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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018623
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】加工機器
(51)【国際特許分類】
   B23P 23/06 20060101AFI20230201BHJP
   B23C 3/12 20060101ALI20230201BHJP
   B23B 51/08 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B23P23/06
B23C3/12 B
B23B51/08 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208432
(22)【出願日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】110127470
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】110208801
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】507244219
【氏名又は名称】惠亞工程股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄建徳
【テーマコード(参考)】
3C022
3C037
【Fターム(参考)】
3C022DD08
3C037AA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】二重床に対して脚座の高さ加工、側面エッジミリング及び孔開け等の加工処理を行い、生産工程を加速させ生産効率を向上させると同時に、人力需要を低減させる。
【解決手段】加工機械1は、高度ミリング装置2、エッジミリング装置3、反転装置4、孔開け装置5およびこれらをつなぐ輸送装置1aを生産ラインに統合し、単一の生産ライン上において例えば二重床の目標物に対して脚座の高さ加工、側面エッジミリング及び孔開け等の加工処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標物を移動させる輸送装置であって、前記目標物は対向する第1の表面及び第2の表面と、前記第1及び第2の表面に隣接する側面と、前記側面から突出する凸縁とを有し、前記第2の表面の4つの隅に4つの脚座が設けられた輸送装置と、
前記輸送装置の作動に応じて前記目標物の脚座の端面を加工する高度ミリング装置であって、少なくとも1つの第1のミリングカッターツールを含む高度ミリング部材と、前記第1のミリングカッターツールを直接駆動する第1のサーボモータと、対向する両側の表面にスライドレールがそれぞれ設けられた少なくとも1つの第1の支持構造と、前記第1の支持構造の対向する両側に対称的に設けられた少なくとも1つの搭載枠と、少なくとも1つの調整部材とを含み、前記搭載枠の一方の側に前記第1のサーボモータ及び前記第1のミリングカッターツールが配置され、他方の側に前記スライドレールが接合されるスライドベースが配置され、前記調整部材は前記搭載枠上の第1のミリングカッターツールを前記スライドレール上に上下方向に沿って前記脚座の加工に必要の高さに直線移動するように駆動させ、前記第1のサーボモータと前記第1のミリングカッターツールとは直線的に一体化される高度ミリング装置と、
前記輸送装置の作動に応じて前記目標物の凸縁を加工するエッジミリング装置であって、第2のミリングカッターツールと、前記第2のミリングカッターツールの直線移動を駆動する第2の支持構造と、前記第2の支持構造に移動可能に設けられかつ前記第2のミリングカッターツールを搭載するフレームベースと、前記フレームベースに配置され前記第2のミリングカッターツールを直接駆動する第2のサーボモータとを含むエッジミリング部材を備え、前記フレームベース及び前記第2のミリングカッターツールが前記目標物に接近または離間させて、前記第2のミリングカッターツールを前記目標物のエッジミリング処理を行わせ、前記第2の支持構造は板ベース体であり、前記第2のサーボモータと前記第2のミリングカッターツールとは直線的に一体化されるエッジミリング装置と、
前記目標物の4つの脚座に開口を形成する孔開け装置であって、前記目標物に対して孔開け加工を行う少なくとも1つの孔開け部材と、前記孔開け部材を同時に昇降及び回転するように作動させる第3のサーボモータとを含み、前記第3のサーボモータと前記孔開け部材とは直線的に一体化される孔開け装置と、
を備えることを特徴とする加工機器。
【請求項2】
前記輸送装置は、支持部材と、前記支持部材に移動可能に設けられ、目標物の出し入れを行うとともに、前記支持部材の移動に合わせて前記目標物を移動させる少なくとも1つの出し入れ部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【請求項3】
前記搭載枠はL形枠体であり、前記第1の支持構造の対向する両側に対称的に設けられ、前記搭載枠の前記目標物に向ける端側にて前記第1のミリングカッターツール及び前記第1のサーボモータが配置されることで、前記搭載枠の第1のミリングカッターツールを前記スライドレールに上下方向に沿って直線移動させることを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【請求項4】
前記高度ミリング装置は、
前記高度ミリング部材が設置される第1の基台と、
前記第1の基台に平行に設けられ、前記目標物を搭載しかつ前記目標物の移動を制限する第1の位置決め部材と、
前記第1の位置決め部材の対向する両側に対応して設けられ、前記目標物を前記第1の位置決め部材に押圧する固定部と、
前記第1の支持構造の移動を駆動し、前記高度ミリング部材を直線運動させるように駆動させ、前記目標物の高度ミリング処理を行う駆動部材と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【請求項5】
前記第2の支持構造の移動方向と前記フレームベースの移動方向とは相互に垂直であることを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【請求項6】
前記第2の支持構造にレールが配置され、前記フレームベースに前記レールに合わせる少なくとも1つのスライダーが配置されることで、前記レールに前記スライダーを摺動させ、前記フレームベースを前記第2の支持構造に対して移動させることを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【請求項7】
前記エッジミリング装置は、
上方に、前記エッジミリング部材が移動可能に設けられ、かつ、前記第2の支持構造が移動可能に設けられた第2の基台と、
前記目標物が搭載され、前記第2の基台に設けられる第2の位置決め部材であって、前記第2の基台に対して移動させ前記目標物のエッジミリング処理を行わせるように、側辺に前記エッジミリング部材が設置される第2の位置決め部材と、
前記第2の位置決め部材に対応して配置され、前記目標物を前記第2の位置決め部材に押圧する固定部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【請求項8】
前記孔開け部材は段付きドリルであることを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【請求項9】
前記孔開け装置は、
前記目標物の脚座箇所に必要なザグリ孔の孔開け作業を達成するために、加工領域とアウトレット領域とが定義され、前記孔開け部材が前記加工領域に移動可能に設けられ、前記目標物の脚座に対して孔開け加工を行う基台と、
前記基台の加工領域に設けられ、前記目標物を前記加工領域に位置制限する位置決め部材と、
前記位置決め部材に対応して配置され、前記目標物を前記基台に当接させる固定構造と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【請求項10】
前記エッジミリング装置と前記孔開け装置との間に配置され、前記目標物の第1の表面または第2の表面について反転させる反転装置をさらに備え、前記反転装置は、基台と、前記基台に設けられた軸構造と、前記基台に設けられた位置決め部材と、前記基台に移動可能に設けられた第3の支持構造と、前記基台に設けられた駆動部材とを含み、前記位置決め部材の一方の端側は、前記軸構造に枢接されることにより、前記基台に対して反転できるようにして、前記駆動部材は、前記位置決め部材を駆動して、前記位置決め部材に力を受けることにより前記第3の支持構造の上方に反転させることを特徴とする請求項1に記載の加工機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工機器に関し、特に多機能加工機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二重床装置は静電防止の機械室またはクリーンルームに広く適用されている。既存のアルミニウム合金ダイキャスト成型の二重床では、通常、金型製作、アルミニウム溶融、ダイキャスト、成型及びトリミング等5つの製造工程が行われている。成型プロセスにおいて二重床の表面と底部には複数のバリが生じ、これらのバリによって、取り付け過程において二重床同士の間は密接できず、ステージフレームとの間とも密接できないほか、作業者の取り付けにも不利となり、作業者の安全性が不十分になる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在の方法では、成型後の二重床の4つの脚座に対して手動でバリを除去するとともに、成型後の二重床の4つの側面に対してバリを除去し、さらに該二重床の表面に対して複数の位置決め孔を開設する必要があるため、作業者は二重床を処理毎に対応する加工位置にまとめて輸送して処理作業を行わなければならず、生産工程が不連続となり、生産効率が低くなり、加工のたびに膨大な手間が掛かる。
【0004】
従って、上記従来技術の欠点を解消することは、現在業界で解決すべき重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記従来技術の欠点を鑑み、本発明は、
目標物を移動させる輸送装置であって、該目標物は対向する第1の表面及び第2の表面と、該第1及び第2の表面に隣接する側面と、該側面から突出する凸縁とを有し、該第2の表面の4つの隅に4つの脚座が設けられた輸送装置と、
該輸送装置の作動に応じて該目標物の脚座の端面を加工する高さミリング装置であって、少なくとも1つの第1のミリングカッターツールを含む高度ミリング部材と、該第1のミリングカッターツールを直接駆動する第1のサーボモータと、対向する両側の表面にスライドレールがそれぞれ設けられた少なくとも1つの第1の支持構造と、該第1の支持構造の対向する両側に対称的に設けられた少なくとも1つの搭載枠と、少なくとも1つの調整部材とを含み、該搭載枠の一方の側に該第1のサーボモータ及び該第1のミリングカッターツールが配置され、他方の側に該スライドレールが接合されるスライドベースが配置され、該調整部材は該搭載枠上の第1のミリングカッターツールを該スライドレール上に上下方向に沿って該脚座の加工に必要の高さに直線移動するように駆動させ、該第1のサーボモータと該第1のミリングカッターツールとは直線的に一体化される高度ミリング装置と、
該輸送装置の作動に応じて該目標物の凸縁を加工するエッジミリング装置であって、第2のミリングカッターツールと、該第2のミリングカッターツールの直線移動を駆動する第2の支持構造と、該第2の支持構造に移動可能に設けられかつ該第2のミリングカッターツールを搭載するフレームベースと、該フレームベースに配置され該第2のミリングカッターツールを直接駆動する第2のサーボモータとを含むエッジミリング部材を備え、該フレームベース及び該第2のミリングカッターツールを該目標物に接近または離間させて、該第2のミリングカッターツールを該目標物のエッジミリング処理を行わせ、該第2の支持構造は板ベース体であり、該第2のサーボモータと該第2のミリングカッターツールとは直線的に一体化されるエッジミリング装置と、
該目標物の4つの脚座に開口を形成する孔開け装置であって、該目標物に対して孔開け加工を行う少なくとも1つの孔開け部材と、該孔開け部材を同時に昇降及び回転するように作動させる第3のサーボモータとを含み、該第3のサーボモータと該孔開け部材とは直線的に一体化される孔開け装置と、
を備える加工機器を提供する。
【0006】
前記の加工機器において、該輸送装置は、支持部材と、該支持部材に移動可能に設けられ、目標物の出し入れを行うとともに、該支持部材の移動に合わせて該目標物を移動させる少なくとも1つの出し入れ部材とを含む。
【0007】
前記の加工機器において、該搭載枠はL形枠体であり、該第1の支持構造の対向する両側に対称的に設けられ、該搭載枠の該目標物に向ける端側にて該第1のミリングカッターツール及び該第1のサーボモータが配置されることで、該搭載枠の第1のミリングカッターツールを該スライドレールに上下方向に沿って直線移動させる。
【0008】
前記の加工機器において、該高度ミリング装置は、該高度ミリング部材が設置される第1の基台と、該第1の基台に平行に設けられ、該目標物を搭載しかつ該目標物の移動を制限する第1の位置決め部材と、該第1の位置決め部材の対向する両側に対応して設けられ、該目標物を該第1の位置決め部材に押圧する固定部と、該第1の支持構造の移動を駆動し、該高度ミリング部材を直線運動するように駆動させ、該目標物の高度ミリング処理を行う駆動部材と、をさらに備える。
【0009】
前記の加工機器において、該第2の支持構造の移動方向と該フレームベースの移動方向とは相互に垂直である。
【0010】
前記の加工機器において、該第2の支持構造にレールが配置され、該フレームベースに該レールに合わせる少なくとも1つのスライダーが配置されることで、該レールに該スライダーを摺動させ、該フレームベースを該第2の支持構造に対して移動させる。
【0011】
前記の加工機器において、該エッジミリング装置は、上方に、該エッジミリング部材が移動可能に設けられ、かつ、該第2の支持構造が移動可能に設けられた第2の基台と、該目標物が搭載され、該第2の基台に設けられる第2の位置決め部材であって、該第2の基台に対して移動させ該目標物のエッジミリング処理を行わせるように、側辺に該エッジミリング部材が設置される第2の位置決め部材と、該第2の位置決め部材に対応して配置され、該目標物を該第2の位置決め部材に押圧する固定部とをさらに備える。
【0012】
前記の加工機器において、該ドリルツールは段付きドリルである。
【0013】
前記の加工機器において、該孔開け装置は、該目標物の脚座箇所に必要なザグリ孔の孔開け作業を達成するために、加工領域とアウトレット領域とが定義され、該孔開け部材が該加工領域にて移動可能に設けられ、該目標物の脚座に対して孔開け加工を行うようにした基台と、該基台の加工領域に設けられ、該目標物を該加工領域に制限する位置決め部材と、該位置決め部材に対応して配置され、該目標物を接触して該基台に押圧する固定構造とをさらに備える。
【0014】
前記の加工機器において、該エッジミリング装置と該孔開け装置との間に配置され、該目標物の第1の表面または第2の表面について反転させる反転装置をさらに備え、該反転装置は、基台と、該基台に設けられた軸構造と、該基台に設けられた位置決め部材と、該基台に移動可能に設けられた第3の支持構造と、該基台に設けられた駆動部材とを含み、該位置決め部材の一方の端側は、該軸構造に枢接されることにより、該基台に対して反転できるようにして、該駆動部材は、該位置決め部材を駆動して、該位置決め部材を力を受けることにより該第3の支持構造の上方に反転させる。
【発明の効果】
【0015】
上記のように、本発明に係る加工機器は主に該高度ミリング装置、エッジミリング装置及び孔開け装置を生産ラインに統合し、第1ないし第3のサーボモータにより該第1及び第2のミリングカッターツール及び孔開け部材を作動させることにより、単一の生産ライン上において二重床に対して脚座の高さ加工、側面エッジミリング及び孔開け等の加工処理を行い、生産工程を加速させ生産効率を向上させると同時に、人力需要を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る加工機器の正面立体模式図である。
図1-1】本発明に係る加工機器の背面立体模式図である。
図1A】本発明に係る加工機器の輸送装置の立体模式図である。
図1B図1Aの標示B箇所の局所拡大立体模式図である。
図1C】本発明に係る加工機器が加工すべき目標物の上面立体模式図である。
図1C-1】図1Cの下面立体模式図である。
図1C-2】図1Cの側面平面模式図である。
図1D】本発明に係る加工機器の加工済みの目標物の側面平面模式図である。
図2A】本発明に係る加工機器の高度ミリング装置の立体模式図である。
図2B図2Aの他の実施例の上面平面模式図である。
図2C図2Bの左面平面模式図である。
図3A】本発明に係る加工機器のエッジミリング装置の立体模式図である。
図3B図3Aの上面平面模式図である。
図3C図3Aの側面平面模式図である。
図4A】本発明に係る加工機器の反転装置及び孔開け装置の立体分解模式図である。
図4B図4Aの他の視角の局所立体模式図である。
図5A図4Aの局所立体模式図である。
図5B図5Aの局所拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記において特定の具体的な実施例により本発明の実施方式を説明する。本明細書に記載の内容は、この技術分野に精通した者なら簡単に本発明のその他の利点や効果が理解できる。
【0018】
また、本明細書に添付された図面に示す構造、比例、寸法等は、この技芸を熟知する者が理解できるように明細書に記載の内容に合わせて説明されるものであり、本発明の実施を制限するものではないため、技術上の実質的な意味を有せず、いかなる構造の修飾、比例関係の変更又は寸法の調整は、本発明の効果及び目的に影響を与えるものでなければ、本発明に開示された技術内容の範囲に入る。さらに、本明細書に記載された例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、及び「一」等の用語は、記載を容易に理解されるための記述であり、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、その相対関係の変更または調整は、技術内容に実質的な変更がない場合において、本発明の実施可能な範囲と見なすことができる。
【0019】
図1及び図1-1は本発明に係る加工機器1の立体模式図である。図1及び図1-1に示すように、該加工機器1は、輸送装置1aと、高度ミリング装置2と、エッジミリング装置3と、反転装置4と、孔開け装置5とを備える。
【0020】
この実施例において、該加工機器1は、生産ラインの方向を左、右方向(例えば矢印方向Y)に定義し、該生産ラインに垂直する方向を前、後方向(例えば矢印方向X)、該加工機器1に沿う高さ方向を上、下方向(例えば矢印方向Z)と定義する。ここで、該方向は本実施例の配置を説明するものにすぎず、特に制限されるものではない。
【0021】
前記の輸送装置1aは目標物9を所望の生産ラインの加工位置に輸送(例えばクリップする)するため、該輸送装置1aは該目標物9が載置されるための該高さミリング装置2、エッジミリング装置3、反転装置4及び孔開け装置5等の上方周囲箇所に配置され、該目標物9を該高さミリング装置2、エッジミリング装置3、反転装置4及び/または孔開け装置5に容易に載置する。
【0022】
この実施例において、図1Aに示すように、該輸送装置1aは少なくとも1つの出し入れ部材10と、該出し入れ部材10を移動可能に架設する支持部材11とを備え、該出し入れ部材10が該目標物9を出し入れ、該出し入れ部材10が該支持部材11の移動に合わせて該目標物9を移動させる。例えば、該支持部材11はフレーム構造であり、基礎表面(例えば床上)にて対向する両側に立設された門型の2つのレバーブラケット110と、それらのレバーブラケット110間に跨って設けられた横梁111とを備え、該横梁111は、該出し入れ部材10の移動経路として、該高度ミリング装置2、エッジミリング装置3及び反転装置4の上方箇所に位置する。ここで、該支持部材11に関する種類は繁多であり、特に制限されるものではない。
【0023】
さらに、該出し入れ部材10は挟持部材100を有するクリッパー10aと、該クリッパー10aを架設するための搭載部10bとを備える。例えば、該クリッパー10aの挟持部材100は、必要に応じて幅Dを調整することで幅の異なる目標物9をクリップし、油圧シリンダまたは気圧シリンダ(動力源10dとして)により2つのクリッパー10aの距離を制御することで、目標物9をクランプしたり開放したりすることができる。また、該搭載部10bは移動フレームであり、該横梁111(または該位置制限部材112)に垂直に架設され、かつギア(図示せず)が回転可能に取り付けられ、該ギア(図示せず)はラック112a(図1B参照)に噛合され、該ギアは駆動力により該ラック112aに直線運動することで、該出し入れ部材10はスライドベース(例えば該搭載部10b)とスライドレール部材(例えば該位置制限部材112及びその上のラック112aとギア)上に矢印方向Yへ直線に往復運動することができる。具体的には、該クリッパー10aは、複数の動力源10d(図1Aに示す気圧または油圧シリンダ)によりそれらの挟持部材100を外方へ伸長させたり内方へ縮収させたり(矢印方向Yへ)することで、開放またはクリップ動作を発生させる。また、該搭載部10bの底部に該クリッパー10aに接続される伸縮構造101が配置され、該クリッパー10aを昇降させる。好ましくは、該搭載部10bの上方に該搭載部10bの移動を駆動するモータ(図示せず)が配置されてもよく、該ギアのラック112aにおける直線運動を駆動させる。
【0024】
また、該出し入れ部材10の数量は必要に応じて設定することができる。例えば、該高度ミリング装置2、エッジミリング装置3及び反転装置4に対応する加工箇所に該出し入れ部材10がそれぞれ配置されているため、少なくとも2組の出し入れ部材10が配置されている。具体的には、各該出し入れ部材10は該高度ミリング装置2と該エッジミリング装置3との間、及び該エッジミリング装置3と該反転装置4との間にそれぞれ設けられ、必要に応じてそれらの該出し入れ部材10を該目標物9の中間運転部材として該レバーブラケット110と該高度ミリング装置2との間に増設することで、該目標物9を連続して各加工箇所に出し入れすることにより、生産ライン全体の加工処理フローを完成する。
【0025】
また、該目標物9は二重床であり、図1C図1C-1及び図1C-2に示すように、対向する第1の表面9a(例えば床面)及び第2の表面9b(例えば底側端部)と、該第1及び第2の表面9a、9bに隣接する側面9cとを有する。例えば、該目標物9は略矩形体(例えば正方形板)となり、該目標物9の底部(例えば該第2の表面9bの側で、二重床底部である)はハニカム状であり、該目標物9の第2の表面9bの4つの隅に脚座90が形成され、該4つの脚座90に開口900(図1D参照)が設置され、4つの脚座90をそれぞれネジで該二重床用の支持レッグに固定する。具体的には、該脚座90の端面9dは該目標物9の第2の表面9bから略突出し(図1C-2に示す高度差h)、該第1の表面9aのエッジに該側面9cより突出する凸縁91が形成されている。該凸縁91は該エッジミリング装置3の加工すべき二重床の4つのエッジである。この実施例における目標物9は二重床であるため、以下、該目標物9を二重床という。
【0026】
前記の高度ミリング装置2は生産ライン全体の加工処理フローの最初期間で設けられ、該輸送装置1aの作動に合わせて該脚座90の端面9dを加工する。例えば、該二重床の4つの脚座90の端面9dのバリを除去し、該二重床の所望の高さ寸法を加工処理する。
【0027】
この実施例において、図2Aに示すように、該高度ミリング装置2は、少なくとも1つの高度ミリング部材2aと、該高度ミリング部材2aが配置される第1の基台21と、該第1の基台21の中心箇所に平行に設けられ、該目標物9を搭載し該目標物9の移動を制限するための第1の位置決め部材22とを備え、該高度ミリング部材2aは第1の位置決め部材22に対応して該第1の位置決め部材22に対して昇降し、該目標物9(二重床)に対する高度ミリング加工量を調整し、該高度ミリング加工量の設定が完成した後、水平に移動し該目標物9の脚座90を加工し、該目標物9の高度ミリング処理が完成した後、該出し入れ部材10により該目標物9を第1の位置決め部材22から離間させる。例えば、該第1の位置決め部材22はフレーム体(図2Bに示す平行枠)であり、該高度ミリング部材2aは該第1の位置決め部材22の対向する両側(例えば前、後側)に配置され、該第1の位置決め部材22の対向する両側の外側には必要に応じて少なくとも1つの固定部220(例えばロータリーシリンダクランプ)が配置されてもよい。使用の際に、ロータリーシリンダクランプを固定部220として使用可能であり、該第1の位置決め部材22の対向する両側に対応して設けられ、該目標物9を該第1の位置決め部材22に押圧する。従って、該二重床を該第1の基台21に固定し、それらの第1の位置決め部材22の一方の側に少なくとも1つのロータリーシリンダクランプをそれぞれ設置し、ミリング作業の過程において、該二重床の移動を制限し、該第1の位置決め部材22から外れることを回避できる。さらに、該第1の位置決め部材22の外側、及び該第1の位置決め部材22の該ロータリーシリンダクリッパーが設けられた側に垂直の他方の側に少なくとも1つのストッパー220aが配置されてもよい。該ストッパー220aが該二重床の側面9cを受け止めることで、作業者は目標物9を(例えば矢印方向Y1へ)該第1の位置決め部材22に容易に載置できる。ここで、該出し入れ部材10はインレット(左側のレバーブラケット110の近傍に位置する。図示せず)から加工処理すべき目標物9をクリップし、それを該第1の位置決め部材22上の加工位置に載置してもよい。
【0028】
さらに、各該高度ミリング部材2aは少なくとも1つの第1のミリングカッターツール20と、該第1のミリングカッターツール20を駆動する第1のサーボモータ26と、該第1の基台21に移動可能に設けられた少なくとも1つの第1の支持構造23と、該第1の支持構造23の左右両側に対称的に設けられ、それらの第1のミリングカッターツール20を架設する搭載枠24と、少なくとも1つの調整部材25とを備える。そのうち、本実施例において、全体して2つの独立した第1の支持構造23と4つの独立した該搭載枠24とが設置されている。また、1つの独立した第1の支持構造23及び2つの独立した該搭載枠24は、機械セット(合計2組の機械セット)とされ、2つの機械セットは該第1の位置決め部材22の対向する両側にそれぞれ平行に設置され、単一の機械セットの2つの独立した該搭載枠24は、一つの独立した第1の支持構造23の対向する両側にそれぞれ固定され、該搭載枠24上の複数の第1のミリングカッターツール20は、同時に同一の動力セット28により駆動することができ、該目標物9の脚座90を所望の高さに高速に加工することができる。例えば、該搭載枠24はL形枠体となり、該目標物9に向ける端側上に該第1のサーボモータ26(図2Aまたは図2B)と該第1のミリングカッターツール20とが配置されることで、該第1のミリングカッターツール20が該第1のサーボモータ26により駆動される。具体的には、該第1のサーボモータ26は該第1のミリングカッターツール20の回転を駆動することで該目標物9の脚座90を所望の高さに加工する。
【0029】
好ましくは、該第1の支持構造23はベース体であり、その上に例えば回転ロッド250と回転盤251とからなる調整部材25が配置されている。該調整部材25は回転ロッド250と、回転盤251とを含み、該回転ロッド250により該回転盤251を手動で回転させる。該調整部材25により減速機25aを回転させ、該減速機25aによりスクリューロッド250a回転を回転させ、該スクリューロッド250aによりナット251aが上下運動するように駆動される。該ナット251aが該搭載枠24に固定されているため、該スクリュー250aにより該搭載枠24の昇降(例えば矢印方向Z)を駆動できるとともに、該第1のミリングカッターツール20を所望の高さ位置に移動させることができる。例えば、該搭載枠24は、ガイド構造24aにより移動可能であり、該ガイド構造24aはスライドレール240aと該スライドレール240aに接合するスライドベース241aとを備え、該スライドレール240aは該第1の支持構造23上の対向する両側の表面にそれぞれ固定され、該スライドベース241aは該搭載枠24の他の端側に固定されることで、該回転ロッド250により該回転盤251を回転させると、該搭載枠24において第1のミリングカッターツール20が該スライドレール240a上に上下方向(例えば矢印方向Z)に沿って直線移動するようにそれぞれ駆動され、該調整部材25上のメーターにおけるスケールに基づいて該第1のミリングカッターツール20を脚座90の加工すべき所望の高さに調整することができる。具体的には、該調整部材25の回転盤251には、該搭載枠24の高さ位置を明確に制御するためのメーター(図示せず)が配置されてもよい。これにより、該第1のミリングカッターツール20は該目標物9の4つの脚座90の所望の高さ、例えばミリング前の二重床の高さ56mmからミリング後の高さ55mmにミリングすることができる。
【0030】
さらに、該第1の基台21には必要に応じて該第1の支持構造23の移動を駆動する駆動部材27と、該駆動部材27を作動させる動力セット28とが設けられることにより、該高度ミリング部材2aを駆動して直線運動させて該目標物9の高度ミリング処理を行うようにすることができる。例えば、該動力セット28はモータであり、該第1の基台21の側面に減速機280により固着される。該駆動部材27は、ボールネジ27aと、軸受け27c(図2B参照)と、ナット27bとを含む。そのうち、該軸受け27cは軸受けベース270に設置され、該ナット27bが該第1の支持構造23の底部に固定され、該動力セット28が減速機280を駆動して該ボールネジ27aを回転させると、該ボールネジ27aの回転により、該ナット27b上の第1の支持構造23が所定の距離だけ直線に往復運動するように駆動される。ここで、該距離は脚座90の幅d(図1C-2参照)以上なので、該ボールネジ27aは該第1の支持構造23を駆動して該第1の位置決め部材22に接近または離間させる。また、該第1の支持構造23の側面に少なくとも1つの位置制限板23aが設置され、該第1の基台21上に少なくとも1つの位置制限器23bが設置されることで、該位置制限止め板23aが該位置制限器23bに接触する位置によって、該第1のミリングカッターツール20の加工ストロークを制御することができる。具体的には、図2Cに示すように、ガイドレールとスライドベースの組み合わせ21aは、該第1の支持構造23の底部にスライドベースとして複数のスライダー210が配置されるとともに、ガイドレールとして該第1の基台21上に該スライダー210に対応して接合する複数のスライドレール211が配置されている。この実施例におけるスライダー210及びスライドレール211はそれぞれ2つ設置され、該スライダー210を該スライドレール211に沿って直線移動させることにより、該駆動部材27は同時に該第1の支持構造23及びその上の2つの搭載枠24、及びそれらの搭載枠24上に固定された該2つの第1のサーボモータ26と該2つの第1のミリングカッターツール20がともに該第1の基台21に対して所定の距離(脚座90の幅d以上)だけ移動させて、これにより4つの脚座90の端面9dを加工し、該二重床の所望の高さを達成できる。
【0031】
前記のエッジミリング装置3は該輸送装置1aの作動に応じて該目標物9の凸縁91を加工する。例えば該二重床周囲の側辺のバリを除去することで、該二重床の4つのエッジ寸法を加工処理する。具体的には、ヒューマンマシーン制御インタフェースを介してプログラマブルロジック制御装置(Programmable Logic Controller、PLC)により加工数値を入力することで、加工処理すべき該二重床の4つのエッジ寸法を制御する。
【0032】
この実施例において、図3A図3B及び図3Cに示すように、該エッジミリング装置3は、少なくとも1つのエッジミリング部材3aと、該エッジミリング部材3aが配置される第2の基台31と、該第2の基台31の中心箇所に設けられ該目標物9が載置される第2の位置決め部材32とを備え、該出し入れ部材10は該目標物9を該第2の位置決め部材32に載置し、該エッジミリング部材3aが該第2の位置決め部材32に対して移動し、該目標物9のエッジミリング処理を行う。例えば、該第2の位置決め部材32は正方形載置テーブルであり、該二重床は該載置テーブルに載置され、該エッジミリング部材3aは該第2の位置決め部材32の4つの側辺(合計4組のエッジミリング部材3a)にそれぞれ設置され、該第2の位置決め部材32に対して移動し該目標物9のエッジミリング処理を行い、該載置テーブル外側に対応して必要に応じて複数の固定部320、320aを配置して、該固定部320、320aにより該目標物9を該第2の位置決め部材32に押圧でき、該目標物9の移動を制限し、位置ずれを回避できる。具体的には、該第2の基台31の前後両側のそれぞれに支持枠39が設置され、該支持枠39上に該固定部320が架設されている。これにより、該目標物9が該載置テーブルに載置された後、それらの固定部320により該目標物9の脚座90を対角で押圧して挟持し、該目標物9のエッジミリング過程での位置ずれを防止することができる。また、該固定部320aは該載置テーブルの上方に配置され、動力による伸縮動作により固定部320aを押し下げまたは引き上げると、それらの固定部320aは該目標物9の第2の表面9bに対して押圧または離間するようにしてもよい。
【0033】
さらに、各該エッジミリング部材3aは、第2のミリングカッターツール30と、該第2の基台31に設けられた第2の支持構造33と、該第2の支持構造33に設けられ該第2のミリングカッターツール30を架設する枠ベース34と、該枠ベース34に配置され該第2のミリングカッターツール30を作動する第2のサーボモータ36とを備え、該枠ベース34は該第2の支持構造33に移動可能に設けられ、該枠ベース34及び第2のミリングカッターツール30は該目標物9に接近または離間して、該第2のミリングカッターツール30を所望の位置に移動させ、該第2のミリングカッターツール30に該目標物9のエッジミリング処理を行わせる。例えば、ガイドレールとスライドベースとの組み合わせにより、該第2の支持構造33の上側にレール35が配置され、該枠ベース34の下方のスライダー340が該レール35に合わせて、該第2のミリングカッターツール30は所望の加工位置に直線に短距離移動する。具体的には、該枠ベース34には該第2のミリングカッターツール30と該第2のミリングカッターツール30の回転を駆動するサーボモータ36とが配置され、該第2のミリングカッターツール30は目標位置箇所(例えば該目標物9の側面9c凸縁91に密接する)において該目標物9の凸縁91のバリを除去する。
【0034】
さらに、該第2の支持構造33は板ベースであり、該第2の基台31に移動可能に配置されている。例えば、該第2の基台31には、図3Bに示すように、該第2の支持構造33の移動方向を制限する位置制限部材37と、該第2の支持構造33及び該枠ベース34の移動を駆動する動力セット38とがさらに設けられている。具体的には、ガイドレールとスライドベースとの組み合わせを採用し、該位置制限部材37はダブルレール構造であり、該ダブルレール構造は第2の基台31に固定され、該第2の支持構造33の底部にスライドベース330が固定され、該第2の支持構造33の底部にボールナット(図示せず)と該ボールナットに接合するボールネジ380とが固定されている。該動力セット38は第1のモータ38aを備え、第1のモータ38aによってボールネジ380を駆動し回転させて、該ボールナットを駆動して直線運動させることで、該第2の支持構造33は該第2の基台31に対して該第2の位置決め構造32のエッジに沿って長距離直線移動を行い、該第2のミリングカッターツール30は、該目標物9の側面9cに沿って直線長距離移動し、該目標物9の凸縁91を加工することができる。
【0035】
また、該動力セット38は第2のモータ38bをさらに備える。該第2の支持構造33にはレール35が固定され、該枠ベース34の底部に該レール35に合わせる少なくとも1つのスライダー340が固定され、該スライダー340が該レール35に移動することで、該第2のモータ38bは該枠ベース34を駆動して該第2の支持構造33に対して直線移動させるため、該第2のミリングカッターツール30は所望の平面位置に直線移動し、該第2の位置決め部材32に接近または離間することができる。例えば、該第2の位置決め構造32の一方の側辺に応じて、第2の支持構造33の移動方向(図3Bに示す移動方向f2、b2)と枠ベース34の移動方向(図3Bに示す移動方向f1、b1)とは相互に垂直である。具体的には、該枠ベース34の下側にボールナット(図示せず)と、該ボールナットに接合するボールネジ(図示せず)とが固定され、該第2のモータ38bが該ボールネジを回転させ、該ボールネジが元の場所で移動せずに回転しているため、該ボールネジにより該ボールナットが直線移動され、該ボールナットにより該枠ベース34が該レール35に沿って移動するように直線的に駆動され、これにより、該第2のミリングカッターツール30は所望の加工位置に直線移動する。
【0036】
前記の反転装置4は該エッジミリング装置3と該孔開け装置5の間に配置され、該輸送装置1aの作動に応じて該目標物9の第1の表面9aまたは第2の表面9bについて反転させ、例えば、バリが除去された後の二重床を反転させその第1の表面9aを上方へ向けさせる。
【0037】
この実施例において、図4Aまたは図4Bに示すように、該反転装置4は、第3の基台41と、該第3の基台41に設けられた軸構造40と、該第3の基台41に設けられた第3の位置決め部材42と、該第3の基台41に移動可能に設けられた第3の支持構造43と、該第3の基台41に設けられた駆動部材47とを備え、該第3の位置決め部材42の一方の端側は該軸構造40に枢接し該第3の基台41に対して反転できるようにして、該駆動部材47は該第3の位置決め部材42を駆動し、該第3の位置決め部材42が力を受けて該第3の支持構造43の上方に位置するように反転され、該出し入れ部材10が該目標物9を該第3の位置決め部材42に載置した後、該第3の位置決め部材42は該目標物9を該第3の支持構造43に移送する。
【0038】
さらに、該第3の位置決め部材42の前後側には必要に応じて少なくとも1つの固定構造42aが配置されてもよく、該目標物9の移動を制限し該第3の位置決め部材42から外れることを回避し、該第3の基台41には必要に応じて、該第3の位置決め部材42の他方の端側に当接する当接構造44が配置されてもよい。具体的には、油圧シリンダ(図示せず)が該固定構造42aを押し引きすることにより、該固定構造42aを該第3の位置決め部材42に対して接合または離間させ、該固定構造42aを該目標物9に対して当接または離間させる。
【0039】
また、該第3の支持構造43は搬送板であり、該第3の基台41において該第3の支持構造43に対応する箇所に一組のガイドレール45が設置され、該第3の支持構造43は該ガイドレール45に沿って該第3の位置決め部材42と該孔開け装置5との間を移動することができる。例えば、該第3の支持構造43の底側には複数の移動部430(例えばスライダー)が配置され、それらの移動部430が該ガイドレール45に接合されることにより、該第3の支持構造43は該ガイドレール45に沿って直線移動可能となり、該第3の支持構造43は該第3の位置決め部材42に接近または離間することができる。具体的には、油圧シリンダ(図示せず)が該第3の支持構造43を引くことにより、該第3の支持構造43を該ガイドレール45に沿って直線移動させる。
【0040】
また、該第3の位置決め部材42は反転板であり、該第3の基台41において前側または後側箇所に該駆動部材47(図4A参照)が設置され、該第3の位置決め部材42が反転動作を行うように駆動される。例えば、該駆動部材47は、ギア471と、ラック470(図4B参照)とを含み、そのラック470はそのギア471に噛合され、該ギア471に該軸構造40のシャフト401は軸接され、該ラック470が直線移動すると、該ギア471の回転を駆動し、該ギア471が該シャフト401を回転させることにより、該第3の位置決め部材42を該第3の支持構造43の上方に位置するように反転させる。具体的には、動力セット48(例えば気圧または油圧シリンダ)の押し引きロッド480により該ラック470が直線進退するように駆動されることで、該ギア471を回転させる。好ましくは、該第3の基台41に少なくとも1つの位置制限スイッチ49が配置され、該押し引きロッド480の伸縮距離を制御し、該ラック470により該ギア471の回転幅を制御することで、該第3の位置決め部材42を安定に反転させる。
【0041】
前記の孔開け装置5は該反転装置4の作動に合わせて少なくとも1つの開口900(図1Dに示すザグリ孔)を該目標物9の第1の表面9aに形成する。例えば、二重床の脚座90の箇所にて孔開けを行い、該二重床の位置決め孔を形成する。
【0042】
この実施例において、該反転装置4及び該孔開け装置5は同一の加工位置に設けられているため、該反転装置4及び該孔開け装置5は同一組の輸送装置1aの作動に合わせ、図4A及び図5に示すように、該孔開け装置5は該第3の基台41に隣接する第4の基台51と、該第4の基台51に設けられた少なくとも1つの第4の位置決め部材52と、該第4の基台51に設けられた第4の支持構造53と、該第4の支持構造53に設けられ該目標物9に対して孔開け加工を行う少なくとも1つの孔開け部材50と、該孔開け部材50を作動させ該孔開け部材50を同時に昇降・回転させる少なくとも1つの第3のサーボモータ56とを備え、油圧または空気圧部材(例えば他の動力セット48a)を設置することにより該第3の支持構造43を該第3の基台41に対して移動させ該目標物9を該第4の基台51に輸送することで、該孔開け部材50は該目標物9に開口900を形成する。
【0043】
例えば、該第4の基台51及び第3の基台41は同一平面となるように配置され、該第4の基台51には加工領域A1とアウトレット領域A2とが定義され、該第4の位置決め部材52は該加工領域A1の周縁に設けられ該目標物9を該加工領域A1に位置制限し、該第4の支持構造53は該加工領域A1の上方をカバーし、該孔開け部材50は該加工領域A1の上方に移動可能に設けられ、該目標物9の脚座90に対して孔開け加工を行うことで、該目標物9の脚座90の箇所に必要なザグリ孔の孔開け作業を達成する。該ガイドレール45は該第4の基台51の加工領域A1に延在する。具体的には、該第3の支持構造43は該ガイドレール45に沿って二重床を該加工領域A1に輸送した後、該第4の位置決め部材52は該目標物9を位置制限することで、該目標物9を第4の基台51に容易に位置決め可能である。
【0044】
さらに、該第4の位置決め部材52は該第4の基台51の周縁に対応して配置され、該目標物9が加工領域A1において偏向しないように該目標物9の移動を制限する。具体的には、該搬送(該第3の基台41から加工領域A1)または該ガイドレール45の経路方向に応じて、該第4の位置決め部材52は該搬送経路の終点箇所、例えば加工領域A1の後側及び右側に配置され、該搬送板の移動を制限する目的を達成する。例えば、該第4の位置決め部材52は頂端に緩衝部材520(例えば回転ホイール、軸受けまたはその他等)が配置され、該目標物9に移動方向にスライド可能に接触することにより、該搬送板及びその上の目標物9が該加工領域A1に入る場合には強く制動されることなく、摩擦力が緩和される。
【0045】
また、該第4の支持構造53はフレーム体であり、該加工領域A1の範囲に対応して該加工領域A1の上方をカバーし、その上には必要に応じて該孔開け部材50を駆動する(図5A参照)少なくとも1つのサーボモータ56が配置されている。例えば、該サーボモータ56は該孔開け部材50を同時に垂直昇降・回転するように駆動させ、二重床の脚座90の箇所に対して孔開けを行い、ザグリ孔を形成する。また、該孔開け部材50は段付きドリル(図5B参照)であり、該第4の支持構造53の隅に配設されている。ここで、該第4の支持構造53の構造及び該第3のサーボモータ56と該孔開け部材50の配置は、いずれも必要に応じて設計でき、特に制限されるものではない。
【0046】
また、該第4の位置決め部材52に対応する箇所に固定構造54aが配置され、該目標物9に接して押圧してもよい。例えば、該固定構造54aは例えば物理的の押圧ヘッドまたは真空吸着ヘッドであり、該第4の支持構造53の下側に配置され、油圧または空気圧部材(図示せず)を設置して該固定構造54aを駆動して該目標物9に押圧させる。好ましくは、該加工領域A1箇所において該アウトレット領域A2の方向に対応して先端が伸縮構造である熊手状の作動部材57が配置され、油圧または空気圧部材(図示せず)により該加工領域A1における目標物9の側面9cを押し動かし、該加工領域A1において加工が完成した後に該目標物9は力を受けて該アウトレット領域A2に移動される。
【0047】
生産ラインで該加工機器1を使用する場合、該輸送装置1aの出し入れ部材10により単一の目標物9を該高度ミリング装置2に輸送することで、該高度ミリング装置2が該目標物9の4つの脚座90に対して高度ミリング作業(即ちバリのミリング)を行う。高度ミリング作業が完成した後、該目標物9を該輸送装置1aの別の出し入れ部材10により該高度ミリング装置2からエッジミリング装置3に輸送しエッジミリング作業を行い、該エッジミリング装置3が該目標物9の4つの側面9cの凸縁91に対してバリのミリングを行う。
【0048】
この実施例において、該エッジミリング装置3のエッジミリング部材3aのループ移動(図3Bに示す移動方向f1、f2、b1、b2)の設計により、該エッジミリング部材3aが同一側面9c上の凸縁91に対してミリングを繰り返すことを回避できるため、該目標物9の側面9c上の凸縁91の過度のミリングによる損壊、または、該エッジミリング部材3aの機械的な騒音が生じることを回避することができる。
【0049】
前記のミリング作業は二重床の底部(該目標物9の第2の表面9b)に対して加工処理を行い、後期の孔開け作業は二重床の頂面(該目標物9の第1の表面9a)において加工処理を行うため、孔開け作業が行われる前に、二重床の反転させる必要がある。従って、該輸送装置1aの他の出し入れ部材10により該目標物9を該エッジミリング装置3から反転装置4の第3の位置決め部材42に輸送して、駆動部材47により該軸構造40を回転させることにより、該第3の位置決め部材42を該軸構造40周りに反転させ、該目標物9を180度反転させた後、該第3の支持構造43に載置し、その後、該ガイドレール45で該第3の支持構造43を該孔開け装置5の加工領域A1にスライドさせる。ここで、該目標物9を手動で反転させてもよい。
【0050】
最後に、該孔開け装置5により該目標物9の脚座90の箇所に必要なザグリ孔の孔開け作業(図1Dに示す開口900)を行い、該孔開け作業が完成した後、該加工処理が完成した目標物8(図1D参照)を該作動部材57により該アウトレット領域A2に搬送することで、二重床全体の加工処理フローを完成する。
【0051】
上記のように、本発明に係る加工機器1は、主に、該第1のサーボモータ26と該第1のミリングカッターツール20とが直線的に一体化され、体積の縮小が可能となり、該第2のサーボモータ36と該第2のミリングカッターツール30とが直線的に一体化され、該枠ベース34の体積の縮小が可能となり、該第3のサーボモータ56と該孔開け部材50とが直線的に一体化され、体積の縮小が可能となるため、単一の生産ライン上で二重床に対して脚座90の高度加工、凸縁91のエッジミリング及び孔開け等の加工処理を行うことができ、生産工程を高速化させ生産効率を向上させると同時に、人力需要を低減させることができる。従って、本発明は、主な特徴として、該第1及び第2のミリングカッターツール20、30及び孔開け部材50の回転を該第1ないし第3のサーボモータ26、36、56により直接駆動しているので、該高度ミリング装置2、エッジミリング装置3及び孔開け部材50の体積を縮小可能であるのみならず、該第1ないし第3のサーボモータ26、36、56の回転をデジタル制御可能であるので、加工精度及び加工速度を向上可能であり、従来技術のような一般のモータ駆動が達成できない効果を奏することができる。
【0052】
上記実施例は本発明の例示的効果に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、所属する技術分野において通常知識を有する者により本発明の主旨を逸脱しない範囲でそれらの実施態様に対して種々に修正や変更を施すことが可能であり、そうした修飾や変更は本発明の特許請求の範囲に入るものである。従って、本発明の権利保護範囲は、後述の特許請求の範囲に述べられたものである。
【符号の説明】
【0053】
1 加工機器
1a 輸送装置
10 出し入れ部材
10b 搭載部
10d 動力源
100 挟持部材
101 伸縮構造
11 支持部品
110 レバーブラケット
111 横梁
112 位置制限部材
112a ラック
2 高度ミリング装置
20 第1のミリングカッターツール
21 第1の基台
21a ガイドレールとスライドベースとの組み合わせ
210 スライダー
211 スライドレール
22 第1の位置決め部材
220 固定部
220a ストッパー
23 第1の支持構造
23a 位置制限止め板
23b 位置制限器
24 搭載枠
24a ガイド構造
240a スライドレール
241a スライドベース
25 調整部材
250 回転ロッド
251 回転盤
25a 減速機
250a スクリューロッド
251a ナット
26 サーボモータ
27 駆動部材
27a ボールネジ
27b ナット
27c 軸受け
270 軸受けベース
28 動力セット
280 減速機
2a 高度ミリング部材
3 エッジミリング装置
3a エッジミリング部品
30 第2のミリングカッターツール
31 第2の基台
32 第2の位置決め部材
320、320a 固定部
33 第2の支持構造
330 スライドベース
34 枠ベース
340 スライダー
35 レール
36 サーボモータ
37 位置制限部材
38 動力セット
38a 第1のモータ
38b 第2のモータ
380 ボールネジ
39 支持枠
4 反転装置
40 軸構造
401 シャフト
41 第3の基台
42 第3の位置決め部材
42a 固定構造
43 第3の支持構造
430 移動部
44 当接構造
45 ガイドレール
47 駆動部材
470 ラック
471 ギア
48、48a 動力セット
480 押し引きロッド
49 位置制限スイッチ
5 孔開け装置
50 孔開け部材
51 第4の基台
52 第4の位置決め部材
520 緩衝部材
53 第4の支持構造
54a 固定構造
56 サーボモータ
57 作動部材
8、9 目標物
9a 第1の表面
9b 第2の表面
9c 側面
9d 端面
90 脚座
900 開口
91 凸縁
A1 加工領域
A2 アウトレット領域
D、d 幅
f1、f2、b1、b2 移動方向
h 高度差
X、Y、Z、Y1 矢印方向
図1
図1-1】
図1A
図1B
図1C
図1C-1】
図1C-2】
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B