(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019202
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】車両表示装置及び車両表示システム
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123731
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】519183461
【氏名又は名称】株式会社日本レカム
(71)【出願人】
【識別番号】521309190
【氏名又は名称】齋藤 道
(71)【出願人】
【識別番号】721006264
【氏名又は名称】合同会社PatentReV
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 道
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC13
3D020BD03
(57)【要約】
【課題】簡便に車両の色(及び柄)を変更することを可能とする車両表示装置及び車両表示システムを提供する。
【解決手段】表示機能を有し車両1のボディ2に配される表示部13、及び、端末指示情報(映像データ)を表示部13に表示させる処理部14を有する表示装置11と、無線通信により前記端末指示情報(映像データ)を受信する通信部12とを備え、処理部14が表示部13に表示させる前記端末指示情報(映像データ)は、通信部12により受信したものであるとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示機能を有し車両のボディに配される表示部、及び、映像データを前記表示部に表示させる処理部を有する表示装置を備える
ことを特徴とする車両表示装置。
【請求項2】
前記表示装置と、
無線通信により前記映像データを受信する通信部とを備え、
前記処理部が前記表示部に表示させる前記映像データは、前記通信部により受信したものであるとする
ことを特徴とする請求項1に記載の車両表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両表示装置と、
情報通信端末にインストールされ、グラフィックを作成又は選択することができるアプリケーションソフトウェアとを備え、
前記アプリケーションソフトウェアにて作成又は選択したグラフィックは、前記映像データとして、前記情報通信端末から前記通信部に送信される
ことを特徴とする車両表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に表示する装置及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のボディの塗装についての様々な方法が提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-163331号公報
【特許文献2】特開2009-092884号公報
【特許文献3】特開2020-160305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両のボディの色(及び柄)を変更するためには、非常に手間がかかる。
【0005】
上述の課題に鑑み、本発明では、簡便に車両の色(及び柄)を変更することを可能とする、車両表示装置及び車両表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点における車両表示装置によれば、
表示機能を有し車両のボディに配される表示部、及び、映像データを前記表示部に表示させる処理部を有する表示装置を備える
ことを特徴とする。
【0007】
より好ましくは、
前記表示装置と、
無線通信により前記映像データを受信する通信部とを備え、
前記処理部が前記表示部に表示させる前記映像データは、前記通信部により受信したものである
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点における車両表示システムによれば、
情報通信端末にインストールされ、グラフィックを作成又は選択することができるアプリケーションソフトウェアとを備え、
前記アプリケーションソフトウェアにて作成又は選択したグラフィックは、前記映像データとして、前記情報通信端末から前記通信部に送信される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両表示装置及び車両表示システムによれば、簡便に車両の色を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1に係る車両表示装置及び車両表示システムを説明するブロック図である。
【
図2】本発明の実施例1における表示部が配置された車両を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施例2に係る車両表示装置及び車両表示システムを説明するブロック図である。
【
図4】本発明の実施例2における表示部が配置された車両を示す概略図である。
【
図5】本発明の実施例3に係る車両表示装置及び車両表示システムを説明するブロック図である。
【
図6】本発明の実施例3における受光センサの配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明に係る車両表示装置及び車両表示システムを実施例により具体的に説明する。
【0012】
[実施例1]
図1に示すように、本実施例に係る車両表示システムは車両表示装置10及び情報通信端末100を備えている。このうち車両表示装置10は、車両1に車載される。なお、
図1では車両1に車載される従来どおりの構成については省略している。
【0013】
情報通信端末100は、スマートフォン及びタブレット等の、ユーザインターフェース及び通信インターフェースを有する端末であり、インターネット回線に接続可能である。
【0014】
そして情報通信端末100は、専用のアプリケーションソフトウェア101をインストールしておき、当該アプリケーションソフトウェア101を操作することで、ユーザがボディ2のグラフィック(柄(ロゴを含む)及び色)を、自ら作成、又は、幾つかの候補から選択することができる。作成又は選択したグラフィックは、「端末指示情報」(映像データ)として後述する通信部12に送信する。
【0015】
あるいは情報通信端末100は、従来搭載されている撮影機能を用いて撮影した映像データ(画像又は動画)、又は、インターネット回線を通じてダウンロードした著作権フリーの映像データを、「端末指示情報」として後述する通信部12に送信するようにしてもよい。
【0016】
一方、車両表示装置10は、主たる構成として、表示装置11及び通信部12を備えている。
【0017】
表示装置11は、液晶表示装置又は有機EL表示装置であり、表示部13及び処理部14を備えている。表示部13は表示機能を有し、処理部14は入力された映像データ(端末指示情報)を表示部13に表示させるように処理するものである。
【0018】
図2に示すように、表示部13は車両1における鋼板のボディ2(窓、ライト、ミラー、及び、ナンバープレートなどを除く)の表面全体に(覆うようにして)配されている。ボディ2の形状に対応する表示部13を製造するには、例えば上記特許文献2,3に記載されるような曲面ディスプレイの製造技術を採用するのが好ましいが、特に限定するものではない。また、ドアやボンネットの開閉動作の都合上、1枚の表示部13でボディ2の表面全体を覆うのではなく、複数の表示部13を組み合わせることによりボディ2の表面全体を覆うものとする。
【0019】
通信部12は、情報通信端末100と無線通信(無線LAN又はBluetooth(登録商標)等)を行うことを可能とするものである。通信部12が受信した端末指示情報は表示装置11に送られる。
【0020】
なお通信部12については、従来車載されているECU(電子制御装置。図示略)に設けられているものを併用しても良い。その場合は、通信部12が受信した端末指示情報はECUから(有線で)表示装置11に送られる。
【0021】
本実施例においては、上記無線通信を用いて情報通信端末100から通信部12に端末指示情報を送信するものとし、処理部14の処理により表示部13にて端末指示情報の表示を行うものである。これについて以下で詳述する。
【0022】
まず、情報通信端末100にて作成あるいは選択したグラフィック、又は、撮影あるいはダウンロードした映像データである端末指示情報を、情報通信端末100から通信部12に送信する。
【0023】
次に、通信部12に送信された端末指示情報は、表示装置11の処理部14に入力され、処理部14の処理により当該端末指示情報を表示部13に表示する。表示部13はボディ2に配されているため、周囲からは当該表示がボディ2自体の色(柄)に見える。
【0024】
なお、本実施例においては、表示部13をボディ2の表面全体に配するものとするのが好ましいが、ボディ2の表面の一部にのみ設けるようにしてもよい(例えばボンネット、ルーフ、ドア等のうち一部又は全部とするなど)。
【0025】
また、本実施例においては、従来どおり鋼板で製造されたボディ2の表面を覆うようにして、表示部13を配置するのが好ましいが、一方で処理部14は車両1内部に設けられているのが理想的であるため、このような場合は、車内の処理部14から車外の表示部13に配線を通すために鋼板の一部に孔を空けるなどの対処が必要となることもあり得る。
【0026】
そのため、ボディ2自体を表示部13で形成するものとしたり、ボディ2の一部を鋼板で形成し、他部を表示部13で形成したりしてもよい(この場合に関しては、鋼板表面には表示部13を配置しない)。
【0027】
これにより本実施例では、情報通信端末100を操作することで、瞬時にかつ簡便に車両1のボディ2の色(及び柄)を変更することができるものである。
【0028】
[実施例2]
本実施例では、実施例1の構成に加え、ホイール部分にも表示装置を設けたものである。以下では、実施例1と同様の構成については極力省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0029】
図3に示すように、本実施例に係る車両表示システムは、車両表示装置20及び情報通信端末100を備えている。このうち車両表示装置20は、車両1に車載される。
【0030】
情報通信端末100にインストールされる専用のアプリケーションソフトウェア102は、実施例1で説明したアプリケーションソフトウェア101の機能に加え、「端末指示情報」をボディ2側とホイール3側とで個別に設定する。なお以下では、ボディ側の端末指示情報を「ボディ側情報」、ホイール側の端末指示情報を「ホイール側情報」と呼称するものとする。
【0031】
車両表示装置20は、主たる構成として、実施例1で説明した表示装置11及び通信部12以外に、ホイール側表示装置21及びホイール側通信部22を備えている。
【0032】
ホイール側表示装置21は、液晶表示装置又は有機EL表示装置であり、表示部23及び処理部24を備えている。表示部23は表示機能を有し、処理部24は入力された映像データ(ホイール側情報)を表示部23に表示させるように処理するものである。
【0033】
図4に示すように、表示部23は車両1におけるホイール3の側面(外側を向く側の面)の一部又は全部に配されている。ホイール3の側面の形状に対応する表示部23を製造するには、例えば上記特許文献2,3に記載されるような曲面ディスプレイの製造技術を採用するのが好ましいが、特に限定するものではない。また、より容易に製造するために、複数の表示部13を組み合わせることにより、ホイール3の側面の一部又は全部を覆うようにしてもよい。
【0034】
ホイール側通信部22は、車両1の各ホイール3の任意の位置(好ましくはホイール3の径方向中心部分)に取り付けられ、情報通信端末100と無線通信(無線LAN又はBluetooth(登録商標)等)を行うことを可能とするものである。ホイール側通信部22が受信したホイール側情報はホイール側表示装置21に送られる。
【0035】
本実施例では、無線通信を用いて情報通信端末100から通信部12及びホイール側通信部22に端末指示情報(ボディ側情報及びホイール側情報)を送信するものとし、処理部14の処理により表示部13にてボディ側情報の表示を行うとともに、処理部24の処理により表示部23にてホイール側情報の表示を行うものである。これについて以下で詳述する。
【0036】
まず、情報通信端末100にて作成あるいは選択したグラフィック、又は、撮影あるいはダウンロードした映像データである端末指示情報(ボディ側情報及びホイール側情報)を、情報通信端末100から通信部12及びホイール側通信部22に送信する。
【0037】
次に、通信部12に送信されたボディ側情報は、表示装置11の処理部14に入力され、処理部14の処理により当該ボディ側情報を表示部13に表示する。表示部13はボディ2に配されているため、周囲からは当該表示がボディ2自体の色(柄)に見える。
【0038】
また、ホイール側通信部22に送信されたホイール側情報は、ホイール側表示装置21の処理部24に入力され、処理部24の処理により当該ホイール側情報を表示部23に表示する。表示部23はホイール3に配されているため、周囲からは当該表示がホイール3自体の色(柄)に見える。
【0039】
なお、本実施例においては、ホイール側表示装置22の表示部をホイール3の側面全体に配するものとするのが好ましいが、ホイール3の側面の一部にのみ設けるようにしてもよい。
【0040】
また、実施例1で説明したように、通信部12につき、従来車載されているECU(電子制御装置)に設けられているものを併用する場合、通信部12が受信した端末指示情報のうちボディ情報はECUから(有線で)表示装置11に送られ、ホイール情報は一度ECUに送られた後、通信部12からホイール側通信部22に送信されるものとすればよい。
【0041】
これにより本実施例では、情報通信端末100を操作することで、瞬時にかつ簡便にボディ2及びホイール3の色(及び柄)を変更することができるものである。
【0042】
[実施例3]
本実施例では、実施例1(又は実施例2)の構成に加え、表示部13(又は、表示部13及び表示部23)による表示の輝度を自動調整する機能を設けたものである。以下では実施例1と同様の構成については極力省略し、異なる部分を中心に説明する(以下では実施例1を基準として説明しているが、実施例2にも適用可能である)。
【0043】
図5に示すように、本実施例に係る車両表示システムは、車両表示装置30及び情報通信端末100を備えている。このうち車両表示装置30は、車両1に車載される。
【0044】
車両表示装置30は、主たる構成として、表示装置31、通信部12、及び、受光センサ32を備えている。
【0045】
受光センサ32は、
図6に示すように、車両1の任意の位置、好ましくは車内のフロントウィンドウガラス36周辺部分(例えばフロントウィンドウガラス36直下又はインナーミラー37裏側など)に配され、(外部からの太陽光等による)受光量を測定するものである。この受光センサ32は、従来の車両に設けられているものを兼用するようにしてもよい。
【0046】
表示装置31は、液晶表示装置又は有機EL表示装置であり、実施例1で説明した表示部13に加えて、テーブル33を有する記憶部34、及び、処理部35を備えている。
【0047】
テーブル33は、受光センサ32にて測定する受光量と表示部13の輝度との適正な相関関係が予め設定されたものである。なお当該相関関係は、大まかには、受光量が多いほど輝度を高くし、受光量が低いほど輝度を低くするように設定される。
【0048】
処理部35は、実施例1同様、入力された映像データ(端末指示情報)を表示部13に表示させるように処理するものである。さらに処理部35は、通信部12にて受信した端末指示情報を表示部13に表示する際、受光センサ32にて測定した受光量及びテーブル33に基づき、表示部13による表示の輝度を適正値に調整(設定)する。
【0049】
ただし、車両1は、表示部13がボディ2の表面に設けられているという構造上、夜間や暗いトンネルなどの周囲が暗い状況下での走行中に、従来の車両のように、他車からのヘッドランプにて照射されれば鮮明に視認できるといったものではない(自らが発光するものであるため)。
【0050】
そのため、周囲が暗い状況下、すなわち受光量がほぼ0の状況下であっても、表示部13による表示の輝度はある程度確保するように、テーブル33を設定する必要がある。
【0051】
また、受光量については、受光センサ32が室内に設けられている都合上、車外からフロントウィンドウガラス36を透過してきた光を測定することになるため、テーブル33を設定する際には当該フロントウィンドウガラス36の透過率を考慮しておく必要がある。
【0052】
また、情報通信端末100に(実施例1にて説明した)専用のアプリケーションソフトウェア101をインストールしておき、当該アプリケーションソフトウェア101を操作することで、表示部13による表示の輝度を手動調整することができるようにしてもよい。
【0053】
ただし、このようにユーザ自らが輝度を調整できるものとすると、悪意のあるユーザが、受光量に対し極端な輝度(夜間に周囲の人の目を眩ませるほど明るくしたり、逆に周囲の人が視認できないほど暗くしたりなど)の設定をする可能性があるので、これを防止するために、上記手動調整の調整可能範囲すなわち上限値及び下限値を設けた方が良い。
【0054】
そして、上記上限値及び上記下限値は、受光センサ32の受光量及びテーブル33に基づき表示装置31が設定する輝度の値を中間値として設定するのが好ましい。
【0055】
このようにして本実施例では、実施例1,2の作用効果に加え、周囲の明るさに応じて表示部13の輝度を調整することができるので、周囲の人に不快感を与えることがなく、かつ、周囲の人からの視認性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、車両表示装置及び車両表示システムとして好適である。
【符号の説明】
【0057】
1 車両
2 ボディ
3 ホイール
10,20,30 車両表示装置
11,31 表示装置
12 通信部
13,23 表示部
14,24,35 処理部
21 ホイール側表示装置
22 ホイール側通信部
32 受光センサ
33 テーブル
34 記憶部
36 フロントウィンドウガラス
37 インナーミラー
100 情報通信端末
101,102 アプリケーションソフトウェア