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  • 特開-燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018914
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/08 20060101AFI20230202BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
F23N5/08 D
G01J1/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123285
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】大西 隆二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛尚
(72)【発明者】
【氏名】松本 匠平
【テーマコード(参考)】
2G065
3K005
【Fターム(参考)】
2G065AB05
2G065BA17
2G065BB21
2G065BC14
2G065DA03
2G065DA06
3K005QA03
3K005QB08
3K005QC01
3K005SA02
3K005SA05
3K005SA11
(57)【要約】
【課題】火炎検出手段の劣化により火炎の誤検出を長期的かつ安定的に特定できる燃焼装置を提供することである。
【解決手段】バーナにおける火炎の有無を検出する火炎検出器と、火炎による燃焼後のガスに含まれる検出対象ガスの濃度を検出するガス検出装置と、バーナに着火するための着火処理が行われた着火タイミングにおいて、火炎検出器により火炎有りが検出されているときであっても、ガス検出装置により検出された濃度と所定の閾値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判定した場合は、所定の失火時制御を行う燃焼装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎を発生させるバーナと、
前記バーナに着火するための着火装置と、
前記バーナにおける火炎の有無を検出する火炎検出手段と、
前記火炎による燃焼後のガスに含まれる検出対象ガスの濃度を検出する濃度検出手段と、
前記バーナに着火するための着火処理が行われた着火タイミングにおいて、前記火炎検出手段により火炎有りが検出されているときであっても、前記濃度検出手段により検出された濃度と所定の閾値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判定した場合は、所定の失火時制御を行う制御手段とを備える、燃焼装置。
【請求項2】
前記火炎検出手段は、光の入射の有無に基づいて火炎の有無を検出し、
前記火炎検出手段への火炎の光の入射を遮断する遮断状態と、前記火炎検出手段への炎の光の入射を遮断しない非遮断状態とに切り替え可能な遮光手段と、
前記着火タイミングにおいて、前記火炎検出手段により火炎有りが検出されているときであって、前記濃度検出手段により検出された濃度と所定の閾値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判断した場合は、前記遮光手段を前記遮断状態とすることにより前記火炎検出手段により火炎有りが未だ検出されているか否かを判定する判定手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記判定手段により火炎有りが未だ検出されていると判定されたときに、前記失火時制御を行う、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記失火時制御は、燃焼させるための処理を停止する制御であり、
前記制御手段は、前記判定手段により火炎無しが検出されていると判定されたときには、前記燃焼させるための処理を継続しつつ、前記濃度検出手段により検出された濃度と所定の閾値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判定した旨を報知するための報知制御を行う、請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記着火タイミング以降においても、前記濃度検出手段により検出された濃度と特定値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判定した場合は、前記遮光手段を前記遮断状態とすることにより前記火炎検出手段により火炎有りが未だ検出されているか否かを判定する、請求項2または請求項3に記載の燃焼装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置には、バーナの火炎が発生しているかを検出する火炎検出手段が備えられている。この火炎検出手段によって、バーナの火炎の有無を検出し、検出結果に応じてバーナの燃焼を制御している。火炎検出手段として、紫外線検出器によって火炎を検出するものがある。また、紫外線検出器は、劣化すると、火炎が無い状態であっても自己放電を起こして火炎有りと誤検出してしまう。このような誤検出を特定するために、例えば、バーナと紫外線検出器との間に開閉動作が可能なシャッタを設けて、紫外線検出器により火炎有りと判定されている場合であっても、シャッタを閉めて遮光して当該火炎有りとの判定が維持されているときに、当該紫外線検出器が劣化により誤検出していることを特定可能とするものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6-100332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の燃焼装置におけるシャッタは、物理的に動作するものである。このため、シャッタの動作頻度が高くなると、その分、シャッタ機構の寿命を縮めてしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、火炎検出手段の劣化により火炎の誤検出を長期的かつ安定的に特定できる燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従う燃料装置は、火炎を発生させるバーナと、前記バーナに着火するための着火装置と、前記バーナにおける火炎の有無を検出する火炎検出手段と、前記火炎による燃焼後のガスに含まれる検出対象ガスの濃度を検出する濃度検出手段と、前記バーナに着火するための着火処理が行われた着火タイミングにおいて、前記火炎検出手段により火炎有りが検出されているときであっても、前記濃度検出手段により検出された濃度と所定の閾値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判定した場合は、所定の失火時制御を行う制御手段とを備える。
【0007】
上記の構成によれば、濃度検出手段が物理的に動作するものではないため、検出対象ガスの濃度を頻繁に検出するようにしたとしても当該濃度検出手段の寿命に及ぼす影響は少ない。これにより、火炎検出手段により火炎有りが検出されているときに当該検出が誤検出であるか否かを長期的かつ安定的に特定できる。
【0008】
好ましくは、前記火炎検出手段は、光の入射の有無に基づいて火炎の有無を検出し、前記火炎検出手段への火炎の光の入射を遮断する遮断状態と、前記火炎検出手段への炎の光の入射を遮断しない非遮断状態とに切り替え可能な遮光手段と、前記着火タイミングにおいて、前記火炎検出手段により火炎有りが検出されているときであって、前記濃度検出手段により検出された濃度と所定の閾値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判断した場合は、前記遮光手段を前記遮断状態とすることにより前記火炎検出手段により火炎有りが未だ検出されているか否かを判定する判定手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記判定手段により火炎有りが未だ検出されていると判定されたときに、前記失火時制御を行う。
【0009】
上記の構成によれば、濃度検出手段により検出された濃度と所定の閾値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判断した場合に、遮光手段を遮断状態に切り替えて火炎検出手段による検出が誤検出であるか否かを特定できる。このため、遮光手段の切り替え頻度を抑えることができ、火炎検出手段により火炎有りが検出されているときに当該検出が誤検出であるか否かを長期的かつ安定的に特定できる。
【0010】
好ましくは、前記失火時制御は、燃焼させるための処理を停止する制御であり、前記制御手段は、前記判定手段により火炎無しが検出されていると判定されたときには、前記燃焼させるための処理を継続しつつ、前記濃度検出手段により検出された濃度と所定の閾値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判定した旨を報知するための報知制御を行う。
【0011】
上記の構成によれば、判定手段により火炎無しが検出されていると判定されて火炎検出手段による検出が誤検出ではないことが特定されたときには、報知制御を行うに留めて、燃焼を継続させることにより燃焼効率を維持できる。
【0012】
好ましくは、前記判定手段は、前記着火タイミング以降においても、前記濃度検出手段により検出された濃度と特定値との比較結果に基づき火炎が発生していないと判定した場合は、前記遮光手段を前記遮断状態とすることにより前記火炎検出手段により火炎有りが未だ検出されているか否かを判定する。
【0013】
上記の構成によれば、着火タイミング以降においても、濃度検出手段を用いて、火炎検出手段による検出が誤検出であるか否かを特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】燃焼装置が用いられるボイラの構成を模式的に示す図である。
図2】火炎判定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示に係る燃焼装置は、ボイラなどで用いられる燃焼装置である。以下、該燃焼装置について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本発明に含まれることが意図される。
【0016】
<概略構成について>
以下に、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る燃焼装置を備えるボイラ1について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置を備えるボイラ1の構成を模式的に示す図である。
【0017】
ボイラ1は、燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラ本体2と、空気供給路30を介してボイラ本体2内に空気を送り込む送風機3と、ボイラ本体2からの排ガスなどを導出する煙道4と、ボイラ本体2に燃料を供給する燃料供給ライン5と、ボイラ1の動作を制御する制御部6と、火炎の有無を検出する火炎検出器7a(火炎検出手段の一例)と、遮光装置7b(遮光手段の一例)と、パイロットバーナ(バーナの一例)8と、着火装置9と、メインバーナ20と、ガス検出装置10(濃度検出手段の一例)とを備えている。燃焼装置は、制御部6と、火炎検出器7aと、遮光装置7bと、パイロットバーナ8と、着火装置9と、メインバーナ20と、ガス検出装置10とを含む。なお、燃料は、ガスである例について説明するが、ガスなどの気体に限らず、油などの液体であってもよい。
【0018】
メインバーナ20は、ボイラ本体2と空気供給路30との間の接続部に設けられており、空気供給路30を介して送風機3から燃焼用空気が供給される。パイロットバーナ8は、その先端がメインバーナ20に近接しており、当該メインバーナ20に点火可能となるように設けられている。
【0019】
燃料供給ライン5は、空気供給路30に接続する燃料供給ライン5aと、分岐してパイロットバーナ8に接続する燃料供給ライン5bとを含む。燃料供給ライン5aから空気供給路30に供給される燃料は、送風機3から送風される空気と混合されて、ボイラ本体2内のメインバーナ20に供給される。燃料供給ライン5bからパイロットバーナ8に供給される燃料は、空気供給路30の上流側において分岐されたパイロット用空気供給路30aから供給される空気と当該パイロットバーナ8内において混合される。燃料供給ライン5aには、流路を開閉するための開閉弁(電磁弁)11,12と、燃料供給量調整弁13とが設けられている。燃料供給量調整弁13は、ボイラ本体2に供給する燃料の流量を調整可能である圧力調整弁として機能するとともに遮断機能をも備える。燃料供給量調整弁13は、開閉弁11,12よりも下流側に設けられており、制御部6によって開度が調整されるモータバルブである。なお、燃料供給量調整弁13は、燃料の流量を調整するものであればモータバルブに限らず、例えば、空気式制御弁であってもよい。また、燃料供給ライン5bには、流路を開閉するための開閉弁(電磁弁)14、15が設けられている。
【0020】
着火装置9は、パイロットバーナ8に着火するためのスパークを発生させる点火装置(イグナイタ)であり、空気供給路30に設けられている。パイロットバーナ8は、着火装置9から発生するスパークによって着火して火炎を発生し、この火炎によってメインバーナ20の着火が行われて、ボイラ本体2内で燃料を燃焼させる。
【0021】
火炎検出器7aは、少なくともパイロットバーナ8の火炎の有無を検出可能となる位置に設けられている。火炎検出器7は、紫外線光電管、硫化カドミウムセル、硫化鉛セルなどの光検出手段であって、火炎を光(可視光および非可視光を含む)として検出する。火炎検出器7としては、紫外線に基づいて火炎の有無を検出する、紫外線光電管等の紫外線検出器を用いることが好ましいが、これに限らず、可視光や赤外線を検出する検出器を用いるものであってもよい。なお、検出器のうち紫外線検出器は、直接火炎の中に入れずに使用でき、煤などの付着による汚れの問題が生じにくく、耐久性に優れることに加え、可視光や赤外線を検出する検出器と比べて、炉壁の赤熱に反応しにくく、かつ、青火の検出精度が高いため、好ましく用いられる。
【0022】
遮光装置7bは、パイロットバーナ8の火炎が発生する位置と火炎検出器7aとの間に設けられている。図1では、火炎検出器7aが遮光装置7bから所定の距離を置いた位置に配置されている例を示しているが、火炎検出器7aと遮光装置7bとを近接させて遮光装置7bの直前に(例えば隣接して)火炎検出器7aが配置されているものであってもよい(一体型、別体型のいずれでもよい)。遮光装置7bは、制御部6からの制御信号に基いて、火炎検出器7aへのパイロットバーナ8の炎の光の入射を遮断する遮断位置(遮断状態)と、火炎検出器7aへの炎の光の入射を遮断しない非遮断位置(非遮断状態)との間で位置変更可能に配置されるシャッタにより構成される。
【0023】
ガス検出装置10は、煙道4の所定位置に設けられている。ガス検出装置10は、ガスセンサを備えており、煙道4から取り出した排ガスを検出対象ガスとしてガスセンサで検出するようになっている。また、ガス検出装置10は、煙道4から取り出した排ガスを再び煙道4に還流するように形成されている。ガスセンサは、取り出したガス(排ガス)に含まれる一酸化炭素の濃度を検出するものを例示する。
【0024】
制御部6は、内部にメモリ、タイマ、および演算処理部を含むコンピュータにより実現される。制御部6は、燃焼の段階に応じて、ボイラ本体2への燃焼用空気の供給流量に基づき、燃料供給ライン5aから空気供給路30(ひいてはメインバーナ20)に供給する燃料の供給流量を調整する。すなわち、燃焼用空気の流量が増加すれば、燃料供給量調整弁13の開度を大きくして燃料の流量を増加させる。一方、燃焼用空気の流量が減少すれば、燃料供給量調整弁13の開度を小さくして燃料の流量を減少させる。また、制御部6は、開閉弁14、15の開閉を制御することにより、燃料供給ライン5bからパイロットバーナ8に燃料を供給するか否かを制御する。なお、制御部6は、メインバーナ20において燃焼している場合(負荷がある場合)においてもパイロットバーナ8に燃料を供給して燃焼させるように制御するが、これに限らず、メインバーナ20において燃焼している場合にはパイロットバーナ8に燃料を供給せず、メインバーナ20において燃焼が不要(負荷がない)場合にパイロットバーナ8に燃料を供給して燃焼させるように制御するものであってもよい。制御部6は、さらに火炎判定機能を備えている。
【0025】
制御部6による火炎判定機能とは、少なくともパイロットバーナ8において火炎が発生しているか否かを判定する機能である。制御部6は、第1段階として、火炎検出器7aの検出結果に基づき、パイロットバーナ8における火炎の有無を判定する。
【0026】
また、制御部6は、第1段階の判定によりパイロットバーナ8の火炎有りを検出しているときに、第2段階として、ガス検出装置10により検出された濃度が、火炎有りの場合に取り得る特定の濃度であるか否かにより、パイロットバーナ8における火炎の有無を判定する。排ガス中における一酸化炭素の濃度については、例えば、着火時において実際にパイロットバーナ8が着火したときには瞬間的に所定の閾値を超えることや、燃焼駆動中において失火したときには異常値(特定値)となることなどが確認されている。この現象に着眼して、第1段階の判定とは別に、第2段階として、ガス検出装置10を用いて、排ガス中における検出対象ガス(例えば一酸化炭素)の濃度と、所定の閾値や異常値などとを比較することにより、パイロットバーナ8における火炎の有無を判定する。
【0027】
さらに、制御部6は、第2段階の判定によりパイロットバーナ8の火炎有りが検出されていないとき、つまり第1段階の判定結果と第2段階の判定結果とに齟齬が生じているときに、第3段階として、遮光装置7bを遮光状態となるようにシャッタを動作させて、火炎検出器7aの検出結果が未だにパイロットバーナ8の火炎有りを検出しているか、つまり火炎検出器7aの誤検出か否かを判定する。これにより、火炎検出器7aによる誤検出か否か等を特定する。
【0028】
制御部6は、火炎判定機能の判定結果に基づいて、メインバーナ20への燃料供給を行うか否かを判断する。すなわち、火炎判定機能によって火炎の有無を監視し、例えば着火時においてパイロットバーナ8の火炎が発生している旨が判定されたときに、メインバーナ20への燃料供給を開始して燃焼装置による燃焼を開始させる。これにより、火炎検出器7aの誤検出により、パイロットバーナ8の火炎が発生していないにもかかわらず燃料供給を開始してしまうことを防止できる。
【0029】
<火炎判定処理について>
図2を参照して、制御部6により行われる火炎判定処理について説明する。図2は、火炎判定処理の一例を説明するためのフローチャートである。火炎判定処理は、制御部6により、所定時間(例えば、1秒)毎に繰り返し実行される。ステップS10では、火炎検出器7aによる火炎の検出対象となるバーナ(例えば、パイロットバーナ8)に着火するための着火処理が行われた着火タイミングであるか否かを判定する。着火タイミングであると判定されたときには、第1段階の判定として、ステップS11において火炎検出器7aによる検出結果に基づき、火炎有りと判定されているか否かを判定する。ステップS11において火炎有りと判定されていないときには、後述するステップS20~S24の処理を行っていることから着火していない可能性が高いため、ステップS16において失火時制御(例えば、燃焼を開始させない、あるいは燃焼停止など)を行う。
【0030】
一方、ステップS11において火炎有りと判定されているときには、第2段階の判定として、ステップS12においてガス検出装置10の検出結果に基づき排ガスの一酸化炭素の濃度が着火したときに取り得る所定の閾値を超えたか否かを判定する。ステップS12において所定の閾値を超えたと判定されたときには、第1段階の判定結果と第2段階の判定結果とが整合するため、そのまま火炎判定処理を終了する。これに対して、ステップS12において所定の閾値を超えたと判定されなかったときには、第1段階の判定結果と第2段階の判定結果とに齟齬が生じているため、第3段階の判定に移行する。まず、ステップS13において遮光装置7bを遮断状態に制御する。次に、ステップS14において火炎検出器7aによる検出結果に基づき、未だに火炎有りと判定されているか否かを判定する。
【0031】
ステップS14において火炎有りと判定されていないときには、遮断状態において火炎検出器7aにより火炎無しが検出されており正常である一方で、ガス検出装置10に異常濃度異常アラームが生じている可能性があるため、ステップS15において濃度異常アラームを行う。なお、濃度異常アラームを行う場合であっても、外的要因により濃度の一時的な異常である可能性も高いため、燃焼させるための処理を継続・維持する。これに対して、ステップS14において未だに火炎有りと判定されているときには、遮断状態においても火炎検出器7aにより火炎有りが検出されており異常であるため、失火時制御を行う。なお、この場合には、後述するステップS24と同様に、火炎検出器7aに異常が生じている旨の火炎検出器異常アラームを行うようにしてもよい。
【0032】
ステップS10に戻り、着火タイミングであると判定されなかったときには、ステップS20においてすでに燃焼している燃焼駆動(例えば、制御部6が開閉弁14、15を開状態に制御している状態)中であるか否かを判定する。ステップS20において燃焼駆動中であると判定されたときには、ステップS21において火炎検出器7aによる検出結果に基づき、火炎有りと判定されているか否かを判定する。ステップS21において火炎有りと判定されていないときには、失火している可能性が高いため、ステップS16において失火時制御を行う。
【0033】
一方、ステップS21において火炎有りと判定されているときには、ステップS22においてガス検出装置10の検出結果に基づき排ガスの一酸化炭素の濃度が失火したときに取り得る異常値となっているか否かを判定する。ステップS22において異常値となっていると判定されなかったときには、ステップS21における判定結果とステップS22における判定結果とが整合するため、そのまま火炎判定処理を終了する。これに対して、ステップS22において異常値となっていると判定されたときには、ステップS21における判定結果とステップS22における判定結果とに齟齬が生じているため、遮光装置7bを用いた判定を行うために、ステップS13に移行する。
【0034】
ステップS20において燃焼駆動中であると判定されなかったとき、つまり着火タイミングでも燃焼駆動中でもない燃焼停止時であって通常であれば火炎有りとはならない状況下においては、ステップS23において火炎検出器7aによる検出結果に基づき、火炎有りと判定されているか否かを判定する。ステップS23において火炎有りと判定されていないときには、火炎検出器7aが正常であるため、そのまま火炎判定処理を終了する。一方、ステップS23において火炎有りと判定されているときには、火炎検出器7aに異常が生じていることが明らかであるため、ガス検出装置10の検出結果にかかわらず、ステップS24において火炎検出器7aに異常が生じている旨の火炎検出器異常アラームを行う。
【0035】
本実施の形態に係る燃焼装置を備えるボイラ1においては、着火タイミングにおいて、図2のステップS11にて火炎検出器7aによる検出結果に基づき火炎有りと判定され、ステップS12にてガス検出装置10の検出結果に基づき濃度が所定の閾値を超えておらず火炎無しと判定されたことにより、ステップS13にて遮光装置7bを遮断状態に制御しステップS14にて火炎検出器7aによる検出結果に基づき未だに火炎有りと判定されたときに、火炎検出器7aの異常とみなしてステップS16において失火時制御が行われる。ガス検出装置10は物理的に動作するものではないため、検出対象ガスである排ガス中の一酸化炭素の濃度を頻繁に検出するようにしたとしても当該ガス検出装置10の寿命に及ぼす影響は少ない。一方、遮光装置7bを遮断状態に制御する頻度を抑えることができる。その結果、火炎検出器7aにより火炎有りが検出されているときに当該検出が誤検出であるか否かを長期的かつ安定的に特定できる。
【0036】
また、ステップS14にて火炎検出器7aによる検出結果に基づき火炎有りと判定されなかったときには、燃焼させるための処理を継続しつつ、ステップS15にて濃度異常アラームが行われる。このように、火炎検出器7aが正常である場合には、濃度異常アラームを行うに留めて、燃焼を継続させることにより燃焼効率を維持できる。
【0037】
また、着火タイミング以降の燃焼稼働中においても、ステップS22にてガス検出装置10の検出結果に基づき排ガスの一酸化炭素の濃度が失火したときに取り得る異常値となっているときには、ステップS13に移行される。これにより、着火タイミング以降においても、ガス検出装置10を用いて、火炎検出器7aによる検出が誤検出であるか否かを特定できる。
【0038】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
【0039】
上記実施の形態では、火炎検出器7aにより、パイロットバーナ8の火炎の有無を検出する例について説明したが、検出対象とするバーナは、これに限らず、メインバーナ20を検出対象とするものであってもよく、また、パイロットバーナ8およびメインバーナ20のいずれをも検出対象とするものであってもよい。つまり、火炎判定処理により火炎の有無を判定する対象は、パイロットバーナ8に限らず、メインバーナ20であってもよく、パイロットバーナ8およびメインバーナ20双方であってもよい。
【0040】
上記実施の形態では、ガス検出装置10の検出対象ガスが排ガス中の一酸化炭素である例について説明したが、検出対象ガスはこれに限らず、二酸化炭素、酸素、窒素酸化物などのいずれかであってもよい。また、ガス検出装置10は、燃焼後のガスの濃度を検出できるものであれば、例えばボイラ本体2に設け、当該ボイラ本体2内の検出対象ガスを検出可能とするものであってもよい。
【0041】
上記実施の形態では、火炎判定処理において遮光装置7bを用いる例について説明したが、遮光装置7bを用いないものであってもよい。具体的には、図2のステップS12においてガス検出装置10の検出結果に基づき排ガスの一酸化炭素の濃度が所定の閾値を超えたと判定されなかったときには、ステップS16に移行して失火時制御を行うようにしてもよい。また、図2のステップS22においてガス検出装置10の検出結果に基づき排ガスの一酸化炭素の濃度が異常値となっていると判定されたときには、ステップS16に移行して失火時制御を行うようにしてもよい。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 ボイラ
2 ボイラ本体
3 送風機
4 煙道
5 燃料供給ライン
5a 燃料供給ライン
5b 燃料供給ライン
6 制御部
7a 火炎検出器
7b 遮光装置
8 パイロットバーナ
9 着火装置
10 ガス検出装置
11 開閉弁
12 開閉弁
13 燃料供給量調整弁
14 開閉弁
15 開閉弁
20 メインバーナ
30 空気供給路
30a パイロット用空気供給路
図1
図2