(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018720
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】紙幣処理機
(51)【国際特許分類】
G07D 11/20 20190101AFI20230202BHJP
G07D 11/16 20190101ALI20230202BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122925
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】品川 幹憲
(72)【発明者】
【氏名】下野 元喜
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA02
3E141BA06
3E141EA06
3E141FG11
(57)【要約】
【課題】使い勝手の良い紙幣処理機を提供する。
【解決手段】バラ紙幣を繰り出し可能に収納するバラ紙幣収納部と、所定枚数のバラ紙幣を結束して小束紙幣Wである結束小束とする結束部と、小束紙幣Wを収納小束として収納しつつ繰り出し可能な小束収納部111と、小束紙幣Wを機外へ取り出し可能に保留する小束出金部71と、制御部とを有し、制御部は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111が収納している収納小束と、バラ紙幣収納部が収納しているバラ紙幣から結束部で結束して作成する結束小束と、の両方を合流させて小束出金部71に出金させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ紙幣を繰り出し可能に収納するバラ紙幣収納部と、
所定枚数のバラ紙幣を結束して小束紙幣である結束小束とする結束部と、
小束紙幣を収納小束として収納しつつ繰り出し可能な小束収納部と、
小束紙幣を機外へ取り出し可能に保留する小束出金部と、
前記バラ紙幣収納部、前記結束部、前記小束収納部および前記小束出金部を制御すると共にバラ紙幣および小束紙幣の搬送を制御する制御部と、
を有する紙幣処理機であって、
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引において、
前記小束収納部が収納している前記収納小束と、前記バラ紙幣収納部が収納しているバラ紙幣から前記結束部で結束して作成する前記結束小束と、の両方を合流させて前記小束出金部に出金させることを特徴とする紙幣処理機。
【請求項2】
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引において、
前記小束収納部が収納している前記収納小束と、前記バラ紙幣収納部が収納しているバラ紙幣から前記結束部で結束して作成する前記結束小束と、の両方を合流させて前記小束出金部に出金させると共に、前記結束小束を前記小束収納部に向けて送り出すことを特徴とする請求項1記載の紙幣処理機。
【請求項3】
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引において、
一度に複数金種の小束紙幣を前記小束出金部に出金させる場合で、且つ、前記収納小束および前記結束小束の両方を出金させる場合、前記収納小束および前記結束小束の合流に際しては、複数金種の小束紙幣を金種毎に纏めるように合流させることを特徴とする請求項1または2記載の紙幣処理機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記小束収納部が収納している前記収納小束を前記小束出金部へ出金させる収納小束出金処理と、
前記バラ紙幣収納部が収納しているバラ紙幣から前記結束部で前記結束小束を作成する結束小束作成処理とを、
並行処理可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の紙幣処理機。
【請求項5】
前記小束出金部に向けて前記収納小束および前記結束小束を搬送する小束搬送部を有し、
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引において、
第1の位置から前記結束小束を前記小束搬送部に送り出すとともに、該第1の位置とは異なる第2の位置から前記収納小束を前記小束搬送部に送り出すことにより、複数金種の小束紙幣を金種毎に纏めるように合流させることを特徴とする請求項3または4記載の紙幣処理機。
【請求項6】
前記小束出金部の直下に前記小束搬送部を設け、
前記小束搬送部は、上下方向に移動可能なステージを有し、
前記ステージは、
載置された小束紙幣を上方位置において前記小束出金部内に送り込み、前記上方位置よりも下方の前記第1の位置において前記結束小束を受け取り、前記上方位置よりも下方の前記第2の位置において前記収納小束を受け取ることを特徴とする請求項5記載の紙幣処理機。
【請求項7】
前記制御部は、
前記小束搬送部の前記ステージ上に小束紙幣が載置されるたびに、前記ステージを前記上方位置に移動させることで、前記小束出金部において小束紙幣を合流させることを特徴とする請求項6記載の紙幣処理機。
【請求項8】
前記制御部は、
前記ステージを、該ステージの上面または該ステージ上に載置された小束紙幣の最上面が、前記第1の位置において前記結束小束を受け取る位置となり、前記第2の位置において前記収納小束を受け取る位置となるように移動させて、前記収納小束および前記結束小束を前記ステージ上で合流させた後、前記上方位置に移動させることを特徴とする請求項6記載の紙幣処理機。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1の位置において、前記結束小束を前記小束搬送部に受け渡した後、前記第2の位置において、前記小束搬送部から前記小束収納部に向けて前記結束小束を送り出すことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項記載の紙幣処理機。
【請求項10】
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における小束紙幣の出金が複数金種に亘って指示されているときは、小束紙幣を一金種毎に、前記小束出金部によって機外へ取り出し可能に出金させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載の紙幣処理機。
【請求項11】
バラ紙幣を繰り出し可能に収納するバラ紙幣収納部と、
所定枚数のバラ紙幣を結束して小束紙幣である結束小束とする結束部と、
小束紙幣を収納小束として収納しつつ繰り出し可能な小束収納部と、
小束紙幣を機外へ取り出し可能に保留する小束出金部と、
前記バラ紙幣収納部、前記結束部、前記小束収納部および前記小束出金部を制御すると共にバラ紙幣および小束紙幣の搬送を制御する制御部と、
を有する紙幣処理機であって、
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、前記小束収納部に既に収納している前記収納小束の在り高と、当該一取引で出金要求された小束紙幣の要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、小束紙幣出金処理パターンを決定し、決定した小束紙幣出金処理パターンに従って、小束紙幣出金処理の一取引を行うことを特徴とする紙幣処理機。
【請求項12】
前記小束紙幣出金処理パターンは、
前記小束収納部からの前記収納小束を出金する収納小束出金処理のみを行う第1パターンと、
前記収納小束出金処理と前記結束部で所定数のバラ紙幣を結束して前記結束小束を出金する結束小束出金処理との両方を行う第2パターンと、であり、
前記第1パターンと前記第2パターンとのうちのいずれか一方を選択して実行することを特徴とする請求項11記載の紙幣処理機。
【請求項13】
バラ紙幣を繰り出し可能に収納するバラ紙幣収納部と、
所定枚数のバラ紙幣を結束して小束紙幣である結束小束とする結束部と、
小束紙幣を収納小束として収納しつつ繰り出し可能な小束収納部と、
小束紙幣を機外へ取り出し可能に保留する小束出金部と、
前記バラ紙幣収納部、前記結束部、前記小束収納部および前記小束出金部を制御すると共にバラ紙幣および小束紙幣の搬送を制御する制御部と、
を有する紙幣処理機であって、
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、金種ごとの小束紙幣の出金要求数と、機内在り高として前記小束収納部に収納している前記収納小束の束数と、機内在り高として前記バラ紙幣収納部に収納しているバラ紙幣の枚数と、を比較するとともに、予め、前記小束収納部ごとに設定されている前記収納小束を残留させる所定の収納量と、前記バラ紙幣収納部ごとに設定されているバラ紙幣を残留させる所定の収納量とを考慮して、当該一取引の動作パターンを決定することを特徴とする紙幣処理機。
【請求項14】
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、前記収納小束を出金させる前記小束収納部が、前記所定の収納量を維持すると予想される場合、当該小束収納部の前記収納小束のみを出金させることを特徴とする請求項13記載の紙幣処理機。
【請求項15】
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、前記小束収納部に補充する前記結束小束を作成する分のバラ紙幣が、前記バラ紙幣収納部に確保されていると予想される場合、当該一取引において、前記収納小束および前記結束小束のうちの少なくとも前記収納小束を出金させた後、当該小束収納部に前記結束小束を補充することを特徴とする請求項13または14記載の紙幣処理機。
【請求項16】
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、前記小束収納部に補充する前記結束小束を作成する分のバラ紙幣が、前記バラ紙幣収納部に確保されていないと予想される場合、当該一取引において、前記収納小束および前記結束小束のうちの少なくとも前記収納小束を出金させた後、当該小束収納部に前記結束小束を補充しないことを特徴とする請求項15記載の紙幣処理機。
【請求項17】
前記制御部は、
小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の前記収納小束が前記小束収納部に収納されていない場合、前記結束小束のみを出金させることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか一項記載の紙幣処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣を処理する装置の一形態として、入金されたバラ紙幣を収納し、収納したバラ紙幣を必要に応じて出金させるバラ紙幣処理部と、バラ紙幣を所定枚数(100枚)で結束して小束紙幣として収納し、収納した小束紙幣を必要に応じて出金させる小束紙幣処理部と、の両方を備える紙幣処理機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に開示される装置では、バラ紙幣専用に設けられた複数のバラ紙幣還流庫と、小束紙幣専用に設けられた複数の小束紙幣還流庫とを備えており、それぞれ専用の出金口であるバラ紙幣出金口と小束紙幣出金口とから、所望する金額のバラ紙幣または小束紙幣を出金させることが可能となっている。
【0004】
更に、バラ紙幣処理部側から小束紙幣処理部側へ紙幣を搬送させることも可能となっている。例えば、バラ紙幣処理部にて、バラ紙幣還流庫から紙幣を繰り出して搬送した後、集積部にて100枚の集積紙幣の状態にして、当該集積紙幣をバラ紙幣処理部側から小束紙幣処理部側へ引き渡すことができる。バラ紙幣処理部より受け取った集積紙幣は、小束紙幣処理部が有する結束部にて、小束紙幣とされ、小束出金口から出金させる、乃至は、小束紙幣還流庫へ収納させる、という処理を行わせることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような装置で小束紙幣の出金処理を行う際には、操作部を介してユーザーの希望する金種と束数をユーザーに入力させ、入力された内容に基づいて、小束紙幣還流庫から小束紙幣を繰り出して出金させることになる。
【0007】
しかしながら、ユーザーが希望する金種および数量の小束紙幣が、小束紙幣還流庫に収納されていない場合には、出金させることはできず、払い出す小束紙幣の不足が発生することとなる。ユーザーは不足分の小束紙幣については諦めるか、または、不足分を補う方法の一つとして、次の取引にて機内のバラ紙幣還流庫に収納しているバラ紙幣から小束紙幣を作成して小束紙幣還流庫へ収納させた後、更に次の取引で、当該小束紙幣還流庫に収納された小束紙幣に対して出金処理を行い、前回出金させた分と合わせて、希望する小束紙幣の数量にするという方法が考えられる。この場合は、1回の小束紙幣出金処理の取引でなく、1回目の小束紙幣出金処理の取引から、機内在高移動処理を行って、2回目の小束紙幣出金処理の取引を行うことになり、複数の処理を指定して行う必要がある。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要があり、使い勝手が良くないという課題が生じる。
【0008】
本発明は、使い勝手の良い紙幣処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1の態様は、バラ紙幣を繰り出し可能に収納するバラ紙幣収納部と、所定枚数のバラ紙幣を結束して小束紙幣である結束小束とする結束部と、小束紙幣を収納小束として収納しつつ繰り出し可能な小束収納部と、小束紙幣を機外へ取り出し可能に保留する小束出金部と、前記バラ紙幣収納部、前記結束部、前記小束収納部および前記小束出金部を制御すると共にバラ紙幣および小束紙幣の搬送を制御する制御部と、を有する紙幣処理機であって、前記制御部は、小束紙幣出金処理の一取引において、前記小束収納部が収納している前記収納小束と、前記バラ紙幣収納部が収納しているバラ紙幣から前記結束部で結束して作成する前記結束小束と、の両方を合流させて前記小束出金部に出金させることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る第2の態様は、バラ紙幣を繰り出し可能に収納するバラ紙幣収納部と、所定枚数のバラ紙幣を結束して小束紙幣である結束小束とする結束部と、小束紙幣を収納小束として収納しつつ繰り出し可能な小束収納部と、小束紙幣を機外へ取り出し可能に保留する小束出金部と、前記バラ紙幣収納部、前記結束部、前記小束収納部および前記小束出金部を制御すると共にバラ紙幣および小束紙幣の搬送を制御する制御部と、を有する紙幣処理機であって、前記制御部は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、前記小束収納部に既に収納している前記収納小束の在り高と、当該一取引で出金要求された小束紙幣の要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、小束紙幣出金処理パターンを決定し、決定した小束紙幣出金処理パターンに従って、小束紙幣出金処理の一取引を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第3の態様は、バラ紙幣を繰り出し可能に収納するバラ紙幣収納部と、所定枚数のバラ紙幣を結束して小束紙幣である結束小束とする結束部と、小束紙幣を収納小束として収納しつつ繰り出し可能な小束収納部と、小束紙幣を機外へ取り出し可能に保留する小束出金部と、前記バラ紙幣収納部、前記結束部、前記小束収納部および前記小束出金部を制御すると共にバラ紙幣および小束紙幣の搬送を制御する制御部と、を有する紙幣処理機であって、前記制御部は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、金種ごとの小束紙幣の出金要求数と、機内在り高として前記小束収納部に収納している前記収納小束の束数と、機内在り高として前記バラ紙幣収納部に収納しているバラ紙幣の枚数と、を比較するとともに、予め、前記小束収納部ごとに設定されている前記収納小束を残留させる所定の収納量と、前記バラ紙幣収納部ごとに設定されているバラ紙幣を残留させる所定の収納量とを考慮して、当該一取引の動作パターンを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使い勝手の良い紙幣処理機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第1ユニットを概略的に示す側断面図である。
【
図3】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図である。
【
図4】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第1ユニットを概略的に示す側断面図であって、バラ紙幣入金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図5】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第1ユニットを概略的に示す側断面図であって、バラ紙幣収納処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図6】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第1ユニットを概略的に示す側断面図であって、バラ紙幣返却処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図7】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第1ユニットを概略的に示す側断面図であって、バラ紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図8】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図であって、収納小束出金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図9】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第1ユニットを概略的に示す側断面図であって、結束小束出金処理の第1ユニットにおける紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図10】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図であって、結束小束出金処理の第2ユニットにおける紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図11】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図であって、結束小束補充処理の第2ユニットにおける紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図12】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図であって、収納小束再分配処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図13】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図であって、小束紙幣装填処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図14】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図であって、収納小束回収処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図15】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図であって、小束紙幣精査処理の精査往路処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図16】本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図であって、小束紙幣精査処理の精査復路処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図17】本発明に係る第2実施形態の紙幣処理機の第2ユニットを概略的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の紙幣処理機を
図1~
図16を参照して以下に説明する。
図1に示す第1実施形態の紙幣処理機11は、紙幣についての入出金処理等を行うものである。以下の説明において、紙幣処理機11の主たる操作時に操作者が立つ側を「前」、その反対側を「後」、このとき操作者から見て左を「左」、右を「右」とする。
【0015】
図1に示すように、第1実施形態の紙幣処理機11は、第1ユニット1と第2ユニット2とが左右に並設されて構成されている。右側の第1ユニット1は、
図2に示すバラ紙幣Sについての入出金処理を行うユニットである。左側の第2ユニット2は、単一金種のバラ紙幣Sを所定の結束単位枚数(例えば100枚)集積させて結束テープで結束した
図3に示す小束紙幣Wの入出金処理と、新券のバラ紙幣の出金とを行うユニットである。第1ユニット1は、バラ紙幣Sから小束紙幣Wを作成可能であり、作成した小束紙幣Wを第2ユニット2に受け渡すようになっている。
【0016】
[第1ユニット1]
図1に示すように、第1ユニット1は、その機体10の前面側の上部にバラ入金部20、バラ出金返却部21およびバラ出金リジェクト庫22が設けられている。バラ出金返却部21はバラ入金部20の上側に、バラ出金リジェクト庫22はバラ出金返却部21の上側に、それぞれ設けられている。
【0017】
バラ入金部20は、開閉可能なシャッタ23を有している。バラ入金部20は、シャッタ23が開状態とされて機外からバラ紙幣Sが投入され、その後、シャッタ23が閉じられてバラ紙幣Sを機内に繰り出す。バラ入金部20には、バラ紙幣Sが左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置されることになる。バラ入金部20には、
図2に示すように、下部に、バラ入金部20内に集積されたバラ紙幣Sを下端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて機内へ繰り出す入金繰出部24が設けられている。バラ紙幣Sは、第1ユニット1内で、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送される。
【0018】
バラ出金返却部21は、
図1に示すように、開閉可能なシャッタ25を有している。バラ出金返却部21は、シャッタ25が閉状態とされて機内から出金用のバラ紙幣Sが繰り出され、その後、シャッタ25が開かれることでバラ紙幣Sが機外に取り出される。バラ出金返却部21には、バラ紙幣入金処理時にリジェクトされるバラ紙幣Sも繰り出される。バラ出金返却部21は、機内から繰り出されたバラ紙幣Sが、左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置されることになる。
【0019】
バラ出金リジェクト庫22は、第1ユニット1の機体10から着脱可能となっている。バラ出金リジェクト庫22は、その内部に、機内から繰り出されたバラ紙幣Sが、左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて収納される。バラ出金リジェクト庫22は、内部にバラ紙幣Sを収納した状態のまま、機体10から取り外され、その後、内部からバラ紙幣Sが取り出される。
【0020】
図2に示すように、第1ユニット1の後部には、バラ入金部20から繰り出されたバラ紙幣Sの真偽と、真紙幣の金種と、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常の有無等を識別するバラ識別部31が設けられている。バラ識別部31は、バラ紙幣Sの表裏、上下(天地)および左右等も識別する。
【0021】
バラ入金部20、バラ出金返却部21およびバラ出金リジェクト庫22の後方には、バラ紙幣Sを整列させて所定の結束単位枚数ずつ集積させる複数、具体的には2カ所の整列部35,36が設けられている。また、この整列部35,36の後方には、整列部35,36で集積された結束単位枚数のバラ紙幣Sを上方に搬送する昇降搬送部37が設けられている。また、整列部35,36の上方には、整列部35,36で集積され昇降搬送部37で搬送されてきた所定の結束単位枚数のバラ紙幣Sを結束テープを結束して小束紙幣Wとする結束部38が設けられている。この結束部38の前側には結束部38で作成された小束紙幣Wを第2ユニット2側に送り出す小束送出部39が設けられている。小束送出部39は、小束紙幣Wを、バラ紙幣Sの集積方向を上下とし左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で一束ずつ長手方向にそって移動させて第2ユニット2側に送り出す。
【0022】
第1ユニット1の下部には、複数具体的には4カ所の同様の構造の一時貯留収納庫41が、上下左右の位置を合わせて前後に並べられている。これら一時貯留収納庫41は、バラ紙幣Sを収納可能であって収納しているバラ紙幣Sを繰り出し可能な還流庫である。
【0023】
第1ユニット1において、複数の一時貯留収納庫41のうち、最も後側に配置された一時貯留収納庫41(A)、後から2番目に配置された一時貯留収納庫41(B)および後から3番目に配置された一時貯留収納庫41(C)は、いずれも受け入れ可能な所定の単一金種のバラ紙幣Sの真券を下から上に集積させた状態で入金確定前に一時貯留すると共に、入金確定後に繰り出し可能となるように収納するものである。また、複数の一時貯留収納庫41のうち、最も前側に配置された一時貯留収納庫41(D)は、受け入れ可能なバラ紙幣Sの真券(オーバーフロー券)および全金種の汚損券を金種混合で下から上に集積させた状態で入金確定前に一時貯留すると共に、入金確定後に繰り出し可能となるように収納するものである。
【0024】
一時貯留収納庫41(A)は、受け入れ可能と識別した所定の単一の第1金種のバラ紙幣S(具体的には万円券)の真券を、一時貯留収納庫41(B)は、受け入れ可能と識別した所定の単一の第2金種のバラ紙幣S(具体的には五千円券)の真券を、一時貯留収納庫41(C)は、受け入れ可能と識別した所定の単一の第3金種のバラ紙幣S(具体的には千円券)の真券を、それぞれ繰り出し可能に収納する。また、一時貯留収納庫41(D)は、これら以外の受け入れ可能と識別したバラ紙幣S(具体的には二千円券の真券および汚損券、万円券のオーバーフロー券および汚損券、五千円券のオーバーフロー券および汚損券、千円券のオーバーフロー券および汚損券)を、繰り出し可能に収納する。
【0025】
すなわち、第1ユニット1は、単一金種用(万円券、五千円券および千円券)の一時貯留収納庫41を複数個、金種別に有している。なお、一時貯留収納庫41の収納パターンは、上記パターンに限らず任意に設定可能である。
【0026】
同様の構造の一時貯留収納庫41(A)~41(D)は、それぞれが、バラ紙幣Sを収容する内部空間を形成する角筒状の収容体40と、収容体40の上部に設けられてバラ紙幣Sの内部空間への取り込みおよび内部空間からの繰り出しを行う取込繰出部42と、取込繰出部42から内部空間に繰り出されたバラ紙幣Sを集積させるシャッタ46と、収容体40のシャッタ46よりも下側に設けられて内部空間を上下に仕切る開閉可能な一対のフラッパ43と、集積状態のバラ紙幣Sを支持するとともに内部空間内を昇降するステージ44と、ステージ44上に集積されたバラ紙幣Sを上から押圧するプッシャ45と、を有している。
【0027】
プッシャ45は、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれの収容体40内に、対応する収容体40内で昇降可能となるように設けられている。シャッタ46は、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれの収容体40内に、対応する収容体40内で昇降可能であり、対応する収容体40に対して進退可能となるように設けられている。シャッタ46は、収容体40内に進入した閉状態にあるとき、進入した収容体40内のシャッタ46とプッシャ45との間に、バラ紙幣一時貯留部48を形成する。
【0028】
一対のフラッパ43は、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれの収容体40に対し、進退可能となるように設けられている。ステージ44は、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれの収容体40内に、対応する収容体40内を昇降可能となるように設けられている。一対のフラッパ43は、収容体40内に進入した閉状態にあるとき、進入した収容体40内の一対のフラッパ43とその下側にあるステージ44との間にバラ紙幣収納部49を形成する。
【0029】
バラ紙幣一時貯留部48は、取込繰出部42で取り込んだバラ紙幣Sを閉状態のシャッタ46上に一時貯留することになり、このように一時貯留しているバラ紙幣Sを取込繰出部42によって繰り出し可能となっている。また、バラ紙幣一時貯留部48は、一時貯留しているバラ紙幣Sを、シャッタ46および一対のフラッパ43の開作動と、プッシャ45の押し込みと、フラッパ43の閉作動とによって、バラ紙幣収納部49に収納可能となっている。バラ紙幣収納部49は、シャッタ46および一対のフラッパ43が開状態で、ステージ44が上昇することで、収納しているバラ紙幣Sを、取込繰出部42によって繰り出し可能となっている。バラ紙幣収納部49は、バラ紙幣Sを繰り出し可能に収納する。
【0030】
第1ユニット1の下部には、一時貯留収納庫41(D)の前側に、機体10から取り外し可能であってバラ回収処理時に金種別のバラ紙幣収納部49から繰り出されたバラ紙幣Sを取り込んで収納すると共に、バラ補充処理時に補充用のバラ紙幣Sが機外で装填され、装填されたバラ紙幣Sを繰り出す一括一時貯留部としての収納カセット部51が設けられている。
【0031】
収納カセット部51は、バラ紙幣Sを取り込み可能かつ繰り出し可能に収納するものであり、その上部には、内部にバラ紙幣Sを取り込むとともに内部のバラ紙幣Sを最上位置のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出す取込繰出部52が設けられている。また、収納カセット部51には、内部空間内を昇降するステージ53が設けられている。
【0032】
第1ユニット1の内部には、バラ紙幣Sを搬送する搬送部61が各部を適宜繋ぐように設けられている。搬送部61は、バラ紙幣Sを、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で移動させる。
【0033】
搬送部61は、機体10の前部に設けられたバラ入金部20のバラ紙幣Sを機体10の後部に設けられたバラ識別部31に向けて搬送し、さらに、機体10の前部に設けられた収納カセット部51に向けて搬送する搬送路61Aを有している。搬送路61Aは、バラ入金部20の入金繰出部24から後方に、後述する搬送路61Jと搬送路61Mとの間まで延出した後、下方に延出し、その後、後方に延出してバラ識別部31を通り、下側にて前向きに折り返して前方に延出して第1ユニット1の前端から下方に延出して収納カセット部51の取込繰出部52に繋がる。
【0034】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置とバラ識別部31との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Cと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Cの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(B)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Dと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Dの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(C)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Eと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Eの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(D)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Fとを有している。
【0035】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける最も収納カセット部51側から上方に分岐した後に後方に延出して搬送路61Aのバラ入金部20からバラ識別部31に向かいつつ下方に延出する部分の下部に繋がる搬送路61Gと、搬送路61Aの搬送路61Fの分岐位置と搬送路61Gの分岐位置との間位置から上方に分岐して搬送路61Gの途中位置に繋がる搬送路61Hと、搬送路61Gにおける搬送路61Hの接続位置と搬送路61Aへの接続位置との間位置から上方に分岐して搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置とバラ入金部20との間に繋がる搬送路61Jとを有している。
【0036】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置と搬送路61Jの接続位置との間から後方に分岐した後、上方に延出し、その後、前方に延出してバラ出金返却部21に繋がる搬送路61Kと、搬送路61Kの上部の途中位置から分岐してバラ出金リジェクト庫22に繋がる搬送路61Lとを有している。
【0037】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置とバラ識別部31との間から上方に分岐して搬送路61Kにおける搬送路61Aからの分岐位置と搬送路61Lの分岐位置との間に接続される搬送路61Mと、搬送路61Aにおける搬送路61Mの分岐位置とバラ識別部31との間から分岐して搬送路61Mの中間位置に繋がる搬送路61Nとを有している。搬送路61Nには、バラ紙幣Sの表裏を反転させる表裏反転部63が設けられている。
【0038】
また、搬送部61は、搬送路61Kにおける搬送路61Lの分岐位置と搬送路61Mの合流位置との間から後方に分岐して整列部35に繋がる搬送路61Pと、搬送路61Kにおける搬送路61Pの分岐位置と搬送路61Mの合流位置との間から後方に分岐して整列部36に繋がる搬送路61Qとを有している。
【0039】
バラ識別部31は、搬送部61によって搬送されるバラ紙幣Sを識別することになり、一時貯留収納庫41(A)~41(D)および収納カセット部51は、バラ識別部31によって識別されたバラ紙幣Sを繰り出し可能に収納する。
【0040】
第1ユニット1には、第1ユニット1および第2ユニット2すなわち紙幣処理機11の全体を制御する制御部65と、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行うタッチパネル式の操作表示部66とを有している。制御部65および操作表示部66は、第2ユニット2に設けられていても良い。
【0041】
制御部65は、第1ユニット1については、バラ入金部20と、バラ識別部31と、整列部35,36と、昇降搬送部37と、結束部38と、小束送出部39と、バラ紙幣一時貯留部48およびバラ紙幣収納部49を含む一時貯留収納庫41(A)~41(D)と、収納カセット部51と、搬送部61と、操作表示部66と等を制御する。
【0042】
[第2ユニット2]
図1に示すように、第2ユニット2は、その機体70の前面側の上部に小束入出金部71(小束出金部)を有しており、機体70の前面側の小束入出金部71よりも上側に新券出金部72を有している。
【0043】
第2ユニット2は、機体70の上部の新券出金部72から後側の部分が、バラ紙幣Sの新券を収納し、収納しているバラ紙幣Sの新券を新券出金部72から出金する新券収納出金部75となっている。新券出金部72は、開閉可能なシャッタ76を有している。新券出金部72は、シャッタ76が閉状態とされて機内から出金用のバラ紙幣Sの新券が繰り出され、その後、シャッタ76が開かれることでバラ紙幣Sの新券が機外に取り出される。
【0044】
小束入出金部71は、開閉可能なシャッタ81を有している。また、小束入出金部71は、
図3に示すように、その底部を構成する開閉可能な一対のフラッパ82を有している。一対のフラッパ82は、図示略のスプリングの付勢力で水平に配置される閉状態とされ、図示略のスプリングの付勢力に抗して上方への回動して開状態となることが可能となっている。また、一対のフラッパ82は、図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となる。第2ユニット2は、小束入出金部71の直下に小束搬送部91を有している。小束搬送部91は上下方向に移動可能すなわち昇降可能なステージ92を有している。ステージ92は、閉状態にある一対のフラッパ82を越えて昇降可能であり、その際に一対のフラッパ82に対して干渉しないように逃げる形状をなしている。
【0045】
小束入出金部71は、
図1に示すシャッタ81が図示略のシャッタモータの駆動で開状態とされると、このとき閉状態にある
図3に示す一対のフラッパ82と、このとき閉状態の一対のフラッパ82に高さ位置を合わせる装填位置にあるステージ92との上に、機外から小束紙幣Wが載置される。このとき、一対のフラッパ82およびステージ92の上には、小束紙幣Wが、左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で載置されることになる。その後、シャッタ81が閉じられると、一対のフラッパ82が図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開かれると共にステージ92が図示略のステージモータの駆動で下降して小束紙幣Wを機内に向け搬送する。
【0046】
小束入出金部71は、閉状態にある一対のフラッパ82よりも上側が、シャッタ81が開状態にあるときに小束紙幣Wの出し入れが可能となる小束紙幣集積空間85となっている。言い換えれば、小束紙幣集積空間85の下端部には、一対のフラッパ82が開閉可能に設けられている。ステージ92は、上部所定位置に位置するとき、この小束紙幣集積空間85内に設けられることになる。ステージ92は、小束紙幣集積空間85に装填された小束紙幣Wを載置させる。小束紙幣集積空間85は、一度に保留な小束紙幣Wの数が限られており、例えば10束となっている。
【0047】
小束入出金部71には、
図1に示すシャッタ81が閉状態にあるときに、機内から出金用の小束紙幣Wが
図3に示す小束搬送部91のステージ92によって下方から搬送されてくる。その際に、ステージ92は、小束紙幣Wを載置させて、図示略のステージモータの駆動で一対のフラッパ82の下方から一対のフラッパ82を越えて所定の上方位置まで上昇することになる。すると、小束紙幣Wが一対のフラッパ82を図示略のフラッパスプリングの付勢力に抗して上方に回動させて開きつつ一対のフラッパ82を通過する。この通過後、一対のフラッパ82はフラッパスプリングの付勢力で下方に回動して閉状態に戻る。その後、ステージ92が下降することで、ステージ92は閉状態の一対のフラッパ82を通過するものの、小束紙幣Wは閉状態の一対のフラッパ82に載置されて小束紙幣集積空間85内に残ることになる。このようにしてステージ92は、載置された小束紙幣Wを所定の上方位置において小束入出金部71内に送り込む。
【0048】
小束入出金部71において、複数の小束紙幣Wを出金のため小束入出金部71に保留する場合、上記のようにして一対のフラッパ82上に載置されている、先に保留された小束紙幣Wに対して下方からステージ92が後の小束紙幣Wを載置させた状態で上昇することになる。すると、ステージ92は、当該後の小束紙幣Wの上に一対のフラッパ82上に載置されている先の小束紙幣Wを載置させながら当該後の小束紙幣Wで一対のフラッパ82を開きつつ一対のフラッパ82を越えて所定の上方位置まで上昇する。そして、一対のフラッパ82がフラッパスプリングの付勢力で閉状態に戻った後、ステージ92が下降することで、当該後の小束紙幣Wが一対のフラッパ82に載置され、先の小束紙幣Wが当該後の小束紙幣Wに載置された状態になる。このような作動を適宜繰り返すことにより、小束入出金部71には、機内から搬送された小束紙幣Wが、バラ紙幣Sの集積方向を上下とし左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積された積層状態に載置されることになる。小束入出金部71は、少なくとも一対のフラッパ82によって、小束紙幣集積空間85内で保留可能な所定の最大数(例えば10束)の小束紙幣Wを支持可能である。小束搬送部91は、小束入出金部71よりも下方でステージ92上に出金用の小束紙幣Wが一束ずつ載置されることになるが、一束の小束紙幣Wが載置されるたびに、ステージ92を所定の上方位置に移動させることで、小束入出金部71において複数の小束紙幣Wを合流させる。
【0049】
ステージ92は、一対のフラッパ82よりも上側の所定の出金位置まで上昇すると一対のフラッパ82よりも上側に小束紙幣Wを持ち上げることになり、その後、シャッタ81が開かれることで小束紙幣Wが小束入出金部71から機外に取り出される。言い換えれば、小束入出金部71は、小束紙幣Wを機外へ取り出し可能に保留する。出金位置を一対のフラッパ82よりも少し上側の位置にすることで、小束紙幣Sの底面を安定して保持しながら、最下位置の小束紙幣Wの底面と一対のフラッパ82との間に隙間が生じるため、ユーザーが小束紙幣Wを取り出し易くなる。なお、ステージ92の出金位置は、一対のフラッパ82より下側の位置としても良い。これにより、ユーザーが一対のフラッパ82に載置された小束紙幣Wの前後方向中間部を掴んで抜き取ることが容易となる。
【0050】
第2ユニット2は、小束搬送部91の後方に、
図2に示す第1ユニット1の結束部38で結束されて小束送出部39から送り出されてきた小束紙幣Wを所定の上部受取位置で受け取り上下から挟持して下方に搬送する小束受取部101を有している。小束受取部101は、第2ユニット2から一束の小束紙幣Wを受け取り、受け取った一束のみの小束紙幣Wを挟持して所定の下限位置まで搬送し、さらに前方に搬送して小束搬送部91のステージ92上に受け渡す。このときのステージ92の上面の高さの位置を第1の位置とする。よって、小束受取部101は、小束紙幣Wを所定の第1の位置にあるステージ92に受け渡す。第1の位置は、小束入出金部71内の上記した所定の上方位置とは異なっており、所定の上方位置よりも下方にある。言い換えれば、ステージ92は、所定の上方位置よりも下方の第1の位置において小束紙幣Wを小束受取部101から受け取る。
【0051】
小束受取部101は、小束送出部39から、バラ紙幣Sの集積方向を上下とし左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で長手方向に沿って送り出されてきた一束の小束紙幣Wを、その姿勢のまま受け取って下方に搬送すると共に、その姿勢のまま前方に搬送してステージ92上に受け渡す。よって、小束受取部101からステージ92上に受け渡された小束紙幣Wも、バラ紙幣Sの集積方向を上下とし左右方向に長手方向を沿わせた姿勢となる。
【0052】
第2ユニット2の下部には、複数具体的には4カ所の同様の構造の小束収納部111が、上下左右の位置を合わせて前後に並べられている。これら小束収納部111は、小束紙幣Wを収納可能であって収納している小束紙幣Wを繰り出し可能である。
【0053】
第2ユニット2において、複数の小束収納部111のうち、最も後側に配置された小束収納部111(A)、後から2番目に配置された小束収納部111(B)、後から3番目に配置された小束収納部111(C)および最も前側に配置された小束収納部111(D)は、いずれも、小束紙幣Wを下から上に集積させた積層状態に収納するものである。
【0054】
小束収納部111(A)は、小束紙幣Wを金種混合で繰り出し可能に収納する。これに対して、小束収納部111(B)は、所定の単一金種の小束紙幣W(具体的には千円券小束)を、小束収納部111(C)は、所定の単一金種の小束紙幣W(具体的には万円券小束)を、小束収納部111(D)は、所定の単一金種の小束紙幣W(具体的には万円券小束)を、それぞれ繰り出し可能に収納する。
【0055】
すなわち、第2ユニット2は、単一金種用(万円券小束および千円券小束)の小束収納部111を複数個、金種別に有している。なお、小束収納部111の収納パターンは、上記に限らず任意に設定可能である。
【0056】
同様の構造の小束収納部111は、それぞれが、小束紙幣Wを収容する内部空間を形成する角筒状の収容体115と、収容体115の上部に設けられて収容体115の上部の開口を開閉する一対のフラッパ116と、集積状態の小束紙幣Wを支持するとともに収容体115の内部空間内を昇降するステージ117とを有している。一対のフラッパ116は、水平に配置される閉状態から図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となる。小束収納部111には、ステージ117上に、小束紙幣Wが、バラ紙幣Sの集積方向を上下とし左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積された積層状態で載置されることになる。
【0057】
第2ユニット2の下部には、小束収納部111(D)の前側に、機体70から取り外し可能であって小束紙幣Wを回収する際に小束収納部111から搬送されてきた小束紙幣Wを収納すると共に、小束紙幣Wを補充する際に補充用の小束紙幣Wが機外で装填される小束回収カセット部121が設けられている。
【0058】
小束回収カセット部121は、小束紙幣Wを収容する内部空間を形成する角筒状の収容体125と、収容体125の上部に設けられて収容体125の上部の開口を開閉する一対の一対のフラッパ126と、集積状態の小束紙幣Wを支持するとともに収容体125の内部空間内を昇降するステージ127とを有している。一対のフラッパ126は、水平に配置される閉状態から図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となる。小束回収カセット部121には、ステージ127上に、小束紙幣Wが、バラ紙幣Sの集積方向を上下とし左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積された積層状態で載置されることになる。
【0059】
第2ユニット2は、上下方向における、小束回収カセット部121および小束収納部111(A)~111(D)と、小束受取部101との間に、小束搬送部91から送り出された小束紙幣Wを受け取って小束回収カセット部121および小束収納部111(A)~111(D)に搬送すると共に、小束回収カセット部121および小束収納部111(A)~111(D)から小束紙幣Wを受け取って小束搬送部91に搬送し、さらには小束回収カセット部121と小束収納部111(A)~111(D)との間で小束紙幣Wを搬送する小束水平搬送部131が設けられている。小束水平搬送部131は、前後方向に延びる無端ベルト132と、無端ベルト132の外周部に所定の等間隔で設けられた複数の桟部133とを有している。小束水平搬送部131は、無端ベルト132の回転方向において隣り合う桟部133と桟部133との間に一束の小束紙幣Wを受け入れて搬送する。
【0060】
小束収納部111は、一対のフラッパ116が図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となり、ステージ117が上昇してステージ117上にある小束紙幣Wのうちの最も上側の一束の小束紙幣Wを収容体115よりも上方に突出させる。この状態で、小束水平搬送部131が、無端ベルト132から下方に突出する桟部133を前方に移動させることで、この一束の小束紙幣Wを桟部133で押して小束搬送部91に向けて搬送する。このとき、この小束収納部111よりも前にある小束収納部111は、一対のフラッパ116を閉状態としており、よって、この一束の小束紙幣Wが一対のフラッパ116上を前方に移動する。また、このとき、小束回収カセット部121は、一対のフラッパ126が閉状態にあれば、この一束の小束紙幣Wが一対のフラッパ126上を前方に移動する。
【0061】
小束回収カセット部121は、一対のフラッパ126が図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となり、ステージ127が上昇してステージ127上にある小束紙幣Wのうちの最も上側の一束の小束紙幣Wを収容体125よりも上方に突出させる。この状態で、小束水平搬送部131が、無端ベルト132から下方に突出する桟部133を前方に移動させることで、この一束の小束紙幣Wを桟部133で押して小束搬送部91に向けて搬送する。また、この状態で、小束水平搬送部131が、無端ベルト132から下方に突出する桟部133を後方に移動させることで、この一束の小束紙幣Wを桟部133で押して小束収納部111に向けて搬送する。
【0062】
小束回収カセット部121は、一対のフラッパ126が下方に回動した開状態でステージ127が上昇して、ステージ127上に小束紙幣Wがある場合はそのうちの最も上側の小束紙幣Wを、小束紙幣Wがない場合はステージ127を、収容体125の上端よりも若干低い所定の受け取り位置に位置させる。この状態で、小束水平搬送部131によって、小束収納部111から桟部133で押されて前方に搬送されてきた小束紙幣Wが、小束回収カセット部121の最も上側の小束紙幣Wあるいはステージ127の上に載置される。あるいは、この状態で、小束水平搬送部131によって、小束搬送部91から桟部133で押されて後方に搬送されてきた小束紙幣Wが、小束回収カセット部121の最も上側の小束紙幣Wあるいはステージ127の上に載置される。これらの状態から、ステージ127が下降することで、小束回収カセット部121が、上記のように小束収納部111あるいは小束搬送部91から搬送されてきた小束紙幣Wを収納する。
【0063】
第2ユニット2の下部には、前後方向における小束収納部111(D)と小束回収カセット部121との間に、小束水平搬送部131で搬送される小束紙幣Wの画像データから金種等を識別する小束識別部135が設けられている。小束識別部135は、小束水平搬送部131で小束回収カセット部121側から小束収納部111(D)側に搬送される小束紙幣Wを識別すると共に、小束水平搬送部131で小束収納部111(D)側から小束回収カセット部121側に搬送される小束紙幣Wを識別する。
【0064】
第2ユニット2は、小束水平搬送部131が小束回収カセット部121あるいは小束収納部111(A)~111(D)から受け取って搬送してきた小束紙幣Wを小束搬送部91のステージ92上に押し出す送出機構141を有している。送出機構141は、小束水平搬送部131による小束紙幣Wの搬送経路に対して、下降して進入し上昇して退避する。送出機構141は、小束水平搬送部131が搬送してきた小束紙幣Wを、その後方で下降して前方に移動することにより、ステージ92上に押し出す。小束水平搬送部131で搬送され送出機構141で押し出される小束紙幣Wを受け取る際のステージ92の上面の高さの位置を第2の位置とする。送出機構141は、第2の位置にあるステージ92に小束紙幣Wを受け渡す。第2の位置は、上記した第1の位置とは異なっており、第1の位置よりも下側となっている。言い換えれば、ステージ92は所定の上方位置よりも下方の第2の位置において小束紙幣Wを受け取る。
【0065】
第2ユニット2は、ステージ92上の小束紙幣Wを小束水平搬送部131に向けて押し出す押出機構145を有している。押出機構145は、前端に位置する状態から後方に移動することでステージ92上の小束紙幣Wを小束水平搬送部131に向けて押し出す。押出機構145は、第2の位置にあるステージ92から小束紙幣Wを小束水平搬送部131に向けて押し出す。
【0066】
小束収納部111は、一対のフラッパ116が図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動した開状態となり、この状態で、ステージ117が上昇して、ステージ117上に小束紙幣Wがある場合はそのうちの最も上側の小束紙幣Wを、小束紙幣Wがない場合はステージ117を、収容体115の上端より若干下方の所定の受け取り位置に位置させる。この状態で、押出機構145で押し出された小束紙幣Wが、小束水平搬送部131の桟部133で後方に搬送されてくると、この小束紙幣Wが、この小束収納部111の最も上側の小束紙幣Wあるいはステージ117の上に載置される。この状態で、ステージ117が下降することで、この小束収納部111が、小束搬送部91から小束水平搬送部131で搬送されてきた小束紙幣Wを収納する。このとき、小束回収カセット部121は一対のフラッパ126を閉状態としており、この小束紙幣Wが一対のフラッパ126上を後方に移動する。また、この小束収納部111よりも前にある小束収納部111も、一対のフラッパ116を閉状態としており、この小束紙幣Wが一対のフラッパ116上を後方に移動する。小束収納部111は、小束回収カセット部121から小束水平搬送部131の桟部133で後方に搬送されてくる小束紙幣Wを収納する場合も同様に作動する。押出機構145は、ステージ92から小束回収カセット部121および小束収納部111(A)~111(D)へ向けて小束紙幣Wを押し出す。
【0067】
押出機構145、小束水平搬送部131、送出機構141、小束回収カセット部121および小束収納部111(A)~111(D)が、小束入出金部71内に位置するステージ92の下方に設けられて、小束紙幣Wを入出金する入出金機構151を構成している。ステージ92は、小束紙幣Wの出金時に、入出金機構151から受け入れた小束紙幣Wを載置させて上方の小束紙幣集積空間85に搬送し また、小束紙幣Wの入金時に、小束紙幣集積空間85に装填された小束紙幣Wを載置させて下方の入出金機構151に向けて搬送する。入出金機構151には、ステージ92上から小束紙幣Wを受け取って収納し、収納している小束紙幣Wをステージ92上に送り出すことができる小束回収カセット部121および小束収納部111(A)~111(D)が設けられている。小束回収カセット部121および小束収納部111(A)~111(D)は、ステージ92の後方側に設けられている。
【0068】
制御部65は、第2ユニット2については、小束入出金部71と、新券出金部72と、新券収納出金部75と、小束搬送部91と、小束受取部101と、小束収納部111(A)~111(D)と、小束回収カセット部121と、小束水平搬送部131と、小束識別部135と、送出機構141と、押出機構145と等を制御する。
【0069】
次に、第1実施形態の紙幣処理機11の主な処理について説明する。
【0070】
紙幣処理機11が待機状態にあるとき、バラ入金部20は、シャッタ23が閉状態にあり、バラ出金返却部21も、シャッタ25が閉状態にある。また、この待機状態にあるとき、一時貯留収納庫41(A)~41(D)は、すべてが、フラッパ43およびシャッタ46を閉状態とし、プッシャ45を上限位置に位置させている。また、この待機状態にあるとき、一時貯留収納庫41(A)~41(D)は、すべてが、バラ紙幣一時貯留部48を空の状態としており、バラ紙幣収納部49に適宜のバラ紙幣Sを収納している。また、この待機状態にあるとき、収納カセット部51は空の状態であり、収納カセット部51のステージ53はバラ紙幣Sを受け入れ可能な上部の所定の待機位置に位置している。
【0071】
また、この待機状態にあるとき、小束入出金部71は、シャッタ81が閉状態にあり、一対のフラッパ82が閉状態にある。また、この待機状態にあるとき、小束搬送部91は、ステージ92が、一対のフラッパ82よりも上側の出金位置にある。また、この待機状態にあるとき、小束受取部101は所定の上部受取位置にある。また、この待機状態にあるとき、小束収納部111(A)~111(D)は、適宜の小束紙幣Wを収納しており、すべてが一対のフラッパを116を閉状態としている。また、この待機状態にあるとき、小束回収カセット部121は、空の状態であり、一対のフラッパを126を閉状態としている。
【0072】
[バラ紙幣入金処理]
図4の太線は、機外からバラ入金部20に投入されたバラ紙幣Sを搬送しつつ識別および計数して一時貯留するバラ紙幣入金処理の紙幣搬送ルートを示している。操作表示部66にバラ紙幣入金処理の選択操作がなされると、制御部65は、バラ紙幣入金処理を開始することになり、バラ入金部20のシャッタ23を開く。そして、バラ入金部20に機外からバラ紙幣Sが装填され、操作表示部66にバラ紙幣入金処理の開始操作がなされると、制御部65は、シャッタ23を閉じてから、入金繰出部24によって、バラ入金部20に投入されたバラ紙幣Sを最下のものから順に、一枚ずつ所定の間隔をあけて繰り出させることになり、繰り出されたバラ紙幣Sを、搬送路61Aでバラ識別部31に搬送させる。この搬送中にバラ識別部31がバラ紙幣Sを識別および計数することになり、制御部65は、バラ識別部31で受け入れ可能と識別したバラ紙幣Sを、
図4に太実線で示すように、搬送路61C,61D,61E,61Fで振り分ける。これにより、一時貯留収納庫41(A)~41(D)が、それぞれ取込繰出部42によって、バラ紙幣一時貯留部48にバラ紙幣Sを一時貯留させることになる。
【0073】
他方、制御部65は、バラ入金部20から入金繰出部24で繰り出されたバラ紙幣Sのうち、バラ識別部31で受け入れ不可と識別したバラ紙幣S、すなわち金種識別できない金種識別不良のバラ紙幣Sと、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常のバラ紙幣とをリジェクトバラ紙幣として、
図4に太実線、太破線および太一点鎖線で示すように、搬送路61Aから搬送路61H、搬送路61G、搬送路61A、搬送路61Mおよび搬送路61Kによってバラ出金返却部21に搬送させる。
【0074】
なお、このとき、バラ入金部20から出て搬送路61A上をバラ識別部31に向かうバラ紙幣Sと、搬送路61H,61Gから搬送路61Aを通って搬送路61Mに向かうバラ紙幣Sとが、搬送路61Aの一部を共通使用することになるため、この部分で交差する可能性がある。このため、バラ識別部31でバラ紙幣Sを受け入れ不可と判定すると、制御部65は、このバラ紙幣Sとの交差のタイミングを見計らって、入金繰出部24を停止させて、バラ入金部20からのバラ紙幣Sの繰り出しを中断する。
【0075】
以上のバラ紙幣入金処理の作動を行うことによって、バラ入金部20のバラ紙幣Sがなくなり、バラ入金部20から繰り出されたすべてのバラ紙幣Sが、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のバラ紙幣一時貯留部48およびバラ出金返却部21のいずれかに搬送されると、制御部65は、バラ出金返却部21のシャッタ25を開いてバラ出金返却部21からバラ紙幣Sを取り出し可能にするとともに、バラ識別部31で受け入れ可能と判定して一時貯留収納庫41(A)~41(D)のバラ紙幣一時貯留部48に一時貯留させたバラ紙幣Sの金種別の枚数および総額等を操作表示部66に表示させる。そして、制御部65は、操作表示部66への入金確定操作および入金キャンセル操作の入力を待機する状態となってバラ紙幣入金処理を終了する。
【0076】
[バラ紙幣収納処理]
バラ紙幣入金処理後、操作表示部66への入金確定操作が入力された入金確定時に、制御部65は、入金を確定するとともに、バラ紙幣入金処理にて一時貯留収納庫41(A)~41(D)のバラ紙幣一時貯留部48に一時貯留させたバラ紙幣Sを、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のバラ紙幣収納部49に収納させるバラ紙幣収納処理を行う。
図5の太線は、このバラ紙幣収納処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0077】
バラ紙幣収納処理においては、制御部65の制御によって、一時貯留収納庫41(A)~41(D)は、それぞれのシャッタ46が、閉状態の一対のフラッパ43の上側において一対のフラッパ43に最も近づく下部位置まで下降して開作動して、一時貯留していたバラ紙幣Sを一対のフラッパ43上に受け渡す。その後、一時貯留収納庫41(A)~41(D)は、それぞれの一対のフラッパ43が開作動して、一時貯留していたバラ紙幣Sをステージ44上のバラ紙幣S上に集積させる。そして、プッシャ45が下降してステージ44上のバラ紙幣Sを下方に押し込みながらステージ44を下げ、プッシャ45が一対のフラッパ43よりも下側に位置すると、一対のフラッパ43を閉作動させる。その後、プッシャ45が上昇して上限位置に戻ることになる。これにより、一対のフラッパ43とステージ44との間のバラ紙幣収納部49にバラ紙幣Sを収納する。
【0078】
[バラ紙幣返却処理]
バラ紙幣入金処理後、操作表示部66への入金キャンセル操作が入力された入金キャンセル時に、制御部65は、入金を確定せず、バラ紙幣入金処理にて一時貯留収納庫41(A)~41(D)のバラ紙幣一時貯留部48に一時貯留したバラ紙幣Sをすべて、バラ出金返却部21に繰り出す返却処理を行う。
図6の太線は、このバラ紙幣返却処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0079】
バラ紙幣返却処理においては、制御部65の制御によって、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれのシャッタ46が上昇し、それぞれの取込繰出部42が、バラ紙幣一時貯留部48のバラ紙幣Sを最上位置のものから一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣Sを、
図6に太実線で示すように、搬送路61C~61Fの対応するものと搬送路61A,61Kとでバラ出金返却部21に搬送する。返却処理の最後に、制御部65は、バラ出金返却部21のシャッタ25を開いてバラ出金返却部21からバラ紙幣Sを取り出し可能にする。
【0080】
[バラ紙幣出金処理]
図7の太線は、操作表示部66へ入力されたバラ紙幣出金操作に基づいて、万円券バラ紙幣を収納している一時貯留収納庫41(A)、五千円券バラ紙幣を収納している一時貯留収納庫41(B)、千円券バラ紙幣を収納している一時貯留収納庫41(C)のうちの指定された金種のものからバラ紙幣Sを出金するバラ紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0081】
バラ紙幣出金処理において、制御部65は、操作表示部66に入力された金種別の出金枚数に基づき、一時貯留収納庫41(A)~41(C)のうちの出金対象のものについて、シャッタ46および一対のフラッパ43を開状態とし、ステージ44を上昇させる。そして、ステージ44に載置されたバラ紙幣Sを最上位置のものから、取込繰出部42によって一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出させることになる。すると、繰り出されたバラ紙幣Sを、搬送部61が、
図7に太実線で示すように、搬送路61C~61Eの対応するものおよび搬送路61Aでバラ識別部31に搬送し、バラ識別部31の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でない正常バラ紙幣Sを、搬送路61A,61Kでそのままバラ出金返却部21に、表裏反転が必要な正常バラ紙幣Sを、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61Kでバラ出金返却部21に、それぞれ搬送する。これにより、バラ紙幣出金操作に基づく金種の正常バラ紙幣Sをバラ出金返却部21に表裏を取り揃えながら繰り出す。なお、バラ識別部31が搬送異常と識別したり、金種識別不良と識別した、正常バラ紙幣S以外のリジェクトバラ紙幣については、
図7に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61K,61Lによってバラ出金リジェクト庫22に搬送し、バラ出金リジェクト庫22に収納する。
【0082】
以上のようにして、入力された金種別の出金枚数のバラ紙幣Sを、金種別に、表裏を取り揃えながらバラ出金返却部21に繰り出す。バラ紙幣出金処理の最後に、制御部65は、バラ出金返却部21のシャッタ25を開いてバラ出金返却部21からバラ紙幣Sを機外に取り出し可能にする。
【0083】
[小束紙幣出金処理]
図8の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣出金操作に基づいて、千円券小束を収納している小束収納部111(B)、万円券小束を収納している小束収納部111(C),111(D)のうちの指定された金種のものから小束紙幣Wを小束入出金部71に出金する小束紙幣出金処理における収納小束出金処理の紙幣搬送ルートを示している。また、
図9の太線および
図10の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣出金操作に基づいて、千円券バラ紙幣を収納している一時貯留収納庫41(C)のバラ紙幣収納部49および万円券バラ紙幣を収納している一時貯留収納庫41(A)のバラ紙幣収納部49のうちの指定された金種のもののバラ紙幣Sから結束部38で小束紙幣Wを作成して小束入出金部71に出金する小束紙幣出金処理における結束小束出金処理の紙幣搬送ルートを示している。また、
図9の太線および
図11の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣出金操作に基づいて、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうちの指定された金種のもののバラ紙幣Sから結束部38で小束紙幣Wを作成して小束収納部111(A)~111(D)の対応するものに補充する小束紙幣出金処理における結束小束補充処理の紙幣搬送ルートを示している。
図12の太線は、小束紙幣出金処理における収納小束再分配処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0084】
ここで、小束紙幣Wのうち、小束収納部111(B)~111(D)に収納されていて小束紙幣出金処理等の一取引において小束入出金部71に出金される小束紙幣Wを収納小束とし、小束紙幣出金処理等の一取引において一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49からの所定枚数のバラ紙幣Sを結束部38が結束テープで結束して作成して小束入出金部71に出金等する小束紙幣Wを結束小束とする。よって、小束収納部111(B)~111(D)は、小束紙幣Wを収納小束Wとして収納しつつ繰り出し可能である。また、結束部38は、所定枚数のバラ紙幣Sを結束テープで結束して小束紙幣Wである結束小束Wとする。
【0085】
小束紙幣出金処理の一取引において、出金を要求する金種別の出金束数が操作表示部66に入力されて、操作表示部66に出金開始操作が入力されると、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始することになるが、この一取引を開始するに当たり、まず、入力された金種別の出金束数に基づき、小束収納部111(B)~111(D)に既に収納している収納小束Wの在り高と、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、小束紙幣出金処理パターンを決定し、決定した小束紙幣出金処理パターンに従って、小束紙幣出金処理の一取引を行う。
【0086】
この小束紙幣出金処理パターンは、
図8に太線で示すように小束収納部111(B)~111(D)からの収納小束Wを小束入出金部71に出金する収納小束出金処理のみを行う第1パターンと、
図8に太線で示すように小束収納部111(B)~111(D)からの収納小束Wを小束入出金部71に出金する収納小束出金処理と、
図9,
図10に太線で示すように一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49からの所定数のバラ紙幣Sを結束部38で結束して結束小束Wを作成し、この結束小束Wを小束入出金部71に出金する結束小束出金処理との両方を行う第2パターンとである。制御部65は、これら第1パターンおよび第2パターンのうちのいずれか一方を選択して実行することになり、第1パターンおよび第2パターンのうち第1パターンを優先して実行する。
【0087】
すなわち、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を行う際に、小束収納部111(B)の千円券の収納小束Wおよび小束収納部111(C),111(D)の万円券の収納小束Wの両方において、既に収納している収納小束Wの束数が、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの出金要求数以上である場合は、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wを小束入出金部71に出金させる収納小束出金処理のみを行う。
【0088】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を行う際に、小束収納部111(B)の千円券の収納小束Wおよび小束収納部111(C),111(D)の万円券の収納小束Wのうちの少なくともいずれか一方の金種の収納小束Wにおいて、既に収納している収納小束Wの束数が、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの出金要求数未満である場合は、当該出金要求数未満ではない金種については収納小束出金処理のみを行い、当該出金要求数未満である金種については、収納小束出金処理を行うと共に、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうちの当該金種のバラ紙幣Sを収納しているもののバラ紙幣Sから結束部38で結束小束Wを作成して、小束入出金部71に出金させる結束小束出金処理を行う。このように、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wと、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束して作成する結束小束Wと、の両方を合流させて小束入出金部71に出金させる。
【0089】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111(B)~111(D)に既に収納している収納小束Wの在り高と、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの要求数との比較結果に基づいて、小束紙幣出金処理パターンに加えて、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のバラ紙幣Sを結束部38で結束して結束小束Wを作成し、この結束小束Wを小束収納部111(B)~111(D)の対応するものに収納する結束小束補充処理を追加的に実行する。
【0090】
すなわち、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を行う際に、当該一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wを小束入出金部71に出金させると、千円券の収納小束Wを収納している小束収納部111(B)および万円券の収納小束Wを収納している小束収納部111(C),111(D)のうちの少なくとも一方の金種において収納小束Wがゼロになる束数不足金種が存在すると予測される場合には、当該一取引に含めて、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうちの当該束数不足金種のバラ紙幣Sを収納しているもののバラ紙幣Sから結束部38で結束小束Wを作成して、小束収納部111(B)および小束収納部111(C),111(D)のうちの当該束数不足金種の小束収納部111に収納させる結束小束補充処理を追加的に実行して、小束収納部111(B)の収納束数および小束収納部111(C),111(D)の収納束数を、全て所定の下限束数以上にする。なお、小束収納部111(C),111(D)は同一金種を収納しているため合計の収納束数を所定の下限束数以上にする。
【0091】
このように、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wと、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束して作成する結束小束Wと、の両方を合流させて小束入出金部71に出金させると共に、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束して作成する結束小束Wを小束収納部111(B)~111(D)に向けて送り出して収納させる。なお、収納小束Wがゼロよりも大きい所定の束数以下になった金種を束数不足金種とし、この所定の束数よりも所定値大きい束数を下限束数としても良い。
【0092】
しかも、制御部65は、金種ごとの小束紙幣Wの出金要求数と、機内在り高として小束収納部111(B)に収納している千円券の収納小束Wの束数および小束収納部111(C),111(D)に収納している万円券の収納小束Wの束数との比較に加えて、機内在り高として一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49に収納しているバラ紙幣Sの枚数を比較する。そして、予め、千円券用の小束収納部111(B)に設定されている収納小束Wを残留させる所定の下限束数と、千円券用の一時貯留収納庫41(C)のバラ紙幣収納部49に設定されているバラ紙幣Sを残留させる所定の収納量である下限バラ数とを考慮すると共に、万円券用の小束収納部111(C),111(D)に設定されている収納小束Wを残留させる所定の下限束数と、万円券用の一時貯留収納庫41(A)のバラ紙幣収納部49に設定されているバラ紙幣Sを残留させる所定の下限バラ数とを考慮して、当該一取引の動作パターンを決定する。
【0093】
すなわち、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、千円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(B)が所定の収納量である下限束数を維持し、万円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(C),111(D)が合わせて所定の収納量である下限束数を維持すると予想される場合、小束収納部111(B)~111(D)の収納小束Wのみを出金させる。
【0094】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、千円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(B)と、万円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(C),111(D)と、のうちの少なくともいずれか一方が、所定の収納量である下限束数を維持できないと予想される場合、下限束数を維持できない小束収納部111に補充する結束小束Wを作成する分のバラ紙幣Sが、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49の対応するものに確保されていると予想される場合、当該一取引において、収納小束Wおよび結束小束Wのうちの少なくとも収納小束Wを出金させた後、当該下限束数を維持できない小束収納部111に結束小束Wを補充して所定の下限束数に戻す。
【0095】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、千円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(B)と、万円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(C),111(D)と、のうちの少なくともいずれか一方が、所定の収納量である下限束数を維持できないと予想される場合であって、下限束数を維持できない小束収納部111に補充する結束小束Wを作成する分のバラ紙幣Sが、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49の対応するものに確保されていないと予想される場合、当該一取引において、収納小束Wおよび結束小束Wのうちの少なくとも収納小束Wを出金させた後、下限束数を維持できない小束収納部111に結束小束Wを補充しない。
【0096】
しかも、制御部65は、下限束数を維持できない小束収納部111に補充する結束小束Wを作成する分と下限バラ数とを合わせた枚数のバラ紙幣Sが、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49の対応するものに確保されていないと予想される場合、下限束数を維持できない小束収納部111に結束小束Wを補充しない。
【0097】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納小束Wが小束収納部111(B)~111(D)の対応するものに一束も収納されていない場合、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49の対応するもののバラ紙幣Sを結束部38で結束した結束小束Wのみを小束入出金部71に出金させる。
【0098】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、一度に複数金種の小束紙幣Wを小束入出金部71に出金させる場合で、且つ、収納小束Wおよび結束小束Wの両方を出金させる場合、収納小束Wおよび結束小束Wの合流に際しては、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めるように合流させる。その際に、小束入出金部71において高額金種の小束紙幣Wほど下側で纏めるように合流させる。
【0099】
ここでは、具体例として、小束紙幣出金処理の一取引である第1の取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納小束Wの内訳が、万円券の小束紙幣Wが5束と、千円券の小束紙幣Wが5束とである場合を例にとり説明する。しかも、この第1の取引を開始するに当たり、万円券の収納小束Wが小束収納部111(C)に7束、小束収納部111(D)に8束、千円券の収納小束Wが小束収納部111(B)に4束であり、千円券のバラ紙幣Sが一時貯留収納庫41(C)のバラ紙幣収納部49に800枚ある場合を例にとり説明する。また、小束収納部111(C),111(D)を合わせた万円券の収納小束Wの下限束数が3束に設定され、小束収納部111(B)の千円券の収納小束Wの下限束数が3束に設定され、一時貯留収納庫41(C)のバラ紙幣収納部49の下限バラ数が300枚に設定されている場合を例にとり説明する。なお、これらの設定は一例であり、これに限らない。また、小束紙幣集積空間85に一度に保留な小束紙幣Wの数は10束となっている。
【0100】
まず、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引である第1の取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納小束Wの内訳が、万円券の小束紙幣Wが5束と、千円券の小束紙幣Wが5束とであり、万円券の小束紙幣Wは、結束処理が不要な収納小束Wで全て出金可能であり、千円券の小束紙幣Wは、結束処理が不要な収納小束Wで4束が出金可能であって、残り1束は結束処理が必要な結束小束Wで出金可能である旨を操作表示部66に表示させる。加えて、制御部65は、万円券の5束の小束紙幣Wと千円券の5束の小束紙幣Wとを全て出金するか、結束処理が不要な範囲で最大限の万円券の5束の小束紙幣Wと千円券の4束の小束紙幣Wとを出金するか、出金をキャンセルするかの3つのパターンを操作表示部66に表示させて、いずれのパターンで出金させるかの入力を待機する。ここでは、万円券の5束の小束紙幣Wと千円券の5束の小束紙幣Wとを全て出金するパターンが選択された場合について説明する。なお、これに対して、結束処理が不要な範囲で最大限の万円券の5束の小束紙幣Wと千円券の4束の小束紙幣Wとを出金するパターンが選択された場合は、結束処理が必要な千円券の1束の結束小束Wの結束小束出金処理を行わない点のみが処理として相違することになる。
【0101】
制御部65は、小束紙幣出金処理の第1の取引で、小束収納部111(B)から4束の千円券の収納小束Wを小束入出金部71に出金させる収納小束出金処理と、一時貯留収納庫41(C)から千円券のバラ紙幣Sを繰り出し結束部38で結束して1束の結束小束Wを小束入出金部71に出金させる結束小束出金処理と、小束収納部111(C),111(D)のうちの例えば小束収納部111(D)から5束の万円券の収納小束Wを小束入出金部71に出金させる収納小束出金処理と、一時貯留収納庫41(C)から千円券のバラ紙幣Sを繰り出し結束部38で結束して3束の千円券の結束小束Wを小束収納部111(B)に補充する結束小束補充処理とを実行するパターンで制御を行うことになる。
【0102】
操作表示部66において、小束紙幣出金処理の第1の取引として、5束の万円券の小束紙幣Wと5束の千円券の小束紙幣Wとが出金要求数として入力されて、すべての小束紙幣Wを出金する旨の操作が入力されて、スタート操作が入力されると、制御部65は、上記パターンを割り出して、まず、
図8に太線で示すように、4束の千円券の収納小束Wを小束入出金部71へ保留させる収納小束出金処理を行うべく、小束収納部111(B)において、一対のフラッパ116を下方に開作動させた後、ステージ117を上昇させて、ステージ117上に載置されている千円券の収納小束Wの最上の1束目を小束水平搬送部131内に突出させる。これと並行して、制御部65は、
図9および
図10に太線で示すように、1束の千円券の結束小束Wを小束入出金部71へ保留させる結束小束出金処理および3束の千円券の結束小束Wを小束収納部111(B)に後に補充する結束小束補充処理を行うべく、一時貯留収納庫41(C)のバラ紙幣収納部49から千円券のバラ紙幣Sの繰り出しを開始させて千円券の結束小束Wの作成動作を開始させる。すなわち、制御部65は、小束収納部111(B)が収納している千円券の収納小束Wを小束入出金部71へ出金させる収納小束出金処理と、一時貯留収納庫41(C)のバラ紙幣収納部49が収納している千円券のバラ紙幣Sから結束部38で結束小束Wを作成する結束小束作成処理とを、並行処理する。結束小束作成処理は、結束小束出金処理の一部であって結束小束補充処理の一部である。
【0103】
収納小束出金処理においては、上記したように、小束収納部111(B)のステージ117上に載置されている千円券の収納小束Wの最上位置の1束目を小束水平搬送部131内に突出させるのと並行して、制御部65は、小束搬送部91のステージ92を第2の位置まで下降させる。そして、小束収納部111(B)の収納小束Wの最上位置の1束目を小束水平搬送部131内に突出させると、制御部65は、無端ベルト132を下方に突出する桟部133が前方に移動するように回転させる。すると、この千円券の1束目の収納小束Wが小束水平搬送部131の桟部133で押圧されて前方に搬送されることになり、その最中に、小束識別部135で金種および結束状態等が確認される。その結果、異常がなければ、制御部65は、小束水平搬送部131によって、この千円券の1束目の収納小束Wを前端所定位置まで搬送させ、その後、送出機構141でこの千円券の1束目の収納小束Wを前方に押し出させる。すると、この千円券の1束目の収納小束Wが小束搬送部91の第2の位置にあるステージ92上に載置される。なお、制御部65は、この千円券の1束目の収納小束Wを前方に搬送する桟部133が小束収納部111(B)上を通過したタイミングで、小束収納部111(B)のステージ117上に載置されている千円券の収納小束Wのこのとき最上位置にある2束目を小束水平搬送部131内に突出させる。すると、この千円券の2束目の収納小束Wが1束目と同様に次の桟部133で前方に搬送されて前端所定位置に至る。
【0104】
ここで、制御部65は、小束識別部135で金種相違の異常が検出された万円券の収納小束Wがあると、小束回収カセット部121の一対のフラッパ126を下方に回動させて開状態として、ステージ127を上昇させて、
図8に太破線で示すように、この万円券の収納小束Wを小束水平搬送部131でステージ127上に載置させてから、ステージ127を下げて、一対のフラッパ126を上方に回動させて閉状態とする。そして、制御部65は、第1の取引において、その分の小束紙幣Wを追加で出金させることになる。この具体例では、小束収納部111(B)には、追加可能な千円券の収納小束Wがないことから、制御部65は、第1の取引において、結束小束Wを追加で出金させる。なお、このように小束回収カセット部121に一時貯留された金種相違の収納小束Wは、第1の取引の最後にまとめて、
図12に太線で示すように、小束回収カセット部121から小束水平搬送部131によって、小束収納部111(B)~111(D)の適正な金種のものに収納させる。金種相違は、作業者による小束収納部111(B)~111(D)への小束紙幣Wの装填ミスによる生じる。小束識別部135で小束紙幣Wの異常が検出されると、その時点で小束水平搬送部131を停止させて操作表示部66に、異常の小束紙幣Wの場所を含むエラー報知を行わせても良い。特に異常が結束不良の場合は、このように制御する。
【0105】
送出機構141で千円券の1束目の収納小束Wを前方に押し出させ、第2の位置にあるステージ92上に載置させると、制御部65は、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させる。すると、その途中で、ステージ92上の千円券の1束目の収納小束Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させて通過し、通過することで一対のフラッパ82が閉作動して閉位置に戻ることになる。制御部65は、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させると、そのまま第2の位置まで下降させる。その途中で、ステージ92は、閉状態の一対のフラッパ82上に千円券の1束目の収納小束Wを載置させてから、第2の位置に位置する。
【0106】
次に、制御部65は、小束水平搬送部131によって1束目に続けて前端所定位置に搬送される千円券の2束目の収納小束Wを、送出機構141で前方に押し出させる。すると、この千円券の2束目の収納小束Wがステージ92上に載置される。なお、制御部65は、この千円券の2束目の収納小束Wを前方に搬送する桟部133が小束収納部111(B)上を通過したタイミングで、小束収納部111(B)のステージ117上に載置されている千円券の収納小束Wのこのとき最上位置にある3束目を小束水平搬送部131内に突出させる。すると、この千円券の3束目の収納小束Wが次の桟部133で1束目および2束目と同様に前方に搬送されて前端所定位置に至る。なお、制御部65は、前端所定位置での複数の収納小束Wの干渉が生じないように無端ベルト132の回転および停止を制御する。
【0107】
送出機構141で千円券の2束目の収納小束Wを前方に押し出させてステージ92上に載置させると、制御部65は、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させる。すると、その途中で、ステージ92上の千円券の2束目の収納小束Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させながら千円券の1束目の収納小束Wを載置させて一対のフラッパ82を通過する。すると、一対のフラッパ82が閉作動して閉位置に戻ることになる。制御部65は、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させると、そのまま第2の位置まで下降させる。その途中で、ステージ92は、一対のフラッパ82上に千円券の2束目の収納小束Wを、その上に千円券の1束目の収納小束Wを載置させてから、第2の位置に位置する。
【0108】
次に、制御部65は、小束水平搬送部131によって2束目に続けて前端所定位置に搬送される千円券の3束目の小束紙幣Wを、送出機構141で前方に押し出させて、ステージ92上に載置させる。
【0109】
以上を適宜繰り返すことで、小束収納部111(B)に収納されていた4束の千円券の収納小束Wを一対のフラッパ82上に下から4束目、3束目、2束目、1束目の順に集積状態で載置させると、制御部65は、4束の千円券の収納小束Wについての収納小束出金処理を終了し、続いて、1束の千円券の結束小束Wについての結束小束出金処理の一部の処理として、ステージ92を第1の位置に位置させる。なお、この結束小束出金処理の後に、5束の万円券の収納小束Wについての収納小束出金処理を行うことになるため、制御部65は、4束目の千円券の収納小束Wを前方に搬送する桟部133が小束収納部111(B)上を通過したタイミングで、小束収納部111(B)のステージ117を下げて、小束収納部111(B)の一対のフラッパ116を閉じると共に、4束目の千円券の収納小束Wを前方に搬送する桟部133が小束収納部111(D)上を通過したタイミングで、小束収納部111(D)の一対のフラッパ116を下方に開き、小束収納部111(D)のステージ117上に載置されている万円券の収納小束Wのこのとき最上位置にある1束目を小束水平搬送部131内に突出させる。すると、この万円券の1束目の収納小束Wが同様に次の桟部133で前方に搬送されて前端所定位置に至る。この場合も、制御部65は、前端所定位置での複数の収納小束Wの干渉が生じないように無端ベルト132の回転および停止を制御する。万円券の1束目の収納小束Wに続けて、次の桟部133で、万円券の2束目以降の収納小束Wも、順に前端所定位置に搬送される。
【0110】
第1の取引において、上記したように収納小束出金処理の開始時点で開始されていた結束小束出金処理の結束小束作成処理では、制御部65は、一時貯留収納庫41(C)のシャッタ46を開作動させると共に一対のフラッパ43を開作動させた後、ステージ44を上昇させて、一時貯留収納庫41(C)のバラ紙幣収納部49に収納されていたバラ紙幣Sを取込繰出部42によって繰り出させ、搬送部61の搬送路61E,61Aによってバラ識別部31に搬送させる。そして、その識別結果に基づいて、正常紙幣の表裏反転不要なバラ紙幣Sは、搬送路61A,61K,61Pで整列部35に、正常紙幣の表裏反転必要なバラ紙幣Sは、搬送路61A,61Nで表裏反転部63を通した後、搬送路61M,61K,61Pで整列部35に、それぞれ搬送する。他方、異常紙幣は、搬送路61A,61K,61Lでバラ出金リジェクト庫22に搬送する。
【0111】
そして、制御部65は、整列部35に結束単位枚数である100枚の千円券のバラ紙幣Sが集積されると、この集積されたバラ紙幣Sを昇降搬送部37で結束部38に搬送させ、結束部38で結束させて結束小束Wとし、この1束目の結束小束Wを小束送出部39で上部受取位置にある小束受取部101に送り出させる。制御部65は、この1束目の結束小束Wを受け取った小束受取部101を下限位置まで下降させる。なお、第1の取引において、結束小束Wは、出金のために1束、補充のために3束必要となるため、制御部65は、整列部35への集積に引き続き、千円券のバラ紙幣Sの整列部36への集積を行い、1束目の結束小束Wの、昇降搬送部37、結束部38、小束送出部39および小束受取部101での処理に干渉しない範囲で、2束目の結束小束Wについての処理を進める。3束目の結束小束Wおよび4束目の結束小束Wについての処理も同様に、1つ前の結束小束Wの処理に干渉しない範囲で、先に進めておく。
【0112】
1束目の結束小束Wを受け取った小束受取部101を下限位置まで下降させると、制御部65は、ステージ92が第1の位置に位置していなければ、ステージ92が第1の位置に位置する状態となるまで待機する一方、ステージ92が第1の位置に位置する状態となっている場合および待機していてステージ92が第1の位置に位置する状態となると、小束受取部101を前方に移動させてステージ92上に、1束目の結束小束Wを送り出させる。そして、制御部65は、逆のルートで小束受取部101を上部受取位置まで戻すと共に、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させる。すると、その途中で、ステージ92上の千円券の1束目の結束紙幣Wすなわち出金する千円券の5束目の小束紙幣Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させながら1束目~4束目の収納小束Wを載置させた後、一対のフラッパ82を通過することになり、これにより、一対のフラッパ82が閉作動して閉位置に戻る。制御部65は、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させると、そのまま、万円券の収納小束Wについての収納小束出金処理の一部の処理として、第2の位置まで下降させる。その途中で、ステージ92は、一対のフラッパ82上に1束目の結束小束Wおよび4束目~1束目の収納小束Wをこの順に載置させてから、第2の位置に位置する。このようにして、5束の千円券の小束紙幣Wを小束入出金部71に一纏めにする。
【0113】
次に、制御部65は、小束水平搬送部131によって千円券の4束目の収納小束Wに続けて前端所定位置に搬送される万円券の1束目の収納小束Wを、送出機構141で前方に押し出させて第2の位置にあるステージ92上に載置させた後、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させる。すると、その途中、ステージ92上の万円券の1束目の収納小束Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させながら5束の千円券の小束紙幣Wを載置させた後、一対のフラッパ82を通過する。これにより、一対のフラッパ82が閉作動して閉位置に戻ることになる。制御部65は、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させると、そのまま第2の位置まで下降させる。その途中で、ステージ92は、一対のフラッパ82上に万円券の1束目の収納小束Wおよび5束の千円券の小束紙幣Wを載置させてから、第2の位置に位置する。すると、制御部65は、小束水平搬送部131によって万円券の1束目の収納小束Wに続けて前端所定位置に搬送される万円券の2束目の小束紙幣Wを、送出機構141で前方に押し出させてステージ92上に載置させる。
【0114】
以上を適宜繰り返すことで、小束収納部111(D)に収納されていた5束の万円券の収納小束Wを一纏めにしてステージ92上に集積状態で載置させ、その上に、5束の千円券の小束紙幣Wを一纏めにして載置させると、制御部65は、ステージ92を一対のフラッパ82より上の所定の出金位置で停止させると共に、シャッタ81を開く。これにより、小束入出金部71にあるこれら10束の小束紙幣Wが機外に取り出される。
【0115】
制御部65は、小束入出金部71の全ての小束紙幣Wが機外に取り出されたことを図示略のセンサにより検知すると、シャッタ81を閉じると共に、続きとして、上記第1の取引に含まれる3束の千円券の結束小束Wについての結束小束補充処理の一部として、ステージ92を第1の位置に位置させる。すると、制御部65は、結束小束補充処理として、補充する千円券の1束目の結束小束Wを受け取って下限位置に位置する小束受取部101を前方に移動させてステージ92上に、補充する千円券の1束目の結束小束Wを送り出させる。そして、制御部65は、小束受取部101を上部受取位置まで戻すと共に、ステージ92を第2の位置まで下降させる。
【0116】
次に、制御部65は、小束水平搬送部131の無端ベルト132を下方に突出する桟部133が後方に移動するように回転させると共に、小束収納部111(B)について、一対のフラッパ116を下方に開作動させて、ステージ117を小束水平搬送部131から結束小束Wを受け入れる位置まで上昇させ、ステージ92上の補充する千円券の1束目の結束小束Wを押出機構145で小束水平搬送部131に向けて押し出させる。すると、無端ベルト132の桟部133がこの補充する千円券の1束目の結束小束Wを後方に搬送し、小束収納部111(B)のステージ117上に載置させる。すると、制御部65は、ステージ117を、補充する千円券の1束目の結束小束W上に小束水平搬送部131から結束小束Wを受け入れる位置まで下降させる。
【0117】
ステージ92上の補充する千円券の1束目の結束小束Wを押出機構145で小束水平搬送部131に向けて押し出すと、制御部65は、ステージ92を第1の位置に上昇させる。そして、制御部65は、補充する千円券の2束目の結束小束Wを受け取って下限位置に位置する小束受取部101を前方に移動させてステージ92上に、補充する千円券の2束目の結束小束Wを送り出させる。そして、制御部65は、小束受取部101を上部受取位置まで戻すと共に、ステージ92を第2の位置まで下降させて、ステージ92上の補充する千円券の2束目の結束小束Wを押出機構145で小束水平搬送部131に向けて押し出させる。
【0118】
以上を適宜繰り返して、小束収納部111(B)において、補充する千円券の3束目の結束小束Wをステージ117上の補充する千円券の2束目の結束小束W上に載置させると、制御部65は、小束収納部111(B)のステージ117を下降させ、小束収納部111(B)の一対のフラッパ116を閉作動させて閉位置に戻す。
【0119】
なお、小束収納部111(C),111(D)にも万円券の結束小束Wの補充が必要な場合、上記した小束収納部111(B)への補充に続けて、小束収納部111(C),111(D)への結束小束Wの補充を行うことになるが、整列部35,36、昇降搬送部37、結束部38、小束送出部39および小束受取部101において干渉を生じないようにして、可能な限り下流側まで処理を行わせておく。なお、結束小束補充処理において、小束収納部111(B)~111(D)に補充する結束紙幣Wの金種の順番は千円券小束および万円券小束のいずれを先にしても良い。
【0120】
結束小束補充処理が終わると、制御部65は、小束回収カセット部121に一時貯留された金種相違の収納小束Wがある場合、第1の取引の最後にまとめて、小束回収カセット部121から小束水平搬送部131によって、
図12に太線で示すように、小束収納部111(A)~111(D)の適正な金種のものに収納させる。具体的に、制御部65は、小束回収カセット部121の一対のフラッパ126を下方に開作動させた後、ステージ117を上昇させて、ステージ117上の最上位置の収納小束Wを小束水平搬送部131内に突出させた後、小束水平搬送部131の無端ベルト132を下方に突出する桟部133が後方に移動するように回転させる。これにより、桟部133が、小束回収カセット部121の最上位置の収納小束Wを後方に搬送する。その途中、小束識別部135が識別を行い、その結果に基づいて、小束収納部111(A)~111(D)のうちの収納先のものが、一対のフラッパ116を下方に開作動させて、ステージ117を小束水平搬送部131から結束小束Wを受け入れる位置まで上昇させ、ステージ117上に載置させる。制御部65は、このような作動を適宜行わせることで、小束回収カセット部121に一時貯留された金種相違の収納小束Wを小束収納部111(A)~111(D)の適正な金種のものに収納させる。
【0121】
そして、各部が待機状態に戻ると、制御部65は、小束紙幣出金処理の第1の取引を終了する。この小束紙幣出金処理の第1の取引においては、操作表示部66にスタート操作が入力されると、この第1の取引が終了するまで正常に処理が進行すれば、その間に、操作表示部66への操作入力なしで処理が進行することになる。
【0122】
以上のように、小束搬送部91は、小束入出金部71に向けて収納小束Wおよび結束小束Wを搬送するものである。この小束搬送部91に対して、小束受取部101によって第1の位置から結束小束Wを送り出し、この第1の位置とは異なる第2の位置から、小束水平搬送部131および送出機構141によって収納小束Wを送り出すことにより、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めるように合流させる。その際に、制御部65は、小束搬送部91のステージ92上に1束の小束紙幣Wが載置されるたびに、ステージ92を上方位置に移動させることで、小束入出金部71において複数束の小束紙幣Wを合流させる。また、制御部65は、第1の位置において、小束受取部101によって結束小束Wを小束搬送部91に受け渡した後、第2の位置において、押出機構145によって小束搬送部91から小束収納部111(A)~111(D)に向けて結束小束Wを送り出す。
【0123】
なお、以上の具体例では、小束入出金部71に一度に保留可能な範囲で小束紙幣Wを出金させる場合を例にとり説明したが、小束入出金部71に一度に保留可能な範囲を超えて小束紙幣Wを出金する場合、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における小束紙幣Wの出金が複数金種に亘って指示されているときは、小束紙幣Wを一金種毎に、小束入出金部71によって機外へ取り出し可能に出金させる。すなわち、例えば、小束紙幣出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における小束紙幣Wの出金が、千円券の小束紙幣Wが8束と万円券の小束紙幣Wが15束とである場合、シャッタ81を閉じた状態で例えば先に千円券の8束の小束紙幣Wを小束入出金部71に保留させてからシャッタ81を開いて、千円券の8束の小束紙幣Wを機外に取り出し可能とし、千円券の8束の小束紙幣Wが機外に取り出されると、シャッタ81を閉じて万円券の10束の小束紙幣Wを小束入出金部71に保留させてからシャッタ81を開いて、万円券の10束の小束紙幣Wを機外に取り出し可能とし、万円券の10束の小束紙幣Wが機外に取り出されると、シャッタ81を閉じて万円券の5束の小束紙幣Wを小束入出金部71に保留させてからシャッタ81を開いて、万円券の5束の小束紙幣Wを機外に取り出し可能とする。
【0124】
また、同一金種の小束紙幣Wについて、収納小束出金処理と結束小束出金処理とを行う場合、1束目の小束紙幣Wが小束入出金部71に至るまでに要する時間が、収納小束出金処理の方が結束小束出金処理よりも速いため、上記のように収納小束出金処理による収納小束Wの小束入出金部71への搬送を先行して行い、結束小束出金処理による結束小束Wの小束入出金部71への搬送を後で行うようにする。
【0125】
なお、同一金種の収納小束Wおよび結束小束Wを小束入出金部71において纏めるようにしたが、纏めずに、処理時間が最短になるように制御して、収納小束Wおよび結束小束Wを小束入出金部71に保留させるようにしても良い。
【0126】
以上では、小束紙幣出金処理の一部としての結束小束補充処理について説明したが、操作表示部66へ結束小束補充処理の選択操作が入力されると、制御部65は、結束小束補充処理を単独で行う。この場合、小束収納部111(B)~111(D)に収納しきれない結束小束Wを小束収納部111(A)に収納する。
【0127】
以上の小束紙幣出金処理において、制御部65は、以下の動作パターンのいずれか一つを選択して決定する。制御部65は、決定した動作パターンに基づいて、処理を行う。
【0128】
[収納小束Wのみ出金させて、小束紙幣出金処理を終了するパターン]
このパターンを制御部65が選択する条件は、小束収納部111(B)と、小束収納部111(C),111(D)とが、収納小束Wを出金させた後も所定の収納量を維持していることである。
【0129】
[収納小束Wのみを出金させた後、または、収納小束Wと結束小束Wとを出金させた後、小束収納部111へ結束小束Wを補充させるパターン]
このパターンを制御部65が選択する条件は、補充させる結束小束Wを作成する分のバラ紙幣Sが、小束紙幣出金処理が終了した後でも、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうちの対応するものに確保されていること(但し、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうちの対応するものに残留させる必要がある所定枚数分は除く)である。
【0130】
[収納小束Wのみを出金させた後、または、収納小束Wと結束小束Wとを出金させた後、小束収納部111へ結束小束Wを補充させないパターン]
このパターンを制御部65が選択する条件は、補充させる結束小束Wを作成する分のバラ紙幣Sが、小束紙幣出金処理が終了した後、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうちの対応するものに確保されていない場合である。この場合、当該小束収納部111の残量は0になってしまうので、当該小束収納部111のエンプティを報知する。
【0131】
[結束小束Wのみ出金させるパターン]
このパターンを制御部65が選択する条件は、要求された金種の小束紙幣Wが小束収納部111に収納されていない場合(小束収納部111が空状態)である。小束紙幣出金処理が終了した時点において、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうちの対応するものに残留させるバラ紙幣Sが所定枚数分以外で、結束小束Wを作成するだけの枚数(100枚単位)が確保されている場合には、結束小束Wを作成して、当該小束収納部111へ補充させる動作を行っても良い。また、小束紙幣出金処理が終了した時点において、当該バラ紙幣収納部49が、所定枚数未満となる場合には、予め、結束小束出金処理を行う前に操作表示部66によって、ユーザへその旨を伝え、承認を行っても良い。更に、小束紙幣出金処理の終了後、当該バラ紙幣収納部49のニアエンプティ(またはエンプティ)を操作表示部66によって報知しても良い。
【0132】
制御部65は、小束紙幣出金処理時に金種毎に纏めて小束紙幣Wを出金する金種纏めについて、その有無を操作表示部66への選択操作によって決定するようにしても良い。
【0133】
[小束紙幣装填処理]
図13の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣装填操作に基づいて、小束収納部111(B)~111(D)に機外から小束紙幣Wを収納する小束紙幣装填処理における紙幣搬送ルートを示している。
【0134】
操作表示部66へ小束紙幣収納操作が入力されると、制御部65は、待機状態にある小束搬送部91のステージ92を下降させて、一対のフラッパ82と高さを合わせる装填位置に位置させることになり、その後、シャッタ81を開く。そして、小束紙幣集積空間85に一束以上の小束紙幣Wが装填されて、操作表示部66へスタート操作が入力されると、制御部65は、一対のフラッパ82を図示略のフラッパモータで下方に回動させ、
図13に太実線で示すように、ステージ92を下降させて、第2の位置で停止させる。そして、制御部65は、小束水平搬送部131の無端ベルト132を下方に突出する桟部133が後方に移動するように回転させて、押出機構145でステージ92上の小束紙幣Wの最下のものを小束水平搬送部131に向けて押し出す。これにより、この小束紙幣Wが小束水平搬送部131の桟部133で後方に搬送される。この搬送中に、小束識別部135が金種等を判別し、その結果に基づいて、小束収納部111(A)~111(D)の対応するものに収納させる。
【0135】
ここで、小束識別部135で異常が検出された小束紙幣Wについては、無端ベルト132を逆回転させて、
図13に太破線で示すように、小束回収カセット部121に一時貯留させる。小束識別部135で小束紙幣Wの異常が検出されると、その時点で小束水平搬送部131を停止させて操作表示部66に、異常の小束紙幣Wの場所を含むエラー報知を行わせても良い。
【0136】
上記を適宜繰り返して小束紙幣Wの装填を行った後、操作表示部66に小束紙幣装填処理終了の操作が入力されると、制御部65は、小束紙幣装填処理の最後に、
図13に太一点鎖線で示すように、小束回収カセット部121からの小束紙幣Wを、小束水平搬送部131で前方に搬送させ、送出機構141で第2の位置にあるステージ92上に繰り出させて、ステージ92を出金位置まで上昇させることで小束入出金部71に保留し、小束入出金部71にすべて保留させると、制御部65は、シャッタ81を開いて機外に取り出し可能として返却する。
【0137】
[収納小束回収処理]
図14の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣回収操作に基づいて、小束収納部111(B)~111(D)の小束紙幣Wを小束回収カセット部121に収納させて回収する小束紙幣回収処理における紙幣搬送ルートを示している。
【0138】
操作表示部66へ小束紙幣回収操作が入力されると、制御部65は、
図14に太実線で示すように小束収納部111(A)~111(D)を所定の順番で、それぞれの小束紙幣Wを最上位置のものから小束水平搬送部131で前方に移動させ、小束識別部135で識別しつつ、正常なものは小束回収カセット部121に収納させ、異常なものは、
図14に太実線から太破線で示すように、小束水平搬送部131、送出機構141および小束搬送部91で小束入出金部71に搬送して保留させる。そして、小束収納部111(A)~111(D)の全ての小束紙幣Wが小束回収カセット部121あるいは小束入出金部71に搬送されると、小束入出金部71に保留されていた異常のある小束紙幣Wを、
図14に太一点鎖線で示すように、小束搬送部91、押出機構145および小束水平搬送部131で小束回収カセット部121に収納させる。これにより、小束回収カセット部121には正常な小束紙幣Wが下方に纏められ、異常な小束紙幣Wが上方に纏められて収納される。そして、小束回収カセット部121ごと小束紙幣Wが機外に取り出される。
【0139】
なお、正常な小束紙幣Wを小束回収カセット部121に収納させ、小束回収カセット部121ごと正常な小束紙幣Wを機外に取り出させた後、別の空の小束回収カセット部121をセットさせ、この小束回収カセット部121に小束入出金部71から異常のある小束紙幣Wを収納させて、この小束回収カセット部121ごと異常のある小束紙幣Wを機外に取り出させるようにしても良い。また、小束識別部135で識別せずに、小束収納部111(A)~111(D)の全ての小束紙幣Wを小束回収カセット部121に収納させて機外に取り出させるようにしても良い。
【0140】
[小束全回収処理]
制御部65は、操作表示部66への操作により小束全回収操作が選択入力されると、小束全回収処理モードを実行することになり、この小束全回収処理モードにおいては、小束収納部111(B)~111(D)のうちの一金種用の小束収納部から収納小束Wを全て、小束水平搬送部131、送出機構141および小束搬送部91によって小束入出金部71へ搬送した後に、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうち、当該一金種用のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で可能な限りの結束小束Wを作成して小束入出金部71へ搬送する回収動作を、金種別に全金種行う。これにより、例えば、千円券の収納小束Wおよび結束小束Wを纏めて小束入出金部71へ1回または複数回保留させて機外に取り出させ、その後、万円券の収納小束Wおよび結束小束Wを纏めて小束入出金部71へ1回または複数回保留させて機外に取り出させることになる。
【0141】
[小束紙幣精査処理]
図15の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣精査操作に基づいて、小束収納部111(B)~111(D)の精査対象のものの小束紙幣Wを小束回収カセット部121に一旦収納させる小束紙幣精査処理の精査往路処理における紙幣搬送ルートをも示している。
図16の太線は、小束回収カセット部121に一旦収納させた小束紙幣を、小束識別部135で識別しつつ小束収納部111(B)~111(D)の対応するものに戻す小束紙幣精査処理の精査復路処理における紙幣搬送ルートを示している。
【0142】
操作表示部66へ小束紙幣精査操作が入力されると、制御部65は、
図15の太線で示すように、小束収納部111(A)~111(D)のうちの所定の一つの小束収納部111について、精査往路処理として、小束紙幣Wを最上位置のものから小束水平搬送部131で前方に移動させ、小束回収カセット部121に収納させる。このようにして、この小束収納部111の小束紙幣Wを全て小束回収カセット部121に収納させる。その後、精査復路処理として、制御部65は、
図16の太線で示すように、小束回収カセット部121の小束紙幣Wを最上位置のものから小束水平搬送部131で後方に移動させ、小束識別部135で識別しつつ、識別結果に基づく小束収納部111に収納させる。以降、他の小束収納部111についても順番に精査往路処理および精査復路処理を行うことで、小束収納部111(A)~111(D)のそれぞれに収納されている小束紙幣Wの内訳を把握する。
【0143】
その結果、今回の精査結果と管理している機内在り高とが一致している場合に、制御部65は、精査結果を表示に表示して、小束紙幣精査処理を終了する。
【0144】
他方、制御部65は、今回の精査結果と管理している在り高とが相違している場合には、操作表示部66を介して、在り高の不一致を表示する。そして今回の精査結果を新たな機内在り高とする、在り高更新の承認について、ユーザへ入力を促す。ユーザより在り高更新の承認が操作表示部66に入力されると、機内在り高を今回の精査結果に更新して、自己精査処理を終了する。
【0145】
なお、上記説明では、
図16に太線で示す精査復路処理持に小束識別部135による小束紙幣Wの識別を行わせたが、これに代えて、例えば、
図15に太線で示す精査往路処理時に、小束識別部135による小束紙幣Wの識別を行わせて良い。このとき、小束識別部135は、小束紙幣Wの金種判別のみならず、結束帯の有無についても判定を行ってもよい。こうすることで、小束収納部111(A)~111(D)から繰り出された小束紙幣Wについて、結束帯の破損や結束不良に伴う結束帯の脱落などの異常状態を早期に検出することが可能となる。異常状態の小束紙幣Wを搬送させることは、搬送ジャムの原因となるおそれがあるため、制御部65は、当該異常状態の小束紙幣Wを検出後、小束水平搬送部131の搬送駆動を直ちに停止させ、ユーザに当該異常状態の小束紙幣Wを機内から回収させる異常復旧処理作業を行うように操作表示部66に報知させる。
【0146】
以上に述べた第1実施形態によれば、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wと、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束して作成する結束小束Wと、の両方を合流させて小束入出金部71に出金させる。よって、操作表示部66を操作して小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wを小束入出金部71に出金させる収納小束出金処理を行った後、再び操作表示部66を操作して一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束して作成する結束小束Wを小束入出金部71に出金させる結束小束出金処理を行う場合のように、複数の処理を指定して行う必要がなくなる。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0147】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wと、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束して作成する結束小束Wと、の両方を合流させて小束入出金部71に出金させると共に、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束して作成する結束小束Wを小束収納部111(B)~111(D)に向けて送り出す。よって、操作表示部66を操作して収納小束出金処理を行った後、再び操作表示部66を操作して結束小束出金処理を行い、再び操作表示部66を操作して一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束して作成する結束小束Wを小束収納部111(B)~111(D)に向けて送り出して補充する結束小束補充処理を行う場合のように、複数の処理を指定して行う必要がなくなる。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が一層良くなる。
【0148】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、一度に複数金種の小束紙幣Wを小束入出金部71に出金させる場合で、且つ、収納小束Wおよび結束小束Wの両方を出金させる場合、収納小束Wおよび結束小束Wの合流に際しては、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めるように合流させる。よって、収納小束Wおよび結束小束Wの両方を出金させる場合であっても、小束入出金部71には小束紙幣Wが金種毎に纏めて出金されることになるため、ユーザーにとって小束紙幣Wを金種毎に纏める作業が不要になり、使い勝手が一層良くなる。
【0149】
また、制御部65は、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wを小束入出金部71へ出金させる収納小束出金処理と、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束小束Wを作成する結束小束出金処理の結束小束作成処理とを、並行処理可能である。このように、所定の収納小束Wを搬送し終えた後にバラ紙幣Sから結束小束Wを作成するのではなく、所定の収納小束Wを搬送中に、並行してバラ紙幣Sから結束小束Wの作成を進めておくことができる。これによって、小束紙幣出金処理の一取引の速度アップが見込める。
【0150】
また、小束搬送部91に対して、第1の位置から結束小束Wを送り出させ、この第1の位置とは異なる第2の位置から収納小束Wを送り出させることにより、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めるように合流させる。これにより、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めることが容易にできる。
【0151】
また、小束入出金部71の直下に小束搬送部91を設け、小束搬送部91は、上下方向に移動可能なステージ92が、載置された小束紙幣Wを上方位置において小束入出金部71内に送り込み、この上方位置よりも下方の第1の位置において結束小束Wを受け取り、この上方位置よりも下方の第2の位置において収納小束Wを受け取る。これにより、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めることが簡素かつコンパクトな構成で可能となる。
【0152】
また、制御部65は、小束搬送部91のステージ92上に小束紙幣Wが載置されるたびに、ステージ92を上方位置に移動させることで、小束入出金部71において小束紙幣Wを合流させる。これにより、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めることが簡素かつコンパクトな構成で可能となる。
【0153】
また、制御部65は、第1の位置において、小束受取部101から結束小束Wを小束搬送部91に受け渡した後、第2の位置において、小束搬送部91から小束収納部111に向けて結束小束Wを送り出す。これにより、結束小束Wを小束収納部111に補充することが、簡素かつコンパクトな構成で可能となる。
【0154】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における小束紙幣Wの出金が複数金種に亘って指示されているときは、小束紙幣Wを一金種毎に、小束入出金部71によって機外へ取り出し可能に出金させる。よって、ユーザーにとって小束紙幣Wを金種毎に纏める作業が不要になり、使い勝手が良くなる。
【0155】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を行う際に、当該一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wを小束入出金部71に出金させると、千円券の収納小束Wを収納している小束収納部111(B)と、万円券の収納小束Wを収納している小束収納部111(C),111(D)と、のうちの少なくとも一方において収納小束Wがゼロ(またはゼロより大きい所定束数以下)になる束数不足金種が存在すると予測される場合には、当該一取引に含めて、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうちの当該束数不足金種のバラ紙幣Sを収納しているもののバラ紙幣Sから結束部38で結束小束Wを作成して、小束収納部111(B)および小束収納部111(C),111(D)のうちの当該束数不足金種の小束収納部111に収納させる結束小束補充処理を追加的に実行する。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0156】
すなわち、小束紙幣出金処理の一取引において結束小束出金処理を行った金種(収納小束Wだけでは不足の金種)のみならず、当該一取引において収納小束出金処理を行うことで、ちょうど、収納小束Wがゼロになる(ゼロになるだけで、結束小束出金処理は伴わない)、または、収納小束Wが所定束数(1束、2束等の少ない束数)以下になる金種が存在すると予測される場合、当該一取引の最後に、バラ紙幣Sより結束小束Wを1束以上作成して、収納小束Wとして、小束収納部111(B)~111(D)に補充させる。
【0157】
また、制御部65は、小束全回収処理モードにおいては、小束収納部111(B)~111(D)のうちの一金種用の小束収納部から収納小束Wを全て、小束水平搬送部131、送出機構141および小束搬送部91によって小束入出金部71へ搬送した後に、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のうち、当該一金種用のバラ紙幣収納部49が収納しているバラ紙幣Sから結束部38で結束小束Wを作成して小束入出金部71へ搬送する回収動作を、金種別に全金種行う。これにより、複数金種に亘って小束全回収処理を行う場合であっても、一金種ずつ小束全回収処理を行うことで、金種毎に小束紙幣Wを纏めて出金することができる。すなわち、単純に、収納小束Wと結束小束Wとの並行処理だと、金種を気にせずに出金されうるので、小束入出金部71への小束紙幣Wの金種順が混在する可能性があり、見た目も確認作業にも好ましくない。これを避けることができる。
【0158】
また、制御部65は、結束小束Wを作成した金種のバラ紙幣Sの、結束小束Wを作成後のバラ紙幣収納残枚数の範囲内で、適量となる束数分のバラ紙幣枚数を自動的に決定し、当該バラ紙幣枚数について、継続または連続して、一時貯留収納庫41よりバラ紙幣Sを繰り出して、結束部38において結束させ、小束送出部39、小束受取部101、小束搬送部91、小束水平搬送部131等を制御して、当該金種の小束収納部111に、バラ紙幣枚数分の束数の小束紙幣Wを収納(小束追加作成収納)させることができる。これにより、小束紙幣Wの出金取り出し作業を行っている間に、次の小束紙幣出金処理の一取引が連続した場合でも、多少の小束紙幣Wを事前に作成し確保できる。この小束追加作成収納は、本来の小束紙幣出金処理のすべての作業が終わった段階、すなわち、出金指示したすべての小束紙幣Wが小束入出金部71に搬送された直後から、動作制御されることが好ましい。
【0159】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、入力された金種別の出金束数に基づき、小束収納部111(B)~111(D)に既に収納している収納小束Wの在り高と、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、小束紙幣出金処理パターンを決定し、決定した小束紙幣出金処理パターンに従って、小束紙幣出金処理の一取引を行う。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0160】
この小束紙幣出金処理パターンは、小束収納部111(B)~111(D)からの収納小束Wを小束入出金部71に出金する収納小束出金処理のみを行う第1パターンと、小束収納部111(B)~111(D)からの収納小束Wを小束入出金部71に出金する収納小束出金処理と、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49からの所定数のバラ紙幣Sを結束部38で結束して結束小束Wを作成し、この結束小束Wを小束入出金部71に出金する結束小束出金処理との両方を行う第2パターンとである。制御部65は、これら第1パターンおよび第2パターンのうちのいずれか一方を選択して実行することになる。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0161】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、収納小束出金処理のみを行う第1パターンと、収納小束出金処理と結束小束出金処理との両方を行う第2パターンとに加えて、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49からの所定数のバラ紙幣Sを結束部38で結束して結束小束Wを作成し、この結束小束Wを小束収納部111(B)~111(D)に収納する結束小束補充処理を追加的に実行する。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0162】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、金種ごとの小束紙幣Wの出金要求数と、機内在り高として小束収納部111(B)に収納している千円券の収納小束Wの束数および小束収納部111(C),111(D)に収納している万円券の収納小束Wの束数とを比較する。それと共に、予め、小束収納部111(B)に設定されている収納小束Wを残留させる所定の収納量である下限束数と、一時貯留収納庫41(C)のバラ紙幣収納部49に設定されているバラ紙幣Sを残留させる所定の収納量である下限バラ数とを考慮すると共に、小束収納部111(C),111(D)に設定されている収納小束Wを残留させる所定の収納量である下限束数と、一時貯留収納庫41(A)のバラ紙幣収納部49に設定されているバラ紙幣Sを残留させる所定の収納量である下限バラ数とを考慮して、当該一取引の動作パターンを決定する。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0163】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、千円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(B)が所定の収納量である下限束数を維持し、万円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(C),111(D)が合わせて所定の収納量である下限束数を維持すると予想される場合、小束収納部111(B)~111(D)の収納小束Wのみを出金させる。これによって、小束紙幣出金処理の一取引の速度アップが見込める。
【0164】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、小束収納部111(B)および小束収納部111(C),111(D)のうちの少なくともいずれか一方が、所定の収納量である下限束数を維持できないと予想される場合であって、下限束数を維持できない小束収納部111に補充する結束小束Wを作成する分のバラ紙幣Sが、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49の対応するものに確保されていると予想される場合、当該一取引において、収納小束Wおよび結束小束Wのうちの少なくとも収納小束Wを出金させた後、当該下限束数を維持できない小束収納部111に結束小束Wを補充する。よって、小束収納部111に結束小束Wを補充することで一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のバラ紙幣Sが不足してしまうことを防止できる。
【0165】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、小束収納部111(B)と、小束収納部111(C),111(D)と、のうちの少なくともいずれか一方が、所定の収納量である下限束数を維持できないと予想される場合であって、下限束数を維持できない小束収納部111に補充する結束小束Wを作成する分のバラ紙幣Sが、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49の対応するものに確保されていないと予想される場合、当該一取引において、収納小束Wおよび結束小束Wのうちの少なくとも収納小束Wを出金させた後、下限束数を維持できない小束収納部111に結束小束Wを補充しない。よって、小束収納部111に結束小束Wを補充することで一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49のバラ紙幣Sが不足してしまうことを防止できる。
【0166】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納小束Wが小束収納部111(B)~111(D)に収納されていない場合、一時貯留収納庫41(A),41(C)のバラ紙幣収納部49の対応するものからバラ紙幣Sを結束部38で結束して結束小束Wのみを出金させる。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0167】
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態を主に
図17を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0168】
第2実施形態においては、小束搬送部91のステージ92が、第2の位置よりも下方まで移動可能となっており、一対のフラッパ82よりも下方で、小束入出金部71と同じ最大数(例えば10束)まで小束紙幣Wを集積可能となっている。そして、小束紙幣出金処理において、収納小束Wと結束小束Wとを合流させる場合の作動が第1実施形態とは相違している。
【0169】
小束受取部101から結束小束Wを受け取る際に、ステージ92は、その上面に載置された小束紙幣Wがなければその上面を、その上面に載置された小束紙幣Wがあれば、最上位置の小束紙幣Wの上面を、第1の位置に位置させる。また、送出機構141で送り出された収納小束Wを受け取る際に、ステージ92は、その上面に載置された小束紙幣Wがなければその上面を、その上面に載置された小束紙幣Wがあれば、最上位置の小束紙幣Wの上面を、第2の位置に位置させる。これにより、ステージ92は、小束入出金部71よりも下方において、その上面上に複数の小束紙幣Wを集積可能となっている。そして、ステージ92は、小束入出金部71よりも下方において、その上面上に複数の小束紙幣Wを集積させた状態で上昇すると、最も上側の小束紙幣Wで一対のフラッパ82を上方に回動させて開きつつ一対のフラッパ82を越えて所定の上方位置まで上昇する。そして、一対のフラッパ82がフラッパスプリングの付勢力で下方に回動して閉状態に戻った後、ステージ92が下降することで、複数の小束紙幣Wが一対のフラッパ82に載置された状態になる。
【0170】
[小束紙幣出金処理]
小束紙幣出金処理において、小束搬送部91は、ステージ92を、ステージ92の上面またはステージ92上に載置された小束紙幣の最上面が、第1の位置において結束小束Wを受け取る位置となり、第2の位置において収納小束Wを受け取る位置となるように移動させて、収納小束Wおよび結束小束Wをステージ92上で合流させた後、上方位置に移動させる。
【0171】
第1実施形態と同様の具体例で説明すると、制御部65は、まず、小束収納部111(C),111(D)のいずれかの万円券の収納小束Wの最上位置の1束目を小束水平搬送部131で前端所定位置まで搬送させ、その後、送出機構141でこの万円券の1束目の収納小束Wを前方に送り出させる。すると、この万円券の1束目の収納小束Wが小束搬送部91の第2の位置にあるステージ92上に載置される。
【0172】
次に、制御部65は、ステージ92を下降させ、万円券の1束目の収納小束Wの上面を第2の位置に位置させる。そして、小束水平搬送部131で搬送されて送出機構141で送り出される万円券の2束目の収納小束Wを1束目の上に載置させる。
【0173】
次に、制御部65は、ステージ92を下降させ、万円券の2束目の収納小束Wの上面を第2の位置に位置させる。そして、次に小束水平搬送部131で搬送されて送出機構141で送り出される万円券の3束目の収納小束Wを2束目の上に載置させる。
【0174】
以上を適宜繰り返すことで、小束収納部111(C),111(D)のいずれかに収納されていた5束の万円券の収納小束Wをステージ92上に集積状態で載置させて、制御部65は、5束の万円券の収納小束Wについての収納小束出金処理を終了する。このようにして、5束の万円券の小束紙幣Wを小束搬送部91で一纏めにする。
【0175】
続いて、制御部65は、ステージ92を下降させ、万円券の5束目の小束紙幣Wの上面を第2の位置に位置させる。そして、制御部65は、小束水平搬送部131で搬送されて送出機構141で送り出される千円券の1束目の収納小束Wを万円券の5束目の小束紙幣Wの上面上に載置させ、その後、ステージ92を下降させ、千円券の1束目の収納小束Wの上面を第2の位置に位置させる。そして、次に小束水平搬送部131で搬送されて送出機構141で送り出される千円券の2束目の収納小束Wを千円券の1束目の収納小束Wの上に載置させる。
【0176】
次に、制御部65は、ステージ92を下降させ、千円券の2束目の収納小束Wの上面を第2の位置に位置させる。そして、次に小束水平搬送部131で搬送されて送出機構141で送り出される千円券の3束目の収納小束Wを千円券の2束目の収納小束Wの上に載置させる。
【0177】
以上を適宜繰り返すことで、小束収納部111(B)に収納されていた4束の千円券の収納小束Wをステージ92上に集積状態で載置させると、制御部65は、4束の千円券の収納小束Wについての収納小束出金処理を終了し、続いて、1束の千円券の結束小束Wについての結束小束出金処理の一部の処理として、ステージ92を上昇させ、4束目の千円券の収納小束Wの上面を第1の位置に位置させる。そして、収納小束出金処理の開始時点で開始されていた結束小束出金処理の結束小束作成処理によって結束部38で結束された千円券の結束小束Wを、小束送出部39および小束受取部101によって、第1の位置に位置するステージ92上の4束目の千円券の収納小束Wの上面上に、千円券の5束目の小束紙幣Wとして受け渡させる。このようにして、5束の千円券の小束紙幣Wを小束搬送部91で一纏めにする。
【0178】
次に、制御部65は、ステージ92を上方位置まで上昇させる。すると、ステージ92上の最上位置の千円券の結束小束Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させることになり、10束の小束紙幣Wが開状態の一対のフラッパ82を通過すると、一対のフラッパ82が閉作動することになる。制御部65は、その後、ステージ92を一対のフラッパ82より上の所定の出金位置で停止させると共に、シャッタ81を開く。これにより、小束入出金部71にあるこれら10束の小束紙幣Wが機外に取り出される。
【0179】
なお、第2実施形態では、制御部65は、小束紙幣装填処理において、ステージ92を一対のフラッパ82と高さを合わせる装填位置に位置させた状態で、小束紙幣集積空間85に小束紙幣Wが複数束集積状態で装填されると、ステージ92を下降させて、ステージ92上の最上位置の小束紙幣Wの下面を第2の位置に位置させて、最上位置の小束紙幣Wを押出機構145で小束水平搬送部131に向けて押し出させ、次に、ステージ92を一束分上昇させて、次に最上位置となった小束紙幣Wの下面を第2の位置に位置させて、この小束紙幣Wを押出機構145で小束水平搬送部131に向けて押し出す、という作動を繰り返すことで、ステージ92上の複数の小束紙幣Wを上側のものから順に小束水平搬送部131に受け渡すことになる。
【0180】
以上に述べた第2実施形態によれば、小束紙幣出金処理において、小束搬送部91は、ステージ92を、ステージ92の上面またはステージ92上に載置された小束紙幣Wの最上面が、第1の位置において結束小束Wを受け取る位置となり、第2の位置において収納小束Wを受け取る位置となるように移動させて、収納小束Wおよび結束小束Wをステージ92上で合流させた後、上方位置に移動させて小束入出金部71に位置させる。これによって、小束紙幣出金処理の一取引の速度アップが見込める。
【符号の説明】
【0181】
11 紙幣処理機
38 結束部
49 バラ紙幣収納部
65 制御部
71 小束入出金部(小束入出金部)
91 小束搬送部
92 ステージ
111 小束収納部
S バラ紙幣
W 小束紙幣