(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018608
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】セミフラット街渠用縁石付き自由勾配門形およびボックス形側溝
(51)【国際特許分類】
E03F 5/046 20060101AFI20230201BHJP
E01C 11/22 20060101ALI20230201BHJP
E03F 5/04 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
E03F5/046
E01C11/22 Z
E03F5/04 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021141932
(22)【出願日】2021-07-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】503234115
【氏名又は名称】大嶋 正剛
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 正剛
【テーマコード(参考)】
2D051
2D063
【Fターム(参考)】
2D051AA03
2D051AC06
2D051AF03
2D063CA07
2D063CA22
2D063CB11
(57)【要約】
【課題】 段差のある歩車道境界において、歩道と自転車通行帯の環境に適したセミフラット街渠用縁石付き落し蓋掛け門形側溝およびボックス型側溝を形成する。
【解決手段】 上面が側溝本体越流部と落し蓋車止部が交互に連続する縁石とスリット付エプロンとでセミフラット街渠を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車通行帯と、それより高い段差のある歩道との境界を区分する歩車道境界縁石付き落し蓋門形側溝ないしボックス形側溝によるセミフラット街渠であって、
上面が側溝本体越流部と落し蓋車止部が交互に切れ目なく連続する縁石とスリット付エプロンとでL形エプロンとを形成し、
歩道面と一致する高さの前記越流部縁石にて設置するセミフラット街渠において、前記越流部縁石は自転車乗入れ可能幅で、前記車止部縁石の間隔ごとに自転車通行帯に沿って連続状態に配設されてなり、
前記越流部縁石が、連続状態で歩道からの雨水流出水を滞留することなく、L形エプロンへ傾斜排水し、前記スリットから側溝内へ落下排水することと併せ、走行自転車のみ歩道への乗入れを街渠沿いに自由とすることを特徴とする歩車道境界縁石付き落し蓋門形側溝ないしボックス形側溝によるセミフラット街渠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装道路の車道側帯と、それより高い段差のある歩道との境界に設置するセミフラット街渠用縁石付きスリット蓋掛け門形およびボックス形側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセミフラット街渠用落し蓋掛け門形側溝は、側溝沿い隣接する別途施工の歩車道境界ブロック縁石側面を歩道止として、車道路肩と並行して帯び状に延び、車道側帯を自転車通行用としている。
【0003】
従来、歩道のバリアフリー化において、国が示す「道路の移動円滑化整備ガイドライン」で、車道からの歩道面の高さを標準5cmと定めてあり、エプロン渠底とそれより高い5cm段差境界のセミフラット街渠においては、縁石が車止構造として歩道面からさらに10cm~20cm高く設置されるので、歩道面の雨水排水を切れ目なく連続する境界縁石が遮るため、水抜きに設けた穴明開口からのみエプロンに排出している。
【0004】
現在では、道路空間における利活用の多様化を目指し、歩行者中心に再構築するとして、歩道拡幅と自転車通行帯の柔軟な使い方を推進する流れとなっているが、一方においては、連続する歩車道境界縁石に沿って、路肩車道側帯を走行する自転車が、時として、前方に駐停車中の車両を避ける場合、安全な歩道には乗入できず、隣接車線の車道へ入らざるをえない危険を有してもいる。
【先行技術文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-66057号公報
【特許文献2】特開2017-106291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
段差境界のセミフラット街渠においては、歩道面の雨水排水を切れ目なく連続する境界縁石が遮るため、水抜きに設けた穴明開口からのみエプロンに排出しており、大雨時の水たまりや歩行者への水はねを抑制できず、集水幅員が広い歩道や縦断勾配が取れない箇所では、快適な歩行環境を得にくく、
また、切れ目なく連続する歩車道境界縁石の障壁に沿って、左側歩道面に進入出来ない構造の路肩通行帯を走行する自転車は、前方に駐停車中の車両を避けて隣の車道車線のみに入らざるをえない場合が生じる危険性も常に伴っているので、歩道面への一時回避による安全向上の必要も課題とされている。
なおまた、歩行者および逸脱車両の交通事故防止、軽減における交通安全対策として、大型トラックや普通乗用車でも歩車道境界縁石を乗り越える事故が少なく無く通学路等での対策が求められている。
そして、近年では、技術革新によって開発された様々な移動手段の実証実験が進められており
例えば立って運転する電動キックスケーターは、現在、原付バイクに分類されているが、フランスやドイツなどでは自転車と同じ扱いで、市民が街中の手頃な移動手段としている。
国内でも規制緩和を求める状況ともなっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明の側溝は、縁石付門形本体と縁石付落し蓋を用い、本体の縁石を歩道止として歩道面に一致する自転車乗入も可能の排水越流部と、落し蓋のそれより高い歩車道境界縁石の車止部とが、交互にエプロンから立上る構造とし、アスファルト主舗装止めを兼ねる落し蓋門形側溝本体及び蓋版の上をセミフラットL形エプロン排水落下スリット付き街渠とする。
【0008】
自転車通行帯と、それより高い歩道面との段差境界の縁石付きL形エプロン街渠において、
連続する縁石が歩道面と一致する低い越流部と、高い車止部が、おおむね1m交互に設置されて歩道面の雨水が道路沿い連続状態でエプロンに越流排水できるとともに、
自転車のみ走行中に歩道面への乗り入れが、ずい時可能となる。
【0009】
L形エプロンは、門形側溝の本体上面とともに排水落下スリット付き蓋版でもあり、連続状態のスリットが歩車道両面の流出雨水を門形側溝内に落下排水するものである。
【発明の効果】
【0010】
越流部と車止部とが交互し、切れ目なく連続する縁石付き落し蓋街渠によって、車止部は通行車両が乗り入れできない高さに形成され、越流部が広い歩道面の雨水を街渠エプロンへ落下排水するための十分な流下帯となる。
【0011】
車止部と越流部とが交互に連続する歩車道境界縁石沿い自転車通行帯においては、自転車走行中に前方に駐停車中の車両を避けて、歩道内に一時回避する場合も安全性が確保でき、安全で快適な自転車通行帯を創出するものとなる。
【0012】
側溝本体及び落し蓋版の上をセミフラットL形エプロン排水落下スリット付き街渠とするので、歩車道境界ブロックの別途施工を省き、歩車道境界縁石付き落し蓋としての設置は、省力安価で、一般の平板蓋と同等に側溝の蓋受部に収納されているに過ぎず、側溝外側面の舗装転圧等に影響されないので、着脱には側溝本体に拘束されることなく、維持補修にも適している。
【0013】
縁石付落し蓋は着脱可能であり、交通安全対策において、大型トラックや普通乗用車が車線を逸脱して歩車道境界縁石を乗り越える事故を防ぐため、通学路等の縁石を一般部より高さをプラスした車止部とする縁石付き落し蓋への入替えのみで容易に対応できる。
また、一般通行帯の一部を横断乗入に用途変更する場合においても、側溝本体はそのまま維持し、車止部の無い越流部付縁石の落し蓋に変更することで足りる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】 越流縁石付き門形側溝本体と、車止縁石付き落し蓋の実施例を示す斜面図である。
【
図2】
図1に示す門形側溝本体と縁石付き落し蓋により、自転車通行用車道側帯と段差のある歩道との境界沿いセミフラットL形エプロン街渠を形成した実施例を示す切欠斜面図である。
【
図5】 越流縁石付きで上面開口部のあるボックス形側溝本体と、車止縁石付き落し蓋の実施例を示す斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
門形側溝は、おおむね通水断面が内幅上部30cm~40cm、内高10cm刻みで30~120cm、全長2m、上面中央に長さ1.0~1.2mの開口部があり、両端寄りの開口のないスリット付き上版を越流部縁石付きとするプレキャストコンクリートで供給され、基礎上に順勾配で路面を天端高として布設してのち、開口部からのコンクリート供給により自由勾配整形する。
蓋版は、スリット付で厚さ9cm~12cm、長さは本体開口部に合わせ1.0~1.2mとする車止部縁石付きプレキャストコンクリートで供給され、側溝本体開口部に落し蓋として収納設置する。
【0016】
側溝本体の越流部縁石と、落し蓋の車止部縁石とが交互して歩道との境界段差に沿い、排水落下スリット付きの自由勾配セミフラット街渠を形成する。
側溝本体及び落し蓋版の上を車道側帯セミフラット街渠L形エプロンとする縁石の側溝上面からの高さは、歩道面との段差5cmに対応し、越流縁石5cm、車止縁石15cm、20cm、25cmとしている。
【実施例0017】
図1は越流部縁石付き門形側溝(1A)と車止部縁石付き落し蓋(2)の実施例を示す斜面図で、縁石付き落し蓋の側溝本体への収納設置部分を示している。
この実施例では、L形エプロン(3)にスリット(12)を設け、すべり止め粗面としている。
また、縁石の端面は角に丸味と面取を施してある。
【0018】
図2は、
図1に示す門形側溝(1A)と縁石付き落し蓋(2)により、自転車通行帯(10)沿いセミフラット街渠(15)とした実施例であり、
L形エプロン(3)の縁石(5)は越流部(5A)と車止部(5B)が1m交互に連続して形成される。
越流部(5A)が連続状態で歩道(17)からの雨水流出水を滞留なく、L形エプロン(3)へ傾斜排水し、スリット(12)から街渠(15)へ落下排水することと併せ、走行自転車の歩道への乗入れも街渠沿いに自由となる。
走行中の自転車の乗入は、縁石(5)の越流部(5A)0.8m~1.0m幅で、車止部(5B)(5B)間1.2m~1.0mと交互に連続しているので、自由となる反面、四輪自動車等は進入不可能である。
【0019】
歩車道境界は
図3図4に示すとおり、この実施例においては、側溝本体上面に歩道(17)の一部が重なって、開口部(14)に収納した縁石付き落し蓋の車止部(5B)が歩道止めであり、越流部(5A)も側溝本体の上版部(13)に歩道が重なって合致しているので、歩車道境界の雑草生育の抑制効果をも期待できる。
【0020】
図5は排水勾配が一様な箇所で調整コンクリートの打設が不要となるボックス形側溝(1B)の実施例である。
側溝本体に開口部(14)があり、縁石付落し蓋(2)を収納設置し、車止部(5B)を形成する。
側溝本体の上版部(13)に縁石越流部(5A)があり、縁石付落し蓋の車止部(5B)ともこの実施例では歩道(17)は側溝本体上面に重ならない形式としている。
本発明は、縁石が側溝上にあるので、側溝本体の露出が少なく、自転車通行帯の舗装面有効幅に余裕が生じるうえ、従来の一般流通門形側溝およびボックス形側溝に適用でき、普及面での制約は生じない。
さらに、縁石付き落し蓋の型枠も従来からの一般品を流用加工できるため、生産供給においても在来の道路用コンクリート製品と同等に安価に流通する。