワー40に設けられている。エアブロワー40は、コンベア10によって回転搬送されているトマトTに対してエアを吹き付ける装置であって、エアノズル41を備えている。エアノズル41は、カメラ21よりも上流側のコンベア10の上方に設けられており、エアがカメラ21の画角範囲を移動するトマトTに対して吹き付けられるよう、コンベア10の下流側かつ下方にノズル口を向けて設置されている。このようなエアノズル41は、ホース42を介してブロワー本体43に接続されており、ブロワー本体43から供給されるエアを噴射する。
【0023】
本実施形態の選別装置では、エアノズル41から噴射されたエアが回転搬送されているトマトTに吹き付けられることで、トマトTの表面の全面において、ゴミや埃がエアによって除去される。このようなエアノズル41がカメラ21よりも上流側に設けられているので、カメラ21の画角内に進入するトマトTの表面にはゴミや埃が付着しておらず、より正確にトマトTの外観品質を判定することができる。
【0024】
また、図3に示すように、トマトTのサイズによっては、1つの載置部に対して2つのトマトTが載置されてしまう二個乗り状態が発生することがあるが、エアを搬送中のトマトTに吹き付けることで、二個乗り状態のトマトTを前後の載置部に分散して載置させることができる。
【0025】
また、エアノズル41をカメラ21の直上流側に配置することで、カメラ21の画角内においてトマトTに対してエアが吹き付けられることとなる。ここで、前後の載置部の間隔に対してサイズが小さいトマトTについては、ローラ13に当接しないことがあり、カメラ21の画角内において回転しないものがある。しかし、カメラ21の画角内においてトマトTに対してエアを吹き付けることで、当該トマトTがローラ13に対して付勢され、トマトTがローラ13に当接して回転搬送され、トマトT全周の画像を取得できるようになる。
【0026】
[第2実施形態]
【0027】
第2実施形態に係る選別装置は、図4に示すように、回転機構として回転用コンベア15を備えている点、及びエアノズル41の設置位置が第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点について中心に説明することとし、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0028】
本実施形態の判定エリアは、第1実施形態と同様に、トマトTを単列搬送するコンベア10(以下、搬送コンベア10という。)を備えている。本実施形態では、当該搬送コンベア10の下方に回転用コンベア15が設けられている。回転用コンベア15は、回転体11の回転に連動させて載置部上のトマトTを回転させるベルトコンベアであり、搬送コンベア10の下方において、搬送コンベア10の搬送方向に延在している。当該回転用コンベア15の延在範囲は、カメラ21の画角範囲よりも上流からカメラ21の画角範囲まで延在している。本実施形態の回転用コンベア15は、搬送コンベア10の回転体11(1対のホイール13)の下部に当接するように配置されており、コンベア10の搬送方向にベルト16が移動するように、メインコンピュータ(不図示)によって回転制御される。これにより、本実施形態では、第1実施形態とは逆向きに回転体11およびトマトTが回転することとなる。ここで、当該回転用コンベア10の移動速度は、カメラ21の画角範囲内において大きいサイズのトマトTを1回転させるように回転体11を回転させる速度に調節されている。
【0029】
本実施形態のエアノズル41は、搬送コンベア10の搬送経路上において、カメラ21よりも下流側に設けられており、カメラ21の画角範囲に向かってエアが噴出される。
【0030】
本実施形態の選別装置は、第1実施形態と同様に、判定エリアにおけるカメラ21の画角範囲を移動するトマトTに対してエアが吹き付けられるので、トマトTに付着したゴミや埃を取り除くことができる。また、トマトTに対する回転体11の回転方向に準じて(回転方向と同方向に)エアが吹き付けられるので、二個乗り状態のトマトTを前後に分散配置できる。また、回転体11に対してトマトTを付勢できるので、サイズの小さなトマトTであっても画角内で回転させることが可能となる。
【0031】
以上、本実施形態の選別装置を説明したが、本実施形態は下記の変形例の態様であっても構わない。
【0032】
[変形例1]
上記実施形態において判定エリアでは、コンベア10によって回転搬送される青果物を、上方から所定レートで撮像することにより、青果物の全周面の画像を取得し、全周の画像に基づいて青果物の外観品質を判定しているが、当該態様に限定されない。例えば、青果物を搬送するコンベアの上方に設けられた上カメラと、コンベアの左右の側方に設けられた右カメラおよび左カメラと、を備え、一定姿勢で搬送されてきた青果物を上カメラ、右カメラ、及び左カメラで撮像し、各カメラによって生成された複数の画像に基づいて外観品質が判定されても構わない。このような変形例において、判定エリアのコンベアは、例えば、青果物の搬送方向に連結された複数のトレイであって、トレイは青果物を載置する載置部を有するものを用いることができる。そして、上記エアノズル41は、上カメラ、右カメラ、及び左カメラよりも上流側に設置される。
【符号の説明】
【0033】
10 コンベア
20 外観品質判定装置
21 カメラ
30 内部品質判定装置
41 エアノズル
T トマト(青果物)
図1
図2
図3
図4