(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018865
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ロキソプロフェンを含有する外用塗布剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20230202BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230202BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230202BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230202BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230202BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230202BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P29/00
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123209
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】306014736
【氏名又は名称】第一三共ヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】崔 祥子
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC04
4C076DD30Z
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD50Z
4C076FF02
4C076FF36
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB23
4C206KA01
4C206NA03
4C206ZA08
4C206ZB11
(57)【要約】
【課題】ロキソプロフェンを含有し、低級アルコールを実質的に非含有とする外用塗布剤において、製剤の不溶物析出を抑制する成分を提供すること。
【解決手段】(a)、(b)、(c)及び(d)を含有し、かつ実質的に低級アルコールを含有しない外用塗布剤。
(a)ロキソプロフェン
(b)1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1種
(c)l-メントール
(d)飽和高級脂肪酸塩。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)、(b)、(c)及び(d)を含有し、かつ実質的に低級アルコールを含有しない外用塗布剤。
(a)ロキソプロフェン
(b)1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1種
(c)l-メントール
(d)飽和高級脂肪酸塩。
【請求項2】
さらに、塩基性物質を含有する、請求項1に記載の外用塗布剤。
【請求項3】
鎮痛消炎用である、請求項1又は2に記載の外用塗布剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた鎮痛消炎作用を有するロキソプロフェンを含有する外用塗布剤に関する。より詳しくは、本発明は、ロキソプロフェンに特定の成分を含有または非含有とすることによって、これまでのロキソプロフェン外用塗布剤やその製剤技術に比べ、外観および保存安定性を顕著に向上させた外用塗布剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピオン酸系非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(NSAIDs)であるロキソプロフェンは、他のNSAIDsと同様にプロスタグランジン生合成の抑制作用に基づく解熱・鎮痛・消炎作用を有する。なお、ロキソプロフェンは経口投与後に胃粘膜刺激作用の弱い未変化体のまま消化管から吸収され、体内で活性体となるプロドラッグであるため、活性体よりも胃粘膜障害は少ないという特徴を有することでも知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
近年、ロキソプロフェンは外用消炎鎮痛剤としてもパップ剤、テープ剤及びゲル剤が市販され、臨床に供されている(例えば、非特許文献2参照)。なお、ロキソプロフェンは、皮膚においてもケトン還元酵素によってトランス-OH体(活性体)に変換されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
皮膚に適用する製剤として、皮膚外用製剤が知られており、皮膚外用製剤は、主に貼付剤と塗布剤とに大別される。
上記塗布剤には、外用固形剤(チック剤、ハードゲル)、外用液剤(ローション剤、リニメント剤)、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤等がある。
【0005】
これまでに、ロキソプロフェンを含有する外用塗布剤において、イソプロパノールを含有することで、過酷条件下での外観安定性が向上することが開示されている(特許文献2参照)。また、グリセリンを含有することで、外観透明性および保形性が向上することが開示されている(特許文献3参照)。特許文献2及び3に記載されているロキソプロフェンを含有する外用塗布剤はすべて低級アルコールを含有し、かつ製剤がガラス瓶に充填されている。しかし、市中で販売されているチック剤等の外用塗布剤の直接容器は、密栓したガラス瓶と比べて気密性が著しく劣るため、これらの特許文献における保存安定性は実製品とは相当異なることが予測される。
【0006】
これまでに、ロキソプロフェン以外のNSAIDsを含有した外用塗布剤の一種であるチック剤が販売されており、いずれの製品も低級アルコールを含有している(例えば、非特許文献3~5参照)。
【0007】
例えば、外用塗布剤の一種であるチック剤においては、低級アルコールは飽和脂肪酸塩等の基剤やl-メントール等の油性成分を製剤中に溶解するために欠かせない成分として広く使用されている。市中で販売されているチック剤は直接容器であるポリオレフィン製容器に充填されているが、その機能特性上、可動部分が多く、他の外用塗布剤の容器と比較して気密性が低い。このため、直接容器をアルミニウム等の金属を含む防湿袋で密閉包装することで未開封時の保存安定性は担保しているが、開封時に防湿袋は取り除かれ、製剤が質量低下(やせ)を起こす。本発明者らは、質量低下の原因が外用固形剤に含有される低級アルコールであることを見出した。一方、直接容器での保存安定性を向上するため低級アルコールを非含有とすると、飽和脂肪酸塩や油溶性成分が溶解しきれなくなり、不溶物が析出することが課題であった。このため、低級アルコール含有しなくとも、保存安定性が良く、不溶物析出を生じない等の外観に優れたロキソプロフェン含有外用塗布剤の出現が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-074873公報
【特許文献2】特許第6189668号公報
【特許文献3】特許第6114646号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】薬理と治療 Vol.16 No.2 1988 p.611-619
【非特許文献2】JAPIC 医療用医薬品集2013 丸善 2012
【非特許文献3】ゼノールエクサムSX添付文書
【非特許文献4】ゼノールエクサムFX添付文書
【非特許文献5】ゼノールチックE添付文書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、ロキソプロフェンを含有し、低級アルコールを実質的に非含有とする外用塗布剤において、製剤の不溶物析出を抑制する成分を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、ロキソプロフェン含有する外固形用剤において、直接容器での保存安定性を向上することを目的に低級アルコールを実質的に非含有とし、それにより起こる不溶物析出を抑制する成分について調べた。その結果、ロキソプロフェンを含有し、低級アルコールを実質的に含有しない外用塗布剤に、1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1種を含有することにより、不溶物析出を顕著に抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)(a)、(b)、(c)及び(d)を含有し、かつ実質的に低級アルコールを含有しない外用塗布剤。
(a)ロキソプロフェン
(b)1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1種
(c)l-メントール
(d)飽和高級脂肪酸塩。
(2)さらに、塩基性物質を含有する、前記(1)に記載の外用塗布剤。
(3)鎮痛消炎用である、前記(1)又は(2)に記載の外用塗布剤。
【発明の効果】
【0013】
本発明の外用塗布剤は、使用感に優れ、直接容器での保存安定性(開封後の安定性)が顕著に向上されており、臨床上極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の外用塗布剤は、下記(a)、(b)、(c)及び(d)を含有し、かつ実質的に低級アルコールを含有しない。
(a)ロキソプロフェン
(b)1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1種
(c)l-メントール
(d)飽和高級脂肪酸塩。
【0015】
本発明の外用塗布剤の剤形としては、外用固形剤(チック剤、ハードゲル)、外用液剤(ローション剤、リニメント剤)、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤等が挙げられるが、本発明の効果を奏しやすいことから、外用固形剤、外用液剤が好ましく、外用固形剤がより好ましい。
【0016】
本発明において、「ロキソプロフェン」とは、ロキソプロフェン又はその塩(含水塩を含む)であり、好ましくは、ロキソプロフェンナトリウム又はロキソプロフェンナトリウム・2水和物であり、より好ましくは、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物である。
【0017】
本発明におけるロキソプロフェンは、ロキソプロフェンナトリウム水和物として第17改正日本薬局方に収載されている。
【0018】
本発明におけるl-メントールは、有効成分としては血行促進成分として外用剤に使用され、第18改正日本薬局方に収載されているほか、医薬品添加剤としても清涼化剤、香料、安定化剤等として用いられ、医薬品添加物辞典2021(薬事日報社、2021)に収載されている。
【0019】
本発明における1,3-ブチレングリコールは基剤、抗酸化剤、湿潤剤、粘稠剤、溶剤、溶解補助剤等の用途で外用剤に用いられ、医薬品添加物辞典2021に収載されている。
【0020】
本発明におけるプロピレングリコールは基剤、可溶化剤、湿潤剤、粘稠剤、溶剤、溶解補助剤等の用途で外用剤に用いられ、医薬品添加物辞典2021に収載されている。
【0021】
本発明における低級アルコールとは、可溶化剤、基剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤等の用途で外用剤に用いられる炭素数1~4個の脂肪族アルコール類であり、例えば、メタノール、エタノール(エチルアルコールとも言う)、プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコールとも言う)、変性アルコール等が挙げられ、医薬品添加物辞典2021に収載されている。このうち、変性アルコールとしては、例えば、ゲラニオール変性アルコール、八アセチルしょ糖変性アルコール、フェニルエチルアルコール変性アルコール等が挙げられる。
本発明の外用塗布剤は、前述の低級アルコールを実質的に含有しない。
なお、「実質的に」とは、他の配合成分から不可避的に含有される場合を除くことを意味する。
低級アルコールを実質的に含有しないとは、外用塗布剤全量を基準として、低級アルコーの含有量が、1質量%以下であることをいい、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下である。
【0022】
本発明における飽和高級脂肪酸塩とは、基剤、乳化剤等の用途で外用塗布剤に用いられる、炭素数12~22個の飽和脂肪酸塩であり、例えば、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられ、医薬品添加物辞典2021に収載されている。
なお、飽和高級脂肪酸塩を用いて外用塗布剤とする場合、炭素数12~22の飽和高級脂肪酸及びこれと塩を形成するカチオンを解離する化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を含有して飽和高級脂肪酸塩を形成させてもよく、飽和高級脂肪酸塩(飽和高級脂肪酸のナトリウム塩等)を含むや薬用石けんや石けん用素地等を用いてもよい。
【0023】
本発明の外用塗布剤は、塩基性物質を含んでいてもよい。
本発明における塩基性物質とは、特に制限されないが、通常外用剤に用いられpHを増加させる物質のことであり、例えば、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、医薬品添加物辞典2021に収載されている。
【0024】
本発明における多価アルコールとは、可溶化剤、基剤、湿潤剤、粘稠剤、溶剤、溶解補助剤等の用途で外用剤に用いられる、分子内に水酸基が2個以上あるアルコールであり、例えば、グリセリン、ジプロピレングリコール、D‐ソルビトールであり、医薬品添加物辞典2021に収載されている。
【0025】
本発明の外用塗布剤におけるロキソプロフェンの含有量は、特に限定されないが、外用塗布剤全量を基準として、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物として、好ましくは、0.1~10質量%であり、より好ましくは、0.5~8.5質量%である。
【0026】
また、本発明の外用塗布剤における1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコールの含有量は、特に限定されないが、外用塗布剤全量を基準として、好ましくは10~55質量%であり、より好ましくは10~45質量%である。1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールを併用する場合、好ましくは、その総量が10~55質量%であり、より好ましくは10~45質量%である。また、(a)ロキソプロフェンと、(b)1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1種、の質量比率としては、(b)/(a)としては、好ましくは2~55であり、より好ましくは4~45である。
【0027】
また、本発明の外用塗布剤におけるl-メントールは、特に限定されないが、外用塗布剤全量を基準として、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは、1~7.5質量%である。
【0028】
さらに本発明の外用塗布剤における飽和高級脂肪酸塩の添加量は特に限定されないが、好ましくは、3~20質量%であり、より好ましくは、5~15質量%である。
【0029】
さらに本発明の外用塗布剤における塩基性物質の添加量は特に限定されないが、好ましくは、0.01~10質量%であり、より好ましくは、0.1~5質量%である。なお上記の添加量は非希釈の塩基性物質そのものの換算量であり、製造時には水等の溶媒に希釈したものを使用することができる。また1種以上の塩基性物質を組み合わせて使用することもできる。
【0030】
さらに本発明の外用塗布剤における多価アルコールの添加量は特に限定されないが、好ましくは、1~75質量%であり、より好ましくは、15~65質量%である。
【0031】
本発明の外用塗布剤において、上記成分以外の鎮痛消炎用の外用塗布剤に通常使用される、薬物や医薬品添加物を添加することができる。
薬物としては、例えば、グリチルレチン酸等の抗炎症剤、クロルフェニラミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン剤、酢酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル等の血行改善成分、ノナン酸バニリルアミド等の局所刺激成分、アルニカチンキ等の生薬成分等を挙げることができ、これらの薬物は、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
上記成分以外の医薬品添加物は、例えば、経時的な含量安定性や使用感の更なる向上等を目的として必要に応じて添加するものであり、例えば、湿潤剤、抗酸化剤や清涼化剤等を挙げることができる。
湿潤剤としては、例えばdl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム等を添加することができる。
抗酸化剤としては、例えば、トコフェロール等を用いることができる。
清涼化剤としては、例えば、カンフル、dl-カンフル、ハッカ油、ユーカリ油等を挙げることができる。
【0032】
本発明の外用塗布剤は容器に収納するものであり、その容器としては、密閉容器を用いることが好ましい。密閉容器としては、チューブ容器、ボトル、ジャーボトル、押出し式やダイヤル式の繰り上げ下げ式容器等が挙げられる。なかでも、外用固形剤については、その使用・収納の観点からは、押出し式やダイヤル式の繰り上げ下げ式容器が好ましい。
本発明の外用塗布剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製の容器に直接収容し、さらにアルミニウム等の金属を含む防湿袋に収容することができる。
【0033】
本発明の外用塗布剤は、鎮痛消炎用として、痛みや炎症を有する患者、例えば、腰痛、打撲、捻挫、肩こりに伴う肩の痛み、腱鞘炎、肘の痛み、関節痛等の患者に使用することができる。本発明の外用塗布剤は、前記患者に対し、これを1日1~数回、適量を患部に塗布する。
【0034】
以下に、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明する。
【実施例0035】
【0036】
【0037】
製造方法としては、表1~2に記載した成分及び分量を取り、加熱・攪拌混合して溶解し、これを容器に充填して室温で固化し、製剤例1~18の外用固形剤を得ることができる。なお、表1及び表2中の「ロキソプロフェンナトリウム水和物」としては、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物を用いている。
【0038】
(試験例)ロキソプロフェン含有外用固形剤の外観保存安定性試験
(1)試験材料
ロキソプロフェンナトリウム・2水和物は第一三共ケミカルファーマ(株)製のものを、1,3-ブチレングリコールはダイセル(株)製のものを、l-メントールは鈴木薄荷(株)製のものを、ステアリン酸ナトリウムは日油(株)製のものを、水酸化ナトリウムは関東化学(株)製のものを、濃グリセリンは小堺製薬(株)製のものを、プロピレングリコールは丸石製薬(株)製のものを、マクロゴール400は三洋化成工業(株)製のものを、それぞれ使用した。
【0039】
(2)検体の調製
以下の表3に記載した成分を加熱・攪拌混合して溶解後、透明ガラス軽量規格瓶10Kに充填し、密栓して室温で固化し、以下の外用固形剤を得た。
【0040】
(3)試験方法
得られた各外用固形剤を25℃60%相対湿度(RH)にて2週間保存後に外観(析出物)の目視確認を行った。-:析出物なし、+:析出物あり、の2段階で評価し、-を許容範囲とした。
【0041】
(4)試験結果
結果を表3に示す。なお、表3中の「ロキソプロフェンナトリウム水和物」としては、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物を用いている。
【0042】
【0043】
表3中におけるロキソプロフェンナトリウム水和物の含有量はロキソプロフェンナトリウム1g(無水物換算)に相当する。
【0044】
表3の比較例1~2及び実施例1~5の比較により、ロキソプロフェン及びl-メントールを含有し、低級エタノールを含有しない外用固形剤において、1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1種を含有することにより、析出物の生成を抑制できることが確認された。また、実施例6~7により、油溶性成分であるl-メントールをさらに増量して含有した場合でも、析出物の生成は抑制できることが確認された。
【0045】
(試験例)ロキソプロフェン含有外用固形剤の質量安定性試験
(1)試験材料
ロキソプロフェンナトリウム・2水和物は第一三共ケミカルファーマ(株)製のものを、1,3-ブチレングリコールはダイセル(株)製のものを、l-メントールは鈴木薄荷(株)製のものを、ステアリン酸ナトリウムは日油(株)製のものを、水酸化ナトリウムは関東化学(株)製のものを、無水エタノールは今津薬品工業(株)製のものを、それぞれ使用した。
【0046】
(2)検体の調製
以下の表4に記載した成分を加熱・攪拌混合して溶解後、透明ガラス軽量規格瓶10Kに充填し、密栓して室温で固化し、以下の外用固形剤を得た。
【0047】
(3)試験方法
得られた各外用固形剤より透明ガラス軽量規格瓶の蓋を除去し、開放状態で25℃60%相対湿度(RH)にて2週間保存前後における製剤質量を測定した。
【0048】
(4)試験結果
結果を表4に示す。なお、表4中の「ロキソプロフェンナトリウム水和物」としては、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物を用いている。
【0049】
【0050】
表4の参考例1及び実施例8の比較により、低級エタノールを非含有とした外用固形剤において、製剤質量の減少を顕著に抑制でき、開封後の安定性が良好に保たれることが確認できた。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態および実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本発明の、ロキソプロフェンを含有する外用塗布剤は、使用感に優れ、長年課題であった開封後の安定性が顕著に向上され、経時的な析出も抑制されており、臨床的に極めて有用である。