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特開2023-1902海洋およびオフショアの膜用途のためのエネルギー消費の削減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001902
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】海洋およびオフショアの膜用途のためのエネルギー消費の削減
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/22 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
B01D53/22
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022097905
(22)【出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】17/353,574
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】クリステル ハウグランド
(72)【発明者】
【氏名】ルーヌ ホルマー
(72)【発明者】
【氏名】ハルガー アンゲル
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA01
4D006HA61
4D006JA53Z
4D006JA66Z
4D006KE04R
4D006KE07Q
4D006KE07R
4D006KE08Q
4D006KE08R
4D006MA01
4D006MA03
4D006PA01
4D006PB17
4D006PB62
4D006PB63
4D006PB64
4D006PB65
4D006PB66
4D006PB68
4D006PC80
(57)【要約】
【課題】膜ベースの搭載されたガス分離方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】本明細書では、膜ベースの搭載されたガス分離方法およびシステム、特に、船舶およびオフショア設備のための膜ベースの搭載された空気分離方法およびシステムが開示され、そこでは、プロセスのエネルギー消費を削減するために、膜セパレータユニットの透過側に真空が適用される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶またはオフショア設備に搭載されて行われるガス分離方法であって、前記船舶またはオフショア設備は、前記船舶またはオフショア設備に搭載されてすべて配置されるコンプレッサ、膜セパレータユニット、および真空ポンプを備え、前記膜セパレータユニットは、第2のガスよりも第1のガスに対してより透過性である膜によって分離された供給側および透過側を含み、前記方法は、
(a)前記コンプレッサにおいて前記第1のガスおよび前記第2のガスを含むガス供給流を圧縮して、圧縮された供給流を形成することと、
(b)前記真空ポンプを使用して、前記膜セパレータユニットの前記透過側に真空を適用することと、
(c)前記圧縮された供給流を、前記膜セパレータユニットの前記供給側に導入し、前記圧縮された供給流を、前記第1のガスで濃縮された透過流と、前記第2のガスで濃縮された残留流とに分離することであって、前記透過流が前記真空ポンプを通して前記膜セパレータユニットの前記透過側から引き出され、前記残留流が前記膜セパレータユニットの前記供給側から引き出される、分離することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が空気分離方法であり、前記ガス供給流が空気流を含み、前記第1のガスが酸素を含み、前記第2のガスが窒素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記残留流が、95体積%以上の窒素濃度を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記膜セパレータユニットの前記透過側を出る前記透過流の圧力が、0.5~0.7baraである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記膜セパレータユニットの前記供給側に入る前記圧縮された供給流の圧力が、1bara超であり、かつ15bara以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記膜セパレータユニットの前記供給側に入る前記圧縮された供給流の圧力が、4~8baraである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記膜セパレータユニットの前記供給側に入る圧縮された供給流の圧力/前記膜セパレータユニットの前記透過側を出る前記透過流の圧力の圧力比が、8~12である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
船舶またはオフショア設備に搭載されて配置されたガス分離システムであって、前記ガス分離システムが、コンプレッサ、膜セパレータユニット、および真空ポンプを含み、前記膜セパレータユニットが、第2のガスよりも第1のガスに対してより透過性である膜によって分離された供給側および透過側を含み、
前記コンプレッサは、前記膜セパレータユニットの前記供給側と流動連通しており、ガス供給流を圧縮して圧縮された供給流を形成し、前記圧縮された供給流を前記膜セパレータユニットの前記供給側に供給するように構成されており、
前記真空ポンプは、前記膜セパレータユニットの前記透過側と流動連通しており、前記膜セパレータユニットの前記透過側に真空を適用するように構成されており、
前記膜セパレータユニットは、前記圧縮された供給流を、前記膜セパレータユニットの前記供給側から引き出される残留流と、前記真空ポンプを通して前記膜セパレータユニットの前記透過側から引き出される透過流とに分離するように構成されている、ガス分離システム。
【請求項9】
前記システムが、空気分離システムであり、前記ガス供給流が空気流を含み、前記第1のガスが酸素を含み、前記第2のガスが窒素を含む、請求項8に記載のガス分離システム。
【請求項10】
前記システムが、前記膜セパレータユニットの前記透過側を出る前記透過流の圧力を、0.5~0.7baraの圧力に維持するように構成されている、請求項8に記載のガス分離システム。
【請求項11】
前記システムが、前記膜セパレータユニットの前記供給側に入る前記圧縮された供給流の圧力を、1bara超かつ15bara以下の圧力に維持するように構成されている、請求項8に記載のガス分離システム。
【請求項12】
前記システムが、前記膜セパレータユニットの前記供給側に入る前記圧縮された供給流の圧力を、4~8baraの圧力に維持するように構成されている、請求項8に記載のガス分離システム。
【請求項13】
前記システムが、前記膜セパレータユニットの前記供給側に入る圧縮された供給流の圧力/前記膜セパレータユニットの前記透過側を出る前記透過流の圧力の圧力比を、8~12の圧力比に維持するように構成されている、請求項8に記載のガス分離システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、海洋用途のための、すなわち、搭載された船舶およびオフショア設備のための、搭載されたガス分離方法およびシステムに関する。特に、本明細書では、搭載された船舶またはオフショア設備で空気供給流を分離して、窒素濃縮生成物を製造するための膜ベースの方法およびシステムを開示する。
【0002】
船舶およびオフショア設備に搭載された膜空気分離システムは、通常は、効果的で競争力のあるプロセスを達成するために、高い膜供給圧縮を有するエネルギー集約的なプロセスである。膜プロセスは、ガス供給流を、透過流と残留流とに分離し、膜を透過するガスは透過流を形成し、非透過性ガスは残留流を形成する。空気分離では、典型的には、窒素よりも酸素に対してより透過性である膜が使用され、その結果として、空気供給流は、膜の供給側から取り出される窒素濃縮流(残留流)と、膜の透過側から取り出される酸素濃縮流(透過流)とに分離される。膜の供給側と浸透側との間、したがって膜セパレータユニットに入る供給流と当該モジュールを出る透過流との間の分圧差は、分離のための駆動力である。
【0003】
海洋用途のための膜空気分離システムは、典型的には、必要な窒素流量および純度を達成するために供給空気のみを圧縮する。
【0004】
米国特許第8,317,899号は、船舶に搭載された膜ベースの空気分離のための例示的な従来技術のプロセスおよびシステムを開示している。その開示されたプロセスおよびシステムでは、周囲温度の空気供給流は、搭載されたコンプレッサで圧縮されて、圧縮空気流を形成する。その圧縮空気流は、容器近傍の海水との熱交換により冷却され、脱水ユニットで乾燥される。脱水モジュールの生成物の一部は、ユーティリティ空気として使用することができる。圧縮かつ乾燥させた空気流の残りは、容器上で不活性ガスとして使用される窒素濃縮生成物流と、大気に排出される酸素濃縮流とを提供するために、窒素から酸素を分離するためのポリマー膜を含む膜セパレータユニットに通される。コンプレッサは、システムの唯一の機械的に作動するコンポーネントである。
【0005】
空気分離のための膜ベースの方法およびシステムは、様々な他の用途および分野でも使用されている。ある特定の用途では、供給空気流を圧縮することに加えて、真空ポンプもまた、膜の透過側の圧力を減少させるために使用されている。例えば、
【0006】
米国特許第5,730,780号は、窒素生成物を、石油およびガスパイプラインの修理および穀物貯蔵用サイロで使用できるように十分な窒素純度レベルで窒素生成物の流量を向上させるために、ガス分離膜の透過側に真空が適用される、空気から窒素を発生させるためのプロセスを開示している。3.4~13.2psia(0.23~0.81bara)の範囲の真空圧力を試験し、試験された最高真空圧力と比較して試験された最低真空圧力おいて、生産性(すなわち、窒素生成物の流量)の顕著な改善が得られた。
【0007】
公開された米国出願第US2019/282951号は、航空機用の燃料タンク不活性化システムを開示している。開示される燃料タンク不活性化システムは、供給空気コンプレッサと、酸素透過性膜を有する空気分離モジュールと、空気分離モジュール内の酸素透過性膜の透過側に調整可能な真空を提供する可変真空源と、を含む。可変真空源は、窒素濃縮空気の所望の純度が製造されるように、膜を横断して圧力差を提供するように制御される。特に可変真空を使用することによって、システムは、飛行相によって必要とされる膜を横断する圧力差を調節することができる。例えば、下降中、燃料タンク内の圧力が平衡化するときに、燃料タンクベントへの外部空気流入に対抗するために、大量の不活性ガス流が、燃料タンクを不活性化するのに必要である。空気分離膜を横断してより大きな真空およびより大きな圧力差を提供するように可変真空源を指向することによって、下降中に、不活性ガスのより大きな必要量を補うために、下降の上部に比べてより迅速に高純度窒素流を製造することができる。
【0008】
しかしながら、空気分離システム(および一般的なガス分離システム)での真空ポンプの使用には欠点がある。特に、真空ポンプを追加すると、システムの資本コストおよび設置面積の両方が増加する。海洋用途では、資本コストは重要な考慮事項であり、船舶またはオフショア設備に搭載される利用可能な空間は限られている。
【0009】
気候意識の増大に伴い、これらのプロセスのエネルギー消費を削減したいという要求も高まっている。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、膜セパレータユニットの透過側に真空を適用することによって、海洋およびオフショア用途のための膜空気分離システムのエネルギー消費を、真空ポンプを追加する資本コストおよび設置面積の増加に関連する任意の欠点を上回る程度に顕著に削減できることを見出した。本明細書に開示される方法およびシステムにおいて、膜セパレータユニットの透過側に真空を適用することによって、同じ生成物の流量および純度を製造するために必要なエネルギーを顕著に削減するために、より低い供給圧力を利用することができる。これにより、システムの運転コストを削減するとともに、供給コンプレッサの運転に関連するCO2生成量など、プロセスの環境的に不適切な副産物の量が削減される。
【0011】
本発明に従うシステムおよび方法のいくつかの好ましい態様を以下に概説する。
【0012】
態様1:船舶またはオフショア設備に搭載され行われるガス分離方法であって、船舶またはオフショア設備は、船舶またはオフショア設備に搭載されすべて配置されるコンプレッサ、膜セパレータユニット、および真空ポンプを有し、膜セパレータユニットは、第2のガスよりも第1のガスに対してより透過性である膜によって分離された供給側および透過側を有し、方法は、
(a)コンプレッサにおいて第1のガスおよび第2のガスを含むガス供給流を圧縮して、圧縮された供給流を形成することと、
(b)真空ポンプを使用して、膜セパレータユニットの透過側に真空を適用することと、
(c)圧縮された供給流を、膜セパレータユニットの供給側に導入し、圧縮された供給流を、第1のガスで濃縮された透過流と、第2のガスで濃縮された残留流とに分離することであって、透過流が真空ポンプを通して膜セパレータユニットの透過側から引き出され、残留流が膜セパレータユニットの供給側から引き出される、分離することと、を含む、方法。
【0013】
態様2:方法が空気分離方法であり、ガス供給流が空気流であり、第1のガスが酸素であり、第2のガスが窒素である、態様1に記載の方法。
【0014】
態様3:残留流が、95体積%以上の窒素濃度を有する、態様2に記載の方法。
【0015】
態様4:膜セパレータユニットの透過側を出る透過流の圧力が、0.5~0.7baraである、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
態様5:膜セパレータユニットの供給側に入る圧縮された供給流の圧力が、1bara超であり、かつ15bara以下である、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
態様6:膜セパレータユニットの供給側に入る圧縮された供給流の圧力が、4~8baraである、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
態様7:膜セパレータユニットの供給側に入る圧縮された供給流の圧力/膜セパレータユニットの透過側を出る透過流の圧力の圧力比が、8~12である、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
態様8:船舶またはオフショア設備に搭載され配置されたガス分離システムであって、ガス分離システムが、コンプレッサ、膜セパレータユニット、および真空ポンプを含み、膜セパレータユニットが、第2のガスよりも第1のガスに対してより透過性である膜によって分離された供給側および透過側を有し、
コンプレッサは、膜セパレータユニットの供給側と流動連通しており、ガス供給流を圧縮して圧縮された供給流を形成し、圧縮された供給流を膜セパレータユニットの供給側に供給するように構成されており、
真空ポンプは、膜セパレータユニットの透過側と流動連通しており、膜セパレータユニットの透過側に真空を適用するように構成されており、
膜セパレータユニットは、圧縮された供給流を、膜セパレータユニットの供給側から引き出される残留流と、真空ポンプを通して膜セパレータユニットの透過側から引き出される透過流とに分離するように構成されている、ガス分離システム。
【0020】
態様9:システムが、空気分離システムであり、ガス供給流が空気流であり、第1のガスが酸素であり、第2のガスが窒素である、態様8に記載のガス分離システム。
【0021】
態様10:システムが、膜セパレータユニットの透過側を出る透過流の圧力を、0.5~0.7baraの圧力に維持するように構成されている、態様8または9に記載のガス分離システム。
【0022】
態様11:システムが、膜セパレータユニットの供給側に入る圧縮された供給流の圧力を、1bara超かつ15bara以下の圧力に維持するように構成されている、態様8~10のいずれか1つに記載のガス分離システム。
【0023】
態様12:システムが、膜セパレータユニットの供給側に入る圧縮された供給流の圧力を、4~8baraの圧力に維持するように構成されている、態様8~11のいずれか1つに記載のガス分離システム。
【0024】
態様13:システムが、膜セパレータユニットの供給側に入る圧縮された供給流の圧力/膜セパレータユニットの透過側を出る透過流の圧力の圧力比を、8~12の圧力比に維持するように構成されている、態様8~12のいずれか1つに記載のガス分離システム。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、海洋用途のための従来技術の膜ベースの空気分離方法およびシステムを示す概略図である。
【0026】
図2図2は、本発明の1つの実施形態による、海洋用途のための膜ベースの空気分離方法およびシステムを示す概略図である。
【0027】
図3図3は、様々な電気代において、(シミュレートされた条件下で最低の個別窒素コストを提供するという点で)計算された最適な供給圧力および透過圧力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で使用される場合、および別途記載のない限り、冠詞「a」および「an」は、本明細書および特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態における任意の特徴に適用される場合、1つ以上を意味する。「a」および「an」の使用は、そのような制限が具体的に明記されていない限り、その意味を単一の特徴に限定しない。単数または複数の名詞または名詞句に先行する冠詞「the」は、特定の具体的な特徴または特定の具体的な特徴を表し、それが使用される文脈に応じて単数または複数の意味を有し得る。
【0029】
本明細書において、文字が、方法の列挙されたステップ(例えば、(a)、(b)、および(c))を識別するために使用される場合、これらの文字は、方法ステップを参照することを補助するためにのみ使用され、そのような順序が具体的に列挙されていない限り、かつその順序が具体的に列挙されている範囲までのみを除き、特許請求されたステップが実行される特定の順序を示すことを意図していない。
【0030】
本明細書において、方法またはシステムの列挙された特徴を識別するために使用される場合、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、問題の特徴を参照および区別することを補助するためにのみ使用され、そのような順序が具体的に列挙されない限り、かつその範囲内でのみ、特徴の任意の特定の順序を示すことを意図するものではない。
【0031】
本明細書で使用される場合、特定のガスまたは構成要素で「濃縮」されるガス分離プロセスからの生成物流への言及は、流れが、ガス分離プロセスへの供給流よりも高いモル%の当該特定のガスまたは構成要素を有することを意味する。したがって、第1のガスおよび第2のガスを含むガス供給流が、膜分離プロセスを介して分離されて、第2のガス中で濃縮された残留流を提供する場合、残留流は、ガス供給流よりも高いモル%の第2のガスを有する。当該供給流が供給空気流であり、残留流が窒素濃縮生成物流である場合、窒素濃縮生成物流は、したがって、供給空気流よりも高いモル%の窒素を有する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「流動連通」という用語は、液体、蒸気、および/または二相混合物が、直接的または間接的のいずれかで、制御された様式において(すなわち、漏れなしで)構成要素間で輸送されることを可能にする、2つ以上の構成要素間の接続性の性質を指す。互いに流動連通するように2つ以上の構成要素を結合することは、溶接、フランジ付き導管、ガスケット、およびボルトの使用などの、当該技術分野において既知の任意の好適な方法を含むことができる。2つ以上の構成要素はまた、それらを分離し得るシステムの他の構成要素を介して、例えば、バルブ、ゲート、または流体の流れを選択的に制限または指向し得る他のデバイスを介して、一緒に結合され得る。本明細書で使用される場合、「導管」という用語は、流体がシステムの2つ以上の構成要素の間で輸送され得る1つ以上の構造を指す。例えば、導管は、液体、蒸気、および/またはガスを輸送するパイプ、ダクト、通路、ならびにそれらの組み合わせを含むことができる。
【0033】
本明細書では、ガス分離方法およびシステム、特に、搭載されたコンプレッサによって、圧縮された供給流(空気分離の場合は圧縮された空気流)が供給される膜セパレータユニットを備える、船舶およびオフショア設備に搭載された、空気を分離するための方法およびシステムについて説明する。これらの方法およびシステムは、同じ流量および純度で同じ所望の生成物流(例えば、空気分離プロセスの場合、窒素濃縮生成物流)を製造するために必要とされるエネルギーの量と比較して、プロセスの総エネルギー消費を削減するために、膜セパレータユニットの透過側に真空を適用しないコンプレッサのみを使用して、膜セパレータユニットの透過側に真空を適用するために使用される搭載された真空ポンプをさらに含む。
【0034】
例としてのみ、本発明の様々な例示的な実施形態を、図面を参照して説明する。図において、特徴が2つ以上の図に共通である場合、その特徴には、100の係数だけ異なる同じ参照番号を割り当てている。したがって、例えば、図1の膜セパレータユニット107は、図2の膜セパレータユニット207に対応している。特徴が図面に示されている他の実施形態とは異なるものとして具体的に記載されていない限り、その特徴は、記載されている実施形態における対応する特徴と同じ構造および機能を有するとみなすことができる。さらに、後述する実施形態では、その特徴が、異なる構造または機能を有しない場合、本明細書では特に言及しない場合がある。
【0035】
ここで図1を参照すると、船舶およびオフショア設備に搭載されて典型的に使用される、従来技術の膜ベースの空気分離システムおよび方法の概略図が示してある。供給空気流101は、搭載されたコンプレッサ103で圧縮されて、典型的には9~15baraの圧力において、圧縮された供給空気流117、105を形成する。搭載されたコンプレッサ103の出口は、コンプレッサ103からの圧縮された供給空気流117、105が、当該搭載された膜セパレータユニット107に供給されるように、搭載された膜セパレータユニット107と流動連通している。好ましくは、コンプレッサ103を出る圧縮された空気流117は、最初に熱交換器121で冷却されて、冷却され圧縮された供給流119を形成し、それは、流れから、あらゆる微粒子、油滴、および凝縮された水を除去するために、フィルタ125に通される。次いで、濾過され圧縮された供給流127は、プロセスヒーター129で安定した運転温度に温められ、膜セパレータユニット107に導入される。圧縮空気流は、例えば、空気、淡水、または海水などの任意の適切な冷却剤131との間接的な熱交換を介して熱交換器121で冷却され得る。プロセスヒーター129を出て、膜セパレータユニット107に入る供給空気流105は、典型的には30~60℃の温度である。
【0036】
膜セパレータユニット107は、窒素よりも酸素により透過性な膜110によって分離された供給側106および透過側108を含む。膜セパレータユニットは、直列または並列に配列された1つ以上のモジュールから構成することができ、各モジュールにおいて、膜は、当技術分野で周知のように、中空繊維の束または1つ以上の平坦またはらせん状の巻き取りシートなどの任意の好適な形態をとることができる。
【0037】
圧縮供給空気流105は、モジュールの供給側(高圧側)106の膜セパレータユニット107に入り、上述したように、典型的には、膜セパレータユニットに入るときに9~15baraの圧力である。モジュールの透過側(低圧側)108は、大気圧、すなわち、1baraであり、高圧側106から低圧側108への膜110を横断するガスの移動を駆動する、残留106側と透過物108側との間に圧力差をもたらす。膜110が、窒素よりも酸素に対してより透過性であり、圧縮された供給空気流105中の酸素は、窒素よりも迅速に膜を通過し、その結果、圧縮された供給空気流が膜セパレータユニット107を通過するにつれて、窒素が濃縮された残留流109(それは膜セパレータユニット107の供給側106から保持され、引き抜かれる)と、酸素が濃縮された透過流111(それは膜セパレータユニット107の透過側108から形成され、引き抜かれる)と、に分離される。残留流109の窒素純度の細かい制御は、典型的には、制御弁131を使用することによって、残留流109の流量を制御することによって達成され、制御弁の流量設定点は、残留流109の窒素純度によって調節される。
【0038】
典型的には、膜セパレータユニットから製造され引き出される窒素濃縮残留流は、問題の海洋用途によって必要とされる高純度の窒素生成物を提供するために、95~99体積%(すなわち、95~99vol%)の窒素を含む。膜セパレータユニットの適切な設計(タイプ、厚さ、および膜の表面積の選択を含む)、および供給流および膜の温度とともに、(圧力差を提供するために、したがって、所望の流量で所望の生成物純度を有する残留流を形成するために必要とされる駆動力を提供するために)供給空気流が圧縮されなければならない圧力を決めるのは、窒素生成物のこの必要とされる純度および窒素生成物の必要とされる流量である。圧縮された供給流の圧力、組成、温度、および流量に基づいて、所望の流量および純度で残留流を製造するのに好適な膜セパレータユニットの設計は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0039】
ここで図2を参照すると、本発明の実施形態による、船舶およびオフショア設備に搭載し使用するための膜をベースとした空気分離システムおよび方法の概略図が示してある。これは、搭載された真空ポンプ213が提供され、真空ポンプの入口が膜セパレータユニット207の透過側208と流動連通しているという点で、図1の従来のシステムおよび方法とは異なる。膜セパレータユニット207の透過側208を出る透過流の圧力が大気圧未満であるように(1bara未満)、より好ましくは0.5~0.7baraの範囲であるように、真空ポンプ213は、膜セパレータユニット207の透過側208に真空を適用するために使用される。
【0040】
膜セパレータユニットの透過側の圧力を低下させることによって、供給流が圧縮される圧力もまた、低下させることができ、それと同時に、膜206を横断する圧力差は依然として維持され、それゆえに、所望の純度を有する窒素濃縮された残留流209(すなわち、上で考察したように、典型的には、95~99体積%の窒素を含む窒素濃縮された残留流)を製造するのに必要な駆動力が維持される。したがって、図2に示した実施形態では、圧縮された供給流217,205の圧力は、図1の圧縮された供給流117、105の圧力よりも低くなる(供給空気流201/101の組成物および流量は同じであり、窒素濃縮された残留流209/109の組成物および流量は同じであり、膜セパレータユニット207/107の設計は同じであると仮定する)。図2に示した実施形態では、膜セパレータユニットの供給側206に入る圧縮された供給流205は、典型的には15bara以下(ただし、1bara超)の圧力を有し、より好ましくは4~8baraの圧力を有する。驚くべきことに、真空ポンプを使用して膜セパレータユニットの透過側に真空を適用し、次いで、それに応じて、供給空気流が圧縮される圧力を低下させると、分離のためのすべての駆動力を提供するために必要とされる供給流のより高い圧力を達成するために圧縮のみに依存することに比べて、プロセスの正味のエネルギー消費は、顕著に削減される。このエネルギー消費の削減は、真空ポンプを追加する資本コストを考慮しても十分に価値があり、それによってプロセスの個別窒素コストが削減される。
【0041】
したがって、図2に示したように、供給空気流201は、搭載されたコンプレッサ203で圧縮されて、圧縮された供給空気流217,205を形成し、(好ましくは、熱交換器221で冷却された後、フィルタ225で濾過され、次いで、図1を参照して上で考察した様式でプロセスヒーター229で温められた後に)、典型的には15bara以下(ただし、1バラ超)の圧力で、より好ましくは4~8baraの圧力で、膜セパレータユニット207の供給側206に導入される。
【0042】
膜セパレータユニット207は、窒素よりも酸素に対して透過性である膜210を含む。図2において、膜セパレータユニットは、単一のモジュールからなっているように描写されているが、多くの実施形態において、膜セパレータユニットは、(分離されている供給空気流の流量を適切に処理することができるように)直列または平行に配列された2つ以上のモジュールから構成され得る。そのようなモジュールは、マニホールドに接続することができ、各モジュールは、個々のモジュールが独立して活性化または非活性化することを可能にし得る個々のバルブを備えることができる。膜セパレータユニットのモジュールまたは各モジュールにおいて、その膜は、中空繊維の束、または1つ以上の平坦またはらせん状の巻きシートなどの任意の適切な形態をとり得る。繊維もしくはシートはすべて、同じポリマーもしくはポリマーの同じ複合材料から作製することができ、またはいくつかの繊維もしくはシートは、異なるポリマーの混合物もしくはポリマーの複合材料が使用されるように、異なるポリマーもしくはポリマーの複合材料から作製することができる。窒素よりも酸素に対してより透過性である膜を形成するのに好適なポリマーの様々な異なるタイプは、良く知られており、好適なポリマーは、当業者によって難なく選択することができる。異なるモジュールで使用される繊維またはシートはすべて、同じ透過性および選択性を有することができるか、あるいは異なる透過性および/もしくは選択性を有する繊維またはシートは、異なるモジュールで使用することができる。
【0043】
膜セパレータユニット207の透過側208を出る透過流の圧力が、大気圧未満(1bara未満)であるように、より好ましくは0.5~0.7baraであるように、真空ポンプ213は、膜セパレータユニットの透過側に真空を適用するために使用される。膜セパレータユニット207に入る圧縮された供給空気流205は、膜セパレータユニット207の供給側206から保持かつ引き抜かれる窒素が濃縮された残留流209と、膜セパレータユニット207の透過側208において形成し、真空ポンプ213を通して引き抜かれ、大気圧で流れ215として真空ポンプを出る、酸素が濃縮された透過流211とに分離される。窒素濃縮残留流209は、高純度窒素生成物として機能するために、問題の海洋用途によって必要とされる組成、典型的には95~99体積%の窒素を有する。残留流209の窒素純度の細かい制御は、制御弁231を使用して、当該流れの流量を制御することによって達成することができ、制御弁の流量設定点は、残留流209の窒素純度によって調節される。
【0044】
膜セパレータユニットの供給側206に入る圧縮された供給流205の圧力および膜セパレータユニットの透過側208を出る透過流211の圧力は、好ましくは、圧縮された供給流と透過流との圧力比が8~12であるような圧力である。そのような圧力比は、最低の個別窒素コストを達成することが見出されている。圧縮された供給流205のこの圧力は、例えば、膜セパレータユニットの供給側206への入口に配置されるかまたはその近くに配置された圧力センサを使用して測定することができ、透過流211の圧力は、例えば、膜セパレータユニットの透過側208からの出口に配置されるかまたはその近くに配置される圧力センサを使用して測定することができる(膜セパレータユニット207と真空ポンプ213との間の距離が、膜セパレータユニットと真空ポンプとの間の任意の圧力低下が無視できる程度である場合、真空ポンプ213への入口に位置する圧力センサを好適に使用することを含む)。圧縮された供給流205の圧力は、例えば、当該流れの圧力を測定する当該圧力センサとコンプレッサ203との間の好適なフィードバックループを介して自動的に制御することができる。同様に、透過流211の圧力は、例えば、当該流れの圧力を測定する当該圧力センサと真空ポンプ213との間の好適なフィードバックループを介して自動的に制御することができる。
【0045】
コンプレッサ203および真空ポンプ213は、当該技術分野で知られている任意の好適なタイプであり得る。コンプレッサ203は、例えば、1つ以上の油潤滑スクリュー型コンプレッサおよび/または1つ以上の無給油(遠心)コンプレッサを含み得る。真空ポンプは、例えば、1つ以上の真空ブロワ(サイドチャネルブロワとしても知られる)を含むことができ、これらは、高体積流量で約0.5baraまで真空圧力を提供することができる。
【0046】
任意選択で、真空ポンプ213は、空気分離システムの運転中に真空を適用するために連続的に使用されないように制御され得る。例えば、窒素濃縮残留流209の比較的低い流量のみが必要とされるような低いN2需要の期間中は、エネルギー消費のさらなる節約を達成するために真空ポンプを停止することができる。代替または追加として、低N2需要の期間中に、コンプレッサ203は、空気供給流201が圧縮される程度を低減するように運転することができ、それによって、より低い圧力にある圧縮された供給空気流217,205が製造され、そのような期間中のエネルギー消費をさらに削減する(一般的に真空ポンプをオフにすることよりもエネルギー消費に大きな影響がある)。
【0047】
膜セパレータユニットが2つ以上のモジュールを含む場合、単一の真空ポンプを使用して、モジュールのすべてまたは一部に真空を適用してもよく、または2つ以上の真空ポンプを使用してもよく、各真空ポンプはモジュールのうちの1つ以上に接続され、真空を適用する。任意選択で、膜セパレータユニットが2つ以上のモジュールを含む場合、モジュールの一部のみが真空ポンプに接続され、モジュールに適用される真空を有し得る。
【0048】
開示される空気分離システムの制御は、自動化された制御システムを介して、手動(すなわち、人間)による制御を介して、または2つの任意の組み合わせを介して達成され得る。
【0049】
上で具体的に記載されていない場合、当業者は、それでもなお、開示される空気分離システムはまた、限定するものではないが、入口バルブ(複数可)、入口濾過システム、空気乾燥システム、有機蒸気除去用フィルタ、圧力センサ、温度センサ、空気ヒーター(複数可)、膜モジュールの適用される数を制御するバルブ、出口制御バルブ(複数可)、入口制御バルブ、およびバッファータンクなどの、係るシステムに含まれる様々な典型的な構成要素も含み得ることを理解するであろう。
【0050】
上に記載した方法およびシステム、特に、船舶およびオフショア設備に搭載されたガス分離プロセスのエネルギー消費を削減するために、膜セパレータユニットの透過側に真空を適用する原理はまた、他のガス分離プロセスにも適用することができ、酸素からの窒素の分離に限定されない。そのようなガス分離プロセスによって分離することができる他のガスとしては、酸素、水素、水、二酸化炭素、メタン、およびヘリウムが挙げられる。
【実施例0051】
実施例1
化学タンカーに搭載された空気分離の方法を、Aspen TechnologiesのASPEN Plus V10シミュレーションソフトウェアにおけるAir Products and Chemicals,Inc.の組み込み型膜プロセスモデルを使用して、シミュレートした。図2に示した方法およびシステムをシミュレートし、窒素濃縮された残留流209の目標窒素純度および流量は、通常の海洋およびオフショアでの空気分離仕様に従って設定した。
【0052】
シミュレーションの様々な流れのプロセス条件および結果として得られる組成物および流量を、以下の表1に示す。このシミュレーションのために、供給空気流は、典型的には、少量の他の構成成分(水、二酸化炭素、および貴ガスなど)を含有するが、供給空気流中のそのような構成成分の存在は、酸素を窒素から分離するプロセスの能力に影響を及ぼさないため、流れの窒素および酸素含有量のみを考慮した。
【表1】
【0053】
シミュレートしたシステムおよび方法を使用して、9744NMH(通常の立方メートル毎時、すなわち、通常の条件下での立方メートル毎時)の供給空気を、コンプレッサ203で8.0baraに圧縮した。圧縮された供給空気流205を膜セパレータユニット207に供給して、95%の窒素純度で4500NMHの窒素濃縮残留ガスを発生させた。残留ガス流量は、必要な生成物の純度を達成するために、制御バルブ231を介して調節された。透過流は、0.65baraの吸引圧力で運転された真空ポンプ213を介して引き出した。プロセスに必要な総電力は、窒素濃縮残留ガスの0.273KW/NMHであった。
【0054】
比較すると、図1のシステムおよび方法(すなわち、真空ポンプ213を使用していないため1baraで膜セパレータユニットを出る透過流を用いて)で、95%の窒素純度で、4500NMHの窒素濃縮残留ガスを製造するために、9761NMHの供給空気流を11baraまで圧縮しなければならず、プロセスに必要な総電力は、0.3151KW/NMHの窒素濃縮残留ガスにまで上昇した。
【0055】
したがって、図2の実施形態によるシステムおよび方法は、真空を使用しなかったシステムおよびプロセスと比較して、同じ分離のために必要な電力が13.4%減少した。
【0056】
実施例2
図2に示した方法およびシステムのさらなるシミュレーションを、プロセスの個別窒素コストを最小限に抑えるための最適な供給流および透過流の圧力を確立するために、Aspen TechnologiesのAspen Plus V10シミュレーションソフトウェアにおけるAir Products and Chemicals,Inc.の組み込み型膜プロセスモデルを使用して行った。
【0057】
次の条件を、シミュレーションの基本条件とした:システムは年間800時間運転され、窒素純度95%で、4500NMHの窒素濃縮残留ガスを製造し、システムは20年間の運転寿命を有し、膜モジュール中の膜は10年間の寿命を有し(したがって、システムの寿命の中間点で交換する必要がある)、エネルギーコストは0.15USD/kWhである。
【0058】
プロセスの個別窒素コストを以下のように定義した:
個別N2コスト=(CAPEX+OPEX)/製造されたN2
【0059】
ここで、「CAPEX」は、システムの全寿命にわたるシステムの総資本コストを指し、「OPEX」は、プロセスの全寿命にわたるプロセスの総運転コストを指し、「製造されたN2」は、プロセスの全寿命にわたる窒素生成物(すなわち、窒素純度95%の窒素濃縮残留ガス)の総量を指す。この計算では、スクリュー型油潤滑コンプレッサの典型的なベンダーコストを用いてコンプレッサのコストを推定し、真空装置は油潤滑スクリュー型コンプレッサと同じkW当たりの価格を有するとみなし、窒素パッケージのコストは主要装置コスト(膜+回転装置)に基づいており、窒素発生装置(濾過装置、ヒーター、バルブ、パイプ)に関する他の装置のコストは、問題の窒素製造のレベルのすべての供給/透過圧力に対して一定であるとみなし、メンテナンスコストは前述の膜交換の必要性のみが含まれた。
【0060】
供給流205圧力5.64baraおよび透過流211圧力0.56baraを使用したとき、窒素濃縮残留ガスの0.0496USD/NMHの最低の個別窒素コストが得られたことが分かった。以下の表2および3は、これらの供給圧力および透過圧力について得られた結果、および、比較のために、様々な供給圧力を使用したが真空ポンプを使用しなかったとき(したがって、大気圧で透過流を使用)に得られた結果を示している。見て分かるように、それぞれ5.64baraおよび0.56の最適化された供給圧力および透過圧力を使用することによって、オンボードでの窒素製造のために使用される標準条件(11baraの供給流圧力および大気圧の透過流)と比較して、プロセスの個別窒素コストを10%超削減することができた。
【表2】
【表3】
【0061】
また、電気代を変動させる効果(シミュレーションのために最初に使用した0.15USD/kWhのコストから)を調査し、その結果は、図3に示してあり、計算された最適供給流圧力および透過流圧力(最低の個別窒素コストを提供した圧力による)が、0.01USD/kWh~0.30USD/kWhの範囲の様々な電気代について示してある。見て分かるように、電気代を増加させると、最適な供給圧力および透過圧力は低下したが、調査したすべての条件下で、最低の個別窒素コストは、大気圧よりも低い透過圧力(特に、0.5~0.7baraの範囲での透過圧力)を使用して得られた。
【0062】
本発明は、好ましい実施形態に関して上に記載した詳細に限定されず、以下の特許請求の範囲で定義される発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の修正および変更をなし得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
【外国語明細書】