(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018967
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ラベル付きパルプモールドの製造方法およびパルプモールド貼付用一体型ラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/00 20060101AFI20230202BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20230202BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20230202BHJP
B31D 5/02 20170101ALI20230202BHJP
D21J 3/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G09F3/00 P
G09F3/10 A
B65D1/00 120
B31D5/02
D21J3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123378
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿世 真弓
(72)【発明者】
【氏名】和田 奈央子
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 薫
(72)【発明者】
【氏名】節田 征矢
(72)【発明者】
【氏名】八木 晴可
【テーマコード(参考)】
3E033
3E075
4L055
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA10
3E033BB08
3E033FA01
3E075AA12
3E075AA23
3E075BA95
3E075BB08
3E075CA10
3E075DC70
3E075DE09
3E075FA13
3E075GA03
4L055BF06
4L055BF09
4L055CJ10
4L055GA04
(57)【要約】
【課題】紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドを美観を損なうことなく高い生産効率にて量産可能にする。
【解決手段】ラベル付きパルプモールドは、製品となる部分であってかつ立体的な形状を有する製品予定部を複数含む一体型パルプモールド2Aが準備される工程と、複数の製品予定部の各々のうち少なくとも一部に対応付けて貼り付けられる領域である複数の製品貼付予定領域を含む紙製の一体型ラベル3Aが準備される工程と、第1型100および第2型110によって一体型ラベル3Aおよび一体型パルプモールド2Aが積層された状態で挟み込まれることにより、複数の製品貼付予定領域を相互に区画するように一体型ラベル3Aに設けられた第1カットラインに沿って一体型ラベル3Aが分断されるとともに、複数の製品貼付予定領域が複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられる工程とを経ることによって製造される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品となる部分であってかつ立体的な形状を有する製品予定部を複数含むとともに、前記複数の製品予定部同士が周囲部を介して繋がれてなる一体型パルプモールドが準備される工程と、
一方の主面に接着剤層が設けられてなる紙製の基材からなり、前記複数の製品予定部の各々のうちの少なくとも一部に対応付けて貼り付けられる領域である複数の製品貼付予定領域を含むとともに、前記複数の製品貼付予定領域同士が接続領域を介して接続されてなる一体型ラベルが準備される工程と、
前記一体型ラベルを分断するための第1カットラインが、前記複数の製品貼付予定領域を相互に区画するように前記接続領域に設けられる工程と、
前記一体型パルプモールドが、当該一体型パルプモールドの形状に沿う形状を有する第1型にセットされる工程と、
前記一体型パルプモールドが前記第1型にセットされた状態において、前記接着剤層が前記一体型パルプモールドに面することとなるように、前記一体型ラベルが前記一体型パルプモールドに対して位置決めされて配置される工程と、
前記一体型ラベルが前記一体型パルプモールドに対して位置決めされて配置された状態において、前記一体型パルプモールドの形状に沿う形状を有する第2型によって前記一体型ラベルが前記一体型パルプモールドに向けて押圧されることにより、前記第1型および前記第2型によって前記一体型パルプモールドおよび前記一体型ラベルが積層された状態で挟み込まれ、これにより前記第1カットラインに沿って前記一体型ラベルが分断されるとともに、前記複数の製品貼付予定領域が前記複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられる工程と、
前記複数の製品貼付予定領域が前記複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられた状態において、前記複数の製品予定部の周縁に沿って前記一体型パルプモールドおよび分断後の前記一体型ラベルが切断されることにより、複数のラベル付きパルプモールドが切り出される工程とを備えた、ラベル付きパルプモールドの製造方法。
【請求項2】
前記第1カットラインが前記接続領域に設けられる工程において、前記第1カットラインがミシン目状に形成される、請求項1に記載のラベル付きパルプモールドの製造方法。
【請求項3】
前記複数の製品予定部の各々が第1部分および第2部分を有し、
前記複数の製品貼付予定領域が前記複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられる工程に先立って、前記一体型ラベルを分断するための第2カットラインが、前記第1部分と前記第2部分とに対応する領域を相互に区画するように前記複数の製品貼付予定領域の各々に設けられる工程をさらに備え、
前記複数の製品貼付予定領域が前記複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられる工程において、前記第1型および前記第2型によって前記一体型パルプモールドおよび前記一体型ラベルが積層された状態で挟み込まれることにより、前記第2カットラインに沿って前記一体型ラベルが分断されるとともに、前記複数の製品貼付予定領域の各々の一部が前記第1部分に対応付けて貼り付けられ、前記複数の製品貼付予定領域の各々の残りの部分が前記第2部分に対応付けて貼り付けられる、請求項1または2に記載のラベル付きパルプモールドの製造方法。
【請求項4】
一体型パルプモールドのうちの製品となる部分であってかつ立体的な形状を有する複数の製品予定部の各々のうちの少なくとも一部に対応付けて貼り付けられる領域である複数の製品貼付予定領域と、前記複数の製品貼付予定領域同士を接続する接続領域とを含むパルプモールド貼付用一体型ラベルであって、
紙製の基材と、
前記基材の一方の主面に設けられた接着剤層とを備え、
一体型パルプモールドに沿う形状を有する型を用いて前記一体型ラベルが一体型パルプモールドに向けて押圧されることにより、一体型パルプモールドのうちの複数の製品予定部に前記複数の製品貼付予定領域を分断させた状態で対応付けて貼り付けるための第1カットラインが、前記複数の製品貼付予定領域同士を相互に区画するように前記接続領域に設けられている、パルプモールド貼付用一体型ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプモールドの表面にラベルが貼り付けられてなるラベル付きパルプモールドの製造方法に関し、また、当該ラベル付きパルプモールドの製造方法において使用されるパルプモールド貼付用一体型ラベル(以下、単に一体型ラベルとも称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パルプモールドに貼り付けられるラベルとしては、プラスチック製のものが多用されている。しかしながら、環境負荷の低減やコスト削減の観点から、紙製のラベルが用いられることが求められている。また、近年、パルプモールドに収容される商品が多様化していることから、その商品の形状に合わせてパルプモールドの形状も多様化しており、特に、立体的な形状を有するパルプモールドのニーズが高まっている。
【0003】
立体的な形状を有するパルプモールドに紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドが開示された文献としては、たとえば、特開2001-097351号公報(特許文献1)、特開2001-199440号公報(特許文献2)、特開2002-138400号公報(特許文献3)、特開2002-201599号公報(特許文献4)、および特開2003-201662号公報(特許文献5)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-097351号公報
【特許文献2】特開2001-199440号公報
【特許文献3】特開2002-138400号公報
【特許文献4】特開2002-201599号公報
【特許文献5】特開2003-201662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
立体的な形状を有するパルプモールドに紙製のラベルが貼り付けられる際には、パルプモールドに対してラベルが正確に位置決めされることが重要である。これは、ラベルの位置決めが不十分である場合に、ラベルの貼付位置にずれが生じるばかりでなく、ラベルが紙製であって伸縮性を有しないことに起因し、意図しない破断や位置ずれ、折り重なり、皺等が生じてしまうためである。このような不具合が生じた場合には、製品としてのラベル付きパルプモールドの美観が損なわれてしまうことになる。
【0006】
一方で、ラベル付きパルプモールドは、大量に消費されるものであるため、特に量産を念頭に置いた場合には、その生産効率が十分に高められていることが必要である。
【0007】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することができるラベル付きパルプモールドの製造方法、および、当該ラベル付きパルプモールドの製造方法において使用されるパルプモールド貼付用一体型ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づくラベル付きパルプモールドの製造方法は、以下の工程を備える。
(a)製品となる部分であってかつ立体的な形状を有する製品予定部を複数含むとともに、上記複数の製品予定部同士が周囲部を介して繋がれてなる一体型パルプモールドが準備される工程。
(b)一方の主面に接着剤層が設けられてなる紙製の基材からなり、上記複数の製品予定部の各々のうちの少なくとも一部に対応付けて貼り付けられる領域である複数の製品貼付予定領域を含むとともに、上記複数の製品貼付予定領域同士が接続領域を介して接続されてなる一体型ラベルが準備される工程。
(c)上記一体型ラベルを分断するための第1カットラインが、上記複数の製品貼付予定領域を相互に区画するように上記接続領域に設けられる工程。
(d)上記一体型パルプモールドが、当該一体型パルプモールドの形状に沿う形状を有する第1型にセットされる工程。
(e)上記一体型パルプモールドが上記第1型にセットされた状態において、上記接着剤層が上記一体型パルプモールドに面することとなるように、上記一体型ラベルが上記一体型パルプモールドに対して位置決めされて配置される工程。
(f)上記一体型ラベルが上記一体型パルプモールドに対して位置決めされて配置された状態において、上記一体型パルプモールドの形状に沿う形状を有する第2型によって上記一体型ラベルが上記一体型パルプモールドに向けて押圧されることにより、上記第1型および上記第2型によって上記一体型パルプモールドおよび上記一体型ラベルが積層された状態で挟み込まれ、これにより上記第1カットラインに沿って上記一体型ラベルが分断されるとともに、上記複数の製品貼付予定領域が上記複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられる工程。
(g)上記複数の製品貼付予定領域が上記複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられた状態において、上記複数の製品予定部の周縁に沿って上記一体型パルプモールドおよび分断後の上記一体型ラベルが切断されることにより、複数のラベル付きパルプモールドが切り出される工程。
【0009】
上記本発明に基づくラベル付きパルプモールドの製造方法にあっては、上記第1カットラインが上記接続領域に設けられる工程において、上記第1カットラインがミシン目状に形成されることが好ましい。
【0010】
上記本発明に基づくラベル付きパルプモールドの製造方法にあっては、上記一体型ラベルが上記一体型パルプモールドに対して位置決めされて配置される工程において、上記一体型ラベルが、上記第2型によって上記一体型パルプモールドに向けて押圧される方向と直交する方向に対して平行な姿勢を保つように位置決めされて保持されることが好ましい。
【0011】
上記本発明に基づくラベル付きパルプモールドの製造方法にあっては、上記複数の製品予定部の各々が第1部分および第2部分を有していてもよい。その場合には、上記本発明に基づくラベル付きパルプモールドの製造方法は、上記複数の製品貼付予定領域が上記複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられる工程に先立って、上記一体型ラベルを分断するための第2カットラインが、上記第1部分と上記第2部分とに対応する領域を相互に区画するように上記複数の製品貼付予定領域の各々に設けられる工程をさらに備えていてもよい。また、その場合には、上記複数の製品貼付予定領域が上記複数の製品予定部に対応付けて貼り付けられる工程において、上記第1型および上記第2型によって上記一体型パルプモールドおよび上記一体型ラベルが積層された状態で挟み込まれることにより、上記第2カットラインに沿って上記一体型ラベルが分断されるとともに、上記複数の製品貼付予定領域の各々の一部が上記第1部分に対応付けて貼り付けられ、上記複数の製品貼付予定領域の各々の残りの部分が上記第2部分に対応付けて貼り付けられることが好ましい。
【0012】
本発明に基づくパルプモールド貼付用一体型ラベルは、一体型パルプモールドのうちの製品となる部分であってかつ立体的な形状を有する複数の製品予定部の各々のうちの少なくとも一部に対応付けて貼り付けられる領域である複数の製品貼付予定領域と、上記複数の製品貼付予定領域同士を接続する接続領域とを含むものであって、紙製の基材と、上記基材の一方の主面に設けられた接着剤層とを備えている。上記接続領域には、一体型パルプモールドに沿う形状を有する型を用いて上記一体型ラベルが一体型パルプモールドに向けて押圧されることにより、一体型パルプモールドのうちの複数の製品予定部に上記複数の製品貼付予定領域を分断させた状態で対応付けて貼り付けるための第1カットラインが、上記複数の製品貼付予定領域同士を相互に区画するように設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することができるラベル付きパルプモールドの製造方法、および、当該ラベル付きパルプモールドの製造方法において使用されるパルプモールド貼付用一体型ラベルを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されたラベル付きパルプモールドの斜視図および断面図である。
【
図2】実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法において使用される一体型パルプモールドの平面図および断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る一体型ラベルの平面図および側面図である。
【
図4】実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図である。
【
図5】実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示す模式断面図である。
【
図6】実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示す模式断面図である。
【
図8】
図6に示す状態における一体型パルプモールドおよび一体型ラベル付きパルプモールドの平面図である。
【
図9】実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示す模式断面図である。
【
図10】第1ないし第6変形例に係る一体型ラベルの隅部を拡大した平面図である。
【
図11】第7ないし第9変形例に係る一体型ラベルの隅部を拡大した平面図である。
【
図12】第10変形例に係る一体型ラベルの平面図である。
【
図13】第11変形例に係る一体型ラベルの平面図である。
【
図14】第12変形例に係る一体型ラベルの平面図である。
【
図15】第13変形例に係る一体型ラベルの平面図である。
【
図16】実施の形態2に係る一体型ラベルの平面図である。
【
図17】実施の形態3に係る一体型パルプモールドおよび一体型ラベルの平面図である。
【
図18】実施の形態4に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されたラベル付きパルプモールドの斜視図である。
【
図19】実施の形態4に係る一体型ラベルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されたラベル付きパルプモールドの形状および構成を示す図であり、
図1(A)は、ラベル付きパルプモールドの斜視図、
図1(B)は、
図1(A)中に示すIB-IB線に沿ったラベル付きパルプモールドの断面図である。まず、この
図1を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されたラベル付きパルプモールド1Aについて説明する。
【0017】
図1(A)および
図1(B)に示すように、ラベル付きパルプモールド1Aは、商品を収容するための容器であり、パルプモールド2と、ラベル3とを備えている。パルプモールド2は、後述する一体型パルプモールド2A(
図2等参照)の一部である製品部21にて構成されており、ラベル3は、後述する一体型ラベル3A(
図3等参照)の一部である製品貼付領域31にて構成されている。
【0018】
パルプモールド2の製品部21は、立体的な形状である凹形状の部位を有しており、ラベル3の製品貼付領域31は、この凹形状の部位を有するパルプモールド2の製品部21の曲面からなる凸形状を含む外側表面を全体的に覆うように当該外側表面に貼り付けられている。ラベル3の製品貼付領域31の表面には、たとえば印刷等によって様々なデザインが付されていてもよい。
【0019】
ラベル3の製品貼付領域31は、一方の主面に接着剤層3bが設けられた紙製の基材3aからなる。ラベル3は、当該ラベル3が有する接着剤層3bがパルプモールド2の製品部21の外側表面に接着されることにより、パルプモールド2に貼り付けられている。これにより、ラベル3の基材3aがラベル付きパルプモールド1Aの外側表面に位置している。
【0020】
図2は、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法において使用される一体型パルプモールドの構成を示す図であり、
図2(A)は、一体型パルプモールドの平面図、
図2(B)は、
図2(A)中に示すIIB-IIB線に沿った一体型パルプモールドの断面図である。また、
図3は、本実施の形態に係る一体型ラベルの構成を示す図であり、
図3(A)は、一体型ラベルの平面図、
図3(B)は、一体型ラベルの側面図である。まず、これら
図2および
図3を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法において使用される一体型パルプモールド2Aの構成、ならびに本実施の形態に係る一体型ラベル3Aの構成について説明する。
【0021】
ここで、以下の説明においては、
図2(A)に示すように、一体型パルプモールド2Aを平面視した場合の左方向および右方向をそれぞれX1方向およびX2方向と称し、これらX1方向およびX2方向に合致する方向をX軸方向とも称する。また、
図2(A)に示すように、一体型パルプモールド2Aを平面視した場合の上方向および下方向をそれぞれY1方向およびY2方向と称し、これらY1方向およびY2方向に合致する方向をY軸方向とも称する。さらに、
図2(B)に示すように、一体型パルプモールド2Aを側面視した場合の上方向および下方向をそれぞれZ1方向およびZ2方向と称し、これらZ1方向およびZ2方向に合致する方向をZ軸方向とも称する。
【0022】
本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法は、要約すれば、一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aを材料とし、これらに後述する各種の加工(押圧加工、切断加工等)を施すことにより、
図1に示すラベル付きパルプモールド1Aを同時に複数製造するものである。
【0023】
図2(A)に示すように、一体型パルプモールド2Aは、後述する各種の工程を経ることにより、ラベル付きパルプモールド1Aの製品部21(
図1参照)となる製品予定部21を複数含んでいる。なお、説明の便宜のため、ラベル付きパルプモールド1Aの製品部と、一体型パルプモールド2Aに含まれる製品予定部とを区別することなく、これらを同じ符号21で表わしている。
【0024】
図3(A)に示すように、一体型ラベル3Aは、後述する各種の工程を経ることにより、ラベル付きパルプモールド1Aの製品貼付領域31(
図1参照)となる製品貼付予定領域31を複数含んでいる。なお、説明の便宜のため、ラベル付きパルプモールド1Aの製品貼付領域と、一体型ラベル3Aに含まれる製品貼付予定領域とを区別することなく、これらを同じ符号31で表わしている。
【0025】
ここで、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法においては、後述するように、一体型ラベル3Aに含まれる複数の製品貼付予定領域31が、一体型パルプモールド2Aに含まれる複数の製品予定部21の各々のうちの少なくとも一部に対応付けて貼り付けられ、その後、一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aが切断されることにより、複数のラベル付きパルプモールド1Aが切り出されることになる。ここで、一体型ラベル3Aの複数の製品貼付予定領域31は、一体型パルプモールド2Aに含まれる2個以上の製品予定部21に対応付けて貼り付けられるものである。
【0026】
すなわち、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法は、一つのワークから複数の製品を得るいわゆる多数個取りと称される製造方法に従ったものであり、一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aが切断されるまでの工程において、これらが1つのワークとして取り扱われるものである。
【0027】
図2(A)および
図2(B)に示すように、一体型パルプモールド2Aは、全体として平面視略矩形状の外形を有しており、複数の製品予定部21と、これら複数の製品予定部21を繋ぐ周囲部22とを含んでいる。
図2(A)においては、理解を容易とするために、製品予定部21に濃い色を付すとともに、周囲部22に薄い色を付している。
【0028】
複数の製品予定部21の各々は、立体的な形状である凹形状の部位と、その周縁に位置する平板状の部位とを含んでおり、周囲部22は、複数の製品予定部21の上述した平板状の部位を相互に繋ぐ平板状の形状を有している。なお、一体型パルプモールド2Aの平面視した場合の外形は、複数の製品予定部21の形状およびそれらの配置に合わせて適宜変更されてもよく、たとえば、略円形状、略楕円形状、略矩形状、多角形状等であってもよい。
【0029】
本実施の形態に係る一体型パルプモールド2Aにおいては、8個の製品予定部21が、2行4列のレイアウトでアレイ状に配置されており、これら8個の製品予定部21を取り囲むように1個の周囲部22が配置されている。なお、複数の製品予定部21の個数および配置は、これに限定されず、種々変更が可能である。
【0030】
また、周囲部22の所定位置には、複数の位置決め部22hが設けられている。複数の位置決め部22hの各々は、一体型パルプモールド2Aを貫通するように設けられた平面視略円形状の孔部によって構成されている。なお、位置決め部22hの構成は、このような孔部に限定されず、たとえば平面視多角形状もしくは平面視略半月状の孔部、または、U字状、十字状、I字状、あるいはX字状等のスリット等であってもよい。
【0031】
この位置決め部22hが周囲部22に設けられることにより、ラベル付きパルプモールドを製造するに際して、一体型パルプモールド2Aに対する一体型ラベル3Aの位置決めを行なうことが可能になるが、その詳細については、後述する本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法において説明することにする。
【0032】
一体型パルプモールド2Aの原料としては、新聞紙、チラシ、中質紙、および上質紙等からなる印刷使用済み古紙に、湿式で離解、および精選等の処理を施すことによって得られる古紙パルプ、または、上記処理に加えて脱墨および漂白等の処理を施すことによって得られる脱墨古紙パルプ、もしくは晒パルプまたは未晒パルプ等のセルロースパルプが用いられる。一体型パルプモールド2Aは、これらのパルプにサイズ剤、填料、染料、定着剤、および耐水化剤等が適宜添加されてなるパルプスラリーが、所望の形状に成形されることによって製作される。
【0033】
なお、上述した各種パルプに代えて、バージンパルプ、または、サトウキビの搾りかすであるバガスもしくは竹等の非木材系パルプが用いられてもよい。また、いずれのパルプにおいても、合成樹脂が少量(好ましくは5%以下程度)含まれていてもよい。
【0034】
図3(A)および
図3(B)に示すように、一体型ラベル3Aは、全体として平面視略矩形状の外形を有するシート状の部材からなり、複数の製品貼付予定領域31と、これら複数の製品貼付予定領域31を接続する接続領域32とを含んでいる。
図3(A)においては、理解を容易とするために、製品貼付予定領域31に濃い色を付すとともに、接続領域32に薄い色を付している(後述する
図8、
図12ないし
図17および
図19においても同様)。
【0035】
なお、一体型ラベル3Aの平面視した場合の外形は、一体型パルプモールド2Aの形状に合わせて適宜変更されてもよく、たとえば、略円形状、略楕円形状、略矩形状、多角形状等であってもよい。なお、当該一体型ラベル3Aの平面視した場合の外形の大きさは、一体型パルプモールド2Aの平面視した場合の外形の大きさだけでなく、一体型パルプモールド2Aが有する立体的な形状を有する部分を覆うように、たとえばその凹凸の高さや深さも勘案して決定されるものである。
【0036】
本実施の形態に係る一体型ラベル3Aにおいては、8個の製品貼付予定領域31が、2行4列のレイアウトでアレイ状に配置されており、これら8個の製品貼付予定領域31を取り囲むように1個の接続領域32が配置されている。これら8個の製品貼付予定領域31は、上述した一体型パルプモールド2Aに設けられた8個の製品予定部21に対応付けて設けられている。なお、複数の製品貼付予定領域31の個数および配置は、これに限定されず、一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21に対応付けて設けられる限りにおいては、適宜変更が可能である。
【0037】
ここで、
図3(A)においては、複数の製品予定部21とこれに対応付けられた複数の製品貼付予定領域31との位置関係を示すために、一体型パルプモールド2A上に一体型ラベル3Aを重ねてこれらを平面視した場合に、一体型ラベル3Aによって覆われることとなる一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21に対応する部分を二点鎖線にて示している(後述する
図8、
図12ないし
図17および
図19においても同様である)。
【0038】
また、接続領域32の所定位置には、複数の位置決め部32hが設けられている。複数の位置決め部32hの各々は、一体型ラベル3Aを貫通するように設けられた平面視略円形状の孔部によって構成されている。これら複数の位置決め部32hは、上述した一体型パルプモールド2Aに設けられた位置決め部22hに対応して設けられている。なお、位置決め部32hの構成は、このような孔部に限定されず、たとえばスリット等であってもよい。
【0039】
この位置決め部32hが接続領域32に設けられることにより、ラベル付きパルプモールドを製造するに際して、一体型パルプモールド2Aに対する一体型ラベル3Aの位置決めを行なうことが可能になるが、その詳細については、後述する本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法において説明することにする。
【0040】
図3(B)に示すように、一体型ラベル3Aは、一方の主面に接着剤層3bが設けられた紙製の基材3aからなり、基材3aによって規定される第1主面3(1)と、接着剤層3bによって規定される第2主面3(2)とを有している。
【0041】
基材3aとしては、純白洋紙が用いられるが、パルプ由来であればよく、たとえば未晒クラフト紙もしくは晒クラフト紙等が用いられてもよい。基材3aには、フレキソ印刷、グラビア印刷、あるいはインキジェット印刷等によって文字や絵柄等のデザインが設けられており、これにより、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aの美観を高めることができる。また、一体型ラベル3Aの第1主面3(1)側に防水コーティング等を施すことにより、一体型ラベル3Aに防水性等の機能が付加されてもよい。
【0042】
基材3aに上述したデザインを設けるために用いられるインキあるいは防水コーティングを施すために用いられるコーティング剤は、後述する加熱された第1型100および第2型110による押圧に耐えうる程度の耐熱性を備えていることが好ましく、たとえば紫外線硬化型もしくはウレタン系の二液硬化型のインキあるいはコーティング剤であることが好ましい。
【0043】
また、基材3aの米坪は、20g/m2以上100g/m2以下であることが好ましい。このようにすれば、一体型ラベル3Aが意図せず破断すること、ならびに、一体型ラベル3Aが一体型パルプモールド2Aの表面に沿わずに変形すること等を効果的に防止できることになる。なお、基材3aの厚みは、30μm以上150μm以下であることが好ましく、50μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。
【0044】
接着剤層3bは、熱接着性を有するものであることが好ましい。より詳細には、接着剤層3bは、熱接着性を有する樹脂である、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene(LDPE))、またはエチレン酢酸ビニル共重合体(Ethylene-Vinyl Acetate(EVA))等の熱可塑性樹脂であることが好ましいが、アクリル系もしくはウレタン系等の良好な接着性を有する樹脂等であってもよい。
【0045】
また、接着剤層3bは、PBS(Poly Butylene Succinate)やPLA(Poly Lactic Acid)等の生分解性樹脂であってもよく、このようにすれば、石油由来材料の使用を抑制することができる。なお、接着剤層3bは、粘着付与剤や滑剤等が添加されたものであってもよい。
【0046】
接着剤層3bは、基材3aの一方の主面の全面に設けられていることが好ましいが、複数の製品貼付予定領域31に少なくとも設けられていればよい。
【0047】
接着剤層3bを基材3aの主面に設ける手法としては、接着剤層3bを構成する上述した樹脂等を押出しラミネートによって基材3aにコーティングする手法でもよく、溶液もしくはエマルジョンの状態とした当該樹脂等を基材3aにコーティングして乾燥させる手法等でもよい。なお、接着剤層3bの厚みは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0048】
ここで、
図3(A)に示すように、一体型ラベル3Aには、一体型ラベル3Aを分断するための第1カットライン32cが設けられている。この第1カットライン32cは、複数の製品貼付予定領域31を相互に区画するように接続領域32に複数設けられている。複数の第1カットライン32cは、互いに交差するように格子状に延びており、その各々は、断続的に切れ目が施されたミシン目状に設けられている。
【0049】
たとえば、複数の第1カットライン32cの各々は、3.0mm以上20mm以下の長さを有する切断部分が、その延在方向において均等な間隔で並んで設けられていることが好ましい。また、その間隔(すなわち、非切断部分)の長さは、0.3mm以上1.0mm以下であることが好ましい。一例としては、10mmの切断部分と0.3mm以上0.5mm以下の非切断部分とが交互に並んで設けられていることが好ましい。
【0050】
このように構成することにより、ラベル付きパルプモールドを製造するに際して、第1カットライン32cに沿って一体型ラベル3Aが分断されるように構成することが可能になる。したがって、複数の製品貼付予定領域31が複数の一体型パルプモールド2Aの製品予定部21に対応付けて貼り付けられるようにすることができるが、その詳細については、後述する本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法において説明することにする。
【0051】
なお、第1カットライン32cは、ミシン目状のものに限定されず、スリット状のもの等であってもよい。第1カットライン32cは、たとえば一体型ラベル3Aの表面がトムソン加工、ダイカット加工、もしくはミシン目状の回転刃あるいはレーザーの断続照射等を用いた切削加工されること等によって一体型ラベル3Aに設けられる。また、複数の第1カットライン32cの配置は、格子状に限定されず、一体型ラベル3Aの複数の製品貼付予定領域31の配置に合わせて適宜変更されてもよい。
【0052】
ここで、複数の第1カットライン32cの各々は、一体型ラベル3Aの外縁までは達していない。このようにすれば、一体型パルプモールド2Aに貼り付けられる前の一体型ラベル3Aが、その外縁から第1カットライン32cに沿って意図せず分断されてしまうことを未然に防止することができる。
【0053】
図4は、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図である。
図5、
図6、および
図9は、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示す模式断面図である。また、
図7は、
図6の要部を拡大した拡大図であり、
図8は、
図6に示すラベル付きパルプモールドの平面図である。次に、これら
図4ないし
図9を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法について具体的に説明する。
【0054】
ここで、
図5は、
図2(A)中に示すV-V線に対応した位置での一体型パルプモールド2A、一体型ラベル3A、および後述する第1型100および第2型110の断面を表わした図である(
図6および
図9においても同様である)。
【0055】
図4に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法においては、まず、一体型パルプモールド2Aが準備される(S1工程)。当該工程において準備される一体型パルプモールド2Aは、
図2(A)および
図2(B)において図示したものである。
【0056】
次に、
図4に示すように、一体型ラベル3Aが準備される(S2工程)。当該工程において準備される一体型ラベル3Aは、上述した第1カットライン32cが形成される前の状態のものである。ここで、上述した第1カットライン32cが形成される前の状態の一体型ラベル3Aとは、基材3aに接着剤層3bおよび印刷等によるデザインが設けられ、かつ接続領域32に位置決め部32hが設けられているものの、第1カットライン32cは未形成の状態のものである。
【0057】
次に、
図4に示すように、一体型ラベル3Aに第1カットライン32cが形成される(S3工程)。この第1カットライン32cの形成は、上述したようにダイカット加工または切削加工等によって行なわれ、これにより、
図3(A)および
図3(B)において図示した一体型ラベル3Aが準備される。
【0058】
ここで、上述した一体型ラベル3Aにおいては、位置決め部32hが設けられた後に第1カットライン32cが形成されるものとしたが、第1カットライン32cおよび位置決め部32hは同時に形成されてもよく、また、第1カットライン32cが設けられた後に位置決め部32hが形成されてもよい。
【0059】
なお、S2工程およびS3工程において準備される一体型ラベル3Aは、上述したように枚葉状の基材3aに種々の加工を施すことによって準備されてもよいが、長尺ロール状の基材に種々の加工を施した後に、当該長尺ロール状の基材を一体型ラベル3Aとなる寸法に切断することによって準備されてもよい。
【0060】
より詳細には、たとえば、一対の主面の一方に接着剤層が設けられた長尺ロール状の基材に対して、その他方の主面に印刷等によってデザインを設け、続いて第1カットラインおよび位置決め部32hを設け、さらに一体型ラベル3Aとなる寸法に切断するという一連の加工処理を繰り返すことにより、複数の枚葉状の一体型ラベル3Aが準備されてもよい。
【0061】
次に、
図4および
図5に示すように、一体型パルプモールド2Aの形状に沿う形状を有する第1型100に、一体型パルプモールド2Aがセットされる(S4工程)。ここで、一体型パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aの形状に実質的に沿う形状のことを意味しており、後述する一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aが第2型110によって押圧される工程(S6工程)の前の一体型パルプモールド2Aの形状と完全に一致した形状を意味するものではない。すなわち、一体型パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、後述するS6工程において一体型ラベル3Aと共に第2型110によって押圧された後の(すなわち、押圧によって圧縮変形した後の)一体型パルプモールド2Aおよびこれに貼り付けられた一体型ラベル3Aに沿う形状を意味している。
【0062】
図5に示すように、第1型100には、その一対の主面のうちの一方から突出するように、複数の凸状部101と、複数の位置決め保持部100pとが設けられている。複数の凸状部101の各々は、一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21の各々に含まれる凹形状の部位に沿う形状を有しており、複数の位置決め保持部100pの各々は、略円錐台状の形状を有している。
【0063】
一体型パルプモールド2Aは、その複数の製品予定部21の各々に含まれる凹形状の部位が、第1型100の複数の凸状部101の各々に当接するように第1型100にセットされる。ここで、一体型パルプモールド2Aの複数の位置決め部22hは、その各々が第1型100の複数の位置決め保持部100pの各々の根元に達するように、これら複数の位置決め保持部100pによって挿通される。これにより、一体型パルプモールド2Aは、その一方の主面の全面が第1型100に当接するように第1型100にセットされることになる。
【0064】
次に、
図4および
図5に示すように、一体型ラベル3Aが、一体型パルプモールド2Aに対して位置決めされて配置される(S5工程)。
【0065】
より詳細には、
図5に示すように、一体型パルプモールド2Aが第1型100にセットされた状態において、一体型ラベル3Aが、接着剤層3bが設けられた第2主面3(2)が一体型パルプモールド2Aに面することとなるように、一体型パルプモールド2Aに対して位置決めされて配置される。
【0066】
ここで、一体型ラベル3Aは、その複数の製品貼付予定領域31の各々の少なくとも一部が、一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21の各々に含まれる凹形状の部位の外側表面(すなわち、図中に示す上側の表面)と当接するように配置される。これにより、一体型ラベル3Aは、一体型パルプモールド2Aにより、Z軸方向において当該一体型パルプモールド2Aに対する位置決めが行なわれるとともに、当該位置決めされた状態が保持されることになる。なお、本実施の形態においては、一体型ラベル3Aの製品貼付予定領域31が、これに対応付けられた一体型パルプモールド2Aの製品予定部21のうちの最も上部側の部分に当接することになる。
【0067】
また、上述した製品貼付予定領域31と製品予定部21との当接位置と同じ高さ(すなわち、Z軸方向の位置)における位置決め保持部100pの外形は、一体型ラベル3Aに設けられた位置決め部32hの形状と略同一形状とされている。これにより、一体型ラベル3Aを一体型パルプモールド2Aに対して位置決めして配置する際に、位置決め部32hが設けられた部分の一体型ラベル3Aが、製品貼付予定領域31と製品予定部21との当接位置と同じ高さにおいて保持されることになる。
【0068】
したがって、このように構成することにより、一体型ラベル3Aが、後述する一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aが第2型110によって押圧される工程(すなわち、S6工程)における第2型110による押圧方向(すなわち、
図6中に示す矢印AR1方向)と直交する方向に対して平行な姿勢を保つように位置決めされて保持されることになる。
【0069】
加えて、一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aは、いずれも第1型100の複数の位置決め保持部100pによって位置決めされて保持されることになるため、一体型ラベル3Aは、当該第1型100により、X軸方向およびY軸方向において一体型パルプモールド2Aに対して位置決めされることになる。
【0070】
なお、複数の位置決め保持部100pの形状は、上述したような略円錐台状に限定されず、一体型パルプモールド2Aの位置決め部22hおよび一体型ラベル3Aの位置決め部32hの形状に応じて種々変更が可能である。たとえば、複数の位置決め保持部100pは、たとえば角錐台状や楕円錘台状に形成されてもよいし、その断面形状が十字状やI字状、X字状等となるように形成されてもよい。また、上述したように、第2型110による押圧方向と直交する方向に対して平行な姿勢を保つように一体型ラベル3Aを位置決めして保持する観点からは、複数の位置決め保持部100pを段付き形状にしてもよい。
【0071】
次に、
図4、
図6、および
図7に示すように、一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aが、第2型110によって押圧される(S6工程)。
【0072】
より詳細には、
図6および
図7に示すように、一体型ラベル3Aが一体型パルプモールド2Aに対して位置決めされた状態において、一体型ラベル3Aが、一体型パルプモールド2Aの形状に沿う形状を有する第2型110によって一体型パルプモールド2Aに向けて(すなわち、
図6中に示す矢印AR1方向に向けて)押圧される。
【0073】
ここで、第2型110には、その一対の主面のうちの一方に、複数の凹状部111と、第1型100の複数の位置決め保持部100pを受け入れる部分とが設けられている。複数の凹状部111の各々は、一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21の各々に含まれる凹形状の部位の外側表面(すなわち、図中に示す上側の表面)に沿う形状を有している。
【0074】
なお、一体型パルプモールド2Aの形状に沿う第2型110の形状とは、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aの形状に実質的に沿う形状のことを意味しており、当該S6工程の前の一体型パルプモールド2Aの形状と完全に一致した形状を意味するものではない。すなわち、一体型パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、当該S6工程において一体型ラベル3Aと共に第2型110によって押圧された後の(すなわち、後述するように、押圧によって圧縮変形した後の)一体型パルプモールド2Aおよびこれに貼り付けられた一体型ラベル3Aに沿う形状を意味している。
【0075】
このように構成された第2型110によって一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aが押圧されることにより、第1型100および第2型110によって一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aが積層された状態で挟み込まれることになる。
【0076】
ここで、何らの対策も施されていない紙製のラベルが、立体的な形状を有する押圧面を含む一対の型によって挟み込まれた場合には、紙製のラベルが伸縮性を有しないことに起因し、意図しない破断や位置ずれ、折り重なり、皺等が生じてしまうところ、本実施の形態においては、脆弱部としての第1カットライン32cが予め一体型ラベル3Aに設けられていることにより、第1型100および第2型110による挟み込みの際に、一体型ラベル3Aが、第1カットライン32cに沿って分断されることになる。
【0077】
より詳細には、
図7および
図8に示すように、第1カットライン32cに沿って一体型ラベル3Aが分断されることにより、当該第1カットライン32cが設けられていた部分に分断部3dが形成されることになる。これは、立体的な形状を有する押圧面を含む第1型100および第2型110によって一体型ラベル3Aが挟み込まれる際に、当該一体型ラベル3Aに面内方向に沿って張力が加わるためであり、この張力に起因して脆弱部としての第1カットライン32cに沿って一体型ラベル3Aに切れ目が発生するためである。
【0078】
ここで、上述したように、第1カットライン32cは、複数の製品貼付予定領域31を相互に区画するように接続領域32に設けられているため、これにより複数の製品貼付予定領域31が相互に切り離されることになる。
【0079】
このようにして分断された複数の製品貼付予定領域31は、一体型ラベル3Aの第2主面3(2)側に設けられた熱接着性の接着剤層3bにより、一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21に対してその凹形状の部位周縁の所望の位置において適度な皺等を生じながら、それぞれ対応付けて貼り付けられる。
【0080】
したがって、このように構成することにより、一体型ラベル3Aの複数の製品貼付予定領域31が一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21に対応付けて貼り付けられる際に、一体型ラベル3Aが意図せずに破断したり、一体型パルプモールド2Aに対して位置ずれを起こしたり、あるいは傾いて貼り付けられたりすること等によって製品としてのラベル付きパルプモールド1Aの美観が損なわれてしまうことが、効果的に防止できることになる。
【0081】
なお、S6工程における第2型110による押圧は、押圧温度が概ね70℃以上200℃以下であることが好ましく、100℃程度であることがさらに好ましい。その際、第1型100も同程度に加熱されていてもよい。また、押圧時間は、1秒以上5秒以下程度であることが好ましい。なお、上述した押圧温度および押圧時間は、接着剤層3bの材質によって適宜変更されるものである。このような条件下でラベル3Aとともに押圧されて圧縮変形することにより、一体型パルプモールド2Aを、押圧前の状態に比べて、硬く、薄く、その表面が平滑化したものとすることができる。一例として、押圧前において厚さが0.8mm以上3.0mm以下あるいは1.5mm以上2.5mm以下の一体型パルプモールド2Aは、この押圧によって厚さが0.8mm以上1.5mm以下等になる。
【0082】
次に、
図4および
図9に示すように、第2型110による一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aの押圧が解除される(S7工程)。より詳細には、
図9に示すように、第2型110が押圧前の位置に後退する(すなわち、
図9中に示す矢印AR2方向に向けて移動する)ことにより、第2型110による一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3Aの押圧が解除される。
【0083】
次に、
図4に示すように、S7工程において形成されたラベル付きパルプモールドが切り出される(S8工程)。
【0084】
より詳細には、一体型ラベル3Aの複数の製品貼付予定領域31が一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21に対応付けて貼り付けられた状態において、一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21の各々の周縁21e(
図8参照)に沿って、一体型パルプモールド2Aおよび分断後の一体型ラベル3Aが切断刃等によって切断されることにより、複数のラベル付きパルプモールド1Aが切り出される。これにより、
図1において示したラベル付きパルプモールド1Aの製造が完了する。
【0085】
以上において説明した本実施の形態に係る一体型ラベル3Aを用いつつ本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従ってラベル付きパルプモールド1Aを製造することにより、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することができる。
【0086】
なお、本実施の形態においては、1つの一体型パルプモールド2Aに対して1つの一体型ラベル3Aが貼り付けられることによってラベル付きパルプモールド1Aが同時に複数製造される場合を例示して説明したが、1つの一体型パルプモールド2Aに対して複数の一体型ラベルが貼り付けられることによってラベル付きパルプモールド1Aが同時に複数製造されてもよい。
【0087】
たとえば、8個の製品予定部21が2行4列のレイアウトでアレイ状に配置されている一体型パルプモールド2Aに対して、4個の製品貼付予定領域31が1行4列のレイアウトで配置されている一体型ラベルが2つ用いられることによって製造されてもよい。なお、これら2つの一体型ラベルは、その製品貼付予定領域31の配置においてのみ一体型ラベル3Aとその構成が相違しているものの、位置決め部32hの数や配置は、適宜調整されてよい。
【0088】
これら2つの一体型ラベルが、上述したS5工程においてY軸方向に並んで一体型パルプモールド2Aに対して位置決めされて配置されることにより、2行4列のレイアウトでアレイ状に配置されている8個の製品予定部21の各々に対応するようにして、これら2つの一体型ラベルのあわせて8個の製品貼付予定領域31が貼り付けられることとなる。
【0089】
このように構成した場合にも、本実施の形態において説明したラベル付きパルプモールドの製造方法に準じた製造方法に従ってラベル付きパルプモールド1Aを製造することができる。
【0090】
(第1ないし第6変形例)
図10(A)ないし
図10(F)は、それぞれ第1ないし第6変形例に係る一体型ラベルの隅部を拡大した平面図である。以下、この
図10を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第1ないし第6変形例に係る一体型ラベル3A1~3A6について説明する。なお、
図10(A)ないし
図10(F)においては、当該隅部に含まれる複数の位置決め部32hのみが示されているが、残る位置決め部32hについても同様の形状を有している。
【0091】
図10(A)ないし
図10(F)に示すように、第1ないし第6変形例に係る一体型ラベル3A1~3A6は、上述した実施の形態1に係る一体型ラベル3Aと比較した場合に、接続領域32に設けられた位置決め部32hの形状のみが相違している。
【0092】
図10(A)に示すように、第1変形例に係る一体型ラベル3A1においては、位置決め部32hがU字状のスリットによって構成されている。同様にして、
図10(B)ないし
図10(D)に示すように、第2変形例に係る一体型ラベル3A2においては、位置決め部32hが十字状のスリットによって構成されており、第3変形例に係る一体型ラベル3A3においては、位置決め部32hがI字状のスリットによって構成されており、第4変形例に係る一体型ラベル3A4においては、位置決め部32hがX字状のスリットによって構成されている。
【0093】
また、
図10(E)に示すように、第5変形例に係る一体型ラベル3A5においては、位置決め部32hが平面視矩形状の孔部によって構成されており、
図10(F)に示すように、第6変形例に係る一体型ラベル3A6においては、位置決め部32hが平面視略楕円形状の孔部によって構成されている。
【0094】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0095】
(第7ないし第9変形例)
図11(A)ないし
図11(C)は、それぞれ第7ないし第9変形例に係る一体型ラベルの隅部を拡大した平面図である。以下、この
図11を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第7ないし第9変形例に係る一体型ラベル3A7~3A9について説明する。なお、
図11(A)ないし
図11(C)においては、当該隅部に含まれる複数の位置決め部32hの近傍のみが示されているが、残る位置決め部32hの近傍についても同様の構成となっている。
【0096】
図11(A)ないし
図11(C)に示すように、第7ないし第9変形例に係る一体型ラベル3A7~3A9は、上述した実施の形態1に係る一体型ラベル3Aと比較した場合に、接続領域32に設けられた位置決め部32hの近傍に、補助カットライン32dが設けられている点においてのみ構成が相違している。
【0097】
図11(A)に示すように、第7変形例に係る一体型ラベル3A7においては、位置決め部32hの近傍に、位置決め部32hを一体型ラベル3A7の外縁と共に平面視略矩形状に取り囲む補助カットライン32dが設けられている。
【0098】
図11(B)に示すように、第8変形例に係る一体型ラベル3A8においては、位置決め部32hの近傍に、一端が一体型ラベル3A8の外縁に達するとともに他端が位置決め部32hと接する補助カットライン32dが設けられている。
【0099】
図11(C)に示すように、第9変形例に係る一体型ラベル3A9においては、位置決め部32hの近傍に、位置決め部32hを一体型ラベル3A9の外縁と共に平面視略三角形状に取り囲む補助カットライン32dが設けられている。
【0100】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0101】
加えて、このように構成することにより、上述したS6工程において一体型パルプモールド2Aおよび一体型ラベル3A7~3A9が第2型110によって押圧される際に、複数の位置決め部32hの近傍に設けられた補助カットライン32dに沿って一体型ラベル3A7~3A9が分断されることにより、一体型ラベル3A7~3A9のうちの位置決め部32h近傍の部分と、一体型ラベル3A7~3A9のうちの製品貼付予定領域31を含む部分とが切り離されることになる。
【0102】
したがって、このように構成することにより、一体型ラベル3A7~3A9が第1型100の位置決め保持部100pによって保持されていることに伴い、第1カットライン32cに沿った一体型ラベル3A7~3A9の分断に際してこの保持が悪影響を及ぼすこと(すなわち、張力が必要以上に製品貼付予定領域31に加わることで位置ずれを起こすこと等)が抑制できることになり、一体型パルプモールド2Aの複数の製品予定部21に対する一体型ラベル3A7~3A9の複数の製品貼付予定領域31の貼り付けをより高精度に行なうことが可能になる。
【0103】
(第10変形例)
図12は、第10変形例に係る一体型ラベルの平面図である。以下、この
図12を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第10変形例に係る一体型ラベル3A10について説明する。
【0104】
図12に示すように、第10変形例に係る一体型ラベル3A10は、上述した実施の形態1に係る一体型ラベル3Aと比較した場合に、第1カットライン32cの構成においてのみ相違している。具体的には、第10変形例に係る一体型ラベル3A10においては、第1カットライン32cが、一体型ラベル3Bの外縁まで達している。
【0105】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0106】
(第11変形例)
図13は、第11変形例に係る一体型ラベルの平面図である。以下、この
図13を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第11変形例に係る一体型ラベル3A11について説明する。
【0107】
図13に示すように、第11変形例に係る一体型ラベル3A11は、上述した実施の形態1に係る一体型ラベル3Aと比較した場合に、第1カットライン32cおよび位置決め部32hの構成においてのみ相違している。
【0108】
具体的には、第11変形例に係る一体型ラベル3A11においては、第1カットライン32cが、一体型ラベル3Bの外縁まで達しているとともに、複数の位置決め部32hが、接続領域32のうちのY軸方向における中央部において一列に並んで設けられている。これにより、複数の位置決め部32hのうちのX軸方向における中央寄りに位置する3つは、第1カットライン32c同士が交差する部分に対応して配置されることになり、残りの2つは、X軸方向における両端部において第1カットライン32c上に配置されることになる。
【0109】
複数の位置決め部32hが接続領域32のうちのY軸方向における中央部において一列に並んで設けられている一体型ラベル3A11が用いられる場合には、これに応じて、一体型パルプモールド2Aの位置決め部22hおよび第1型100の位置決め保持部100pが設けられる位置も、一体型ラベル3A11の位置決め部32hに対応して変更されることとなる。
【0110】
なお、X軸方向における中央寄りに位置する3つの位置決め部32hのみにおいても一体型ラベル3A11の一体型パルプモールド2Aに対する位置決めならびにその保持が十分に可能である限りにおいては、X軸方向における両端に位置する2つの位置決め部32hは設けないこととしてもよい。
【0111】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0112】
ここで、X軸方向における中央寄りに位置する3つの位置決め部32hは、第1カットライン32c同士が交差する部分に対応して設けられているところ、第1カットライン32c同士が交差する部分は、外力を加えられることによって容易にそれ自体が十字状のスリットとなることができる。したがって、当該3つの位置決め部32hは、孔部もしくはスリット等によって構成されてもよいが、第1カットライン32c同士が交差する部分によって構成されてもよい。ただしその際には、第1型100の複数の位置決め保持部100pが平面視略十字状の先細り形状を有していることが好ましい。
【0113】
このように構成した場合には、一体型ラベル3A11に設けられる孔部もしくはスリット等の数を減ずることができ、これにより、一体型パルプモールド2Aに貼り付けられる前の一体型ラベル3A11の強度を向上させることができる。
【0114】
(第12変形例)
図14は、第12変形例に係る一体型ラベルの平面図である。以下、この
図14を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第12変形例に係る一体型ラベル3A12について説明する。
【0115】
図14に示すように、第12変形例に係る一体型ラベル3A12は、上述した実施の形態1に係る一体型ラベル3Aと比較した場合に、第1カットライン32cの構成においてのみ相違している。具体的には、第12変形例に係る一体型ラベル3A12においては、第1カットライン32cが、ミシン目状ではなくスリット状に設けられている。
【0116】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0117】
(第13変形例)
図15は、第13変形例に係る一体型ラベルの平面図である。以下、この
図15を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第13変形例に係る一体型ラベル3A13について説明する。
【0118】
図15に示すように、第13変形例に係る一体型ラベル3A13は、上述した実施の形態1に係る一体型ラベル3Aと比較した場合に、第1カットライン32cの構成においてのみ相違している。具体的には、第13変形例に係る一体型ラベル3A13においては、複数の第1カットライン32cが、それぞれ対応する複数の製品貼付予定領域31を個別に囲むように設けられている。
【0119】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0120】
(実施の形態2)
図16は、実施の形態2に係る一体型ラベルの平面図である。以下、この
図16を参照して、本実施の形態に係る一体型ラベル3Bについて説明する。
【0121】
図16に示すように、本実施の形態に係る一体型ラベル3Bは、上述した実施の形態1に係る一体型ラベル3Aと比較した場合に、異なる構成の位置決め部32h’を有している点においてその構成が相違している。
【0122】
具体的には、上述した実施の形態1に係る一体型ラベル3Aにおいては、孔部からなる位置決め部32h(
図3等参照)が接続領域32に設けられていたが、本実施の形態に係る一体型ラベル3Bにおいては、このような孔部からなる位置決め部32hに代えて、接続領域32の周縁部が、位置決め部32h’として用いられる。この位置決め部32h’としての接続領域32の周縁部は、一体型ラベル3Bを押圧する部分の第2型110の押圧面よりも外側に位置するように設けられている。なお、理解を容易とするために、
図16においては、位置決め部32h’に斜線を付している。
【0123】
このように構成した一体型ラベル3Bは、上述したラベル付きパルプモールドの製造方法のS5工程およびS6工程において、その位置決め部32h’が第1型100および第2型110の押圧面よりも外側に食み出すことになり、当該位置決め部32h’が第1型100および第2型110によって挟み込まれることにより、そのX軸方向およびY軸方向における位置決めが行なわれる。
【0124】
したがって、このように構成した場合にも、一体型ラベル3Bが、第2型110によって一体型パルプモールド2Aに向けて押圧される方向(すなわち、
図6(A)中に示す矢印AR1方向)と直交する方向に対して平行な姿勢を保たれることになるため、上述した実施の形態1の場合と同様に、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0125】
(実施の形態3)
図17は、実施の形態3に係る一体型パルプモールドおよび一体型ラベルの平面図である。以下、この
図17を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法について説明する。
【0126】
本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されるラベル付きパルプモールドは、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されるラベル付きパルプモールド1Aとは異なり、その外形が平面視略矩形状とされた開閉可能な容器である。
【0127】
より具体的には、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されるラベル付きパルプモールドは、蓋となる下面開口の上側容器部と、商品が収納される上面開口の下側容器部と、これら上側容器部および下側容器部を回動可能に連結するヒンジ部とを備えており、当該ラベル付パルプモールドを構成するパルプモールドが、上述した上側容器部、下側容器部、およびヒンジ部に相当する部分を製品部21として含んでいる。一方で、当該ラベル付きパルプモールドを構成するラベルは、上述した上側容器部に相当する部分のパルプモールドの外側表面の一部のみに貼り付けられている。なお、このラベルが貼り付けられる上側容器部に相当する部分のパルプモールドは、平面視したときの中央部が略平面でかつその周縁部が下方に湾曲した立体的な形状である凹形状の部位を含んでいる。
【0128】
そのため、
図17に示すように、本実施の形態においては、一体型パルプモールド2Cの製品予定部21の形状が、上述した実施の形態1におけるそれと相違しているとともに、一体型パルプモールド2Cの製品予定部21に対する一体型ラベル3Cの製品貼付予定領域31の形状が、上述した実施の形態1におけるそれと相違している。
【0129】
具体的には、一体型パルプモールド2Cにおいては、8個の製品予定部21が、2行4列のレイアウトでアレイ状に配置されており、これら8個の製品予定部21を取り囲むように1個の周囲部22が配置されている。ここで、8個の製品予定部21は、互いにその上側容器部に相当する部分がX軸方向およびY軸方向において隣り合うように配置されている。
【0130】
一方、一体型ラベル3Cにおいては、8個の製品貼付予定領域31が、2行4列のレイアウトでアレイ状に配置されており、これら8個の製品貼付予定領域31を取り囲むように1個の接続領域32が配置されている。これら8個の製品貼付予定領域31は、上述した一体型パルプモールド2Cに設けられた8個の製品予定部21に対応付けて設けられており、その各々は、一体型ラベル3Cの周縁に接している。
【0131】
すなわち、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法においては、一体型ラベル3Cの複数の製品貼付予定領域31が、それぞれ一体型パルプモールド2Cの複数の製品予定部21の全体に対してではなく、その一部分のみに対応付けて貼り付けられることになる。なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法は、この点を除き、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法と同様の工程を経るものである。
【0132】
以上において説明した本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従ってラベル付きパルプモールド1Cを製造することにより、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0133】
加えて、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従うことにより、パルプモールドの製品部に対するラベルの貼付位置の選択が自由に行なえることになるため、多様化するニーズに対応したラベル付きパルプモールドの製造方法とすることができる。
【0134】
なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されたラベル付きパルプモールド1Cにおいては、それを構成するラベルが上側容器部に相当する部分のパルプモールドの外側表面の一部のみに貼り付けられている場合を例示して説明したが、当該外側表面の全域に貼り付けられてもよい。
【0135】
また、本実施の形態にあっては、8個の製品予定部21が2行4列のレイアウトでアレイ状に配置されている一体型パルプモールド2Cに対して、上述したように4個の製品貼付予定領域31が1行4列のレイアウトで配置されている一体型ラベルが2つ用いられることによって製造されてもよい。
【0136】
(実施の形態4)
図18は、実施の形態4に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されたラベル付きパルプモールドの斜視図である。また、
図19は、本実施の形態に係る一体型ラベルの平面図である。以下、これら
図18および
図19を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法ならびに本実施の形態に係る一体型ラベル3Dについて説明する。
【0137】
図18に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されたラベル付きパルプモールド1Dは、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されるラベル付きパルプモールド1Aとは異なり、その外形が箱形状とされた開閉可能な容器である。
【0138】
より具体的には、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法に従って製造されるラベル付きパルプモールド1Dにあっては、パルプモールド2の製品部21が、第1部分21(1)としての下面開口の上側容器部と、第2部分21(2)としての上面開口の下側容器部と、これら第1部分21(1)および第2部分21(2)を回動可能に連結するヒンジ部とを含んでおり、ラベル3の製品貼付領域31が、第1部分21(1)に貼り付けられた第1領域31(1)と、第2部分21(2)に貼り付けられた第2領域31(2)とを含んでいる。
【0139】
パルプモールド2の第1部分21(1)は、立体的な形状である凹形状の部位を有しており、ラベル3の第1領域31(1)は、この凹形状の部位を有するパルプモールド2の第1部分21(1)の外側表面を全体的に覆うように当該外側表面に貼り付けられている。一方、パルプモールド2の第2部分21(2)は、立体的な形状である凹形状の部位を有しており、ラベル3の第2領域31(2)は、この凹形状の部位を有するパルプモールド2の第2部分21(2)の外側表面を全体的に覆うように当該外側表面に貼り付けられている。なお、パルプモールド2のヒンジ部には、ラベル3は貼り付けられていない。
【0140】
ここで、その図示は省略しているが、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法において使用される一体型パルプモールドにおいては、上述した第1部分21(1)、第2部分21(2)、およびヒンジ部を含む製品予定部21が、X軸方向に沿って4個並べて配置されている。これに伴い、
図19に示すように、本実施の形態に係る一体型ラベル3Dには、4個の製品貼付予定領域31がX軸方向に沿って並んで配置されている。すなわち、4個の製品貼付予定領域31は、図示しない一体型パルプモールドに設けられた4個の製品予定部21に対応付けて設けられている。
【0141】
ここで、本実施の形態に係る一体型ラベル3Dにおいては、複数の製品貼付予定領域31をさらに2つの領域に区画するように、第2カットライン31cが、複数の製品貼付予定領域31の各々にミシン目状に設けられている。この第2カットライン31cは、一体型ラベル3Dを分断するためのものである。第2カットライン31cによって相互に区画された一対の製品貼付予定領域31のうちの一方は、上述した製品貼付領域31の第1領域31(1)となるものであり、残るもう一方は、上述した製品貼付領域31の第2領域31(2)となるものである。
【0142】
複数の第2カットライン31cが製品貼付予定領域31の各々に設けられる工程は、上述したラベル付きパルプモールドの製造方法のS6工程における複数の製品貼付予定領域31が複数の製品予定部21に対応付けて貼り付けられることに先立って行なわれ、より好ましくは、第1カットライン32cが設けられるS3工程において同時に行なわれる。これら複数の第2カットライン31cは、たとえば一体型ラベル3Dの表面がダイカット加工もしくは切削加工されること等によって一体型ラベル3Dに設けられる。
【0143】
このように構成された一体型ラベル3Dが用いられる本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法においては、上述したS6工程において一体型パルプモールド2Dおよび一体型ラベル3Dが積層された状態で挟み込まれることにより、脆弱部としての第1カットライン32cに沿って一体型ラベル3Dが分断されるばかりでなく、脆弱部としての第2カットライン31cに沿っても一体型ラベル3Dが分断される。これにより、一体型ラベル3Dの複数の製品貼付予定領域31の各々が有する第1領域31(1)と第2領域31(2)とが、相互に切り離されることになる。
【0144】
このようにして分断された複数の製品貼付予定領域31の各々の第1領域31(1)は、製品予定部21の第1部分21(1)に対応付けて貼り付けられることになり、一方で、このようにして分断された複数の製品貼付予定領域31の各々の第2領域31(2)は、製品予定部21の第2部分21(2)に対応付けて貼り付けられることになる。
【0145】
したがって、このように構成することにより、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、紙製のラベルが貼り付けられたラベル付きパルプモールドをラベルが正確な位置に貼り付けられることで美観を損なうことなく高い生産効率にて量産することが可能になる。
【0146】
加えて、このように構成することにより、製造されたラベル付きパルプモールド1Dがヒンジ部において折り曲げられて使用される際にも、ラベル3の第1領域31(1)と第2領域31(2)とが相互に引っ張り合うことでラベル3が破断等することが未然に防止できることになる。さらには、ヒンジ部においてラベルが分断されていることにより、製造されたラベル付きパルプモールド1Dのヒンジ部における折り曲げが容易化する効果も得られる。
【0147】
なお、本実施の形態においては、パルプモールド2のヒンジ部にラベル3が貼り付けられることがないように、第2カットライン31cを予め一体型ラベル3Dに設けるようにした場合を例示したが、この第2カットライン31cを設けないこととしてもよい。その場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、さらにはヒンジ部がラベルによって補強されることでヒンジ部が破損することを未然に防止することもできる。
【0148】
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、ラベルの製品貼付領域がパルプモールドの製品部の外側表面に貼り付けられたラベル付きパルプモールドについて説明を行なったが、ラベルの製品貼付領域が貼り付けられる位置は、パルプモールドの製品部の外側表面に限定されず、製品部の内側表面に貼り付けられてもよい。
【0149】
上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0150】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨に照らして許容される範囲で当然に相互に組み合わせることが可能である。
【0151】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0152】
1A,1C,1D ラベル付きパルプモールド、2 パルプモールド、2A,2C,2D 一体型パルプモールド、21 製品部(製品予定部)、21(1) 第1部分、21(2) 第2部分、21e 周縁、22 周囲部、22h 位置決め部、3 ラベル、3A~3D,3A1~3A13 一体型ラベル、3(1) 第1主面、3(2) 第2主面、3a 基材、3b 接着剤層、3d 分断部、31 製品貼付領域(製品貼付予定領域)、31(1) 第1領域、31(2) 第2領域、31c 第2カットライン、32 接続領域、32c 第1カットライン、32d 補助カットライン、32h,32h’ 位置決め部、100 第1型、100p 位置決め保持部、101 凸状部、110 第2型、111 凹状部。