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特開2023-18641フォーカスモーター、フォーカスモーターの閉ループ制御方法及び撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018641
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】フォーカスモーター、フォーカスモーターの閉ループ制御方法及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20230201BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20230201BHJP
   G03B 3/10 20210101ALI20230201BHJP
   G03B 13/34 20210101ALI20230201BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20230201BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230201BHJP
【FI】
G02B7/08 C
G02B7/04 E
G02B7/08 B
G03B3/10
G03B13/34
H02P29/00
H04N5/225 100
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089489
(22)【出願日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】202110851784.9
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521010115
【氏名又は名称】基合半導体(寧波)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】張耀国
(72)【発明者】
【氏名】夏波
(72)【発明者】
【氏名】張毓麟
【テーマコード(参考)】
2H011
2H044
5C122
5H501
【Fターム(参考)】
2H011FA03
2H011FA11
2H044BE02
2H044BE04
2H044BE10
2H044BE18
2H044DA01
2H044DB02
2H044DB04
2H044DC01
2H044DE06
5C122GE11
5C122HA82
5C122HB01
5H501AA17
5H501GG01
5H501LL34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可動子ホルダーの運動範囲が広く、可動子ホルダーの厚みが相対的に小さいフォーカスモーターに対する合焦制御を実現するフォーカスモーター、フォーカスモーターの閉ループ制御方法及び撮像装置を提供する。
【解決手段】可動子ホルダー1と、固定子2と、可動子ホルダーに設けられた可動極板3と、固定子に設けられた第1固定極板41及び第2固定極板と、可動極板、第1固定極板及び第2固定極板に接続された処理ユニットとを備え、可動子ホルダーは合焦方向に沿って移動可能であり、可動極板と第1固定極板、および可動極板と第2固定極板は、共に対向して設けられ、処理ユニットは、可動極板と第1固定極板によって形成される第1コンデンサと、可動極板と第2固定極板によって形成される第2コンデンサの容量信号に基づいて、可動子ホルダーの合焦方向における移動を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動子ホルダーと、固定子と、前記可動子ホルダーに設けられた可動極板と、前記固定子に設けられた第1固定極板及び第2固定極板と、前記可動極板、前記第1固定極板及び前記第2固定極板に接続された処理ユニットと、を備え、
前記可動子ホルダーは、合焦方向に沿って移動可能であり、前記可動極板と前記第1固定極板、および前記可動極板と前記第2固定極板は、共に対向して設けられ、前記第1固定極板の前記合焦方向における長さ、前記第2固定極板の前記合焦方向における長さは、共に前記可動極板の前記合焦方向における長さよりも長く、前記可動極板と前記第1固定極板との正対面積、および前記可動極板と前記第2固定極板との正対面積は、共に前記可動子ホルダーの移動に伴って変化し、
前記処理ユニットは、前記可動極板と前記第1固定極板によって形成される第1コンデンサと、前記可動極板と前記第2固定極板によって形成される第2コンデンサの容量信号に基づいて、前記可動子ホルダーの合焦方向における移動を制御する、
ことを特徴とするフォーカスモーター。
【請求項2】
前記可動極板と前記第1固定極板との正対面積、および前記可動極板と前記第2固定極板との正対面積は、前記可動子ホルダーの移動に伴って単調に変化し、前記単調変化には、逓増変化または漸減変化が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載のフォーカスモーター。
【請求項3】
前記可動極板と前記第1固定極板との正対面積が逓増変化したとき、前記可動極板と前記第2固定極板との正対面積は漸減変化し、前記可動極板と前記第1固定極板との正対面積が漸減変化したとき、前記可動極板と前記第2固定極板との正対面積は逓増変化する、
ことを特徴とする請求項2に記載のフォーカスモーター。
【請求項4】
前記第1固定極板と前記第2固定極板は共同して1つの長方形を形成する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のフォーカスモーター。
【請求項5】
前記可動極板と前記第1固定極板との正対面積、前記可動極板と前記第2固定極板との正対面積は、前記可動子ホルダーの移動に伴って変化する面積が同じ大きさである、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のフォーカスモーター。
【請求項6】
前記第1固定極板および前記第2固定極板の形状および大きさは、いずれも同じである、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のフォーカスモーター。
【請求項7】
前記固定子は台座であり、
前記第1固定極板および前記第2固定極板は、いずれもインサート射出成形によって前記台座と一体成形されている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のフォーカスモーター。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のフォーカスモーターに適用され、
可動子ホルダーが合焦方向に沿って移動した後、前記第1コンデンサの第1容量信号と前記第2コンデンサの第2容量信号を取得することと、
前記第1容量信号と前記第2容量信号に基づいて、前記可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっているか否かを判定することと、
重なっていなければ、前記可動子ホルダーの位置が前記目標位置と重なっていると判定されるまで、前記可動子ホルダーを合焦方向に沿って再度移動させるように制御することと、を含む、
ことを特徴とするフォーカスモーターの閉ループ制御方法。
【請求項9】
前記第1容量信号と前記第2容量信号に基づいて、前記可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっているか否かを判定することは、
予め記憶した位置と容量値との対応関係に基づいて、前記目標位置に対応する容量値を目標容量値として決定することと、
前記第1容量信号に対応する第1容量値および前記第2容量信号に対応する第2容量値を取得することと、
前記第1容量値と前記第2容量値によってプリセット演算を行い、演算結果を得ることと、
前記演算結果が前記目標容量値と同じか否かによって、前記可動子ホルダーの位置が前記目標位置と重なっているか否かを判定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載のフォーカスモーターの閉ループ制御方法。
【請求項10】
レンズと、前記レンズを駆動するための請求項1~6のいずれか1項に記載のフォーカスモーターと、を備える
ことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像技術分野に関し、特に、フォーカスモーター、フォーカスモーターの閉ループ制御方法及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像技術の発達に伴い、高速かつ安定的に焦点合わせを実現するために、現在、多くの撮像装置におけるカメラモジュールは、クローズドループ制御の手法が一般的に採用され、フォーカス中にフォーカスモーターにおける可動子ホルダーのリアルタイム位置を検出し、検出した可動子ホルダーの位置に基づいて、可動子ホルダーが正確な合焦位置に速く到達できるようにレンズを駆動する駆動電流を調整する。
【0003】
発明者らは、現在、フォーカスモーターの小型化が進んでいる、すなわち、フォーカスモーターの合焦方向における厚みが減少しており、また、フォーカスモーターの撮影距離を広げるためには、フォーカスモーターの可動子ホルダーの運動距離を大きくする必要があり、可動子ホルダーの運動距離が、可動子ホルダーの合焦方向における長さよりもかなり大きいと、可動子ホルダーがある特定の距離まで運動したときに、可動子ホルダーの正確な位置に対応する電気信号を取得することができず、ひいては、上述した大ストロークモーターに対する閉ループ制御を実現できないことを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、可動子ホルダーの運動範囲が広く、可動子ホルダーの厚みが相対的に小さいフォーカスモーターに対するフォーカス(合焦)制御を実現するフォーカスモーター、フォーカスモーターの閉ループ制御方法及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態はフォーカスモーターを提供し、可動子ホルダーと、固定子と、可動子ホルダーに設けられた可動極板と、固定子に設けられた第1固定極板及び第2固定極板と、可動極板、第1固定極板及び第2固定極板に接続された処理ユニットと、を備え、可動子ホルダーは、合焦方向に沿って移動可能であり、可動極板と第1固定極板、および可動極板と第2固定極板は、共に対向して設けられ、第1固定極板の合焦方向における長さ、第2固定極板の合焦方向における長さは、共に可動極板の合焦方向における長さよりも長く、可動極板と第1固定極板との正対面積、および可動極板と第2固定極板との正対面積は、共に可動子ホルダーの移動に伴って変化し、処理ユニットは、可動極板と第1固定極板によって形成される第1コンデンサと、可動極板と第2固定極板によって形成される第2コンデンサの容量信号に基づいて、可動子ホルダーの合焦方向における移動を制御する。
【0006】
本発明の実施形態は、上述したフォーカスモーターに適用されるフォーカスモーターの閉ループ制御方法をさらに提供し、方法には、可動子ホルダーが合焦方向に沿って移動した後、第1コンデンサの第1容量信号と第2コンデンサの第2容量信号を取得することと、第1容量信号と第2容量信号に基づいて、可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっているか否かを判定することと、重なっていなければ、可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっていると判定されるまで、可動子ホルダーを合焦方向に沿って再度移動させるように制御することと、が含まれる。
【0007】
本発明の実施形態は、レンズと、レンズを駆動するための上記フォーカスモーターとを備える撮像装置をさらに提供する。
【0008】
本発明の実施形態では、フォーカスモーターに、可動子ホルダーと、固定子と、可動子ホルダーに設けられた可動極板と、固定子に設けられた第1固定極板及び第2固定極板とを設け、第1固定極板の合焦方向における長さ、第2固定極板の合焦方向における長さが、いずれも可動極板の合焦方向における長さより長く、可動極板と第1固定極板との正対面積、および可動極板と第2固定極板との正対面積が、いずれも可動子ホルダーの移動に伴って変化するので、可動極板の合焦方向における長さが小さい場合には、可動極板と第1固定極板によって形成される第1コンデンサ、および、可動極板と第2固定極板によって形成される第2コンデンサは同様に変化することが確保され、可動子ホルダーがいずれの位置に移動しても、可動極板と第1固定極板によって形成される第1コンデンサ、および、可動極板と第2固定極板によって形成される第2コンデンサを総合的に考慮して、可動子ホルダーのリアルタイムな位置を正確に決定し、さらに、可動子ホルダーの移動を閉ループ制御して焦点合わせを実現することができる。
【0009】
また、可動極板と第1固定極板との正対面積、および可動極板と第2固定極板との正対面積は、可動子ホルダーの移動に伴って単調に変化し、単調変化には、単調な逓増変化または単調な漸減変化が含まれる。これによって、第1コンデンサおよび第2コンデンサの容量信号に基づいて前記可動子ホルダーの合焦方向における移動を制御する複雑さが簡素化される。
【0010】
また、可動極板と第1固定極板との正対面積が単調に逓増変化したとき、可動極板と第2固定極板との正対面積は単調に漸減変化し、可動極板と第1固定極板との正対面積が単調に漸減変化したとき、可動極板と第2固定極板との正対面積は単調に逓増変化する。これによって、第1固定極板と第2固定極板の設置面積をある程度減らすことができる。
【0011】
また、第1固定極板と第2固定極板は共同して1つの長方形を形成する。
【0012】
また、可動極板と第1固定極板との正対面積、可動極板と第2固定極板との正対面積は、可動子ホルダーの移動に伴って変化する面積が同じ大きさである。これによって、第1コンデンサおよび第2コンデンサの容量信号に基づいて前記可動子ホルダーの合焦方向における移動を制御する複雑さがより一層簡素化される。
【0013】
また、第1固定極板および第2固定極板の形状および大きさは、いずれも同じであり、かつ、第1固定極板と第2固定極板とは中心対称に設けられている。第一固定極板と第二固定極板の設置に一定の規則性を持たせ、量産が容易となる。
【0014】
また、第1固定極板と第2固定極板は、いずれも直角三角形である。
【0015】
また、固定子は台座であり、第1固定極板および第2固定極板は、いずれもインサート射出成形によって台座と一体成形されている。これによって、第1固定極板と第2固定極板との固定強度が向上する。
【0016】
また、フォーカスモーターの閉ループ制御方法において、第1容量信号と第2容量信号に基づいて、可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっているか否かを判定することは、予め記憶した位置と容量値との対応関係に基づいて、目標位置に対応する容量値を目標容量値として決定することと、第1容量信号に対応する第1容量値および第2容量信号に対応する第2容量値を取得することと、第1容量値と第2容量値によってプリセット演算を行い、演算結果を得ることと、演算結果が目標容量値と同じか否かによって、可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっているか否かを判定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
一つ又は複数の実施形態は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施形態を限定するものではなく、添付の図面において同じ符号で示す部品は類似する部品であり、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。
図1図1は、本発明に係るフォーカスモーターの構造の合焦方向に沿った断面図である。
図2図2は、本願に係る一種のフォーカスモーターの各極板の構成を示す図である。
図3図3は、本願に係るもう一種のフォーカスモーターの各極板の構成を示す図である。
図4図4は、本願に係るさらに他のフォーカスモーターの各極板の構成を示す図である。
図5図5は、本願に係るさらに他のフォーカスモーターの各極板の構成を示す図である。
図6図6は、本願に係るさらに他のフォーカスモーターの各極板の構成を示す図である。
図7図7は、本願に係る一種のフォーカスモーターの各極板のパラメータを示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態におけるフォーカスモーターの閉ループ制御方法を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施形態における、目標位置と重なるか否かを判定する過程のフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態における、位置と容量値の対応関係の確立方式のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、当業者にとっては、読者に本願をよりよく理解させるために、本発明の各実施形態において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、また以下の各実施形態に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術方案を実現することができると理解される。
【0019】
以下の各実施形態の区分は、説明の便宜上のものであり、本発明の具体的な実施形態を制限するものではなく、各実施形態は、矛盾の無い限り、相互に結合して引用しうるものである。
【0020】
本発明の実施形態は、一種のフォーカスモーターに関し、図1図2に示すように、可動子ホルダー1と、固定子2と、可動子ホルダー1に設けられた可動極板3と、固定子2に設けられた第1固定極板41及び第2固定極板42と、可動極板3、第1固定極板41及び第2固定極板42に接続された処理ユニットと、を備えている。可動子ホルダー1は、合焦方向に沿って移動可能であり、可動極板3と第1固定極板41、および可動極板3と第2固定極板42は、共に対向して設けられ、第1固定極板41の合焦方向における長さ、第2固定極板42の合焦方向における長さは、共に可動極板3の合焦方向における長さよりも長く、可動極板3と第1固定極板41との正対面積、および可動極板3と第2固定極板42との正対面積は、共に可動子ホルダー1の移動に伴って変化する。処理ユニットは、可動極板3と第1固定極板41によって形成される第1コンデンサと、可動極板3と第2固定極板42によって形成される第2コンデンサの容量信号に基づいて、可動子ホルダー1の合焦方向における移動を制御する。
【0021】
第1コンデンサおよび第2コンデンサの容量信号により可動子ホルダー1の合焦方向における移動を制御する場合、以下の方法に従って、可動子ホルダーが目標位置と重なるか否かを判定することができる。第一に、取得した第1コンデンサの容量信号が、予めデバッグ中にフォーカスモーターが目標位置にあるときに取得された第1コンデンサの容量信号と同じであり、且つ取得した第2コンデンサの容量信号が、予めデバッグ中にフォーカスモーターが目標位置にあるときに取得された第2コンデンサの容量信号と同じであれば、可動子ホルダーは目標位置と重なる。第二に、取得した第1コンデンサの容量信号に対応する第1容量値と第2コンデンサの容量信号に対応する第2容量値とを論理演算して演算結果を得て、演算結果が予めデバッグ中にフォーカスモーターが目標位置にあるときに第1コンデンサと第2コンデンサの容量信号に基づいて論理演算した結果と同じであれば、可動子ホルダーは目標位置と重なる。第1コンデンサと第2コンデンサの容量信号に対して論理演算を行うことにより、可動子ホルダーが異なる位置にあることに対応する容量信号の差異が増え、第1コンデンサと第2コンデンサの信号から可動子ホルダーが位置する位置をより一層判定しやすくなる。
【0022】
上記のフォーカスモーターは、電磁モーター、圧電モーター又は形状記憶合金モーターであってもよいが、これら3種類のモーターのみに限定されるものではない。電磁モーターは、駆動力としてコイルとマグネットの電磁力を利用するモーターであり、圧電モーターは、駆動力として超音波圧電セラミックスの圧電効果を利用するモーターであり、形状記憶合金モーターは、駆動力として記憶金属の変形特性を利用するモーターである。
【0023】
本発明の実施形態では、フォーカスモーターに、可動子ホルダーと、固定子と、可動子ホルダーに設けられた可動極板と、固定子に設けられた第1固定極板及び第2固定極板とを設け、第1固定極板の合焦方向における長さ、第2固定極板の合焦方向における長さが、いずれも可動極板の合焦方向における長さより長く、可動極板と第1固定極板との正対面積、および可動極板と第2固定極板との正対面積が、いずれも可動子ホルダーの移動に伴って変化するので、可動極板の合焦方向における長さが小さい場合には、可動極板と第1固定極板によって形成される第1コンデンサ、および、可動極板と第2固定極板によって形成される第2コンデンサは同様に変化することが確保され、可動子ホルダーがいずれの位置に移動しても、可動極板と第1固定極板によって形成される第1コンデンサ、および、可動極板と第2固定極板によって形成される第2コンデンサを総合的に考慮して、可動子ホルダーのリアルタイムな位置を正確に決定し、さらに、可動子ホルダーの移動を閉ループ制御して焦点合わせを実現することができる。
【0024】
また、本願の上記実施形態における第1固定極板と第2固定極板の設置については、図2図6に示すように、可動極板3と第1固定極板41との正対面積、および可動極板3と第2固定極板42との正対面積は、可動子ホルダー1の移動に伴って単調に変化し、単調変化には、単調に逓増する変化または単調に漸減する変化が含まれる。図2図5に示すように、可動極板が図示のように垂直方向に沿って下向きに移動する過程で、可動極板3と第1固定極板41との正対面積は単調に逓増し、且つ可動極板3と第2固定極板42との正対面積は単調に漸減する。逆に、可動極板が図示のように垂直方向に沿って上向きに移動する過程で、可動極板3と第1固定極板41との正対面積は単調に漸減し、且つ可動極板3と第2固定極板42との正対面積は単調に逓増する。あるいは、図4に示すように、可動極板が図示のように垂直方向に沿って下向きに移動する過程で、可動極板3と第1固定極板41との正対面積は単調に逓増し、且つ可動極板3と第2固定極板42との正対面積は同じく単調に逓増し、可動極板と第1固定極板、第2固定極板の両者との正対面積の変化傾向は同じである。逆に、可動極板が図示のように垂直方向に沿って上向きに移動する過程で、可動極板と第1固定極板、第2固定極板の両者との対向面積は、いずれも単調に漸減する。実用上は、図2図6で説明したような第1固定極板及び第2固定極板の形状及び大きさに限定されない。
【0025】
第1固定極板41及び第2固定極板42の形状をこのように設置することにより、可動極板3を移動中に各位置に移動させたときに形成される第1コンデンサがそれそれ異なる値の容量信号となり、同様に第2コンデンサがそれそれ異なる値の容量信号となり、得られた容量信号の値によって可動極板が位置する位置を区分することができ、ひいては可動子ホルダーが位置する位置を特定することができ、第1コンデンサ及び第2コンデンサの容量信号に基づいて前記可動子ホルダーの合焦方向における移動を制御する複雑さを簡素化することができる。
【0026】
また、可動極板と第1固定極板との正対面積、可動極板と第2固定極板との正対面積は、可動子ホルダーの移動に伴って変化する面積が同じ大きさである。これによって、第1コンデンサおよび第2コンデンサの容量信号に基づいて前記可動子ホルダーの合焦方向における移動を制御する複雑さがより一層簡素化される。以下、図7に示す第1固定極板と第2固定極板を例にとって、可動子ホルダーの移動を制御する複雑さをいかにしてより一層簡素化するかについて具体的に説明する。
【0027】
図7において、可動極板3の合焦方向における長さをa、第1固定極板41の合焦方向に垂直な方向における直角辺の長さをb、第1固定極板41の合焦方向に垂直な方向における直角辺と斜辺との間に形成される角度をθ、可動極板3と第1固定極板41の合焦方向における最高点との距離をxとすると、第1固定極板41と可動極板3との間の正対面積A=a*cotθ*(2x+a)/2、第2固定極板42と可動極板3との間の正対面積B=a*[2b-cotθ*(2x+a)]/2を算出して得た。正対面積Aと正対面積Bとの差分A-B=a*(b-a*cotθ)-2a*cotθ*xより、極板の寸法パラメータaとbが固定数値であるとき、正対面積Aと正対面積Bとの差分と距離xとの関係は線形関係であり、傾きは-2a*cotθであることがわかる。正対面積Aと正対面積Bとの差分は、可動子ホルダーの移動距離xと線形関係にあるため、発生する第1コンデンサの容量信号と第2コンデンサの容量信号との差分は、同様に移動距離xと線形関係にあり、ランダムに発生する容量信号に対して、線形関係にある容量信号に基づいて可動子ホルダーの移動距離を決定することは容易となるため、可動子ホルダーの移動を制御する複雑さがより一層簡素化される。第1固定極板及び第2固定極板の形状が不規則であれば、発生する容量信号と距離との間は非線形関係になり、同様に可動子ホルダーの移動距離を決定することができる。
【0028】
また、前記計算における傾きを変えることで、容量信号の変化の程度を制御することができ、一定の範囲で傾きを上げることは、決定された可動子ホルダーの移動距離の精度を向上することにより一層寄与する。
【0029】
また、第1固定極板と第2固定極板は共同して1つの長方形を形成する。
【0030】
また、第1固定極板と第2固定極板とを中心対称に設けることにより、フォーカスモーターの量産が容易となる。対称中心点は、第1固定極板と第2固定極板が共同して形成する長方形の中心となる。
【0031】
また、第1固定極板と第2固定極板は、共に直角三角形であってもよく、その他の規則的または不規則的な形状であってもよく、上記で述べた第1固定極板及び第2固定極板の形状に対する要求条件を満たせばよく、ここで、第1固定極板及び第2固定極板の形状及びサイズについて他の制限を与えない。
【0032】
また、固定子2は具体的には台座であり、台座に設置される第1固定極板41及び第2固定極板42は、設置方式として、台座2の対応領域に第1固定極板41及び第2固定極板42を直接貼り付け、第1固定極板41及び第2固定極板42とモーターの内部配線とを導通させるように設置してもよく、プラスチック材に金属部品を入れたインサートモールドを用いて、直接射出成形し、モーターの組立て工程を省いてもよく、レーザーダイレクトストラクチャリング(Laser Direct Structuring、 LDS)プロセスにより、プラスチックの局所表面にレーザー彫刻によって電気めっきが活性化されることで、めっき領域に導電能力を持たせ、台座2の該当する領域で第1固定極板と第2固定極板を加工して形成してもよい。
【0033】
また、第1固定極板41及び第2固定極板42も同様に、インサート射出成形による台座との一体成形や、レーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)プロセスにより実現できる。
【0034】
また、図1に示すように、処理ユニットは、モーターピン6を介して可動極板3、第1固定極板41および第2固定極板42に接続され、処理ユニットは、モーターピン6を介して第1コンデンサおよび第2コンデンサの容量信号を取得する。
【0035】
また、フォーカスモーターには、可動子ホルダー1に支持されているレンズも含まれている。
【0036】
本発明の他の実施形態は、上述したフォーカスモーターに適用されるフォーカスモーターの閉ループ制御方法に関し、図8に示すように、以下のステップを含む。
【0037】
ステップ801:可動子ホルダーが合焦方向に沿って移動した後、第1コンデンサの第1容量信号と第2コンデンサの第2容量信号を取得する。
【0038】
ステップ802:第1容量信号と第2容量信号に基づいて、可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっているか否かを判定し、重なっていれば、ステップ803に進んで可動子ホルダーの移動を完了する。
【0039】
重なっていなければ、ステップ804に進み、出力される駆動電流または駆動電圧を増減することにより、可動子ホルダー1の移動を継続するように制御し、ステップ801に戻って可動子ホルダーが合焦方向に沿って移動した後、第1コンデンサの第1容量信号と第2コンデンサの第2容量信号を取得し、可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっていると判定されるまでステップ802の判定を繰り返し、ステップ803に進んで可動子ホルダーの移動を完了する。
【0040】
また、第1容量信号と第2容量信号に基づいて可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっているか否かを判定する場合、具体的な手順は図9に示す通りである。
【0041】
ステップ901:ホストから送信された可動子ホルダーの移動すべき目標位置を受信する。
【0042】
ステップ902:予め記憶した位置と容量値との対応関係に基づいて、目標位置に対応する容量値を目標容量値として決定する。
【0043】
ステップ903:第1容量信号に対応する第1容量値と第2容量信号に対応する第2容量値を取得し、第1容量値と第2容量値によってプリセット演算を行い、演算結果を得る。
【0044】
具体的には、プリセット演算は、第1容量値と第2容量値とを加算する加算演算、或いは第1容量値と第2容量値とを減算する減算演算であってもよく、具体的な演算は、第1固定極板と第2固定極板の形状およびサイズに基づいて調整される。
【0045】
ステップ904:演算結果が目標容量値と同じか否かによって、可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっているか否かを判定する。演算結果が目標容量値と同じであれば、可動子ホルダーの位置が目標位置と重なっている。
【0046】
また、閉ループ制御は、容量検出回路と、分析演算回路と、制御出力回路とを備えたコントロールチップによって実現することができる。このうち、容量検出回路は、極板からなる容量信号を検出するものであり、分析演算回路は、取得した容量信号に基づいて、可動子を移動させるか否かと、移動に必要な駆動電流(又は駆動電圧)を判定するものである。制御出力回路は、演算した駆動電流(又は駆動電圧)をモーターに出力し、モーターの可動子ホルダーの移動を制御するものである。
【0047】
また、モーターの可動子ホルダーの移動を制御した後、移動後の可動子ホルダーが再び容量による容量信号を変化させ、コントロールチップは、再び変化後の容量信号によって、可動子ホルダーの現在位置が目標位置と重なるまで解析計算を行い、モーターに対する制御を完了する。
【0048】
ステップ902における予め記憶した位置と容量値との対応関係は、以下の方式によって確立できる。確立過程は図10に示すように、以下のステップを含む。
【0049】
ステップ1001:可動子ホルダーをフォーカスモーターの底部に移動する。
【0050】
ステップ1002:可動子ホルダーを予め設定された間隔で段階的に移動するように制御し、移動毎に第1コンデンサおよび第2コンデンサによって生成された容量信号に対応する容量値、および移動毎に可動子ホルダーとフォーカスモーターの底部との距離を記録し、移動毎に可動子ホルダーと底部との距離と第1コンデンサおよび第2コンデンサによって生成された容量信号に対応する容量値との対応関係を、位置と容量値との対応関係とする。
【0051】
上記の各種方法におけるステップの区分けは、あくまでも記述を明瞭にするためになされ、実施する際に、1つのステップに統合したり、いくつかのステップを分割して複数のステップに分解することができ、同一の論理関係を含んでいれば、いずれも本願の保護範囲のものである。アルゴリズムまたはフローに、重要でない変更を加えたり、重要でない設計を導入したりするが、そのアルゴリズムやフローのコア設計を変更しない限り、いずれも本願の保護範囲に入る。
【0052】
本発明のさらに他の実施形態は、レンズと、レンズを駆動するための上述したフォーカスモーターとを備える、撮像装置に関する。
【0053】
関連技術に比べて、本発明の実施形態が提供する撮像装置には、前記実施形態が提供するフォーカスモーターが設けられているため、前記実施形態が提供する技術的効果も同様に具備し、ここでは再び贅言しない。
【0054】
当業者であれば、前記各実施形態は、本発明を実現する具体的な実施例であり、実用上では、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更を実施できることが理解できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10