IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産コパル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-振動モータ 図1
  • 特開-振動モータ 図2
  • 特開-振動モータ 図3
  • 特開-振動モータ 図4
  • 特開-振動モータ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018878
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】振動モータ
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20230202BHJP
   H02K 33/16 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B06B1/04 S
H02K33/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123234
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 然自
(72)【発明者】
【氏名】南沢 武士
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 虹兵
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲輝▼安
【テーマコード(参考)】
5D107
5H633
【Fターム(参考)】
5D107AA11
5D107BB08
5D107CC09
5D107CC10
5D107DD03
5D107DD12
5H633BB08
5H633GG02
5H633GG06
5H633GG08
5H633GG17
5H633HH03
5H633HH06
5H633HH13
5H633JA03
5H633JA05
(57)【要約】
【課題】振動体の振動を規制する規制手段の強度を高めて振動モータの耐衝撃性能を向上させる。
【解決手段】振動モータ1Aは、天面部11,底面部12,前面部13,背面部14,右側面部15および左側面部16を備える筐体10と、筐体10に収容され、右側面部15と左側面部16との対向方向に振動する振動体50と、筐体10に設けられ、振動体50の振動を所定の範囲内に制限する複数の規制部20と、を有する。複数の規制部20には、底面部12に設けられ、振動体50の両側に配置される一対の下側規制部23,24が含まれる。それぞれの下側規制部23,24は、天面部11に向かって突出する底面部12の一部であり、振動体50の振動方向において互いに対向する下側規制面26を備える。それぞれの下側規制面26は、その全周が当該下側規制面26と交差する底面部12の他の面に連接している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する天面部および底面部と、対向する前面部および背面部と、対向する右側面部および左側面部と、を備える筐体と、
前記筐体に収容され、前記右側面部と前記左側面部との対向方向に振動する振動体と、
前記筐体に設けられ、前記振動体の振動を所定の範囲内に制限する複数の規制部と、を有し、
複数の前記規制部には、前記底面部に設けられ、前記振動体の振動方向において前記振動体の両側に配置される一対の下側規制部が含まれ、
それぞれの前記下側規制部は、前記天面部に向かって突出する前記底面部の一部であり、
それぞれの前記下側規制部は、前記振動体の振動方向において互いに対向する下側規制面を備え、
それぞれの前記下側規制面は、その全周が当該下側規制面と交差する前記底面部の他の面に連接している、振動モータ。
【請求項2】
一方の前記下側規制部が備える前記下側規制面と、他方の前記下側規制部が備える前記下側規制面とは、前記天面部に近接するに連れて互いに離反するように傾斜している、請求項1に記載の振動モータ。
【請求項3】
複数の前記規制部には、前記天面部に設けられ、前記振動体の振動方向において前記振動体の両側に配置される一対の上側規制部が含まれ、
それぞれの前記上側規制部は、前記底面部に向かって突出する前記天面部の一部であり、
それぞれの前記上側規制部は、前記振動体の振動方向において互いに対向する上側規制面を備え、
それぞれの前記上側規制面は、その全周が当該上側規制面と交差する前記天面部の他の面に連接している、請求項1又は2に記載の振動モータ。
【請求項4】
一方の前記上側規制部が備える前記上側規制面と、他方の前記上側規制部が備える前記上側規制面とは、前記底面部に近接するに連れて互いに離反するように傾斜している、請求項3に記載の振動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、スマートフォンやタブレット端末などの各種電子機器に振動モータが内蔵されている。振動モータは、筐体と、筐体に収容された振動体と、を少なくとも備えている。振動体は、筐体内で所定方向に往復動する。
【0003】
振動モータの筐体には、振動体の振動を所定の範囲内に制限する規制手段が設けられることがある。例えば、特許文献1に記載されている振動モータには、振動体の振動を所定の範囲内に制限する複数の起立部が設けられている。それぞれの起立部は、筐体の底面を形成する金属板に切り起こし加工によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6870996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
振動モータの耐衝撃性能を向上させるためには、振動体の振動を規制する規制手段の強度を高めることが望ましい。より特定的には、落下の衝撃などによって振動体が規制手段に衝突しても、規制手段が破損したり、変形したりしないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の振動モータは、対向する天面部および底面部と、対向する前面部および背面部と、対向する右側面部および左側面部と、を備える筐体と、前記筐体に収容され、前記右側面部と前記左側面部との対向方向に振動する振動体と、前記筐体に設けられ、前記振動体の振動を所定の範囲内に制限する複数の規制部と、を有する。複数の前記規制部には、前記底面部に設けられ、前記振動体の振動方向において前記振動体の両側に配置される一対の下側規制部が含まれる。それぞれの前記下側規制部は、前記天面部に向かって突出する前記底面部の一部であり、前記振動体の振動方向において互いに対向する下側規制面を備える。それぞれの前記下側規制面は、その全周が当該下側規制面と交差する底面部の他の面に連接する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、振動体の振動を規制する規制手段の強度を高めて振動モータの耐衝撃性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】振動モータの外観を示す斜視図である。
図2】振動モータの構造を示す分解斜視図である。
図3】筐体の分解斜視図である。
図4】規制部と振動体との位置関係を示す模式的断面図である。
図5】比較例としての筐体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には原則として同一の符号を用い、繰り返しの説明は行わない。
【0010】
<振動モータの概要>
図1は、本実施形態に係る振動モータ1Aの外観を示す斜視図である。図2は、振動モータ1Aの構造を示す分解斜視図である。図3は、振動モータ1Aを構成する筐体10の分解斜視図である。
【0011】
筐体10は、略長方形の平面形状を有する箱であって、振動モータ1Aの外郭を形成する。筐体10の内部には、基板30,コイル40,振動体50などの振動モータ1Aの構成要素が収容されている。振動モータ1Aの構成要素の1つである振動体50は、筐体10の内部で筐体10の長辺方向(長手方向)に振動する。別の見方をすると、振動体50は、筐体10の長辺方向の振動を発生させる。つまり、振動モータ1Aは、筐体10の長辺方向の振動を発生させるリニア型振動モータである。
【0012】
以下の説明では、筐体10の長辺方向を“左右方向”と呼び、筐体10の短辺方向を“前後方向”と呼ぶ場合がある。また、左右方向および前後方向の双方と直交する方向を“上下方向”と呼ぶ場合がある。かかる呼称を用いれば、振動体50は、左右方向の振動を発生させる。
【0013】
<筐体>
筐体10は、上下方向で対向する天面部11および底面部12と、前後方向で対向する前面部13および背面部14と、左右方向で対向する右側面部15および左側面部16と、を有する。つまり、筐体10の長辺方向(左右方向)に振動する振動体50は、右側面部15と左側面部16との対向方向に振動する。
【0014】
なお、以下の説明では、前面部13,背面部14,右側面部15および左側面部16を“周面部17”と総称する場合がある。
【0015】
筐体10は、金属板(例えば、ステンレス鋼板)によって形成されている。もっとも、天面部11,底面部12および周面部17は、別々の金属板によって形成されている。つまり、筐体10は、一体化された複数枚の金属板によって形成されている。
【0016】
周面部17は、両端が互いに固定された帯状の金属板によって角筒状に形成されている。図示は省略されているが、周面部17を形成している金属板の両端は、背面部14上に位置している。より特定的には、周面部17を形成している金属板の両端は、背面部14の長手方向中央(振動方向中央)に位置している。互いに固定された金属板の両端を背面部14上に配置することにより、振動モータ1Aの耐衝撃性能を向上させることができる。具体的には、落下などによって前後方向の力が振動モータ1Aに加わった際、振動体50が周面部17を形成している金属板の両端(固定部)に衝突しにくくなる。なお、周面部17を形成する金属板の両端は、例えばカシメ固定される。
【0017】
天面部11および底面部12は、略長方形に打ち抜かれた平坦な金属板によってそれぞれ形成されている。天面部11は、周面部17の一端側の開口部を閉塞し、底面部12は、周面部17の他端側の開口部を閉塞している。天面部11を形成している金属板の周縁は、周面部17を形成している金属板の一方の端部に溶接されている。また、底面部12を形成している金属板の周縁は、周面部17を形成している金属板の他方の端部に溶接されている。
【0018】
筐体10には、振動体50の振動を所定の範囲内に制限する複数の規制部20が設けられている。具体的には、天面部11の左右に一対の上側規制部21,22が設けられている。また、底面部12の左右に一対の下側規制部23,24が設けられている。別の見方をすると、天面部11の対向する短辺のそれぞれに上側規制部21,22が設けられている。また、底面部12の対向する短辺のそれぞれに下側規制部23,24が設けられている。
【0019】
つまり、筐体10には4つの規制部20が設けられている。これら規制部20は、振動体50の周囲に配置され、振動体50の振動を所定の範囲内に制限する。より特定的には、振動体50は、振動方向で対向する上側規制部21,下側規制部23と、上側規制部22,下側規制部24との間で振動可能である。もっとも、通常の振動状態では、振動体50はいずれの規制部20にも接触しない。振動体50が何らかの理由で通常よりも大きく振動(変位)すると、振動体50が4つの規制部20の少なくとも1つに接触する。この結果、振動体50の過剰な振動が防止される。なお、規制部20については、後に改めて説明する。
【0020】
<基板>
図2に示されている基板30は、同図に示されているコイル40に電力を供給するための電気配線が形成されたフレキシブル基板である。基板30は、筐体10の底面部12上に配置されている。基板30の大部分は筐体10の内部に配置されている一方、基板30の一部は筐体10の外部に引き出されている。以下の説明では、筐体10の内部に配置されている基板30の大部分を“本体部31”と呼び、筐体10の外部に引き出されている基板30の一部を“接続部32”と呼んで区別する場合がある。
【0021】
接続部32上には、本体部31上に形成されている電気配線の入力端と電気的に導通している接続端子33が設けられている。図1に示されるように、接続部32は、筐体10の一方の短辺を横断して筐体10の右側に延びている。具体的には、接続部32は、底面部12と右側面部15との間を通して筐体10の右側に引き出されている。
【0022】
また、図2から理解できるように、基板30の接続部32は、下側規制部23と背面部14との間を通過している。つまり、下側規制部23と背面部14との間の空間は、基板30の接続部32を筐体10の外部に引き出すための通路として利用されている。
【0023】
もっとも、接続部32の引き出し方向は上記方向に限定されない。例えば、接続部32を筐体10の長辺から筐体10の前方または後方に引き出してもよい。
【0024】
<コイル>
図2に示されているコイル40は、コアレスコイル(空芯コイル)である。より特定的には、コイル40は、上下方向に延びる仮想軸の周りに巻回された導線によって形成されている。コイル40は、基板30の本体部31上に形成されている電気配線の出力端に接続されている。よって、接続部32上に形成されている接続端子33に電圧が印加されると、電気配線を介してコイル40に電圧が印加される。コイル40に電圧が印加されると、コイル40が磁化され、磁束が発生する。
【0025】
<振動体>
図2に示されている振動体50は、錘51,バックヨーク52,磁石53を含んでいる。錘51は、金属合金(例えば、タングステン合金)のブロックである。錘51の中央には、当該錘51を上下方向に貫通する2つの磁石収容部54が形成されている。
【0026】
それぞれの磁石収容部54に、磁石53が収容されている。それぞれの磁石53は、前後方向に延びる角柱形状の永久磁石である。それぞれの磁石53は、長手方向が錘51の長手方向と直交する向きで磁石収容部54内に配置されている。
【0027】
コイル40に電圧が印加されると、コイル40が発生する磁束と磁石53が発生する磁束との相互作用により、磁石53を含む振動体50が左右方向に振動する。
【0028】
バックヨーク52は、錘51の上に重ねられ、磁石収容部54を閉塞している。別の見方をすると、バックヨーク52は、磁石収容部54に収容されている磁石53を覆っている。バックヨーク52は、磁石53と磁気回路を形成し、振動モータ1Aのパワーを増大させる。
【0029】
<弾性部材>
図2に示されている2つの弾性部材61,62は、前後方向に延びる板ばねである。弾性部材61,62の長手方向一端側(基端側)には、筐体10に固定される第1固定部63が設けられ、弾性部材61,62の長手方向他端側(先端側)には、振動体50(錘51)に固定される第2固定部64が設けられている。
【0030】
以下の説明では、弾性部材61,62の第1固定部63を“基端部63”と呼び、弾性部材61,62の第2固定部64を“先端部64”と呼ぶ場合がある。
【0031】
弾性部材61,62の基端部63と先端部64とは、中間部65を介して繋がっている。基端部63および先端部64は、中間部65に対して直角または略直角に屈曲している。この結果、それぞれの弾性部材61,62は、略コ字形の平面形状を有する。
【0032】
図2に示されている錘51は、対向する弾性部材61,62の間に配置され、これら弾性部材61,62によって振動可能に支持されている。別の見方をすると、弾性部材61,62は、錘51を振動可能に支持する支持部材である。
【0033】
それぞれの弾性部材61,62の中間部65は、長手方向両外側から内側に向かって次第に細くなっている。別の見方をすると、中間部65の上下方向の寸法は、長手方向両外側から内側に向かって次第に小さくなっている。そして、中間部65は、長手方向中央又はその近傍において最も細くなっている。
【0034】
弾性部材61の基端部63は、筐体10の前面部13に溶接され、弾性部材61の先端部64は、筐体10の背面部14と対向する振動体50の一面(錘51の背面)に溶接されている。同様に、弾性部材62の基端部63は、筐体10の前面部13に溶接され、弾性部材62の先端部64は、筐体10の背面部14と対向する振動体50の一面(錘51の背面)に溶接されている。
【0035】
この結果、弾性部材61の中間部65は、左右方向において、筐体10の右側面部15と錘51の右側面との間を通過している。また、弾性部材62の中間部65は、左右方向において、筐体10の左側面部16と錘51の左側面との間を通過している。
【0036】
また、弾性部材61の中間部65は、上下方向において、下側規制部23と天面部11との間を通過している。また、弾性部材62の中間部65は、上下方向において、下側規制部24と天面部11との間を通過している。より特定的には、弾性部材61の中間部65は、下側規制部23と上側規制部21との間を通過している。また、弾性部材62の中間部65は、下側規制部24と上側規制部22との間を通過している。
【0037】
このため、錘51の振動に伴って、弾性部材61と規制部20(下側規制部23または上側規制部21)とが干渉する虞がある。また、錘51の振動に伴って、弾性部材62と規制部20(下側規制部24または上側規制部22)とが干渉する虞がある。
【0038】
そこで、下側規制部23と上側規制部21との間に、弾性部材61の中間部65の最細部を配置してある。また、下側規制部24と上側規制部22との間に、弾性部材62の中間部65の最細部を配置してある。
【0039】
弾性部材61の中間部65の最細部を上記の位置に配置することにより、弾性部材61と規制部20とが干渉する虞が最小化される。また、弾性部材62の中間部65の最細部を上記の位置に配置することにより、弾性部材62と規制部20とが干渉する虞が最小化される。
【0040】
なお、図2に示されるように、弾性部材61,62には、ダンパー66がそれぞれ設けられている。ダンパー66はゴムによって形成されており、振動体50(錘51)の振動が減衰するのに要する時間を短縮させる。
【0041】
<規制部>
再び図3を参照する。天面部11に設けられている上側規制部21,22は、加圧加工によって天面部11の所定位置に形成された凸部であって、下方に向かって突出している。言い換えれば、上側規制部21,22は、底面部12に向かって突出する天面部11の一部である。
【0042】
底面部12に設けられている下側規制部23,24は、加圧加工によって底面部12の所定位置に形成された凸部であって、上方に向かって突出している。言い換えれば、下側規制部23,24は、天面部11に向かって突出する底面部12の一部である。
【0043】
上側規制部21と上側規制部22とは、左右方向(天面部11の長手方向/振動体50の振動方向)で互いに対向している。同様に、下側規制部23と下側規制部24とは、左右方向(底面部12の長手方向/振動体50の振動方向)で互いに対向している。
【0044】
別の見方をすると、上側規制部21と上側規制部22とは、振動体50を挟んで互いに対向している。同様に、下側規制部23と下側規制部24とは、振動体50を挟んで互いに対向している。
【0045】
図4は、規制部20と振動体50との位置関係を示す模式的断面図である。上側規制部21,22は、振動体50の振動方向において振動体50と対向する上側規制面25をそれぞれ備えている。同様に、下側規制部23,24は、振動体50の振動方向において振動体50と対向する下側規制面26をそれぞれ備えている。
【0046】
上側規制部21,22の上側規制面25は、その全周が当該上側規制面25と交差する天面部11の他の面に連接している。例えば、上側規制部21が備える上側規制面25の一辺は、天面部11の主面11aに連接している。また、上側規制部22が備える上側規制面25の一辺も、天面部11の主面11aに連接している。
【0047】
さらに、上側規制部21が備える上側規制面25の他の一辺は、主面11aと平行な天面部11の他の面11bに連接している。また、上側規制部22が備える上側規制面25の他の一辺は、主面11aと平行な天面部11の他の面11cに連接している。尚、天面部11の面11bは、上側規制部21の天頂面でもある。また、天面部11の面11cは、上側規制部22の天頂面でもある。
【0048】
下側規制部23,24が備える下側規制面26は、その全周が当該下側規制面26と交差する底面部12の他の面に連接している。例えば、下側規制部23が備える下側規制面26の一辺は、底面部12の主面12aに連接している。また、下側規制部24が備える下側規制面26の一辺も、底面部12の主面12aに連接している。
【0049】
さらに、下側規制部23が備える下側規制面26の他の一辺は、主面12aと平行な底面部12の他の面12bに連接している。また、下側規制部24が備える下側規制面26の他の一辺は、主面12aと平行な底面部12の他の面12cに連接している。尚、底面部12の面12bは、下側規制部23の天頂面でもある。また、底面部12の面12cは、下側規制部24の天頂面でもある。
【0050】
別の見方をすると、天面部11の一部である上側規制部21,22は、天面部11の他の部分に連なっている。また、底面部12の一部である下側規制部23,24は、底面部12の他の部分に連なっている。
【0051】
図4に示されている振動体50は、何らかの理由で通常よりも大きく右方向に移動(変位)すると、上側規制部21が備える上側規制面25や下側規制部23が備える下側規制面26に当接し、それ以上の移動が規制される。また、図4に示されている振動体50は、何らかの理由で通常よりも大きく左方向に移動(変位)すると、上側規制部22が備える上側規制面25や下側規制部24が備える下側規制面26に当接し、それ以上の移動が規制される。
【0052】
上側規制部21が備える上側規制面25と上側規制部22が備える上側規制面25とは、底面部12に近接するに連れて互いに離反するように傾斜している。同様に、下側規制部23が備える下側規制面26と下側規制部24が備える下側規制面26とは、天面部11に近接するに連れて互いに離反するように傾斜している。
【0053】
別の見方をすると、それぞれの上側規制面25は、天面部11の主面11aと直交しておらず、斜めに交差している。同様に、それぞれの下側規制面26は、底面部12の主面12aと直交しておらず、斜めに交差している。より特定的には、図4に示される断面内において、上側規制面25は、天面部11の主面11aと直交する基準線Lに対して傾斜角θを有する。また、図4に示される断面内において、下側規制面26は、底面部12の主面12aと直交する基準線Lに対して傾斜角θを有する。
【0054】
天面部11の主面11aに対して上側規制面25を傾斜させることにより、天面部11を形成する金属板に過剰な応力を与えることなく、上側規制面25を含む上側規制部21,22を形成することができる。また、底面部12の主面12aに対して下側規制面26を傾斜させることにより、底面部12を形成する金属板に過剰な応力を与えることなく、下側規制面26を含む下側規制部23,24を形成することができる。要するに、天面部11や底面部12を形成する金属板の破断や変形を回避しつつ、シームレスな規制部20を形成することができる。
【0055】
もっとも、加工方法や加工技術によっては、上側規制面25や下側規制面26を上記のように傾斜させる必要はない。
【0056】
<比較例>
図5は、比較例としての筐体100を示す分解斜視図である。図5に示されている筐体100には、本実施形態の上側規制部21,22に相当する上側規制部121,122が設けられている。また、図5に示されている筐体100には、本実施形態の下側規制部23,24に相当する下側規制部123,124が設けられている。
【0057】
図5に示されている上側規制部121,122は、切り起こし加工によって天面部111に形成されている。また、図5に示されている下側規制部123,124は、切り起こし加工によって底面部112に形成されている。この結果、図5に示されている上側規制部121,122の端面125は、当該端面125と交差する天面部111の他の面と部分的にしか連接してはいない。また、図5に示されている下側規制部123,124の端面126は、当該端面126と交差する底面部112の他の面と部分的しか連接してはいない。少なくとも、端面125は天面部111の主面に連接しておらず、端面126は底面部112の主面に連接していない。別の見方をすると、図5に示されている上側規制部121,122は、天面部111の一部ではあるが、天面部111の他の部分と分断されている。また、図5に示されている下側規制部123,124は、底面部112の一部ではあるが、底面部112の他の部分と分断されている。
【0058】
したがって、図5に示されている上側規制部121,122や下側規制部123,124は、図3に示されている上側規制部21,22や下側規制部23,24に比べて強度が低い。言い換えれば、本実施形態の上側規制部21,22や下側規制部23,24は、比較例の上側規制部121,122や下側規制部123,124よりも強度が高い。
【0059】
また、切り起こし加工によって上側規制部121,122が形成されている天面部111には、複数の貫通孔127が存在している。同様に、切り起こし加工によって下側規制部123,124が形成されている底面部112には、複数の貫通孔127が存在している。別の見方をすると、比較例としての筐体100には、内外に連通する複数の貫通孔127が存在している。このため、筐体100内への異物や埃の侵入を防止するためには、貫通孔127を塞ぐシールなどを天面部111や底面部112に貼り付ける必要がある。一方、本実施形態の筐体10を構成している天面部11や底面部12には、貫通孔127に相当する貫通孔が存在していない。したがって、筐体10内への異物や埃の侵入を防止するために、天面部11や底面部12にシールなどを貼り付ける必要がない。
【0060】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、振動体の振動方向両側に一対の規制部が設けられていれば、振動体の振動は所定の範囲内に制限される。例えば、振動体の両側に一対の下側規制部が設けられていれば、振動体の振動は所定の範囲内に制限される。また、振動体の一側に1つの下側規制部が設けられ、振動体の他側に1つの上側規制部が設けられていれば、振動体の振動は所定の範囲内に制限される。したがって、図2図3に示されている規制部20の幾つかは省略することができる。例えば、上側規制部21,22は省略することができる。
【0061】
図2に示されている弾性部材61,62のいずれか一方を反転させてもよい。例えば、弾性部材62を反転させて、基端部63を背面部14に固定し、先端部64を錘51に固定してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1A…振動モータ、10,100…筐体、11,111…天面部、11a…主面、11b,11c…面、12,112…底面部、12a…主面、12b,12c…面、13…前面部、14…背面部、15…右側面部、16…左側面部、17…周面部、20…規制部、21,22,121,122…上側規制部、23,24,123,124…下側規制部、25…上側規制面、26…下側規制面、30…基板、31…本体部、32…接続部、33…接続端子、40…コイル、50…振動体、51…錘、52…バックヨーク、53…磁石、54…磁石収容部、61,62…弾性部材、63…第1固定部(基端部)、64…第2固定部(先端部)、65…中間部、66…ダンパー、125,126…端面、127…貫通孔、L…基準線、θ…傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5