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  • 特開-二次電池電極ペースト用撹拌羽根 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019183
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】二次電池電極ペースト用撹拌羽根
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20230202BHJP
   C22C 38/24 20060101ALI20230202BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C22C38/00 302Z
C22C38/24
H01M4/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123702
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】浅井 愼太郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 良樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 耕三
(72)【発明者】
【氏名】荒川 恵介
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA14
5H050BA17
5H050GA10
5H050GA30
5H050HA01
5H050HA05
(57)【要約】
【課題】二次電池に用いられる電極層の製造に必要な腐食性,高粘度の活性物質からなるペーストの撹拌に要求される耐食性,耐摩耗性に優れ、良好な靭性,疲労強度を有する二次電池電極ペースト用撹拌羽根の提供を目的とする。
【解決手段】質量%で、Cr:15.00~16.00%,Mo:1.50~1.90%,V:0.20~0.40%,C:0.37~0.45%,Si:0.60%以下,Mn:0.60%以下,P:0.030%以下,S:0.010%以下,Al:0.10%以下であって、質量ppmで、N:1600~2500ppm,O:50ppm以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼製であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、Cr:15.00~16.00%,Mo:1.50~1.90%,V:0.20~0.40%,C:0.37~0.45%,Si:0.60%以下,Mn:0.60%以下,P:0.030%以下,S:0.010%以下,Al:0.10%以下であって、
質量ppmで、N:1600~2500ppm,O:50ppm以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼製であることを特徴とする二次電池電極ペースト用撹拌羽根。
【請求項2】
表面硬さがロックウェルCスケールで57HRC以上であることを特徴とする請求項1記載の二次電池電極ペースト用撹拌羽根。
【請求項3】
前記マルテンサイト系ステンレス鋼は光学顕微鏡によるミクロ組織観察にて炭化物の析出平均粒子径が4μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の二次電池電極ペースト用撹拌羽根。
【請求項4】
前記マルテンサイト系ステンレス鋼は曲げ加工性に優れ、前記撹拌羽根は曲げ加工部を有していることを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の二次電池電極ペースト用撹拌羽根。
【請求項5】
前記マルテンサイト系ステンレス鋼はCu成分を0.01質量%以下の不可避的不純物に抑えたことを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1項に記載の二次電池電極ペースト用撹拌羽根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル水素電池,リチウムイオン電池等の二次電池の正極,負極等の電極の製造に用いられるペースト用の撹拌羽根に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の電極層は、金属箔からなる集電体にペースト状の活性物質を塗布及び乾燥させることで製造されている。
このペースト状の活性物質は、コバルト酸化物,マンガン酸化物,リチウム酸化物及びニッケル酸化物等の硬い金属酸化物と、カーボンブラック,有機溶媒や結着剤等の種々の材料を混練することで、製造されている。
したがって、このような各種材料を混練しペースト状にするには、撹拌羽根が必要となる。
しかし、混練される原材料は、上記のように硬度の高い金属酸化物等の他に結着剤も含まれているので、撹拌により高粘度になり、撹拌羽根には耐摩耗性,耐靭性や高い疲労強度等が要求される。
また、ペーストには腐食性物質も含まれているので、撹拌羽根には耐食性も要求される。
さらには、撹拌羽根の製造のしやすさからは曲げ加工性に優れた材料が好ましい。
特に、ペースト中にCuが混入されると、電池特性に影響を与える恐れがあるので、できるだけCuの混入を抑えるのが好ましい。
【0003】
これまで耐食性の観点から、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼が採用されているが、耐摩耗性が不充分である(特許文献1)。
また、耐摩耗性の観点からフェライト系やマルテンサイト系ステンレス鋼の使用が提案されているが、耐食性が不充分である(特許文献2,3)。
SUS630等の析出硬化型ステンレス鋼は、耐食性と耐摩耗性のバランスがとれていると言われるが、強化元素としてCuが添加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-89527号公報
【特許文献2】特開2012-186113号公報
【特許文献3】特開2019-063770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑み、二次電池に用いられる電極層の製造に必要な腐食性,高粘度の活性物質からなるペーストの撹拌に要求される耐食性,耐摩耗性に優れ、良好な靭性,疲労強度を有する二次電池電極ペースト用撹拌羽根の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る二次電池電極ペースト用撹拌羽根は、質量%で、Cr:15.00~16.00%,Mo:1.50~1.90%,V:0.20~0.40%,C:0.37~0.45%,Si:0.60%以下,Mn:0.60%以下,P:0.030%以下,S:0.010%以下,Al:0.10%以下であって、質量ppmで、N:1600~2500ppm,O:50ppm以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼製であることを特徴とする。
【0007】
上記のように、成分範囲を設定した詳細な理由は後述するが、本発明はマルテンサイト系ステンレス鋼を採用しつつ、Nの含有量を1600~2500質量ppmの範囲に制御することで、表面硬さがロックウェルCスケールで57HRC以上になり、耐摩耗性に優れる。
より好ましくは、59HRC以上である。
【0008】
本発明において、マルテンサイト系ステンレス鋼は光学顕微鏡によるミクロ組織観察にて炭化物の析出平均粒子径が4μm以下であってもよい。
マルテンサイト系ステンレス鋼にあっては、焼入れ処理時に炭化物が析出することで高強度が得られるが、大きい粒子の炭化物が析出すると、それが起点になり靭性や疲労強度が低下する恐れがある。
そこで本発明においては、炭化物の析出平均粒子径が4μm以下に制御するのが好ましい。
例えば、ミクロ組織を光学顕微鏡で観察した場合に、この光学顕微鏡の観察視野において現れる炭化物の最大粒子径が5μm以下であるのが好ましい。
また、Cの含有量を市販されているSUS440Cよりも少なく抑えたことで、延性が向上し、曲げ加工性に優れる。
【0009】
本発明は、マルテンサイト系ステンレス鋼はCu成分を0.01質量%以下の不可避的不純物に抑えるのが好ましい。
二次電池電極ペースト中にCuが混入すると、電池特性に影響を与える恐れがあるからである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る二次電池電極ペースト用撹拌羽根は、マルテンサイト系ステンレス鋼を採用しつつ、N含有量を1600~2500質量ppmの範囲に設定し、C含有量を0.37~0.45質量%の範囲に抑えたことにより、耐摩耗性と耐食性の両立を図ることができ、延性も向上する。
【0011】
また、ミクロ組織中の炭化物の粒子径を制御すると、SUS440CやSUS420J2等の既存のマルテンサイト系ステンレス鋼に比較し、靭性や疲労強度が向上し、長時間の撹拌においても羽根の折れや曲がり、欠け等の不具合を生じることなく、長時間の使用にも耐え得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る撹拌羽根の一実施形態の斜視図を示す。
図2】本発明に用いたマルテンサイト系ステンレス鋼のミクロ組織写真の例を示す。
図3】評価に用いた材料の化学組成を示す。
図4】曲げ試験の模式図を示す。
図5】曲げ試験後の曲げ加工部の目視観察結果を示す。
図6】各試験片の熱処理条件を示す。
図7】各試験片の表面硬さの測定結果を示す。
図8】摩耗試験前後の各試験片の重量変化を示す。
図9】各試験片の腐食試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まずは、本発明に係る撹拌羽根に用いたマルテンサイト系ステンレス鋼の成分の含有範囲を設定した理由を説明する。
N及びOを除いて、以下全てで質量%である。
<Cr成分>
Cr(クロム)は15.00~16.00%の範囲とする。
15.00%を下回るとマルテンサイト系ステンレス鋼として十分な耐食性が得られない。
また、16.00%を上回ると、組織中に巨大炭化物が析出して、靱性が低下する。
<Mo成分>
Mo(モリブデン)は1.50~1.90%の範囲とする。
1.50%を下回ると耐食性が低下し、合わせて焼戻し2次硬化も充分に得られない。
また、1.90%を上回ると、組織中に巨大炭化物が析出して、靱性が低下する。
<V成分>
V(バナジウム)は0.20~0.40%の範囲とする。
0.20%を下回ると焼戻し2次硬化が充分に得られない。
また、0.40%を上回ると、組織中に巨大炭化物が析出して、靱性が低下する。
<N成分>
N(窒素)は質量ppmで1600~2500ppmの範囲とする。
1600ppmを下回ると耐食性や焼入焼戻し硬さが充分に得られない。
また、2500ppmを上回ると、材料内部においてブローホール(鋳巣)が発生する恐れがある。
<C成分>
C(炭素)は0.37~0.45%の範囲とする。
0.37%を下回ると、組織中の硬質な炭化物の形成量が少なくなり、結果として焼入焼戻し後の硬さが確保できない。
また、0.45%を上回ると、組織中の炭化物の形成量が多量になり、母相中のCr、Mo等の固溶量が低下するので耐食性が低下する。
また、組織中の巨大炭化物が析出して、靱性や疲労強度も低下させる。
<O成分>
O(酸素)は質量ppmで50ppm以下とする。
50ppmを超えると、組織中のMg、Al、Si、Caなどの元素と粗大な酸化物を形成して、靱性や疲労強度が低下する。
<Si,Mn成分>
Si(ケイ素)は0.60%以下とする。
0.60%を上回ると、マルテンサイト系ステンレス鋼としての熱間および冷間での加工性が低下して、靱性も低下する。
また、Mn(マンガン):0.60%以下についても、0.60%を上回ると、マルテンサイト系ステンレス鋼としての熱間および冷間での加工性が低下する。
<Al成分>
また、Al(アルミニウム)は0.10%以下とする。
0.10%を上回ると組織中のO(酸素)と結合して粗大な酸化物を形成して、靱性や疲労強度が低下する。
<P,S成分>
P(リン)は0.030%以下とする。
0.030%を上回ると、結晶粒界に偏析が起こり、靱性が低下する。
また、S(硫黄):0.010%以下については、0.010%を上回ると、組織中に硫化物を形成して、耐食性と靱性が低下する。
<Cu成分>
本発明においてCu成分は極力、少なくした方が好ましく、少なくとも0.01%以下に抑えるのがよい。
<その他の成分>
本発明において他の成分は、不可避的不純物として取り扱う。
例えば、Ni,W,Co等であり、それらは0.01%以下に抑える。
【0014】
本発明であるマルテンサイト系ステンレス鋼製の二次電池電極ペースト用の撹拌羽根1の一実施形態を図1に示す。
なお、本発明の撹拌羽根は、図1に示すように周縁部が図面の上下方向に屈曲した形態に限定されず、板材からの製作過程で曲げ加工が施されていれば、例えばプロペラ型,タービン型,パドル型等のいずれの形態であっても構わない。
【0015】
図1に例を示した撹拌羽根1を曲げ加工にて製作するに当たり、図3の表に発明材として示した化学組成の材料を鋳造し、その後に1050℃にて加熱し、焼入れ処理を行い、サブゼロ処理、180℃の焼き戻し処理を行った発明材を、常法の前処理を行い、光学顕微鏡にてミクロ組織を撮影した写真(500倍)を図2に示す。
図2に示すように、組織中に炭化物粒子が分散し、点在しているのが分かる。
炭化物の粒子径は、1~4μmの範囲であり、平均でおよそ1.5μm程度であった。
【0016】
<曲げ試験>
本発明の二次電池電極スラリー用撹拌羽根の鋼種(以下、発明材という)および市販のステンレス鋼(以下、比較材という)の板材を用いた曲げ試験を行い、曲げ加工特性を評価した。
市販のステンレス鋼については、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304を「比較材1」、マルテンサイト系ステンレス鋼SUS420J2を「比較材2」、マルテンサイト系ステンレス鋼SUS440Cを「比較材3」、析出硬化系ステンレス鋼SUS630を「比較材4」とした。
発明材および比較材1~4の試験片の化学成分を図3、本曲げ加工試験状態の模式図を図4にそれぞれ示す。
曲げ加工試験は、図3に示す化学成分の発明材および比較材1~4の計5鋼種の試験片を所定寸法(幅10mm×厚さ1.8mm×長さ100mm)の板材とし、図4に示すようにアムスラー引張試験機を用いた3点曲げ加工試験とした。
評価方法は、前述の試験片を専用の治具に設置した後、試験片の上方から荷重を5mm/minの速度で負荷し、試験片が約90°に曲がった時点で試験終了とした。
曲げ加工試験が終了した各試験片をアムスラー引張試験機から取り出し、試験片の内側および外側の曲げ加工部における亀裂やシワ等の有無を目視観察した。
試験終了後における各試験片の目視観察の結果を図5に示す。
【0017】
各試験片を目視観察した結果、図5に示すように発明材および比較材2は曲げ加工部(荷重の負荷側およびその裏面)において亀裂やシワ等の異常は一切確認されなかった。
一方、比較材1および4の各試験片は、曲げ加工部、特に荷重負荷の裏面に多数のシワが観察された。
これは、同材料を用いて曲げ加工を伴う撹拌羽根を製作する場合に、そのシワの発生により曲げ加工部から破断する恐れがあるため、撹拌羽根の材質としては不適当であると思われる。
なお、比較材3の試験片は曲げ加工試験中に破断したので、その時点で試験を終了した。
以上の曲げ試験の結果より、発明材および比較材1~4の中で発明材および比較材2が最も曲げ加工性に優れており、曲げ加工を伴う撹拌羽根の製作材料として適していることが分かった。
【0018】
<摩耗試験>
次に、図3に示す化学成分の発明材および比較材1~4を用いて、図1に示す撹拌羽根を製作し、それらの撹拌羽根を用いて二次電池の電極材料となるスラリー(ペースト状の物質)中で撹拌試験を行い、各種試験片の耐摩耗性を評価した。
本撹拌試験に用いたスラリーの物性および撹拌条件については以下の通りとした。
尚、TP製作の曲げ加工時に加工部で破断した比較材3や加工部に多くのシワが確認された比較材4は、この試験で使用していない。

・試験機:ホモディスパー2.5型 プライミクス製
・スラリー組成:LiNi0.8Co0.15Al0.05 68.0質量部
アセチレンブラック 2.5質量部
ポリフッ化ビニリデン 2.0質量部
NMP 27.5質量部
・スラリー量:500cc
・スラリー温度:25~30℃
・スラリー粘度:3000cp
・撹拌時の回転数:3000rpm
・撹拌時間:21時間
【0019】
図3に示した発明材のうち、前述した熱処理条件のものを発明材1とし、この熱処理条件を変えたものを発明材2とし、比較材1~4の熱処理条件を図6、これら各試験片の表面硬さ(単位:HRC)を図7にそれぞれ示す。
本摩耗試験の評価は、各試験片について試験前の撹拌羽根の重量を測定し、試験終了後に水洗いして、乾燥後に撹拌羽根の重量を再度測定する。
試験前後における撹拌羽根の重量差を算出し、減少した重量を試験前の重量で除した割合を百分率(%)で比較評価した。
摩耗試験前後における各試験片の重量変化を図8に示す。
摩耗性評価については、図8に示すように発明材1および2の重量減量率は0.02~0.03%であった。
これに対して、比較材1の重量減少率は、0.16%であった。
以上の結果から、発明材はスラリーに対する耐摩耗性が優位であることが分かる。
【0020】
<塩水噴霧試験>
次に、図3に示した発明材および比較材1~4の各試験片について塩水噴霧試験(JIS Z2371準拠)を行い、塩水に対する耐食性評価を行った。
各試験片を所定の寸法(直径φ25mm×厚さ10mm)にして、塩水噴霧試験機内で暴露し、試験開始から6時間後、24時間後、96時間後および試験終了後(192時間後)に試験片を取り出し、試験片の状態を確認した。
試験片の評価は、前述した各時間に試験片の表面に発生した錆の割合(発錆率)を算出した。
すなわち、試験片の表面の発錆率が10%未満であれば「1」、同発錆率が10%以上25%未満であれば「2」、同発錆率が25%以上50%未満であれば「3」、同発錆率が50%以上75%未満であれば「4」、同発錆率が75%以上であれば「5」とする5段階の相対評価とした。
各試験片の腐食度合いの評価結果を図9に示す。
図9に示すように、発明材と比較材1および4の腐食度合いは試験終了時まで「1」であった。これに対して、他の比較材2および3の腐食度合いは「4」または「5」であった。以上の試験結果より、発明材の塩水に対する耐食性は、オーステナイト系ステンレス鋼(比較材1)および析出硬化系ステンレス鋼(比較材4)相当であった。
【符号の説明】
【0021】
1 撹拌羽根
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9