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特開2023-18683無線植込み型電力受信機システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018683
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】無線植込み型電力受信機システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/378 20060101AFI20230201BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20230201BHJP
   A61B 5/361 20210101ALI20230201BHJP
   A61B 5/363 20210101ALI20230201BHJP
   A61B 5/1473 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
A61N1/378
A61B5/33 120
A61B5/361
A61B5/363
A61B5/1473
A61B5/33 100
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165446
(22)【出願日】2022-10-14
(62)【分割の表示】P 2021114246の分割
【原出願日】2014-03-14
(31)【優先権主張番号】61/786,069
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521277590
【氏名又は名称】スティムウェイブ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ローラ タイラー ペリーマン
(72)【発明者】
【氏名】チャド アンドレセン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ラーソン
(72)【発明者】
【氏名】グラハム グレーネ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医療刺激又は監視デバイスに用いる植込み型無線電力受信機の方法及びシステムを提供する。
【解決手段】受信機は1つ以上の無誘導アンテナ(複数可)により送信エネルギを受信し、超小型電子機器を利用して、受信信号の整流を行って、植込み型デバイスを給電するDC電力源を生成し、さらに、超小型電子機器を利用して、デバイスにパラメータ設定を供給してもよく、又は組織へ刺激又は他の波形を供給してもよい。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療刺激デバイス又は監視デバイスに用いる無線植込み型電力受信機を備える、疾患の
診断のための装置であって、
該受信機が、誘導結合を用いることなく、対象の外部から放射された電気エネルギを受
信するように構成された1つ以上の無誘導アンテナ、及び該対象に植込まれた医療刺激デ
バイス又は監視デバイスに電力を供給するために、誘導結合を用いることなく、該1つ以
上の無誘導アンテナによって受信された放射電気エネルギを変換するように構成された電
子回路を備え、該無線植込み型電力受信機が、該医療刺激デバイス又は監視デバイスから
分離した独立型の受信機であり、かつ該独立型の無線植込み型電力受信機から分離してい
る該医療刺激デバイス又は監視デバイスが、専ら該変換された電気エネルギで作動し、該
医療刺激デバイス又は監視デバイスが、別の独立型の無線植込み型電力受信機に接続した
ときに、電池電力又は該対象の外部からの有線電力を必要としない、前記装置。
【請求項2】
前記疾患が不整脈である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記不整脈が、洞結節の電気的活動の異常、心臓の部屋における不規則な鼓動、心臓の
電気経路の異常、又は潜在的な冠状動脈疾患に起因する不規則性から生じるものである、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記疾患が、洞性不整脈、洞性頻脈、洞性徐脈、洞不全症候群、心房性期外収縮、上室
性頻拍症、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、心房粗動及び心房細動、心室性期
外収縮、心室性頻拍又は心室性細動である、請求項1記載の装置。
【請求項5】
さらに1つ以上の微細マイクロワイヤを備える、請求項1~4のいずれか一項記載の装
置。
【請求項6】
前記微細マイクロワイヤが、前記受信機によって給電され、標的組織からの活動電位の
動きを記録する、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記標的組織が脳組織、直接の神経束又は心臓組織である、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記マイクロワイヤが、金属、又は導電性ポリマを含む材料からできている、請求項5
~7のいずれか一項記載の装置。
【請求項9】
前記電子回路が、さらに整流回路及び平滑回路を備える、請求項1~8のいずれか一項
記載の装置。
【請求項10】
前記整流回路及び平滑回路が受動型である、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記整流回路がさらに1つ以上のダイオードを備える、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記平滑回路が、さらに1つ以上の抵抗器及び1つ以上のキャパシタを備える、請求項
11記載の装置。
【請求項13】
前記電子回路が10VまでのDC電力を前記受信機に供給する、請求項1~12のいずれか
一項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2013年3月14日に出願された米国仮特許出願第61/786,069号の利益及び優先
権を主張する。上記米国仮特許出願は参照によってすべて本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(背景)
種々のデバイスが体内において多くの治療用途に用いられている。例えば、刺激性の信
号を送る、生命徴候を記録する、ペーシング又は除細動動作を行う、対象の組織からの活
動電位の動きを記録する、徐放カプセル又は薬剤ポンプユニットからの薬剤放出を制御す
る、又は聴覚系と接続して聴覚を補助するのにデバイスを用いることができる。通常、デ
バイスへ電力を供給するには、皮下電池で作動する植込み型パルス発生器(IPG)、又は
他の電荷蓄積メカニズムが用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電池や他の電荷蓄積部品を利用するデバイスは、電池や電荷蓄積部品が
電荷を維持できなくなると機能しなくなる。したがって、植え込まれたデバイスの代替デ
バイスを得るには、患者は外科的処置を以降受ける必要がある。加えて、通常、ユニット
の充電中には、充電式IPGで治療を行うことはできない。
【0004】
動作が電池や他の電荷蓄積デバイスに依存しない植込み型無線電力受信機内に組み込ま
れた技術を利用することにより、植え込まれたデバイスの寿命は、電池の寿命、又は電荷
を蓄積する能力によって制限されなくなる。さらに、そのような技術は、フォームファク
タをより小さくすることを容易にし、この結果としてデバイス設置のための外科的処置は
より侵襲性の低いものになり、植え込まれたデバイスに接触する体組織量の減少から生じ
る瘢痕を低減させるのにも役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本開示の一実施態様は、医療刺激又は監視デバイスに用いる無線植込み型電力受信機に
関する。無線植込み型電力受信機は、1つ以上の無誘導アンテナ及び電子回路を含む。1つ
以上の無誘導アンテナは放射エネルギを受信するように構成され、電子回路は1つ以上の
無誘導アンテナによって受信された放射エネルギをDC電力源に変換して医療刺激又は監視
デバイスに電力を供給するように構成される。DC電力源は、医療刺激又は監視デバイスが
、電池電力、又は別の電力ソースからの有線電力の使用を必要としないように、医療刺激
又は監視デバイスを動作可能に給電する。一実施態様において、DC電力源を生成するよう
に構成された電子回路は、整流回路及び平滑回路をさらに含む。整流回路及び平滑回路は
受動型であってもよく、1つ以上のダイオードをさらに含んでもよい。平滑回路は、1つ以
上の抵抗器、及び1つ以上のキャパシタをさらに含んでもよい。電子回路は、10VまでのDC
電力を医療刺激又は監視デバイスに供給してもよい。無線植込み型電力受信機は、医療刺
激又は監視デバイスのエンクロージャ内に物理的に統合してもよい。電子回路は、医療刺
激又は監視デバイスの複数のセンサに電力を送ってもよい。
【0006】
本開示の別の実施態様は、医療刺激又は監視デバイスの無線植込み型電力受信機に関す
る。受信機は、放射エネルギを受信するように構成された1つ以上の無誘導アンテナを含
む。受信機は、1つ以上の無誘導アンテナによって受信された放射エネルギを変換するよ
うに構成された電子回路をさらに含む。放射エネルギは:医療刺激又は監視デバイスに電
力を供給するDC電力源;医療刺激及び監視デバイスにパラメータ設定を供給する信号;組
織に刺激性の信号を供給する波形;又はこれらの任意の組み合わせ、のうちの1つに変換
してもよい。1つ以上の無誘導アンテナによって受信されたエネルギを変換することで、
医療刺激又は監視デバイスの主な電力ソースを得てもよい。受信機は、医療刺激及び監視
デバイスで共有されるハウジング内に封入してもよい。受信機の外径は、14ゲージカニュ
ーレ又はシリンジの内径よりも小さくてよい。受信機は、受信エネルギを調整するように
構成された調整回路を含んでもよい。無誘導アンテナの少なくとも1つは、回路の1つの上
の導電性トレースを含んでもよい。無誘導アンテナの少なくとも1つは、回路の1つに接続
される導電ワイヤとして作成してもよい。1つ以上の無誘導アンテナは、約100μmから約1
0cmの範囲の長さを有してもよい。1つ以上の無誘導アンテナは、約20μmから約3mmの範囲
の厚さを有してもよい。1つ以上の無誘導アンテナは、約300MHzから約8GHzの周波数を受
信する。デバイスに分配されるパラメータ設定は、周波数、振幅、及び持続時間パラメー
タを含んでもよい。受信機は、デバイスにより記録された信号の格納又は処理のために遠
隔システムに送信する電子回路をさらに含んでもよい。遠隔システムは、受信機により送
信された信号を処理して、デバイスの要素に分配するために植込み型電力受信機に送信さ
れるパラメータ信号、組織刺激信号、又は両方を生成してもよい。各無線植込み型電力受
信機が相互に直列に配置された複数の無線植込み型電力受信機を含むシステムは、10VのD
C電力よりも大きい電力源を生成してもよい。
【0007】
本開示の別の実施態様は、医療デバイスとともに用いるシステムに関する。システムは
、1つ以上の医療刺激又は監視デバイスを含む。システムは、放射エネルギを受信するよ
うに構成された1つ以上の無誘導アンテナをさらに含む。システムは、1つ以上の無誘導ア
ンテナによって受信された放射エネルギを:(i)1つ以上の医療刺激又は監視デバイスに
電力を供給するDC電力源;(ii)1つ以上の医療刺激又は監視デバイスにパラメータ設定
を供給する信号;(iii)組織の近隣に植え込まれた導体を介して組織に刺激性の信号を
供給する波形;又は(iv)これらの任意の組み合わせ、に変換するように構成された電子
回路をさらに含む。 1つ以上の医療刺激又は監視デバイスは:(a)グルコースモニタ;
(b)監視、ペースメーキング、又は除細動のための心臓デバイス;(c)生命徴候を測定
する1つ以上の内部センサ;(d)EEG又はECGセンサなどの、電気的活動を測定する1つ以
上の外部センサ;(e)活動電位の動きを測定するマイクロワイヤ;(f)徐放カプセル、
又は薬剤放出デバイス;(g)蝸牛リード;及び(h)脳深部刺激デバイス、からなる群か
ら選択される。
【0008】
別の実施態様は、医療デバイスシステムに関する。医療デバイスシステムは、医療刺激
又は監視デバイス、及び無線植込み型電力受信機を含む。無線植込み型電力受信機は、1
つ以上の無誘導アンテナ及び電子回路を含む。1つ以上の無誘導アンテナは、放射エネル
ギを受信するように構成される。電子回路は、1つ以上の無誘導アンテナによって受信さ
れた放射エネルギを、医療刺激又は監視デバイスに電力を供給するDC電力源に変換するよ
うに構成される。医療刺激又は監視デバイスは、脊柱に関連する神経組織に1つ以上の電
気パルスを印加するように構成された1つ以上の電極を除いてもよい。電子回路は、DC電
力源を生成するように構成された整流回路及び平滑回路をさらに含んでもよい。整流回路
及び平滑回路は受動型であってもよい。整流回路は、1つ以上のダイオードをさらに含ん
でもよい。平滑回路は、1つ以上の抵抗器、及び1つ以上のキャパシタをさらに含んでもよ
い。無線植込み型電力受信機は、10VまでのDC電力を供給するように構成してもよい。無
線植込み型電力受信機は、医療刺激又は監視デバイスの本体内に物理的に統合してもよい
。無線植込み型電力受信機は、1つ以上のワイヤで医療刺激又は監視デバイスに繋いでも
よい。無線植込み型電力受信機は、医療刺激又は監視デバイス内の複数のセンサに電力を
供給してもよい。
【0009】
本開示の別の実施態様は、給電を行う電気信号を医療刺激又は監視デバイスに送る方法
に関する。方法は、植込み型無線電力受信機を医療刺激又は監視デバイス内に封入し、受
信機、及び医療刺激又は監視デバイスを組織内に植え込み、放射エネルギを受信して、医
療刺激又は監視デバイスに分配するためにDC電力源に変換し、及びDC電力源以外のソース
から電力を受信することなく、医療刺激又は監視デバイスを動作させることを含む。受信
ステップは、無誘導アンテナを用いて完了させてもよい。医療刺激又は監視デバイスの電
池から電力を受信することなく、かつ受信機の電池から電力を受信することなく、医療刺
激又は監視デバイスに電力を供給することができる。方法は、1つ以上の無誘導アンテナ
によって受信された放射エネルギを用い、放射エネルギを、電子回路によって、デバイス
に分配するためのパラメータ入力に変換し、パラメータ入力をデバイスに送ることをさら
に含んでもよい。パラメータは、少なくとも3つの異なる可能な値を有してもよい。方法
は、1つ以上の無誘導アンテナからの放射エネルギを受信し、放射エネルギを、電子回路
によって、組織の刺激に適した電気波形に変換し、波形を組織内に分配するためにデバイ
スに送り、組織を刺激することをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(図面の簡単な説明)
図1】例示的な実施態様に係る、刺激用又は記録用の電極を給電する植込み型電力受信機システムを図示する。
【0011】
図2A】例示的な実施態様に係る、植込み型電力受信機システムの、DC電力を生成する内部回路の一例を図示する。
【0012】
図2B】例示的な実施態様に係る、植込み型電力受信機システムの、デバイスと通信を行う内部回路の一例を図示する。
【0013】
図2C】例示的な実施態様に係る、植込み型電力受信機システムの、デバイスと通信を行う内部回路の別の例を図示する。
【0014】
図3】例示的な実施態様に係る、植込み型グルコース監視デバイスに接続された植込み型電力受信機システムを図示する。
【0015】
図4】例示的な実施態様に係る、生命徴候を記録するために、動脈を通るカテーテルにより心臓内に設置された植込み型電力受信機システムを図示する。
【0016】
図5】例示的な実施態様に係る、頭部表面上に設置された、又は皮下に植え込まれた植込み型電力受信機システムを含む小型EEGパッドを図示する。
【0017】
図6】例示的な実施態様に係る、植込み型電力受信機システムによって給電され、対象の組織からの活動電位の動きを記録する微細マイクロ波を図示する。
【0018】
図7】例示的な実施態様に係る、体内の位置において皮下に設置され、エネルギを供給して組織を活性化させ、植え込まれたセンサに給電する、又は植え込まれた徐放カプセルからの薬剤放出を制御する植込み型電力受信機システムを図示する。
【0019】
図8】例示的な実施態様に係る、体の組織上に外付け的に設置され、遠隔的に給電され、刺激信号を供給する、又は他のセンサ系ユニットに電力を供給する植込み型電力受信機システムを図示する。
【0020】
図9】例示的な実施態様に係る、薬剤ポンプユニットに繋がれ、薬物の放出を給電する植込み型電力受信機システムを図示する。
【0021】
図10】例示的な実施態様に係る、蝸牛リードに繋がれ、植え込まれた電池を有さない補聴器デバイスを給電する植込み型電力受信機システムを図示する。
【0022】
図11】例示的な実施態様に係る、脳刺激に用いられるねじリード構成に繋がれた植込み型電力受信機システムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
本出願に記載のシステム、方法、及び装置は、エネルギ及び信号を、植込み型デバイス
の本体内に完全に包含される無線電力受信機内に、及び無線電力受信機によって、送信及
び変調することに関する。無線植込み型電力受信機は、遠隔のソースから、無線又は放射
エネルギを受信する1つ以上の無誘導アンテナを含むことができる。無線植込み型電力受
信機は、無線エネルギを利用し、そのようなエネルギを、治療機能を有する又は監視を行
うデバイスの、他の要素に向けられる電力ソースに転換する1つ以上の電子回路をさらに
含むことができる。無線植込み型電力受信機(以下「受信機」と称する)は、医療デバイ
ス(例えば、植込み型医療刺激及び/又は監視デバイスであり、神経刺激機能、ペーシン
グ、識別、テレメトリ、検知、又は他の体監視機能を含むデバイス等)を給電するのに用
いることができる。
【0024】
本発明の実施態様は、電力を、適宜アナログ波形(複数可)上に埋め込まれたパラメー
タ情報と共に、デバイス内で完全に包含可能なフォームファクタで供給するシステムを含
む。そのようなシステムは、さらに、組織内に容易に設置すること、又は対象の組織に密
接させて構えることができる。さらに、そのようなシステムは、電気放射結合からの電気
信号が、種々の組織深度においてシステムにより適切に受信される位置に構えることがで
きる。そのようなシステムは、好ましくは無線であり、植込み型電力受信機を給電するの
にケーブル又は誘導結合を使用しない。そのようなシステムは、ワイヤコネクタ又はコネ
クタパッド(例えば、物理的な電気接続や近接誘導結合を行う)を使用又は包含しなくて
もよく、これらに依存しなくてもよい。
【0025】
一実施態様は、1つ以上の無誘導アンテナ及び電子回路を含む無線植込み型電力受信機
に関する。1つ以上の無誘導アンテナは、放射エネルギを受信するように構成される。電
子回路は、1つ以上の無誘導アンテナによって受信された放射エネルギを、デバイスに電
力を供給するDC電力源に変換するように構成される。医療デバイスは、ワイヤを受容する
又はDC電力源以外のソースから電力を受信するコネクタを除くこともできる。複数の実施
態様において、受信された放射エネルギに基づくDC電力源によって供給された電力は、予
備電力を有さない医療デバイスを給電するのに十分である。例示的な実施態様においては
、医療デバイスはエネルギ蓄積のための長寿命電池を含まず、寧ろエネルギをアンテナで
「逐次」受信して回路を給電する、及び医療デバイスの主要機能を給電する。
【0026】
複数の実施態様においては、無線植込み型電力受信機は、脊柱に関連する組織を刺激す
るための電極を包含するリードに、細ワイヤの長さを介して間接的に接続されていないが
、代わりに、それ自体が植込み型である部品又はデバイスに無線植込み型電力受信機が直
接電力を供給するシステム全体に完全に統合される。無線植込み型電力受信機は、DC電力
源を必要とする部品又はデバイス(例えば、医療デバイス)に直接取り付けることができ
る。別の実施態様では、受信機は、デバイス全体に分散する複数のセンサに電力を供給す
ることができる。さらに別の実施態様では、複数の受信機を相互に直列に配置して10VのD
C電力よりも大きい電力源を生成する。
【0027】
別の実施態様は、放射エネルギを受信するように構成された1つ以上の無誘導アンテナ
を含む無線植込み型電力受信機に関する。受信機は、1つ以上の無誘導アンテナによって
受信された放射エネルギを:(i)1つ以上のデバイスに電力を供給するDC電力源;(ii)
デバイスにパラメータ設定を供給する信号;(iii)組織に刺激性の信号を供給する波形
;又は(iv)これらの任意の組み合わせ、に変換するように構成された電子回路をさらに
含むことができる。受信機は電力を受信するワイヤコネクタを除くこともできる。
【0028】
無線植込み型電力受信機は、1つ以上の無誘導アンテナ及び電子回路を含み、1つ以上の
無誘導アンテナは放射エネルギを受信するように構成され、電子回路は、1つ以上の無誘
導アンテナによって受信された放射エネルギを、1つ以上のデバイスに電力を供給するDC
電力源に変換するように構成され、デバイスは、脊柱に関連する神経組織に1つ以上の電
気パルスを印加するように構成された1つ以上の電極を除く。
【0029】
このように、本発明は、無線植込み型電力受信機システムを提供する。システムは、エ
ンクロージャと、エンクロージャハウジングと、電気エネルギを含む入力信号を電気放射
結合により遠隔のアンテナから受信するように構成された1つ以上の無誘導アンテナ(複
数可)とを含む。システムは、1つ以上の無誘導アンテナ(複数可)に電気的に接続され
、入力信号に含まれる電気エネルギをDC定電力ソースに変換するように構成された1つ以
上の回路をさらに含む。或る実施態様においては、エンクロージャは、導入器、又は針に
より被験者の体内に送られるように形成及び配置される。別の実施態様においては、遠隔
のアンテナとは物理的に別個のリレーアンテナが、植込み型電力受信機にエネルギを送信
するのに用いられる。さらに別の実施態様では、植込み型電力受信機はさらにパラメータ
をデバイスに送ってもよく、波形を組織に送ってもよく、又は両方を行ってもよい。特徴
的なこととして、本開示に係る発明は、コネクタを利用して備え付けのデバイスにのみ電
力を供給する米国仮特許出願第61/733,867号に詳述されるように、別個のデバイスに接続
しない。本発明の実施態様は、電力のみではなく、パラメータセット及び指示も、回路に
供給することができる(例えば、医療刺激又は監視デバイスの回路)。例示的な実施態様
によれば、受信回路及び医療デバイス回路は、同一のハウジング又はエンクロージャ内に
包含することができる。
【0030】
神経刺激を患者に与える例示的な無線システムのさらなる説明は、同時係属中である、
2011年1月28日に出願された国際公開第PCT/US2012/23029号、2011年4月11日に出願された
国際公開第PCT/US2012/32200号、2011年1月28日に出願された国際公開第PCT/US2012/4890
3号、2011年8月12日に出願された国際公開第PCT/US2012/50633号、及び2011年9月15日に
出願された国際公開第PCT/US2012/55746号に見ることができ、これらの完全な開示内容は
すべて参照によって、あらゆる目的において本明細書に組み込まれる。
【0031】
本発明のさらに別の実施態様においては、植込み型電力受信機の1つ以上の回路は、好
ましくは、受動部品のみを含む。別の実施態様においては、整流回路及び平滑回路は受動
型である。さらに別の実施態様においては、1つ以上の回路は能動型である(例えば、能
動集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又は短時間で給電が可能であり、
受信回路によって供給された電力を用いてタスクを実行可能な別の能動コントローラ)。
【0032】
本発明のさらに別の実施態様では、植込み型電力受信機は、好ましくは、コネクタ(例
えば、ワイヤコネクタ)又はコネクタパッド(例えば、導通パッド)を含まず、これによ
りデバイスが従来技術から区別化される。さらに別の実施態様では、植込み型電力受信機
は、内蔵の長寿命蓄電池を含まない。さらに別の実施態様では、受信機も、受信機によっ
て給電される医療デバイスも、長寿命蓄電池を包含しない。さらに別の実施態様では、受
信機及び/又は医療デバイスは、主電力が受信回路を介して供給される間にバックアップ
目的又は他の2次的な目的に用いられる電池を包含する。
【0033】
植え込まれた無線受信機システムの内部回路は、エンクロージャ内のデバイス電子機器
に電力を供給し、到来する無線エネルギ信号(例えば、放射エネルギ)を電気波形に変換
する、又はデバイスの各部に分配するように機能する。
【0034】
一実施態様において、内部回路は、1つ又は複数のダイオードを含んでもよい。なお、
ダイオードは、無誘導アンテナにより受信される正弦波信号などの無線信号を整流するよ
うに機能する点に留意されたい。ダイオードは低しきい値電圧を有し、波形及び電力を生
成するのに用いられるエネルギを最大化する。さらに、回路は、腐食を低減又は防止する
電荷平衡超小型電子部品、及び電流制限器を含んでもよい。
【0035】
或る実施態様においては、回路は、1つ以上の無誘導アンテナ、整流器、電荷平衡器、
電流制限器、コントローラ、及びデバイスインタフェースを含んでもよい。要するに、整
流器は、1つ以上の無誘導アンテナによって受信された信号を整流するように機能する。
整流された信号をコントローラに供給して、符号化された指示をRFパルス発生器モジュー
ルから受信してもよい。整流された信号を、1つ以上の電気パルスを生成するように構成
された電荷平衡部品に供給して、1つ以上の電気パルスが結果として実質的に実効電荷ゼ
ロ(すなわち、電荷が平衡のパルス)となるようにしてもよい。電荷が平衡のパルスは、
電流制限器を通してデバイスインタフェースに渡される。この種類の回路の一例がPCT/US
2012/023029にさらに詳細に記載されており、この内容は参照によってすべて本明細書に
組み込まれる。追加の詳細については、読者はこの国際公開出願を参照されたい。さらに
、読者は米国特許出願公開第2012/0330384号を参照することもでき、この内容も参照によ
ってすべて本明細書に組み込まれる。
【0036】
特許請求に係る本発明の別の実施態様においては、植込み型電力受信機は、脊柱に関連
する神経組織に1つ以上の電気パルスを印加するように構成された電極に接続されない。
【0037】
さらに別の実施態様においては、無線植込み型電力受信機は、コネクタ又は1つ以上の
コネクタパッドを含まない。追加の詳細については、読者は国際公開出願第PCT/US2012/0
32200号を参照されたく、この内容も参照によってすべて本明細書に組み込まれる。
【0038】
テレメトリ信号を、植込み型電力受信機に送信して、パラメータをデバイスに送っても
よい。テレメトリ信号は、キャリア信号の変調によって送ってもよい。テレメトリ信号は
、デバイスを給電するDC電力源に転換される受信入力信号と干渉しない。一実施態様にお
いて、テレメトリ信号及び給電信号は1つの信号に組み合わされる;個別の電子サブシス
テムが、信号に含まれる電力を利用することで当該信号のデータコンテンツを抽出する。
【0039】
RFパルス発生器システムは体に外付け的に設置してもよく、又は植え込まれた電力受信
機から遠隔に組織内に植え込んでもよい。RFパルス発生器システムは、或る実施態様にお
いては、遠隔のアンテナを介して植え込まれた電力受信機に送信されるパラメータを格納
することができる。
【0040】
好ましい実施態様においては、植込み型電力受信機は、電力供給先のデバイス内に統合
される、又は埋め込まれる。別の実施態様においては、電力受信機は、導電ワイヤによっ
てデバイスに繋いでもよい。受信機は、コネクタではなく1つ以上のワイヤによって別個
のデバイスに繋いでもよく、さらに別の実施態様では、デバイスは、医療デバイスエンク
ロージャ内に物理的に統合される。
【0041】
植え込まれた電力受信機システムは、1つ以上の無誘導アンテナ(例えば、ダイポール
又はパッチアンテナ)を収容するエンクロージャ、及び電気エネルギの整流のための超小
型電子機器を備える内部回路を含むことができ、植え込まれたデバイス、又は人体の組織
に密接したデバイスに接続することができる。
【0042】
或る実施態様においては、アンテナの少なくとも1つを、回路の1つに含まれる導電性ト
レース形質として構築することができる。別の実施態様においては、アンテナの少なくと
も1つを、回路の1つに接続される導電ワイヤとして作成することができる。
【0043】
種々の実施態様において、植込み型電力受信機は無線で給電され(したがってワイヤ接
続を必要としない)、体外のソースからパルス指示、及び波形、又は他の信号を受信する
のに必要な回路を包含する。例えば、種々の実施態様は、無誘導、例えばダイポール、又
は他のアンテナ構成(複数可)を適用して、電気放射結合によりRF電力を受信する。
【0044】
さらに、電気放射結合のメカニズム(例えば、ダイポールアンテナ)は、無線植込み型
電力受信機のフォームファクタを向上させるため、及び径の30μm程度の小ささまでの縮
小化を可能にするために、利用することができる。他の実装例では、径を1.3mmよりも小
さく、又は300μm程度まで小さくすることができる。
【0045】
電気放射結合により、誘導コイル技術よりも深い深度で、かつ効率の低下をより抑えて
、エネルギを送信及び受信することも可能になる。そのような植え込み体の効率は外部送
信機コイルと植え込まれた受信機コイルとを隔てる距離に強く依存するため、誘導結合を
適用するデバイスよりも利点を有することができる。
【0046】
種々のエネルギ結合構成が本発明に含まれる。複数の実施態様は、1つの無誘導アンテ
ナのみ有する;別の実施態様は、1つ以上の無誘導アンテナ、又は任意の幅を有する複数
の無誘導アンテナを有する。例えば、非限定的に、複数の実施態様が3個から10個の無誘
導アンテナを有する一方で、別の実施態様は10個超の無誘導アンテナを有することもでき
る。さらに別の実施態様は、20個超の無誘導アンテナを有することもできる。
【0047】
別の実施態様においては、無誘導アンテナ(複数可)及び超小型電子機器は、単独又は
複数での設置が可能である。
【0048】
アンテナは無誘導アンテナであり、電気エネルギを含む入力信号を、電気放射結合によ
り受信するように構成される。或る実施態様では、放射エネルギのソースは、植込み型電
力受信機とは物理的に別個である。すなわち、ソースは植込み型電力受信機に対して遠隔
であり、ソース自体が、例えば電磁放射などのエネルギを、無線により送信する。もちろ
ん、放射エネルギソースは、1つ以上の無誘導アンテナが放射エネルギを受信できるよう
に、植込み型電力受信機に対し一定の近接度に置かれる(ただし物理的に接触せず、ワイ
ヤにより電気的にも接続しない)。
【0049】
本開示の実施態様は、参照によって本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2012/023
029号に記載のように、送信アンテナを体に直接触れさせずに組織媒体を貫通するのに電
気的結合及び高周波を用いる。
【0050】
種々の実施態様において、植込み型電力受信機を用いて、遠隔のソースから放射エネル
ギを受信し、ケーブル又は誘導結合を用いずに電力、パラメータ、及び波形をデバイスに
供給して、植込み型電力受信機を給電してもよい。
【0051】
アンテナは、例えばダイポールアンテナを用いることができる。複数の実施態様は、ダ
イポールアンテナを1つのみ有してもよく、別の実施態様は、任意の長さのアンテナを複
数有してもよい。例えば、非限定的に、複数の実施態様が2個から10個のダイポールアン
テナを有する一方で、別の実施態様が10個超のダイポールアンテナ、又は20個超のダイポ
ールアンテナを有することもできる。
【0052】
別の実施態様においては、植込み型電力受信機システムは、各々独立に4分の1cmから12
cmの範囲の長さを有する無誘導アンテナを10個までエンクロージャ内に含んでもよい。
【0053】
複数の別の実施態様では、ダイポールアンテナ又は無誘導アンテナの長さは約100μm
から約10cmの間の範囲とすることができる。別の実施態様においては、無誘導アンテナの
長さは0.25cmから12cmの範囲とすることができる。
【0054】
別の実施態様においては、無誘導アンテナは、1mmから4mmの範囲の厚さを有する任意の
線形無誘導構成からなることができる。別の実施態様においては、無誘導アンテナは、約
20μmから約3mmの範囲の厚さを有する任意の線形ダイポール構成からなることができる。
【0055】
アンテナは、ストレート型のダイポールアンテナの代わりに、折り畳み式ダイポールア
ンテナであってもよい。
【0056】
別の実施態様においては、1つ以上の無誘導アンテナは、約300MHzから約8GHzの周波数
を受信してもよい。さらに別の実施態様では、1つ以上の無誘導アンテナは、約800MHzか
ら約5.8GHzの周波数を受信してもよい。
【0057】
アンテナにより受信された信号は整流のため整流ブロックに送信される。整流器の出力
信号は、抵抗器、及びDC蓄積キャパシタに並列に接続される。DC蓄積キャパシタは、整流
波形の平滑化、及びデバイスへの定電力供給に役立つ。一実施態様において、電子回路は
DC電力源を生成するように構成され、整流回路及び平滑回路をさらに含む。
【0058】
整流器は、1つ以上のダイオードを包含してもよい。
【0059】
追加の実施態様においては、ダイオードは、瞬時切り替えを行うと共に無視できる逆回
復電流を有するショットキーダイオードであってもよい。ショットキーダイオードはRF検
出器及びミキサに頻繁に用いられ、より高効率の小型インダクタ及びキャパシタの使用を
可能にする。
【0060】
調整回路は、ダイオード、抵抗器、及びキャパシタなどの電子部品を含んでもよい。調
整回路は、到来するエネルギを用いて組織刺激のためのデバイスに波形を供給することが
できると共に、電力、パラメータ設定、及び他の信号をデバイスに供給するのにも役立つ
。無線電力受信機は調整回路を含んでもよい。
【0061】
調整回路は、植え込まれた無誘導アンテナ(複数可)により受信された波形信号を整流す
るように構成される。刺激又は記録に用いられ、組織に露出する接点の腐食を防止するた
め、調整回路は電荷平衡超小型電子機器を有してもよい。1相あたりの電荷が確実にしき
い値レベル未満に維持されるように、調整回路は、電気パルスの特性(例えば、電流、又
は持続時間)を制限することのできる電流制限器を包含してもよい。露出する接点から回
路内へのエネルギの反射を最低限に抑えるため、調整回路は、高周波信号を遮断する分離
回路をさらに含んでもよい。
【0062】
一実施態様において、植込み型電力受信機システムは、標準14ゲージ針、又はさらに小
さい16、18、20、又は22ゲージ針などのルーメンを通過可能な全径を有することが好まし
い。
【0063】
別の実施態様では、植込み型電力受信機システムは、例えば、18ゲージ以下のスパイナ
ル針などの針、又は22ゲージ以下の内視鏡によって、被験者の体内に送ることができる。
さらに別の実施態様では、受信機の外径は、14ゲージカニューレ又はシリンジの内径より
も小さい。
【0064】
さらに別の実施態様では、植込み型電力受信機は、センサ又は回路と共に、より大型の
ハウジング内に構成することができ、又は、電力受信機の電力供給先のデバイスに統合し
てもよい。
【0065】
さらに追加の実施態様では、植込み型電力受信機は、電力供給先のデバイスの本体にワ
イヤで繋ぐこともできる。
【0066】
無線植込み型電力受信機システムの種々の実施態様は、挿入の容易さ、相互接続、小サ
イズ、エネルギ転送のための延長ワイヤの除去、最小限の外傷で設置可能であること、植
込み型パルス発生器(IPG)を必要としないこと、及び治療の効果が長期に亘る点におい
て、従来の有線デバイスに対し顕著な利点を有する。本発明とは対照的に、IPG技術など
より大型の植込み型デバイスは、瘢痕組織の増加と共に、効き目及び安全性に悪影響を及
ぼし得る組織反応も引き起こす可能性がある。現行の技術では、IPGは治療を行う際の要
件ではなくなっている。
【0067】
別の実施態様においては、一旦定位置が決まれば、さらなる皮膚切開、又は拡張器具、
受信機、若しくは植込み型パルス発生器の設置は必要ない。
【0068】
一実施態様において、植込み型電力受信機は、組織を刺激することのできる電流を生成
してもよく、パラメータ設定をデバイスに供給してもよく、又は植込み型パルス発生器(
IPG)に物理的に接続することなく、若しくは誘導コイルを用いることなくデバイスを給
電するDC電圧を生成してもよい。これは、特に再充電すべき大型IPGデバイスが100mm×70
mm程度の大きさであり、体内で18ccから50cc超のスペースをとることができるため、誘導
コイルを適用して誘導結合によりRF電力を受信し、そして受信電力を再充電のために大型
IPGデバイスに転送する設計に関して利点を有することができる。
【0069】
別の実施態様においては、植込み型電力受信機をデバイスと物理的に統合して体内に植
え込んでもよい。
【0070】
別の実施態様においては、受信機は1つ以上のデバイスを給電してもよい。別の実施態
様においては、デバイスは、1つ以上の受信機によって給電される電極を複数、例えば100
個まで、又はそれ以上の数まで含んでもよい。さらに別の実施態様においては、デバイス
本体は、植込み型電力受信機を複数、例えば4個まで、又はそれ以上の数まで保持しても
よい。
【0071】
種々の実装例においては、植え込み型パルス発生器が除去されるため、既存の植込み型
デバイスと比較して関連のコストが全体的に低くなり、これは、患者への神経変調療法の
より広い適用、センサ及び植え込まれたモニタのより広範な使用、及び局所的な薬剤送達
のメカニズムに結びつく可能性がある。
【0072】
デバイスは、刺激器、テレメトリデバイス、センサ、及び人体監視デバイスを含んでも
よく、人体監視デバイスは、例えば血圧、又は心拍数、体温、及び呼吸を含む他の生命徴
候を含む種々の生理的プロセス、を監視する。別の実施態様では、そのようなデバイスは
、臓器、組織、若しくは血流内における化学又は生物学的分子の変化などの生理的指標を
監視してもよく、さらに、(任意で)生理的指標測定値に応じて所定量の化学又は生物学
的薬剤を放出するように後続のデバイスを給電してもよい。
【0073】
さらなる実施態様では、デバイスは、記録電極、グルコースモニタ、蝸牛植込み型デバ
イス、監視、ペーシング、及び除細動のための心臓デバイス、生命徴候を監視するデバイ
ス、脳深部刺激器、及び外付け的に体の上に設置される、又は皮下に設置されるセンサを
含んでもよく、薬剤放出又は徐放デバイスを給電すると共に、活動電位を記録するデバイ
スを給電してもよい。
【0074】
別の実施態様においては、無線植込み型電力受信機は、放射エネルギを受信するように
構成された1つ以上の無誘導アンテナを含む。無線植込み型電力受信機は、1つ以上の無誘
導アンテナによって受信された放射エネルギを、(i)1つ以上のデバイスに電力を供給す
るDC電力源;(ii)デバイスにパラメータ設定を供給する信号;(iii)組織に刺激性の
信号を供給する波形;又は(iv)これらの任意の組み合わせ、に変換するように構成され
た電子回路をさらに含む。デバイスは、(a)グルコースモニタ;(b)監視、ペースメー
キング又は除細動のための心臓デバイス;(c)生命徴候を測定する1つ以上の内部センサ
;(d)EEG又はECGセンサなど、電気的活動を測定する1つ以上の外部センサ;(e)活動
電位の動きを測定するマイクロワイヤ;(f)徐放カプセル、又は薬剤放出デバイス;(g
)蝸牛リード;又は(h)脳深部刺激デバイス、からなる群から選択される。
【0075】
別態様では、植込み型電力受信機システムは、コントローラモジュールを含む。コント
ローラモジュールは、1つ以上の無誘導アンテナ(複数可)及び1つ以上の回路を含む。無
誘導アンテナ(複数可)は、電気エネルギを含む信号を、電気放射結合により遠隔のアン
テナに送るように構成される。遠隔のアンテナは、植込み型電力受信機に外付け的に設置
され、デバイスへのパラメータ入力に適した1つ以上の電気パルスを生成し、又は組織刺
激のための信号を生成するように構成されたモジュール内に設置される。無誘導アンテナ
(複数可)も、遠隔アンテナから1つ以上の信号を受信し、1つ以上の受信信号からフィー
ドバック信号を抽出し、1つ以上のパラメータを抽出し、フィードバック信号に基づいて
、入力信号をデバイスに対して調整するように構成される。電気パルスの1つ以上のパラ
メータは、1つ以上の電気信号の振幅、持続時間、又は周波数を含んでもよい。別の実施
態様においては、受信機は、周波数、振幅、及び持続時間パラメータを含むパラメータ設
定をデバイスに供給してもよい。植込み型電力受信機は、コントローラモジュールに電力
を供給してもよい。
【0076】
別の態様において、植込み型電力受信機は、受信機から物理的に離間した1つ以上の外
部デバイスと通信を行い、パラメータ制御のフィードバックメカニズムを容易にする。例
えば、植込み型電力受信機は、パラメータ制御のフィードバック制御メカニズムを容易に
するために、外部デバイスの遠隔アンテナに情報を伝達する1つ以上の回路を含んでもよ
い。例えば、植え込まれた電力受信機は、監視中の生物学的プロセス又はデバイスの物理
的状態を示すフィードバック信号を第2のアンテナに送ってもよく、外部システムは、デ
バイスに送る信号のパラメータを、フィードバック制御信号により調整してもよい。
【0077】
別の実施態様においては、無線受信機システムは、心臓の電気的活動などの生理的パラ
メータを記録してもよい。別の実施態様においては、無線受信機システムは、デバイスに
より記録された信号を、遠隔デバイスにおける格納、又は処理のために、無線で送信する
電子回路を包含してもよい。
【0078】
別の実施態様においては、無線植込み型電力受信機システムは、受信機により送信され
る信号を処理して、1つ以上のデバイス又は組織に分配するために植込み型電力受信機に
送信されるパラメータ信号、組織刺激信号、又は両方を生成する遠隔システムを含む。
【0079】
本発明の追加の実施態様は、植え込まれたデバイスに電力を供給する方法を提供する。
当該方法は、エンクロージャ、及び無誘導アンテナ(複数可)を収容するエンクロージャ
ハウジングを含む、植込み型無線電力受信機を提供することを含む。アンテナは、電気エ
ネルギを含む入力信号を、電気放射結合により遠隔のアンテナから受信するように構成さ
れる。遠隔のアンテナは、植込み型受信機とは物理的に別個である。1つ以上の回路は無
誘導アンテナ(複数可)に電気的に接続され、入力信号に含まれる電気エネルギを、定電
力ソース、好ましくはDC電力ソースに変換するように構成される。エンクロージャは、導
入器又は針により被験者の体内に送られるように形成及び配置される。
【0080】
本発明のさらなる実施態様は、給電を行う電気信号をデバイスに送る方法であって、植
込み型無線電力受信機をデバイス内に封入すること、受信機及びデバイスを組織内に植え
込むこと、放射エネルギを受信して、デバイスに分配するためにDC電力源に変換すること
を含み、デバイスはコネクタを排除する前記方法を提供する。
【0081】
別の実施態様においては、本発明は、パラメータをデバイスに供給する方法であって、
1つ以上の無誘導アンテナにより放射エネルギを受信すること、電子回路によって、放射
エネルギをデバイスに分配するためのパラメータ入力に変換すること、及びパラメータ入
力をデバイスに送ることを含み、デバイスはコネクタを排除する前記方法をさらに含んで
もよい。
【0082】
さらなる実施態様では、本発明は、刺激性の波形を組織に供給する方法であって、1つ
以上の無誘導アンテナから放射エネルギを受信すること、電子回路によって、放射エネル
ギを組織の刺激に適した電気波形に変換すること、波形を組織内に分配するためにデバイ
スに送ること、及び組織を刺激することを含み、デバイスはコネクタを排除する前記方法
、をさらに含んでもよい。
【0083】
脊柱に関連する神経組織は、脊髄視床路、後角、後根神経節、後根、脊髄後索線維、及
び後柱又は脳幹から発する末梢神経束を含む。
【0084】
無線植込み型電力受信機システムは、給電先のデバイスからの記録された信号を、格納
、処理、又は両方のために、遠隔システムに送信する電子回路を(任意で)含んでもよい
。遠隔システムは、受信信号を処理して、パラメータ信号、組織刺激信号、又はこれらの
任意の組み合わせを生成し、これらは次に、1つ以上のデバイスに分配するために、植込
み型電力受信機に送信される。
【0085】
図1は、刺激用又は記録用の電極100を給電する、植込み型電力受信機110の一例を図示
する。電極100は、デバイス120の遠位端における黒塗りの矩形として示される。受信機11
0は、デバイス120の近位端における斜線矩形として示される。一実施態様において、デバ
イス120は、受信機110によって給電される電極100を2個有してもよい。別の実施態様にお
いては、デバイス120は、1つ以上の受信機110によって給電される電極100を複数、例えば
100個まで、又はそれ以上有してもよい。さらに別の実施態様においては、単一の電力受
信機110がデバイス本体120内に埋め込まれる。さらに別の実施態様では、デバイス本体12
0は、植込み型電力受信機110を、例えば4個まで、4個超、2個など、複数保持してもよい
【0086】
図2A~2Cは、複数の例示的な実施態様に係る、植込み型電力受信機、電力生成及びパラ
メータ制御のブロック図を示す。
【0087】
図2Aでは、信号は植え込まれたアンテナ200(例えば、無誘導アンテナ)によって受信
され、受信エネルギ(例えば、データを代表する電力及び変調、電力のみ、データを代表
する変調のみ等)は整流回路230に送信される。例示的な実施態様によれば、整流回路は
受信機毎に10VのDC電力まで整流を行うことができる。図1の医療デバイスを参照すると、
植え込まれた受信機の組織内での深度に応じて電圧出力を構成してもよい。同様の概略構
成を複数の受信機に利用してもよい。そのような複数の受信機を並列に配置し、出力電力
をデイジーチェーン接続して1つ以上のデバイスへの最大電力供給をさらに大きくするこ
とができる。整流器230の出力信号を、抵抗器210、及び徐放キャパシタ220に並列に接続
して平滑回路を設けてもよい。別の実施態様においては、平滑回路は、1つ以上の抵抗器
、及び1つ以上のキャパシタを包含してもよい。キャパシタ220は、整流波形を平滑化する
役割を有し、デバイスへ継続的な電力供給を行うのにも役立つ。整流器230及び平滑回路
は調整回路の一部である。キャパシタ220を電池などの長期的電力源と見なすべきではな
いことは理解すべき点である。したがって、図2Aは、図2Aの回路に取り付けられた医療デ
バイスを給電する電池を含まない点で有利である。
【0088】
図2Bは、図2AのDC電力源を入力として受信するコントローラ240を示す。換言すると、
アンテナ200で受信されるエネルギは、図2Bの信号処理電子機器及びコントローラに電力
を供給するのに用いることができる。無誘導アンテナ200で受信されたエネルギは、デー
タ信号を代表する変調(例えば、AM、FM等)を包含することができる。
【0089】
複数の実施態様において、予備アンテナ200Bによる受信信号は、コントローラ240に接
続された通信ブロック250により処理することができる。別の実施態様では、コントロー
ラ240は、受信したDC電力を、復調のため、及びコントローラに戻すために、通信ブロッ
ク250に渡すことができる。
【0090】
接続デバイスにDC電力を供給することに加え、コントローラ240はデータ信号を生成す
ることができ、これはDC電力及び/又はアンテナ200で受信されたエネルギからの受信エ
ネルギに基づいてもよい。DC電力は医療デバイスに分配することができる。さらなる実施
態様において、受信機が複数のデバイス又は複数の組織部位に接続される場合、設計構成
は、指示された信号を特定のデバイス又は組織に送るマルチプレクサ260を包含してもよ
い。コントローラ240は、マルチプレクサ260の特定の出力チャネルを選択するMUX制御信
号を供給してもよい。さらに、コントローラ240の出力は、格納又はさらなる処理のため
に遠隔の部位に送信することができる。
【0091】
さらに別の実施態様において、図2Cは、システムが(任意で)信号処理ブロック280を
含む構成を示す。信号処理ブロック280は電力生成回路によって給電され、さらに無誘導
アンテナ(複数可)200から入力を受信してもよい。アンテナによる受信信号は、信号処
理器280に接続された通信ブロック290により処理される。センサ入力270は信号処理ユニ
ット280内に供給され、処理が完了すれば、処理ユニット280の出力は遠隔の格納又は処理
部位に送信してもよい。
【0092】
図2A~2Cに示す種々の構成は、植込み型電力受信機によって給電される医療刺激又は監
視デバイスに用いてもよい。図2B及び2Cにおいて、任意の好適な電力ソース、又は図2A
エネルギハーベスト型受信機によりDC電力を供給してもよい点に注意することが重要であ
る。
【0093】
図3は、ワイヤ結線330により取り付けが可能で、電力及びデータ指示をセンサシステム
に送る1つ以上の植込み型電力受信機110の別の実施態様を図示する。この特定の実施態様
では、受信機110は、血糖値を継続的に監視するセンサを含む植込み型グルコースモニタ3
10に接続される。この構成において、電力受信機110は斜線矩形で示される。
【0094】
図4は、1つ以上の植込み型電力受信機110を、動脈を通るカテーテル430により心臓440
内に設置することのできる別の実施態様を図示する。この例では、受信機110は、カテー
テル430の近位端に示され、1つ以上のセンサ420は心臓440に取り付けて示される。この例
では、受信機110は斜線矩形として示される。受信機110は、設置されると、生命徴候の記
録又は送信、センサの給電、及び例えばペーシング又は除細動信号などの信号を供給して
心臓440の組織に分配するのに用いることができる。これらの植込み型受信機110によって
給電されるセンサにより監視可能な生命徴候の例には心拍数、体温、又は血圧が含まれる
。別の実施態様においては、受信機110は、収縮期及び拡張期血圧の両方を測定するセン
サを給電してもよい。加えて、システムは、組織、臓器、又は血流内に見られる分子の濃
度の変化など、化学又は生物学的信号を監視してもよい。
【0095】
別の実施態様においては、植込み型受信機110は、左側又は右側肺動脈(PA)の下行枝
内に設置された電極アレイに接続されたリード本体内に設けてもよい。植込み型受信機11
0を備えるリード本体は、設置中蛍光透視などによる可視化を可能にする材料でマーキン
グしてもよい。
【0096】
センサに加え、測定情報を処理及び格納のために外部デバイスに送信する回路を給電す
るのに植込み型受信機110を用いてもよい。
【0097】
別の実施態様では、植込み型受信機110はリードに接続され、これは、心臓の電気的活
動を監視するために心臓440内に植え込まれた柔軟性及び絶縁性のワイヤである。例えば
、典型的な処置は、1つ以上のリードを、右心房、右心室、又はこの両方など心臓440内に
設置することを伴う。別の実施態様では、リードは、洞結節上、又は洞結節近隣に設置し
てもよい。
【0098】
一実施態様において、植込み型受信機システムは、植え込まれたリードを通して心臓44
0の電気的活動を監視して、ペースが遅すぎる又は早すぎる場合に心筋に電気信号を送っ
てもよい。別の実施態様では、ペーシング及び除細動は、右心室、右心房、又はこの両方
で行ってもよい。別の実施態様においては、ペーシングを、心臓440の鼓動の速度に応じ
たタイムスケールで行うこともできる。
【0099】
さらに別の実施態様では、植込み型受信機システムは、一定の「ペーシング状態」を維
持するためのパラメータを格納する。受信機110は、ペーシング又は除細動のためのパラ
メータ信号を受信してもよい。
【0100】
図5は、植込み型電力受信機110の別の実施態様を図示する。受信機110は、頭部表面上
の複数の小型EEGパッド520に設置することができる。別の実施態様においては、受信機11
0は、ECGセンサ(図示せず)に設置してもよく、又は、例えばECG無線センサシステムの
一部として、皮下に植え込んでもよい。
【0101】
本図では、受信機110は、頭部表面上に設置されたEEGパッド520などのセンサに接続さ
れた斜線円として図示される。受信機110は、EEGセンサ520に電力を供給すると共に、脳
の電気的活動の記録信号を、処理のため、又はモニタ上に表示するために、外部デバイス
に送信する。
【0102】
さらに別の実施態様においては、受信機110をECGデバイスに接続して心不整脈などの障
害を診断してもよい。そのような不整脈は、洞結節の電気的活動の異常、心臓の部屋にお
ける不規則な鼓動、心臓の電気経路の異常、又は潜在的な冠状動脈疾患に起因する不規則
性から生じることがある。このような障害は、例えば、洞性不整脈、洞性頻脈、洞性徐脈
、洞不全症候群、心房性期外収縮、上室性頻拍症、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症
候群、心房粗動及び心房細動、心室性期外収縮、心室性頻拍及び心室性細動を含んでもよ
いが、これに限定されない。
【0103】
図6は、植込み型電力受信機110の別の実施態様を図示する。この例では、1つ以上の微
細マイクロワイヤ630は、受信機110によって給電され、脳組織又は直接の神経束などの対
象の組織からの活動電位の動きを記録してもよい。本図は、微細マイクロワイヤ630を突
き出すデバイス610に接続された受信機110を斜線矩形として図示する。
【0104】
一実施態様においては、マイクロワイヤ630は、金属、導電性ポリマ、又は導電特性を
有する他の材料を含む材料から作成することができる。
【0105】
別の実施態様においては、電気生理的活動の継続的な記録のためにマイクロワイヤ630
を植え込んでもよい。この場合、受信機110は、記録された信号を格納及び処理のために
外部デバイスに送信してもよい。
【0106】
図7は、植込み型電力受信機110の別の実施態様を図示する。本実施態様において、小型
の植え込まれた電力受信機110を体内の任意の位置で皮下に設置して、電力、デバイスへ
のパラメータ、組織を活性化させるエネルギ、又はこれらの任意の組み合わせを供給して
もよい。本図は、皮下に植え込まれたセンサに取り付けられた受信機110を斜線矩形とし
て図示する。
【0107】
別の実施態様では、受信機110は、皮下に植え込まれて別の部品を給電し、植え込まれ
た徐放カプセル又は薬剤ポンプユニットからの薬剤放出を制御してもよい。
【0108】
図8は、植込み型電力受信機110の別の実施態様を図示する。本実施態様では、受信機11
0は、組織上に外付け的に設置してもよく、遠隔的に給電を受けて刺激信号を供給する、
又は他のセンサ系ユニットに電力を供給する。別の実施態様においては、受信機110は、
組織上に外付け的に設置して薬物溶出デバイスを制御することができる。薬物溶出デバイ
スは人体内に植え込んでもよい。受信機110は斜線円として示される。
【0109】
図9は、1つ以上の植込み型電力受信機110が、薬物の放出を制御するために充電し、デ
ータを送信するための薬剤ポンプユニット910(円形のデバイス)に繋がれた実施態様を
図示する。受信機110は、電力を供給することに加え、薬剤ポンプユニット910に信号を送
って所定量の薬物を放出させることもできる。受信機110は、薬剤ポンプデバイス910の本
体内の斜線矩形として示される。
【0110】
薬剤ポンプユニット910は、薬物を格納し、送るためのポンプ、並びに特定の位置に薬
物を送るためのカテーテル930、又は細く柔軟性を有するチューブを包含してもよい。薬
剤ポンプユニットは、(i)薬剤の濃度を調整することにより投与量を変化させる非プロ
グラム型の固定速度の方法、又は(2)単一又は定時の投与量を投与するか、又は注入速
度を調整するプログラム型の方法を介して薬剤を放出してもよい。
【0111】
受信機110は、電力及びパラメータを薬剤ポンプユニットに供給して、薬物の放出量及
び放出速度を制御してもよい。
【0112】
別の実施態様では、1つ以上のリザーバを備えるマイクロチップが組織内に植え込まれ
る。リザーバとは、医薬品の格納ユニットである。受信機110は、放射エネルギを受信し
て、これを特定のリザーバ室の開放を引き起こして薬剤を分配するための電力源及びパラ
メータ設定に変換してもよい。
【0113】
図10は、本開示に係る植込み型電力受信機110の別の実施態様を図示する。本実施態様
では、受信機110は蝸牛リード1010に繋がれ、植え込まれた電池を用いることなく補聴器
デバイスを給電する。蝸牛リード1010は、柔軟な本体の長さに沿って1つ又は複数の電極1
030を有してもよい。本図において、受信機110はデバイス本体内の斜線矩形として示され
、電極1030は、デバイスの遠位端に向かって本体沿いに延びる黒塗りの矩形として示され
る。
【0114】
受信機110は、電力及び刺激性の信号を蝸牛リード1010に供給してもよい。蝸牛リード1
010は、聴覚神経を蝸牛内部から刺激するように構成可能な複数の電極1030を有する。
【0115】
蝸牛システムは、外部に位置する送信機であって、内部に位置するデバイスの場所に音
声情報を送信する前記送信機、蝸牛リード1010、環境内の音声情報を取り込むマイクロホ
ン、及び音声を信号に変換して蝸牛リード1010に送信する信号処理ユニットを有してもよ
い。
【0116】
本発明の一実施態様において、蝸牛リード1010は、電力を受信して、これを蝸牛システ
ムの電子機器を給電する電気信号に変換する植込み型電力受信機110を有する。また、電
力受信機110は、無誘導アンテナ(複数可)による受信信号をデジタルデーセット指示に
変換する。
【0117】
別の実施態様においては、本発明は、植え込まれた蝸牛リード1010のフォームファクタ
を向上させてもよい。
【0118】
図11は、植込み型電力受信機110の別の実施態様を図示する。本実施態様では、受信機1
10は、脳刺激に用いられるねじリード構成1110に繋いでもよい。図示のように、受信機11
0は、ねじリード構成1110の遠位端に近接して位置する。受信機110は斜線矩形として示さ
れる。
【0119】
脳深部刺激(DBS)システムは、1つ以上の電極を備えるリード、超小型電子機器を備え
る神経刺激器(例えば、IPG)、及び電力源を含んでもよい。リードは脳内に設置される
【0120】
DBSは種々の運動障害に有用であり、当該障害には、例えばパーキンソン病、本態性振
戦、腕の振戦、及びジストニアが含まれるが、これに限定されない。さらに、DBSシステ
ムは様々な神経学的状態の治療に用いることができ、当該神経学的状態には、例えばトゥ
レット症候群、強迫性障害、及び大うつ病が含まれるが、これに限定されない。
【0121】
電気エネルギのパルスは、運動障害を引き起こす電気信号に干渉して遮断するのに用い
ることができる。
【0122】
別段の定めのない限り、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる、材料の数量
、分子量などの特性、反応条件などを表す全ての数値はすべての場合において「約」とい
う語で修飾されるものと解される。したがって、相反する定めのない限り、本明細書及び
添付の特許請求の範囲に規定する数値パラメータは概数値であり、これらは本発明の得よ
うとする所望の特性に応じて変化し得るものである。最低限、均等論の適用を特許請求の
範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、記載された有効
数字の数に照らして、かつ通常の概数化法を適用して解釈すべきである。本発明の範囲を
広く規定する数値範囲及びパラメータは概数値であるが、特定の例において規定する数値
は可能な限り正確に記載されている。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測
定値に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含むものである。
【0123】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)用いら
れる“a”、“an”、“the”、及び同様の指示語は、本明細書に別段の定めのない限り、
又は文脈に明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解される。本明細書に
おける値の範囲の記載は、単純に、当該範囲に含まれる個々の値に個別に言及する簡便な
方法とすることを意図したものである。本明細書に別段の定めのない限り、それぞれの個
別の値は、本明細書に個別に記載されたのと同様に本明細書中に組み込まれる。本明細書
に記載の方法はすべて、本明細書に別段の定めのない限り、又は文脈に明らかに矛盾しな
い限り、任意の好適な順序で行うことができる。本明細書における任意及びすべての実施
例、又は例示的な表現(例えば、「など」)の使用は、単純に、本発明をより明確にする
ことを意図したものであり、これらの実施例又は例示的な表現を用いない場合に特許請求
される本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいかなる表現も、特許請求さ
れない、本発明の実現に必須の要素を示すものと解されるべきではない。
【0124】
本開示に係る発明の異なる要素や実施態様のグルーピングは、限定と解釈されるべきで
はない。各グループメンバーを参照して個別に特許請求してもよく、又はグループの他の
メンバー又は本明細書中の他の要素と任意に組み合わせて特許請求してもよい。或るグル
ープの1つ以上のメンバーを、便宜上及び/又は特許性の観点から、或るグループに組み込
む、又は当該グループから削除することも考えられる。このような組み込みや削除が発生
する場合、本明細書は修正されたグループを含むものと見なされるため、添付の特許請求
の範囲において用いられるすべてのマーカッシュグループの記載を満たす。
【0125】
本発明者らが認識する本発明を実施するための最良の方法を含め、本発明のある実施態
様が本明細書に記載されている。言うまでもなく、これらの記載の実施態様の変更例は、
上の説明を読めば当業者には明らかである。本発明者らは、当業者はこのような変更例を
適切に使用すると考え、さらに、本発明者らは、本明細書の具体的な記載とは異なる態様
で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、添付の特許請求の範
囲に記載の主題に対するすべての改良形と等価形を適用法によって認められるものとして
含む。さらに、本明細書に別段の定めのない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、
すべての可能な変更例における上述の要素の任意の組み合わせも本発明に包含される。
【0126】
本開示に係る特定の実施態様は、「~からなる」又は「本質的に~からなる」という表
現を用いる特許請求の範囲においては、さらに制限され得る。出願時のものであるか、又
は補正時に追加されたものであるかに関わらず、「~からなる」という移行語が特許請求
の範囲において用いられる場合、特許請求の範囲に特定されない要素、ステップ、又は成
分はすべて除外される。「本質的に~からなる」という移行語は、特許請求の範囲を、特
定された材料又はステップ、及び基本的かつ新規の特徴(複数可)に大幅に影響を与えな
いものに制限する。このように特許請求される本発明の実施態様は、本明細書中に本質的
又は明示的に記載され有効となる。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
[構成1]
医療刺激又は監視デバイスに用いる無線植込み型電力受信機であって:
1つ以上の無誘導アンテナ;及び
電子回路を有し、
該1つ以上の無誘導アンテナは、放射エネルギを受信するように構成され、該電子回路
は、該1つ以上の無誘導アンテナによって受信された該放射エネルギを、該医療刺激又は
監視デバイスに電力を供給するDC電力源に変換するように構成され、
該医療刺激又は監視デバイスが、電池電力、又は別の電力ソースからの有線電力の使用
を必要としないように、該DC電力源が該医療刺激又は監視デバイスを動作可能に給電する

ことを特徴とする、前記無線植込み型電力受信機。
[構成2]
前記DC電力源を生成するように構成された電子回路は、整流回路及び平滑回路をさらに
備えることを特徴とする、構成1記載の無線植込み型電力受信機。
[構成3]
前記整流回路及び平滑回路は受動型であることを特徴とする、構成2記載の無線植込み
型電力受信機。
[構成4]
前記整流回路は、1つ以上のダイオードをさらに備えることを特徴とする、構成3記載の
無線植込み型電力受信機。
[構成5]
前記平滑回路は、1つ以上の抵抗器、及び1つ以上のキャパシタをさらに備えることを特
徴とする、構成3記載の無線植込み型電力受信機。
[構成6]
前記電子回路は、10VまでのDC電力を前記医療刺激又は監視デバイスに供給することを
特徴とする、構成1記載の無線植込み型電力受信機。
[構成7]
前記無線植込み型電力受信機は、前記医療刺激又は監視デバイスのエンクロージャ内に
物理的に統合されることを特徴とする、構成1記載の無線植込み型電力受信機。
[構成8]
前記電子回路は、前記医療刺激又は監視デバイスの複数のセンサに電力を送ることを特
徴とする、構成1記載の無線植込み型電力受信機。
[構成9]
医療刺激又は監視デバイスのための無線植込み型電力受信機であって:
放射エネルギを受信するように構成された1つ以上の無誘導アンテナ;及び
該1つ以上の無誘導アンテナによって受信された放射エネルギを:(i)該医療刺激又は
監視デバイスに電力を供給するDC電力源;(ii)該医療刺激及び監視デバイスにパラメー
タ設定を供給する信号;(iii)組織に刺激性の信号を供給する波形;又は(iv)これら
の任意の組み合わせに変換するように構成された電子回路、
を有することを特徴とする、前記無線植込み型電力受信機。
[構成10]
前記1つ以上の無誘導アンテナによって受信されたエネルギの変換により、前記医療刺
激又は監視デバイスの主な電力ソースが得られることを特徴とする、構成9記載の無線植
込み型電力受信機。
[構成11]
前記受信機は、前記医療刺激及び監視デバイスで共有されるハウジング内に封入される
ことを特徴とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成12]
前記受信機の外径は、14ゲージカニューレ又はシリンジの内径よりも小さいことを特徴
とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成13]
前記受信機は、前記受信エネルギを調整するように構成された調整回路を備えることを
特徴とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成14]
前記無誘導アンテナの少なくとも1つは、前記回路の1つの上の導電性トレースを含むこ
とを特徴とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成15]
前記無誘導アンテナの少なくとも1つは、前記回路の1つに接続される導電ワイヤとして
作成されることを特徴とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成16]
前記1つ以上の無誘導アンテナは、約100μmから約10cmの範囲の長さを有することを特
徴とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成17]
前記1つ以上の無誘導アンテナは、約20μmから約3mmの範囲の厚さを有することを特徴
とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成18]
前記1つ以上の無誘導アンテナは、約300MHzから約8GHzの周波数を受信することを特徴
とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成19]
前記デバイスに分配される前記パラメータ設定は、周波数、振幅、及び持続時間パラメ
ータを含むことを特徴とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成20]
前記デバイスによって記録された信号を、格納又は処理のために遠隔システムに送信す
る電子回路をさらに有することを特徴とする、構成9記載の無線植込み型電力受信機。
[構成21]
前記遠隔システムは、受信機により送信された信号を処理して、前記デバイスの要素に
分配するために前記植込み型電力受信機に送信されるパラメータ信号、組織刺激信号、又
は両方を生成することを特徴とする、構成20記載の無線植込み型電力受信機。
[構成22]
構成9記載の無線植込み型電力受信機を複数有するシステムであって、各無線植込み型
電力受信機が相互に直列に配置され、10VのDC電力よりも大きい電力源を生成することを
特徴とする、前記システム。
[構成23]
医療デバイスに用いるシステムであって:
1つ以上の医療刺激又は監視デバイス;
放射エネルギを受信するように構成された1つ以上の無誘導アンテナ;及び
該1つ以上の無誘導アンテナによって受信された放射エネルギを:(i)該1つ以上の医
療刺激又は監視デバイスに電力を供給するDC電力源;(ii)該1つ以上の医療刺激又は監
視デバイスにパラメータ設定を供給する信号;(iii)組織の近隣に植え込まれた導体を
介して組織に刺激性の信号を供給する波形;又は(iv)これらの任意の組み合わせに変換
するように構成された電子回路を有し、
該1つ以上の医療刺激又は監視デバイスは:
(a)グルコースモニタ;
(b)監視、ペースメーキング、又は除細動のための心臓デバイス;
(c)生命徴候を測定する1つ以上の内部センサ;
(d)電気的活動を測定する、EEG又はECGセンサなどの1つ以上の外部センサ;
(e)活動電位の動きを測定するマイクロワイヤ;
(f)徐放カプセル、又は薬剤放出デバイス;
(g)蝸牛リード;及び
(h)脳深部刺激デバイス、
からなる群から選択されることを特徴とする、前記システム。
[構成24]
医療デバイスシステムであって:
医療刺激又は監視デバイス;及び
無線植込み型電力受信機であって:
(a)1つ以上の無誘導アンテナ;及び
(b)電子回路
を備える該無線植込み型電力受信機を有し、
該1つ以上の無誘導アンテナは、放射エネルギを受信するように構成され、
該電子回路は、該1つ以上の無誘導アンテナによって受信された該放射エネルギを、該
医療刺激又は監視デバイスに電力を供給するDC電力源に変換するように構成される、
ことを特徴とする、前記医療デバイスシステム。
[構成25]
前記医療刺激又は監視デバイスは、脊柱に関連する神経組織に1つ以上の電気パルスを
印加するように構成された1つ以上の電極を除くことを特徴とする、構成24記載の医療デ
バイスシステム。
[構成26]
前記DC電力源を生成するように構成された前記電子回路は、整流回路及び平滑回路をさ
らに備えることを特徴とする、構成24記載の医療デバイスシステム。
[構成27]
前記整流回路及び平滑回路は受動型であることを特徴とする、構成26記載の医療デバイ
スシステム。
[構成28]
前記整流回路は、1つ以上のダイオードをさらに備えることを特徴とする、構成27記載
の医療デバイスシステム。
[構成29]
前記平滑回路は、1つ以上の抵抗器、及び1つ以上のキャパシタをさらに備えることを特
徴とする、構成27記載の医療デバイスシステム。
[構成30]
前記無線植込み型電力受信機は、10VまでのDC電力を供給することを特徴とする、構成2
4記載の医療デバイスシステム。
[構成31]
前記無線植込み型電力受信機は、前記医療刺激又は監視デバイスの本体内に物理的に統
合されることを特徴とする、構成24記載の医療デバイスシステム。
[構成32]
前記無線植込み型電力受信機は、1つ以上のワイヤによって、前記医療刺激又は監視デ
バイスに繋がれることを特徴とする、構成24記載の医療デバイスシステム。
[構成33]
前記無線植込み型電力受信機は、前記医療刺激又は監視デバイス内の複数のセンサに電
力を供給することを特徴とする、構成24記載の医療デバイスシステム。
[構成34]
医療刺激又は監視デバイスに給電を行う電気信号を送る方法であって:
植込み型無線電力受信機を該医療刺激又は監視デバイス内に封入すること;
該受信機及び該医療刺激又は監視デバイスを組織内に植え込むこと;
放射エネルギを受信して、該医療刺激又は監視デバイスに分配するためのDC電力源に変
換すること;及び
該DC電力源以外のソースから電力を受信することなく、該医療刺激又は監視デバイスを
動作させることを含むことを特徴とする、前記方法。
[構成35]
前記受信ステップは、無誘導アンテナを用いて完了させることを特徴とする、構成34記
載の方法。
[構成36]
前記医療刺激又は監視デバイスの電池から電力を受信することなく、かつ前記受信機の
電池から電力を受信することなく、前記電力が該医療刺激又は監視デバイスに供給される
ことを特徴とする、構成34記載の方法。
[構成37]
1つ以上の無誘導アンテナによって受信された放射エネルギを用いて、該放射エネルギ
を、電子回路によって、デバイスに分配するためのパラメータ入力に変換すること;及び
該パラメータ入力を該デバイスに送ることをさらに含むことを特徴とする、構成34記載
の方法。
[構成38]
前記パラメータは少なくとも3つの異なる可能な値を有することを特徴とする、構成37
記載の方法。
[構成39]
1つ以上の無誘導アンテナから放射エネルギを受信して、該放射エネルギを、電子回路
によって、組織の刺激に適した電気波形に変換すること;及び
該波形を該組織内に分配するために前記デバイスに送り、該組織を刺激すること、
をさらに含むことを特徴とする、構成34記載の方法。
図1
図2A
図2B-C】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に実質的に記載された、新規な物、方法及び製造方法。