(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018911
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】車両用制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/029 20180101AFI20230202BHJP
【FI】
H04W4/029
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123279
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】日本電産モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】田中 将士
(72)【発明者】
【氏名】榎本 豊
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA32
5K067EE02
5K067EE12
5K067FF03
(57)【要約】
【課題】走行中に携帯機が落下等して搭乗者から離れた場合、携帯機がどの程度離れているのかの判定精度を向上させ、その位置を示唆する。
【解決手段】携帯機10と無線信号を送受信する送受信部22と、送受信部で受信した無線信号の強度を判定する無線信号強度判定部211と、携帯機との通信状態を判定する通信状態判定部212と、携帯機の位置を判定する携帯機位置判定部213と、携帯機位置判定部が行った判定を出力する出力部214と、を備え、携帯機位置判定部は、無線信号強度判定部が判定した無線信号の強度と、通信状態判定部が判定した通信状態との組み合わせにより携帯機の位置を判定する車両用制御装置20を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機と無線信号を送受信する送受信部と、
前記送受信部で受信した無線信号の強度を判定する無線信号強度判定部と、
前記携帯機との通信状態を判定する通信状態判定部と、
前記携帯機の位置を判定する携帯機位置判定部と、
前記携帯機位置判定部が行った判定を出力する出力部と、
を備え、
前記携帯機位置判定部は、前記無線信号強度判定部が判定した無線信号の強度と、前記通信状態判定部が判定した通信状態との組み合わせにより前記携帯機の位置を判定する、
車両用制御装置。
【請求項2】
前記携帯機位置判定部は、
前記無線信号強度判定部が判定した強度が所定値以上であり、かつ、前記通信状態判定部が前記携帯機と接続状態であると判定した場合、前記携帯機は近接した位置にあると判定し、
前記無線信号強度判定部が判定した強度が所定値未満であり、かつ、前記通信状態判定部が前記携帯機と接続状態であると判定した場合、前記携帯機は近接した位置にはないが所定圏内に存在すると判定し、
前記無線信号強度判定部が判定した強度が所定値未満であり、かつ、前記通信状態判定部が前記携帯機と切断状態であると判定した場合、前記携帯機は所定圏内に存在しないと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
携帯機から無線信号を受信し、
受信した無線信号の強度を判定し、
前記携帯機との通信状態を判定し、
判定した無線信号の強度と通信状態との組み合わせにより前記携帯機の位置を判定し、
判定した前記携帯機の位置を出力する、
車両用制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の走行中に携帯機(FOB)が落下するなどして搭乗者から離れてしまったことを通知し、その携帯機の発見を容易にする技術が知られている。たとえば、特許文献1は、ワイヤレスハードウェアおよびスマートフォン、タブレットコンピュータ、およびポータブルコンピュータなどのモバイル電子デバイスの使用による、個人の所持品の損失防止、発見、および追跡の方法等を開示する。この方法は、所持品に取り付けられた無線装置から無線通信を受信し、通信からの信号強度読み取り値を決定し、信号強度読み取り値が所定の警告閾値を下回るかどうかを決定し、該決定した場合にはユーザーに警告する。
【0003】
また、特許文献2は、紛失した電子キーの位置を容易に特定する監視装置を開示する。この監視装置は、イモビライザ機能を有する制御装置と監視部とナビゲーション装置を備える。制御装置は、リクエスト信号を所定の範囲に送出する送信回路を備え、このリクエスト信号に対する応答信号を電子キーから一旦受信して移動体を移動させた後、定期的に送出されるリクエスト信号に対する応答信号を受信しない時には、電子キーが送信回路の送信能力範囲から外れた、つまり落としたと判断する。監視部は、この時に警報信号を出力して警告灯を付勢するとともに、ナビゲーション装置にも警報信号を送信する。ナビゲーション装置は、警報信号に応答してそのときの位置を電子キーの位置情報として記憶し、それと同時に、または別途の指示に従って電子キーの位置情報に基づくキー位置を地図上に表示する。
【0004】
また、特許文献3は、車両の走行中において、搭乗者が電子キーを落とした場合に、走行状況に応じて適切に警告を行う制御装置を開示する。この制御装置は、電子キーに対して、走行状態に対応した送信間隔毎にリクエスト信号を出力する。電子キーからのリクエスト信号に基づく応答信号を検知し、応答信号が検知されなくなった段階で、警告灯を点灯させる。リクエスト信号の送信間隔は制御装置内のマップに規定されており、車速、加減速度及びヨーレートの増加にともなって短く設定される。
【0005】
また、特許文献4は、自動車や単車の発進後にスマートキーを紛失したら、その旨を速やかに運転者に報知して注意を促すスマートキーシステムを開示する。このスマートキーシステムは運転者が携帯するスマートキーと搭載システムとからなり、搭載システムはキーセンサと制御装置と報知手段とを有する。搭載システムは、紛失判定機能によって自動車の発進後にもキーセンサの出力信号に基づいてスマートキーが紛失されていないかどうかを判定する。スマートキーが紛失されたと判定された場合には、報知手段はその旨を速やかに運転者に報知し、カーナビのディスプレイに紛失位置を表示する。
【0006】
また、特許文献5は、正確且つ速やかな警報情報に基づき、紛失した携帯機を容易に探索可能な乗物用電子キー装置を開示する。この乗物用電子キー装置は、携帯機との間で相互に通信する車載機を備え、携帯機からの固有情報を認証した場合に乗物に搭載された制御機器を作動させる。車載機は、走行距離を記憶する距離記憶手段と、携帯機との間で通信が行われなくなった場合に、携帯機が存在しなくなったことを警報報知する警報手段とを含み、走行中に、所定距離を走行する毎に携帯機との間で通信を行い、携帯機との通信毎の時点での走行距離を距離記憶手段に記憶させ、携帯機からの送信信号が途絶えたことを検出した場合に、警報手段を駆動して、送信信号が途絶える直前に距離記憶手段に記憶された前回の走行距離と、送信信号が途絶えた時点の走行距離との間の未検出領域を警告報知する。
【0007】
また、特許文献6は、携帯機の紛失を防止できると共に、携帯機を紛失した場合でも、紛失した携帯機の位置を容易に特定できる車両盗難防止システムを開示する。この車両盗難防止システムでは、車両の移動中、車載機制御手段は、車載機の記憶部に記憶されている携帯機照合用暗号コードを定期的に携帯機に送信し、携帯機の返信手段は、携帯機照合用暗号コードを受信する度に、応答信号を車載機に返信し、車載機の制御手段は、車載機が応答信号を受信する度に、車両環境情報を車載機の記憶部に更新記憶し、車載機が携帯機から応答信号を受信できなかった場合は、受信できなかった旨を報知手段によって運転者に報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国公開公報2014/0073262
【特許文献2】特開2007-022370号公報
【特許文献3】特開2006-232076号公報
【特許文献4】特開2008-265562号公報
【特許文献5】特開2007-091070号公報
【特許文献6】特開2008-110657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来技術における携帯機と車載器の間の無線通信は、主にLF(Low Frequency(長波))やUHF(Ultra High Frequency(極超短波))をそれぞれの特徴を活かして用いてきた。しかし、最近では近距離の無線通信においては、Bluetooth(登録商標)特にBLE(Bluetooth Low Energy)が様々な機器において活用されており、携帯機と車載器との間においてもその活用が望まれている。
【0010】
本発明は、かかる事情を鑑みて考案されたものであり、走行中に携帯機が落下等して搭乗者から離れた場合、携帯機がどの程度離れているのかの判定精度を向上させ、その位置を示唆する車両用制御装置および制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、携帯機と無線信号を送受信する送受信部と、送受信部で受信した無線信号の強度を判定する無線信号強度判定部と、携帯機との通信状態を判定する通信状態判定部と、携帯機の位置を判定する携帯機位置判定部と、携帯機位置判定部が行った判定を示唆し出力する出力部と、を備え、携帯機位置判定部は、無線信号強度判定部が判定した無線信号の強度と、通信状態判定部が判定した通信状態との組み合わせにより携帯機の位置を判定する車両用制御装置が提供される。
これによれば、無線信号の強度と通信状態との組み合わせにより携帯機の位置を判定することで、走行中に携帯機が落下等して搭乗者から離れた場合、携帯機がどの程度離れているのかの判定精度を向上させ、その位置を示唆する車両用制御装置が提供される。
【0012】
さらに、携帯機位置判定部は、無線信号強度判定部が判定した強度が所定値以上であり、かつ、通信状態判定部が携帯機と接続状態であると判定した場合、携帯機は近接した位置にあると判定し、無線信号強度判定部が判定した強度が所定値未満であり、かつ、通信状態判定部が携帯機と接続状態であると判定した場合、携帯機は近接した位置にはないが所定圏内に存在すると判定し、無線信号強度判定部が判定した強度が所定値未満であり、かつ、通信状態判定部が携帯機と切断状態であると判定した場合、携帯機は所定圏内に存在しないと判定することを特徴としてもよい。
これによれば、無線信号の強度が所定値以上または未満か、通信状態が接続状態または切断状態かの組み合わせにより判定することで、携帯機の位置を3段階に分けて示唆することができる。
【0013】
上記課題を解決するために、携帯機から無線信号を受信し、受信した無線信号の強度を判定し、携帯機との通信状態を判定し、判定した無線信号の強度と通信状態との組み合わせにより携帯機の位置を判定し、判定した携帯機の位置を示唆し出力する車両用制御方法が提供される。
これによれば、無線信号の強度と通信状態との組み合わせにより携帯機の位置を判定することで、走行中に携帯機が落下等して搭乗者から離れた場合、携帯機がどの程度離れているのかの判定精度を向上させ、その位置を示唆する車両用制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、走行中に携帯機が落下等して搭乗者から離れた場合、携帯機がどの程度離れているのかの判定精度を向上させ、その位置示唆する車両用制御装置および制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る第一実施例の車両用制御システムのブロック構成図。
【
図2】本発明に係る第一実施例の車両用制御システムにおける制御装置と携帯機の距離に応じた状況等を説明する説明図。
【
図3】本発明に係る第一実施例の車両用制御システムにおける制御装置と携帯機の処理を示すフロー図。
【
図4】本発明に係る第一実施例の制御装置における表示処理判定の処理を示すフローチャート。
【
図5】本発明に係る第一実施例の制御装置および携帯機における通信状態判定の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至
図5を参照し、本実施例における車両用制御システム100を説明する。車両用制御システム100は、
図1に示すように、車両CRに搭載される制御装置20と、車両CRの搭乗者が携帯し制御装置20と通信を行う携帯機10とから構成される。車両CRは、道路を走行するための車両であり、(四輪の)自動車、自動二輪車(オートバイ)、原動機付自転車などを言う。本実施例では自動二輪車を例に説明する。
【0017】
携帯機10は、制御装置20と通信を行う機能を有する携帯機器であればよく、車両CRの専用のキーフォブ(FOB)でもよいし、スマートフォンなどの汎用の携帯端末であってもよい。携帯機10は、制御装置20と無線信号を送受信する送受信部12と、携帯機10の全体の制御を行う制御部11と、様々なデータ/プログラムを長期的/短期的に記憶する記憶部13と、携帯者が操作を行うための操作部14と、これらに電力を供給する電源(図示せず)を備える。制御部11は、所謂CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-processing Unit)である。記憶部13は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、キーフォブであればそれほど大きなメモリを有していないが、スマートフォンであれば大きなメモリを有している。操作部14は、キーフォブの場合は押ボタンである場合多いが、スマートフォンであればタッチスクリーンである。携帯機10に搭載される電源は、キーフォブであれば容量の比較的小さいボタン電池であり、スマートフォンであれば比較的大容量のリチウムイオン電池である。送受信部12については後述する。
【0018】
制御装置20は、車両CRが備えるバッテリ(図示せず)から電力の供給を受け、エンジンやモータ、ハンドル等に対応する制御機構や、車両CRの状態を示す計器類等の装置/機器と適宜接続されているECU(Electric Control Unit)である。制御装置20は、携帯機10の送受信部12と無線信号を送受信する車載送受信部22と、制御装置20の全体の制御を行う車載制御部21と、データ/プログラムを長期的/短期的に記憶する車載記憶部23を備える。車載制御部21は、所謂CPUやMPUであり、車載記憶部23は、ROMやRAMなどである。
【0019】
車載送受信部22と送受信部12は、近距離無線通信技術のひとつであるBLEの規格に従った無線通信を行う。BLEの通信では、デバイス同士が接続する前に発見/接続するためにアドバタイズメントチャネルを用いた通信と、接続完了後にデバイス同士がデータを交換するデータチャネルを用いた通信がある。アドバタイズメントチャネルでは、ペリフェラルのデバイスがアドバタイズメントインターバル毎にアドバタイズメントパケットをブロードキャストし、セントラルのデバイスがスキャンした結果ブロードキャストされたアドバタイズメントパケットを受信すると接続要求をペリフェラルデバイスに送信し、両デバイスが接続される。両デバイスが接続された状態では、データチャネルにおいてセントラルからの信号およびペリフェラルからの信号に載せて互いの情報を所定の間隔で交換し、双方向の通信が可能となる。なお、アドバタイズメントインターバルは、規格上20ミリ秒~10.24秒である。また、データチャネルでは、データパケットの交換が行われ、規格上7.5ミリ秒~4秒の間隔で送受信される。
【0020】
車載送受信部22と送受信部12は、いずれがセントラルまたはペリフェラルであってもよい。ペリフェラルのデバイスは常にアドバタイズメントパケットをブロードキャストする必要があるため、消費電力の抑制を重視する場合には、比較的大きな電力(鉛蓄電池などの車載用バッテリ)を有する車載送受信部22がペリフェラルとなり、比較的小さな電力(ボタン電池)を有する携帯機10側の送受信部12がセントラルとなる。本実施例では、車載送受信部22がペリフェラル、送受信部12がセントラルとして説明する。
【0021】
車載制御部21は、その機能として内部に、車載送受信部22で受信した無線信号の強度を判定する無線信号強度判定部211と、携帯機10との通信状態を判定する通信状態判定部212と、携帯機10の位置を判定する携帯機位置判定部213と、携帯機位置判定部213が行った判定を示唆し出力する出力部214と、を備える。無線信号強度判定部211は、車載送受信部22が受信した送受信部12からの無線信号の強度を判定する。無線信号の強度は、受信信号強度として一般的に用いられるRSSI値(Received Signal Strength Indicator)が用いられる。RSSI値は相対的な値なので、無線信号強度判定部211は、所定の閾値を有し、RSSI値がその閾値以上であるか否かを判断する。RSSI値は、走行中に携帯機10が落下するなどして車両CRが遠ざかっていくに従い漸減していく。所定の閾値は、搭乗者が携帯機10を所持しているかまたは落下したかを区別できるように適宜設定される。
【0022】
通信状態判定部212は、車載送受信部22と送受信部12の間のデータチャネルにおけるデータパケットの交換が接続状態であるかまたは切断状態であるかを判定する。通信状態判定部212は、車載送受信部22が所定の間隔で送受信部12からのデータパケットを受信したか否かを検査する。車載送受信部22と送受信部12間の通信は2.4GHz帯の電波を用いるため人体の影響や他の電子デバイスとの干渉により不達になることがあるので、1回のみの不達で切断したと判断するより、所定の複数回数連続してデータパケットを受信しなかった場合に切断されたと判定することが好ましい。搭乗者が携帯機10を所持している場合には基本的に接続状態であるが、走行中に携帯機10が落下するなどして車両CRから遠ざかった場合、連続してデータパケットを受信することができなくなり切断状態と判定される。
【0023】
携帯機位置判定部213は、無線信号強度判定部211が判定した無線信号の強度と、通信状態判定部212が判定した通信状態との組み合わせにより携帯機10の位置を判定する。無線信号強度判定部211が判定した無線信号の強度は、上述したように所定の閾値以上か否かの2つの区分で判定され、通信状態判定部212が判定した通信状態は、上述したように定期的なデータパケットを受信したか否かまたは不達が所定の回数以上連続したか否かの2つの区分で判定される。したがって、その組み合わせは、(A)無線信号の強度が所定の閾値以上かつ通信状態が接続状態、(B)無線信号の強度が所定の閾値未満かつ通信状態が接続状態、(C)無線信号の強度が所定の閾値以上かつ通信状態が切断状態、(D)無線信号の強度が所定の閾値未満かつ通信状態が切断状態、の4つが考えられる。しかし、通常(C)のケースはないので、携帯機位置判定部213は、(A)、(B)、(D)の3つの組み合わせを判定する。
【0024】
出力部214は、携帯機位置判定部213が行った判定を車両にCRの搭乗者に示唆するために出力する。示唆のしかたは、搭乗者に伝達できる手段であれば特に限定されない。たとえば、出力部214は、
図1に示すように車両CRの計器類の表示器24に視覚的に示すために出力してもよいし、警告音を鳴動させるなど聴覚的に示すために出力してもよいし、車載送受信部22や他の通信部を介して、携帯機10以外の通信機器に対して無線信号を送信するように出力してもよい。また、出力部214は、(A)、(B)または(D)の位置判定を区別して車両CRの搭乗者に示唆してもよい。たとえば、(A)の状態は、搭乗者が携帯機10を携帯している通常の状態である想定されるので、出力部214は、通常の状態である旨を搭乗者に示唆できればよく、その旨の信号を出力しなくてもよい。出力部214の出力とは、かかる場合も含むことを言う。
【0025】
このように、制御装置20が無線信号の強度と通信状態との組み合わせにより携帯機10の位置を判定することで、車両CRの走行中に携帯機10が落下や投げ捨て等して搭乗者から離れた場合、携帯機10がどの程度離れているのかの判定精度を向上させ、その位置を示唆する車両用の制御装置20が提供される。
【0026】
図2は、携帯機10の状況すなわち制御装置20と携帯機10間の距離に応じた、信号強度、通信状態、位置判定を示している。搭乗者が携帯機10を所持している状態においては、車両CRと携帯機10の距離は2~3m以下の範囲(近接した位置)であるので、そのことを示す信号強度のRSSI値は閾値(本実施例では、50とした)以上であり、所定間隔でデータパケットを交換する双方向通信が行われる接続状態である。このような場合には、携帯機位置判定部213は、(A)であると判定し、出力部214は、表示器24におけるランプの消灯を維持し、携帯機10は搭乗者に所持されている(落下していない)ことを示唆する。
【0027】
RSSI値が閾値未満となり、車両CRと携帯機10の距離が2~3mを超える範囲にあることになった場合、携帯機10は搭乗者に所持されていない(落下した)と想定される。その場合であっても、BLEの場合は数十メートルから100メートル程度の範囲(所定圏内)で通信が可能すなわち接続状態を維持できるため、携帯機10と接続状態にあるかまたは切断状態になるかにより、どの程度離れているかを検出できる。したがって、RSSI値が閾値未満であり、かつ、所定間隔でデータパケットを交換する双方向通信が行われる接続状態である場合、携帯機位置判定部213は、(B)であると判定する。出力部214は、表示器24におけるランプを緑色に点灯するように出力し、携帯機10は落下したが、車両CRから接続状態を維持できる距離(本実施例では、100mとした)内に存在することを示唆する。
【0028】
また、RSSI値が閾値未満となり、100メートル程度を超えた(所定圏外)ため所定間隔でデータパケットを交換する双方向通信が行われず切断状態である場合、携帯機位置判定部213は、(D)であると判定する。出力部214は、表示器24におけるランプを赤色に点灯するように出力し、携帯機10は落下し、車両CRから接続状態を維持できる距離以上に離れて存在することを示唆する。このように、無線信号の強度が所定値(所定の閾値)以上または未満か、携帯機10が所定圏内にあって通信状態が接続状態または所定圏外にあって切断状態かの組み合わせにより判定することで、出力部214は、携帯機の位置を3段階に分けて示唆することができる。
【0029】
図3乃至
図5を参照し、車両用制御方法を説明する。
図3においては、最初、携帯機10は車両CRの搭乗者に所持されている状態である。携帯機10の送受信部12と車載送受信部22は、近接した位置に存在するので、接続状態にあり双方向通信を行っている。車載制御装置20は、携帯機10からデータパケットを受信すると算出したRSSI値が所定の閾値(50)以上でありかつ接続状態であると判定し、メータ表示処理判定(1)を行う。このメータ表示処理判定(1)を詳細に説明すると以下のようになる。
【0030】
図4に示すように、車載制御装置20は、まずS100において、通信状態を判定する。この通信状態の判定は、
図5に示すように、S200において、双方向通信の失敗が規定時間経過したか、すなわち定期的なデータパケットの受信に所定の回数以上連続して失敗したかにより判定する。今は搭乗者に所持され定期的に受信している状態なので、この判定は「NO」となり、S204において接続状態であると判定する。なお、フローチャートにおけるSはステップを示す。そうすると、車載制御装置20は、
図4のS102において、RSSI値が所定の閾値以上か否かを判定する。今は搭乗者に所持され閾値以上なので、車載制御装置20は、S104において消灯指示を行う。そうすると、表示器24は、メータ表示において消灯する。
【0031】
図3において、次いで、何らかの事情により定期的なデータパケットの受信に1回失敗した状態を示す。この場合、車載制御装置20は、通信状態判定(1)を行い、携帯機10は、通信状態判定(4)を行う。通信状態判定(1)および(4)では、
図5に示すように、この段階では1回しか失敗していないので、規定時間経過には至らず、S200においては「NO」とされ、S204/S100において接続状態であると判定される。そうすると、S102において、RSSI値を所定の閾値未満であると判定し、メータ表示処理判定(2)を行い、S106において緑色点灯指示を行う。そうすると、表示器24は、メータ表示において緑色に点灯する。この時に搭乗者が車両CRを停車し、携帯機10を所持していないことに気が付けば、携帯機10は落下したが車両CRから接続状態を維持できる距離(たとえば100m以内)内に存在することが分かる。
【0032】
図3において、次いで、定期的なデータパケットの受信に成功していた接続状態から切断状態に至る状況を示す。最初接続状態にあり双方向通信を行っている。車載制御装置20は、携帯機10からデータパケットを受信すると算出したRSSI値が所定の閾値未満でありかつ接続状態であると判定し、上述したメータ表示処理判定(2)と同様の判定を行う。しかし、次の定期的なデータパケットの受信に失敗し、車載制御装置20は、通信状態判定(2)を行い、携帯機10は、通信状態判定(5)を行う。通信状態判定(2)と(5)は、上述した通信状態判定(1)と(4)と同様の処理が行われる。
【0033】
さらに、次には定期的なデータパケットの受信に連続して失敗した状態を示す。そうすると、車載制御装置20は、通信状態判定(3)を行い、携帯機10は、通信状態判定(6)を行う。通信状態判定(3)および(6)では、
図5に示すようにS200において、双方向通信が2回連続して失敗し、規定時間を経過したので「YES」とされ、S202において切断状態であると判定される。なお、本実施例では、不達の所定の回数は2回とした。そして、メータ表示処理判定(3)では、制御装置20は、
図4のS100で切断状態とし、S108において赤色点灯指示を行う。そうすると、表示器24は、メータ表示において赤色に点灯する。この時に搭乗者が車両CRを停車し、携帯機10を所持していないことに気が付けば、携帯機10は落下し、車両CRから接続状態を維持できない距離(たとえば100m以上)離れた位置に存在することが分かる。
【0034】
上述したことは、携帯機10と車載制御装置20の間の無線通信にBluetooth特にBLEを採用した場合において、走行中に携帯機10が落下等して搭乗者から離れた場合、携帯機10がどの程度離れているのかの判定精度を向上させ、その位置を示唆する車載制御装置20の制御方法を提供するものである。この制御方法は、携帯機10から無線信号を受信し、受信した無線信号の強度を判定し、携帯機10との通信状態を判定し、判定した無線信号の強度と通信状態との組み合わせにより携帯機10の位置を判定し、判定した携帯機10の位置を示唆し出力する車両用制御方法である。これによれば、走行中に携帯機10が落下等して搭乗者から離れた場合、携帯機10がどの程度離れているのかの判定精度を向上させ、その位置を示唆する車両用制御方法が提供できる。
【0035】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0036】
100 車両用制御システム
10 携帯機
11 制御部
12 送受信部
13 記憶部
14 操作部
20 制御装置
21 車載制御部
211 無線信号強度判定部
212 通信状態判定部
213 携帯機位置判定部
214 出力部
22 車載送受信部
23 車載記憶部
24 表示器(メータ)
CR 車両