IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018650
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】ラテックス及び関連する組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/00 20060101AFI20230201BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20230201BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20230201BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20230201BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20230201BHJP
   C08F 220/26 20060101ALI20230201BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20230201BHJP
   C09D 133/06 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
C08F210/00
G03G9/097 365
G03G9/087 325
G03G9/08 381
C08F212/08
C08F220/26
C09D5/02
C09D133/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101386
(22)【出願日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/386,064
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】カレン・エー.・モファット
(72)【発明者】
【氏名】セペール・エム.・テフラニ
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー・ディー.・ノセラ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ピー.・エヌ.・ヴェレジン
【テーマコード(参考)】
2H500
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA08
2H500BA12
2H500BA22
2H500CA03
2H500CA04
2H500EA12B
2H500EA41B
2H500EA52B
4J038CG141
4J038CH141
4J038HA026
4J038JC38
4J038KA08
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA27
4J100AB02P
4J100AL03P
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL62R
4J100BA04Q
4J100BA16P
4J100BC41Q
4J100BC59Q
4J100BC60Q
4J100DA01
4J100DA25
4J100EA07
4J100FA03
4J100FA04
4J100FA20
4J100JA01
4J100JA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れた印刷性能を維持しながら、低減されたVOC排出を呈するトナーを形成するラテックスを提供する。
【解決手段】水と、ジオキサン/ジオキソランモノマー及びビニルコモノマーを含む反応物の重合生成物を含む樹脂粒子と、を含み得るラテックスであって、ジオキサン/ジオキソランモノマーが、(メタ)アクリル酸の、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸の、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステル又はそれら両方である、ラテックスが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、ジオキサン/ジオキソランモノマー及びビニルコモノマーを含む反応物の重合生成物を含む樹脂粒子と、を含むラテックスであって、前記ジオキサン/ジオキソランモノマーが、(メタ)アクリル酸の、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸の、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステル又はそれら両方である、ラテックス。
【請求項2】
前記ジオキサン部分を含む前記アルコール又は前記ジオキソラン部分を含む前記アルコールが、トリオールのアセタール、トリオールのケタール又はトリオールのカーボネートである、請求項1に記載のラテックス。
【請求項3】
前記トリオールが、グリセロール又はトリメチロールプロパンである、請求項2に記載のラテックス。
【請求項4】
前記ジオキサン/ジオキソランモノマーが、式I又は式IIを有し、
【化1】
式中、Rは、水素及びメチルからなる群から選択され、R’は、水素及びエチルからなる群から選択され、Zは、水素、カルボニル基、アルキル基、アリール基及びアルコキシ基の酸素からなる群から選択される、請求項1に記載のラテックス。
【請求項5】
前記ジオキサン/ジオキソランモノマーが、グリセロールホルマール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、イソプロピリデングリセロール(メタ)アクリレート及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のラテックス。
【請求項6】
前記ジオキサン/ジオキソランモノマーが、グリセロールホルマール(メタ)アクリレートである、請求項1に記載のラテックス。
【請求項7】
前記ジオキサン/ジオキソランモノマーが、約1重量%~約50重量%の範囲の量で前記樹脂粒子中に存在する、請求項1に記載のラテックス。
【請求項8】
前記ビニルコモノマーが、少なくとも約15重量%の量で前記樹脂粒子中に存在するアルキル(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項9】
前記アルキル(メタ)アクリレートが、ブチル(メタ)アクリレートである、請求項8に記載のラテックス。
【請求項10】
前記反応物が、2つの異なるタイプの前記ビニルコモノマーを含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項11】
前記2つの異なるタイプの前記ビニルコモノマーが、スチレン及びアルキル(メタ)アクリレートである、請求項10に記載のラテックス。
【請求項12】
前記アルキル(メタ)アクリレートが、ブチル(メタ)アクリレートである、請求項11に記載のラテックス。
【請求項13】
前記反応物が、3つの異なるタイプの前記ビニルコモノマーを含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項14】
前記3つの異なるタイプの前記ビニルコモノマーが、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート及びカルボン酸基を含むビニルコモノマーである、請求項13に記載のラテックス。
【請求項15】
前記アルキル(メタ)アクリレートが、ブチル(メタ)アクリレートであり、前記カルボン酸基を含む前記ビニルコモノマーが、ベータ-カルボキシエチルアクリレートである、請求項14に記載のラテックス。
【請求項16】
前記樹脂粒子が、約100nm~約400nmの範囲のD50粒径を有する、請求項1に記載のラテックス。
【請求項17】
前記樹脂粒子が、約40℃~約85℃の範囲の開始ガラス転移温度Tを有する、請求項1に記載のラテックス。
【請求項18】
水と、ジオキサン/ジオキソランモノマー、ビニルコモノマー及び少なくとも約15重量%の量で樹脂粒子中に存在するアルキル(メタ)アクリレートを含む反応物の重合生成物を含む前記樹脂粒子と、を含むラテックスであって、前記ジオキサン/ジオキソランモノマーが、(メタ)アクリル酸の、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸の、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステル又はそれら両方である、ラテックス。
【請求項19】
前記ジオキサン/ジオキソランモノマーが、グリセロールホルマール(メタ)アクリレートであり、前記ビニルコモノマーが、スチレンであり、前記アルキル(メタ)アクリレートが、ブチル(メタ)アクリレートである、請求項18に記載のラテックス。
【請求項20】
水と、着色剤と、ジオキサン/ジオキソランモノマー及びビニルコモノマーを含む反応物の重合生成物を含む樹脂粒子と、を含む塗料であって、前記ジオキサン/ジオキソランモノマーが、(メタ)アクリル酸の、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸の、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステル又はそれら両方である、塗料。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くのスチレン-アクリレート系樹脂が、開発され、概して、広範囲の所望の特性を包含するエマルション凝集プロセスを介して、多様なトナーを提供するために使用されてきた。しかしながら、揮発性有機化合物(volatile organic compound、VOC)の排出は、ある特定の条件下の多機能プリンタ内、例えば、制限された空気循環を有する閉鎖的な空間内でそのようなトナーを使用するか、又は長期間にわたって高い印刷速度で実行する場合に問題であり得る。この問題に対処するために、残留モノマーレベルが低く保たれ、樹脂及びトナーを作製するためのプロセスが改善され、カーボンフィルタがプリンタに追加されている。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、ジオキサン/ジオキソランモノマーから重合された樹脂粒子を含むラテックスを提供する。ラテックスは、トナー及び塗料を含む多様な組成物を形成するために使用することができ、これはまた、本開示によって包含される。ジオキサン/ジオキソラン系樹脂粒子の少なくとも実施形態は、優れた印刷性能を維持しながら、低減されたVOC排出を呈するトナーを提供する。
【0003】
一態様では、ラテックスが提供される。実施形態では、ラテックスは、水と、ジオキサン/ジオキソランモノマー及びビニルコモノマーを含む反応物の重合生成物を含む樹脂粒子と、を含み、ジオキサン/ジオキソランモノマーが、(メタ)アクリル酸の、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸の、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステル又はそれら両方である。
【0004】
別の態様では、塗料が提供される。実施形態では、塗料は、水と、着色剤と、ジオキサン/ジオキソランモノマー及びビニルコモノマーを含む反応物の重合生成物を含む樹脂粒子と、を含み、ジオキサン/ジオキソランモノマーが、(メタ)アクリル酸の、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸の、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステル又はそれら両方である。
【0005】
本開示の他の主要な特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を検討すると当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ラテックス
【0007】
一態様では、ラテックスが提供される。そのようなラテックスは、様々なモノマーから合成された樹脂粒子を含み、樹脂粒子が構成されるポリマー材料を形成する。(メタ)アクリル酸の、ジオキサン部分を含むアルコール又はジオキソラン部分を含むアルコールとのエステルである少なくとも1つのタイプのモノマーが使用される。(例えば、(メタ)アクリル酸におけるような「(メタ)」の使用は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を指す。)本開示では、このタイプのモノマーは、「ジオキサン/ジオキソランモノマー」と称され得る。ジオキサン/ジオキソランモノマーというこの語句は、(メタ)アクリル酸の、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステルであるモノマー、(メタ)アクリル酸の、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステルであるモノマー及びそのようなモノマーの両方を包含する。ジオキサン部分は、1,3-ジオキサン部分であり得、ジオキソラン部分は、1,3-ジオキソラン部分であり得る。ジオキサン/ジオキソラン部分を含むアルコールは、トリオールのアセタール、トリオールのケタール又はトリオールのカーボネートであり得る。例示的なトリオールとしては、グリセロール及びトリメチロールプロパンが挙げられる。トリオールは、非置換又は置換であり得る。「置換された」とは、炭素(複数可)又は水素(複数可)への1つ以上の結合が、非水素及び非炭素原子への結合によって置き換えられることを意味する。ジオキサン/ジオキソランモノマーは、以下に示されるような式I(ジオキサン)又はII(ジオキソラン)を有し得、式中、Rは、水素及びメチルから選択され、R’は、水素及びエチルから選択され、Zは、水素、カルボニル基、アルキル基、アリール基及びアルコキシ基の酸素から選択される。いずれか又は両方のタイプのモノマーを樹脂粒子に使用することができる。
【化1】
【0008】
カルボニル基は、C=O基を指し、つまり、Zは、二重結合を介して炭素に共有結合しているOであり、それによって、5又は6員環の2つの酸素間にカルボニル基を形成する。
【0009】
アルキル基は、直鎖又は分岐であり得る。アルキル基は、1~20個の炭素を有し得る。これは、1~18個の炭素及び1~10個の炭素、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有することを含む。アルキル基は、置換又は非置換であり得る。アリール基は、1つの芳香環を有する単環式、例えばベンゼン、又は1つ以上の縮合環を有する多環式であり得る。アリール基は、アルキル基に関して上述のような非置換又は置換であり得るが、置換アリール基はまた、水素(複数可)への結合が上述のような非置換又は置換アルキル基への結合によって置き換えられるアリール基を包含する。アルコキシ基は、-O-アルキル基を指す。
【0010】
例示的なジオキサン/ジオキソランモノマーとしては、グリセロールホルマール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート及びイソプロピリデングリセロール(メタ)アクリレートが挙げられる。単一のタイプ又は異なるタイプのジオキサン/ジオキソランモノマーの組み合わせを使用することができる。しかしながら、実施形態では、ジオキサン/ジオキソランモノマーは、グリセロールホルマール(メタ)アクリレートである。本開示では、「グリセロールホルマール(メタ)アクリレート」という名称(及びこの段落中に記載される他のジオキサン/ジオキソランモノマーの名称)は、ジオキサン異性体、ジオキソラン異性体又はそれら両方のいずれかを指す。つまり、すべての可能性が名称によって包含される。
【0011】
少なくとも1つのビニルコモノマーはまた、樹脂粒子を形成するために使用される。例示的なビニルコモノマーとしては、以下、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン及びイソプレンが挙げられる。例示的なビニルコモノマーとしては、以下、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアルキル若しくはトリアルキルアクリルアミド又はメタクリルアミドの四級アンモニウムハライド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル-N-メチルピリジニウムクロリドなどの酸性及び塩基性のそのようなモノマーも挙げられる。例示的なビニルコモノマーとしては、以下、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ベータ-カルボキシエチルアクリレート(beta-carboxyethyl acrylate、β-CEA)、2-カルボキシエチルメタクリレート、マレイン酸及びケイ皮酸などのカルボン酸基を含むものも挙げられる。単一のタイプ又は異なるタイプのビニルコモノマーの組み合わせを使用することができる。実施形態では、スチレン及びアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート)、ブチル(メタ)アクリレート)又はそれらの組み合わせを含む、少なくとも2つのビニルコモノマーが使用される。したがって、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、1個以上の炭素、2個以上の炭素、4個以上の炭素又は1~6個の炭素を有し得る。実施形態では、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート及びカルボン酸基を含むビニルコモノマーを含む、少なくとも3つのビニルコモノマーが使用される。実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートは、n-ブチルアクリレートである。実施形態では、第3のビニルコモノマーは、β-CEAである。
【0012】
架橋剤は、樹脂粒子を形成するために使用され得る。例示的な架橋剤としては、デカンジオールジアクリレート(decanediol diacrylate、ADOD)、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸及びそれらの組み合わせが挙げられる。架橋剤はまた、分岐剤と称され得る。
【0013】
連鎖移動剤は、樹脂粒子を形成するために使用され得る。連鎖移動剤は、メルカプタン又はチオールであり得る。好適な連鎖移動剤としては、n-ドデシルメルカプタン(n-dodecylmercaptan、NDM)、n-ドデカンチオール(n-dodecanethiol、DDT)、tert-ドデシルメルカプタン、1-ブタンチオール、2-ブタンチオール、オクタンチオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。四臭化炭素、四塩化炭素、及びこれらの組み合わせなどのハロゲン化炭素は、連鎖移動剤として使用され得る。
【0014】
実施形態では、ある特定のモノマーは、樹脂粒子を形成する際に除外され得る。除外されたモノマーは、以下、ビニル-イミダゾリウムモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートモノマー及び(メタ)アクリル酸トリイソプロイルシリルエステル(triisoproylsilyl ester)などのシリルエステルモノマーのうちの1つ以上を含み得る。
【0015】
樹脂粒子を含むラテックスを形成する際に、上述のモノマーの様々な組み合わせは、溶媒、開始剤(本明細書に記述されるようなモノマーエマルションに含まれるか、又は重合プロセス中に個別のステップ(複数可)において別個に添加され得る)及び任意選択で、架橋剤、連鎖移動剤及び界面活性剤のうちの1つ以上を含むモノマーエマルション中に使用され得る。水は、溶媒として一般に使用されるが、水溶性又は水混和性有機溶媒(例えば、エタノール)も含まれ得る。
【0016】
モノマーエマルション中に使用されるモノマーのタイプ及びそれらの相対量は、樹脂粒子の特性を調整するために選択され得る。これは、以下に記載されるT値を達成するための、ジオキサン/ジオキソランモノマー及びビニルコモノマー(2つ又は3つのそのようなビニルコモノマーを含む)の相対量の調節を含む。同様に、架橋剤及び連鎖移動剤の存在、タイプ及び量はまた、樹脂粒子の特性を調整するために選択され得る。
【0017】
ジオキサン/ジオキソランモノマーは、例えば、1重量%~50重量%、5重量%~40重量%及び5重量%~30重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中に使用され得る。(ここで、重量%は、(ジオキサン/ジオキソランモノマーの総重量)/(モノマーエマルション中の、モノマー、架橋剤(存在する場合)及び連鎖移動剤(存在する場合)の総重量)100を指す)。ビニルコモノマーは、例えば、50~98重量%、60重量%~90重量%及び65重量%~85重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中に使用され得る。(ここで、重量%は、(ビニルコモノマーの総重量)/(モノマーエマルション中の、モノマー、架橋剤(存在する場合)及び連鎖移動剤(存在する場合)の総重量)100を指す)。複数のタイプのビニルコモノマー、例えば2つ又は3つ、が使用される実施形態では、第1のビニルコモノマー(例えば、スチレン)は、例えば、ビニルコモノマーの総重量の40重量%~95重量%を構築し得、第2のビニルコモノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレート)は、例えば、ビニルコモノマーの総重量の、少なくとも15重量%、少なくとも30重量%、5重量%~60重量%を構築し得、第3のビニルコモノマー(例えば、β-CEA)は、ビニルコモノマーの総重量の、例えば、最大10重量%を構築し得る。他の範囲は、第1のビニルコモノマーについては、例えば、50重量%~80重量%及び50重量%~70重量%を含み、第2のビニルコモノマーについては、例えば、10重量%~50重量%及び10重量%~30重量%、第3のビニルコモノマーについては、例えば、0.1重量%~8重量%及び0.1重量%~5重量%を含む。実施形態では、可能なビニルコモノマーとしてのアルキル(メタ)アクリレートに関しては、モノマーエマルション中の、モノマー、架橋剤(存在する場合)及び連鎖移動剤(存在する場合)の総重量の少なくとも15重量%の量で存在する。これは、少なくとも20重量%及び少なくとも25重量%を含む。
【0018】
架橋剤は、使用される場合、例えば、最大20重量%、0.01重量%~20重量%、0.1重量%~5重量%の量でモノマーエマルション中に存在し得る。(ここで、重量%は、(架橋剤の総重量)/(モノマーエマルション中の、モノマー、架橋剤及び連鎖移動剤(存在する場合)の総重量)100を指す)。
【0019】
連鎖移動剤は、使用される場合、例えば、最大10重量%、0.05重量%~10重量%、0.25重量%~5重量%の量でモノマーエマルション中に存在し得る。(ここで、重量%は、(連鎖移動剤の総重量)/(モノマーエマルション中の、モノマー、架橋剤(存在する場合)及び連鎖移動剤の総重量)100を指す)。
【0020】
開始剤は、モノマーエマルション中の様々なモノマー間の重合反応を開始する。好適な開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate、APS)、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤が挙げられる。使用され得る他の水溶性開始剤としては、アゾアミジン化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジ-ヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-2-プロペニルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロ-リド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジ-ヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。レドックス開始剤を使用することができる。上記で述べるように、開始剤は、重合プロセスにおける個別のステップ(複数可)において別個に添加され得る。開始剤は、開始剤及び溶媒、例えば水を含む開始剤溶液として添加され得る。使用される開始剤の量は、例えば0.1重量%~5重量%の範囲のものを含む。(ここで、重量%は、(開始剤の総重量)/(モノマーエマルション中のモノマーの総重量)100)を指す。)
【0021】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びそれらの組み合わせから選択され得るモノマーエマルション中に使用され得る。量は、例えば、最大5重量%、0.01重量%~5重量%であり得る。((ここで、重量%は、(界面活性剤の総重量)/(モノマーエマルション中のモノマーの総重量)100を指す)。アニオン性界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulfate、SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウムなどのサルフェート及びスルホネート、ジスルホネート;ジアルキルベンゼンアルキルサルフェート;パルミチン酸などの酸及びDaiichi Kogyo Seiyakuから入手可能なNEOGEN又はNEOGEN SCが挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なアルキルジフェニルオキシドジスルホネートであるDOWFAX(商標)2A1及びTayca Corporation(Japan)から入手可能な分岐ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであるTAYCA POWER BN2060が挙げられる。
【0022】
カチオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、トリメチルアンモニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL(登録商標)及びALKAQUAT(登録商標)、Kao Chemicalsから入手可能なSANISOL(登録商標)(塩化ベンザルコニウム)などが挙げられる。
【0023】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールなどが挙げられる。IGEPAL CA-210(商標)、IGEPAL CA520(商標)、IGEPAL CA-720(商標)、IGEPAL CO-890(商標)、ANTAROX 890(商標)、IGEPAL CO-720(商標)、IGEPAL CO-290(商標)、IGEPAL CA-210(商標)及びANTAROX 897(商標)などのRhone-Poulencから市販されている界面活性剤が選択され得る。好適な非イオン性界面活性剤の他の例としては、SYNPERONIC(登録商標)PR/F及びSYNPERONIC(登録商標)PR/F 108として市販されているものを含む、ポリエチレンオキシド並びにポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーが挙げられる。
【0024】
樹脂粒子を含むラテックスは、播種乳化重合を使用して調製され得る。そのような技術は、好適な反応器内で界面活性剤溶液を調製することを伴い得る。別個の容器では、例えば、ジオキサン/ジオキソランモノマー、2つ又は3つのビニルコモノマー、連鎖移動剤及び界面活性剤を含む、上述の組成物のうちのいずれかを有するモノマーエマルションを調製することができる。モノマーエマルションのアリコート(例えば、モノマーエマルションの総量の0.5%~10%)は、反応器内の界面活性剤溶液に添加され得る。シード粒子形成を可能にするために、開始剤溶液は、反応器に添加され得る。追加量のモノマーエマルション(例えば、残りの量)を反応器に供給して、シードを所望のサイズに成長させることができる。ステップ中に使用される反応条件、例えば、混合、加熱などは、重合を促進し、所望の特性を有する樹脂粒子を提供するように選択される。例示的な反応条件は、以下の実施例に記載されている。米国特許第6,841,329号及び同第7,413,842号に記載されている反応条件も使用することができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
上述の播種乳化重合技術は、溶媒中に分散された樹脂粒子を含むラテックスを提供する。ラテックスは、本明細書に記載のトナーのうちのいずれかを形成するように使用され得る。しかしながら、例えば、樹脂粒子を溶媒から回収するために、更なる処理ステップを使用することができる。これらの処理ステップには、例えば、濾過、乾燥、遠心分離、噴霧乾燥、凍結乾燥などが含まれる。
【0026】
上述の播種乳化重合技術によって形成された樹脂粒子は、それらの組成を特徴とし得る。上記のように、樹脂粒子のポリマー材料は、重合生成物を形成するためのモノマーの様々な組み合わせ間の重合反応の結果である。明確にするために、ポリマー材料/樹脂粒子の組成は、重合されるモノマーを参照し、これらのモノマーの化学形態が、概して重合反応の結果として変化していることを認識することによって特定され得る。重合生成物、したがって樹脂粒子は、上述のエマルション中に存在する他の成分を含み得る。例えば、開始剤(又はその一部、例えば、硫酸基)は、ポリマー鎖の開始及び末端に組み込まれ得る。同様に、架橋剤は、使用される場合、概して、ポリマー鎖に組み込まれる。界面活性剤は、使用される場合、ポリマー鎖と絡み合い、例えば、強力な非共有結合又は吸着力のために樹脂粒子内に埋め込まれ得る。
【0027】
実施形態では、樹脂粒子は、ジオキサン/ジオキソランモノマー、ビニルコモノマー、開始剤及び任意選択で架橋剤を含む反応物の重合生成物を含む(又はそれらからなる)。本明細書に記載のジオキサン/ジオキソランモノマー、ビニルコモノマー、架橋剤及び開始剤のうちのいずれかを使用することができる。実施形態では、樹脂粒子は、ジオキサン/ジオキソランモノマー、2つの異なるビニルコモノマー、開始剤及び任意選択で架橋剤を含む反応物の重合生成物を含む(又はそれらからなる)。実施形態では、樹脂粒子は、ジオキサン/ジオキソランモノマー、3つの異なるビニルコモノマー、開始剤及び任意選択で架橋剤を含む反応物の重合生成物を含む(又はそれらからなる)。これらの実施形態の各々では、モノマー、架橋剤、開始剤は、上述の量で樹脂粒子中に存在し得る。(実験は、モノマーの変換が99.9%を上回ることを示している。)例えば、ジオキサン/ジオキソランモノマーの量は、樹脂粒子中で1重量%~50重量%の範囲にあり得る。上記のように、この重量%は、(ジオキサン/ジオキソランモノマーの総重量)/(樹脂粒子中の、モノマー、架橋剤(存在する場合)及び連鎖移動剤(存在する場合)の総重量)100を指す。
【0028】
上記段落で参照される実施形態のいずれにおいても、以下の変形例のうちの1つ以上を使用することができる。グリセロールホルマールメタクリレートは、ジオキサン/ジオキソランモノマーとして使用され得る。スチレン、アルキル(メタ)アクリレート(例えば、n-ブチルアクリレート)、カルボン酸基を含むビニルコモノマー(例えば、β-CEA)及びそれらの組み合わせは、ビニルコモノマーとして使用することができる。デカンジオールジアクリレートは、架橋剤として使用することができる。
【0029】
特定の例示的な組成物を使用すると、樹脂粒子の組成はまた、その架橋バージョンを含むポリ[(スチレン)-ran-(n-ブチルアクリレート)-ran-(グリセロールホルマール(メタ)アクリレート)-ran-(β-CEA)]として特定され得る。この記載では、重合反応からもたらされる異なる化学部分は、その括弧内の対応するモノマーを参照することによって特定され、「ran」は、異なるモノマーの、コポリマーへのランダムな組み込みを指す。この記載の使用は、各コポリマー鎖の開始の開始剤(又はその一部)の存在及び架橋剤(存在する場合)を介した架橋を包含する。
【0030】
ある特定のモノマーが樹脂粒子を形成することから除外される実施形態では、そのようなモノマーは、樹脂粒子のポリマーマトリックスを形成するための重合反応に関与していないということになる。したがって、これらの実施形態では、樹脂粒子の組成物には、ビニル-イミダゾリウムモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートモノマー及び(メタ)アクリル酸トリイソプロイルシリルエステルなどのシリルエステルモノマーのうちの1つ以上がない(すなわち、含まれない)ものとして記載され得る。
【0031】
実施形態では、ラテックスには、本発明の樹脂粒子自体の樹脂によって提供されるもの以外の樹脂/ポリマーがない(すなわち、含まれない)ものとして記載され得る。これは、ポリウレタン、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート(樹脂粒子自体以外の)、ポリエステル、シリルエステルコポリマー、シリル(メタ)アクリレートポリマー又はそれらの組み合わせがないことを含む。
【0032】
樹脂粒子を構築する樹脂/ポリマーは既に重合されているため、ラテックス自体は、概して、硬化性ではなく、そのため、これには開始剤がない(すなわち、含まれない)。これは、ポリマー鎖に組み込まれ得る少量の未反応の開始剤又は反応済みの開始剤の存在を排除するものではない。同様に、ラテックスには、ない(すなわち、モノマーが含まれない)ものとして記載され得る。
【0033】
実施形態では、ラテックスにはまた、メデトミジンなどの殺菌剤/殺生物剤がない(すなわち、含まれない)ものとして記載され得る。
【0034】
ラテックスの水含有量は、少なくとも50重量%であり得る。これは、少なくとも60重量%及び少なくとも70重量%を含む。これらの重量%は、ラテックスの総重量と比較した水の重量を指す。
【0035】
樹脂粒子は、それらのサイズを特徴とし得る。粒子のサイズは、D50粒径として報告され得、これは、試料の50%(体積基準で)が当該直径値未満の直径を有する粒子で構成される直径を指す。実施形態では、樹脂粒子は、100nm~400nmの範囲のD50粒径を有する。これは、例えば、100nm~300nm及び200nm~350nmの範囲を含む。D50粒径は、2~3の範囲のpHで測定された値を参照し得る。D50粒径は、Nanotrac 252機器を使用して測定することができる。この器具は、レーザー光散乱技術を使用し、運動(ブラウン運動)中のそれぞれの粒子から生成されたドップラー偏移光が測定される。これらの偏移によって生成される信号は、粒子のサイズに比例する。信号は、粒径及び粒度分布に数学的に変換される。分析は、外部プローブを使用して、又はプローブを固定試料チャンバに挿入することによって実施され得る。光散乱技術については、Microtracから入手した商標名NIST Traceable Reference Material for Nanotrac Particle Size Analyzersの下で、15mm~300mmの範囲内の直径を有するNISTポリスチレンナノスフェア対照試料を使用して、較正することができる。
【0036】
樹脂粒子は、それらの開始ガラス転移温度(T)を特徴とし得る。T値は、以下の実施例に記載されるように測定され得る。実施形態では、Tは、40℃~90℃の範囲にある。これは、45℃~85℃及び50℃~75℃の範囲を含む。
【0037】
樹脂粒子のポリマー材料(樹脂)は、以下の実施例に記載されるように測定された、その重量平均分子量(weight average molecular weight、M)及びその数平均分子量(number average molecular weight、M)を特徴とし得る。Mは、25,000ダルトン~75,000ダルトンの範囲にあり得る。これは、例えば、30,000ダルトン~70,000ダルトン及び40,000ダルトン~60,000ダルトンを含む。Mは、10,000ダルトン~30,000ダルトンの範囲にあり得る。これは、例えば、15,000ダルトン~25,000ダルトン及び20,000ダルトン~30,000ダルトンを含む。
【0038】
トナー
【0039】
上述のラテックスのうちのいずれかを利用して、トナー粒子を含むトナーを形成することができる。トナー粒子の組成は、使用されるラテックス(複数可)の樹脂粒子の組成に依存する。しかしながら、トナーは、ワックス、着色剤及び他の添加剤などの他の成分を含み得る。トナーを作製する際に、そのようなワックス、着色剤及び他の添加剤は、上述の溶媒及び界面活性剤のうちのいずれかを含む分散液中で利用することができる。
【0040】
ワックス
【0041】
ワックスは、トナー粒子を形成する際に上述のラテックスと組み合わせることができる。単一のタイプ又は異なるタイプのワックスの組み合わせを使用することができる。ワックスは、様々な好適な量、例えば、トナー粒子の約4重量%~約20重量%及びトナー粒子の約5重量%~約15重量%を含む、トナー粒子の約3重量%~約20重量%の総量で存在し得る。
【0042】
例示的なワックスとしては、以下、アルキレンワックス(1~25個の炭素原子を有するアルキレンワックスなど)、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス及びフィッシャー・トロプシュワックス(42個の炭素原子を含有するフィッシャー・トロプシュワックスを含むNippon Seiroから入手可能なFNP-0092(登録商標)など)が挙げられる。Alliged Chemical and Petrolite Corporationから市販されているポリプロピレン及びポリエチレンを使用することができる。Michaelman Inc.及びDaniels Products Companyから入手可能なワックスエマルションを使用することができる。Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEpolene N-15(商標);Viscol 550-P(商標)、Sanyo Kasei K.K.から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレン;及び同様のワックスを使用することができる。市販のポリエチレンは、約1,000~約5,000の分子量を保有すると考えられており、市販のポリプロピレンは、約4,000~約10,000の分子量を保有すると考えられている。使用され得る官能化ワックスの例としては、例えば、アミン、アミド、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なAqua Superslip 6550(商標)、Superslip 6530(商標)、フッ素化ワックス、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なPolyfluo 190(商標)、Polyfluo 200(商標)、Polyfluo 523XF(商標)、Aqua Polyfluo 411(商標)、Aqua Polysilk 19(商標)、Polysilk 14(商標)、混合フッ素化アミドワックス、例えば、Micro Powder Inc.からも入手可能なMicrospersion 19(商標)、イミド、エステル、四級アミン、カルボン酸又はアクリルポリマーエマルション、例えば、すべてSC Johnson Waxから入手可能なJoncryl 74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)及び538(商標)、並びにAllied Chemical及びPetrolite Corporation及びSC Johnson Waxから入手可能な塩素化ポリプロピレン並びにポリエチレンが挙げられる。単一のタイプ又は異なるタイプのワックスの組み合わせを使用することができる。
【0043】
着色剤
【0044】
着色剤は、トナー粒子を形成する際に上述のラテックスと組み合わせることができる。単一のタイプ又は異なるタイプの着色剤の組み合わせを使用することができる。着色剤としては、例えば、顔料、染料、これらの混合物、例えば、染料の混合物、顔料の混合物、染料と顔料との混合
物などが挙げられる。着色剤は、所望の色、色相及び色合いを付与するのに十分な量で添加され得る。着色剤は、例えば、トナー粒子の約1重量%~約20重量%又はトナー粒子の約2重量%~約15重量%を含む、トナー粒子の約1重量%~約25重量%の総量で存在し得る。
【0045】
ファーネスブラック、サーマルブラックなどの形態で入手可能であるカーボンブラックは、好適な着色剤である。カーボンブラックは、シアン着色剤など1つ以上の他の着色剤とともに使用されて、所望の色相を生成し得る。
【0046】
シアン顔料の例としては、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、CI74160としてカラーインデックスに記載されている銅フタロシアニン着色剤、HELIOGEN BLUE L6900(商標)、D6840(商標)、D7080(商標)、D7020(商標)、Paul Uhlich&Co.,Inc.から入手可能なPYLAM OIL BLUE(商標)、PYLAM OIL YELLOW(商標)及びPIGMENT BLUE(商標)、CIピグメントブルー(PB)、PB15:3、PB15:4、CI69810として識別されるAnthrazine Blue X-2137、これらの混合物などが挙げられる。
【0047】
マゼンタ顔料の例としては、C.I.26050と識別されるジアゾ染料、2,9-ジメチル-置換キナクリドン、C.I.60710,C.I.Dispersed Red 15と識別されるアントラキノン染料、E.I.DuPont de Nemours&Co.から入手可能なCINQUASIA MAGENTA(商標)、C.I.Solvent Red 19、Pigment Red(PR)122、PR 269、PR 185、これらの混合物などが挙げられる。
【0048】
黄色着色剤の例としては、ジアリールイリドイエロー、3,3-ジクロロベンジジンアニリドアセトアセトアニリド(3,3-dichlorobenzidene acetoacetanilide)、カラーインデックスでC.I.12700として識別されるモノアゾ顔料、C.I.ソルベントイエロー16、カラーインデックスでForon Yellow SE/GLNとして識別されるニトロフェニルアミンスルホンアミド、sanofiからのLEMON CHROME YELLOW DCC 1026(商標)CI、NOVAPERM YELLOW FGL(商標)、Paliogen Yellow 152、1560(BASF)、Lithol Fast Yellow 0991K(BASF)、Paliotol Yellow 1840(BASF)、Neopen Yellow(BASF)、Novoperm Yellow FG 1(sanofi)、パーマネントイエローYE 0305(Paul Uhlich)、ピグメントイエロー74、Lumogen Yellow D0790(BASF)、サンスパースイエローYHD 6001(Sun Chemicals)、SUCD-Yellow D1355(BASF)、パーマネントイエローFGL、ディスパースイエロー、3,2,5-ジメトキシ-4-スルホンアニリドフェニルアゾ-4’-クロロ-2,5-ジメトキシアセトアニリド、これらの混合物などが挙げられる。
【0049】
使用され得る他の着色剤としては、以下、Paliogen Violet 5100及び5890(BASF)、Normandy Magenta RD-2400(Paul Ulrich)、Permanent Violet VT2645(Paul Ulrich)、Heliogen Green L8730(BASF)、Argyle Green XP-111-S(Paul Ulrich)、Brilliant Green Toner GR 0991(Paul Ulrich)、Lithol Scarlet D3700(BASF)、Toluidine Red(Aldrich)、Thermoplast NSD Red用Scarlet(Aldrich)、Lithol Rubine Toner(Paul Ulrich)、Lithol Scarlet 4440、NBD 3700(BASF)、Bon Red C(Dominion Color)、Royal Brilliant Red RD-8192(Paul Ulrich)、Oracet Pink RF(Ciba Geigy)、Paliogen Red 3340及び3871K(BASF)、Lithol Fast Scarlet L4300(BASF)、Heliogen Blue D6840、D7080、K7090、K6910及びL7020(BASF)、Sudan Blue OS(BASF)、Neopen Blue FF4012(BASF)、PV Fast Blue B2G01(American Hoechst)、Irgalite Blue BCA(Ciba Geigy)、Paliogen Blue 6470(BASF)、Sudan II、III及びIV(Matheson、Coleman、Bell)、Sudan Orange(Aldrich)、Sudan Orange 220(BASF)、Paliogen Orange 3040(BASF)、Ortho Orange OR 2673(Paul Ulrich)、Paliogen Yellow 152及び1560(BASF)、Lithol Fast Yellow 0991K(BASF)、Paliotol Yellow 1840(BASF)、Novaperm Yellow FGL(Hoechst)、Permanerit Yellow YE 0305(Paul Ulrich)、Lumogen Yellow D0790(BASF)、Suco-Gelb 1250(BASF)、Suco-Yellow D1355(BASF)、Suco Fast Yellow D1165、D1355及びD1351(BASF)、Hostaperm Pink E(Hoechst)、Fanal Pink D4830(BASF)、Cinquasia Magenta(DuPont)、Paliogen Black L9984 9BASF)、Pigment Black K801(BASF)及び特に、REGAL(登録商標)330(Cabot)、Carbon Black 5250及び5750(Columbian Chemicals)などのカーボンブラックが挙げられる。
【0050】
追加の有用な着色剤としては、Sun Chemicalから市販されているものなどの水系分散液中の顔料、例えば、SUNSPERSE BHD 6011(Blue 15 Type)、SUNSPERSE BHD 9312(Pigment Blue 15)、SUNSPERSE BHD 6000(Pigment Blue 15:3 74160)、SUNSPERSE GHD 9600及びGHD 6004(Pigment Green 7 74260)、SUNSPERSE QHD 6040(Pigment Red 122)、SUNSPERSE RHD 9668(Pigment Red 185)、SUNSPERSE RHD 9365及び9504(Pigment Red 57、SUNSPERSE YHD 6005(Pigment Yellow 83)、FLEXIVERSE YFD 4249(Pigment Yellow 17)、SUNSPERSE YHD 6020及び6045(Pigment Yellow 74)、SUNSPERSE YHD 600及び9604(Pigment Yellow 14)、FLEXIVERSE LFD 4343及びLFD 9736(Pigment Black 7)が挙げられる。他の有用な水系着色剤分散液としては、Clariantから市販されているもの、例えば、HOSTAFINE Yellow GR、HOSTAFINE Black T及びBlack TS、HOSTAFINE Blue B2G、HOSTAFINE Rubine F6B並びに使用前に水及び/又は界面活性剤中に分散させることができるToner Magenta 6BVP2213及びToner Magenta EO2などのマゼンタ乾燥顔料が挙げられる。
【0051】
他の有用な着色剤としては、例えば、MobayマグネタイトMO8029、MO8960;Columbianマグネタイト、MAPICO BLACKS及び表面処理されたマグネタイト;PfizerマグネタイトCB4799、CB5300、CB5600、MCX6369;Bayerマグネタイト、BAYFERROX 8600、8610;Northern PigmentsマグネタイトNP-604、NP-608、MagnoxマグネタイトTMB-100又はTMB-104などのマグネタイトが挙げられる。
【0052】
トナーの調製
【0053】
エマルション凝集(emulsion-aggregation、EA)プロセスを含む、様々な技術を使用して、トナーのトナー粒子を形成することができる。実施形態では、EAプロセスは、ラテックス、着色剤及び任意選択でワックスを含む混合物を凝集させ、次いで凝集混合物を合体させることを含む。各々が異なるタイプの樹脂粒子を含む単一のタイプのラテックス又は異なるタイプのラテックスの組み合わせを含む、上述のラテックスのうちのいずれかを使用することができる。着色剤及びワックスは、上述のように水性分散液として利用され得る。混合物をEAプロセス中に均質化することができ、毎分約600~約6,000回転で混合することによって遂行することができる。
【0054】
凝集は、任意の好適な凝集剤(凝固剤)を混合物に添加することによって達成することができる。凝集剤は、例えば、ポリ塩化アルミニウム(polyaluminum chloride、PAC)などのポリハロゲン化アルミニウム又は対応する臭化物、フッ化物若しくはヨウ化物;ポリアルミニウムスルホシリケート(polyaluminum sulfosilicate、PASS)などのポリアルミニウムシリケート;又は塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、オキシ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、硫酸銅若しくはそれらの混合物を含む水溶性金属塩などの無機カチオン性凝固剤であり得る。凝集剤は、ラテックスの樹脂粒子のTを下回る温度で混合物に添加され得る。凝集剤は、任意の好適な量、例えば、トナー粒子の0.05重量%~5重量%の範囲で混合物に添加され得る。凝集剤は、硝酸又は同様の酸の溶液中に添加され得る。粒子の凝集を制御するために、凝集剤は、経時的に、例えば約5分~約240分の期間にわたって混合物に量り入れることができる。凝集剤の添加は、連続的な均質化で遂行することができる。添加後、混合物を更に均質化することができる。
【0055】
その粒子を、所定の所望の粒径が得られるまで凝集してもよい。所定の所望のサイズとは、形成前に決定されるときに得られる所望の粒径を指し、粒径は、成長プロセス中に監視され得る。試料は、成長プロセス中に採取され、D50について、例えば、Nanotrac(商標)252で分析され得る。凝集は、凝集粒子を提供するために、混合物を高温で維持すること、又は例えば約40℃から約100℃まで温度をゆっくりと上昇させること、及び撹拌若しくは均質化を維持しながら、例えば約0.5時間~約10時間の一定期間混合物をこの温度で保持することによって進めることができる。所定の所望の粒径に達すると、成長プロセスは停止される。粒子のD50粒径は、例えば、約3μm~約10μm、約3μm~約8μm又は約3μm~約6μmであり得る。
【0056】
シェル樹脂
【0057】
実施形態では、凝集後であるが合体前に、凝集粒子(コア)に樹脂コーティングを塗布して、その上にシェルを形成してもよい。シェルは、上述のラテックスのうちのいずれかを使用することによって塗布することができる。シェルラテックスは、コアラテックスとは異なり得るが、これは必要ではない。シェルラテックスの樹脂粒子及びコアラテックスの樹脂粒子は、例えば、異なる開始ガラス転移温度T値、異なるM/M分子量を有すること、架橋又は非架橋であること及びそれらの組み合わせによって互いとは異なり得る。
【0058】
トナー粒子の所望の最終サイズが達成されると、混合物のpHは、例えば約3~約10の値にpH制御剤で調節することができる。好適なpH制御剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、それらの組み合わせなどのアルカリ金属水酸化物を含む様々な塩基が挙げられる。キレート剤(金属イオン封鎖剤)も添加することができる。様々な好適なキレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid、EDTA)、EDTAの塩、酒石酸、グルコナル、ヒドロキシル-2,2’イミノジコハク酸(hydroxyl-2,2’iminodisuccinic acid、HIDS)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(dicarboxylmethyl glutamic acid、GLDA)、メチルグリシジル二酢酸(methyl glycidyl diacetic acid、MGDA)、ヒドロキシジエチルイミノ二酢酸(hydroxydiethyliminodiacetic acid、HIDA)、グルコン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ニトロ三酢酸塩、フミン酸、フルボ酸;EDTAのアルカリ金属塩、グルコン酸、シュウ酸、ポリアクリレート、糖アクリレート、クエン酸、ポリアスパラギン酸、ジエチレントリアミン、ペンタアセテート、3-ヒドロキシ-4-ピリジノン、ドーパミン、ユーカリ、イミノジコハク酸、エチレンジアミンジスクシネート、多糖類、エチレンジニトリロ四酢酸ナトリウム、チアミンピロリン酸、ファルネシルピロリン酸、2-アミノエチルピロリン酸、ヒドロキシルエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、それらの混合物などを使用することができる。キレート剤の様々な好適な量は、例えば、トナー粒子の約0.1重量%~約1重量%、トナー粒子の約0.2重量%~約0.7重量%又はトナー粒子の約0.3~約0.5重量%の量で使用することができる。
【0059】
合体
【0060】
シェル(所望する場合)の凝集及び塗布に続いて、粒子は、所望の最終形状に合体され、合体は、例えば、トナー粒子を形成するために利用される樹脂(複数可)のTで又はそれを上回り得る約80℃~約110℃の温度まで混合物を加熱することによって達成される。温度の特定の選択は、使用される樹脂に応じる。混合物は、例えば、約100rpm~約1,000rpmで撹拌され得る。合体は、一定期間、例えば約1分~約10時間にわたって遂行され得る。粒子は、所望の真円度が達成されるまで合体され得る。合体中、硝酸などの様々な酸を含むpH制御剤を使用して、例えば約3~約10の値にpHを調節することができる。
【0061】
合体後、混合物は、約20℃~約25℃などの室温まで冷却され得る。冷却は、所望に応じて急速であっても遅くてもよい。冷却中、pH制御剤を使用して、例えば約3~約10の値にpHを調節することができる。冷却後、任意に、水でトナー粒子を洗浄し、次いで乾燥させ得る。乾燥は、任意の好適な方法、例えば凍結乾燥を含む任意の好適な方法によって遂行され得る。
【0062】
単一のタイプの樹脂又は複数のタイプの樹脂を含むトナー粒子が包含される。複数のタイプの樹脂を含むトナー粒子は、様々な相対量の異なるタイプの樹脂を含有し得る。実施形態では、2つの異なるタイプの樹脂が使用され、第1の樹脂は、例えば、トナー粒子の25重量%~99重量%の量で存在し、第2の樹脂は、例えば、トナー粒子の最大35重量%の量で存在する。これは、30重量%~80重量%及び40重量%~70重量%の量で存在する第1の樹脂、並びに10重量%~50重量%及び15重量%~40重量%の量で存在する第2の樹脂を含む。実施形態では、第1の樹脂は、トナー粒子のコアを形成し、一方、第2の樹脂は、トナー粒子のシェルを形成する。
【0063】
トナー粒子は、様々な総量の樹脂を、例えば、トナー粒子の約60重量%~約95重量%、トナー粒子の約65重量%~約90重量%又はトナー粒子の75重量%~約85重量%の量で含有し得る。
【0064】
トナー粒子の組成は、使用される樹脂(複数可)に依存する。したがって、トナー粒子の組成は、様々な樹脂粒子について上述したものに従う。
【0065】
米国特許第6,841,329号及び同第7,413,842号に記載されているものを含む上述の例示的なトナー調製プロセスの変形形態を適用することができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0066】
添加剤
【0067】
トナーは、トナーの特性を高めるために多様な添加剤を更に含有することができる。トナーは、例えば、トナーの約0.1重量%~約10重量%の量の電荷添加剤を含み得る。好適な電荷添加剤としては、アルキルピリジニウムハライド、ビサルフェート、米国特許第3,944,493号、同第4,007,293号、同第4,079,014号、同第4,394,430号及び同第4,560,635号の電荷制御添加剤(これらの各々は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)、アルミニウム錯体のような負電荷強化添加剤、任意の他の電荷添加剤、それらの混合物などが挙げられる。
【0068】
トナーは、表面添加剤を含有し得る。洗浄又は乾燥後にトナー粒子に添加され得る表面添加剤としては、例えば、金属塩、脂肪酸の金属塩、コロイド状シリカ、金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、それらの混合物などが挙げられ、これらの各々が、トナーの約0.1重量%~約10重量%の量で存在し得る。そのような添加剤の例としては、例えば、米国特許第3,590,000号、同第3,720,617号、同第3,655,374号及び同第3,983,045号に開示されているものが挙げられ、これらの各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。他の添加剤としては、Degussaから入手可能なステアリン酸亜鉛及びAEROSIL R972(登録商標)が挙げられる。米国特許第6,190,815号及び米国特許第6,004,714号のコーティングされたシリカ(これらの各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)はまた、例えば、トナーの約0.05重量%~約5重量%の量で選択することができ、これらの添加剤は、凝集プロセス中に添加されるか、又は形成されたトナー粒子にブレンドされ得る。
【0069】
本開示では、「トナー」及び「トナー組成物」という語句は、電子写真プリンタに使用して、それと画像を形成するために構成されるこれらの組成物を指す。したがって、樹脂、着色剤、存在する有機添加剤並びに任意選択でワックス及び他のものに加えて、トナーは、所望の電子写真プリンタを使用して物体を形成するために、概してそのような組成物に使用される任意の他の成分を含み得る。
【0070】
本発明のトナーには、本発明の樹脂粒子の樹脂によって提供されるもの以外の樹脂がない(すなわち、含まれない)ものとして記載され得る。これは、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート(樹脂粒子自体以外)、ポリエステル又はそれらの組み合わせがないことを含む。単一のタイプの樹脂を使用することができる。同様に、トナー組成物自体は、概して、硬化性ではなく、そのため、これには開始剤がない(すなわち、含まれない)。これは、樹脂粒子のポリマー鎖に組み込まれ得る樹脂粒子からの少量の未使用の開始剤又は使用済みの開始剤の存在を排除するものではない。樹脂粒子及びラテックスに関して上記で参照された任意の他の除外は、トナー組成物の実施形態に適用され得ることに留意されたい。
【0071】
トナー特性
【0072】
実施形態では、外部表面添加剤を除く乾燥トナー粒子は、以下の特性を有する。
【0073】
(1)2μm~20μm、5μm~15μm又は5μm~10μmの体積平均粒径D50
【0074】
(2)1.05~1.35、1.15~1.30若しくは約1.20~1.15の数平均幾何学的サイズ分布(Number Average Geometric Size Distribution、GSDn)及び/又は体積平均幾何学的サイズ分布(Volume Average Geometric Size Distribution、GSDv)。
【0075】
(3)0.92~0.99、0.94~0.97又は0.95~0.96の真円度(例えば、Sysmex 3000で測定されたとき)。
【0076】
(4)48℃~85℃、50℃~90℃又は52℃~85℃の開始ガラス転移温度(T)(例えば、示差走査熱量計で測定されたとき)。
【0077】
体積平均粒径D50、GSDv及びGSDnに関して、これらの特性は、製造業者の指示に従って操作されるNanotrac(商標)252などの測定機器を使用して測定され得る。
【0078】
本発明のラテックス及びトナーの両方は、それらの揮発性有機含有物(VOC)を特徴とし得る。実施形態では、VOC含有量は、水素炎イオン化検出器を装備したガスクロマトグラフィーシステムによって測定されたとき、500ppm未満である。これは、250ppm未満、100ppm未満、50ppm未満及び1ppm~50ppmを含む。測定は、残留モノマー及び重合の潜在的な副生成物並びに出発モノマーに由来する不純物の量を含む。
【0079】
本発明のトナーは、以下の実施例に記載されるような誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、ICP)を使用して測定されたとき、それらの残留アルミニウム及びナトリウムレベルを特徴とし得る。アルミニウムレベルは、300ppm未満、275ppm未満又は250ppm未満であり得る。ナトリウムレベルは、250ppm未満、225ppm未満又は200ppm未満であり得る。
【0080】
現像剤及び担体
【0081】
トナーは、現像剤組成物に配合されてもよい。現像剤組成物は、トナーを、鋼、フェライトなどのコーティングされた担体を含む既知の担体粒子と混合することによって調製することができる。このような担体としては、米国特許第4,937,166号及び同第4,935,326号に開示されているものが挙げられ、これらのそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。担体は、トナーの約2重量%~約8重量%存在し得る。担体粒子はまた、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)などのポリマーコーティングを有するコアも含むことができ、その中に導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散されている。担体コーティングとしては、メチルシルセスキオキサンなどのシリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリフッ化ビニリデン及びアクリルなどの摩擦電気系列表(triboelectric series)で近接していない樹脂の混合物、アクリルなどの熱硬化性樹脂、これらの組み合わせ、及び他の既知成分が挙げられる。
【0082】
トナーは、収納機能を超える機能を果たす装置に、バイアル、ボトル、バッグ若しくはパッケージなどの可撓性容器など、エンクロージャ又は容器の範囲の多数の装置に組み込まれ得る。トナーは、例えば、画像を形成することなどの目的で同じものを送達するために、専用の装置に組み込まれ得る。したがって、特定化されたトナー送達装置を利用することができ、例えば、米国特許第7,822,370号を参照されたい。このような装置には、カートリッジ、タンク、リザーバなどが含まれ、交換可能、使い捨て、又は再利用可能であり得る。そのような装置は、収納部分;分配又は送達部分など;装置へのトナーの添加及び装置からのトナーの除去を可能にする様々なポート又は開口部とともに;装置内のトナーの量を監視するための任意選択の部分;例えば、撮像装置内などの装置の静置及び着座を可能にするための形成部分又は成形部分を備え得る。対象となるトナーは、例えば、撮像装置構成要素が交換可能又は再利用可能であり得るトナー(例えば、米国特許第7,817,944号を参照されたい)を必要とするカートリッジなどの撮像装置構成要素内のトナーを再帯電又は補充するために、その送達専用の装置に含まれ得る。
【0083】
撮像
【0084】
トナーは、電子写真プロセスに使用することができ、米国特許第4,295,990号に開示されるトナーが挙げられ、この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。実施形態では、任意の既知のタイプの現像システムが、例えば、磁気ブラシ現像、ジャンピング単一成分現像、2成分現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(hybrid scavengeless development、HSD)などを含む、画像現像装置に使用され得る。これらの及び類似の開発システムは、当業者の目的の範囲内である。
【0085】
撮像プロセスは、例えば、帯電構成要素、撮像構成要素、光導電性構成要素、現像構成要素、転写構成要素及び定着構成要素を含む電子写真装置で画像を調製することを含む。実施形態では、現像構成要素は、担体を本明細書に記載のトナー組成物と混合することによって調製される現像剤を含んでもよい。電子写真装置は、高速プリンタ、白黒高速プリンタ、カラープリンタなどを含み得る。
【0086】
上述の方法のいずれか1つのような好適な現像方法を介して画像がトナー/現像剤で形成されると、画像は、次いで、紙などの画像受容媒体に転送され得る。実施形態では、トナーを、フューザーロール部材を利用する現像装置での現像に使用してよい。フューザーロール部材は、当業者の意図の範囲内にある接触融合装置であり、ロールからの熱及び圧力を使用して、トナーを画像受容媒体に融合させることができる。実施形態では、フューザー部材は、トナーの定着温度を上回る温度、画像受容基材上への溶融後又は溶融中に、例えば約70℃~約160℃の温度まで加熱され得る。
【0087】
本発明のラテックス/樹脂粒子の使用は、トナーを提供することに限定されない。例示として、ラテックスを使用して、ラテックス塗料を提供することができる。水、及び開示された樹脂粒子のうちのいずれかに加えて、ラテックス塗料は、概して、着色剤を含む。開示された着色剤のうちのいずれかを使用することができる。多くの場合、本明細書に開示される界面活性剤のうちのいずれかなどの界面活性剤も含まれる。含まれ得る他の添加剤としては、無機粒子(例えば、シリカ)などの充填剤、分散剤、消泡剤、湿潤剤、粘度調整添加剤、ワックス、合体剤などが挙げられる。これらの添加剤は、ラテックス塗料のための所望の特性を達成するために任意の量で存在し得る。ラテックス及びトナーに関する上述の任意の除外は、ラテックス塗料の実施形態にも適用され得る。
【実施例0088】
以下の実施例は、本開示の様々な種類を更に定義するために提示される。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書で使用される場合、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
【0089】
ラテックス比較例1
【0090】
スチレン、n-ブチルアクリレート及びβ-CEAの乳化重合から生成された樹脂粒子を含むラテックスを以下のように調製した。6.37キログラムのDowfax 2A1(アニオン性界面活性剤)及び4096kgの脱イオン水を含有する界面活性剤溶液を、ステンレス鋼の保持タンク内で10分間混合することによって調製した。次いで、保持タンクを窒素で5分間パージした後、反応器に移送した。次いで、反応器を、100RPMで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を、制御した速度で80℃まで加熱し、そこに保持した。これとは別に、64.5kgの過硫酸アンモニウム開始剤を359kgの脱イオン水に溶解した。これとは別に、モノマーエマルションを以下の様態で調製した:3516.6kgのスチレン、787.7kgのブチルアクリレート、129.1kgのベータ-カルボキシルエチルアクリレート(β-CEA)、30.1kgの1-ドデカンチオール、15.06kgのADOD(1,10-デカンジオールジアクリレート)、85.1kgのDowfax 2A1(アニオン性界面活性剤)及び2048kgの脱イオン水を混合して、エマルションを形成した。次いで、上記エマルションの1パーセントを、水性界面活性剤相を含む反応器の中に80℃でゆっくりと供給して、窒素でパージしながら「シード」を形成した。次いで、開始剤溶液を反応器の中にゆっくりと投入し、10分後、モノマーエマルションの残りを、計量ポンプを使用して毎分0.5%の速度で連続的に供給した。100分後、モノマーエマルションの半分を反応器に添加した。この時点で、36.18キログラムの1-ドデカンチオールをモノマーエマルションに撹拌しながら入れ、モノマーエマルションを毎分0.5%の速度で連続的に供給した。この時点で、反応器撹拌機を350RPMまで上昇させた。すべてのモノマーエマルションを主反応器に投入した後、温度を80℃で更に2時間保持して、反応を完了させた。次いで、完全冷却を適用して、反応器の温度を約35℃まで下げた。生成物を保持タンクの中に収集した。ラテックスを乾燥させた後、以下の特性を測定した:M=33,700、M=10,900及び開始ガラス転移温度(T)は58.6℃であった。TA Instrument Discoveryの示差走査熱量計2500を使用して、Tを測定した。この測定のために、トナー試料5~10mgをアルミニウムパンに入れ、蓋で覆い、圧着して閉じた。参照のパン及び蓋も圧着した。試料を機器内に入れ、0℃で平衡化し、次いで制御された加熱速度で150℃まで昇温し、次いで0℃まで冷却し、次いで同じ速度で150℃まで加熱した。温度の関数としての熱流量データを記録した。試料のガラス転移温度を、ステップ移行の開始が第2の熱について報告されたところで決定した。
【0091】
重量平均分子量(M)、数平均分子量(M)及び多分散度(polydispersity、MWD又はPDI)を含むポリマー分子量特性を決定するために、ウォーターアドバンスドポリマークロマトグラフィー(Water Advanced Polymer Chromatography、APC)機器を使用した。機器には一連の分離カラムが装備されており、移動相としてテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)溶媒を使用する。約25mgの試料をTHFに溶解し、濾過し、次いで、一部を機器に注入する。FID検出器の量は、それらがカラムを通って溶出するときの様々なポリマー鎖の数及び質量を定量する。機器を一連のポリスチレン標準で較正し、分析した試料の分子量特性の相対的な決定に使用する。
【0092】
ラテックス比較例2
【0093】
スチレン、n-ブチルアクリレート及びβ-CEAの乳化重合から生成された樹脂粒子を含むラテックスを以下のように調製した。0.3352キログラムのCalfax(アニオン性界面活性剤)及び476.9kgの脱イオン水を含有する界面活性剤溶液をステンレス鋼の保持タンク内で10分間混合することによって調製した。次いで、保持タンクを窒素で5分間パージした後、反応器に移送した。次いで、反応器を、100RPMで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を制御した速度で80℃まで加熱し、そこに保持した。これとは別に、過硫酸アンモニウム開始剤1.9838kgを脱イオン水14.96kgに溶解した。これとは別に、モノマーエマルションを以下のように調製した:74.5767kgのスチレン、24.7977kgのブチルアクリレート、2.9849kgのβ-CEA、48.11kgの1-ドデカンチオール、1.8991kgのDowfax 2A1(アニオン性界面活性剤)及び46.9293kgの脱イオン水を混合して、エマルションを形成した。次いで、モノマーエマルションの2パーセントを、水性界面活性剤相を含む反応器の中に80℃でゆっくりと供給して、窒素でパージしながら「シード」を形成した。次いで、開始剤溶液を反応器の中にゆっくりと投入し、10分後、エマルションの残りを、計量ポンプを使用して毎分0.5%の速度で連続的に供給した。すべてのモノマーエマルションを主反応器に投入した後、温度を80℃で更に2時間保持して、反応を完了させた。次いで、完全冷却を適用して、反応器の温度を約35℃まで下げた。生成物を保持タンクの中に収集した。ラテックスを乾燥させた後、以下の特性を測定した:M=55,000±3,000、パーセント固体含有量は41%であり、Tは55℃±3℃であった。
【0094】
ラテックス比較例3
【0095】
スチレン、n-ブチルアクリレート及びβ-CEAの乳化重合から生成された樹脂粒子を含むラテックスを以下のように調製した。605グラムのDowfax 2A1(アニオン性界面活性剤)及び387kgの脱イオン水を含有する界面活性剤溶液をステンレス鋼の保持タンク内で10分間混合することによって調製した。次いで、保持タンクを窒素で5分間パージした後、反応器に移送した。次いで、反応器を、100RPMで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を、制御した速度で80℃まで加熱し、そこに保持した。これとは別に、6.1kgの過硫酸アンモニウム開始剤を30.2kgの脱イオン水に溶解した。これとは別に、モノマーエマルションを以下のように調製した:311.4kgのスチレン、95.6kgのブチルアクリレート、12.21kgのβ-CEA、2.88kgの1-ドデカンチオール、1.42kgのADOD(1,10-デカンジオールジアクリレート)、8.04kgのDowfax 2A1(アニオン性界面活性剤)及び193kgの脱イオン水を混合して、エマルションを形成した。次いで、モノマーエマルションの1パーセントを、水性界面活性剤相を含む反応器の中に80℃でゆっくりと供給して、窒素でパージしながら「シード」を形成した。次いで、開始剤溶液を主反応器の中にゆっくりと投入し、10分後、エマルションの残りを、計量ポンプを使用して毎分0.5%の速度で水性界面活性剤相を含む反応器の中に連続的に供給し、温度を80℃で更に2時間保持して、反応を完了させた。次いで、完全冷却を適用して、温度を約35℃まで下げた。生成物を保持タンクの中に収集した。ラテックスの一部を乾燥させた後、以下の特性を測定した:M=35,419、M=11,354及びTは、51.0℃であった。
【0096】
ラテックス比較例4
【0097】
スチレン、n-ブチルアクリレート及びβ-CEAの乳化重合から生成された樹脂粒子を含むラテックスを以下のように調製した。605グラムのDowfax 2A1(アニオン性界面活性剤)及び387kgの脱イオン水を含有する界面活性剤溶液をステンレス鋼の保持タンク内で10分間混合することによって調製した。次いで、保持タンクを窒素で5分間パージした後、反応器に移送した。次いで、反応器を、100RPMで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を、制御した速度で80℃まで加熱し、そこに保持した。これとは別に、6.1kgの過硫酸アンモニウム開始剤を30.2kgの脱イオン水に溶解した。これとは別に、モノマーエマルションを以下のように調製した:332.5kgのスチレン、74.5kgのブチルアクリレート、12.21kgのβ-CEA、2.88kgの1-ドデカンチオール、1.42kgのドデカンジオールジアリーレート(dodecanediol diarylate、ADOD)、8.04kgのDowfax 2A1及び193kgの脱イオン水を混合して、エマルションを形成した。次いで、エマルションの1パーセントを、水性界面活性剤相を含む主反応器の中に80℃でゆっくりと供給して、窒素でパージしながら「シード」を形成した。次いで、開始剤溶液を反応器の中にゆっくりと投入し、10分後、エマルションの残りを、計量ポンプを使用して毎分0.5%の速度で連続的に供給した。すべてのモノマーエマルションを反応器に投入した後、温度を80℃で更に2時間保持して、反応を完了させた。次いで、完全冷却を適用して、反応器温度を約35℃まで下げた。生成物を保持タンクの中に放出し、乾燥させて、以下の分子特性を有するラテックスを得た:M=33,700、M=10,900及びT=58.6℃。
【0098】
ラテックス実施例1:スチレン-ブチルアクリレート-グリセロールホルマールメタクリレートラテックスの合成
【0099】
2つのP4型インペラを装備した2Lのビュッヒ反応器で、0.57gのDowfax 2A1(47%固形分で)を518gの脱イオン水(deionized water、DIW)に添加した。反応中に窒素流を通過させることにより、反応器を脱酸素状態にした。反応器を77℃まで昇温し、RPMを350に設定した。これとは別に、2つのP4インペラを装備した1Lのガラス容器で、モノマーエマルションを、86.1gのグリセロールホルマールメタクリレート、344gのスチレン、143.5gのn-ブチルアクリレート、17.2gのb-CEA、2.7gのn-ドデシルメルカプタン(n-dodecyl mercaptan、NDM、以前はDDTと呼ばれていた)、9.81gのDowfax 2A1界面活性剤(47%の固形分で)及び265gのDIWを一緒に(400rpmで)混合することによって調製した。モノマーエマルションから17.4gのシードを取り出し、77℃で2Lの反応器にポンプ注入した。24.3gのDIW中の8.61gの過硫酸アンモニウムから調製した開始剤溶液を、シードエマルション添加後20分かけて添加した。残りのモノマーエマルションを120分かけて反応器に供給した。モノマーエマルションの半分を添加した後、反応器内のRPMを400rpmまで上げた。モノマー供給の最後に、ラテックスを更に2時間保持し、次いで冷却した。結果として生じる、217nmのD50粒径で43%パーセントの固形分を含有するラテックスを得た。乾燥ラテックス(樹脂粒子)のTは、56.2℃であった。残留n-ブチルアクリレートモノマーは54.81ppmであり、残留スチレンモノマーは37.1ppmであり、残留グリセロールホルマールメタクリレートは20.87ppmであった。重量平均分子量Mは、52,574であり、数平均分子量Mは、26,171であった。
【0100】
トナー比較例1
【0101】
41.4重量%の固体充填量を有する286.9グラムのラテックス比較例3及び30.50重量%の固体充填量を有する精製パラフィンワックス含有C42(Nippon Seiroから入手可能なFNP-0092(登録商標))を含む60.49グラムのワックスエマルションを、容器内の613.5グラムの脱イオン水に添加し、4,000rpmで動作するIKA Ultra Turrax(登録商標)T50ホモジナイザーを使用して撹拌した。その後、17重量%の固体充填量を有するSun Pigment W51924としてSun Chemicalから入手可能な64.1グラムのシアン顔料分散液PB15:3を反応器に添加し、続いて3.6グラムのポリ塩化アルミニウム混合物及び32.4グラムの0.02モル硝酸溶液を含有する36グラムの綿状混合物を滴加した。綿状混合物を滴加したとき、ホモジナイザーの速度を5,200rpmまで上昇させ、反応器の内容物を更に5分間均質化した。その後、混合物を毎分1.0℃の速度で52℃の温度まで加熱し、約1.5~約2時間の一定期間52℃で保持し、Coulter Counterで測定したときに5ミクロンの体積平均粒径を有するシアントナー粒子を得た。加熱期間中、撹拌機を約250rpmで実行した。49℃の設定温度に達した10分後、撹拌機の速度を約220rpmまで減速させた。
【0102】
このステップに続いて、41.6重量%の固体充填量を有する134.6グラムのラテックス比較例4を反応器混合物に添加し、51℃で約30分間の更なる期間凝集させて、Coulter Counterで測定したときに約5.7ミクロンの体積平均粒径を有するシアントナー粒子を得た。反応器混合物のpHを、39重量%の固体充填量を有するDowから入手可能な4.82グラムのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)Versene(商標)100に添加した1.0Mの水酸化ナトリウム溶液を使用することによって、pH4.0に調節した。その後、反応器混合物を毎分1.0℃の速度で95℃の温度まで加熱した。これに続いて、反応器混合物を95℃で3時間穏やかに撹拌して、粒子を合体及び球状化することを可能にした。合体の1時間後、反応器のpHをpH7.0に調節し、反応器混合物を残りの2時間穏やかに撹拌した。次いで、反応器ヒーターを切り、反応混合物を毎分1.0℃の速度で室温まで冷却させた。得られたトナー組成物を、(トナー組成物の総重量に基づくすべての重量で)約16.7パーセントのトナー粒子、0.25パーセントのアニオン性界面活性剤及び約82.9パーセントの水で構成した。トナー粒子は、58重量パーセントのスチレン/アクリレートポリマー樹脂(ラテックス比較例3からの)、約28重量パーセントのスチレン/アクリレートポリマー樹脂(ラテックス比較例4からの)、約5重量パーセントのPB15:3顔料及び約9重量パーセントのFNP-0092(商標)ワックスで構成し、約5.7ミクロンの体積平均粒径及び約1.19の幾何学的サイズ分布(geometric size distribution、GSD)を有していた。トナー粒子を6回洗浄し、第1の洗浄を63℃、pH10で行い、続いて室温の脱イオン水で3回洗浄し、1回の洗浄を40℃、pH4.0で実施し、最後に、最終洗浄を室温の脱イオン水で実施した。乾燥したトナー粒子中の最終的に測定されたアルミニウム濃度は、誘導結合プラズマ発光分光法(Inductively Coupled Plasma Emission Spectroscopy、ICP)によって測定したときに265ppmであった。
【0103】
トナー実施例1
【0104】
42.6重量%の固体充填量を有する278グラムの実施例1のラテックス、30重量%の固体充填量を有するフィッシャー・トロプシュワックス(Cytechから入手可能なQ436B(登録商標))を含む75グラムのワックスエマルション及び25.6重量%の固体充填量を有する43gのシアン顔料分散液(Sun Chemicalから入手可能なPB15:3)を、容器内の630グラムの脱イオン水に添加し、4,000rpmで動作するIKA Ultra Turrax(登録商標)T50ホモジナイザーを使用して均質化した。均質化中、3.6グラムのポリ塩化アルミニウム混合物を含有する36グラムの綿状混合物及び32.4グラムの0.02モル硝酸溶液を滴加した。その後、混合物を毎分1.0℃の速度で52℃の温度まで加熱し、約1.5~約2時間の一定期間保持し、Coulter Counterで測定したときに5ミクロンの体積平均粒径を有するシアントナー粒子を得た。加熱期間中、撹拌機は35℃に達するまで225rpmであり、撹拌機速度を約200rpmに減速させた。
【0105】
このステップに続いて、131.6グラムの実施例1のラテックスを反応器混合物に添加し、56℃で約60分間の更なる期間凝集させて、Coulter Counterで測定したときに約5.9ミクロンの体積平均粒径を有するシアントナー粒子を得た。反応器混合物のpHを、1.0Mの水酸化ナトリウム溶液に続いて、39重量%の固体充填量を有するDowから入手可能な4.82グラムのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)Versene(商標)100を使用することによって、pH4.0に調節した。その後、反応器混合物を毎分1.0℃の速度で95℃の温度まで加熱した。これに続いて、反応器混合物を95℃で3時間穏やかに撹拌して、粒子を合体及び球状化することを可能にした。次いで、反応器ヒーターを切り、反応混合物を毎分1.0℃の速度で63℃から室温まで冷却させた。得られたトナー組成物を、(トナー組成物の総重量に基づくすべての重量で)約16.7パーセントのトナー粒子、0.25パーセントのアニオン性界面活性剤及び約82.8パーセントの水で構成した。トナー粒子は、84重量パーセントのスチレン/アクリレートポリマー樹脂(実施例1のラテックスからの)、約5重量パーセントのPB15:3顔料及び約11重量パーセントのQ436Bワックスで構成し、約5.9ミクロンの体積平均粒径及び約1.23の幾何学的サイズ分布(GSD)を有していた。粒子を4回洗浄し、第1の洗浄を63℃、pH9で行い、続いて室温の脱イオン水で1回洗浄し、1回の洗浄を室温、pH4.0で実施し、最後に、最終洗浄を室温の脱イオン水で実施した。誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって測定したときの乾燥トナー粒子中で、最後に測定したアルミニウム含有量は239.89ppmであり、ナトリウム含有量は192.96ppmであった。トナー粒子についてのTは、82.32℃であり、アルゴンガスで操作されたTA Instruments Q5000IR TGAシステムを使用した熱重量分析によって測定したときの分解の開始は355.8℃であった。
【0106】
「例示的な」という語は、例、事例、又は例示としての役割を果たすことを意味するために本明細書で使用される。「例示的な」として本明細書で記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましい又は有利であると解釈されない。更に、本開示の目的のために、特に指定がない限り、「a」又は「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0107】
既に含まれていない場合、本開示におけるパラメータのすべての数値は、およそを意味する「約」という用語によって進められる。これは、当業者に理解されるような関連パラメータの測定に固有の変動を包含する。これはまた、開示された数値及び開示された数値を四捨五入した値の正確な値も包含する。
【0108】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。網羅的であること、又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正及び変形が可能であるか、又は本開示の実施から取得されてもよい。本開示の原理を説明するために、及び本開示の実用的な用途として、当業者が様々な実施形態において本開示を利用することを可能にするために、かつ企図される特定の用途に適した様々な修正を用いて、実施形態が選択及び記載される。本開示の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されることが意図される。