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特開2023-18616リチウムイオン電池電極の製造方法と製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018616
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池電極の製造方法と製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20230201BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230201BHJP
   C01B 32/174 20170101ALI20230201BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/62 Z
C01B32/174
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167528
(22)【出願日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】202110852904.7
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】方 振翰
(72)【発明者】
【氏名】王 佳平
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AB06
4G146AB07
4G146AC19B
4G146AD17
4G146AD23
4G146AD25
4G146BA04
4G146CB09
4G146CB10
4G146CB17
4G146CB35
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA10
5H050EA08
5H050FA15
5H050FA16
5H050GA02
5H050GA04
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA22
5H050GA29
5H050HA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】活物質を均一に分布させることが可能なリチウムイオン電池電極の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】リチウムイオン電池電極の製造方法は、カーボンナノチューブ原料を製造する第一ステップと、リチウムイオン電池の電極活物質および溶媒を提供する第二ステップと、カーボンナノチューブ原料及び電極活物質を前記溶媒と混合し、超音波分散させて、電極混合物を形成する第三ステップと、電極混合物を基板に噴霧して電極層を形成し、電極層を乾燥させた後、基板を除去して、リチウムイオン電池電極を形成する第四ステップと、を含む。また、リチウムイオン電池電極の製造装置も提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ原料を製造する第一ステップと、
リチウムイオン電池の電極活物質および溶媒を提供する第二ステップと、
前記カーボンナノチューブ原料及び前記電極活物質を前記溶媒と混合し、超音波分散させて、電極混合物を形成する第三ステップと、
前記電極混合物を基板に噴霧して電極層を形成し、前記電極層を乾燥させた後、前記基板を除去して、リチウムイオン電池電極を形成する第四ステップと、
を含むことを特徴とするリチウムイオン電池電極の製造方法。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブ原料の製造方法は、基板に超配列カーボンナノチューブアレイを成長するサッブステップと、基板から超配列カーボンナノチューブアレイを削り取って前記カーボンナノチューブ原料を得るサッブステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池電極の製造方法。
【請求項3】
前記電極活物質は、リチウムイオン電池の正極活物質またはリチウムイオン電池の負極活物質であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池電極の製造方法。
【請求項4】
前記第四ステップは、
前記電極混合物を回収装置に入れる第一サッブステップと、
液体パイプを前記回収装置に設置し、スプレーガンの位置を固定する第二サッブステップと、
回転装置を始動して前記基板を回転させ、前記スプレーガンを使用して前記基板の表面に前記電極混合物を噴霧して前記電極層を形成する第三サッブステップと、
前記電極層を乾燥させた後、前記基板を取り外して前記リチウムイオン電池電極を得る第四サッブステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池電極の製造方法。
【請求項5】
回転装置と、回収装置と、基板と、スプレーガンと、を含むリチウムイオン電池電極の製造装置であって、
前記回転装置は、動作時に回転軸を中心に回転され、
前記回収装置は前記回転装置に固定され、
前記基板は前記回収装置の内部に固定され、
前記スプレーガンは、前記基板の上方向に設置され、前記基板に電極混合物を噴霧することに使用されることを特徴とするリチウムイオン電池電極の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池電極の製造方法と製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池のエネルギー貯蔵は、モバイルエレクトロニクス、電気輸送、電力貯蔵などの分野で広く使用されている。高耐久性電気自動車、大規模産業用エネルギー貯蔵、スマートグリッド、その他の高エネルギー貯蔵装置の需要が高まるにつれ、リチウムイオン電池のエネルギー密度も緊急に改善する必要がある。従来市販されているリチウムイオン電池を例にすると、活物質、導電剤、バインダー、集電体が一緒に正極シートおよび負極シートを形成する。しかし、正極板と負極板におけるすべての導電剤、バインダー、集電体は不活性材料であり、容量を提供できない。したがって、不活性材料の含有量を可能な限り減らすことで、リチウムイオン電池のエネルギー密度を効果的に高めることができる。例えば、活物質の表面負荷(surface loading)が高い。電極を製備することによって、集電体の質量比を下げることができる。
【0003】
活物質は低表面負荷シートに均一に分散させることができるが、電極の活物質の表面負荷を増やす場合、導電剤とバインダーを同時に改善する必要がある。そうしないと、活物質がシートに均一に分散させることを改善できない。表面負荷が大きくなると、シートの表面に微小な亀裂が発生するのは、電極の厚みが増すと電極の不均一性が大きくなり、表面張力の分布が不均一になるため、局所的な接合効果が不均一になることである。これらの微小な亀裂の存在は、電解質消費の増加と構造安定性の低下につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これによって、リチウムイオン電池電極における活物質が均一に分布できるリチウムイオン電池電極の製造方法と製造装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
リチウムイオン電池電極の製造方法は、カーボンナノチューブ原料を製造する第一ステップと、リチウムイオン電池の電極活物質および溶媒を提供する第二ステップと、前記カーボンナノチューブ原料及び前記電極活物質を前記溶媒と混合し、超音波分散させて、電極混合物を形成する第三ステップと、前記電極混合物を基板に噴霧して電極層を形成し、前記電極層を乾燥させた後、前記基板を除去して、リチウムイオン電池電極を形成する第四ステップと、を含む。
【0006】
前記カーボンナノチューブ原料の製造方法は、基板に超配列カーボンナノチューブアレイを成長するサッブステップと、基板から超配列カーボンナノチューブアレイを削り取って前記カーボンナノチューブ原料を得るサッブステップと、を含む。
【0007】
前記電極活物質はリチウムイオン電池の正極活物質またはリチウムイオン電池の負極活物質である。
【0008】
前記基板を除去して、前記リチウムイオン電池電極を形成する方法は、前記電極混合物を回収装置に入れる第一サッブステップと、液体パイプを前記回収装置に設置し、スプレーガンの位置を固定する第二サッブステップと、回転装置を始動して前記基板を回転させ、前記スプレーガンを使用して前記基板の表面に前記電極混合物を噴霧して前記電極層を形成する第三サッブステップと、前記電極層を乾燥させた後、前記基板を取り外して前記リチウムイオン電池電極を得る第四サッブステップと、を含む。
【0009】
回転装置と、回収装置と、基板と、スプレーガンと、を含むリチウムイオン電池電極の製造装置であって、前記回転装置は、動作時に回転軸を中心に回転され、前記回収装置は前記回転装置に固定され、前記基板は前記回収装置の内部に固定され、前記スプレーガンは、前記基板の上方向に設置され、前記基板に電極混合物を噴霧することに使用される。
【発明の効果】
【0010】
従来技術と比べて、本発明が提供されるリチウムイオン電池電極を製造する方法は、以下の有益な効果を有する。スプレーガンを使用して電極混合物を基板に直接噴霧することにより、電極混合物の均一性を確保することができ、その結果、電極活物質およびカーボンナノチューブは同じ沈降速度を持ち、均一なリチウムイオン電池電極を形成する。これにより、従来のリチウムイオン電池電極と比べて、高表面負荷で本発明チウムイオン電池電極における微小な亀裂の発生を効果的に回避できる。スプレーガンのスプレープロセスにより、電極活物質の損失が大幅に減少し、リチウムイオン電池電極のサイクルの改善に役立つ。本発明により提供されるリチウムイオン電池電極の製造方法は、バインダーを添加する必要がないため、製造されるリチウムイオン電池電極はリチウムイオン電池の電極活物質とカーボンナノチューブのみからなり、リチウムイオン電池の電極活物質の比重は比較的高く、且つリチウムイオン電池の電極活物質間に障壁がなく、それに応じてリチウムイオン電池電極の全体的な導電性を改善できる。そして、リチウムイオン電池電極の製造方法は、操作が簡単であり、コストが低い。本発明によって提供されるリチウムイオン電池電極の製造方法は、以下の有益な効果を有する。スプレーガンを使用して電極混合物を基板に直接噴霧することにより、電極混合物の均一性を確保することができ、電極活物質およびカーボンナノチューブは同じ沈降速度を持ち、均一なリチウムイオン電池電極を形成でき、高い表面負荷で電極における微小な亀裂の発生を効果的に回避できる。スプレーガンのスプレープロセスにより、電極活物質の損失が大幅に減少し、且つリチウムイオン電池のサイクル性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のリチウムイオン電池電極の製造装置を示す図である。
図2】本発明のリチウムイオン電池電極の製造方法のフローチャートである。
図3】本発明の実施例1のリチウムイオン電池の正極の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4】本発明の実施例1のリチウムイオン電池の正極の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図5】本発明の比較例1のリチウムイオン電池の正極の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。
図6】本発明の空気雰囲気中の実施例1のリチウムイオン電池の正極の熱重量分析(TGA)曲線図である。
図7】本発明の0.5Cの倍率での実施例2と比較例2のボタン電池の性能比較を示す図である。
図8】本発明の1Cの倍率での実施例2と比較例2のボタン電池の性能比較を示す図である。
図9】本発明の実施例2と比較例2のボタン電池の倍率の比較を示す図である。
図10】本発明の異なる倍率での実施例1のリチウムイオン電池の正極の容量-電圧の関係を示す図である。
図11】本発明の異なる倍率での比較例1のリチウムイオン電池の正極の容量-電圧の関係を示す図である。
図12】本発明のサイクリング前後の実施例1のリチウムイオン電池の正極の電気化学的インピーダンス(EIS)曲線を示す図である。
図13】本発明のサイクリング前後の比較例1のリチウムイオン電池の正極の電気化学的インピーダンス(EIS)曲線を示す図である。
図14】本発明の0.5Cの倍率で実施例3のボタン電池と比較例3のボタン電池の性能比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0013】
図1を参照すると、本発明の一実施形態はリチウムイオン電池電極を製造するリチウムイオン電池電極の製造装置100を提供する。リチウムイオン電池電極の製造装置100は、回転装置18と、回収装置16と、基板12と、スプレーガン10と、を含む。回転装置18は、動作時に回転軸を中心に回転する。回収装置16は回転装置18に固定される。基板12は回収装置16の内部に固定される。スプレーガン10は、基板12の上方向に設置され、基板12に電極混合物を噴霧する。
【0014】
基板12は、電極混合物を支持することに使用される。基板12は固体平面構造体である。基板12の材料は、ポリマー、金属、或いはガラスなどである。例えば、ポリマーはポリテトラフルオロエチレン、またはポリエチレンなどである。金属はアルミニウムまたは銅などである。基板12はグリッド構造体であってもよい。基板12は、例えば、ステンレス鋼フィルタースクリーン、またはモレキュラーシーブなどであってもよい。本実施例において、基板12はステンレス鋼フィルタスクリーンであり、そのメッシュ数が1000メッシュである。
【0015】
基板12は回収装置16の内部に固定さる。さらに、基板12は、支持体14によって、回収装置16の内部に固定されてもよい。支持体14は、基板12を支持することに使用される。支持体14は回収装置16に設置される。具体的には、支持体14は、一つの本体及び少なくとも三つの支持柱を含む。支持体14の本体は、基板12を支持することに使用される。また、支持体14の本体は溝を有し、基板12は溝に設置されてもよい。また、支持体14の本体は中空フレームであってもよく、基板12は中空フレームに設置され、且つ回収装置16の内部に懸架される。基板12の面積は、回収装置16の断面積よりも小さい。支持体14の支持柱は回収装置16に固定される。基板12が回収装置16の内部に設置される限り、支持体14の支持柱は、回収装置16の外表面または回収装置16の内表面に固定されることができる。支持体14の支持柱を回収装置16に固定する方法は限定されず、スナップ方式で回収装置16に固定されることも、接着剤で回収装置16に固定されることもできる。基板12は、対向する第一表面及び第二表面を含む。第一表面は支持体14に設置される。好ましくは、基板12の第二表面の高さは、回収装置16の高さよりも低く、基板12の第一表面は、回収装置16に搭載された電極混合物の高さよりも高い。これにより、基板12にスプレーされていない電極混合物を回収装置16に回収することができる。本実施例において、支持体14は、一つの本体と3本の支持柱とを含み、支持柱は、回収装置16の外表面に接着剤で固定されている。支持体14の本体は中空フレームであり、フィルターは中空フレームに設置される。
【0016】
回収装置16は回転装置18に固定され、電極混合物は回収装置16に設置される。回収装置16は、回転装置18によって支持され、回転装置18の回転とともに回転する。回収装置16は、溝162を有する。基板12および支持体14の少なくとも一部は、溝162に設置される。電極混合物は溝162に設置される。電極混合物を溝162に設置することができる限り、回収装置16の材料は限定されない。回収装置16のサイズおよび形状は、必要に応じて選択できる。本実施例には、回収装置16の材料はガラスであり、回収装置16は円筒構造を有する。
【0017】
回転装置18は回収装置16を固定するために使用される。その結果、回収装置16は、回転装置18の回転とともに回転し、さらに、基板12を一緒に回転させる。回転装置18が回転しても、スプレーガン10の位置は変化しない。回収装置16を回転させることができる限り、回転装置18の形状および材料は限定されない。本実施例では、回転装置18はターンテーブルである。
【0018】
スプレーガン10は、電極混合物を基板12に噴霧するために使用される。スプレーガン10は、気体入口102および液体入口104を含む。液体入口104は液体パイプ106の一つの端部に接続され、液体パイプ106のもう一つの端部は電極混合物と接触するように溝162に設置される。これにより、電極混合物をスプレーガン10に循環して使用することができる。気体入口102は、スプレーガン10に空気を供給するための気体パイプ108に接続される。
【0019】
本発明に提供されるリチウムイオン電池電極の製造装置100は、以下の利点を有する。電極混合物をスプレーガンで噴霧することによるリチウムイオン電池電極を製造するのは、電極混合物の均一性を保証し、活物質が均一に分布するリチウムイオン電池電極を形成することができる。同時に、リチウムイオン電池電極の製造装置100は、電極混合物のリサイクルを実現し、電極材料を節約し、リチウムイオン電池電極の製造効率を向上させることができる。
【0020】
図2を参照すると、本発明の一実施形態は、リチウムイオン電池電極の製造装置100を使用して、リチウムイオン電池電極の製造方法を提供する。リチウムイオン電池電極の製造方法は、以下のステップを含む、
ステップ(S1)、カーボンナノチューブ原料を製造する。
ステップ(S2)、リチウムイオン電池の電極活物質および溶媒を提供する。
ステップ(S3)、カーボンナノチューブ原料及び電極活物質を溶媒と混合し、超音波分散させて、電極混合物を形成する。
ステップ(S4)、電極混合物を基板に噴霧して電極層を形成し、電極層を乾燥させた後、基板を除去してリチウムイオン電池電極を形成する。
【0021】
ステップ(S1)において、カーボンナノチューブ原料は、複数のカーボンナノチューブのみからなる。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、または多層カーボンナノチューブであってもよい。カーボンナノチューブの直径は1nm~200nmである。カーボンナノチューブの長さは100ミクロンより長く、好ましくは、カーボンナノチューブの長さは300ミクロンより長い。カーボンナノチューブの長さは等しくても等しくなくてもよい。好ましくは、カーボンナノチューブの長さは等しい。カーボンナノチューブは、好ましくは、純粋な表面を有し、不純物を含まないカーボンナノチューブである。カーボンナノチューブ原料の製造方法は、基板にカーボンナノチューブアレイを成長するサッブステップと、基板からカーボンナノチューブアレイを削り取ってカーボンナノチューブ原料を得るサッブステップと、を含む。カーボンナノチューブ原料をカーボンナノチューブアレイから直接に得る場合、カーボンナノチューブ原料を用いて製造したリチウムイオン電池電極の強度が高い。好ましくは、カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイである。超配列カーボンナノチューブアレイは、カーボンナノチューブアレイにおけるカーボンナノチューブの長さが比較的長く、一般に300を超えることを意味する。カーボンナノチューブの表面は純粋で、アモルファスカーボンや残留触媒金属粒子などの不純物はほとんど含まない。カーボンナノチューブの延伸方向は基本的に同じである。カーボンナノチューブアレイの製造方法は限定されておらず、化学気相蒸着法、アーク放電製造法、またはエアロゾル製造法であってもよい。
【0022】
ステップ(S2)において、リチウムイオン電池の電極活物質は、リチウムイオン電池の正極活物質またはリチウムイオン電池の負極活物質である。具体的には、リチウムイオン電池の正極を製造する場合は、リチウムイオン電池の正極活物質を使用し、リチウムイオン電池の負極を製造する場合は、リチウムイオン電池の負極活物質を使用する。
【0023】
正極活物質は、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、コバルト酸リチウム(LiNi0.8Co0.2)、酸化リチウムコバルト(LiCoO)、酸化リチウムニッケル(LiNiO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、マンガン酸リチウム(LiMnPO)、LiNi0.8Co0.15Al0.05O(NCA)、またはリチウムニッケルコバルトマンガン(LiNiCoMn)(x:y:zの比率は1:1:1、5:3:2、8:1:1、または9:0.5:0.5)の中のいずれかの一種または多種である。
【0024】
負極活物質は、グラファイト、チタン酸リチウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ素、またはナノ合金の中のいずれかの一種または多種である。
【0025】
溶媒は、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、または水の中のいずれかの一種または多種である。好ましくは、溶媒は揮発性がよい非毒性の溶媒である。本実施例において、溶媒はエタノールである。溶媒は揮発性がよい非毒性の溶媒である場合、追加の処理技術なしで溶媒を直接に蒸発させることができ、製造方法は簡単である。
【0026】
ステップ(S3)において、カーボンナノチューブ原料および電極活物質を溶媒と混合する順序は制限されない。本実施例において、カーボンナノチューブ原料及び電極活物質を容器に加えた後、適量のエタノールを加える。
【0027】
カーボンナノチューブおよび電極活物質の総質量に対するカーボンナノチューブ原料の質量の比は、0.1wt%~20wt%であり、好ましくは、1wt%~10wt%である。例えば、カーボンナノチューブおよび電極活物質の総質量に対するカーボンナノチューブ原料の質量の比は、3wt%、5wt%、または10wt%であってもよい。
【0028】
超音波の出力は400ワット~1500ワットであり、好ましくは、800ワットから1000ワットである。超音波振動の時間は2分間~30分間であり、好ましくは、5分間~10分間である。超音波振動後、カーボンナノチューブ原料及び電極活物質を均一に混合して電極混合物を形成する。
【0029】
ステップ(S4)では、スプレーガン10を使用して、電極混合物を基板12に噴霧し、乾燥させて、リチウムイオン電池電極20を形成する。図1を参照すると、このステップでは、リチウムイオン電池電極の製造装置100を使用して、リチウムイオン電池電極20を製造する。
【0030】
リチウムイオン電池電極の製造装置100を用いてリチウムイオン電池電極20を製造する方法は、以下ステップを含む。
ステップ(S41)、電極混合物を回収装置16に入れる。
ステップ(S42)、液体パイプ106を回収装置16に設置し、スプレーガンの位置を固定する。
ステップ(S43)、回転装置18を始動して基板12を回転させ、スプレーガン10を使用して基板12の表面に電極混合物を噴霧して電極層を形成する。
ステップ(S44)、電極層を乾燥させた後、基板12を取り外してリチウムイオン電池電極20を得る。
【0031】
ステップ(S41)において、ステップ(S3)で得られた電極混合物は、回収装置16の溝162に入れる。
【0032】
ステップ(S42)において、液体パイプ106は、溝162に入れる電極混合物と接触させ、スプレーガン10に電極混合物を提供する。スプレーガン10のノズルが基板12に対して垂直になるように固定され、吹付け距離(スプレーガンのノズルと基板12との距離)は5cm~30cmに制御される。本実施例において、吹付け距離は20cmである。
【0033】
ステップ(S43)において、回転装置18が作動して回転装置18を回転させ、基板12を一緒に回転させ、空気が気体パイプ108を介してスプレーガン10に導入され、スプレーガン10が作動して基板12の表面に電極混合物をスプレー(噴霧)する。回転装置18が回転しても、スプレーガン10の位置は変化しない。回転装置18の回転速度は10r/min~200r/minである。本実施例では、回転装置18はターンテーブルであり、ターンテーブルの回転速度は50r/minである。スプレーガン10の空気消費量は50L/min~250L/minである。本実施例では、スプレーガン10の空気消費量は225L/minである。スプレーガン10の空気圧は0.2MPa~0.5MPaである。本実施例では、スプレーガン10の空気圧は0.25MPAである。電極混合物の噴霧量は85mL/min~210mL/minである。本実施例では、電極混合物の噴霧量は170mL/minである。スプレーガン10のスプレー幅は100mm~200mmである。本実施例では、スプレーガン10のスプレー幅は175mmである。
【0034】
ステップ(S44)において、回収装置16に入れる電極混合物が清澄化された後、噴霧を停止し、電極層における溶媒を乾燥および蒸発する。電極層が完全に乾燥された後、電極層が基板12から外されてリチウム電池電極が得られる。リチウムイオン電極の厚さは、必要に応じて製造できる。本実施例では、電極の厚さは100ミクロンである。さらに、リチウムイオン電池の電極をリチウムイオン電池の組み立てに必要な形状及びサイズに切断するための切断ステップが含まれてもよい。たとえば、リングナイフまたはブレードを使用して、リチウムイオン電池の電極を電池の組み立てに必要な丸い形状または四角の形状に切断することができる。
【0035】
本発明が提供されるリチウムイオン電池電極を製造する方法は、以下の有益な効果を有する。スプレーガンを使用して電極混合物を基板上に直接噴霧することにより、電極混合物の均一性を確保することができ、その結果、電極活物質およびカーボンナノチューブは同じ沈降速度を持ち、均一なリチウムイオン電池電極を形成する。これにより、従来のリチウムイオン電池電極と比べて、高い表面負荷で本発明のリチウムイオン電池電極における微小な亀裂の発生を効果的に回避できる。スプレーガンのスプレープロセスにより、電極活物質の損失が大幅に減少し、サイクルの改善に役立つ。本発明により提供されるリチウムイオン電池電極の製造方法は、バインダーを添加する必要がないため、製造されるリチウムイオン電池電極はリチウムイオン電池の電極活物質とカーボンナノチューブのみからなり、リチウムイオン電池の電極活物質の比重は比較的高く、且つリチウムイオン電池の電極活物質間に障壁がなく、それに応じてリチウムイオン電池電極の全体的な導電性を改善できる。そして、リチウムイオン電池電極の製造方法は、操作が簡単であり、コストが低い。
【0036】
実施例1
0.2gの超配列カーボンナノチューブ及び1gのリン酸鉄リチウム(LEP)粉末を600mLのエタノールに入れ、30分間超音波分散させて電極混合物を得る。得られた電極混合物を、スプレーガンを介して1000メッシュのフィルタースクリーンに噴霧し、乾燥後、自立構造を有するリチウムイオン電池正極をフィルタースクリーンから取り外す。
【0037】
比較例1
活物質であるリン酸鉄リチウム、導電剤super-p(導電性カーボンブラック)及びバインダー(PVDF)を質量比8:1:1で混合し、NMP溶剤に分散させてスラリーを得る。金属集電体(AlまたはCu)にスラリーをコーティングして乾燥させた後、リチウムイオン電池の正極が得られる。
【0038】
図3および図4は、実施例1のリチウムイオン電池の正極のSEM写真である。図5は、比較例1のリチウムイオン電池の正極のSEM写真である。図3図5において、実施例1のリチウムイオン電池の正極のリン酸鉄リチウム及び比較例1のリチウムイオン電池の正極のリン酸鉄リチウムは同じ高い表面負荷を有し、その表面負荷は10mg/cmである。図3に示すように、実施例1のリチウムイオン電池の正極表面のリン酸鉄リチウムは均一に分布しており、微小な亀裂がないことが分かる。同時に、図4に示すように、実施例1のリチウムイオン電池の正極の表裏のSEM写真から、実施例1のリチウムイオン電池の正極の均一性に優れていることがわかる。図5を参照すると、比較例1のリチウムイオン電池の正極の表面に微小な亀裂があり、リン酸鉄リチウムが不均一に分布している。比較例1のリチウムイオン電池の正極と比較して、同じ高い表面負荷下で、実施例1のリチウムイオン電池の正極はカーボンナノチューブフィルムの優れたネットワーク構造体を有するので、微小な亀裂の生成を効果的に回避することができる。同時に、噴霧法は、電極混合物の均一性を保証することができ、それにより、リチウムイオン電池の正極におけるリン酸鉄リチウム分布の均一性を保証することができる。
【0039】
図6は、空気雰囲気における実施例1のリチウムイオン電池の正極の熱重量分析(TGA)曲線図である。実施例1のリチウムイオン電池の正極中のリン酸鉄リチウムの含有量は、図6から確定することができる。図6に示すように、600℃~700℃の空気雰囲気では、リチウムイオン電池の正極の重量損失は19.03%であり、これはこの温度範囲でのカーボンナノチューブの分解に対応する。温度が750℃より高く、リチウムイオン電池の正極の質量は安定する傾向がある。したがって、リン酸鉄リチウムの含有量は80.97%であることを確定できる。実施例1のリチウムイオン電池の正極を製造する際の材料の質量比は、実施例1に明確に記載される。これにより、実施例1のリチウムイオン電池の正極のリン酸鉄リチウムの理論含有量が83.33%であることを分かる。図6から、噴霧工芸により、活物質であるリン酸鉄リチウムの損失が大幅に減少していることがわかる。
【0040】
実施例2
実施例1のリチウムイオン電池の正極を正極とし、ポリプロピレンフィルムをセパレータとし、リチウム箔を負極とし、ステンレスガスケットを使用して、前記の部品が積層され、R2016バッテリーシェルによって組み立ち、ボタン電池を形成する。FECとFEMCとHFEとからなる混合液に1MのLiPF6を添加し、電解質を形成する。FECとFEMCとHFEとの質量パーセント比は2:6:2である。ボタン電池の組み立て工程は、アルゴングローブボックスで行わる。
【0041】
比較例2
比較例2のボタン電池の構造は、実施例2のボタン電池の構造と基本的に同じである。異なる点は、比較例1のリチウムイオン電池の正極を正極として使用することである。
【0042】
図7は、0.5Cの倍率での実施例2および比較例2のボタン電池の性能比較図である。図7から、0.5C倍率での実施例2のボタン電池の初期比容量は168.4mAh/gであり、150回のサイクル後も166.5mAh/gを維持し、容量保持率98.87%及び平均クーロン効率99.9924%に対応することがわかる。比較例2のボタン電池は、初期比容量が0.5Cで157.4mAh/gであり、その後のサイクルで急速に減衰し、6回のサイクル後にはほとんど容量が解放されない。これにより、実施例2のボタン電池の性能は、比較例2のボタン電池の性能よりも著しく優れていることが分かる。
【0043】
図8は、1Cの倍率での実施例2および比較例2のボタン電池の性能比較図である。 図8に示すように、1Cで実施例2のボタン電池の初期比容量は160.1mAh/gであり、3006回のサイクル後も152.7mAh/gを維持する。これは、容量保持率95.38%及び平均クーロン効率99.9842%に対応する。1Cで比較例2のボタン電池はサイクル容量がない。
【0044】
図9は、実施例2と比較例2のボタン電池の倍率性能の比較図である。二つのバッテリーを0.2C、0.5C、1C、および2Cの倍率でそれぞれ循環させた後、0.2Cおよび0.5Cの倍率に切り替えて、電極の可逆性を調べる。図9に示すように、0.2C、0.5C、1Cおよび2Cの倍率で実施例2のボタン電池の周期的比容量は、それぞれ、170.9mAh/g、168.1mAh/g、163.3mAh/g、155.2mAh/gである。電流密度を0.2Cおよび0.5Cに切り替えると、サイクリック比容量はそれぞれ170.9mAh/g及び169.2mAh/gである。これにより、0.2Cおよび0.5Cの倍率を切り替える前後のサイクリック比容量はほぼ同じであり、実施例2のボタン電池は優れた電極可逆性を示す。比較例2のボタン電池は、0.2Cの倍率で157.7mAh/gの比容量を示す。電流が0.5Cに増加すると、初期容量は138.2mAh/gであり、急速に減衰する。0.5Cのサイクルの終わりに、1Cおよび2Cの倍率で、サイクル容量はない。電流を再び0.2Cに上げると、サイクリック比容量は158.5mAh/gに戻るが、再び0.5Cに上げると、サイクリック比容量もない。これにより、比較例2のボタン電池が非常に低い倍率でしか正常に動作できないことを証明する。つまり、比較例2の内部の電子移動とイオン透過が非常に悪く、実施例2のボタン電池はこれらの問題を大幅に改善できる。
【0045】
図10は、異なる倍率での実施例1のリチウムイオン電池の正極の容量-電圧曲線を示す図である。図11は、異なる倍率での比較例1のリチウムイオン電池の正極の容量-電圧曲線を示す図である。電圧-容量曲線は、異なる倍率での電極の充電と放電の状態をより直感的に表示でき、比較例1のリチウムイオン電池の正極に高倍率でのサイクル容量がない理由も説明できる。図10に示すように、実施例1のリチウムイオン電池の正極に対して、異なる倍率を変えても、充電放電プラットフォームにはほとんど影響を与えず、電池の分極(充電プラットフォーム電位と放電プラットフォーム電位の差)も小さいので、実施形態1のリチウムイオン電池正極は、依然として高倍率で優れたサイクル性能を示す。比較例1のリチウムイオン電池正極の0.2Cでの初期分極は大きく、倍率を0.5Cに上げると、電池分極はさらに拡大し、カットオフ電圧に近くなる。これにより、サイクルの進行または倍率の増加にともない、電池分極をさらに増加させ、サイクル容量がなくなる。
【0046】
図12は、サイクリング前後の実施例1のリチウムイオン電池の正極の電気化学的インピーダンス(EIS)曲線を示す図である。図13は、サイクリング前後の比較例1のリチウムイオン電池正極のEIS曲線を示す図である。電気化学インピーダンス(EIS)試験実験を使用して、実施例1のリチウムイオン電池の正極が電池性能を改善できる原理をさらに説明することができる。図12に示すように、実施例1のリチウムイオン電池の正極のサイクル前の電荷移動抵抗は39.6Ωであり、サイクル後はわずか34.2Ωである。電荷移動抵抗の大きさは、活物質の表面電荷移動の難しさを表す。実施例1のリチウムイオン電池の正極の電荷移動抵抗が低いのは、独特なカーボンナノチューブのネットワーク構造によるものである。カーボンナノチューブネットワークが優れた導電性を有し、カーボンナノチューブネットワークはカーボンナノチューブネットワークがサポートする活物質粒子に全方向性のマルチサイト完全導電性ネットワークを提供し、カーボンナノチューブフィルムの多孔質構造も電解質を完全に浸透できるため、リチウムイオンを電極に十分輸送できる。これらすべてにより、実施例1のリチウムイオン電池正極は、高い表面負荷でも優れた電子およびイオン輸送能力を維持することができる。サイクル後、実施例1のリチウムイオン電池の正極は、依然として小さい電荷移動抵抗を維持し、これは、実施例1のリチウムイオン電池の正極が優れた構造及び安定性を有することを示している。
【0047】
図13に示すように、比較例1のリチウムイオン電池の正極のサイクル前の電荷移動抵抗は247.9Ωに達し、サイクル後の電荷移動インピーダンスは893.1Ωまで上昇する。高い表面負荷で比較例1のリチウムイオン電池の正極における電子およびイオンの移動は非常に悪いことが分かる。これは、比較例1のリチウムイオン電池の正極活物質粒子が少量の導電剤と点接触しているだけであり、表面負荷が大きくなると活物質粒子と導電剤粒子がそれぞれ必然的に凝集するためである。また、微小な亀裂の発生は、バインダーの結合効果が悪いことを示す。これは、サイクル中の比較例1のリチウムイオン電池の正極における非常に悪い電子およびイオン伝導を引き起こす。
【0048】
実施例3
0.2gの超配列カーボンナノチューブ及び1gのNCA粉末を600mLのエタノールに30分間超音波分散させて電極混合物を得る。得られた電極混合物を、スプレーガンを介して1000メッシュのフィルタースクリーンに噴霧し、乾燥後、自立構造を有するリチウムイオン電池正極をフィルタースクリーンから取り外す。上記のリチウムイオン電池正極を正極とし、ポリプロピレンフィルムをセパレータとし、リチウム箔を負極とし、ステンレスのガスケットを使用し、前記の部品が積層され、R2016バッテリーシェルによって組み立ち、ボタン電池を形成する。FECとFEMCとHFEとからなる混合液に1MのLiPF6を添加し、電解質を形成する。FECとFEMCとHFEとの質量パーセント比は2:6:2である。ボタン電池の組み立て工程は、アルゴングローブボックスで行わる。
【0049】
比較例3
活物質NCA、導電剤super-p(導電性カーボンブラック)、バインダー(PVDF)を質量比8:1:1で混合し、NMP溶剤に分散させてスラリーを得る。金属集電体(AlまたはCu)にスラリーをコーティングして乾燥させた後、リチウムイオン電池の正極が得られる。比較例3のボタン電池の構造は実施例3のボタン電池の構造と基本的に同じであるが、異なる点は比較例3のリチウムイオン電池の正極を正極として使用する。
【0050】
図14は、実施例3のボタン電池と比較例3のボタン電池の0.5Cの倍率での性能比較図である。図14に示すように、0.5Cの倍率で150回の循環させた後、実施例3のボタン電池の比容量は、120.6mAh/gである。0.5Cの倍率で150回のサイクルされた後、比較例3のボタン電池の比容量は、45.3mAh/gである。活物質がNCAである場合、比較例3のボタン電池と比較して、実施例3のボタン電池は依然として良好なサイクル性能を有することが分かる。
【符号の説明】
【0051】
100 リチウムイオン電池電極の製造装置
10 スプレーガン
102 気体入口
104 液体入口
106 液体パイプ
108 気体パイプ
12 基板
14 支持体
16 回収装置
162 溝
18 回転装置
20 リチウムイオン電池電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超配列カーボンナノチューブアレイを提供する第一ステップと、
リチウムイオン電池の電極活物質および揮発性を有する溶媒を提供する第二ステップと、
前記超配列カーボンナノチューブアレイ及び前記電極活物質を前記溶媒と混合し、超音波分散させて、電極混合物を形成する第三ステップと、
前記電極混合物を基板に噴霧して電極層を形成し、前記電極層を乾燥させた後、前記基板を除去して、カーボンナノチューブのネットワーク構造体及び前記電極活物質のみからなるリチウムイオン電池電極を形成する第四ステップと、
を含むことを特徴とするリチウムイオン電池電極の製造方法。
【請求項2】
前記超配列カーボンナノチューブアレイは、表面が純粋で、延伸方向が同じである複数のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池電極の製造方法。
【請求項3】
前記電極活物質は、リチウムイオン電池の正極活物質またはリチウムイオン電池の負極活物質であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池電極の製造方法。
【請求項4】
前記第四ステップは、
前記電極混合物を回収装置に入れる第一サッブステップと、
液体パイプを前記回収装置に設置し、スプレーガンの位置を固定する第二サッブステップと、
回転装置を始動して前記基板を回転させ、前記スプレーガンを使用して前記基板の表面に前記電極混合物を噴霧して前記電極層を形成する第三サッブステップと、
前記電極層を乾燥させた後、前記基板を取り外して前記リチウムイオン電池電極を得る第四サッブステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池電極の製造方法。
【請求項5】
回転装置と、回収装置と、基板と、スプレーガンと、を含むリチウムイオン電池電極の製造装置であって、
前記回転装置は、動作時に回転軸を中心に回転され、
前記回収装置は前記回転装置に固定され、
前記基板は前記回収装置の内部に固定され、
前記スプレーガンは、前記基板の上方向に設置され、リチウムイオン電池の電極活物質および揮発性を有する溶媒を提供し、超配列カーボンナノチューブアレイ及び前記電極活物質を前記溶媒と混合し、超音波分散させて形成された電極混合物を前記基板に噴霧して電極層を形成し、前記電極層を乾燥させた後、前記基板を除去して、カーボンナノチューブのネットワーク構造体及び前記電極活物質のみからなるリチウムイオン電池電極を形成することに使用されることを特徴とするリチウムイオン電池電極の製造装置。