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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018987
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 19/00 20060101AFI20230202BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
F25D19/00 550C
F25D19/00 560C
F25D29/00 Z
F25D19/00 560B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123410
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】奥村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】西原 慎人
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045AA05
3L045BA01
3L045LA18
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】優れた外観を担保しつつ外気の導入を促進する。
【解決手段】冷却庫10は、前面に開口14Aを備え、冷却対象物が収容される収容室14と、収容室14を冷却するための冷凍装置12を収容する機械室15と、を備える冷却庫本体11と、冷却庫本体11に取り付けられ、少なくとも収容室14の開口14Aを開閉可能な扉13と、扉13に設けられ、扉13を開閉するために用いられる把手35Bと、を備え、機械室15は、前面側に吸気口22Aが形成される前壁22を有し、扉13は、収容室14の開口14Aを閉じた状態で、機械室15の前壁22の前側に対向するよう配される前壁対向部26を有し、前壁対向部26には、当該前壁対向部26の前側から後側に連通する扉吸気口33が設けられ、把手35Bは、扉吸気口33の前側に間隔を空けて対向し、扉吸気口33を前方外部に連通させるよう配されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口を備え、冷却対象物が収容される収容室と、前記収容室を冷却するための冷凍装置を収容する機械室と、を備える冷却庫本体と、
前記冷却庫本体に取り付けられ、少なくとも前記収容室の前記開口を開閉可能な扉と、
前記扉に設けられ、前記扉を開閉するために用いられる把手と、
を備え、
前記機械室は、前面側に吸気口が形成される前壁を有し、
前記扉は、前記収容室の前記開口を閉じた状態で、前記機械室の前記前壁の前側に対向するよう配される前壁対向部を有し、
前記前壁対向部には、当該前壁対向部の前側から後側に連通する扉吸気口が設けられ、
前記把手は、前記扉吸気口の前側に間隔を空けて対向し、前記扉吸気口を前方外部に連通させるよう配されている、冷却庫。
【請求項2】
前記扉は、前面が部分的に後退していてその後退部に前記前壁対向部が含まれており、
前記把手は、前記後退部との間に空間を有するよう配されるとともに前記空間を前方に開口させるよう前記前面の後退始点との間に間隔を空けて配される請求項1記載の冷却庫。
【請求項3】
前記扉は、前記前面に、前記後退部に対して前側に位置する主前面部を含むとともに、前記後退部の少なくとも一部に、前方に露出する形で前記主前面部に対して傾斜する傾斜面を含む請求項2記載の冷却庫。
【請求項4】
前記把手は、前記前壁対向部における前記扉吸気口の縁部に対して前方から視て重なるよう配される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項5】
前記扉は、前記収容室の前記開口を開閉可能とされて前記前壁対向部に連なる収容室開閉部を有しており、
前記扉吸気口は、前記前壁対向部のうち、前記収容室開閉部側とは反対側の端部に配される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項6】
少なくとも一部が前記機械室内に配されていて前記吸気口を通して導入される外気をフィルタリングするエアフィルタを備えており、
前記前壁には、前記エアフィルタが差し込まれる差込口が設けられており、
前記エアフィルタは、前記差込口の前側に配されていて着脱操作を行うのに用いられる着脱操作部を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項7】
前記前壁対向部よりも後側に位置するよう前記扉に取り付けられていて前記扉吸気口に導入される外気をフィルタリングするエアフィルタを備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項8】
前記機械室は、前面が開口していてその開口の縁部よりも後側に前記前壁が配されることで前記前壁の前側に凹状空間が存在するよう構成されており、
前記扉には、前後に開口する筒状をなしていてその内側に前記エアフィルタが収容されるとともに前記凹状空間内に嵌合される嵌合部が設けられている請求項7記載の冷却庫。
【請求項9】
前記前壁に対して前側に取り付けられていて前記吸気口に導入される外気をフィルタリングするエアフィルタを備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項10】
前記機械室は、前面の一部が開口していてその開口に前記前壁が配されるとともに、前面のうちの非開口となる部分に使用者による操作を受け付ける操作部が設けられており、
前記操作部は、前記機械室の開口の縁部よりも前方に突き出すよう配されており、
前記扉は、前記収容室と前記機械室との並び方向について前記操作部と隣り合うよう配される請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却庫の一種である冷蔵庫の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の冷蔵庫では、断熱箱体天面に凝縮器とファン、カバーからなる風路を構成し、カバーの前面に吸入開口部を設け、吸入開口部に対向する扉に切り欠き部であるガイダーを設けることによって、冷蔵庫の外観意匠を損なわずに凝縮器の放熱能力を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4285402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の冷蔵庫では、ガイダーによって吸入開口部への外気の導入を図っているものの、吸入開口部の前側に扉の一部が対向配置されているため、吸入開口部に十分な量の外気を導入できないおそれがあった。そうかといって、例えば吸入開口部の前側に扉の一部が対向しない構成を採ると、吸入開口部が前方外部に露出するため、外観が悪化するなどの問題が生じることが懸念される。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、優れた外観を担保しつつ外気の導入を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わる冷却庫は、前面に開口を備え、冷却対象物が収容される収容室と、前記収容室を冷却するための冷凍装置を収容する機械室と、を備える冷却庫本体と、前記冷却庫本体に取り付けられ、少なくとも前記収容室の前記開口を開閉可能な扉と、前記扉に設けられ、前記扉を開閉するために用いられる把手と、を備え、前記機械室は、前面側に吸気口が形成される前壁を有し、前記扉は、前記収容室の前記開口を閉じた状態で、前記機械室の前記前壁の前側に対向するよう配される前壁対向部を有し、前記前壁対向部には、当該前壁対向部の前側から後側に連通する扉吸気口が設けられ、前記把手は、前記扉吸気口の前側に間隔を空けて対向し、前記扉吸気口を前方外部に連通させるよう配されている。
【0007】
扉には、収容室の開口を閉じた状態で機械室の前壁の前側に対向する前壁対向部が設けられているから、前壁対向部によって前壁の吸気口が外部に露出し難くなる。これにより、前壁における吸気口の縁部に塵埃が付着し難くなるとともに吸気口に係る設計自由度を高めることができる。また、扉には、前壁対向部の前側から後側に連通する扉吸気口が設けられ、把手が扉吸気口の前側に間隔を空けて対向し扉吸気口を前方外部に連通させるよう配されているから、外部から扉吸気口への通気を確保しつつ、扉吸気口が把手によって外部に露出し難いものとなっている。したがって、扉吸気口の縁部に塵埃が付着するのを抑制しつつ、扉吸気口を通して前壁対向部の後側に導入された外気を、機械室の前壁の吸気口へと向かわせることができ、冷凍装置を外気によって冷却することができるようになる。扉吸気口は、把手によって外部に露出し難くなっているから、扉吸気口が前方外部から視認され難くなって当該冷却庫の外観が優れたものとなる。
【0008】
(2)また、上記冷却庫は、上記(1)に加え、前記扉は、前面が部分的に後退していてその後退部に前記前壁対向部が含まれており、前記把手は、前記後退部との間に空間を有するよう配されるとともに前記空間を前方に開口させるよう前記前面の後退始点との間に間隔を空けて配されてもよい。このようにすれば、後退部と把手との間に有される空間は、把手と扉の前面の後退始点との間に間隔が空けられることで、前方に開口している。従って、外気を、把手と上記後退始点との間の開口を通して後退部と把手との間に有される空間に導入し、空間から後退部の扉吸気口へと導入することができる。しかも、使用者は、自身の指を、把手と上記後退始点との間の開口を通して後退部と把手との間に有される空間に差し入れた上で、把手を掴んで扉の開閉操作を行うことができる。このように、後退部と把手との間に有される空間を、外気を扉吸気口へと導入するための流路(吸気経路)として利用できるとともに、扉の開閉操作を行う際の指入れ空間として利用できる。
【0009】
(3)また、上記冷却庫は、上記(2)に加え、前記扉は、前記前面に、前記後退部に対して前側に位置する主前面部を含むとともに、前記後退部の少なくとも一部に、前方に露出する形で前記主前面部に対して傾斜する傾斜面を含んでもよい。このようにすれば、把手と扉の前面の後退始点との間の開口を通して後退部と把手との間に有される空間に導入される外気は、後退部のうちの前方に露出する形で主前面部に対して傾斜する傾斜面によって扉吸気口へ向かうよう整流される。また、扉の開閉操作を行うべく使用者が自身の指を後退部と把手との間に有される空間に差し入れる際には、上記傾斜面によって指を把手へとガイドすることができる。
【0010】
(4)また、上記冷却庫は、上記(1)から上記(3)のいずれかに加え、前記把手は、前記前壁対向部における前記扉吸気口の縁部に対して前方から視て重なるよう配されてもよい。このようにすれば、前壁対向部を前後方向に対する斜め方向から視た場合でも、扉吸気口が把手によって隠れ易くなる。これにより、外観がより優れたものとなる。
【0011】
(5)また、上記冷却庫は、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記扉は、前記収容室の前記開口を開閉可能とされて前記前壁対向部に連なる収容室開閉部を有しており、前記扉吸気口は、前記前壁対向部のうち、前記収容室開閉部側とは反対側の端部に配されてもよい。このようにすれば、扉吸気口から収容室までの距離が最大化される。従って、扉を閉止した状態において、扉吸気口を通して前壁対向部の後側に導入される外気が機械室に効率的に導入されるとともに、外気が収容室開閉部により閉じられた収容室付近に滞留し難くなる。
【0012】
(6)また、上記冷却庫は、上記(1)から上記(5)のいずれかに加え、少なくとも一部が前記機械室内に配されていて前記吸気口を通して導入される外気をフィルタリングするエアフィルタを備えており、前記前壁には、前記エアフィルタが差し込まれる差込口が設けられており、前記エアフィルタは、前記差込口の前側に配されていて着脱操作を行うのに用いられる着脱操作部を有してもよい。このようにすれば、機械室の前壁の吸気口を通して機械室に導入された外気は、前壁の差込口に差し込まれたエアフィルタによりフィルタリングされることで、含有されていた塵埃が除去される。エアフィルタをメンテナンスする際には、作業者は、差込口の前側に配される着脱操作部を掴んで着脱操作を行うことができる。
【0013】
(7)また、上記冷却庫は、上記(1)から上記(5)のいずれかに加え、前記前壁対向部よりも後側に位置するよう前記扉に取り付けられていて前記扉吸気口に導入される外気をフィルタリングするエアフィルタを備えてもよい。このようにすれば、前壁対向部の扉吸気口に導入される外気は、前壁対向部よりも後側に位置するよう扉に取り付けられたエアフィルタによりフィルタリングされることで、含有されていた塵埃が除去される。外気が機械室に導入される前の段階でエアフィルタにより塵埃が除去されるので、機械室の内部に塵埃が入り込むのを避けることができる。そして、扉に取り付けられるエアフィルタは、前壁対向部よりも後側に配されているので、エアフィルタに付着した塵埃は、エアフィルタと前壁対向部との間に存在することになる。従って、例えば扉の開閉に伴う振動などの影響によってエアフィルタに付着した塵埃が落下した場合でも、その塵埃が冷却庫本体の内部(収容室や機械室)に入り難くなる。また、エアフィルタは、前壁対向部よりも後側に位置するよう扉に取り付けられているので、扉を閉止した状態では前壁対向部によって前方外部に露出することがないものの、扉を開放した状態では扉の裏側においてエアフィルタが露出することになる。これにより、扉を閉止した状態では優れた外観が得られ、扉を開放した状態ではエアフィルタの汚れ具合を容易に確認することができてメンテナンス性に優れる。
【0014】
(8)また、上記冷却庫は、上記(7)に加え、前記機械室は、前面が開口していてその開口の縁部よりも後側に前記前壁が配されることで前記前壁の前側に凹状空間が存在するよう構成されており、前記扉には、前後に開口する筒状をなしていてその内側に前記エアフィルタが収容されるとともに前記凹状空間内に嵌合される嵌合部が設けられてもよい。このようにすれば、機械室の開口の縁部と前壁とによって前方に露出する凹状空間が構成される。扉を閉止すると、前後に開口する筒状をなす嵌合部が凹状空間内に嵌合される。従って、例えば扉の前壁対向部と冷却庫本体との間に隙間が生じていた場合でも、凹状空間内に嵌合された嵌合部によって上記した隙間を通った外気がエアフィルタを通ることなく前壁の吸気口に入り込む事態が生じ難くなる。機械室の吸気口に導入される外気は、その殆どが前壁対向部の扉吸気口と、嵌合部の内側に収容されるエアフィルタと、を通ることになる。これにより、機械室の内部に塵埃が入り込み難くなる。
【0015】
(9)また、上記冷却庫は、上記(1)から上記(5)のいずれかに加え、前記前壁に対して前側に取り付けられていて前記吸気口に導入される外気をフィルタリングするエアフィルタを備えてもよい。このようにすれば、機械室の前壁の吸気口に導入される外気は、前壁に対して前側に取り付けられたエアフィルタによりフィルタリングされることで、含有されていた塵埃が除去される。外気が機械室に導入される前の段階でエアフィルタにより塵埃が除去されるので、機械室の内部に塵埃が入り込むのを避けることができる。そして、エアフィルタは、前壁に対して前側に取り付けられているので、扉を閉止した状態では前壁対向部によって前方外部に露出することがないものの、扉を開放した状態ではエアフィルタが前方外部に露出することになる。これにより、扉を閉止した状態では優れた外観が得られ、扉を開放した状態ではエアフィルタの汚れ具合を容易に確認することができてメンテナンス性に優れる。
【0016】
(10)また、上記冷却庫は、上記(1)から上記(9)のいずれかに加え、前記機械室は、前面の一部が開口していてその開口に前記前壁が配されるとともに、前面のうちの非開口となる部分に使用者による操作を受け付ける操作部が設けられており、前記操作部は、前記機械室の開口の縁部よりも前方に突き出すよう配されており、前記扉は、前記収容室と前記機械室との並び方向について前記操作部と隣り合うよう配されてもよい。このようにすれば、操作部及び扉が、収容室と機械室との並び方向について互いに隣り合う配置とされているので、外観が優れるとともに当該冷却庫が全体としてコンパクトになる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に記載の技術によれば、優れた外観を担保しつつ外気の導入を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に係る冷却庫の斜視図
図2】扉を開放した状態の冷却庫の斜視図
図3】冷却庫の一部切欠側面図
図4】冷却庫の正面図
図5】冷却庫の図4のA-A線断面図
図6】冷却庫の機械室及び機械室開閉部付近を示す切欠斜視図
図7】冷却庫の機械室及び機械室開閉部付近を示す側断面図
図8】実施形態2に係る冷却庫の機械室及び機械室開閉部付近を示す側断面図
図9】実施形態3に係る冷却庫の機械室及び機械室開閉部付近を示す切欠斜視図
図10】冷却庫の機械室及び機械室開閉部付近を示す側断面図
図11】冷却庫の図5と同じ切断位置の断面図
図12】実施形態4に係る冷却庫の機械室及び機械室開閉部付近を示す側断面図
図13】冷却庫の図5と同じ切断位置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図7によって説明する。なお、各図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、冷却庫10の前後方向における前方、後方、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左方、右方、鉛直方向の上方、下方を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0020】
本実施形態に係る冷却庫10は、例えば粗熱を取っていない調理後の高温の食品を、短時間で急速に冷却することができる急速冷却庫であり、例えば、細菌が繁殖しやすい温度帯や、食品中の水分が凍結する際の氷の結晶成長温度帯を短時間で通過させる急速冷却性能を有している。一例では、10℃~60℃の温度範囲を約30分以内で冷却することや、例えば、-1℃~-5℃の温度範囲を約30分以内で冷却することができる。
【0021】
冷却庫10は、図1及び図2に示すように、全体として略直方体形状をなしており、大まかには、冷却庫本体11と、冷却庫本体11に収容される冷凍装置12と、冷却庫本体11の前面側に取り付けられる扉13と、を備える。冷却庫本体11は、前面の一部が開口された箱状をなしている。冷却庫本体11は、冷却対象物(食品など)及び冷凍装置12の一部が収容される収容室14と、冷凍装置12の一部が収容される機械室15と、を備える。冷却庫本体11のうち、収容室14を構成する壁部には、発泡ウレタン等の断熱材が充填されている。冷却庫本体11は、収容室14及び機械室15が上下方向に沿って並ぶよう構成されており、収容室14が下側に位置し、機械室15が上側に位置している。
【0022】
収容室14は、図2及び図3に示すように、前面が開口していてその開口14Aを通して冷却対象物(次述するトレイT)を出し入れすることが可能とされる。収容室14には、冷却対象物を載せたトレイTが上下方向に複数並ぶ形で収容されるようになっている。収容室14のうち、左右方向について互いに対向する一対の内壁面には、トレイTを支持するトレイ支持構造16がそれぞれ設けられている。収容室14のうち、左右方向についての一端側には、冷凍装置12の一部を構成する蒸発器(図示せず)及び蒸発器ファン(図示せず)が収容された冷却ケース17が設けられている。冷却ケース17の一部の壁部は、収容室14の一方の内壁面を構成するとともにトレイ支持構造16の一部が設けられている。冷却ケース17のうちのトレイ支持構造16が設けられる壁部は、内部の蒸発器ファンと対向するよう配されるとともに、蒸発器ファンにより吹き出される空気(冷気)を収容室14内に導入するための吹出口17Aを有している。また、冷却ケース17は、自身の内部に収容室14の空気を取り込むための吸込口(図示せず)を有する。蒸発器ファンは、庫内ファンの一種である。
【0023】
機械室15には、図3に示すように、冷凍装置12の一部と、冷凍装置12を制御するための制御装置(図示せず)と、が少なくとも収容されている。ここで、冷凍装置12について説明する。冷凍装置12は、おおまかには、圧縮機18、凝縮器19、凝縮器ファン20、膨張弁(図示せず)、蒸発器、蒸発器ファン、及び冷媒を収容する冷媒管21を含み、圧縮機18、凝縮器19、膨張弁、蒸発器の間を冷媒管21で繋いで冷媒を循環させることで、既知の冷凍サイクルを構成している。冷凍装置12のうち、少なくとも圧縮機18、凝縮器19、凝縮器ファン20が機械室15に収容されている。冷凍装置12が稼働されると、収容室14に収容された蒸発器が冷却される。すると、蒸発器と収容室14内(冷却ケース17内)の空気との間で熱交換が行われるので、収容室14内の冷却対象物が冷却されるようになっている。圧縮機18、凝縮器ファン20、及び蒸発器ファンは、制御装置に電気的に接続されている。
【0024】
機械室15は、図2及び図3に示すように、前面の一部が開口していてその開口15Aに前壁22が取り付けられている。前壁22は、機械室15の開口15Aの縁部よりも後側に引っ込んだ位置に配されている。従って、機械室15の開口15Aの縁部と前壁22とによって前方に露出する所定深さの凹状空間S1が構成されている。前壁22には、外気を機械室15に導入するための吸気口22Aが形成されている。外気が吸気口22Aを通して機械室15の内側に導入されることで、機械室15に収容された冷凍装置12(特に凝縮器19)が稼働に伴って発熱してもその冷却を図ることができる。吸気口22Aは、横長な長円形状をなしており、前壁22において左右方向及び上下方向に沿って複数ずつが間隔を空けて並んで配されている。複数の吸気口22Aは、上下に隣り合うものが左右方向にずれるよう、全体として千鳥状に配列されるとともに、前壁22の概ね全域にわたって分散配置されている。前壁22が取り付けられる開口15Aは、機械室15のうち、上下方向について収容室14側の端寄りとなるよう偏在している。機械室15のうちの非開口部分には、使用者が庫内温度を設定するなどの各種操作を行うのに用いられる操作パネル(操作部)23が設けられている。操作パネル23は、上下方向について収容室14側とは反対側の端寄りとなるよう偏在するとともに、機械室15の開口15Aの縁部よりも前方に突き出すよう配されている。操作パネル23は、制御装置に電気的に接続されている。従って、操作パネル23に入力される操作に基づいて制御装置は、冷凍装置12の運転状態を制御するものとされる。
【0025】
扉13は、図2及び図4に示すように、前方から視て方形をなしており、上下方向について冷却庫本体11における収容室14と機械室15とに跨がる大きさを有する。扉13は、その右側端部がヒンジ部24を介して冷却庫本体11に対して揺動可能に取り付けられており、その揺動軸が上下方向と一致している。扉13は、図1及び図2に示すように、冷却庫本体11に対して揺動されるのに伴って、収容室14の開口14Aと、機械室15の開口15Aと、を共に開閉可能とされる。
【0026】
扉13は、図2及び図3に示すように、収容室14の開口14Aを開閉可能な収容室開閉部13Aと、収容室開閉部13Aから上側(収容室14から機械室15に向かう側)に延出していて機械室15の開口15Aを開閉可能な機械室開閉部13Bと、を有する。収容室開閉部13Aは、扉13の下側部分を構成するのに対し、機械室開閉部13Bは、扉13の上側部分を構成する。収容室開閉部13Aは、金属板等からなる外装材の内部に発泡ウレタン等の断熱材が充填された構成とされており、収容室開閉部13Aにより収容室14の開口14Aが閉じられることで、収容室14を断熱状態に保つことができる。収容室開閉部13Aには、収容室14の開口14Aを閉じた状態において庫内側を向く背面(開口14Aを覆う表面)の外縁部(縁部)には、磁性パッキン25が装着されている。磁性パッキン25は、磁性材料が混ぜられた弾性体からなるシール部材である。収容室開閉部13Aにより収容室14の開口14Aを閉じた状態では、磁性パッキン25は、収容室14の開口14Aの縁部に埋設された磁気部材に吸着されるとともに、収容室開閉部13Aと収容室14の開口14Aの縁部との間で圧縮されて密着状態となる。磁性パッキン25は、収容室14の開口14Aの縁部に沿って方形の枠状をなしている。また、収容室開閉部13Aは、磁性パッキン25が設けられている外縁部よりも、その内側の中央部分の厚みが厚く、背面の中央部分は、収容室開閉部13Aを閉じたときに外縁部よりも庫内側に向かって突出した突面となっている。なお、扉13の開閉を検知するスイッチやセンサなどを設置するようにしてもよい。
【0027】
機械室開閉部13Bは、図6に示すように、その主要部(前壁対向部26等)が、収容室開閉部13Aを構成する外装材を上側に延出させた部分により構成されている。機械室開閉部13Bは、主要部として、扉13を閉じた状態で前壁22に対して前側に間隔を空けて対向する前壁対向部26を有する。従って、扉13を閉じた状態では、前壁対向部26によって前壁22の吸気口22Aが外部に露出し難くなっている。これにより、前壁22における吸気口22Aの縁部に塵埃が付着し難くなるとともに吸気口22Aに係る設計自由度を高めることができる。前壁対向部26に加えて、機械室開閉部13Bは、図5に示すように、主要部として、前壁対向部26の両側端部に連ねられて後側に向けて曲げられる一対の側板部27と、一対の側板部27の各後端部に連ねられて前壁対向部26に対して後側に間隔を空けて対向するよう曲げられる一対の後板部28と、を有する。前壁対向部26と側板部27と後板部28とにより囲まれた空間には、前壁対向部26、側板部27及び後板部28の内面に沿うよう、平面に視て「コ」字型の補強部材29が配されている。補強部材29は、前壁対向部26及び後板部28に対して接した状態でネジ等により取り付けられている。側板部27における上下両端部には、前壁対向部26と側板部27と後板部28とにより囲まれた空間を上下から閉じるよう延出する延出部30が曲げ形成されている。
【0028】
扉13は、図4図6及び図7に示すように、その前面が部分的に後退した後退部31を有しており、その後退部31に前壁対向部26の一部が含まれている。後退部31は、上下方向について前壁対向部26のうちの上端側、つまり収容室開閉部13A側とは反対側の端寄りとなるよう偏在する形で配されている。また、後退部31は、左右方向について前壁対向部26のうちの両端部を除いた中央側部分に配されており、左右方向に沿って延在する細長い帯状の形成範囲を有する。なお、扉13の前面の大部分(収容室開閉部13Aの前面の全域と前壁対向部26の前面の大部分)は、後退部31に対して前側に位置していて後退していない主前面部32となっている。主前面部32は、全域にわたって上下方向及び左右方向に沿うフラットな面となっている。
【0029】
これに対し、後退部31は、図4図6及び図7に示すように、機械室開閉部13Bの前端に位置する主前面部32よりも後側に位置するのに対し、機械室開閉部13Bの後端に位置する後板部28よりも前側に位置している。つまり、後退部31は、機械室開閉部13Bにおいて前後方向について中間に位置している。後退部31は、主前面部32に連なる第1後退部31Aと、第1後退部31Aの後端部に連なる第2後退部31Bと、を有する。第1後退部31Aは、上下方向及び前後方向に対して傾斜していてその前面が傾斜面31A1となっている。傾斜面31A1は、主前面部32からの後退始点Pから第2後退部31Bの前端部に至るまで一定の上り勾配となっている。傾斜面31A1は、前方に向けて露出するとともに斜め上方を向くよう後傾している。傾斜面31A1は、第2後退部31Bに対して鈍角をなしている。第2後退部31Bは、上下方向に沿って真っ直ぐに延在しており、その前面が主前面部32と平行をなす。第2後退部31Bは、後退部31のうちの最も後退した部分である。これら第1後退部31A及び第2後退部31Bは、左右方向に沿って延在している。また、後退部31は、主前面部32と、第1後退部31A及び第2後退部31Bの左右方向についての各側端部と、に連なっていて上下方向に沿って延在する一対の第3後退部31Cを有する。一対の第3後退部31Cは、左右方向について第1後退部31A及び第2後退部31Bの両端に位置している。第3後退部31Cは、左右方向及び前後方向に対して傾斜していてその前面が傾斜面となっている。第3後退部31Cの傾斜面は、主前面部32からの後退始点Pから第1後退部31A及び第2後退部31Bの各側端部に至るまで一定の勾配となっている。第3後退部31Cの傾斜面は、前方に向けて露出するとともに左右方向について中央側を向くよう内傾している。第3後退部31Cの傾斜面は、第2後退部31Bに対して鈍角をなしている。
【0030】
そして、前壁対向部26には、図4図6及び図7に示すように、前壁対向部26の前側から後側に連通する扉吸気口33が設けられている。扉吸気口33は、前壁対向部26の上側の端部(収容室開閉部13A側とは反対側の端部)を上向きに切り欠いて形成されており、前後両側に開口するとともに上側にも開口している。つまり、扉吸気口33は、前壁対向部26のうちの後退部31を有する部分に設けられており、後退部31のうちの最も後退した部分である第2後退部31Bに設けられている。扉吸気口33は、左右方向について前壁対向部26のうちの両端部を除いた中央側部分に配されており、左右方向に沿って延在する細長い帯状の形成範囲を有するとともに、その形成範囲が第2後退部31Bの形成範囲と一致している。前壁対向部26は、扉吸気口33の下側縁部と左右両側縁部との3つの縁部を有する。扉吸気口33の下側縁部が第2後退部31Bにより構成され、左右両側縁部が第3後退部31Cにより構成される。このうちの扉吸気口33の下側縁部は、前壁対向部26の側板部27及び後板部28の上端位置よりも低い配置となっている。また、第2後退部31Bは、扉吸気口33の下側縁部を構成する部分が後側に折り返されていて折り返し部34となっている。折り返し部34は、上下方向の寸法が扉吸気口33の上下方向の開口幅と同等である。製造に際しては、前壁対向部26の両側端部付近に一対のスリットを入れ、スリットにより挟まれた部分を折り返すことで折り返し部34が形成されており、それに伴って扉吸気口33が形成されるようになっている。このような構成の扉吸気口33が前壁対向部26に設けられているので、扉13を閉じた状態では、外気が扉吸気口33を通して扉13の内側に導入され、さらに前壁22の吸気口22Aを通して機械室15に導入されるようになっている。これにより、仮に前壁対向部26に扉吸気口33が非形成とされた場合に比べると、機械室15に導入される外気の量を十分に確保することができる。
【0031】
扉13には、図4図6及び図7に示すように、扉13を開閉するために用いられるハンドル部35が取り付けられている。ハンドル部35は、左右方向について扉13のほぼ全幅にわたって延在する形で設けられている。ハンドル部35は、扉13を構成する機械室開閉部13Bの上側の端部に取り付けられている。ハンドル部35は、全体として側方から視た断面形状が略L字型をなしており、扉13に対して取り付けられる取付部35Aと、使用者によって掴まれる把手35Bと、を有する。取付部35Aは、前後方向及び左右方向に沿って延在する板状をなしている。取付部35Aは、機械室開閉部13Bの前壁対向部26、側板部27及び後板部28に対して上側から被せられるとともに、上側の延出部30に対して接した状態でネジ等により取り付けられている。取付部35Aは、前壁対向部26の上端部と対向するとともに、扉吸気口33の上側縁部を構成している。
【0032】
把手35Bは、図6及び図7に示すように、取付部35Aの前端部から下向きに屈曲されており、左右方向及び上下方向に沿って延在する板状をなしている。把手35Bは、扉吸気口33の前側に間隔を空けて対向するよう配されている。把手35Bは、図4から図7に示すように、上下方向及び左右方向について扉吸気口33の全域に対して対向配置されている。これにより、扉吸気口33は、把手35Bによって前方外部に露出し難くなっており、扉吸気口33が前方外部から視認され難くなっているので、冷却庫10の外観が優れたものとなる。しかも、把手35Bは、扉吸気口33の下側縁部(第2後退部31Bの一部)及び左右両側縁部(第3後退部31Cの一部)に対して前方から視て重なるよう配されているから、前壁対向部26を前後方向に対する斜め方向(例えば下斜め方向や左右の各斜め方向)から視た場合でも、扉吸気口33が把手35Bによって隠れ易くなっている。これにより、冷却庫10の外観がより優れたものとなる。また、把手35Bは、その下端位置が第1後退部31Aの上端位置よりも高い配置とされる。つまり、把手35Bは、第1後退部31Aとは非対向となる配置であることから、第1後退部31Aは、全域にわたって前方外部に露出している。また、把手35Bは、第2後退部31B及び第3後退部31Cの各上側部分(扉吸気口33の下側縁部及び左右両側縁部を含む)に対して対向するものの、第2後退部31B及び第3後退部31Cの各下側部分に対しては非対向の配置とされる。
【0033】
そして、把手35Bは、図6及び図7に示すように、扉吸気口33の前側に間隔を空けて対向するとともに、扉吸気口33を前方外部に連通させるよう配されている。このように、扉吸気口33の前側に間隔を空けて対向する把手35Bが、扉吸気口33を前方外部に連通させるよう配されているから、外部から扉吸気口33への通気を確保しつつ、扉吸気口33が把手35Bによって外部に露出し難いものとなっている。従って、扉吸気口33の縁部に塵埃が付着するのを抑制しつつ、扉吸気口33を通して前壁対向部26の後側に導入された外気を、機械室15の前壁22の吸気口22Aへと向かわせることができ、冷凍装置12を外気によって冷却することができる。
【0034】
具体的には、把手35Bは、図6及び図7に示すように、前後方向について前壁対向部26の主前面部32よりも僅かに前側に配されている。これに対し、前壁対向部26には、一部を後向きに凹ませる形で後退部31が形成されているので、把手35Bは、後退部31との間に空間S2を有するよう配されている、と言える。この空間S2は、把手35Bと、扉吸気口33及び第2後退部31Bと、の間に存在している。その上で、把手35Bは、空間S2を前方に開口させるよう、前壁対向部26の前面の後退始点Pとの間に間隔を空けて配されている。従って、把手35Bの下端部と、前壁対向部26の前面の後退始点Pと、の間には、空間S2に連通する開口OPが有されている、と言える。この開口OPを通して第1後退部31A(傾斜面31A1)の全域と、第2後退部31B及び第3後退部31Cの各下側部分と、がそれぞれ前方外部に露出している。第1後退部31Aの傾斜面31A1は、把手35Bを指向するような傾きを有している、と言える。なお、把手35Bのうちの左右方向についての両側端部は、扉吸気口33を左右両側から挟むよう配されるとともに主前面部32に対して僅かな間隔を空けて対向するよう配されている。
【0035】
このような構成によれば、外気を、把手35Bと前壁対向部26の前面の後退始点Pとの間の開口OPを通して後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2に導入し、空間S2から後退部31の扉吸気口33へと導入することができる。ここで、開口OPと扉吸気口33とは、上下方向について互いに離れた配置とされているので、開口OPから扉吸気口33へ至る外気の流路(吸気経路)は、非直線的であり、蛇行している。従って、外気は、開口OPから空間S2を通って扉吸気口33に至る過程で流れに乱れが生じ易くなっているので、外気に含まれる塵埃が扉吸気口33の縁部に付着し難くなっている。これにより、メンテナンス性に優れる。しかも、後退部31の前面には、主前面部32に対して傾斜する傾斜面31A1が含まれていてこの傾斜面31A1が開口OPを通して前方に露出しているので、開口OPを通して空間S2に導入される外気を傾斜面31A1によって扉吸気口33へ向かうよう整流することができる。さらには、使用者は、自身の指を、把手35Bと前壁対向部26の前面の後退始点Pとの間の開口OPを通して後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2に差し入れた上で、把手35Bを掴んで扉13の開閉操作を行うことができる。この扉13の開閉操作を行うべく使用者が自身の指を後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2に差し入れる際には、後退部31の前面において開口OPを通して前方に露出する傾斜面31A1によって指を把手35Bへとガイドすることができる。以上のように、後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2を、外気を扉吸気口33へと導入するための流路として利用できるとともに、扉13の開閉操作を行う際の指入れ空間として利用できる。
【0036】
また、本実施形態に係る冷却庫10は、図3図6及び図7に示すように、機械室15に導入される外気をフィルタリングするためのエアフィルタ36を備えている。エアフィルタ36は、大部分が機械室15内に配されているので、吸気口22Aを通して機械室15の内部に導入された外気をフィルタリングすることができる。機械室15の前壁22には、前方からエアフィルタ36が差し込まれる差込口22Bが設けられている。差込口22Bは、前壁22のうちの上端部付近に配されていて全ての吸気口22Aに対して上側に位置している。また、差込口22Bは、左右方向について前壁22の両側端部を除いた中央側の大部分を横切る形で設けられており、その左右方向についての両端部が、左右方向について両端に位置する吸気口22Aよりも端側に位置している。エアフィルタ36は、方形の枠状をなすフレーム36Aと、フレーム36Aに貼られるフィルタ部36Bと、着脱操作を行うための着脱操作部36Cと、を有する。フレーム36Aは、フィルタ部36Bを保持するものであり、左右方向について差込口22Bの開口幅よりも僅かに小さい程度の大きさを有する。フィルタ部36Bは、外気に含まれる塵埃をフィルタリングして捕捉するためのものである。着脱操作部36Cは、フレーム36Aの一部(前端部)からなる。このような構成のエアフィルタ36は、前壁22の差込口22Bに差し込まれた装着状態では、前端部が最上位にあって差込口22Bの縁部により支持されるとともに下端部が最下位にあって機械室15の底面により支持されており、全体として前傾姿勢とされている。この装着状態では、フレーム36A及びフィルタ部36Bの大部分が機械室15の内部空間に収容されていてフィルタ部36Bの前面が全ての吸気口22Aに対して対向する配置とされる。これにより、いずれの吸気口22Aから機械室15に導入される外気も、漏れなくフィルタ部36Bを通過することになるので、塵埃が効率的に除去されるようになっている。一方、装着状態では、着脱操作部36Cが差込口22Bの前側に突き出す形で配されている。これにより、エアフィルタ36のメンテナンスや交換などを行う際には、作業者は、差込口22Bの前側に配される着脱操作部36Cを掴んで引き抜くことができる。
【0037】
また、操作パネル23は、図6及び図7に示すように、機械室15の前面のうちの非開口となる部分に設けられていて機械室15の開口15Aの縁部よりも前方に突き出すよう配されている。従って、扉13は、上下方向(収容室14と機械室15との並び方向)について操作パネル23と隣り合うよう配されることになる。上下方向に沿って互いに隣り合う操作パネル23及び扉13は、互いの全面がほぼ面一状をなしている。このような構成によれば、外観がより優れるとともに冷却庫10を全体としてコンパクトにすることができる。
【0038】
以上説明したように本実施形態の冷却庫10は、前面に開口14Aを備え、冷却対象物が収容される収容室14と、収容室14を冷却するための冷凍装置12を収容する機械室15と、を備える冷却庫本体11と、冷却庫本体11に取り付けられ、少なくとも収容室14の開口14Aを開閉可能な扉13と、扉13に設けられ、扉13を開閉するために用いられる把手35Bと、を備え、機械室15は、前面側に吸気口22Aが形成される前壁22を有し、扉13は、収容室14の開口14Aを閉じた状態で、機械室15の前壁22の前側に対向するよう配される前壁対向部26を有し、前壁対向部26には、当該前壁対向部26の前側から後側に連通する扉吸気口33が設けられ、把手35Bは、扉吸気口33の前側に間隔を空けて対向し、扉吸気口33を前方外部に連通させるよう配されている。
【0039】
扉13には、収容室14の開口14Aを閉じた状態で機械室15の前壁22の前側に対向する前壁対向部26が設けられているから、前壁対向部26によって前壁22の吸気口22Aが外部に露出し難くなる。これにより、前壁22における吸気口22Aの縁部に塵埃が付着し難くなるとともに吸気口22Aに係る設計自由度を高めることができる。また、扉13には、前壁対向部26の前側から後側に連通する扉吸気口33が設けられ、把手35Bが扉吸気口33の前側に間隔を空けて対向し扉吸気口33を前方外部に連通させるよう配されているから、外部から扉吸気口33への通気を確保しつつ、扉吸気口33が把手35Bによって外部に露出し難いものとなっている。したがって、扉吸気口33の縁部に塵埃が付着するのを抑制しつつ、扉吸気口33を通して前壁対向部26の後側に導入された外気を、機械室15の前壁22の吸気口22Aへと向かわせることができ、冷凍装置12を外気によって冷却することができるようになる。扉吸気口33は、把手35Bによって外部に露出し難くなっているから、扉吸気口33が前方外部から視認され難くなって当該冷却庫10の外観が優れたものとなる。以上により、優れた外観を担保しつつ外気の導入を促進することができる。
【0040】
また、扉13は、前面が部分的に後退していてその後退部31に前壁対向部26が含まれており、把手35Bは、後退部31との間に空間S2を有するよう配されるとともに空間S2を前方に開口させるよう前面の後退始点Pとの間に間隔を空けて配される。このようにすれば、後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2は、把手35Bと扉13の前面の後退始点Pとの間に間隔が空けられることで、前方に開口している。従って、外気を、把手35Bと上記後退始点Pとの間の開口OPを通して後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2に導入し、空間S2から後退部31の扉吸気口33へと導入することができる。しかも、使用者は、自身の指を、把手35Bと上記後退始点Pとの間の開口OPを通して後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2に差し入れた上で、把手35Bを掴んで扉13の開閉操作を行うことができる。このように、後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2を、外気を扉吸気口33へと導入するための流路(吸気経路)として利用できるとともに、扉13の開閉操作を行う際の指入れ空間として利用できる。
【0041】
また、扉13は、前面に、後退部31に対して前側に位置する主前面部32を含むとともに、後退部31の少なくとも一部に、前方に露出する形で主前面部32に対して傾斜する傾斜面31A1を含む。このようにすれば、把手35Bと扉13の前面の後退始点Pとの間の開口OPを通して後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2に導入される外気は、後退部31のうちの前方に露出する形で主前面部32に対して傾斜する傾斜面31A1によって扉吸気口33へ向かうよう整流される。また、扉13の開閉操作を行うべく使用者が自身の指を後退部31と把手35Bとの間に有される空間S2に差し入れる際には、上記傾斜面31A1によって指を把手35Bへとガイドすることができる。
【0042】
また、把手35Bは、前壁対向部26における扉吸気口33の縁部に対して前方から視て重なるよう配される。このようにすれば、前壁対向部26を前後方向に対する斜め方向から視た場合でも、扉吸気口33が把手35Bによって隠れ易くなる。これにより、外観がより優れたものとなる。
【0043】
また、扉13は、収容室14の開口14Aを開閉可能とされて前壁対向部26に連なる収容室開閉部13Aを有しており、扉吸気口33は、前壁対向部26のうち、収容室開閉部13A側とは反対側の端部に配される。このようにすれば、扉吸気口33から収容室14までの距離が最大化される。従って、扉13を閉止した状態において、扉吸気口33を通して前壁対向部26の後側に導入される外気が機械室15に効率的に導入されるとともに、外気が収容室開閉部13Aにより閉じられた収容室14付近に滞留し難くなる。
【0044】
また、少なくとも一部が機械室15内に配されていて吸気口22Aを通して導入される外気をフィルタリングするエアフィルタ36を備えており、前壁22には、エアフィルタ36が差し込まれる差込口22Bが設けられており、エアフィルタ36は、差込口22Bの前側に配されていて着脱操作を行うのに用いられる着脱操作部36Cを有する。このようにすれば、機械室15の前壁22の吸気口22Aを通して機械室15に導入された外気は、前壁22の差込口22Bに差し込まれたエアフィルタ36によりフィルタリングされることで、含有されていた塵埃が除去される。エアフィルタ36をメンテナンスする際には、作業者は、差込口22Bの前側に配される着脱操作部36Cを掴んで着脱操作を行うことができる。
【0045】
また、機械室15は、前面の一部が開口していてその開口15Aに前壁22が配されるとともに、前面のうちの非開口となる部分に使用者による操作を受け付ける操作パネル(操作部)23が設けられており、操作パネル23は、機械室15の開口15Aの縁部よりも前方に突き出すよう配されており、扉13は、収容室14と機械室15との並び方向について操作パネル23と隣り合うよう配される。このようにすれば、操作パネル23及び扉13が、収容室14と機械室15との並び方向について互いに隣り合う配置とされているので、外観が優れるとともに当該冷却庫10が全体としてコンパクトになる。
【0046】
<実施形態2>
実施形態2を図8によって説明する。この実施形態2では、エアフィルタ136の配置等を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0047】
本実施形態に係るエアフィルタ136は、図8に示すように、機械室115の前壁122に対して前側(凹状空間S1)に取り付けられている。つまり、エアフィルタ136は、機械室115の前壁122と扉113の前壁対向部126との間に介在する配置とされる。従って、扉吸気口133を通して扉113の内側に導入された外気が吸気口122Aに通される前の段階で、エアフィルタ136によってフィルタリングされるので、機械室115の内部に塵埃が入り込むのを避けることができる。言い換えると、予めエアフィルタ136によってフィルタリングされた外気が前壁122の吸気口122Aに通されるようになっている。エアフィルタ136は、上下方向及び左右方向についての大きさが前壁122と同等とされており、フィルタ部136Bが全ての吸気口122Aを前側から覆う形で配されている。このエアフィルタ136を前壁122に対して取付状態に保持するには、例えばフレーム136Aに吸気口122Aの縁部に対して係止する係止構造を設けるようにすればよく、それ以外にも例えば前壁122が磁性体とされる場合にはフレーム136Aにマグネットを設置し、マグネットを前壁122に吸着させるようにしてもよい。このように、エアフィルタ136は、前壁122に対して前側に取り付けられているので、扉113を閉止した状態では前壁対向部126によって前方外部に露出することがないものの、扉113を開放した状態ではエアフィルタ136が前方外部に露出することになる。これにより、扉113を閉止した状態では優れた外観が得られ、扉113を開放した状態ではエアフィルタ136の汚れ具合を容易に確認することができてメンテナンス性に優れる。なお、図8には、実施形態1に説明した差込口122Bが図示されているが、当該差込口122Bを吸気口122Aとして利用することが可能である。
【0048】
以上説明したように本実施形態によれば、前壁122に対して前側に取り付けられていて吸気口122Aに導入される外気をフィルタリングするエアフィルタ136を備える。このようにすれば、機械室115の前壁122の吸気口122Aに導入される外気は、前壁122に対して前側に取り付けられたエアフィルタ136によりフィルタリングされることで、含有されていた塵埃が除去される。外気が機械室115に導入される前の段階でエアフィルタ136により塵埃が除去されるので、機械室115の内部に塵埃が入り込むのを避けることができる。そして、エアフィルタ136は、前壁122に対して前側に取り付けられているので、扉113を閉止した状態では前壁対向部126によって前方外部に露出することがないものの、扉113を開放した状態ではエアフィルタ136が前方外部に露出することになる。これにより、扉113を閉止した状態では優れた外観が得られ、扉113を開放した状態ではエアフィルタ136の汚れ具合を容易に確認することができてメンテナンス性に優れる。
【0049】
<実施形態3>
実施形態3を図9から図11によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態2から扉213の構成やエアフィルタ236の配置等を変更したものを示す。なお、上記した実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0050】
本実施形態に係るエアフィルタ236は、図9に示すように、前壁対向部226よりも後側に位置するよう扉213に取り付けられている。つまり、エアフィルタ236は、機械室215の前壁222と扉213の前壁対向部226との間に介在する配置とされる。従って、扉吸気口233を通して扉213の内側に導入された外気が吸気口222Aに通される前の段階で、エアフィルタ236によってフィルタリングされるので、機械室215の内部に塵埃が入り込むのを避けることができる。言い換えると、予めエアフィルタ236によってフィルタリングされた外気が前壁222の吸気口222Aに通されるようになっている。そして、扉213に取り付けられるエアフィルタ236は、前壁対向部226よりも後側に配されているので、フィルタリングに伴ってエアフィルタ236のフィルタ部236Bに付着した塵埃は、エアフィルタ236と前壁対向部226との間に存在することになる。従って、例えば扉213の開閉に伴う振動などの影響によってエアフィルタ236に付着した塵埃が落下した場合でも、その塵埃が冷却庫本体211の内部(収容室214や機械室215)に入り難くなる。また、エアフィルタ236は、前壁対向部226よりも後側に位置するよう扉213に取り付けられているので、扉213を閉止した状態では前壁対向部226によって前方外部に露出することがないものの、扉213を開放した状態では扉213の裏側においてエアフィルタ236が露出することになる。これにより、扉213を閉止した状態では優れた外観が得られ、扉213を開放した状態ではエアフィルタ236の汚れ具合を容易に確認することができてメンテナンス性に優れる。
【0051】
扉213には、図9に示すように、エアフィルタ236を扉213に対して取付状態に保持するためのフィルタ保持部材37が取り付けられている。フィルタ保持部材37は、例えば金属板材を曲げ加工して形成されており、前後に開口する方形(エアフィルタ236と相似形)の筒状(枠状)をなしていてその内側にエアフィルタ236が収容される嵌合部37Aを有する。なお、フィルタ保持部材37は、金属板材製に限らず、例えば樹脂製等であってもよい。嵌合部37Aは、上下方向及び左右方向についての各内寸がエアフィルタ236の各外寸よりも大きくされることで、内側にエアフィルタ236を収容可能とされる。収容されたエアフィルタ236は、嵌合部37Aによって外周側から取り囲まれる。嵌合部37Aは、前後方向についての大きさが、扉213を閉じた状態での機械室開閉部213Bと前壁222との間の間隔よりも僅かに小さい。嵌合部37Aの上部及び下部には、図9及び図10に示すように、エアフィルタ236を保持するための保持孔37A1が開口形成されている。エアフィルタ236のフレーム236Aにおける上部及び下部には、保持孔37A1内に嵌合されてその縁部に対して係止される保持突部36Dが設けられている。嵌合部37Aには、図10及び図11に示すように、エアフィルタ236を位置決め可能な位置決め部材38が取り付けられている。位置決め部材38は、嵌合部37Aの上部及び左右両側部に沿って延在していて嵌合部37Aの内側に取り付けられる取付部38Aと、取付部38Aの後端部から内向きに突出する位置決め部38Bと、を有する。位置決め部38Bは、保持突部36D及び保持孔37A1によって嵌合部37Aに保持された状態のエアフィルタ236の前側に配されることで、エアフィルタ236が前側に位置ずれするのを防ぐことができる。
【0052】
また、フィルタ保持部材37は、図10に示すように、嵌合部37Aの上部から前側に向けて延出する第1延出部37Bと、嵌合部37Aの下部の前端に連なるとともに下向きに延出する第2延出部37Cと、を有する。第1延出部37Bは、ハンドル部235の取付部235Aにおける下側の面に接する。第2延出部37Cは、その延出端部が前方に向けて突出するよう屈曲されるとともに収容室開閉部213Aの上面に対して接する。また、フィルタ保持部材37は、図11に示すように、嵌合部37Aの両側部の前端に連なるとともにそれぞれ左右外側に向けて延出する第3延出部37Dを有する。第3延出部37Dは、延出端部が後板部228の後面に接するとともにネジ等によって補強部材229に対して取り付けられている。これら第1延出部37B、第2延出部37C及び第3延出部37Dによって嵌合部37Aと機械室開閉部213Bとの間に閉じた空間が形成されることになる。これにより、扉吸気口233に導入された外気が、嵌合部37Aと機械室開閉部213Bとの間の閉じた空間から外部に漏れ出し難くなるので、外気がエアフィルタ236を通ることなく機械室215の内部に侵入する事態を生じ難くすることができる。
【0053】
そして、フィルタ保持部材37の嵌合部37Aは、図9から図11に示すように、機械室215の前壁222の前側に存在する凹状空間S1内に嵌合されるようになっている。詳しくは、嵌合部37Aのうちの後側部分は、扉213を閉じた状態では、機械室215の前面よりも後側に位置していて機械室215の開口215Aの縁部と前壁222とによって構成される凹状空間S1内に入り込んでいる。また、嵌合部37Aは、その後端部が前壁222の前面とやや間隔を空けて対向している。従って、扉213の前壁対向部226と冷却庫本体211との間に隙間が生じていても、凹状空間S1内に嵌合された嵌合部37Aによって上記した隙間を通った外気がエアフィルタ236を通ることなく前壁222の吸気口222Aに入り込む事態が生じ難くなる。以上のように、機械室215の吸気口222Aに導入される外気は、その殆どが前壁対向部226の扉吸気口233と、嵌合部37Aの内側に収容されるエアフィルタ236と、を通ることになる。これにより、機械室215の内部に塵埃が入り込み難くなる。なお、図9及び図10には、実施形態1に説明した差込口222Bが図示されているが、当該差込口222Bを吸気口222Aとして利用することが可能である。
【0054】
以上説明したように本実施形態によれば、前壁対向部226よりも後側に位置するよう扉213に取り付けられていて扉吸気口233に導入される外気をフィルタリングするエアフィルタ236を備える。このようにすれば、前壁対向部226の扉吸気口233に導入される外気は、前壁対向部226よりも後側に位置するよう扉213に取り付けられたエアフィルタ236によりフィルタリングされることで、含有されていた塵埃が除去される。外気が機械室215に導入される前の段階でエアフィルタ236により塵埃が除去されるので、機械室215の内部に塵埃が入り込むのを避けることができる。そして、扉213に取り付けられるエアフィルタ236は、前壁対向部226よりも後側に配されているので、エアフィルタ236に付着した塵埃は、エアフィルタ236と前壁対向部226との間に存在することになる。従って、例えば扉213の開閉に伴う振動などの影響によってエアフィルタ236に付着した塵埃が落下した場合でも、その塵埃が冷却庫本体211の内部(収容室214や機械室215)に入り難くなる。また、エアフィルタ236は、前壁対向部226よりも後側に位置するよう扉213に取り付けられているので、扉213を閉止した状態では前壁対向部226によって前方外部に露出することがないものの、扉213を開放した状態では扉213の裏側においてエアフィルタ236が露出することになる。これにより、扉213を閉止した状態では優れた外観が得られ、扉213を開放した状態ではエアフィルタ236の汚れ具合を容易に確認することができてメンテナンス性に優れる。
【0055】
また、機械室215は、前面が開口していてその開口215Aの縁部よりも後側に前壁222が配されることで前壁222の前側に凹状空間S1が存在するよう構成されており、扉213には、前後に開口する筒状をなしていてその内側にエアフィルタ236が収容されるとともに凹状空間S1内に嵌合される嵌合部37Aが設けられている。このようにすれば、機械室215の開口215Aの縁部と前壁222とによって前方に露出する凹状空間S1が構成される。扉213を閉止すると、前後に開口する筒状をなす嵌合部37Aが凹状空間S1内に嵌合される。従って、例えば扉213の前壁対向部226と冷却庫本体211との間に隙間が生じていた場合でも、凹状空間S1内に嵌合された嵌合部37Aによって上記した隙間を通った外気がエアフィルタ236を通ることなく前壁222の吸気口222Aに入り込む事態が生じ難くなる。機械室215の吸気口222Aに導入される外気は、その殆どが前壁対向部226の扉吸気口233と、嵌合部37Aの内側に収容されるエアフィルタ236と、を通ることになる。これにより、機械室215の内部に塵埃が入り込み難くなる。
【0056】
<実施形態4>
実施形態4を図12または図13によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態3から前壁322の構成を変更したものを示す。なお、上記した実施形態3と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0057】
本実施形態に係る前壁322は、図12及び図13に示すように、凹状をなす外周側部分39と、凸状をなす内周側部分40と、を備える。詳しくは、前壁322の外周側部分39は、機械室315の開口315Aの開口縁の前端から後方に向けて引っ込んでいて筒状をなす外周側嵌合部39Aと、外周側嵌合部39Aの後端に連なっていて正面から視て方形の枠状(嵌合部37Aと相似形)とされる第1壁部39Bと、外周側嵌合部39Aの前端の下縁から下向きに延出する第2壁部39Cと、第2壁部39Cの下縁から後方に向けて突き出す第3壁部39Dと、外周側嵌合部39Aの前端の左右両側縁からそれぞれ左右方向に沿って左方と右方とに向けて延出する一対の第4壁部39Eと、から構成される。外周側嵌合部39Aは、前後方向と並行する板面を有している。外周側嵌合部39Aのうちの上部と、第3壁部39Dと、一対の第4壁部39Eと、が、開口315Aの開口縁に対して取り付けられている。第1壁部39Bは、上下方向及び左右方向に沿う板面を有するとともに、機械室315の開口315Aの開口縁の前端よりも外周側嵌合部39Aの引っ込み寸法分後退した位置に配されている。外周側嵌合部39Aは、この第1壁部39Bの外周縁から前方に突き出している、と言える。
【0058】
前壁322の内周側部分40は、第1壁部39Bの内周縁から前方に向けて突き出して筒状をなす内周側嵌合部40Aと、内周側嵌合部40Aの前端に連なっていて正面から視て方形とされる内周側壁部40Bと、から構成される。内周側嵌合部40Aは、前後方向と並行する板面を有しており、外周側嵌合部39Aに対して内周側に間隔を空けて対向する配置とされる。内周側嵌合部40Aは、第1壁部39Bからの突き出し寸法が、第1壁部39Bからの外周側嵌合部39Aの突き出し寸法よりも僅かに小さい。互いに連なる外周側嵌合部39A、第1壁部39B及び内周側嵌合部40Aによって、凹状空間S1が構成されている。本実施形態に係る凹状空間S1は、正面から視て方形の枠状(環状)をなす凹溝となっており、前方に向けてのみ開口している。なお、第1壁部39Bは、外周側嵌合部39Aと内周側嵌合部40Aとを繋ぐ繋ぎ部である、と言え、また溝状をなす凹状空間S1の底部(溝底部)である、とも言える。内周側壁部40Bは、上下方向及び左右方向に沿う板面を有している。内周側壁部40Bは、内周側嵌合部40Aの突き出し寸法分だけ第1壁部39Bよりも前側に位置しており、複数の吸気口322Aを有している。なお、本実施形態では、実施形態1から実施形態3にて説明した差込口が省略されており、差込口に代えて吸気口322Aが設けられている。内周側壁部40Bは、フィルタ保持部材337によって保持されたエアフィルタ336に対して後側に位置していてエアフィルタ336と対向するよう配されている。従って、扉吸気口333を通して扉313の内側に導入された外気は、エアフィルタ336を通過すると、内周側壁部40Bに設けられた吸気口322Aを通って機械室315の内部に導入されるようになっている。
【0059】
そして、フィルタ保持部材337に備わる嵌合部337Aは、扉313を閉じた状態では、外周側嵌合部39A、第1壁部39B及び内周側嵌合部40Aによって構成される溝状の凹状空間S1に嵌合される。以下では、扉313を閉じた状態について説明する。凹状空間S1に嵌合された嵌合部337Aは、自身の径方向(上下方向及び左右方向)について外周側嵌合部39Aと内周側嵌合部40Aとの間に挟まれており、外周側嵌合部39Aによって外周側から取り囲まれるとともに、内周側嵌合部40Aを外周側から取り囲んでいる。嵌合部337Aと外周側嵌合部39Aとの間と、嵌合部337Aと内周側嵌合部40Aとの間と、には、それぞれ間隔が空けられている。また、嵌合部337Aは、その後端部が第1壁部39Bの前面とやや間隔を空けて対向している。内周側嵌合部40Aは、自身の前側の大部分が嵌合部337Aの内部空間に入り込んでいる。従って、内周側嵌合部40Aの前端に連なる内周側壁部40Bも嵌合部337Aの内部空間に入り込んでおり、内周側壁部40Bがエアフィルタ336に近接または当接した配置となっている。内周側壁部40Bとエアフィルタ336との位置関係は、上記した実施形態3に記載した前壁222とエアフィルタ236との位置関係(図10を参照)よりも、内周側嵌合部40Aの突き出し寸法分程度近い。これにより、内周側壁部40Bに備わる吸気口322Aには、エアフィルタ336を通過した外気がより多く導入されるようになっており、エアフィルタ336を通過しない外気(嵌合部337Aと、外周側嵌合部39A、第1壁部39B及び内周側嵌合部40Aと、の間の隙間を通った外気)が導入されることが殆どない。特に、エアフィルタ336を通過しない外気が吸気口322Aに至るまでの流入経路は、互いに嵌合される嵌合部337Aと、外周側嵌合部39A、第1壁部39B及び内周側嵌合部40Aと、によって折り返し状をなしていることから、エアフィルタ336を通過しない外気が吸気口322Aに流入する事態が極めて生じ難くなっている。以上により、機械室315の内部に塵埃が一層入り込み難くなっている。
【0060】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0061】
(1)扉吸気口33,133,233,333は、前壁対向部26,126,226の上側の端部を前後に貫通する形で設けられていて前側と後側とにのみ開口する形態であってもよい。
【0062】
(2)把手35Bの下端位置は、適宜に変更可能である。例えば、把手35Bの下端位置が第1後退部31Aと第2後退部31Bとの境界位置と一致していてもよい。また、把手35Bの下端位置が第2後退部31Bよりも低い位置であってもよく、その場合は第1後退部31Aの一部(後退始点P側の部分)が前方外部に露出することになる。また、把手35Bの下端位置が扉吸気口33,133,233,333の下側縁部と一致していてもよく、その場合は把手35Bが扉吸気口33,133,233,333の下側縁部とは前方から視て重ならない配置となる。また、把手35Bの下端位置が扉吸気口33,133,233,333の下側縁部よりも高くて上側縁部よりも低い位置であってもよく、その場合は把手35Bが扉吸気口33,133,233,333の一部に対して前側に間隔を空けて対向することになる。
【0063】
(3)把手35Bは、主前面部32に接していてもよい。また、把手35Bは、後退部31の内部に入り込んでいて主前面部32よりも後側に位置するよう設けられていてもよい。
【0064】
(4)第2後退部31Bと把手35Bとの間の間隔は、図示以外にも適宜に変更可能である。その場合でも、第2後退部31Bと把手35Bとの間の間隔としては、使用者の指が入るのを許容する程度の大きさが確保されるのが好ましいが、必ずしもその限りではない。
【0065】
(5)折り返し部34は、第2後退部31Bの前側に折り返されていてもよい。
【0066】
(6)第2後退部31Bに関し、折り返し部34が非形成であってもよい。
【0067】
(7)第1後退部31Aの傾斜面31A1における上下方向及び前後方向に対する傾斜角度や形成範囲などは、図示以外にも適宜に変更可能である。
【0068】
(8)第1後退部31Aは、上下方向及び前後方向に対する斜め方向に沿って直線的に延在する構成以外にも、湾曲した形状であってもよい。その場合、第1後退部31Aは、把手35Bを指向する湾曲面を有してもよい。
【0069】
(9)第1後退部31A及び第3後退部31Cのいずれか一方または両方は、第2後退部31及び主前面部32に対してほぼ直角をなしていて、前後方向及び左右方向に沿うフラットな面を有するよう構成されてもよい。
【0070】
(10)扉13,113,213,313における後退部31の形成範囲は、適宜に変更可能である。例えば、後退部31が上下方向について前壁対向部26,126,226の全高さ範囲に設けられていてもよい。さらには、後退部31が上下方向について機械室開閉部13B,213Bと収容室開閉部13A,213Aとに跨がる範囲に設けられていてもよい。
【0071】
(11)把手35B(ハンドル部35)の構成・配置・形成範囲は、適宜に変更可能である。例えば、把手35Bの左右方向についての長さが図示よりも短くされていて、扉13,113,213,313のうちの左右方向についての中央位置付近または一方の端位置付近に配されていてもよい。この場合、扉吸気口33,133,233,333の左右方向についての長さ及び配置を把手35Bと同様に変更することもできるが、変更しなくてもよい。また、把手35Bが上下方向に沿って延在していて扉13,113,213,313のうちの左右方向についての一側端部付近に配されていてもよい。この場合、扉吸気口33,133,233,333も把手35Bと同様に上下方向に沿って延在していて扉13,113,213,313のうちの左右方向についての一側端部付近に配されるよう変更してもよいが、変更しなくてもよい。また、把手35Bが左右方向に沿って延在していて扉13,113,213,313の機械室開閉部13B,213Bにおける上下方向の下端部(収容室14,214側の端部)付近に配されていてもよい。この場合、扉吸気口33,133,233,333も把手35Bと同様に左右方向に沿って延在していて扉13,113,213,313の機械室開閉部13B,213Bにおける上下方向の下端部付近に配されるよう変更することができる。
【0072】
(12)扉13,113,213,313は、図示した右開きタイプ以外にも、左開きタイプであってもよい。また、扉13,113,213,313は、下開きタイプであっても上開きタイプであってもよく、その場合は扉13,113,213,313の揺動軸が左右方向と一致するようヒンジ部24の構造及び取付位置を変更すればよい。
【0073】
(13)実施形態2,3では、実施形態1にて説明した差込口122B,222Bをそのまま吸気口として利用する場合を例示したが、差込口122B,222Bに代替する形で他の吸気口22A,122A,222A,322Aと同様の構造(長円形)のものを設置してもよいし、差込口122B,222Bを省略してもよい。
【0074】
(14)実施形態3,4にて説明した扉213,313に対するエアフィルタ236,336の保持構造は、適宜に変更可能である。例えば、嵌合部37A,337A側に保持突部が設けられていてフレーム本体236A側に保持孔が設けられていてもよい。また、嵌合部37A,337Aが磁性材料からなるのに対し、フレーム本体236Aにマグネットを設けるようにし、マグネットが嵌合部37A,337Aに吸着されることで、エアフィルタ236,336の保持が図られてもよい。
【0075】
(15)実施形態3に記載の構成において、扉213を閉じた状態で嵌合部37Aの後端部が前壁222の前面に対して当接または近接する配置であってもよい。同様に、実施形態4に記載の構成において、扉313を閉じた状態で嵌合部337Aの後端部が第1壁部39Bの前面と当接または近接する配置であってもよい。
【0076】
(16)冷却庫本体11,211における収容室14,214及び機械室15,115,215,315の配置は、適宜に変更可能である。例えば、機械室15,115,215,315が下側に、収容室14,214が上側に配されてもよい。また、収容室14,214及び機械室15,115,215,315が左右方向について隣り合うよう配されてもよい。
【0077】
(17)冷却庫10の冷却運転(急速冷却)の内容は例示にすぎず、その他の様々な制御方法を採用することができる。
【符号の説明】
【0078】
10…冷却庫、11,211…冷却庫本体、12…冷凍装置、13,113,213,313…扉、13A,213A…収容室開閉部、14,214…収容室、14A…開口、15,115,215,315…機械室、15A,215A,315A…開口、22,122,222,322…前壁、22A,122A,222A,322A…吸気口、22B,122B,222B…差込口、23…操作パネル(操作部)、26,126,226…前壁対向部、31…後退部、31A1…傾斜面、32…主前面部、33,133,233,333…扉吸気口、35B…把手、36,136,236,336…エアフィルタ、36C…着脱操作部、37A,337A…嵌合部、OP…開口、P…後退始点、S1…凹状空間、S2…空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13