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特開2023-1912スクレーパー機構、フィルム剥取機、及びフィルム端部を持ち上げる方法
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  • 特開-スクレーパー機構、フィルム剥取機、及びフィルム端部を持ち上げる方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001912
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】スクレーパー機構、フィルム剥取機、及びフィルム端部を持ち上げる方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20221226BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B65H41/00 B
H01L21/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022098795
(22)【出願日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】110122558
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】512280909
【氏名又は名称】志聖工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】林英菘
(72)【発明者】
【氏名】林俊良
(72)【発明者】
【氏名】許家銘
(72)【発明者】
【氏名】李元印
(72)【発明者】
【氏名】呂俊賢
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108JA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スクレーパーを用いてフィルムの隅を持ち上げる方式が基板表面に傷を付け易いという問題を有利に解決することができる、スクレーパー機構を提供する。
【解決手段】フィルム剥取機において、スクレーパー機構は、スクレーパー220と、移動補助部230と、を含む。スクレーパー220は、延伸方向Dに沿って端部にテーパー部221を形成する。移動補助部230は、スクレーパー220の近隣に設けられ、スクレーパー220の延伸方向Dに実質的に平行である中心軸Aを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸方向に沿って端部にテーパー部を形成するスクレーパーと、
前記スクレーパーの近隣に設けられる少なくとも1つの移動補助部と、を含む、フィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項2】
前記少なくとも1つの移動補助部の中心軸が、前記スクレーパーの延伸方向と実質的に交差していない、請求項1に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項3】
前記少なくとも1つの移動補助部の前記中心軸が、前記スクレーパーの前記延伸方向と実質的に平行である、請求項2に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項4】
担持台をさらに含み、前記スクレーパーと前記少なくとも1つの移動補助部が、前記担持台に設けられ、かつ前記担持台が前記スクレーパーと前記少なくとも1つの移動補助部を連動して移動させることが可能である、請求項1に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項5】
垂直方向上において、前記スクレーパーの前記テーパー部が、前記少なくとも1つの移動補助部の底部と同一の平面にある、請求項1に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項6】
前記少なくとも1つの移動補助部の数が2個であり、前記垂直方向上において、前記2つの移動補助部が同一の高さに設けられ、かつ前記スクレーパーの前記テーパー部が、前記2つの移動補助部の間に位置する、請求項5に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項7】
垂直方向上において、前記スクレーパーの前記テーパー部が、前記少なくとも1つの移動補助部の底部より低い、請求項1に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項8】
基板担持台と、
前記基板担持台に対応して設けられる、スクレーパー機構と、を含み、前記スクレーパー機構が、
担持台と、
前記担持台に設けられる、スクレーパーと、
前記担持台に設けられ、前記スクレーパーの近隣にある、少なくとも1つの移動補助部と、を含み、かつ前記担持台が前記スクレーパーと前記少なくとも1つの移動補助部を連動して移動させることが可能である、
フィルム剥取機。
【請求項9】
前記スクレーパーが延伸方向に沿って端部にテーパー部を形成し、かつ前記少なくとも1つの移動補助部の中心軸が、前記スクレーパーの前記延伸方向と実質的に交差していない、請求項8に記載のフィルム剥取機。
【請求項10】
前記少なくとも1つの移動補助部の前記中心軸が、前記スクレーパーの前記延伸方向と実質的に平行である、請求項9に記載のフィルム剥取機。
【請求項11】
垂直方向上において、前記スクレーパーの前記テーパー部が、前記少なくとも1つの移動補助部の底部と同一の平面にある、請求項9に記載のフィルム剥取機。
【請求項12】
垂直方向上において、前記スクレーパーの前記テーパー部が、前記少なくとも1つの移動補助部の底部より低い、請求項9に記載のフィルム剥取機。
【請求項13】
請求項8に記載のフィルム剥取機を用いて、基板に貼り付いているフィルムの端部を持ち上げる方法であって、
前記フィルムが貼り付けられる前記基板を前記基板担持台上に置くこと、
前記スクレーパー機構の前記少なくとも1つの移動補助部が前記基板又は前記フィルム上にもたれること、
前記スクレーパー機構の前記担持台を駆動し、前記スクレーパーを、前記基板と前記フィルムの間に、又は2つの前記フィルムの間に差し込むように、前記基板に対して相対移動させ、前記フィルムの前記端部を持ち上げること、を含む、
基板に貼り付いているフィルムの端部を持ち上げる方法。
【請求項14】
前記担持台が前記基板に対して移動するときに、前記少なくとも1つの移動補助部が前記基板上を転がる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記担持台が前記基板に対して移動するときに、前記少なくとも1つの移動補助部が前記フィルム上を転がる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記担持台が前記フィルムの前記端部に沿って移動する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
メインボディ、及びサブボディを含み、前記サブボディが、移動できるように前記メインボディに設けられる、担持台と、
前記サブボディに設けられる、スクレーパーと、
前記メインボディに設けられ、かつ前記スクレーパーの近隣に設けられる、少なくとも1つの移動補助部と、を含む、
フィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項18】
前記少なくとも1つの移動補助部の中心軸が、前記スクレーパーの延伸方向と実質的に交差していない、請求項17に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項19】
前記少なくとも1つの移動補助部の前記中心軸が、実質的に、前記スクレーパーの前記延伸方向と平行である、請求項18に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項20】
前記サブボディが前記少なくとも1つの移動補助部の前記中心軸と実質的に平行である方向に沿って前記メインボディに対して移動可能である、請求項18に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項21】
前記メインボディが底部から延伸する凹部を有し、かつ前記サブボディが前記凹部内に設けられる、請求項17に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項22】
前記少なくとも1つの移動補助部の数が2個であり、かつ前記メインボディの前記凹部が前記2つの移動補助部の間に介在する、請求項21に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項23】
前記スクレーパーが延伸方向に沿って端部にテーパー部を形成し、垂直方向上において、前記スクレーパーの前記テーパー部が前記少なくとも1つの移動補助部の底部より低い、請求項17に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【請求項24】
前記少なくとも1つの移動補助部が回転できるように前記担持台の前記メインボディに設けられる、請求項17に記載のフィルム剥取機のスクレーパー機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクレーパー機構に関し、特に、フィルム剥取機のスクレーパー機構、及びこのスクレーパー機構を用いてフィルム端部を持ち上げる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体または電子部品の産業において、ほこりの付着を防ぎ、静電防護または空気との接触阻止を達成するために、一部のプロセスにおいて基板上にフィルム(例えばマイラー膜)を貼り付ける必要がある。現在では、自動化機械を採用して基板上のフィルムを剥ぎ取るのが一般的である。一部の製品はフィルムの厚みが非常に薄くて、粘着性が比較的に高いため、直接にフィルムを剥げば、糊残りが容易に発生し、ひいては基板表面上の電子部品が損なわれる。従って、このような特性を有する製品については、フィルムの隅を持ち上げてから、フィルム全体の剥取を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、業界において、一般的にフィルムの隅の持ち上げに用いる工具にはローレット駒とスクレーパーがある。粘着性が比較的に高いフィルムに対して、ローレット駒を用いて隅を持ち上げることは、あまり効果が無い。スクレーパーを用いてフィルムの隅を持ち上げる方式は、大部分の製品のニーズを満たすことができるが、スクレーパーが基板表面に傷を付け易いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、現在、スクレーパーを用いてフィルムの隅を持ち上げる方式が基板表面に傷を付け易いという問題を有利に解決することができる、スクレーパー機構を提供する。
【0005】
本発明に開示されたスクレーパー機構は、スクレーパーと、少なくとも1つの移動補助部とを含む。スクレーパーが、延伸方向に沿って端部にテーパー部を形成する。移動補助部はスクレーパーの近隣に設けられる。
【0006】
本発明に開示された別のフィルム剥取機は、基板担持台と、スクレーパー機構とを含み、かつスクレーパー機構が基板担持台に対応して設けられる。スクレーパー機構は、担持台と、スクレーパーと、少なくとも1つの移動補助部とを含む。スクレーパーは担持台に設けられる。移動補助部は、担持台に設けられ、スクレーパーの近隣にあり、かつ担持台は、スクレーパーと移動補助部を連動して移動させることが可能である。
【0007】
本発明に開示された更に別の基板に貼り付いているフィルムの端部を持ち上げる方法は、フィルムが貼り付けられる基板を前記フィルム剥取機の基板担持台上に置くこと、スクレーパー機構の移動補助部が基板又はフィルム上にもたれること、スクレーパー機構の担持台を駆動し、スクレーパーを、基板とフィルムの間に、又は2つのそのフィルムの間に差し込むように、基板に対して相対移動させ、フィルムの端部を持ち上げること、を含む。
【0008】
本発明に開示された更に別のスクレーパー機構は、担持台と、スクレーパーと、少なくとも1つの移動補助部とを含む。担持台は、メインボディと、サブボディとを含み、かつサブボディは移動できるようにメインボディに設けられる。スクレーパーはサブボディに設けられる。移動補助部は、メインボディに設けられ、かつスクレーパーの近隣に設けられる。
【0009】
本発明に開示されたスクレーパー機構、フィルム剥取機、及びフィルム端部を持ち上げる方法によれば、フィルム剥取機は、スクレーパー機構を含み、かつスクレーパー機構は、スクレーパーの近隣に設けられる移動補助部を含む。なお、本発明に開示されたフィルム端部を持ち上げる方法によれば、まず、スクレーパー機構の移動補助部を基板又はフィルム上にもたれさせ、次いで、スクレーパーと移動補助部を移動させて、基板とフィルムの間に差し込み、フィルムの端部を持ち上げる。これにより、移動補助部が基板又はフィルムにもたれることで、スクレーパーの高さを維持し、スクレーパーのテーパー部を基板とフィルムが粘着されている境目に位置合わせできる。よって、スクレーパーを差し込む際に、フィルムと基板が傷つけられることを避けることが可能である。
【0010】
以上の本開示内容に係る説明および以下の実施形態の説明は、本発明の精神と原理を実証および解釈するために用いられ、本発明の特許出願の範囲のさらなる解釈を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例によるフィルム剥取機の模式図である。
図2図1におけるスクレーパー機構を模式的に示す斜視図である。
図3図2におけるスクレーパー機構を模式的に示す正面図である。
図4図1のフィルム剥取機を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。
図5図1のフィルム剥取機を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。
図6図1のフィルム剥取機を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。
図7図1のフィルム剥取機を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。
図8】本発明の別の実施例によるスクレーパー機構の模式図である。
図9図8におけるスクレーパー機構を模式的に示す正面図である。
図10図8のスクレーパー機構を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。
図11図8のスクレーパー機構を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。
図12図8のスクレーパー機構を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。
図13図8のスクレーパー機構を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態で本発明の詳細な特徴および利点について詳細に説明する。その内容はあらゆる当業者が発明の技術内容を理解し、これに基づいて実施するに足るものであり、且つ本明細書で開示する内容、特許請求の範囲、図面によれば、あらゆる当業者は本発明に係る目的及び利点を容易に理解できる。以下の実施例は、本発明の観点についてさらに詳細に説明するが、いかなる観点によっても本発明の範囲を限定するものではない。
【0013】
まず、図1を参照すると、図1は本発明の実施例によるフィルム剥取機の模式図である。本実施例において、フィルム剥取機1が基板担持台10と、スクレーパー機構20と、フィルム剥取装置30とを含む。
【0014】
基板担持台10は、特に限定されないが、例えば、基板を担持するために用いられる金属製のステージであって、表面に真空吸着孔が形成されている。基板担持台10の真空吸着孔により基板をしっかり吸着できる。
【0015】
スクレーパー機構20は基板担持台10に対応して設けられ、かつスクレーパー機構20は担持台210と、スクレーパー220と、移動補助部230とを含む。本実施例において、スクレーパー機構20はロボットアーム(図示せず)の上に取り付けられ、かつ平常的に基板担持台10の上方に位置する。スクレーパー220と移動補助部230が担持台210に設けられ、かつ移動補助部230がスクレーパー220の近隣に設けられる。さらには、スクレーパー220が担持台210に固定され、かつ移動補助部230が担持台210に枢着される。本実施例のスクレーパー機構20は2つの移動補助部230を含むが、移動補助部230の数は本発明を限定するものではない。
【0016】
移動補助部230の中心軸は、スクレーパー220の延伸方向と実質的に交差していない。図1におけるスクレーパー機構の模式図である、図2をともに参照すると、スクレーパー220は、延伸方向Dに沿って端部にテーパー部221を形成し、かつ移動補助部230の中心軸Aは、スクレーパー220の延伸方向Dに実質的に平行である。テーパー部221において、スクレーパー220の厚みが端部へ向けて徐々に低減している。本実施例では、移動補助部230がロールであり、かつ中心軸Aがロールの回転軸であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。他の実施例では、移動補助部は、低摩擦係数の材質や自己潤滑性良好な材質を用いて作成した素子であってよく、例えば、テフロン板、ポリアセタール(POM)の突起、などが挙げられる。
【0017】
フィルム剥取装置30は、基板担持台10に対応して設けられる。図1図2に示されるフィルム剥取装置30は、テープ移動補助部を含むことが例示されるが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施例では、フィルム剥取装置30は吸盤やグリッパを含めてもよい。
【0018】
図2におけるスクレーパー機構を模式的に示す正面図である、図3を参照して、本実施例では、垂直方向H上において、スクレーパー220のテーパー部221が移動補助部230の底部と同一の平面にある。なお、垂直方向H上において、2つの移動補助部230が同じ高さに設けられ、かつスクレーパー220のテーパー部221が2つの移動補助部230の間に位置する。一部の実施例では、垂直方向上において、スクレーパーのテーパー部を移動補助部の底部よりわずかに低いものとすることができる。
【0019】
以下、フィルム剥取機が基板上からフィルムを剥取する過程について説明する。図1のフィルム剥取機を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である図4乃至図7をともに参照すると、図4に示すように、表面にフィルム41が貼り付けられた基板40は、フィルム剥取機の基板担持台10上に置かれる。基板40は、特に限定されないが、例えば、印刷回路板、シリコンウェハまたはガラス基板であり、かつフィルム41は、特に限定されないが、例えば、ABF膜、接着フィルムまたはポリエステル(PET)フィルムである。フィルム41は、単層膜(すなわち、単層のフィルム)または複数層膜構造(すなわち、複数の膜を積層するもの、例えば、マイラー(Mylar)膜層とABF膜層の積層)であり得る。
【0020】
基板40を基板担持台10上に置いてから、スクレーパー機構20の移動補助部230を基板40上にもたれさせる(当てる)。図5に示すように、スクレーパー機構20の担持台210は、モーター(図示せず)または手動で駆動することにより、スクレーパー220と移動補助部230とをともに連動して移動させ、基板40の上表面に接近させることができる。さらには、基板40の上表面は、フィルム41に覆われる中央領域40a、及びフィルム41に覆われない端部領域40bに分けられ、かつスクレーパー機構20の移動補助部230は、基板40の上表面の端部領域40bにもたれさせることができる。移動補助部230が基板40の上表面にもたれる際に、スクレーパー220のテーパー部221は、基板40とフィルム41が粘着されている境目にぴったりと(正確に)位置合わせされ得る。
【0021】
スクレーパー機構20の移動補助部230が基板40にもたれてから、スクレーパー機構20の担持台210を駆動し、フィルム41の端部と基板40とを分離するように基板40に対して相対移動させる。図6に示すように、担持台210は、移動補助部230の中心軸に直交する方向に沿って移動し、さらには、フィルム41の端部に沿って移動する。担持台210が基板40と基板担持台10に対して相対移動する際に、スクレーパー機構20の移動補助部230は基板40の上表面に転がり、スクレーパー220が基板40とフィルム41の間に差し込まれる。スクレーパー220の差し込みにより、フィルム41の端部と基板40とを分離し、すなわち、フィルム41の他の部分が基板40の上表面に貼り付いているまま、フィルム41の端部の一部が剥取される。
【0022】
続いて、フィルム剥取装置30を用いて基板上からフィルムを完全に剥取する。図7に示すように、フィルム剥取装置30(テープロール)は、基板40と分離した一部のフィルム41を粘着し、フィルム剥取装置30は基板40に対して相対移動し、フィルム剥取装置30の移動方向に沿ってフィルム41を連動して基板40から連続的に分離する。基板40と分離した一部のフィルム41は、フィルム剥取装置30の力点として剥取作業の開始位置となり得る。これは、剥取作業を更に素早く完了させ、フィルム剥取の品質を向上させることに寄与する。フィルム剥取装置30が吸盤を含む実施例では、基板40と分離した一部のフィルム41を吸盤により吸着できる。フィルム剥取装置30がグリッパを含む実施例では、基板40と分離した一部のフィルム41の片隅部をグリッパにより挟むことができる。
【0023】
本実施例は、図1のフィルム剥取機1を用いてフィルム41と基板40とを分離することを開示するが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施例では、フィルム41が複数層膜構造を含む場合に、フィルム剥取機1を用いて複数層膜構造における2つのフィルム層を分離できる。つまり、スクレーパー220は、フィルム41における2つのフィルム層の間に差し込み、スクレーパー220の差し込みにより、2つのフィルム層を分離できる。
【0024】
図8図9を参照すると、図8は本発明の別の実施例によるスクレーパー機構の模式図であり、図9図8におけるスクレーパー機構を模式的に示す正面図である。本実施例では、フィルム剥取機のスクレーパー機構20Aは、担持台210Aと、スクレーパー220と、移動補助部230とを含む。担持台210Aは、メインボディ211と、サブボディ212とを含み、かつサブボディ212は移動できるようにメインボディ211に設けられる。
【0025】
スクレーパー220はサブボディ212に設けられ、移動補助部230はメインボディ211に設けられ、かつ移動補助部230がスクレーパー220の近隣に設けられる。さらには、スクレーパー220はサブボディ212に固定され、かつ移動補助部230がメインボディ211に枢着される。本実施例のスクレーパー機構20Aは2つの移動補助部230を含むが、移動補助部230の数は本発明を限定するものではない。なお、本実施例のメインボディ211は、底部から延伸する凹部213を有する。サブボディ212が移動できるように凹部213内に設けられ、かつ凹部213は2つの移動補助部230の間に介在する。
【0026】
移動補助部230の中心軸は、スクレーパー220の延伸方向と実質的に交差していない。スクレーパー220は、延伸方向Dに沿って端部にテーパー部221を形成し、かつ移動補助部230の中心軸Aは、スクレーパー220の延伸方向Dに実質的に平行である。テーパー部221において、スクレーパー220の厚みが端部へ向けて徐々に低減している。本実施例では、移動補助部230が担持台210Aに枢着するロールであり、かつ中心軸Aがロールの回転軸であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。他の実施例では、移動補助部は、低摩擦係数の材料や自己潤滑性良好な材質を用いて作成する素子であってよく、例えば、テフロン板、ポリアセタール(POM)の突起、などが挙げられる。なお、垂直方向H上において、スクレーパー220のテーパー部221が移動補助部230の底部よりわずかに低いが、他の実施例では、スクレーパーのテーパー部は、移動補助部230の底部と同じ水平高さに位置してよい。
【0027】
図10乃至図13図8のスクレーパー機構を用いて基板上からフィルムを剥取する模式図である。図10図11に示すように、基板40が基板担持台上に置かれてから、モーター(図示せず)または手動操作により、担持台210Aのメインボディ211が下がるように駆動し、スクレーパー機構20Aの移動補助部230を基板40に粘着するフィルム41の上表面にもたれさせる。移動補助部230がフィルム41の上表面にもたれる際に、スクレーパー220は、基板40とフィルム41が粘着されている境目にぴったりと(正確に)位置を合され得る。
【0028】
図12に示すように、担持台210Aのサブボディ212は、中心軸に平行する方向に沿って(またはスクレーパー220の延伸方向に沿って)メインボディ211に対して相対移動する。サブボディ212は、スクレーパー220を連動して基板40とフィルム41に近付くように移動し、スクレーパー220を基板40とフィルム41の間に差し込む。続いて、図13に示すように、担持台210Aのメインボディ211は、移動補助部230の中心軸に直交する方向に沿ってフィルム41上に移動し、さらには、フィルム41の端部に沿って移動する。図13は、担持台210Aが図12の位置からフィルム41の隅へ移動することを示す。担持台210Aが基板40に対して相対移動する際に、スクレーパー機構20Aの移動補助部230がフィルム41の上表面に転がり、スクレーパー220が基板40とフィルム41の間に差し込まれる。スクレーパー220の差し込みにより、フィルム41端部と基板40とを分離し、すなわち、フィルム41の他の部分が基板40の上表面に貼り付いているまま、フィルム41の端部の一部が剥取される。
【0029】
本実施例は、図8のスクレーパー機構20Aを用いてフィルム41端部を基板40から持ち上げることを開示するが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施例では、フィルム41が複数層膜構造を含む場合に、スクレーパー機構20Aを用いて複数層膜構造における2つのフィルム層を分離できる。つまり、スクレーパー220は、フィルム41における2つのフィルム層の間に差し込まれ、スクレーパー220の差し込みにより、2つのフィルム層を分離できる。
【0030】
上記をまとめ、本発明に開示されたスクレーパー機構、及びフィルム剥取機によれば、フィルム剥取機は、スクレーパー機構を含む。特に、スクレーパー機構は、スクレーパーの近隣に設けられる移動補助部を含む。なお、本発明に開示されたフィルム端部を持ち上げる方法によれば、まず、スクレーパー機構の移動補助部を基板又はフィルム上にもたれさせ、次いで、スクレーパーと移動補助部を移動させて、基板とフィルム、または2つのフィルム層の間に差し込み、フィルムの端部と基板またはフィルム層とを分離する。移動補助部の中心軸は、スクレーパーがフィルム端部を持ち上げるときの移動方向に対して実質的に直交するので、移動補助部は基板上を転がることができる。これにより、移動補助部が基板又はフィルムにもたれることで、スクレーパーが垂直方向上における高さを維持し、スクレーパーのテーパー部(または刃)は、基板とフィルムが粘着されている境目に位置合わせされる。よって、スクレーパーを差し込む際に、フィルムと基板が傷つけられることを避けることが可能である。
【0031】
本発明は上述のように前記の実施例で開示したが、それらは本発明を限定するものではない。本発明の精神と範囲に逸脱せずに行われた変更と修正は、本発明の特許保護の範囲に属する。本発明が定義した保護範囲については、添付の特許出願の範囲を参照できる。
【符号の説明】
【0032】
1 フィルム剥取機
10 基板担持台
20、20A スクレーパー機構
210、210A 担持台
211 メインボディ
212 サブボディ
220 スクレーパー
221 テーパー部
230 移動補助部
231 底部
30 フィルム剥取装置
40 基板
40a 中央領域
40b 端部領域
41 フィルム
A 中心軸
D 延伸方向
H 垂直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】