(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019190
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】リアクトル構造体、コンバータ、及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20230202BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H01F37/00 M
H01F37/00 J
H01F37/00 F
H01F37/00 T
H01F27/28 156
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123712
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】山下 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】舌間 誠二
(72)【発明者】
【氏名】古川 尚稔
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩平
【テーマコード(参考)】
5E043
【Fターム(参考)】
5E043AB02
5E043EA05
5E043EB01
(57)【要約】
【課題】生産性に優れるリアクトル構造体を提供する。
【解決手段】コイル及びコアを有するリアクトルと、前記コイルと外部機器とを電気的に接続するバスバとを備え、前記リアクトルは、樹脂材料によって形成されたピンを有し、前記バスバは、前記コイルの巻線端部に重ねられた状態で接続された板状の第一部分と、前記第一部分から延びる板状の第二部分とを備え、前記第二部分は、前記第二部分の厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、前記ピンは、前記貫通孔に貫通された軸部と、前記軸部の先端から前記軸部の外周面よりも外側に張り出す頭部とを備え、前記軸部と前記頭部とは前記樹脂材料で一体に形成されており、前記軸部は、前記軸部の軸方向と直交する方向への前記バスバの動きを規制するように、前記貫通孔に嵌合され、前記頭部は、前記軸部の軸方向への前記バスバの動きを規制するように、前記貫通孔の一方の開口を含む面と向かい合う、リアクトル構造体。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル及びコアを有するリアクトルと、
前記コイルと外部機器とを電気的に接続するバスバとを備え、
前記リアクトルは、
樹脂材料によって形成されたピンを有し、
前記バスバは、
前記コイルの巻線端部に重ねられた状態で接続された板状の第一部分と、
前記第一部分から延びる板状の第二部分とを備え、
前記第二部分は、前記第二部分の厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、
前記ピンは、
前記貫通孔に貫通された軸部と、
前記軸部の先端から前記軸部の外周面よりも外側に張り出す頭部とを備え、
前記軸部と前記頭部とは前記樹脂材料で一体に形成されており、
前記軸部は、前記軸部の軸方向と直交する方向への前記バスバの動きを規制するように、前記貫通孔に嵌合され、
前記頭部は、前記軸部の軸方向への前記バスバの動きを規制するように、前記貫通孔の一方の開口を含む面と向かい合う、
リアクトル構造体。
【請求項2】
前記貫通孔の断面形状は非円形であり、
前記軸部の断面形状は非円形である、請求項1に記載のリアクトル構造体。
【請求項3】
前記貫通孔の断面形状は扁平形状であり、
前記軸部の断面形状は扁平形状である、請求項2に記載のリアクトル構造体。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記第二部分における前記第一部分側に寄った位置に設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル構造体。
【請求項5】
前記リアクトルは、前記コイルと前記コアとの相対的な位置を決める絶縁部材を備え、
前記絶縁部材は前記樹脂材料によって形成されており、
前記ピンは前記絶縁部材から突出している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル構造体。
【請求項6】
前記絶縁部材は、前記コイルと前記コアとを一体化する樹脂モールド部材である、請求項5に記載のリアクトル構造体。
【請求項7】
前記巻線端部と前記第一部分とが並列されるX方向と、
前記X方向に交差し、かつ前記巻線端部が延びる方向に沿ったY方向と、
前記X方向及び前記Y方向の双方に交差するZ方向とを有し、
前記ピンの前記軸部は前記Z方向に突出している、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリアクトル構造体。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル構造体を備える、
コンバータ。
【請求項9】
請求項8に記載のコンバータを備える、
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リアクトル構造体、コンバータ、及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車などに備わるコンバータの構成部品として、リアクトル構造体が挙げられる。例えば特許文献1に開示されるリアクトル構造体は、リアクトルと端子部材とを備える。リアクトルは、コイル及びコアを備える。コイルは、巻線が螺旋状に巻回されることで形成される。特許文献1のリアクトルは更に、枠状ボビンと内側ボビンとケースとを備える。枠状ボビンと内側ボビンは、コイルとコアとの絶縁を確保する絶縁部材である。ケースは、コイルとコアと絶縁部材の組物を収納する。
【0003】
リアクトル構造体に備わる端子部材はバスバとも呼ばれる。バスバは、コイルと外部機器とを電気的に接続する。バスバの端部は、コイルを構成する巻線の端部に溶接などで接続される。特許文献1のリアクトル構造体では、バスバの中間部がリアクトルを構成するケースにネジ止めされている。バスバがケースにネジ止めされることで、リアクトルに対するバスバの位置が決まるので、バスバの端部と巻線の端部との接続が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のリアクトル構造体では、バスバをネジ止めする手間がかかる。また、リアクトル構造体を構成する部品点数が増加する。従って、特許文献1のリアクトル構造体の生産性が芳しくない。
【0006】
そこで、本開示は、生産性に優れるリアクトル構造体を提供することを目的の一つとする。また、本開示は、生産性に優れるコンバータ、及び電力変換装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のリアクトル構造体は、
コイル及びコアを有するリアクトルと、
前記コイルと外部機器とを電気的に接続するバスバとを備え、
前記リアクトルは、
樹脂材料によって形成されたピンを有し、
前記バスバは、
前記コイルの巻線端部に重ねられた状態で接続された板状の第一部分と、
前記第一部分から延びる板状の第二部分とを備え、
前記第二部分は、前記第二部分の厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、
前記ピンは、
前記貫通孔に貫通された軸部と、
前記軸部の先端から前記軸部の外周面よりも外側に張り出す頭部とを備え、
前記軸部と前記頭部とは前記樹脂材料で一体に形成されており、
前記軸部は、前記軸部の軸方向と直交する方向への前記バスバの動きを規制するように、前記貫通孔に嵌合され、
前記頭部は、前記軸部の軸方向への前記バスバの動きを規制するように、前記貫通孔の一方の開口を含む面と向かい合う。
【0008】
本開示のコンバーターは、
本開示のリアクトル構造体を備える。
【0009】
本開示の電力変換装置は、
本開示のコンバーターを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示のリアクトル構造体、本開示のコンバーター、及び本開示の電力変換装置は、生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るリアクトル構造体の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るリアクトル構造体に備わるコイルとコアとの組物の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るリアクトル構造体におけるピン近傍を拡大して示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係るリアクトル構造体におけるピン近傍をピンの頭部側から見た概略上面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係るリアクトル構造体に備わるバスバの概略斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係るリアクトル構造体に備わるバスバの概略上面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係るリアクトル構造体の製造手順を示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係るリアクトル構造体の製造手順を示す別の説明図である。
【
図10】
図10は、変形例1に係るリアクトル構造体におけるピン近傍をピンの頭部側から見た概略上面図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係るリアクトル構造体に備わるバスバの概略斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態2に係るリアクトル構造体におけるピン近傍を拡大して示す概略斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態3に係るリアクトル構造体の概略正面図である。
【
図14】
図14は、実施形態4に係るハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す構成図である。
【
図15】
図15は、実施形態4に係るコンバータを備える電力変換装置の一例の概略を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0013】
<1>本開示の実施形態に係るリアクトル構造体は、
コイル及びコアを有するリアクトルと、
前記コイルと外部機器とを電気的に接続するバスバとを備え、
前記リアクトルは、
樹脂材料によって形成されたピンを有し、
前記バスバは、
前記コイルの巻線端部に重ねられた状態で接続された板状の第一部分と、
前記第一部分から延びる板状の第二部分とを備え、
前記第二部分は、前記第二部分の厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、
前記ピンは、
前記貫通孔に貫通された軸部と、
前記軸部の先端から前記軸部の外周面よりも外側に張り出す頭部とを備え、
前記軸部と前記頭部とは前記樹脂材料で一体に形成されており、
前記軸部は、前記軸部の軸方向と直交する方向への前記バスバの動きを規制するように、前記貫通孔に嵌合され、
前記頭部は、前記軸部の軸方向への前記バスバの動きを規制するように、前記貫通孔の一方の開口を含む面と向かい合う。
【0014】
本開示のリアクトル構造体では、リアクトルに設けられたピンによってバスバの3次元的な位置が決まる。そのため、本開示のリアクトル構造体は、バスバをネジ止めする必要がない。従って、上記リアクトル構造体は生産性に優れる。
【0015】
本開示のリアクトル構造体では、ピンによってバスバの動きが規制されていることで、リアクトルに対するバスバの3次元的な動きが規制される。本開示のリアクトル構造体は、バスバの位置が安定するので、バスバの第一部分とコイルの巻線端部との接続が容易になる。
【0016】
<2>本開示のリアクトル構造体の一形態として、
前記貫通孔の断面形状は非円形であり、
前記軸部の断面形状は非円形である、とよい。
【0017】
上記の形態は、貫通孔に軸部が嵌合することによって、ピンの軸部を回転軸にしてバスバが回転することを規制できる。上記の形態は、バスバの第一部分とコイルの巻線端部との接続が容易になる。
【0018】
<3>上記<2>に記載のリアクトル構造体の一形態として、
前記貫通孔の断面形状は扁平形状であり、
前記軸部の断面形状は扁平形状である、とよい。
【0019】
上記の形態は、ピンの軸部を回転軸にしてバスバが回転することを規制できる。上記の形態は、バスバの第一部分とコイルの巻線端部との接続が容易になる。
【0020】
<4>本開示のリアクトル構造体の一形態として、
前記貫通孔は、前記第二部分における前記第一部分側に寄った位置に設けられている、とよい。
【0021】
上記の形態は、ピンによってバスバが保持される位置が第一部分側に近いことで、第一部分の位置が安定する。上記の形態は、第一部分と巻線端部とを位置合わせし易いので、バスバの第一部分とコイルの巻線端部との接続が容易になる。
【0022】
<5>本開示のリアクトル構造体の一形態として、
前記リアクトルは、前記コイルと前記コアとの相対的な位置を決める絶縁部材を備え、
前記絶縁部材は前記樹脂材料によって形成されており、
前記ピンは前記絶縁部材から突出している、とよい。
【0023】
上記の形態では、絶縁部材によってコイルとコアとが位置決めされた状態で保持できる。また、上記の形態では、ピンが絶縁部材から突出していることで、バスバが絶縁部材に配置される。バスバは導電部材であるため、バスバとコアとの間の絶縁を確保する必要がある。上記の形態は、絶縁部材によってバスバとコアとの間の絶縁を確保できる。上記絶縁部材としては、例えば、コイルの端部とコアとの間に配置される保持部材が挙げられる。また、上記絶縁部材としては、例えば、コイルとコアとを一体化する樹脂モールド部材が挙げられる。
【0024】
<6>上記<5>に記載のリアクトル構造体の一形態として、
前記絶縁部材は、前記コイルと前記コアとを一体化する樹脂モールド部材である、とよい。
【0025】
上記の形態は、樹脂モールド部材によってコイルとコアとが一体化されているので、コイルとコアとの組物を一体に扱うことができる。
【0026】
<7>本開示のリアクトル構造体の一形態として、
前記巻線端部と前記第一部分とが並列されるX方向と、
前記X方向に交差し、かつ前記巻線端部が延びる方向に沿ったY方向と、
前記X方向及び前記Y方向の双方に交差するZ方向とを有し、
前記ピンの前記軸部は前記Z方向に突出している、とよい。
【0027】
上記の形態は、ピンの軸部によって、X方向及びY方向へのバスバの動きが規制されると共に、ピンの頭部によって、Z方向へのバスバの動きが規制される。従って、上記の形態は、ピンによってX方向、Y方向、Z方向の全ての方向にバスバが動かないように位置決めできる。つまり、ピンによってバスバの3次元的な動きが規制される。
【0028】
<8>本開示の実施形態に係るコンバータは、
上記<1>から<7>のいずれか1つに記載のリアクトル構造体を備える。
【0029】
本開示のコンバーターは、生産性に優れる本開示のリアクトル構造体を備える。従って、本開示のコンバーターは、生産性に優れる。
【0030】
<9>本開示の実施形態に係る電力変換装置は、
上記<8>に記載のコンバータを備える。
【0031】
本開示の電力変換装置は、生産性に優れる本開示のコンバーターを備える。従って、本開示の電力変換装置は、生産性に優れる。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示のリアクトル構造体、コンバータ、及び電力変換装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明は実施形態に示される構成に限定されるわけではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内の全ての変更が含まれることを意図する。
【0033】
<実施形態1>
図1から
図7を参照して、実施形態1に係るリアクトル構造体αの構成を説明する。リアクトル構造体αは、
図1に示すように、リアクトル1と、バスバ4とを備える。リアクトル1は、
図2に示すように、コイル2及びコア3を有する。バスバ4は、コイル2を図示しない外部機器と電気的に接続する。リアクトル構造体αの特徴の一つは、リアクトル1がピン5を有する点にある。ピン5は、バスバ4の動きを規制することで、リアクトル1に対してバスバ4を位置決めする。以下、リアクトル構造体αに備わる各構成を詳細に説明する。
【0034】
≪リアクトル≫
本例のリアクトル1は、組物10(
図2)と絶縁部材9(
図1)とを備える。組物10は、コイル2とコア3とを組み合わせたものである。絶縁部材9は、組物10に取り付けられてリアクトル1を構成する部材、又は、リアクトル1に付属する部材である。絶縁部材9は、コイル2の外側に配置されている。本例の絶縁部材9は、コイル2とコア3との相対的な位置を決めるものである。絶縁部材9は、コイル2とコア3との相対的な位置を決める機能を有していなくてもよい。絶縁部材9は樹脂材料によって形成されている。ピン5は、絶縁部材9に設けられており、絶縁部材9から突出する。
【0035】
[コイル]
コイル2は、
図2に示すように、巻線を螺旋状に巻回してなる巻回部20を備える。巻線には公知の巻線が利用可能である。本例の巻線は、導体線と絶縁被覆とを有する被覆平角線である。導体線は、銅製の平角線で構成されている。絶縁被覆はエナメルからなる。巻回部20は、被覆平角線をエッジワイズ巻きすることで形成されている。本例のコイル2は、1つの巻回部20を備える。本例とは異なり、コイル2は複数の巻回部20を備えていてもよい。例えば、コイル2は、互いに並列される2つの巻回部20を備える構成でもよい。
【0036】
巻回部20の形状は、矩形筒状である。矩形には、正方形が含まれる。即ち、巻回部20の端面形状は、矩形枠状である。巻回部20の形状が矩形筒状であることで、巻回部20の外周面が平面を有する。巻回部20の形状が矩形筒状である場合、巻回部20の形状が円筒状である場合に比較して、巻回部20と図示しない設置対象との接触面積が大きくなり易い。その結果、巻回部20を介してリアクトル構造体αで発生した熱が設置対象に放熱され易い。更に、設置対象に対する巻回部20の安定性が向上する。巻回部20の角部は丸められていることが好ましい。本例では、
図1,
図2におけるリアクトル1の下面が設置対象に配置される面である。
【0037】
コイル2の巻線端部21,22はそれぞれ、巻回部20の外周側へ引き出されている。巻線端部21及び巻線端部22では、絶縁被覆が剥がされて導体線が露出している。露出した導体線には、
図1に示すバスバ4が接続される。本例では、巻線端部21に接続されるバスバ4のみを図示する。巻線端部22に接続されるバスバの構成は、図示されるバスバ4と同じであってもよいし、異なっていてもよい。コイル2は、バスバ4を介して図示しない外部機器と電気的に接続される。外部機器としては、コイル2に電力供給を行なう電源などが挙げられる。
【0038】
ここで、
図1を参照して、コイル2及びバスバ4を基準にしてリアクトル構造体αにおけるX方向、Y方向、及びZ方向を規定する。X方向は、コイル2の巻線端部21と、バスバ4の第一部分41とが並列される方向である。第一部分41は、バスバ4のうち、巻線端部21に重ねられた状態で接続される部分である。バスバ4の構成については後述する。Y方向は、X方向に交差し、かつ巻線端部21が延びる方向に沿った方向である。本例では、Y方向はX方向に直交している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に交差する方向である。本例では、Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。更に、以下に示す各方向を規定する。
・X1方向は、X方向のうち、バスバ4から見て巻線端部21に向う方向である。
・X2方向は、X1方向の反対方向である。
・Y1方向は、Y方向のうち、巻線端部21の先端に向う方向である。
・Y2方向は、Y1方向の反対方向である。
・Z1方向は、Z方向のうち、リアクトル1の設置対象から離れる方向(
図1の紙面上方向)である。
・Z2方向は、Z1方向の反対方向である。
【0039】
[コア]
図2に示すコア3は、閉磁路が形成される磁性体である。コア3は、圧粉成形体又は複合材料の成形体などで構成されている。圧粉成形体は、軟磁性粉末を含む原料粉末を加圧成形したものである。軟磁性粉末としては、純鉄及び鉄合金などが挙げられる。複合材料の成形体は、軟磁性粉末と未固化の樹脂との混合物を金型に充填し、樹脂を固化させたものである。複合材料の成形体では、軟磁性粉末が樹脂中に分散されている。コア3は、圧粉成形体からなるコア片と、複合材料の成形体からなるコア片とを組み合わせて構成したり、圧粉成形体からなるコア片の外周を複合材料で覆うことで構成したりしてもよい。
【0040】
コア3は、内側コア部31と外側コア部32とを備える。内側コア部31は、コイル2の巻回部20の内部に配置され、巻回部20の軸方向に沿った部分を有する。本例では、コア3のうち、巻回部20の軸方向に沿った部分の両端部が巻回部20の端面から突出している。その突出する部分も内側コア部31の一部である。
【0041】
内側コア部31の形状は、巻回部20の内部形状に沿った形状であれば特に限定されない。本例の内側コア部31は、略直方体状である。内側コア部31は、複数のコア片とギャップ板とを連結した構成としてもよいし、1つのコア片で構成してもよい。
【0042】
外側コア部32は、コア3のうち、巻回部20の外部に配置される部分である。外側コア部32の形状は、内側コア部31の端部を繋ぐ形状であれば特に限定されない。本例の外側コア部32は、巻回部20におけるY1方向の端面に臨むエンドコア片と、巻回部20におけるY2方向の端面に臨むエンドコア片と、巻回部20におけるX1方向の側面に臨むサイドコア片と、巻回部20におけるX2方向の側面に臨むサイドコア片とを備える。従って、本例の外側コア部32は、Z方向から見て、矩形環状である。
【0043】
本例のコア3は、2つの分割コア3A,3Bによって構成されている。分割コア3Aは、Z方向から見て略T字形状である。分割コア3Bは、Z方向から見て略E字形状である。分割コア3A,3Bの形状は特に限定されない。例えば、コア3は、内側コア部31となる略I字形状の分割コアと、外側コア部32となる略O字形状の分割コアとで構成されていてもよい。コア3は、3つ以上の分割コアから構成されていてもよい。例えば、コア3は、内側コア部31となる略I字形状の分割コアと、外側コア部32となる2つの略U字形状の分割コアとで構成されていてもよい。
【0044】
[絶縁部材]
図1に示す絶縁部材9は、コイル2(
図2)とコア3(
図2)とを一体化する樹脂モールド部材6である。樹脂モールド部材6は、コイル2とコア3との相対的な位置を決める。樹脂モールド部材6は、コイル2及びコア3を外部環境から保護する機能も有する。本例の樹脂モールド部材6は、巻回部20におけるZ方向の外面を覆っていない。つまり、巻回部20のZ方向の外面が樹脂モールド部材6から露出している。その結果、コイル2で発生した熱が外部に放出され易い。
【0045】
樹脂モールド部材6は、代表的には、熱可塑性樹脂によって形成されている。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂などが挙げられる。これらの樹脂にセラミックスフィラーが含有されることで、樹脂モールド部材6の放熱性が向上される。セラミックスフィラーとしては、例えば、アルミナやシリカなどの非磁性粉末などが挙げられる。本例の樹脂モールド部材6は、PPS樹脂によって形成されている。
【0046】
樹脂モールド部材6は、端子台61を備える。端子台61は、図示しない外部機器の接続端子を支持するための台座である。接続端子は、バスバ4のZ1方向に向く面に重ねられた状態で、端子台61にネジ止めされる。端子台61には、ネジ孔61hが設けられている。ネジ孔61hには、接続端子を固定する図示しないネジが取り付けられる。本例のネジ孔61hは、Z方向に延びている。本例では、端子台61にナットが埋設されている。このナットの内周面がネジ孔61hを構成している。このネジ孔61hの軸線は、後述するバスバ4の端子孔42hの軸線と一致している。従って、接続端子がネジ止めされることで、接続端子が端子台61に固定されると共に、接続端子がバスバ4に電気的に接続される。ここで、ナットは必須ではない。また、ネジ孔61hの軸線はZ方向に交差する方向に延びていてもよい。この場合、バスバ4の第二部分42が、ネジ孔61hの軸線と端子孔42hの軸線とが一致するように屈曲される。
【0047】
樹脂モールド部材6は、組物10(
図2)の全体を覆っていなくてもよい。例えば、樹脂モールド部材6は、組物10の下方側、即ち設置対象側の部分のみを覆う構成であってもよい。樹脂モールド部材6の下面は、図示しない設置対象に面接触することが好ましい。樹脂モールド部材6は、図示しない取付部を備えることが好ましい。取付部には、取付孔が設けられていることが好ましい。取付孔には、リアクトル1を設置対象に固定するネジが取り付けられる。取付孔の軸線はZ方向と一致していることが好ましい。
【0048】
(台座部)
本例の樹脂モールド部材6は、
図3に示すように、バスバ4を支持する台座部60を有する。本例では、台座部60は、樹脂モールド部材6におけるZ1方向を向く第一面6aに設けられている。本例の第一面6aは、
図2におけるY1方向側に位置する外側コア部32の上面を覆うように形成されている。外側コア部32の上面は、外側コア部32におけるZ1方向に向く面である。つまり、台座部60は、外側コア部32の上側に位置する。本例の台座部60は、バスバ4の第二部分42を支持する平面60pを有する。第二部分42は、バスバ4のうち、第一部分41から延びる部分である。バスバ4の構成については後述する。平面60pは、X-Y平面と平行になっている。第二部分42が平面60pに接触することで、バスバ4をX-Y平面と平行に支持することができる。台座部60の数は1つでもよいし、複数でもよい。本例では、台座部60の数は1つである。複数の台座部60を設ける場合、台座部60は、第二部分42が延びる方向に沿って間隔をあけて配置するとよい。具体的には、複数の台座部60は、X方向に間隔をあけて第一面6aに設けるとよい。台座部60は必須ではない。台座部60がない場合、第二部分42は第一面6aに接触する。
【0049】
[ピン]
ピン5は、樹脂材料によって形成されている。ピン5は、リアクトル1に対するバスバ4の位置を決める部材であって、バスバ4の動きを規制する。ピン5の数は1つでもよいし、複数でもよい。本例では、ピン5の数は1つである。ピン5によってバスバ4の動きを規制するメカニズムについては後述する。
【0050】
本例のピン5は、樹脂モールド部材6と一体に構成されている。ピン5は、樹脂モールド部材6と同じ熱可塑性樹脂によって構成されている。つまり、本例のピン5は、PPS樹脂によって形成されている。ピン5は、
図4に示すように、樹脂モールド部材6から突出する。本例では、ピン5が台座部60に設けられており、ピン5が平面60pからZ1方向に突出している。つまり、ピン5は、外側コア部32の上側に位置する。
【0051】
ピン5は、
図4に示すように、軸部50と頭部51とを備える。軸部50は、樹脂モールド部材6から突出する部分である。頭部51は、軸部50の先端に設けられている。軸部50と頭部51とは、樹脂材料で一体に構成されている。本例では、軸部50と頭部51とは、熱可塑性樹脂、具体的にはPPS樹脂で一体に構成されている。
【0052】
(軸部)
軸部50は、バスバ4の第二部分42に形成された貫通孔4hに貫通されている。貫通孔4hについては後述する。軸部50は棒状である。軸部50の形状は、貫通孔4hに嵌合される形状であれば特に限定されない。本例の軸部50の断面形状は、
図5に示すように、円形状である。軸部50の断面形状とは、軸部50の軸方向と直交する断面の形状である。本例では、軸部50の軸方向はZ方向と一致する。
図5では、軸部50の断面が分かり易いように、軸部50にハッチングを施している。軸部50の断面形状は非円形状でもよい。非円形状としては、例えば多角形状、扁平形状などが挙げられる。多角形状としては、例えば三角形、四角形、五角形、六角形などが挙げられる。四角形には、正方形、長方形、台形、菱形などが含まれる。多角形状には更に、例えばH字形、L字形、T字形、V字形、十字形、星形などの異形状が含まれる。扁平形状としては、例えば楕円形、長円形、長方形などが挙げられる。軸部50の断面形状は、軸部50の軸方向に一様でもよいし、異なっていてもよい。本例では、軸部50の断面形状が軸部50の軸方向に一様である。
【0053】
軸部50は、軸部50の軸方向と直交する方向へのバスバ4の動きを規制するように、貫通孔4hに嵌合される。軸部50の外寸は、貫通孔4hの内寸と同等、又は貫通孔4hの内寸よりも若干小さい。軸部50の外寸とは、軸部50の断面形状が円形の場合は、軸部50の断面の直径を意味し、軸部50の断面形状が非円形の場合は、軸部50の断面における最大寸法を意味する。貫通孔4hの内寸とは、貫通孔4hの断面形状が円形の場合は、貫通孔4hの断面の直径を意味し、貫通孔4hの断面形状が非円形の場合は、貫通孔4hの断面における最大寸法を意味する。
【0054】
(頭部)
頭部51は、
図4に示すように、軸部50の先端から軸部50の外周面よりも外側に張り出す部分である。頭部51は貫通孔4hの一方の開口から突出する。頭部51の形状は特に限定されない。本例の頭部51の形状は半球状である。頭部51の形状は半球状の他、立方体、直方体などを含む多面体でもよい。頭部51は、貫通孔4hの一方の開口を含む面42aと平行な面を有することが好ましい。本例の頭部51の外周形状は、
図5に示すように、円形状である。頭部51の外周形状とは、軸部50の軸方向から見た頭部51の外周縁で構成される輪郭の形状である。本例では、頭部51の外周形状と軸部50の断面形状とは同心の円形になっている。頭部51の外周形状は、上述したような非円形状でもよい。頭部51の外周形状と軸部50の断面形状とは、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0055】
頭部51は、
図4に示すように、貫通孔4hの一方の開口からはみ出す大きさを有する。頭部51は、軸部50の軸方向へのバスバ4の動きを規制するように、貫通孔4hの一方の開口を含む面42aと向かい合う。つまり、頭部51は、
図5に示すように、軸部50の軸方向から見たとき、第二部分42と部分的に重なる。頭部51の外寸は、貫通孔4hの内寸よりも大きい。頭部51の外寸とは、頭部51の外周形状が円形の場合は、頭部51の外周の直径を意味し、頭部51の外周形状が非円形の場合は、頭部51の外周上の2点間を結ぶ直線のうち最も長い直線の長さを意味する。頭部51は、頭部51の成形されていない軸部50を貫通孔4hに通した後、軸部50の先端を溶融させて変形させることで形成される。よって、軸部50の成形と頭部51の成形とは同時ではなく段階的に行われる。この頭部51の成形の詳細は後述する。
【0056】
[その他]
リアクトル1は、
図2に示すコイル2とコア3とを保持する図示しない保持部材を備えていてもよい。保持部材は、巻回部20の端面と外側コア部32との間に介在されることで、コイル2とコア3との間の絶縁を確保する。つまり、保持部材は、コイル2とコア3との相対的な位置を決める絶縁部材9でもある。保持部材は、樹脂材料によって形成される。保持部材を形成する樹脂材料は、樹脂モールド部材6に用いられる熱可塑性樹脂が利用できる。リアクトル1が保持部材を備える場合、樹脂モールド部材6はなくてもよい。その場合、ピン5は保持部材に設けられることが好ましい。その他、ピン5は、外側コア部32をモールドするコアモールド部材に設けられていてもよい。コアモールド部材は、絶縁部材9の一種である。コアモールド部材は、コイル2とコア3との相対的な位置を決める機能を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0057】
≪バスバ≫
バスバ4は、
図1に示すように、コイル2と図示しない外部機器とを電気的に接続する部材である。バスバ4は、導電性に優れる金属によって形成されている。バスバ4を形成する金属として、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニウム合金などが挙げられる。バスバ4は、
図6,
図7に示すように、第一部分41と第二部分42とを備える。
【0058】
(第一部分)
第一部分41は、
図3に示すように、バスバ4のうち、コイル2の巻線端部21に重ねられた状態で接続される部分である。第一部分41は板状である。本例の第一部分41は矩形板状である。第一部分41の厚さ方向はX方向と一致する。また、平角線からなる巻線端部21の厚さ方向もX方向と一致している。従って、第一部分41のX1方向に向く面と、巻線端部21のX2方向に向く面とが面接触する。第一部分41と巻線端部21とは、溶接又は圧接などによって接続される。溶接としてはTIG溶接などが挙げられる。圧接としては摩擦撹拌接合などが挙げられる。
【0059】
(第二部分)
第二部分42は、第一部分41からX2方向に延びる部分である。第二部分42は板状である。本例の第二部分42は、X-Y平面と平行に配置される。第二部分42の厚さ方向はZ方向と一致する。
図6に示すように、第二部分42は、連結部421を介して第一部分41のZ2方向の端部につながっている。第一部分41における連結部421の近傍には切欠き425が形成されている。板材を折り曲げてバスバ4を作製する際、切欠き425があることで、連結部421を折り曲げ易い。また、第二部分42は、外部機器の接続端子と接続される部分に端子孔42hを有する。端子孔42hは、第二部分42の厚さ方向に貫通する。端子孔42hは、第二部分42における第一部分41からX2方向に離れた位置に設けられている。本例では、端子孔42hは、第二部分42のうち、第一部分41側とは反対側の端部に設けられている。端子孔42hの軸線はZ方向と一致している。端子孔42hは、
図3に示す樹脂モールド部材6の端子台61に形成されたネジ孔61hに対応する位置に形成されている。第二部分42のZ1方向に向く面に外部機器の接続端子を重ね合わせて端子台61にネジ止めすることで、第二部分42と接続端子とが電気的に接続される。
【0060】
第二部分42は、バスバ4の主たる導電路となる部分である。第二部分42の厚さは第二部分42の長さ方向にほぼ一様である。第二部分42の幅も、端子孔42hが形成された端部を除いて、第二部分42の長さ方向にほぼ一様である。従って、第二部分42の長手方向と直交する断面積は、第二部分42の長手方向に沿ってほぼ同じである。
【0061】
(貫通孔)
第二部分42は貫通孔4hを有する。貫通孔4hは第二部分42の厚さ方向に貫通する。つまり、貫通孔4hの軸方向は、第二部分42の厚さ方向に一致する。
図4に示すように、貫通孔4hの一方の開口は、第二部分42の面42aに開口する。面42aは、樹脂モールド部材6と向かい合う面とは反対側の面である。貫通孔4hの他方の開口は、樹脂モールド部材6と向かい合う面に開口する。貫通孔4hは、樹脂モールド部材6に設けられたピン5に対応する位置に形成されている。貫通孔4hの数はピン5の数と同じである。本例では、貫通孔4hは、第二部分42のうち、第一部分41につながる一方の端部と、端子孔42hが設けられた他方の端部との間に設けられている。
【0062】
貫通孔4hの位置は特に限定されない。本例では、
図7に示すように、貫通孔4hは、第二部分42における第一部分41側に寄った位置に設けられている。第一部分41側に寄った位置とは、第二部分42の中間位置よりも第一部分41側に近い位置のことを意味する。第二部分42の中間位置は、第二部分42のX方向に沿った長さを二等分する位置である。貫通孔4hが第一部分41側に寄っていると、ピン5によってバスバ4が保持される位置が第一部分41側に近くなる。その結果、第一部分41の位置が安定する。貫通孔4hは、第二部分42の中間位置よりも第一部分41側から離れた位置に設けられていてもよい。
【0063】
貫通孔4hの形状は、
図5に示すように、軸部50と嵌合する形状であれば特に限定されない。本例の貫通孔4hの断面形状は円形状である。貫通孔4hの断面形状とは、貫通孔4hの軸方向と直交する断面の形状である。貫通孔4hの断面形状は、貫通孔4hの軸方向から見た貫通孔4hの開口の輪郭形状に等しい。本例では、貫通孔4hの軸方向はZ方向と一致する。貫通孔4hの断面形状は、上述したような非円形状でもよい。貫通孔4hの断面形状と軸部50の断面形状とは、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。貫通孔4hの断面形状と軸部50の断面形状とは相似であることが好ましい。
【0064】
貫通孔4hの内寸は、
図4,
図5に示すように、軸部50が嵌合する大きさである。軸部50の外寸と貫通孔4hの内寸とは、軸部50の軸方向と直交する方向へのバスバ4の動きを規制するような寸法を有する。貫通孔4hの内寸は、軸部50の外寸と同等、又は軸部50の外寸よりも若干大きい。軸部50の外寸と貫通孔4hの内寸とのクリアランスは、バスバ4の第一部分41とコイル2の巻線端部21との接続する際に、第一部分41と巻線端部21との位置精度が確保される程度の寸法であればよい。上記クリアランスは、軸部50の軸方向と直交する方向へバスバ4を動かしたとき、バスバ4の最大移動量が1mm以下となる寸法である。上記クリアランスは、製造上可能であれば、なるべく小さい方が好ましい。上記最大移動量は、更に0.5mm以下、0.4mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下が好ましい。
【0065】
貫通孔4hの内寸は、頭部51が通らない大きさである。貫通孔4hの内寸は、頭部51の外寸よりも小さい。従って、頭部51は、貫通孔4hの一方の開口を含む面42a側から見たとき、面42aに重複する。換言すれば、頭部51が形成された状態では、頭部51を貫通孔4hに通すことができず、軸部50を貫通孔4hに配置することができない。軸部50の長さと貫通孔4hの長さとは、軸部50の軸方向へのバスバ4の動きを規制するような長さを有する。軸部50の長さは、軸部50の軸方向に沿った長さである。貫通孔4hの長さは、貫通孔4hの軸方向に沿った長さである。貫通孔4hの長さは第二部分42の厚さに相当する。
【0066】
貫通孔4hに軸部50が嵌合することによって、軸部50の軸方向と直交する方向へのバスバ4の動きを規制することができる。本例では、軸部50によって、X方向及びY方向へのバスバ4の動きが規制される。また、貫通孔4hの一方の開口を含む面42aと頭部51とが向かい合うことによって、軸部50の軸方向へのバスバ4の動きを規制することができる。本例では、頭部51によって、Z方向へのバスバ4の動きが規制される。
図4に示すように、第二部分42は、頭部51と樹脂モールド部材6の台座部60との間に挟まれる。貫通孔4hの一方の開口を含む面42aと頭部51との隙間は1mm以下である。上記隙間は、製造上可能であれば、なるべく小さい方が好ましい。上記隙間は、更に0.5mm以下、0.4mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下が好ましい。上記隙間は、軸部50の長さと貫通孔4hの長さとの差に等しい。
【0067】
[リアクトル構造体の製造手順]
図8,
図9を主に参照して、実施形態1のリアクトル構造体αの製造手順を説明する。まず、組物10(
図2)を覆うように樹脂モールド部材6を成形する。樹脂モールド部材6には、
図8に示すように、台座部60と変形前のピン5pとを同時に成形しておく。樹脂モールド部材6の成形は、例えば射出成形によって行うことができる。変形前のピン5pは、最終的に
図3に示すピン5となる。変形前のピン5pは軸部50のみを有する。つまり、変形前のピン5pは、
図3に示すピン5のように頭部51を有していない。ピン5pの軸部50の軸方向に沿った長さは、
図9に示すように、貫通孔4hの長さよりも長い。ピン5pの先端部は貫通孔4hの開口から突出する。
【0068】
次に、
図9に示すように、変形前のピン5pにバスバ4を取り付ける。バスバ4の取り付けは、貫通孔4hにピン5pを通すことによって行う。これにより、軸部50が貫通孔4hに貫通された状態になる。また、台座部60の平面60pに第二部分42が接触することで、バスバ4が台座部60に支持された状態になる。
【0069】
変形前のピン5pにバスバ4を取り付けた後、ピン5pの先端部を所定の形状に変形させて、
図3に示す頭部51を成形する。ピン5pの先端部を変形させるために、ピン5pの先端部を溶融状態又は成形可能な程度に軟化状態とする。ピン5pの先端部を溶融又は軟化させる方法としては、ピン5pの先端部を直接加熱する方法の他、例えば、ピン5pの先端部に振動を加える方法、ピン5pの先端部に超音波を加える方法などが挙げられる。頭部51の成形は、上記した加熱、振動、超音波などの方法によってピン5pの先端部を溶融又は軟化させた状態で、ピン5pの先端部を頭部51の形状に変形させた後、冷却して固化させることにより行う。これにより、
図4に示すように、軸部50と頭部51とが一体に構成されたピン5を形成することができる。頭部51の成形時、頭部51を貫通孔4hの一方の開口を含む面42aに融着させてもよい。また、溶融させた軸部50の先端を貫通孔4hの内周面に融着させてもよい。
【0070】
最後に、第一部分41と巻線端部21とを接続する。このとき、バスバ4の動きはピン5によって規制されるので、第一部分41と巻線端部21とを容易に接続できる。第一部分41と巻線端部21との接続は、例えば溶接によって行うことができる。変形前のピン5pにバスバ4を取り付けた後、頭部51を成形する前に、第一部分41と巻線端部21とを接続してもよい。この場合、第一部分41と巻線端部21とを接続した後に頭部51を成形する。
【0071】
≪リアクトル構造体の設置手順≫
実施形態1のリアクトル構造体αは、例えば、図示しない設置対象にネジ止めされる。設置対象としては、例えばコンバータを収納するコンバータケースなどが挙げられる。設置対象に固定されたリアクトル構造体αに対して、図示しない外部機器の接続端子を取り付ける。外部機器の接続端子の取り付けは、端子台61に接続端子をネジ止めすることより行う。ここで、端子台61に接続端子をネジ止めする際、ネジ軸回りにバスバ4を回転させるトルクが発生する。本例の構成では、ピン5によってバスバ4の回転が阻止されるため、第一部分41と巻線端部21の接続箇所に過大なトルクが作用することを抑制できる。
【0072】
≪実施形態1の効果≫
実施形態1のリアクトル構造体αでは、ピン5によってバスバ4の位置が決まる。よって、バスバ4をネジ止めする必要がない。リアクトル構造体αは、バスバ4を固定するネジを必要とせず、バスバ4をネジ止めする作業も必要としない。従って、リアクトル構造体αは生産性に優れる。
【0073】
リアクトル構造体αでは、1つのピン5によって、X方向、Y方向、及びZ方向へのバスバ4の動きが規制される。バスバ4の位置が安定するので、第一部分41と巻線端部21との接続が容易になる。第一部分41と巻線端部21とを溶接する際に、第一部分41と巻線端部21との位置ずれが発生し難いので、第一部分41と巻線端部21との溶接強度の低下を抑制できる。更に、リアクトル1に対してバスバ4が動かないように位置決めされるので、リアクトル1の振動などに起因する応力が第一部分41と巻線端部21との接続箇所に作用し難い。従って、接続箇所の信頼性が確保される。
【0074】
更に、リアクトル構造体αでは、貫通孔4hが第二部分42における第一部分41側に寄った位置に設けられている。ピン5によってバスバ4が保持される位置が第一部分41側に近いことで、第一部分41の位置が安定する。第一部分41と巻線端部21とを位置合わせし易いので、第一部分41と巻線端部21との接続が容易になる。
【0075】
<変形例1>
図10に示すように、貫通孔4hの断面形状が非円形状であり、かつ、軸部50の断面形状は非円形状であってもよい。
図10では、説明の便宜上、ピン5の軸部50の断面のみを示し、頭部51の図示は省略している。
図10に示す貫通孔4hの断面形状は扁平形状である。
図10に示す軸部50の断面形状は扁平形状である。具体的には、貫通孔4hの断面形状及び軸部50の断面形状はそれぞれ、長円形状である。本例では、長円形状の長軸方向が第二部分42の長さ方向、即ちX方向に沿っている。
【0076】
貫通孔4hの断面形状及び軸部50の断面形状がそれぞれ非円形状である場合、貫通孔4hに軸部50が嵌合することによって、軸部50を回転軸にしてバスバ4が回転することを規制できる。バスバ4の回転が規制されるため、第一部分41の位置や端子孔42hの位置が安定する。
【0077】
<実施形態2>
実施形態2では、
図11,
図12を参照して、ピン5の突出方向が実施形態1と異なるリアクトル構造体βを説明する。
【0078】
本例のバスバ4は、
図11に示すように、第二部分42に張出部42pを有する点で、実施形態1のバスバ4と異なる。張出部42pは、第二部分42の一部である。張出部42pは第二部分42のY1方向側の側面に設けられている。張出部42pはZ2方向に突出する。張出部42pは板状である。張出部42pの厚さ方向はY方向に一致する。貫通孔4hは張出部42pに形成されている。貫通孔4hは張出部42pの厚さ方向に貫通する。
【0079】
図12に示すように、バスバ4がリアクトル1に取り付けられた状態では、張出部42pは、樹脂モールド部材6におけるY1方向を向く第二面6bに配置される。第一面6aと第二面6bとは互いに直交する。本例のピン5は、樹脂モールド部材6の第二面6bからY1方向に突出する。
【0080】
実施形態2の構成によっても、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0081】
<実施形態3>
実施形態3では、
図13を参照して、組物10を収納するケース7を備えるリアクトル構造体γを説明する。ケース7はリアクトル1の付属部材である。実施形態3のリアクトル構造体γは、樹脂モールド部材を備えていない。
【0082】
ケース7は、組物10が設置される底板部71と、組物10の側面を囲む側壁部72とを備える。ケース7は、その上部が開口した容器状のものである。ここでは図示していないが、本例のケース7を上面から見たとき、即ちZ1方向からZ2方向に見たとき、側壁部72は、
図2に示す外側コア部32の側面を囲むように矩形枠状に配置されている。側壁部72は、外側コア部32の側面に沿ってZ方向に延びている。
図13では、側壁部72のうち、Y1方向側の側壁部72のみが見えている。本例では、Y1方向側の側壁部72は、残りの側壁部72とは別体で構成されており、残りの側壁部72に対してY1方向側から取り付け可能である。この側壁部72は、樹脂材料によって形成されている。側壁部72は絶縁部材9に相当する。但し、側壁部72はコイル2とコア3との相対的な位置を決める機能を有していない。分割された側壁部72同士は、例えば、各側壁部72同士を接着したり、各側壁部72の外周部に設けられたフランジ部同士をネジ止めしたりすることで結合できる。本例では、ケース7内と組物10との間に、図示しないポッティング樹脂が充填されている。
【0083】
本例の側壁部72は、組物10のZ1方向の端部よりも高い。従って、組物10全体がケース7内に収納される。側壁部72には、ケース7内に収納されたコイル2の巻線端部21をケース7外に引き出すスリット72sが設けられている。コイル2の巻線端部21は、スリット72sを通って、側壁部72からY1方向に引き出されている。
【0084】
スリット72sが設けられた側壁部72は、第一面部721、第二面部722、第三面部723、及び第四面部724を有する。第一面部721と第三面部723との間、第二面部722と第三面部723との間にはそれぞれ段差が形成されており、段差面725が設けられている。この段差面725の上側にバスバ4が配置されている。
【0085】
第一面部721と第二面部722とは、側壁部72の上側部分を構成し、スリット72sを挟んで配置されている。第一面部721は、スリット72sよりもX2方向側に設けられている。第二面部722は、スリット72sよりもX1方向側に設けられている。第一面部721及び第二面部722は、Y方向の同じ位置に設けられており、互いに面一になっている。第三面部723は、第一面部721及び第二面部722よりも下側に配置されている。第三面部723は、第一面部721及び第二面部722よりもY1方向に張り出している。第四面部724は、第三面部723よりも更にY1方向に張り出している。つまり、
図13において、第一面部721及び第二面部722は最も紙面奥側に位置する。第三面部723は、第一面部721及び第二面部722よりも紙面手前側に位置し、第四面部724は、第三面部723よりも更に紙面手前側に位置する。
【0086】
第四面部724は、実施形態1における端子台61に相当する部分である。第四面部724におけるZ1方向に向く面には、図示しないネジ孔が設けられている。このネジ孔の軸線は、バスバ4の端子孔42hの軸線と一致している
【0087】
段差面725は、第三面部723におけるZ1方向に向く面である。段差面725は、Y1方向側の側壁部72を外側コア部32の側面に配置したとき、外側コア部32の上面を覆うように配置される。段差面725は、実施形態1における第一面6aに相当する。段差面725には、第二部分42を支持する台座部75が設けられている。台座部75には、ピン5が設けられている。台座部75及びピン5の各構成は、実施形態1における台座部60及びピン5の各構成と同様である。
【0088】
底板部71は、樹脂材料によって形成されていてもよいし、金属材料によって形成されていてもよい。底板部71と少なくとも一部の側壁部72とは一体に構成されていてもよいし、底板部71と少なくとも一部の側壁部72とは別体で構成されていてもよい。本例の場合、底板部71と上述した残りの側壁部72とを一体に構成することが挙げられる。底板部71と側壁部72とが別体である場合、底板部71と側壁部72とを結合して一体化すればよい。金属製の底板部71は、剛性と熱伝導性に優れる。金属製の底板部71と組物10との間には絶縁シートが配置されていることが好ましい。底板部71は、複数の取付部76を備える。取付部76は、ケース7を設置対象に固定するためのものである。取付部76には、取付孔76hが設けられている。取付孔76hには、ケース7を設置対象に固定するネジが取り付けられる。取付孔76hの軸線はZ方向と一致している。
【0089】
実施形態3の構成によっても、実施形態1と同様の効果が得られる。実施形態3の構成では、ケース7によって組物10が保護される。
【0090】
<実施形態4>
≪コンバータ・電力変換装置≫
実施形態に係るリアクトル構造体は、以下の通電条件を満たす用途に利用できる。通電条件としては、例えば、最大直流電流が100A以上1000A以下程度であり、平均電圧が100V以上1000V以下程度であり、使用周波数が5kHz以上100kHz以下程度であることが挙げられる。実施形態に係るリアクトル構造体は、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用できる。
【0091】
ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両1200は、
図14に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジン1300を備える。
図14では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態とすることができる。
【0092】
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V以上300V以下程度のメインバッテリ1210の入力電圧を400V以上700V以下程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される入力電圧をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。入力電圧は、直流電圧である。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
【0093】
コンバータ1110は、
図15に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトル構造体1115とを備え、ON/OFFの繰り返しにより入力電圧の変換を行う。入力電圧の変換とは、ここでは昇降圧を行う。スイッチング素子1111には、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタなどのパワーデバイスが利用される。リアクトル構造体1115は、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。リアクトル構造体1115として、実施形態1から実施形態3のいずれかのリアクトル構造体を備える。生産性に優れるリアクトル構造体を備えることで、電力変換装置1100やコンバータ1110は、生産性に優れる。
【0094】
車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC-DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC-DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC-DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトル構造体1115に、実施形態1から実施形態3のいずれかのリアクトル構造体と同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトル構造体を利用できる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、実施形態1から実施形態3のいずれかのリアクトル構造体を利用することもできる。
【符号の説明】
【0095】
α、β、γ リアクトル構造体
1 リアクトル
10 組物
2 コイル
20 巻回部、21,22 巻線端部
3 コア
3A,3B 分割コア
31 内側コア部、32 外側コア部
4 バスバ
41 第一部分、42 第二部分
4h 貫通孔、42h 端子孔
42a 面、42p 張出部
421 連結部、425 切欠き
5 ピン、5p ピン
50 軸部、51 頭部
6 樹脂モールド部材
6a 第一面、6b 第二面
60 台座部、60p 平面
61 端子台、61h ネジ孔
7 ケース
71 底板部、72 側壁部
72s スリット
721 第一面部、722 第二面部
723 第三面部、724 第四面部
725 段差面
75 台座部
76 取付部、76h 取付孔
9 絶縁部材
1100 電力変換装置
1110 コンバータ、1111 スイッチング素子、1112 駆動回路
1115 リアクトル構造体、1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ、1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ、1220 モータ、1230 サブバッテリ
1240 補機類、1250 車輪
1300 エンジン
【手続補正書】
【提出日】2022-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示のコンバータは、
本開示のリアクトル構造体を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示の電力変換装置は、
本開示のコンバータを備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本開示のリアクトル構造体、本開示のコンバータ、及び本開示の電力変換装置は、生産性に優れる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本開示のコンバータは、生産性に優れる本開示のリアクトル構造体を備える。従って、本開示のコンバータは、生産性に優れる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本開示の電力変換装置は、生産性に優れる本開示のコンバータを備える。従って、本開示の電力変換装置は、生産性に優れる。