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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018921
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】監視装置及び監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/18 20060101AFI20230202BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G01V8/18
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123296
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 梢子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 広樹
【テーマコード(参考)】
2G105
5C086
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB16
2G105CC03
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH01
2G105JJ05
5C086AA22
5C086AA53
5C086BA30
5C086CA11
5C086CB15
5C086DA40
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA11
(57)【要約】
【課題】危険個所が比較的近傍に存在する領域を監視する監視装置及び監視システムを提供する。
【解決手段】監視システムは、比較的安全に利用可能な第1領域と、危険個所に比較的近いために進入が制限される第2領域との境界に沿う方向に光線を投じる投光部と、前記投光部から投じられた光線を検出する受光部と、前記境界の近傍に配置され、供給された信号に基づいた情報を出力する出力部と、前記光線の検出結果に基づいて前記光線の遮断が識別された場合に、前記第2領域への進入を検知したことを通知するための所定の情報を含む信号を前記出力部に送り、前記第2領域への進入を検知したことを前記出力部から出力させる制御部とを備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進入が制限される監視対象領域内に存在する物体からの反射光を検出する検出装置と、
前記反射光の検出に応じて前記監視対象領域内に存在する物体を検知したことを出力部から出力させる制御部と、
少なくとも前記検出装置を収納する筐体と、
を備え、
水平面に前記筐体と、前記監視対象領域への進入を抑制するように前記監視対象領域の境界部に配置されるバリケードとを射影すると、前記射影された筐体の像の位置と前記射影されたバリケードの像の位置とが重なるように配置可能な監視装置。
【請求項2】
前記バリケードは、少なくとも1つの三角コーンと前記三角コーンの筐体に支持されるバーとを含み、
前記射影されたバリケードの像は前記三角コーンの筐体の像を含む、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記三角コーンの筐体内と前記三角コーンの筐体の下部との何れか又は両方に配置される、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記三角コーンの筐体は、前記筐体を兼ねる、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記三角コーンの筐体に支持させるための穴径の貫通穴が設けられたドーナッツ状に形成されている部分を含む、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項6】
前記筐体の側面には、前記反射光を透過させるための開口又は光の透過性を有する保護材が設けられている、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の監視装置と、
前記境界部の近傍に配置され、供給された信号に基づいた情報を出力する出力部と
を備える監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
段差のある個所への転落や障害物などに掛かって転倒するなどの事故が発生することがある。例えば、工事現場には、転落や転倒に関わる危険個所が存在していて、このような危険個所への接近を避けるように三角コーン(パイロン)などを用いたバリケードが形成されている。バリケードは、より安全側の領域と、危険個所が存在する領域を区分する。工事現場で上記のように区分していても、上記の転落、転倒などの事故が発生することがあった。
【0003】
ところで、周囲の状況をスキャンするように、光ビームの照射方向を順に変えて送出して、その反射光をそれぞれ検出することで、周囲に存在する物体を検出するアクティブ型の検出装置と、単に物体からの反射光を検出するパッシブ型の検出装置とが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-191142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような検出装置を含む監視システムを工事現場に配置すると、検出装置を配置するスペースが必要とされ、作業に利用する作業領域又は通路のスペースが減少する。作業領域のスペースを確保しにくい作業現場には、上記のような監視システムを導入することが困難なことがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、危険個所が比較的近傍に存在する領域を監視する監視装置及び監視システムを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の課題を解決するための本発明の一態様は、進入が制限される監視対象領域内に存在する物体からの反射光を検出する検出装置と、前記反射光の検出に応じて前記監視対象領域内に存在する物体を検知したことを出力部から出力させる制御部と、少なくとも前記検出装置を収納する筐体と、を備え、水平面に前記筐体と、前記監視対象領域への進入を抑制するように前記監視対象領域の境界部に配置されるバリケードとを射影すると、前記射影された筐体の像の位置と前記射影されたバリケードの像の位置とが重なるように配置可能な監視装置である。
【0008】
(2)上記の監視装置において、前記バリケードは、少なくとも1つの三角コーンと前記三角コーンの筐体に支持されるバーとを含み、前記射影されたバリケードの像は前記三角コーンの筐体の像を含む。
【0009】
(3)上記の監視装置において、前記筐体は、前記三角コーンの筐体内と前記三角コーンの筐体の下部との何れか又は両方に配置される。
【0010】
(4)上記の監視装置において、前記三角コーンの筐体は、前記筐体を兼ねる。
【0011】
(5)上記の監視装置において、前記筐体は、前記三角コーンの筐体に支持させるための穴径の貫通穴が設けられたドーナッツ状に形成されている部分を含む。
【0012】
(6)上記の監視装置において、前記筐体の側面には、前記反射光を透過させるための開口又は光の透過性を有する保護材が設けられている。
【0013】
(7)本発明の一態様は、上記の監視装置と、前記境界部の近傍に配置され、供給された信号に基づいた情報を出力する出力部とを備える監視システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、危険個所が比較的近傍に存在することを通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本発明の実施形態の監視システム1の適用例を説明するための概略構成図である。
図1B】第1領域Z1と第2領域Z2との境界から第2バリケードまでの位置関係を説明するための図である。
図1C】第1領域Z1と第2領域Z2との境界から第2バリケードまでの位置関係を説明するための図である。
図2】実施形態の監視システム1の構成図である。
図3】実施形態の検出装置10の構成図である。
図4】実施形態の検出装置10の配置例を説明するための平面図である。
図5】比較例の監視装置101Zの配置例を説明するための平面図である。
図6】第2の実施形態の変形例の監視システム1Aの構成図である。
図7】実施形態の監視装置101Aの構成図である。
図8】第3の実施形態の監視システム1Bの構成図である。
図9】実施形態の監視装置101Rを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
実施形態における監視対象は、工事現場などのように危険個所が存在する領域を含む。
【0017】
(第1の実施形態)
【0018】
図1Aは、実施形態の監視システム1の適用例を説明するための概略構成図である。
監視システム1を適用する対象領域には、比較的安全に利用可能な第1領域Z1と、危険個所に比較的近いために進入が制限される第2領域Z2とが規定されている。第1領域Z1と第2領域Z2の境界又はその近傍には、複数の三角コーン(パイロン)が配置される。
【0019】
例えば、三角コーン201から204は、複数の三角コーンの一例である。例えば、三角コーン201から204は、第1領域Z1と第2領域Z2の境界上に配置されている。例えば、三角コーン201から三角コーン202をみなす方向、及び三角コーン201から三角コーン203をみなす方向は、第1領域Z1と第2領域Z2の境界の延伸方向に沿っている。
【0020】
上記の隣接する三角コーンの間には、バーB211a、B211b、B213、B214がそれぞれ設けられている。三角コーン201から204と、バーB211a、B211b、B213、B214などとの組み合わせによって、第2領域Z2を囲むような第1バリケードが形成されている。
【0021】
第2領域Z2内の一部に、危険個所Holeを含む第3領域Z3が設けられている。第3領域Z3の周囲には、その領域への進入を制限するための第2バリケードが設けられている。第2バリケードは、第1領域Z1と第2領域Z2の境界よりも内側(第2領域Z2側又は危険個所Hole側)に形成されている。
【0022】
例えば、三角コーン301から304は、第2バリケードを形成するように配置された複数の三角コーンの一例である。隣接する三角コーンの間には、バーB311からB314がそれぞれ設けられている。三角コーン301から304と、バーB311からB314との組み合わせによって、第3領域Z3を囲むような第2バリケードが形成されている。
【0023】
図1B図1Cは、第1領域Z1と第2領域Z2との境界から第2バリケードまでの位置関係を説明するための図である。図1Bに示すように、作業者がカメラを用いて現場の状況を撮影するときなどに撮像範囲を調整するために後ろ側に踏み出して、立ち位置を後ろに移すことがある。このような場合、踏み出した歩数分、第1領域Z1と第2領域Z2との境界から第2領域Z2の内側に入り込むことになる。このような場合に、後方の状況を十分に確認しなかったときなどに事故が生じることがある。
【0024】
これに対して、実施形態の場合、図1Cに示すように、第1領域Z1と第2領域Z2との境界から、上記の第2バリケードまでの距離dは、第1領域Z1から第2領域Z2に進入者が進入した場合でも、その進入者の安全が確保できるような距離を超えるように決定されている。例えば、その境界から第2バリケードまでの距離dは、一般的な歩幅(st)を基準にして、1歩から数歩分の歩幅に相当する長さ(st×N、Nは自然数。)を超えるように決定されている。このように、十分な距離dが確保されていれば、第2領域Z2側に誤って数歩踏み込んだとしても、それ以上進入しなければ、第3領域Z3に達しない。
【0025】
このような第1領域Z1から第2領域Z2への進入があったときに、監視システム1は、その進入を検出して、その近くに危険個所があることを告知するように形成されている。これにより、事故が発生する可能性を下げることができる。
【0026】
なお、三角コーン201から204の用途と、三角コーン301から304の用途は、上記のように互いに異なる。用途に合わせて、三角コーン201から204の意匠と、三角コーン301から304の意匠とを互いに異なるものにすれば、識別が容易になるが、これに制限されず同様の意匠を有するものであってもよい。
【0027】
図2を参照して、監視システム1について説明する。
図2は、実施形態の監視システム1の構成図である。図2に、監視システム1に係る三角コーン201、202と、監視装置101とを示す。監視システム1は、例えば監視装置101を備える。
【0028】
監視装置101の筐体は、三角コーン201の基台として用いられる。その筐体の上面の広さは、三角コーン201を配置可能な面積を有していて、その筐体の上部に三角コーン201を配置可能に形成されている。三角コーン201は、監視装置101の筐体から風などで飛ばされないように、その基部が監視装置101の筐体に係止されるように形成されているとよい。その係止の方法は、適宜選択してよい。
【0029】
監視システム1は、監視装置101を含む。例えば、監視装置101は、検出装置10と、制御部30と、出力部40と、を備える。
【0030】
監視システム1において、例えば、検出装置10と、制御部30とは、図示されない電源部とともに監視装置101の筐体に収納されている。なお、出力部40は、三角コーン201の上部に配置されて、監視装置101の筐体と同じ位置(第1位置とよぶ。)に配置される。なお上記の各電源部は、例えば安定化電源又は電池を含んで形成されていてもよい。
【0031】
検出装置10は、例えばToF方式(Time of Flight方式)により物体までの距離を光学的に測定するレンジセンサである。例えば、検出装置10は、図示を省略するが投光部11と、受光部12と、ミラー駆動部13とをその内部に備える。
【0032】
投光部11は、LED、レーザーダイオードなどを含めて構成されていて、電源部からの電力を用いて発光して、その発光により可視領域又は赤外領域の波長の光線(光ビーム)を発する。
【0033】
ミラー駆動部13は、鏡面加工されたミラー(不図示の光学系)と、そのミラーを回転させる駆動部本体(不図示)とを備える。例えば、ミラー駆動部13は、ミラーを回転させることにより、監視装置101の筐体の正面の向きを基準にした所定の角度範囲内で、予め定められた所定の方向に光線を投じる。例えば、監視装置101の筐体の正面の向きは、第1領域Z1と第2領域Z2との境界方向に直交する方向に向けて配置される。なお、上記のように光線を投じる方向が制限されていてもよく、これによらずに、これに代えて全方位に光線を投じるように形成されていてもよい。
【0034】
受光部12は、半導体型の受光器(フォトダイオード)などを含めて構成されていて、投光部11からミラーを経て外部に投じられた光線が物体で反射した反射光を検出して、これに応じた検出信号を生成する。
例えば、投光部11がパルス光を出力したタイミングから、受光部12が反射光のパルス光を検出したタイミングまでの時間差(パルス光の時間差)が、検出装置10から物体までの距離に応じて変化する。上記の時間差(パルス光の時間差)に基づいてToF方式よって検出装置10から物体までの距離が測定される。
【0035】
出力部40は、上記の境界の近傍に配置され、供給された信号に基づいた情報を出力する。例えば、出力部40は、スピーカーなどの発音体又は回転灯などの発光体を含む。出力部40は、電源部からの電力を用いて、境界から第2バリケードまでの地点に位置する侵入者に達するような音量又は光量で、所定の情報を出力する。
【0036】
制御部30は、検出装置10の検出結果(パルス光の時間差)に基づいて、検出対象の範囲内に物体が存在することを識別した場合に、第2領域Z2への進入を検知したことを通知するための所定の情報を含む信号を出力部40に送り、出力部40から上記の所定の情報を出力させる。
【0037】
例えば、上記の所定の情報を音で出力する場合には、「近くに危険個所があります。」、「この先の危険個所に注意してください。」などのメッセージを流したり、警報音を流したりするとよい。上記の所定の情報を光で出力する場合には、回転灯、赤色灯、黄色灯などを点灯してもよい。
【0038】
検出対象の範囲内に物体が存在しないと識別した場合には、制御部30は、スピーカーからの音声の出力動作やランプの点灯動作を非活性化させる。検出対象の範囲内に物体が存在すると識別した場合には、制御部30は、スピーカーからの音声の出力動作やランプの点灯動作を活性化させる。上記のように音声の出力動作やランプの点灯動作の制御は、例えば、制御部30の制御によって実施される。
【0039】
なお、検出装置10から離れる方向の検出範囲を予め定めておくことにより、壁、装置、什器などの障害物を検出対象から除くことができる。この検出範囲の設定は、ユーザが端末装置におけるGUIなどを利用して登録してもよい。或いは、制御部30は、初期状態の検出装置10による検出結果に基づいて、周囲の障害物を識別して、これに反応しないように検出範囲を設定してもよい。制御部30は、この設定データを用いて、予め設定された検出範囲内に存在する対象物を検出して、かつ同検出範囲外に存在する対象物を検出しないようにするとよい。
【0040】
図3を参照して、実施形態の検出装置10の構成例について説明する。図3は、実施形態の検出装置10の構成図である。図3(a)に検出装置10の水平断面(A-A’)の一例を示す。この断面図の下向きが、検出装置10の正面(FR)になる。図3(b)に、検出装置10の正面図を示す。図3(c)に、左面から視た検出装置10の側面図を示す。図3(a)に示した断面図は、上記の側面図における検出装置10のフレームの下端から高さhの水平面になる。
【0041】
検出装置10の筐体は、略長方体のフレームを有している。この図3(a)の断面図に示す断面では、そのフレームの一部が欠けている。図3(b)(c)に示すように、検出装置10の正面には、物体からの反射光を透過させるための開口が設けられている。この開口の一部に光の透過性を有する保護材が設けられていて、保護材を通過した光を検出装置10が検出する。
【0042】
検出装置10は、点Oを中心にして、周囲にパルス光を投じる。例えば、検出装置10がパルス光を投じる範囲は、正面方向FRを中心にした角度θの範囲になる。例えば角度θは、略180度であり、これ以上であるとよい。検出装置10が光を投じる範囲は、設定により予め定めることができる。
【0043】
この図3に示す検出装置10は、検出範囲として定められた所定の空間に光を投じてスキャンするタイプの一例である。
【0044】
図4図5を参照して、実施形態の検出装置10の配置例と検出範囲について説明する。図4は、実施形態の検出装置10の配置例を説明するための平面図である。
【0045】
その比較例について先に説明する。図5は、比較例の監視装置101Zの配置例を説明するための平面図である。図5に示す監視装置101Zは、三角コーン201Z、202、203、301、302の夫々とは別体で構成されている。この監視装置101Zを水平平面に射影した像と、三角コーン201Z、202、203、301、302の夫々とを水平平面に射影した像とは重ならない。換言すれば、三角コーン201Z、202、203、301、302の夫々を配置したスペース以外に、監視装置101Zを配置するためのスペースが必要になる。
【0046】
監視装置101Zを中心にして放射状に延びる線は、光ビームをモデル化して示すものである。例えば、監視装置101Zが配置されている位置は、第2領域Z2内である。そのため、第1領域Z1と第2領域Z2との境界と、監視装置101Zが配置されている位置までの間に隙間ができる。この隙間の領域を検出するためには、全周囲を検出可能な監視装置101Zを配置することが必要になる。そこで、監視装置101Zは、全周囲にパルス光を放射する。
【0047】
図4に戻って、上記の比較例との違いを中心に、検出装置10の配置例を説明する。
図4に示す監視装置101は、三角コーン201の位置に配置されている。この監視装置101を水平平面に射影した像と、三角コーン201を水平平面に射影した像とは重なる。換言すれば、三角コーン201、202、203、301、302を夫々配置したスペース以外に、監視装置101を配置するためのスペースを必要としない。
【0048】
例えば、監視装置101が配置されている位置は、三角コーン201の位置(第1位置)と同じ位置である。そのため、第1領域Z1と第2領域Z2との境界と、監視装置101Zが配置されている位置までの間に隙間ができない。この隙間が生じないので、監視装置101は、略180度の範囲を検出可能なものでよい。この監視装置101は、第2領域Z2側に向けてパルス光を放射することでよく、第2領域Z2の外側に向けてパルス光を放射せずにすむ。この監視装置101は、効率よく第2領域Z2内の状況を監視することができる。
【0049】
上記の比較例は、監視装置101Zを第2領域Z2内に配置する一例であるが、これに変えて、監視装置101Zを第1領域Z1内に配置するレイアウトも選択しうる。ただし、通行を制限するべき場所ではない第1領域Z1内のスペースを監視装置101Zが占有することになることから、通路として利用される第1領域Z1内の通行に支障が生じうる。このように比較例の場合には、第1領域Z1内又は第2領域Z2内に、監視装置101を配置することが必要になる。
【0050】
上記の実施形態によれば、監視システム1は、監視装置101を備える。監視装置101は、進入が制限される監視対象領域Z2内に存在する物体からの反射光を検出する検出装置10と、その反射光の検出に応じて監視対象領域Z2内に存在する物体を検知したことを出力部から出力させる制御部30と、少なくとも検出装置10を収納する筐体と、を備える。水平面に筐体と、監視対象領域Z2への進入を抑制するように監視対象領域Z2の境界部に配置される第1バリケードとを射影する。監視装置101は、射影された筐体の像の位置と射影された第1バリケードの像の位置とが重なるように配置可能である。これにより、危険個所が比較的近傍に存在する領域を監視することができる。監視システム1であれば、第1領域Z1内又は第2領域Z2内に、監視装置101を配置することを必要とすることなく、その境界上又はその境界近くの第1位置から第2領域Z2内を監視することができる。この点が、上述した比較例とは異なる。
【0051】
なお、上記の第1バリケードは、少なくとも1つの三角コーン201と三角コーン201の筐体に支持されるバーB211とを含み、射影された第1バリケードの像は三角コーン201の筐体の像を含むものであってよい。
【0052】
(第2の実施形態)
図6を参照して、第2の実施形態における監視システム1Aについて説明する。
前述の第1の実施形態において、監視装置101の筐体が三角コーン201の筐体の下部に配置されている事例について説明した。これに変えて、本実施形態では、監視装置101Aの筐体が三角コーン201Aの筐体内に配置されていている事例について説明する。なお、説明を省略するが、三角コーン201Aの筐体内と三角コーン201Aの筐体の下部との両方に配置された形態を制限するものではない。
【0053】
図6は、実施形態の監視システム1Aの構成図である。図6に、監視システム1Aに係る三角コーン201A、202から204と、監視装置101Aとを示す。監視システム1Aは、監視システム1に対して、三角コーン201に代わる三角コーン201Aと、監視装置101に代わる監視装置101Aとを備える。
【0054】
監視システム1Aにおける監視装置101Aは、三角コーン201Aの筐体内に収納されている。監視装置101Aの基本的な機能構成は、前述の監視装置101と同じでよい。監視装置101Aは、監視装置101に対して、構造(形状)と、配置される位置とが異なる。例えば、三角コーン201Aの筐体は、その内部に監視装置101Aを収納可能な容量を有している。三角コーン201Aの筐体の内面形状に干渉しないように、監視装置101Aが形成されている。
【0055】
例えば、監視装置101Aが三角コーン201Aの筐体と分離されている場合には、監視装置101Aを所望の場所に所望の方向に向けて配置した後に、三角コーン201Aの筐体を被せて利用する。また、監視装置101Aが三角コーン201Aの筐体に固定されている場合には、監視装置101Aを内蔵した三角コーン201Aを所望の場所に所望の方向に向けて配置して利用する。この場合、三角コーン201Aの筐体は、監視装置101Aの筐体を兼ねていてもよい。
【0056】
図7を参照して、実施形態の監視装置101Aの構成例について説明する。図7は、実施形態の監視装置101Aの構成図である。図7(a)に監視装置101Aの水平断面(B-B’)の一例を示す。この断面図の下向きが、監視装置101Aの正面(FR)になる。図7(b)に、正面から視た三角コーン201Aの側面図を示す。図7(c)に、左面から視た三角コーン201Aの側面図を示す。図7(a)に示した断面図は、上記の側面図における三角コーン201Aの下端から高さh2の水平面になる。
【0057】
監視装置101Aの筐体は、三角コーン201Aの筐体内に収まる形状で構成されている。三角コーン201Aの正面側に開口が設けられている。この図7(a)の断面図に示す断面は、三角コーン201Aの側面の開口部分を含む。図7(b)(c)に示すように、三角コーン201Aの側面の開口部分は、物体からの反射光を透過させる。監視装置101Aは、この開口を通過した光を、検出装置10によって検出する。
【0058】
監視装置101Aは、点Oを中心にした光ビームを形成するパルス光をその周囲に投じる。例えば、監視装置101Aがパルス光を投じる範囲は、正面方向FRを中心にした角度θの範囲になる。例えば角度θは、略180度であり、これ以上であるとよい。監視装置101Aがパルス光を投じる範囲(方向)を、設定により予め定めることができる。
なお、三角コーン201Aの筐体の正面側に設けられた開口の形状は、その筐体によって監視装置101Aが投じる光ビームが遮られないように、上記の点Oを基準にした水平方向の角度範囲と上下方向の角度範囲とに基づいて決定されているとよい。実施形態の場合、水平方向の180度以上、上下方向にそれぞれ10度程度の範囲の開口があるとよい。
【0059】
この図7に示す監視装置101Aは、検出範囲として定められた方向の所定の空間にパルス光を投じてスキャンするアクティブタイプの一例である。
【0060】
なお、監視装置101Aの筐体の側面には、物体からの反射光を透過させるための開口又は光の透過性を有する保護材が設けられていてよい。
【0061】
(第3の実施形態)
図8図9を参照して、監視システム1Bについて説明する。
図8は、実施形態の監視システム1Bの構成図である。図8に、監視システム1Bに係る三角コーン201Zと、監視装置101Rとを示す。監視システム1Bは、例えば監視装置101Rを備える。三角コーン201Zは、他の三角コーンと同様の構成を有するものであってよい。
【0062】
図9は、実施形態の監視装置101Rを説明するための図である。例えば、監視装置101Rの筐体は、中央に貫通穴を有するドーナッツ状に形成されている部分を含む。この点、前述の監視装置101及び検出装置10の筐体の形状とは異なる。図9に示すように監視装置101Rの貫通穴の内径(穴径)は、三角コーン201Zの円錐部の外径よりも小さい。例えば、監視装置101Rを三角コーン201Zに掛けると、三角コーン201Zが配置された地面から所定の高さに配置することができる。上記のように、監視装置101Rの筐体をドーナッツ状に形成したことにより、三角コーン201Zに掛けて配置できる。監視装置101Rの筐体は、三角コーン201Zによって夫々支持される。
【0063】
監視装置101Rは、例えば、検出装置10Aと、制御部30Aと、出力部40Aとを備える。
【0064】
例えば、検出装置10Aと、制御部30Aと、出力部40Aとは、図示されない電源部とともに監視装置101Rの筐体に収納されている。上記の各電源部は、例えば安定化電源又は電池を含んで形成されていてもよい。
【0065】
検出装置10Aは、監視装置101Rに複数配置されている。
各検出装置10Aは、例えばCMOSセンサなどを含むカメラ14を備える。各カメラ14による水平方向の撮像範囲(水平画角)と、監視装置101Rにおける検出装置10Aの個数と、監視装置101Rに検出装置10Aを配置する位置は、例えば各カメラ14の水平方向の撮像範囲が繋がるように検出装置10Aを配置することで、撮像範囲に死角が生じないように決定されている。
【0066】
制御部30Aは、各カメラ14の画像の解析処理と判定処理などを実施する。
制御部30Aは、各カメラ14によって撮像された時系列画像を用いて、画像間の背景差分などの処理により画像内の動く物体を抽出する。例えば、検出した動く物体の像の下端の位置と、その物体の大きさなどから物体が存在する位置とを抽出する。制御部30Aは、その位置が、予め設定されている検出対象の範囲内であることを識別した場合に、第2領域Z2への進入を検知したことを通知するための所定の情報を含む信号を出力部40Aに送り、出力部40Aから上記の所定の情報を出力させる。出力する所定の情報は、接点信号であってもよい。上記の画像の解析処理は、主な処理を示したものであり、検出精度向上のために必要とされる処理を、一般的な画像処理の手法に基づいて追加することに制限はない。
【0067】
出力部40Aは、上記のように警報を出力する。さらに、出力部40Aは、カメラ14の撮影用の補助光を照射してもよい。補助光の波長は、カメラ14が検出可能な可視光であってもよく、カメラ14が検出可能であれば赤外光であってもよい。
【0068】
上記の実施形態によれば、監視システム1Bは、進入によって光が遮断された位置の特定を可能にすることにより、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0069】
(第3の実施形態の第1変形例)
第3の実施形態では、各カメラ14の水平方向の撮像範囲が繋がるように検出装置10Aを配置する事例について説明した。本変形例では、これに代えて、監視装置101Rの筐体の水平方向に隣接する2つのカメラ14によって撮像された2つの画像を、ステレオ画像として取得する。このステレオ画像を取得できるように各カメラ14の水平画角を決定し、2つのカメラ14の水平方向の撮像範囲が、検出対象範囲内で重なるように形成する。制御部30Aは、2つのカメラによって撮像された2つの画像(ステレオ画像)を用いて物体までの距離を算出することができる。この算出には、ステレオ画像を用いた距離計測の手法を適用してよい。制御部30Aは、上記の物体までの距離を用いて、物体の存在を識別するとよい。
【0070】
なお、監視装置101R内の検出装置10A(カメラ14)の配置の密度は、監視装置101Rの筐体の周方向に均等になるように配置してもよく、特定の範囲の配置の密度が他の範囲の配置の密度よりも高くなるように配置してもよい。例えば、全周360度のうちの特定の範囲を検出対象にする場合には、検出対象側の検出装置10A(カメラ14)の配置の密度が高くなるようにするとよい。
【0071】
(第3の実施形態の第2変形例)
第3の実施形態では、カメラを用いた検出装置10Aの事例について説明した。本変形例では、検出装置10Aに代えて前述の検出装置10を適用する事例について説明する。
【0072】
実施形態の検出装置10Aと、前述の検出装置10とは、筐体の形状が異なるが、検出装置10Aの筐体のようにドーナッツ状に形成された筐体に、検出装置10の構成を含めてもよい。この場合、検出装置10の形状に見合った凸部をドーナッツ状の輪の外に設けて、そこに検出装置10などを内蔵してもよく、或いは、ドーナッツ状の輪の中に検出装置10を内蔵してもよい。ドーナッツ状の輪の径と、検出装置10の形状に応じて、上記を選択してよい。
【0073】
このように、監視装置101Rは、その筐体の形状によらず、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0074】
少なくとも実施形態の監視システム1(監視装置101)は、進入が制限される監視対象領域Z2内に存在する物体からの反射光を検出する検出装置10と、その反射光の検出に応じて監視対象領域Z2内に存在する物体を検知したことを出力部40から出力させる制御部30と、少なくとも検出装置10を収納する筐体101Fとを備える。水平面に筐体101Fと、監視対象領域Z2への進入を抑制するように監視対象領域Z2の境界部に配置される第1バリケードとを射影すると、射影された筐体101Fの像の位置と射影された第1バリケードの像の位置とが重なるように配置可能に監視装置101は、構成されている。これにより、危険個所が比較的近傍に存在することを通知することができる。
【0075】
なお、監視システム1を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより監視システム1が所定の処理動作を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0076】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、或いは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、ネットワークや通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1、1A、1B…監視システム、10、10A…検出装置、30、30A…制御部、40、40A…出力部、101、101A、101R、101Z…監視装置、101F…筐体、201、201A、201Z、202、203、204、301、302、303、304…三角コーン
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9