(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019151
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】箱の開梱装置及び箱の開梱方法
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
B65B69/00 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123654
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 治
(72)【発明者】
【氏名】小寺 宏尚
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058BA05
3E058CA10
3E058CB02
3E058DA01
3E058EA01
3E058EA02
3E058FA05
3E058FA11
3E058GA02
3E058GA06
3E058GA07
(57)【要約】
【課題】ホットメルト接着剤よりなる接着部を剥離してフラップを開く箱の開梱作業の少なくとも一部を自動化できる箱の開梱装置及び箱の開梱方法を提供する。
【解決手段】箱開梱装置11は、箱13のフラップが、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部で閉状態で固定された箱13を開梱する。箱開梱装置11は、加熱部31と、移動機構33と、制御部とを備える。加熱部31は、閉状態にあるフラップの接着部とは反対側の面である被加熱面HPを加熱する。移動機構33は、加熱部31と箱13とのうち少なくとも一方を移動させ、加熱部31と箱13とを加熱時の相対位置関係になるよう位置決めする。制御部は、加熱部31及び移動機構33を制御する。制御部は、移動機構33を制御して加熱部31を箱13に対して加熱位置に配置するとともに、加熱位置に配置された加熱部31が被加熱面HPを加熱するように加熱部31を制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱を構成するフラップが、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部を介して閉状態で固定された箱を開梱する箱の開梱装置であって、
前記閉状態にある前記フラップにおける前記接着部とは反対側の面である被加熱面を加熱可能な加熱部と、
前記加熱部が前記箱に対して前記被加熱面を加熱可能な加熱位置に配置されるように前記加熱部と前記箱とのうち少なくとも一方を移動させることで前記加熱部と前記箱とを加熱時の相対位置関係になるよう位置決めする移動機構と、
前記加熱部及び前記移動機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記移動機構を制御して前記加熱部を前記箱に対して前記加熱位置に配置するとともに、前記加熱位置に配置された前記加熱部が前記被加熱面を加熱するように当該加熱部を制御することを特徴とする箱の開梱装置。
【請求項2】
前記加熱部は、ヒータと、前記ヒータにより加熱される金属製の押圧部材とを有し、
前記移動機構は、前記加熱部と前記箱とのうち少なくとも一方を移動させることで、前記押圧部材が前記フラップの前記被加熱面を押圧する押圧位置と、前記押圧部材が前記被加熱面から離間する退避位置とに前記加熱部を配置可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の箱の開梱装置。
【請求項3】
前記被加熱面のうち前記加熱部の加熱面が接触する領域である被加熱領域は複数の分割領域に分割されており、
前記加熱部は、1つの前記被加熱面に対して複数の前記分割領域ごとに個別に加熱可能に複数備えられ、
複数の前記加熱部の姿勢を前記加熱面が前記被加熱面に倣うように個別に変化させる複数の首振り機構を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の箱の開梱装置。
【請求項4】
前記加熱部が前記被加熱面を加熱する加熱温度は、300~350℃の範囲内の所定温度であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の箱の開梱装置。
【請求項5】
前記被加熱面が前記加熱部により加熱された複数の前記フラップを開くフラップ開き機構と、
複数の前記フラップを開くことで前記箱に形成される開口を介して内容物を取り出す取出機構と
を備えることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の箱の開梱装置。
【請求項6】
箱を構成するフラップが、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部を介して閉状態で固定された箱を開梱する箱の開梱方法であって、
制御部が、加熱部と前記箱のうち少なくとも一方を移動させることで前記加熱部と前記箱とを加熱時の相対位置関係になるよう位置決めする位置決め工程と、
前記制御部が、位置決めされた前記加熱部に前記フラップの前記接着部とは反対側の面である被加熱面を加熱させる加熱工程と
を含むことを特徴とする箱の開梱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱を構成するフラップが、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部により閉状態に固定された箱を開梱する箱の開梱装置及び箱の開梱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の箱の開梱装置として、箱に貼られたテープを切断してフラップを開く箱の開梱装置が知られている。この開梱装置では、カッタがフラップの周縁に貼られたテープを切断することで、フラップを開き、箱を開梱する。
【0003】
一方、フラップが、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部により閉状態に固定された箱を開梱する場合、カッタで接着部を切断することが困難である。そのため、従来、作業者がスクレーパ等の工具を用いて手作業でフラップの接着部を剥離することにより、フラップを開いて箱を開梱していた。この場合、外フラップと内フラップとの重なる隙間にスクレーパ等の工具を挿し込んで接着部を剥離する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、ホットメルト接着剤でフラップが接着された箱の封緘の確実性と開箱の容易性を実現する箱が開示されている。予め定めた所定間隔毎のニスパターンで剥離ニスを塗布した上にホットメルト接着剤を塗付する構成であるため、箱の開梱時は、剥離ニスを塗布したホットメルト接着剤を小さな力で剥離できる。しかし、これは、剥離ニスの塗付作業が余分になるうえ、剥離ニスを所定間隔毎のパターンに塗付する特殊な装置が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、作業者の手作業によるフラップの剥離作業は、人手と時間を要するため、例えば、フラップの剥離作業を自動化できることが望ましい。しかし、接着部の剥離作業を自動化するためには、二枚重なるフラップの隙間にスクレーパ等の工具を差し込んでスライドさせる動作(剥離動作)の機械化が必要になる。この場合、箱に対して、スクレーパ等の工具の挿し込み位置となるフラップの隙間の高い検知精度、及び検知した隙間へのスクレーパの高い挿し込み位置精度が要求される。このため、ホットメルト接着部を剥離する剥離動作を含む箱の開梱作業の自動化は困難であった。
【0007】
なお、特許文献1に記載された剥離ニスを塗布したホットメルト接着部を剥離する自動機であれば、吸着パッド等でフラップを強制的に引っ張れば、フラップを開くことができる可能性はある。しかし、剥離ニスを塗布していない汎用のホットメルト接着部で接着された箱を開梱する際は、フラップの接着部を剥離する作業は、前述のように、作業者による手作業で行うしかない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する箱の開梱装置は、箱を構成するフラップが、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部を介して閉状態で固定された箱を開梱する箱の開梱装置であって、前記閉状態にある前記フラップにおける前記接着部とは反対側の面である被加熱面を加熱可能な加熱部と、前記加熱部が前記箱に対して前記被加熱面を加熱可能な加熱位置に配置されるように前記加熱部と前記箱とのうち少なくとも一方を移動させることで前記加熱部と前記箱とを加熱時の相対位置関係になるよう位置決めする移動機構と、前記加熱部及び前記移動機構を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記移動機構を制御して前記加熱部を前記箱に対して前記加熱位置に配置するとともに、前記加熱位置に配置された前記加熱部が前記被加熱面を加熱するように当該加熱部を制御する。
【0009】
この構成によれば、加熱部と箱のうち少なくとも一方が移動機構によって移動することで、加熱部が箱に対して加熱位置に位置決めされる。加熱位置に位置決めされた加熱部がフラップの被加熱面を加熱する。この加熱によってフラップの被加熱面と反対側の面に位置する接着部が加熱される。加熱された接着部は溶融又は少なくとも一部が溶融に加え炭化することで、その接着力が低下する。この結果、フラップを開けるときに加熱前に比べ接着部を剥離し易くなる。よって、ホットメルト接着剤よりなる接着部を比較的小さな力で剥離できるので、フラップを開く箱の開梱作業の少なくとも一部を自動化できる。なお、加熱位置は、加熱部がフラップの被加熱面に接触する位置であってもよいし、加熱部がフラップの被加熱面から離間する位置であってもよい。
【0010】
上記箱の開梱装置において、前記加熱部は、ヒータと、前記ヒータにより加熱される金属製の押圧部材とを有し、前記移動機構は、前記加熱部と前記箱とのうち少なくとも一方を移動させることで、前記押圧部材が前記フラップの前記被加熱面を押圧する押圧位置と、前記押圧部材が前記被加熱面から離間する退避位置とに前記加熱部を配置可能に構成されてもよい。
【0011】
この構成によれば、加熱部は、金属製の押圧部材でフラップの被加熱面を押圧する状態で加熱する。このため、加熱部は所定の圧力で密着する状態で被加熱面を加熱できる。この結果、被加熱面と反対側の面に位置する接着部を、より効率よく加熱してその溶融又は溶融に加え一部の炭化を促進させることができる。また、加熱部が箱の被加熱面を直接加熱するので、被加熱面から離間した位置から温風や熱輻射などの加熱方法によって被加熱面を加熱する構成に比べ、被加熱面と反対側に位置する接着部を効率よく加熱できる。よって、加熱後にフラップを比較的小さな力で引っ張るだけで接着部を剥離でき、ひいては箱の開梱ミスを低減できる。
【0012】
上記箱の開梱装置において、前記被加熱面のうち前記加熱部の加熱面が接触する領域である被加熱領域は複数の分割領域に分割されており、前記加熱部は、1つの前記被加熱面に対して複数の前記分割領域ごとに個別に加熱可能に複数備えられ、複数の前記加熱部の姿勢を前記加熱面が前記被加熱面に倣うように個別に変化させる複数の首振り機構を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、複数の加熱部は、被加熱面を形成する複数のフラップに跨がって接触しても、加熱面が被加熱面に倣うようにそれぞれ個別に姿勢を変化させる。よって、箱の被加熱面が湾曲していても、複数の加熱部を複数のフラップになるべく広い接触面積で接触させることができる。したがって、箱の被加熱面の湾曲の有無に関わらず、フラップとの広い接触面積を介してフラップの裏側(内面側)に位置する接着部を効率よく加熱できる。よって、加熱部とフラップとの接触面積のばらつきを原因とする接着部の加熱のばらつきに起因して接着部を剥離できないことによる開梱ミスを低減できる。
【0014】
上記箱の開梱装置において、前記加熱部が前記被加熱面を加熱する加熱温度は、300~350℃の範囲内の所定温度であってもよい。
この構成によれば、加熱部が被加熱面を加熱温度300~350℃の範囲内の所定温度で加熱する。ここで、300℃未満の加熱温度では、接着部を簡単に剥離可能な接触力に低下させるために必要な加熱時間が長くなり、開梱作業の作業効率が低下する。一方、加熱時間が350℃を超えると、箱(ダンボール等)の被加熱面の熱損傷(紙であれば炭化等、合成樹脂であれば熱変形等)や箱の内容物への熱影響が懸念される。よって、加熱温度は300℃以上かつ350℃以下が好ましい。なお、300℃以上かつ350℃以下では、加熱時間を長くすると、接着部を構成するホットメルト接着剤の溶融に加えその一部が炭化する。この場合、ホットメルト接着剤が加熱による溶融後に再接着してもその接着力は加熱前に比べ著しく低下する。よって、加熱後にフラップを開ける際に接着部を剥離し易くなる。また、接着部が、硬化後に加熱しても溶融しないタイプの反応型のホットメルト接着剤である場合、加熱しても、接着部が再溶融しないので、ホットメルト接着剤(接着部)の接着力を低下させにくい。しかし、300~350℃の範囲内の加熱温度であれば、反応型のホットメルト接着剤よりなる接着部が一部炭化することで接着部の接着力が著しく低下する。このため、フラップを開ける際に比較的小さな力によっても接着部を剥離することができる。このように、加熱温度を300~350℃に設定することで、加熱で再溶融可能なホットメルト接着剤と、加熱で再溶融不能な反応型のホットメルト接着剤とのどちらに対しても、接着部の接着力を必要な値にまで低下させることができる。
【0015】
上記箱の開梱装置において、前記被加熱面が前記加熱部により加熱された複数の前記フラップを開くフラップ開き機構と、複数の前記フラップを開くことで前記箱に形成される開口を介して内容物を取り出す取出機構とを備えてもよい。
【0016】
この構成によれば、フラップ開き機構が複数のフラップを開くことで、箱に開口が形成される。取出機構が箱の開口から内容物を取り出す。よって、箱から内容物を取り出すまでの開梱作業を自動化できる。
【0017】
上記課題を解決する箱の開梱方法は、箱を構成するフラップが、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部を介して閉状態で固定された箱を開梱する箱の開梱方法であって、制御部が、加熱部と前記箱のうち少なくとも一方を移動させることで前記加熱部と前記箱とを加熱時の相対位置関係になるよう位置決めする位置決め工程と、前記制御部が、位置決めされた前記加熱部に前記フラップの前記接着部とは反対側の面である被加熱面を加熱させる加熱工程とを含む。
【0018】
この箱の開梱方法によれば、ホットメルト接着剤よりなる接着部を比較的小さな力で剥離できるので、フラップを開く箱の開梱作業の少なくとも一部を自動化できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ホットメルト接着剤よりなる接着部を剥離してフラップを開く箱の開梱作業の少なくとも一部を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態における箱開梱システムを示す模式平面図である。
【
図4】箱をフラップ剥離位置に位置決めする位置決め装置を示す正面図である。
【
図5】加熱部の
図6における5-5線で破断した背面図である。
【
図8】(a),(b)は、フラップ開き機構の吸着開き機構の一例を示す模式側面図である。
【
図9】(a),(b)は、フラップ開き機構の動作を説明する平面図である。
【
図10】(a),(b)は、押出機構の動作を説明する平面図である。
【
図11】箱開梱システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図12】箱開梱制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図13】箱の開梱動作における加熱前の移動工程を説明する模式斜視図である。
【
図14】箱の開梱動作における加熱工程を説明する模式斜視図である。
【
図15】箱の開梱動作におけるフラップ開き工程を説明する模式斜視図である。
【
図16】箱の開梱動作における取出工程を説明する模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、箱開梱装置及び箱開梱方法に係る一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、
図1において、箱開梱装置11が設置される床面を規定する2つの方向をそれぞれX方向、Y方向とし、X方向及びY方向と交差し重力方向と平行な方向を鉛直方向Zとする。箱開梱装置11において箱13が搬送される搬送方向がX方向と平行であることから、搬送方向X1という。また、水平面内で搬送方向X1と直交する方向を幅方向Yという。
【0022】
<箱開梱システム10の構成>
図1に示す箱開梱システム10は、内容物C(
図2参照)が梱包された箱13を開梱するシステムである。箱13は、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部16(
図2参照)によりフラップ15(
図2参照)が閉状態で接着されることで、内容物Cを梱包している。
【0023】
箱13は、複数個がパレット(図示略)に積載された状態でトラック等の輸送車により工場に届けられる。従来、工場では、パレットから箱13を1個ずつばらし、複数人の作業者がスクレーパ等の工具を用いてホットメルト接着剤よりなる接着部16を剥離することで、箱13を開梱し、箱13から手作業で内容物Cを取り出していた。このような手作業では、かなりの人手及び時間を要する。そのため、本実施形態では、箱13の開梱作業を自動化する
図1に示す箱開梱システム10が導入されている。
【0024】
図1に示すように、箱開梱システム10は、コンベヤ20と、箱の開梱装置の一例としての箱開梱装置11と、箱開梱装置11により開梱された箱13から内容物Cが取り出された後の空の箱13を廃棄する包材廃棄部60とを備える。コンベヤ20は、箱13を搬送する第1コンベヤ21と、箱開梱装置11が開梱した箱13から取り出された内容物Cを搬出する第2コンベヤ22とを備える。
【0025】
箱開梱装置11は、第1コンベヤ21によって搬送される箱13に対して複数の位置P1~P3で開梱作業を順次進める。詳しくは、箱開梱装置11は、加熱機構30と、フラップ開き機構40と、取出機構50とを備える。第1コンベヤ21には、箱13を第1コンベヤ21上の複数の位置P1~P3に位置決めするための位置決め装置23,24,25が設けられている。すなわち、位置決め装置23は、加熱機構30によって加熱されるときの位置である被加熱位置P1に箱13を位置決めする。位置決め装置24は、フラップ開き機構40によってフラップ開き動作が行われるときの位置であるフラップ開き位置P2に箱13を位置決めする。位置決め装置25は、取出機構50によって箱13から内容物Cが取り出されるときの位置である取出位置P3に箱13を位置決めする。
【0026】
図1に示すように、加熱機構30は、加熱部31と、加熱部31を往復移動させるシリンダ32とを備える。加熱機構30は、被加熱位置P1に位置決めされた箱13の端面と対向する位置に可動式の加熱部31を備える。一対の加熱部31によって加熱される箱13の端面は、開梱すべきフラップ15(
図2参照)の外面により形成される。つまり、一対の加熱部31は、箱13のフラップ15の外面を加熱する。
【0027】
加熱機構30は、第1コンベヤ21を搬送される箱13の搬送経路を幅方向Yに挟む両側に1つずつ計2つ設けられている。2つの加熱機構30は、それぞれの加熱部31によって箱13の幅方向Yの両側の端面を同時に加熱する。加熱機構30の詳細な構成については後述する。
【0028】
図1に示すように、フラップ開き機構40は、シリンダ41と、フラップ開き動作を行う吸着開き機構42とを備える。シリンダ41が伸縮駆動することで、吸着開き機構42は開き動作を行うときの作業位置と、開き動作を行わないときに待機する待機位置との間を移動する。なお、吸着開き機構42の詳細な構成については後述する。
【0029】
図1に示すように、取出機構50は、取出位置P3で、開梱された箱13から内容物Cを取り出す。取出機構50は、シリンダ51と、プッシャ52とを備える。シリンダ51の伸縮駆動により、プッシャ52は
図1に示す退避位置と、箱13から内容物Cを押し出すときのストロークエンドである押出位置との間を移動する。本実施形態では、取出方式が、プッシャ52が箱13から内容物Cを押し出す方式であるため、フラップ開き機構40は、箱13の両側の端面に位置するフラップ15を共に開く。フラップ開き機構40により、箱13の幅方向Yの両側のフラップ15が共に開かれた箱13が取出位置P3まで搬送される。取出機構50は、シリンダ51の伸縮駆動によってプッシャ52を幅方向Yに一往復させることで、箱13から内容物Cを押し出す。こうして、内容物Cが第2コンベヤ22上に押し出される。
【0030】
第2コンベヤ22は、箱開梱装置11によって箱13から取り出された内容物Cを搬出する。第2コンベヤ22は、第1コンベヤ21と取出位置P3で接続され、取出機構50により取り出された内容物Cを供給先へ搬送する。なお、コンベヤ20(21,22)は、ローラー21A,22Aを有するローラーコンベヤに限定されず、例えば、ベルトコンベヤやメッシュコンベヤ等でもよい。
【0031】
一方、内容物Cが取り出された後の空の箱13(包材)は、第1コンベヤ21によって包材廃棄部60へ搬送される。包材廃棄部60は、不図示のプッシャ等により空の箱13を押し潰す。押し潰された包材は、複数積層された後、コンテナ等へ回収される。
【0032】
<箱13の構成>
次に、
図2を参照して、箱13の構成を説明する。
図2に示すように、箱13は、直方体形状を呈している。箱13は、四角筒状の箱本体14と、箱本体14の両側の開口を閉じるために開口端から延出する片側につき4枚(計8枚)のフラップ15とを有する。4枚のフラップ15は、2枚の内フラップ15Aと2枚の外フラップ15Bとを含む。つまり、箱13は四角筒状の箱本体14の両側に、2枚の内フラップ15Aと2枚の外フラップ15Bとをそれぞれ有する。例えば、ラップラウンド形式では、箱本体14は、周方向の端部に位置する接続代部14Aが、ホットメルト接着剤よりなる接着部17により接着されることで、四角筒状に形成されている。内容物Cを包む箱本体14の両側に延出する4枚ずつのフラップ15は折り込まれ、ホットメルト接着剤よりなる接着部16により接着されている。
【0033】
<箱13の展開図>
図3は、箱13の展開図である。
図3に示すように、箱13が展開されたダンボールシートは、箱本体14を展開した四角板状の部分と、箱本体14を挟む両側にそれぞれ2枚ずつ計4枚延出するフラップ15A,15Bとを有する。箱本体14は、その端部に接続代部14Aを有する。
【0034】
内容物Cを製造する製造工場では、例えば、ラップラウンドケーサーによって、内容物Cは箱13に梱包される。まず、内容物Cは、
図3に示すダンボールシートの箱本体14の部分に載置される。次に、内容物Cは箱本体14に包まれ、箱本体14の端部の接続代部14Aが、熱溶融した液状のホットメルト接着剤よりなる接着部17により接着される。これにより、内容物Cは、四角筒状の箱本体14に包まれる。さらに、内容物Cを包む箱本体14の両側に延出する4枚ずつのフラップ15のうち2枚ずつの内フラップ15Aが折り込まれ、内フラップ15Aの表面に液状のホットメルト接着剤が塗布される。続いて、内フラップ15Aの上に外フラップ15Bが折り込まれることで、内フラップ15Aと外フラップ15Bはその間に介在するホットメルト接着剤により接着される。こうして、内容物Cは、箱13に梱包される。なお、開梱対象の箱13の梱包方法は、ラップラウンド形式に限定されず、例えば、セットアップケーサーを用いるなど他の形式でもよい。
【0035】
<位置決め装置23>
次に、
図4を参照して、位置決め装置23について説明する。3つの位置決め装置23~25(
図1参照)は、基本的な構成がほぼ同じであるため、以下では、箱13を被加熱位置P1に位置決めする位置決め装置23について説明する。
【0036】
図4に示すように、位置決め装置23は、第1コンベヤ21の下方に配置されたシリンダ26と、シリンダ26のピストンロッドの先端部に固定されたストッパ27とを備える。シリンダ26が収縮状態にあるとき、ストッパ27は第1コンベヤ21の下側の退避位置に配置される。シリンダ26が収縮状態から伸長駆動されると、ストッパ27は、第1コンベヤ21のローラー21A間の隙間を通って第1コンベヤ21の搬送面よりも上方に突出する規制位置に配置される。箱13は、規制位置にあるストッパ27に当接することで、それ以上の搬送方向X1への移動が規制され、被加熱位置P1に位置決めされる。
【0037】
図1に示す位置決め装置24,25は、位置決め装置23と基本的に同様の構成を有している。すなわち、位置決め装置24,25は、位置決め装置23と同様に、シリンダ26とストッパ27とを備える。このため、位置決め装置24のストッパ27により、箱13は、フラップ開き位置P2に位置決めされる。また、位置決め装置25のストッパ27により、箱13は、取出位置P3に位置決めされる。なお、位置決め装置23~25は、例えば、ストッパ27が幅方向Yに進退する水平移動方式の構成や、ストッパ27が規制位置と退避位置との間を回動する回動式の構成であってもよい。
【0038】
図4に示すように、一対の加熱機構30は、第1コンベヤ21上の被加熱位置P1を挟む幅方向Yの両側に配置されている。加熱機構30は、加熱部31と、加熱部31を移動させるシリンダ32とを有する。一対のシリンダ32が伸長駆動されると、一対の加熱部31は、
図4に二点鎖線で示す加熱位置に配置され、箱13の幅方向Yの両側に位置する2つの被加熱面HPに接触する状態で被加熱面HPを加熱する。
【0039】
<加熱機構30の構成>
次に、
図6を参照して加熱機構30の構成について説明する。
図6に示すように、加熱機構30は、第1コンベヤ21の搬送路を挟む両側に対峙する状態で一対設けられている。一対の加熱機構30は、同じ構成であるので、以下、一方の加熱機構30について説明する。加熱機構30は、4つ(
図6では2つのみ図示)の加熱部31と、4つの加熱部31を被加熱位置P1にある箱13の被加熱面HPに対して接近・離間させる方向(幅方向Y)に移動させる2つのシリンダ32とを備える。加熱部31は、シリンダ32のピストンロッド32Aの先端部に対して首振り機構35を介して姿勢の変化が可能な状態で支持されている。4つの加熱部31のうちの一つは、加熱部31の加熱温度を検出可能な温度センサ34を備える。温度センサ34は加熱部31の加熱温度を検出した温度検出信号を制御部70(
図11を参照)に出力する。
【0040】
本例の加熱機構30は、箱13と加熱部31とのうち少なくとも一方を移動させることで、箱13と加熱部31とを加熱時の相対位置関係(
図6の実線の位置関係)を満たすように配置する移動機構33を備える。本実施形態では、移動機構33は、被加熱位置P1に位置決めされた箱13に対して、加熱部31を
図6に二点鎖線で示す退避位置から、
図6に実線で示す加熱位置まで移動させる駆動源であるシリンダ32より構成される。つまり、シリンダ32は、退避位置にある加熱部31を、箱13の被加熱面HPに接触する加熱位置まで移動させる。なお、移動機構33は、箱13を搬送方向X1において被加熱位置P1に移動させる第1コンベヤ21の搬送機能を含んでもよい。
【0041】
加熱部31は、
図6に二点鎖線で示す退避位置で待機している。箱13がストッパ27に当たり被加熱位置P1に位置決めされると、第1コンベヤ21の駆動が停止される。第1コンベヤ21の側部には、箱13が被加熱位置P1に対して所定の位置まで近づいたことを検知する箱検知センサ(図示略)と、箱13が被加熱位置P1に到達したことを検知する第1センサ76(
図11参照)とが設けられている。箱検知センサが箱13を検知すると、位置決め装置23のシリンダ26が伸長駆動されることで、ストッパ27が退避位置から規制位置に移動する。その後、第1センサ76により箱13が被加熱位置P1に到達したことが検知されると、加熱機構30のシリンダ32が伸長駆動されることにより、加熱部31は、
図6に実線で示す加熱位置へ移動する。こうして、箱13と加熱部31は、
図6に示す加熱時の相対位置関係を満たすそれぞれの位置に配置される。本例では、加熱時の相対位置関係とは、加熱部31が箱13の被加熱面HPに接触できる位置関係である。
【0042】
<加熱部31の構成>
次に、
図5、
図7を参照して、加熱部31の詳細な構成を説明する。
図5に示すように、加熱部31は、箱13の1つの被加熱面HPのうち被加熱領域をN分割した分割領域ごとに個別に加熱可能にN個設けられている。ここで、被加熱領域とは、被加熱面HPのうち加熱部31の加熱対象領域であり、被加熱面HPをその垂直方向から見たときに全ての接着部16を含む領域である。加熱部31は被加熱面HPの被加熱領域を接触状態で加熱することで、外面に接触するフラップ15の内面側に位置する複数の接着部16を加熱する。本実施形態では、N=4であり、1つの被加熱面HPに対して4つの加熱部31が備えられている。4つの加熱部31は、そのうち1つが温度センサ34を有する点を除いて、基本的に同じ構成を有している。
【0043】
図5に示すように、加熱部31は、被加熱面HPに対し上下左右(つまり搬送方向Xと鉛直方向Zの2方向)にそれぞれ2分割されることで、4つに分割されている。
図5の例では、左右(搬送方向X)に並ぶ2つの加熱部31は、同一のフラップ15の外面のうち同図における左領域と右領域とをそれぞれ加熱する。また、上下(鉛直方向Z)に並ぶ2つの加熱部31は、異なるフラップ15に跨がってそれぞれ別々のフラップ15の外面にある被加熱領域を加熱する。
【0044】
図5は、1つの被加熱面HPを形成する2つの外フラップ15Bが上下に並ぶ例であるため、上下の加熱部31が上下2つの外フラップ15Bに跨がって被加熱領域を加熱する。一方、2つの外フラップ15Bが左右に並ぶ例では、左右の加熱部31が左右2つの外フラップ15Bに跨がって被加熱領域を加熱することになる。いずれの場合も、2つの外フラップ15Bに跨がって接触する一対の加熱部31は、それぞれ外フラップ15Bの外面に倣うように個々に姿勢を変化させることが可能である。
【0045】
図5において、上下一対の加熱部31は、同じ1つのシリンダ32(
図6参照)により駆動される。すなわち、シリンダ32のピストンロッド32Aの先端部には、2つの加熱部31がそれぞれ個別に首振り機構35を介して支持されている。首振り機構35は、所定角度範囲内での姿勢の変化を許容可能に連結する自在連結部36と、自在連結部36の周囲に配置された複数(例えば4つ)の弾性部材37とにより構成される。自在連結部36は、例えば、フローティングジョイントであるが、十字継手やユニバーサルジョイント等でもよい。また、弾性部材37は、例えば、コイルばね等のばねにより構成される。ばねは、板ばねや捩りコイルばね等でもよい。また、弾性部材37は、ゴム等の弾性体でもよい。なお、
図5に示すように、加熱部31の背面端部には、ヒータ39(
図7参照)に電流を供給する配線に接続される一対の電極39Aが設けられている。
【0046】
このように、加熱部31は、首振り機構35を介して箱13の被加熱面HPに倣うように個別に姿勢の変化が可能である。このため、箱13の被加熱面HPが外側に膨らむように湾曲していても、その湾曲面に倣って加熱部31が個別に姿勢を変化させる。よって、加熱部31と被加熱面HPとの接触面積を広く確保することが可能である。
【0047】
図7に示すように、首振り機構35は、シリンダ32のピストンロッド32Aの先端部に固定された支持部32Bに対して連結部32Cを介して支持されている。そして、加熱部31は、支持部32Bに対して首振り機構35を介して支持されている。首振り機構35は、前述のとり、加熱部31の背面中央位置に配置された自在連結部36と、自在連結部36の周囲4箇所に配置された4つ(
図7では2つのみ図示)の弾性部材37とを有する。
【0048】
加熱部31は、首振り機構35と連結された背板38Aと、押圧部材38と、背板38Aと押圧部材38との間に挟持されたヒータ39とを備える。押圧部材38は、金属製であり、ヒータ39の熱を伝導する熱伝導率が高い。また、背板38Aは、断熱材である。温度センサ34は、その検出部34Aが押圧部材38とヒータ39との間に挿入された状態で、加熱部31の加熱温度を検出する。金属材料よりなる押圧部材38はその熱伝導率が非常に高いので、温度センサ34が検出する加熱温度は、加熱部31が被加熱面HPに接触する面である加熱面31Aの表面温度とほぼみなすことができる。
【0049】
温度センサ34は、例えば、熱電対により構成される。前述の4つの加熱部31は、基本的な構成が同じであるうえ、それぞれのヒータ39の制御回路が共通であり、それぞれの通電電流及び通電時間等が共通なので、加熱中の温度は同じとみなすことができる。そのため、4つの加熱部31のうち1つのみに温度センサ34が設けられている。温度センサ34は、例えば、室温~400℃の温度範囲、特に250~350℃の範囲で必要な検出精度で温度の検出が可能であればよい。なお、温度センサ34の組付位置は、加熱部31の加熱温度を検出可能であれば他の位置であってもよい。また、温度センサ34は、サーミスター等の他の温度検出方式のものであってもよい。
【0050】
<フラップ開き機構40の構成>
次に、
図9(a),(b)を参照して、フラップ開き機構40の構成を説明する。
図9(a)に示すように、フラップ開き機構40は、前述したシリンダ41と吸着開き機構42とを備える。シリンダ41のピストンロッド41Aの先端部に吸着開き機構42が取り付けられている。シリンダ41のピストンロッド41Aが
図9(a)に二点鎖線で示す退避位置から伸長駆動されると、吸着開き機構42の吸着パッド43が箱13の被加熱面HPを形成しているフラップ15を吸着する。次に、吸着開き機構42は吸着パッド43が吸着したフラップ15(外フラップ15B)を開く開き動作を行う。吸着パッド43が開き動作を行う結果、
図9(b)に示すように、2つの外フラップ15Bが開かれる。
【0051】
なお、
図9(b)に示すように、吸着開き機構42は、内フラップ15Aを開く吸着パッド48を備える。吸着開き機構42は、吸着パッド43で外フラップ15Bを開いた後、2つの内フラップ15Aをそれぞれ吸着パッド48で吸着し、これら吸着パッド48に開き動作を行わせることで、2つの内フラップ15Aを開く。こうしてフラップ開き機構40により、箱13の両側の4つずつのフラップ15を開くことで、箱13の両側に2つの開口13Aが形成される。
【0052】
<吸着開き機構42の一例>
次に、
図8(a),(b)を参照して、吸着開き機構42の一例を説明する。
図8(a)に示す一例の吸着開き機構42は、吸着パッド43が開き動作を行うための駆動源であるシリンダ44と、吸着パッド43が支持される一対の開閉部材45と、回動軸46Aを中心に開閉部材45を回動させる一対の回動レバー46とを備える。シリンダ41のピストンロッド41Aの先端部に固定された支持板47上に、シリンダ44はそれぞれの基端部を中心に回動可能な状態で取り付けられている。シリンダ44のピストンロッド44Aは、回動レバー46の回動軸46A側の一端部と反対側の他端部に対し回動可能な状態で連結されている。
【0053】
図8(a)、
図9(a)に示すように、シリンダ41が伸長駆動されると、一対の吸着パッド43は、箱13の一対のフラップ15の外面に接触し、一対のフラップ15を吸着する。次に、
図8(b)に示すように、吸着パッド43がフラップ15を吸着する状態の下で、シリンダ44が伸長駆動される。これにより、回動レバー46の回動を介して一対の吸着パッド43が開き動作を行い、一対のフラップ15が開かれる。なお、吸着開き機構42は、一対の吸着パッド48(
図9(b)参照)に開き動作を行わせる同様の機構(図示略)を備える。
【0054】
<取出機構50の構成>
次に、
図10(a),(b)を参照して、取出機構50の構成を説明する。
図10(a)に示すように、取出機構50は、前述したシリンダ51と、プッシャ52と、複数のガイド軸53と、複数のガイド部材54とを備える。プッシャ52は、シリンダ51のピストンロッド51Aの先端部に固定される。複数のガイド軸53は、ピストンロッド51Aと平行に延出する状態でプッシャ52に固定されている。複数のガイド部材54は、フレーム12に固定されたブラケット(図示略)に支持された状態で所定位置に固定され、複数のガイド軸53を案内する。
【0055】
図10(a)に示すように、箱13が取出位置P3にあるとき、退避位置にあるプッシャ52は、箱13の開口13Aと対向している。シリンダ51のピストンロッド51Aが
図10(a)に示す退避位置から伸長駆動されると、
図10(b)に示すように、プッシャ52が一方の開口13Aから箱13内の内容物Cを取出方向Y1(押出方向Y1)に押し込む。そのままプッシャ52が所定のストロークを移動することで、内容物Cが箱13の他方の開口13Aから押し出される。プッシャ52のストロークは、箱13の他方の開口13Aから延出するフラップ15の先端を内容物Cが通過可能な値に設定されている。なお、箱13がフラップ開き位置P2から取出位置P3に到達してプッシャ52の押出し動作が終了するまでの間、箱13の両側の4つずつのフラップ15は不図示の保持部により開状態に保持される。
【0056】
<箱開梱システムの電気的構成>
次に、
図11を参照して、箱開梱システム10の電気的構成を説明する。箱開梱システム10は、これを統括的に制御する制御部70を備える。制御部70は、例えば、コンピュータ(マイクロプロセッサ)を内蔵している。制御部70には、操作盤90が電気的に接続されている。操作盤90は入力部91及び表示部92を備える。作業者が、箱開梱システム10に対して、各種設定データの入力操作、運転の開始及び停止等の指示を与える操作を行うときに、操作盤90が用いられる。なお、操作盤90に替え、制御部70に接続されたパーソナルコンピュータとしてもよい。
【0057】
制御部70には、第1コンベヤ21、第2コンベヤ22、位置決め装置23~25、加熱機構30、フラップ開き機構40、取出機構50及び包材廃棄部60が電気的に接続されている。また、制御部70は、第1コンベヤ21により搬送される箱13を各位置P1~P3に到達したことを検知する3つのセンサ76~78及び温度センサ34が電気的に接続されている。なお、制御部70には、各センサ76~78の検知位置よりもそれぞれ搬送方向X1の少し上流側の位置を検知位置とする3つのセンサ(図示せず)が電気的に接続されている。制御部70は、これら3つのセンサが順番にそれぞれ位置P1~P3に到達する前の箱13を検知すると、対応する位置決め装置23~25を駆動し、ストッパ27を退避位置から規制位置へ移動させる。
【0058】
図11に示す制御部70は、第1センサ76が箱13を検知すると、第1コンベヤ21の駆動を停止するとともに、加熱機構30を駆動させることで、加熱部31によって箱13の被加熱面HPを加熱する。制御部70は、第2センサ77が箱13を検知すると、第1コンベヤ21の駆動を停止するとともに、フラップ開き機構40を駆動させることで、加熱後の箱13のフラップ15を開くフラップ開き動作を行う。制御部70は、第3センサ78が箱13を検知すると、第1コンベヤ21の駆動を停止するとともに、取出機構50を駆動させることで、開梱後の箱13から内容物Cを取り出す取出動作を行う。なお、制御部70は、取出機構50の取出動作後の空の箱13が廃棄位置に到達したことを不図示のセンサにより検知すると、包材廃棄部60を駆動して空の箱13(包材)を押し潰して破棄する。
【0059】
図11に示す制御部70は、加熱部31を制御する加熱制御部71及びメモリ72を備える。詳しくは、メモリ72に記憶されたプログラムPRを実行するコンピュータにより、加熱制御部71はソフトウェアとして構成される。加熱制御部71は、加熱温度制御部81、加熱時間制御部82及び加圧制御部83を備える。
【0060】
加熱温度制御部81は、加熱部31の加熱温度を制御する。作業者は、入力部91の操作で、加熱部31の加熱温度を設定可能である。作業者は、入力部91を操作して、例えば、300~350℃の範囲内で加熱温度を選択する。
【0061】
また、制御部70は、箱特定情報を入力してもよい。箱特定情報は、製品(内容物C)の品番情報及び箱13のサイズ情報等の情報を含む。制御部70は、箱特定情報を基に、箱13のサイズ、内容物Cの品番、箱13の重量等の情報を特定可能である。箱特定情報は、例えば、作業者が入力部91の操作で入力してもよい。また、パレタイザ(不図示)等の装置がパレットから箱13をばらして第1コンベヤ21の上流位置で搬入するとき又は搬入した後に、箱13から読み取ったコード情報から取得した箱特定情報を他の装置から制御部70が受信する構成でもよい。そして、制御部70が、箱特定情報に応じた加熱温度を設定する構成としてもよい。
【0062】
また、加熱時間制御部82は、加熱部31の加熱時間を制御する。制御部70は、加熱時間を計時するタイマを備える。制御部70は、加熱部31が被加熱面HPに接触している時間である加熱時間をタイマで計時する。加熱時間は、作業者が入力部91の操作で設定してもよいし、制御部70が箱特定情報に応じた加熱時間を設定してもよい。本実施形態では、例えば、5~30秒の範囲内の加熱時間が選択される。
【0063】
さらに、加圧制御部83は、加熱部31が被加熱面HPを押圧するときの加圧値を制御する。加圧制御部83は、シリンダ32を制御することで加熱部31が箱13を押圧するときの加圧値を制御する。シリンダ32は、例えば、空気圧を制御する電磁圧力調整弁(図示略)を備える。制御部70は、電磁圧力調整弁の開度の調整によってシリンダ32に供給される空気圧を制御することで、加熱部31の加圧値を制御する。また、シリンダ32は、加熱部31の加圧値を検出する圧力センサを備えてもよい。この場合、制御部70は、圧力センサが検出した圧力検出信号に基づく加圧値が目標値に達すると、シリンダ32の空気圧をそのときの値に維持する構成でもよい。
【0064】
ここで、加圧値は、10~30kPaの範囲内で設定される。加圧値は、高いほど、加熱部31から被加熱面HPへの熱伝達効率を高めることができる。しかし、30kPaを超えると箱13の変形が心配される。このため、加圧値は、30kPa以下が好ましい。なお、加圧による変形の可能性が低い箱13に対しては、加圧値が、30kPaを超えてもよい。
【0065】
また、10kPa未満の加圧値では、湾曲した被加熱面HPである場合、加熱部31と被加熱面HPとの間に隙間が生じ易く、両者の接触面積が低下する場合がある。このため、加圧値は、10kPa以上であるとよい。なお、小さな加圧値でも接触面積を確保しやすい箱13に対しては、加圧値は10kPa未満であってもよい。
【0066】
メモリ72には、
図12にフローチャートで示すプログラムPRが記憶されている。コンピュータは、プログラムPRを実行することで箱開梱制御を行う。箱開梱制御には、加熱制御、フラップ開き制御、取出制御及び包材廃棄制御が含まれる。本実施形態の加熱制御には、加熱温度制御、加熱時間制御及び加圧制御が含まれる。なお、加熱制御部71は、ソフトウェアに替え、制御部70内の電子回路によるハードウェアで構成してもよい。
【0067】
<実施形態の作用>
次に、
図12~
図16等を参照して箱開梱装置11の作用を説明する。
以下、制御部70が実行する箱開梱制御について、
図12に示すフローチャートを参照して説明する。
図1に示すように、箱13は第1コンベヤ21を搬送される途中で、各位置P1~P3で停止し、各位置P1~P3で箱13に対して、加熱、フラップ開き、押出しが順次行われる。箱13は、位置決め装置23~25のストッパ27により搬送方向X1において各位置P1~P3に位置決めされる。まず、箱13は、被加熱位置P1で停止する。
【0068】
まずステップS11において、制御部70は、箱13と加熱部31とを加熱時の位置に移動させる。詳しくは、移動機構33により、被加熱位置P1にある箱13に対して加熱部31を加熱時の位置に移動させる。詳しくは、
図13に示すように、箱13が被加熱位置P1に位置するときは、一対の加熱機構30を構成する4つずつの加熱部31が、箱13の幅方向Yの両側2つの被加熱面HPに対してそれぞれ対向する。そして、制御部70が、移動機構33を駆動させることで、加熱部31は、箱13の被加熱面HPを形成している複数のフラップ15の外面に接触しこれを押圧する。
【0069】
次のステップS12において、制御部70は、フラップ15を加熱する。詳しくは、加熱部31は、所定の加熱温度に加熱されている。例えば、制御部70によるヒータ39の通電制御により、加熱部31は、箱特定情報に応じた加熱温度に設定される。制御部70は、温度センサ34からの検出温度のフィーバックによるヒータ39の加熱温度制御と、シリンダ32の空気圧制御による加熱部31の加圧制御と、内蔵するタイマの計時による所定の加熱時間に亘り加熱状態を保持する加熱時間制御とを行う。こうして、所定の加熱温度、所定の加圧強さ、所定の加熱時間で、加熱部31が被加熱面HPを形成する複数のフラップ15の外面から被加熱領域を加熱する。この結果、被加熱領域にある接着部16が、加熱部31からフラップ15の外面から内面へ伝達される熱によって加熱される。ここで、加熱部31が被加熱面HPに接触することで接着部16への熱伝達率が高くなる。また、加圧することで、加熱部31とフラップ15の外面との接触面積が広く確保される。このとき、首振り機構35を介してN個の加熱部31が、湾曲した被加熱面HPに倣って個別に姿勢を変化させる。このため、加熱部31は、湾曲した被加熱面HPに対しても広い接触面積を確保できるので、接着部16を効果的に加熱できる。
【0070】
また、加熱温度は、一例として、300~350℃の範囲内の温度に設定される。ここで、ホットメルト接着剤の融点は、一般に80~150℃の範囲内にある。例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)系は、80~110℃、ポリオレフィン(PO)系は100~150℃、アクリル(ACR)系は約90℃、ポリアミド(PA)系は約150℃の融点である。このため、加熱温度は、ホットメルト接着剤の融点よりも十分高い。例えば、加熱温度は、ホットメルト接着剤の融点よりも100℃以上高い温度に設定される。また、加熱温度はフラップ15を介して伝達されるため、その熱伝達に所定の時間を要する。また、フラップ15の断面に温度勾配ができるため、接着部16が実際に加熱される加熱温度は、加熱部31の加熱温度よりも低い。しかし、加熱部31の加熱面31Aにおける加熱温度がホットメルト接着剤の融点に比べ十分高いので、接着部16は、ホットメルト接着剤の融点を超える温度で加熱される。そのため、接着部16の温度上昇途中で加熱を時間で区切って止めることで、接着部16に伝達される熱量が調整される。その結果、短時間で接着部16を溶融させることができる。さらに、接着部16が融点よりも十分高い加熱温度で加熱されるので、溶融した接着部16の一部が炭化する。ここで、炭化とは、ホットメルト接着剤がその融点を所定以上超える加熱温度で加熱されることで、分解または組成変化等によって、接着力を生み出す組成が変化し、接着部16の接着力が不可逆的に低下する現象を指す。このため、接着部16は、単に溶融するだけに比べ、炭化を伴うことで再接着力が著しく低下する。よって、一旦再溶融した接着部16が硬化しても、その再接着力は著しく低下している。
【0071】
なお、加熱時間は、一例として、5~30秒の範囲に設定される。箱特定情報に応じた加熱時間が設定される構成でもよい。ここで、加熱温度が低いほど加熱時間を長くする必要がある。換言すれば、加熱温度が高いほど加熱時間を短くすることができる。特に効果を得るために、310~340℃の範囲の加熱時間で、5~20秒の範囲の加熱時間としてもよい。また、加圧値は、10~30kPaの範囲としている。加圧値は、箱13が変形しない範囲内でなるべく大きな値が好ましいが、不要に大きくする必要はない。湾曲した被加熱面HPに倣うように加熱部31が姿勢を変化できる加圧値であればよい。このため、10~30kPaの範囲内に設定するとよい。加圧値は、箱13内に内容物Cが詰まった状態であれば、例えば、20~30kPaに設定し、箱13の容積に対して内容物Cの体積がかなり小さければ、箱13の変形を避けるため、例えば、10~20kPaに設定してもよい。なお、ホットメルト接着剤の種類、箱13の材質、内容物Cの種類や状態等に応じて、加熱温度、加熱時間、加圧値は、適宜変更することができる。
【0072】
ステップS13において、制御部70は、フラップ開き動作を行う。
図9(a)に示すように、加熱後の箱13がフラップ開き位置P2に位置決めされると、制御部70は、フラップ開き機構40を駆動し、まず吸着パッド43がフラップ15を吸着する。次に、吸着開き機構42による吸着パッド43のフラップ開き動作によって、吸着パッド43に吸着された複数のフラップ15を開く。こうして、
図9(b)、
図15に示すように、箱13の幅方向Yの両側に2つの開口13Aが形成される。
【0073】
ステップS14において、制御部70は、箱13から内容物Cを取り出す取出動作を行う。
図10(a)に示すように、フラップ開き動作後の箱13が、取出位置P3に位置決めされると、制御部70は、取出機構50のシリンダ51を伸長駆動させる。この結果、
図10(b)、
図16に示すように、プッシャ52が取出方向Y1に伸長することで、内容物Cが箱13から押し出される。押し出された内容物Cは、第2コンベヤ22によって供給先へ搬出される。
【0074】
ステップS15において、制御部70は、箱廃棄動作を行う。内容物Cが取り出された後、空の箱13は、第1コンベヤ21によって包材廃棄部60に搬送される。包材廃棄部60は、空の箱13を上方から鉛直方向Zに移動するプッシャ(図示略)で押し潰す。二つ折り又は扁平な平行四辺形の筒状に押し潰された板状の箱13(包材)は、例えば、順次積層される。
【0075】
<箱13の加熱実験>
次に、箱13の適切な加熱条件を求めるために行った加熱実験について説明する。箱13を加熱部31で加熱する加熱実験は、加熱部31の加熱温度が250℃~360℃の範囲、加熱時間が5~40秒の範囲で、加熱温度と加熱時間の各数値を組合せた複数の条件で行った。箱13は、中実体の内容物Cが詰まった状態で梱包されたものを使用した。このため、箱13の加圧による被加熱面HPの変形の心配が少ないので、加圧値は、25kPaとした。
【0076】
加熱実験により、接着部16の剥離に必要な力を目標値以下に低下させることができる加熱条件を求めた。ここで、接着部16の剥離に必要な力の目標値は、吸着パッド43でフラップ15を引っ張ったときに接着部16を剥離できる力を想定した。この目標値を満たす加熱条件であれば、箱開梱装置11による箱13の開梱作業の自動化が可能になる。この目標値を満たす加熱条件は、次のとおりであった。250℃では、40秒を超える加熱時間が必要であった。300℃では、約30秒の加熱時間を要した。310℃では、約25秒の加熱時間を要した。320℃では、15~20秒の加熱時間を要した。330℃では、10~15秒の加熱時間を要した。340℃では、約10秒の加熱時間を要した。350℃では、約5秒の加熱時間で済んだ。但し、箱13のダンボールの熱損傷に起因する発煙が僅かに確認された。360℃では、5秒未満の加熱時間でよいが、箱13のダンボールの熱損傷に起因するかなりの発煙が認められた。
【0077】
剥離した接着部16の剥離面を観察したところ、320℃で15秒以上の加熱条件では、破断面にホットメルト接着剤の炭化によると推察される少し茶褐色を帯びた変色が認められた。また、330℃で10秒以上、340℃で5秒以上、350℃で3秒以上の加熱条件でも、同様に接着部16の剥離面に炭化による同様の変色が認められた。接着部16の部分的な炭化は、再溶融後に硬化した接着部16の接着力を著しく低下させる。このため、加熱後に少し時間をおいてもフラップ15を引っ張ったときに比較的小さな力で接着部16が剥離されるため、フラップ15を比較的小さな力で開けることができる。
【0078】
この加熱実験結果から、加熱温度は、300~350℃の範囲内に設定するとよい。こうすることで、加熱時間を5~30秒の範囲内に設定できる。例えば、従来、スクレーパを用いた手作業で1つの箱13の開梱に20~30秒の時間を要していた。加熱時間を5~30秒の範囲内で済ませられれば、手作業と同等又はそれ以上の効果が期待できる。また、加熱温度を350℃以下にすることで、箱13及び内容物Cの熱損傷を抑制できる。
【0079】
なお、これらの加熱温度、加熱時間、加圧値は、一例であって、ホットメルト接着剤の組成(種類)、箱13の材質、フラップ15の厚さ及び断面構造、内容物Cの熱耐性等に応じて適宜変更してよい。上記の範囲から外れる加熱温度、加熱時間の組合せでもよい。さらに上記の範囲から外れる加圧値との組合せでもよい。
【0080】
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)箱開梱装置11は、箱13を構成するフラップ15が、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部16を介して閉状態で固定された箱13を開梱する。箱開梱装置11は、加熱部31と、移動機構33と、制御部70とを備える。加熱部31は、閉状態にあるフラップ15における接着部16とは反対側の面である被加熱面HPを加熱可能に構成される。移動機構33は、加熱部31が箱13に対して被加熱面HPを加熱可能な加熱位置に配置されるように加熱部31と箱13とのうち少なくとも一方を移動させることで加熱部31と箱13とを加熱時の相対位置関係になるよう位置決めする。制御部70は、加熱部31及び移動機構33を制御する。制御部70は、移動機構33を制御して加熱部31を箱13に対して加熱位置に配置するとともに、加熱位置に配置された加熱部31が被加熱面HPを加熱するように加熱部31を制御する。この構成によれば、加熱部31と箱13のうち少なくとも一方が移動機構33によって移動することで、加熱部31が箱13に対して加熱位置に位置決めされる。加熱位置に位置決めされた加熱部31がフラップ15の被加熱面HPを加熱する。この加熱によってフラップ15の被加熱面HPと反対側の面に位置する接着部16が加熱される。加熱された接着部16は溶融又は少なくとも一部が溶融に加え炭化することで、その接着力が低下する。この結果、フラップ15を開けるときに加熱前に比べ接着部16を剥離し易くなる。よって、ホットメルト接着剤よりなる接着部16を比較的小さな力で剥離できるので、フラップ15を開く箱13の開梱作業の少なくとも一部を自動化できる。
【0081】
(2)加熱部31は、ヒータ39と、ヒータ39により加熱される金属製の押圧部材38とを有する。移動機構33は、加熱部31と箱13とのうち少なくとも一方を移動させることで、押圧部材38がフラップ15の被加熱面HPを押圧する押圧位置と、押圧部材38が被加熱面HPから離間する退避位置とに加熱部31を配置可能に構成される。この構成によれば、加熱部31は、金属製の押圧部材38でフラップ15の被加熱面HPを押圧する状態で加熱する。このため、加熱部31は所定の圧力で密着する状態で被加熱面HPを加熱できる。この結果、被加熱面HPと反対側の面に位置する接着部16を、より効率よく加熱してその溶融又は溶融に加え一部の炭化を促進させることができる。また、加熱部31が箱13の被加熱面HPを直接加熱するので、被加熱面HPから離間した位置から温風や熱輻射などの加熱方法によって被加熱面HPを加熱する構成に比べ、被加熱面HPとフラップ15の反対側に位置する接着部16を効率よく加熱できる。よって、加熱後にフラップ15を比較的小さな力で引っ張るだけで接着部16を剥離でき、ひいては箱13の開梱ミスを低減できる。
【0082】
(3)被加熱面HPのうち加熱部31の加熱面31Aが接触する領域である被加熱領域は複数の分割領域に分割されている。加熱部31は、1つの被加熱面HPに対して複数の分割領域ごとに個別に加熱可能に複数備えられる。複数の加熱部31の姿勢を加熱面31Aが被加熱面HPに倣うように個別に変化させる複数の首振り機構35を有する。この構成によれば、複数の加熱部31は、被加熱面HPを形成する複数のフラップ15に跨がって接触しても、加熱面31Aが被加熱面HPに倣うようにそれぞれ個別に姿勢を変化させる。よって、箱13の被加熱面HPが湾曲していても、複数の加熱部31を複数のフラップ15になるべく広い接触面積で接触させることができる。したがって、箱13の被加熱面HPの湾曲の有無に関わらず、フラップ15との広い接触面積を介してフラップ15の裏側(内面側)に位置する接着部16を効率よく加熱できる。よって、加熱部31とフラップ15との接触面積のばらつきを原因とする接着部16の加熱のばらつきに起因して接着部16を剥離できないことによる開梱ミスを低減できる。
【0083】
(4)加熱部31が被加熱面HPを加熱する加熱温度は、300~350℃の範囲内の所定温度である。この構成によれば、加熱部31が被加熱面HPを加熱温度300~350℃の範囲内の所定温度で加熱する。ここで、300℃未満の加熱温度では、接着部16を簡単に剥離可能な接触力に低下させるために必要な加熱時間が長くなり、開梱作業の作業効率が低下する。一方、加熱時間が350℃を超えると、箱13(ダンボール等)の被加熱面HPの熱損傷(紙であれば炭化等、合成樹脂であれば熱変形等)や箱13の内容物Cへの熱影響が懸念される。よって、加熱温度は300℃以上かつ350℃以下が好ましい。なお、300℃以上かつ350℃以下では、加熱時間を長くすると、接着部16を構成するホットメルト接着剤の溶融に加えその一部が炭化する。この場合、ホットメルト接着剤が加熱による溶融後に再接着してもその接着力は加熱前に比べ著しく低下する。よって、加熱後にフラップ15を開ける際に接着部16を剥離し易くなる。また、接着部16が、硬化後に加熱しても溶融しないタイプの反応型のホットメルト接着剤である場合、加熱しても、接着部16が再溶融しないので、ホットメルト接着剤(接着部16)の接着力を低下させにくい。しかし、300~350℃の範囲内の加熱温度であれば、反応型のホットメルト接着剤よりなる接着部16が一部炭化することで接着部16の接着力が著しく低下する。このため、フラップ15を開ける際に比較的小さな力でも接着部16を剥離できる。このように、加熱温度を300~350℃に設定することで、加熱で再溶融可能なホットメルト接着剤と、加熱で再溶融不能な反応型のホットメルト接着剤とのどちらに対しても、接着部16の接着力を必要な値にまで低下させることができる。
【0084】
(5)箱開梱装置11は、被加熱面HPが加熱部31により加熱された複数のフラップ15を開くフラップ開き機構40と、複数のフラップ15を開くことで箱13に形成される開口13Aを介して内容物Cを取り出す取出機構50とを備える。この構成によれば、フラップ開き機構40が複数のフラップ15を開くことで、箱13に開口13Aが形成される。取出機構50が箱13の開口13Aから内容物Cを取り出す。よって、箱13から内容物Cを取り出すまでの開梱作業を自動化できる。
【0085】
(6)箱13を構成するフラップ15が、硬化したホットメルト接着剤よりなる接着部16を介して閉状態で固定された箱13を開梱する箱13の開梱方法は、位置決め工程と、加熱工程とを含む。位置決め工程では、制御部70が、加熱部31と箱13のうち少なくとも一方を移動させることで加熱部31と箱13とを加熱時の相対位置関係になるよう位置決めする。加熱工程では、制御部70が、位置決めされた加熱部31にフラップ15の接着部16とは反対側の面である被加熱面HPを加熱させる。この箱13の開梱方法によれば、ホットメルト接着剤よりなる接着部16を比較的小さな力で剥離できるので、フラップ15を開く箱13の開梱作業の少なくとも一部を自動化できる。
【0086】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例の形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0087】
・包材廃棄部60も、箱開梱装置11の一部として構成してもよい。
・被加熱位置P1、フラップ開き位置P2、取出位置P3のうち2つが同じ位置であってもよい。例えば、被加熱位置P1とフラップ開き位置P2とが同じ位置であってもよい。また、フラップ開き位置P2と取出位置P3とが同じ位置であってもよい。さらに、被加熱位置P1、フラップ開き位置P2、取出位置P3が同じ位置であってもよい。
【0088】
・箱開梱装置11は、加熱機構30のみを備える構成であってもよい。この場合、フラップ開き作業及び内容物Cの取出作業は、作業者が手作業で行ってもよい。
・箱開梱装置11は、加熱機構30とフラップ開き機構40のみを備えてもよい。
【0089】
・加熱温度は、300~350℃の範囲に限定されない。例えば、250℃でもよい。この場合、加熱時間は長くなるが、接着部16の再溶融は可能である。一旦再溶融すると、その後の降温で再硬化した接着剤の接着力は加熱前に比べ低下する。
【0090】
・加熱時間は、5~30秒の範囲に限定されない。例えば、3秒や40秒でもよい。
・移動機構33はその一例を構成するシリンダ32に替え、加熱部31を所定位置に固定し、箱13を幅方向Yに移動させて被加熱面HPを加熱部31の加熱面31Aに押し付ける構成でもよい。また、この構成と、前記実施形態の構成とを組み合わせてもよい。つまり、一方の加熱部31を固定し、これに箱13を押し付ける。この押し付け動作は、箱13の反対側の面にある被加熱面HPに他方の加熱部31を押し付けることで行う。この構成によっても、箱13の両側の被加熱面HPを加熱部31によって同時に加熱できる。
【0091】
・移動機構33は、シリンダ32に替え、モータ又はリニア移動機構でもよい。
・前記実施形態において、接続代部14Aを加熱する加熱部31を追加し、フラップ15の接着部16と接続代部14Aの接着部17を共に加熱してもよい。この場合、接着部16,17を剥離して箱13を平面状の包材に展開できる。取出機構50は、箱13を展開した平面状の包材上に露出した内容物Cを取り出す構成としてもよい。
【0092】
・1つの被加熱面HPに対する加熱部31の分割数は、2つ、3つ、5つ、6つ等でもよい。加熱部31は、前記実施形態のように、搬送方向Xと鉛直方向Zにそれぞれ複数分割してもよい。この構成によれば、2つのフラップ15が搬送方向Xと鉛直方向Zとのどちらに並んでいても、各加熱部31が個別に姿勢を変化させることで、被加熱面HPが湾曲するなど変形していても、加熱部31とフラップ15との接触面積を広く確保できる。
【0093】
・首振り機構35は無くてもよい。また、1つの被加熱面HPを1つの加熱部31で加熱してもよい。
・産業ロボットのアームの先端部に加熱部31を設け、加熱部31をロボットにより移動させることで、箱13と加熱部31とを加熱時の相対位置関係を満たす位置に位置決めしてもよい。この場合、ロボットが移動機構の一例を構成する。
【0094】
・取出機構50の取出部は、プッシャ52に替え、吸着パッド等の吸着部としてもよい。シリンダ51の伸縮駆動により箱13の一方の開口から挿入した吸着部に内容物Cを吸着させた後、吸着部が吸着した内容物Cを箱13の一方の開口から取り出す。また、取出部は、吸着部に替え、チャック等の把持部でもよい。内容物Cを箱13の一方の開口を介して取り出す場合は、箱13の片側のフラップ15のみ開ければよいので、加熱機構30は第1コンベヤ21の片側に1つ設けられてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10…箱開梱システム、11…箱開梱装置、12…フレーム、13…箱、13A…開口、14…箱本体、14A…接続代部、15…フラップ、15A…内フラップ、15B…外フラップ、16…接着部、17…接着部、20…コンベヤ、21…第1コンベヤ、21A…ローラー、22…第2コンベヤ、22A…ローラー、23~25…位置決め装置、26…シリンダ、27…ストッパ、30…加熱機構、31…加熱部、31A…加熱面、32…シリンダ、33…移動機構、34…温度センサ、35…首振り機構、36…自在連結部、37…弾性部材、38…押圧部材、38A…背板、39…ヒータ、40…フラップ開き機構、41…シリンダ、41A…ピストンロッド、42…吸着開き機構、43…吸着パッド、44…シリンダ、44A…ピストンロッド、45…開閉部材、46…回動レバー、46A…回動軸、47…支持板、48…吸着パッド、50…取出機構、51…シリンダ、51A…ピストンロッド、52…プッシャ、53…ガイド軸、54…ガイド部材、60…包材廃棄部、70…制御部、71…加熱制御部、72…メモリ、76…第1センサ、77…第2センサ、78…第3センサ、81…加熱温度制御部、82…加熱時間制御部、83…加圧制御部、90…操作盤、91…入力部、92…表示部、P1…被加熱位置、P2…フラップ開き位置、P3…取出位置、HP…被加熱面、C…内容物、PR…プログラム、X…搬送方向、X1…搬送方向、Y…幅方向、Y1…取出方向、Z…鉛直方向。