(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018643
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】写真等の作品の裏打ち材
(51)【国際特許分類】
C09J 7/29 20180101AFI20230201BHJP
A47G 1/14 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
C09J7/29
A47G1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094259
(22)【出願日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2021122602
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519441235
【氏名又は名称】株式会社ボウルド
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】宇都 光孝
(72)【発明者】
【氏名】宇都 悠飛
【テーマコード(参考)】
3B111
4J004
【Fターム(参考)】
3B111BA03
3B111BC03
3B111BC06
4J004AA11
4J004AA14
4J004AB01
4J004CA02
4J004CA08
4J004CB02
4J004CC03
4J004DB02
4J004FA08
(57)【要約】
【課題】十分な強度を有していて作品の平面性を保持でき、更に、作品を剥離して再使用することも可能な写真等の作品の裏打ち材を提供することを課題とする。
【解決手段】樹脂製芯材2を平面板3,4で挟持して成る積層板の一面又は両面に粘着層5,6を配設し、粘着層5,6上に剥離シート7を被装して成る。粘着層5,6は、作品10の貼着と剥離の反復が可能な微粘着シートである場合がある。また、樹脂製芯材2を平面板3,4で挟持して成る積層板1の一面又は両面に微吸着シート8,9を配設し、微吸着シート8,9上に剥離シート7を被装する構成の場合もある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製芯材を平面板で挟持して成る積層板の一面又は両面に粘着層を設け、前記粘着層上に剥離シートを被装して成る写真等の作品の裏打ち材。
【請求項2】
前記平面板は、金属板又は木板である、請求項1に記載の写真等の作品の裏打ち材。
【請求項3】
前記平面板がアルミニウム板の場合において、完全に平らな2つの平面で上下から挟んだときにおける幅の示す値である平面度が、1820mm×910mmの寸法の場合に2mm以下である、請求項1又は2に記載の写真等の作品の裏打ち材。
【請求項4】
前記粘着層は、前記作品の貼着と剥離の反復が可能な微粘着シートである、請求項1乃至3のいずれかに記載の写真等の作品の裏打ち材。
【請求項5】
樹脂製芯材を平面板で挟持して成る積層板の一面又は両面に微吸着シートを配設し、前記微吸着シート上に剥離シートを被装して成る写真等の作品の裏打ち材。
【請求項6】
前記平面板は、金属板又は木板である、請求項5に記載の写真等の作品の裏打ち材。
【請求項7】
前記平面板がアルミニウム板の場合において、完全に平らな2つの平面で上下から挟んだときにおける幅の示す値である平面度が、1820mm×910mmの寸法の場合に2mm以下である、請求項5又は6に記載の写真等の作品の裏打ち材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は写真等の作品の裏打ち材に関するものであり、より詳細には、写真等の作品を容易に平坦に貼着できると共に、剥離が可能な写真等の作品の裏打ち材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
展示用や装飾用等の写真や絵画等の作品は、スポットライトの熱、湿気、温度変化等によってしわが寄ったり、波打ったりして、平面性を失い、作品の価値低下につながってしまうおそれがあるため、裏打ち材に定着させるのが一般である。
【0003】
写真の裏打ち材に関する発明を開示する先行文献として、特開平10-90855号公報(特許文献1)がある。そこにおいて提唱されている写真の裏打ち材は、合成樹脂製又は紙製の基板上に第1の接着剤層を設け、前記第1の接着剤層上に一面又は両面に粗面加工を施した樹脂シート又は紙材を配し、前記樹脂シート又は紙材上に第2の接着剤層を設け、前記第2の接着剤層上に剥離紙を定置して成るものである。
【0004】
しかるに、この裏打ち材の場合は、基板が合成樹脂製又は紙製であるために強度上の問題があり、また、粗面加工を施した樹脂シート又は紙材の上に接着剤層を介して作品を定着する構成であるため、平面性の面でも問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来提案されている上記裏打ち材の問題点を解決するためになされたもので、十分な強度を有していて作品の平面性を保持でき、更に、作品を剥離して再使用することも可能な写真等の作品の裏打ち材を提供することを課題とする。なお、ここにおいていう平面性は、しわが寄ったり、波打ったり、反ったりしていないことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、樹脂製芯材を平面板で挟持して成る積層板の一面又は両面に粘着層を設け、前記粘着層上に剥離シートを被装して成る写真等の作品の裏打ち材である。
【0008】
一実施形態においては、前記粘着層は、前記作品の貼着と剥離の反復が可能な微粘着シートである。
【0009】
上記課題を解決するための請求項5に記載の発明は、樹脂製芯材を平面板で挟持して成る積層板の一面又は両面に微吸着シートを配設し、前記微吸着シート上に剥離シートを被装して成る写真等の作品の裏打ち材である。
【0010】
前記平面板は、金属板又は木板である。前記平面板がアルミニウム板の場合において、完全に平らな2つの平面で上下から挟んだときにおける幅の示す値である平面度が、1820mm×910mmの寸法の場合に2mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る写真等の作品の裏打ち材は、芯材を、金属板又は木板である2枚の平面板で挟持して成る積層板を基材としているために強度性に優れ、且つ、凹凸のない平面板で作品を受けるため、作品の平面性を維持でき、更に、作品を微粘着シート又は微吸着シートで定着することで、作品の貼着・剥離が可能となり、裏打ち材自体が反復使用可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材の構成例を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明に係る写真等の作品の裏打ち材の他の構成例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係る写真等の作品の裏打ち材は、写真や絵画等の作品10を展示したり、飾ったりするために、作品10を担持するものであって、樹脂製芯材2を平面板3,4で挟持して成る積層板1の一面又は両面に粘着層5,6が設けられ、粘着層5,6に剥離シート7が被装されて構成されるものである(
図1)。あるいは、該裏打ち材は、積層板1の一面又は両面に微吸着シート8,9が定着され、微吸着シート8,9に剥離シート7が被装されて構成される(
図2)。平面板3,4は、薄手のアルミニウム板等の金属板又は木板である。
【0014】
積層板1は、3mmほどの厚さであり、樹脂製芯材2は、例えば、平坦なポリエチレン製板材とされる。芯材2の両面に固定される平面板3,4には粘着層5,6、あるいは、微吸着シート8,9を介して作品10が定着されるため、平坦な作品の平面性を保持し得るよう、平面板3,4自体が凹凸や反りのない平坦な板である必要がある。例えば、1820mm×910mmの寸法のアルミニウム板の場合において、完全に平らな2つの平面で上下から挟んだときにおける幅の示す値である平面度が、2mm以下であることが好ましい。
【0015】
粘着層5,6は、一般的な粘着力、接着力を有する層であってもよいが、後に作品10を剥離する要請のある場合がある。そのため、粘着層5,6としては、貼着と剥離の反復が可能な微粘着シートを用いることが好ましい。微粘着シートは、例えば、樹脂フィルム等の基材の両面に、シリコン系化合物やウレタン系化合物等から成る、繰り返し使用が可能な微粘着層を備えて成るものを用いることができる。微粘着シートは、両面が微粘着性であってもよいし、作品10を定着する面のみが微粘着性であってもよい。このように、粘着層5,6として、貼着と剥離の反復が可能な微粘着シートを用いた場合は、作品10を剥離して変更することが可能となり、裏打ち材自体が反復使用可能なものとなる。
【0016】
また、粘着層5,6の代わりに、微吸着シート8,9を配設することもある(
図2)。微吸着シート8,9は市販品であり、糊を使用せず、静電気の力で吸着する性質を有するもので、剥離後に作品10への糊残りがないというメリットがあり、また、平坦な面に貼っても、エアー抜けが良好のため、平面性が失われないという特徴がある。この微吸着シート8,9を用いる場合も、貼着と剥離の反復が可能であり、作品10を剥離して変更することが可能となり、裏打ち材自体が反復使用可能となる。
【0017】
本発明に係る写真等の作品の裏打ち材は、粘着層5,6又は微吸着シート8,9に被装されている剥離シート7を剥取し、露呈した粘・吸着面上に作品10を静置し、ロール等を用いて軽く押し付けることにより、作品10を定着する。作品10は、このようにして簡単に裏打ち材に定着でき、展示期間中その平面性が保たれる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明に係る写真等の作品の裏打ち材は、芯材を2枚のアルミニウム板等の金属板又は木板である平面板で挟持して成る積層板を基材としているために強度性に優れ、また、凹凸、しわ、反りのない平面板で作品を受けるため、作品の平面性を維持でき、更に、作品を微粘着シート又は微吸着シートで定着することで、作品の貼着・剥離が可能となり、裏打ち材自体が反復使用可能となる効果があり、その産業上の利用可能性は大いにある。
【符号の説明】
【0019】
1 積層板
2 芯材
3,4 平面板
5,6 粘着層
7 剥離紙
8,9 微吸着シート
10 作品