(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019216
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】体腔内観察システム、医療器具、制御装置、情報取得方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20230202BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B1/00 T
A61B1/00 553
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123749
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(71)【出願人】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592100441
【氏名又は名称】株式会社ソフケン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】中口 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】岸 知哉
(72)【発明者】
【氏名】西澤 祐吏
(72)【発明者】
【氏名】長尾 俊也
(72)【発明者】
【氏名】駒村 武夫
(72)【発明者】
【氏名】駒村 賢三
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160FF42
4C160FF48
4C160FF56
4C160MM32
4C160NN06
4C161AA24
4C161GG27
4C161HH52
(57)【要約】
【課題】処置具と体内の組織との誤接触のリスクの低減を図る。
【解決手段】体腔内観察システム1は、医療器具としてのトロカール10と、制御装置30とを備える。トロカール10は、体腔内に挿入される長尺状の挿入部11であって、先端部11aから処置具3が挿入部11の長尺方向に進退移動可能な挿入部11と、挿入部11に設けられ、先端部11aから突出する処置具3を撮像可能なカメラ部17と、カメラ部17の近傍に設けられ、長尺方向に存在する測定対象2までの距離に関する第1情報を取得するセンサ17と、を備える。制御装置30は、制御部33を備える。制御部33は、カメラ部13の撮像画像と、第1情報とを取得し、撮像画像に基づき、先端部11aから処置具3の先端までの距離に関する第2情報を取得する。制御部33は、第1情報と第2情報とに基づき、処置具3の先端から測定対象2までの距離に関する第3情報を取得する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具と、前記医療器具から情報を取得する制御装置とを備える体腔内観察システムであって、
前記医療器具は、
体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部と、
前記挿入部に設けられ、前記先端部から突出する前記処置具を撮像可能なカメラ部と、
前記カメラ部の近傍に設けられ、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得するセンサと、を備え、
前記制御装置は、
前記カメラ部の撮像画像と、前記第1情報とを取得し、前記撮像画像に基づき、前記先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得し、前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得する制御部を備える、体腔内観察システム。
【請求項2】
請求項1に記載の体腔内観察システムにおいて、
前記制御部は、前記取得した第3情報に応じた処理を行う、体腔内観察システム。
【請求項3】
請求項2に記載の体腔内観察システムにおいて、
前記体腔内を撮像する第2の医療器具をさらに備え、
前記制御部は、前記第2の医療器具の撮像画像に前記挿入部および前記処置具の少なくとも一方が含まれるか否かに応じて、前記処理を制御する、体腔内観察システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の体腔内観察システムにおいて、
前記挿入部は、前記処置具を挿通可能な挿通路を備え、前記挿通路を介して前記処置具を前記先端部から突出させる、体腔内観察システム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の体腔内観察システムにおいて、
前記処置具は、前記先端部に取り付けられる、体腔内観察システム。
【請求項6】
体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部と、
前記挿入部に設けられ、前記先端部から突出する前記処置具を撮像可能なカメラ部と、
前記カメラ部の近傍に設けられ、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得するセンサと、を備える医療器具。
【請求項7】
体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部を備える医療器具から情報を取得する制御装置であって、
前記挿入部に設けられたカメラ部から、前記先端部から突出する前記処置具を撮像した撮像画像を取得し、前記カメラ部の近傍に設けられたセンサから、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得し、前記撮像画像に基づき、前記先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得し、前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得する制御部を備える、制御装置。
【請求項8】
体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部を備える医療器具から情報を取得する情報取得方法であって、
前記挿入部に設けられたカメラ部が、前記先端部から突出する前記処置具を撮像するステップと、
前記カメラ部の近傍に設けられたセンサが、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得するステップと、
前記カメラ部の撮像画像に基づき、前記先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得するステップと、
前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得するステップと、を含む情報取得方法。
【請求項9】
体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部を備える医療器具から情報を取得する制御装置のコンピュータに、
前記挿入部に設けられたカメラ部から、前記先端部から突出する前記処置具を撮像した撮像画像を取得する処理と、
前記カメラ部の近傍に設けられたセンサから、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得する処理と、
前記撮像画像に基づき、前記先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得する処理と、
前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得する処理と、を実行させるプログラム。
【請求項10】
医療器具と、前記医療器具から情報を取得する制御装置を備える体腔内観察システムであって、
前記医療器具は、
体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部と、
前記挿入部に設けられ、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得するセンサと、
前記挿入部の先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得する情報取得部と、を備え、
前記制御装置は、前記第1情報と、前記第2情報とを取得し、前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得する制御部を備える、体腔内観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、体腔内観察システム、医療器具、制御装置、情報取得方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、開腹が不要な低侵襲な外科手術として、腹腔鏡手術および胸腔鏡手術などの鏡視下手術が知られている。鏡視下手術では、腹腔あるいは胸腔などの体腔内の視野を確保するために、例えば、内視鏡が用いられる。また、鏡視下手術では、鉗子、電気メスおよびステープラーなどの処置具、および、処置具を体腔内に挿入するための挿入補助具であるトロカールが用いられる。
【0003】
鏡視下手術では、処置対象の部位の視野は、例えば、内視鏡の撮像画像によって提供される(例えば、特許文献1参照)。そのため、鏡視下手術においては、処置対象の部位の肉眼観察が可能な開腹手術と比べて、視野が著しく制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような鏡視下手術においては、処置具と体内の組織との誤接触のリスクの低減が望まれている。
【0006】
本開示の目的は、処置具と体内の組織との誤接触のリスクの低減を図ることができる体腔内観察システム、医療器具、制御装置、情報取得方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決すべく、第1の観点による体腔内観察システムは、医療器具と、前記医療器具から情報を取得する制御装置とを備える体腔内観察システムであって、前記医療器具は、体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部と、前記挿入部に設けられ、前記先端部から突出する前記処置具を撮像可能なカメラ部と、前記カメラ部の近傍に設けられ、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得するセンサと、を備え、前記制御装置は、前記カメラ部の撮像画像と、前記第1情報とを取得し、前記撮像画像に基づき、前記先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得し、前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得する制御部を備える。
【0008】
また、第2の観点による医療器具は、体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部と、前記挿入部に設けられ、前記先端部から突出する前記処置具を撮像可能なカメラ部と、前記カメラ部の近傍に設けられ、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得するセンサと、を備える。
【0009】
また、第3の観点による制御装置は、体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部を備える医療器具から情報を取得する制御装置であって、前記挿入部に設けられたカメラ部から、前記先端部から突出する前記処置具を撮像した撮像画像を取得し、前記カメラ部の近傍に設けられたセンサから、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得し、前記撮像画像に基づき、前記先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得し、前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得する制御部を備える。
【0010】
また、第4の観点による情報取得方法は、体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部を備える医療器具から情報を取得する情報取得方法であって、前記挿入部に設けられたカメラ部が、前記先端部から突出する前記処置具を撮像するステップと、前記カメラ部の近傍に設けられたセンサが、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得するステップと、前記カメラ部の撮像画像に基づき、前記先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得するステップと、前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得するステップと、を含む。
【0011】
また、第5の観点によるプログラムは、体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部を備える医療器具から情報を取得する制御装置のコンピュータに、前記挿入部に設けられたカメラ部から、前記先端部から突出する前記処置具を撮像した撮像画像を取得する処理と、前記カメラ部の近傍に設けられたセンサから、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得する処理と、前記撮像画像に基づき、前記先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得する処理と、前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得する処理と、を実行させる。
【0012】
また、第6の観点による体腔内観察システムは、医療器具と、前記医療器具から情報を取得する制御装置を備える体腔内観察システムであって、前記医療器具は、体腔内に挿入される長尺状の挿入部であって、先端部から処置具が前記挿入部の長尺方向に進退移動可能な挿入部と、前記挿入部に設けられ、前記長尺方向に存在する測定対象までの距離に関する第1情報を取得するセンサと、前記挿入部の先端部から前記処置具の先端までの距離に関する第2情報を取得する情報取得部と、を備え、前記制御装置は、前記第1情報と、前記第2情報とを取得し、前記第1情報と前記第2情報とに基づき、前記処置具の先端から前記測定対象までの距離に関する第3情報を取得する制御部を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る体腔内観察システム、医療器具、制御装置、情報取得方法およびプログラムによれば、処置具と体内の組織との誤接触のリスクの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の一実施形態に係る体腔内観察システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示すトロカールの構成例を示す図であり、カメラ部が格納位置にある状態を示す図である。
【
図3】
図2に示すトロカールに、トロカールシャフトが装着された状態を示す図である。
【
図4】
図2に示すカメラ部が展開位置にある状態を示す図である。
【
図5】
図3に示すカメラ部が展開位置にある状態を示す図である。
【
図6】
図2に示すトロカールの先端部を拡大した図である。
【
図7】
図1に示す制御装置の構成例を示す図である。
【
図8】
図7に示す制御部による処置具の先端から測定対象までの距離の測定について説明するための図である。
【
図9】カメラ部の撮像画像を模式的に示す図である。
【
図10A】
図7に示す制御部による、挿入部の先端から処置具の先端までの距離の測定の一例について説明するための図である。
【
図10B】
図7に示す制御部による、挿入部の先端から処置具の先端までの距離の測定の他の一例について説明するための図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る体腔内観察システムの別の構成例を示す図である。
【
図12】
図1に示す体腔内観察システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本開示の一実施形態に係る体腔内観察システムのさらに別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態に係る体腔内観察システム1の構成例を示す図である。鏡視下手術においては、視野の死角ができるだけ少ないことが好ましい。また、術者は、術野への没入感から死角に対する配慮が薄れる可能性がある。そのため、鏡視下手術における処置具を用いた操作、例えば、死角で頻繁に行われる操作である鉗子の挿抜などにおいて、処置具の先端と体内の組織との誤接触のリスクを低減する技術が望まれている。本実施形態に係る体腔内観察システム1は、処置具の先端と測定対象との距離を測定することで、処置具と体内の組織との誤接触のリスクの低減を図るものである。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る体腔内観察システム1は、医療器具としてのトロカール10と、警告装置20と、制御装置30とを備える。
【0018】
トロカール10は、腹腔鏡手術および胸腔鏡手術などの鏡視下手術において、鉗子、電気メスおよびステープラーなどの処置具を患者の体腔内に挿入するための挿入ポートとして利用される医療器具である。鏡視下手術では、例えば、患者の腹部が切開され、形成された切開部にトロカール10が挿入されて固定される。後述するように、トロカール10には、処置具を挿通可能な挿通路が設けられており、トロカール10の挿通路を介して処置具が患者の体腔内に挿入される。
【0019】
【0020】
図2に示すように、トロカール10は、挿入部11と、ヘッド部12と、カメラ部13とを備える。
【0021】
挿入部11は、長尺状の円筒部材である。挿入部11は、患者の腹部などを切開して形成された切開部から患者の体内に挿入される。挿入部11は、挿入部11の長尺方向(軸方向)に延在する、処置具などを挿通可能な挿通路14を備える。挿入部11の基端側には、ヘッド部12が設けられる。挿入部11の先端側にはカメラ部13が設けられる。
【0022】
ヘッド部12は、挿入部11よりも大口径の円筒部材である。例えば、腹腔鏡手術では、トロカール10を介して炭酸ガスを腹腔内に注入することにより腹腔を拡張する気腹処置が行われる。ヘッド部12には、例えば、腹腔内から体外へのガス漏れを防止する気密構造ユニットが収容される。また、ヘッド部12には、例えば、制御装置30と電気的に接続するための通信ケーブル(図示せず)を接続するためのコネクタが収容される。当該コネクタを介して、後述するカメラ部13の撮像画像などが、制御装置30に伝送される。挿通路14は、ヘッド部12を貫通する。したがって、ヘッド部12の基端側から処置具などを挿通路14に挿入することができる。
【0023】
挿入部11が患者の体腔内に挿入される場合、
図3に示すように、トロカール10にトロカールシャフト15が装着される。トロカールシャフト15は、挿通路14の基端側からトロカール10に挿入されて装着される。トロカールシャフト15がトロカール10に装着された状態で、挿入部11の先端部11aからは、トロカールシャフト15の先端に設けられた穿刺部15aが突出する。穿刺部15aは、例えば、
図3に示すように、挿入部11の軸回りの外径が先端で最も小さく、基端側に向かって徐々に大きくなる先細形状を有する。
図3に示す例では、穿刺部15aの形状は、挿入部11の軸方向に沿って切断した断面において、外周面を示す輪郭線が曲線となる砲弾型である。穿刺部15aの形状は、例えば、挿入部11の軸方向に沿って切断した断面において、外周面を示す輪郭線が直線となる円錐形状であってもよい。トロカール10を体腔内に挿入する際には、穿刺部15aから患者の切開部に穿刺される。穿刺部15aによって切開部が押し広げられ、押し広げられた切開部に穿刺部15aの後方の挿入部11が挿入される。
【0024】
挿入部11が患者の体腔内に挿入され、トロカール10が固定された後、トロカールシャフト15はトロカール10から抜き取られる。トロカールシャフト15がトロカール10から抜き取られた後、処置具が挿通路14に挿入される。挿通路14に挿入された処置具は、挿入部11の先端部11aから突出し、体腔内に挿入される。挿通路14に挿入された処置具は、術者の操作などにより、挿入部11の先端部11aから挿入部11の長尺方向に進退移動可能である。
【0025】
カメラ部13は、挿入部11の先端部11aから突出する処置具が撮像可能となるように挿入部11に配置される。カメラ部13は、例えば、
図2に示すように、挿入部11の先端部11aの近傍に設けられる。カメラ部13は、
図2に示すように、円筒状の挿入部11の内部に格納された格納位置と、
図4,5に示すように、円筒状の挿入部11の外周面から突出する方向に展開する展開位置との間で変位する。挿入部11の先端部11aから突出する処置具を撮影可能なように、カメラ部13は、展開位置において撮影レンズが挿入部11の先端側を向くように配置される。なお、
図4は、トロカールシャフト15が装着されていないトロカール10において、カメラ部13が展開位置にある状態を示す図である。また、
図5は、トロカールシャフト15が装着されたトロカール10において、カメラ部13が展開位置にある状態を示す図である。
【0026】
カメラ部13は、挿入部11の体腔内への挿入が完了するまでは、格納位置に保持され、挿入部11の体腔内への挿入が完了すると、展開位置に展開される。そのため、カメラ部13は、挿入部11の体腔内への挿入の妨げとなることを防ぎ、挿入部11の体腔内への挿入後は、挿入部11の先端部11aから突出する処置具を撮像することができる。
【0027】
【0028】
上述したように、カメラ部13は、格納位置(
図2,3)と展開位置(
図4,5)とで変位可能である。カメラ部13は、例えば、
図6に示すように、基端側を支点に、格納位置と展開位置との間で回動自在に設けられる。このような構成は、例えば、挿入部11を、内筒と、内筒の外側に設けられ、内筒に対して軸方向にスライド可能な外筒とで構成することで実現可能である。具体的には、挿入部11の内筒に、回動ピンにより、カメラ部13が格納位置と展開位置とで回動可能なように取り付けられる。カメラ部13には、
図6に示すように、バネ16が基端側から取り付けられる。カメラ部13は、バネ16によって展開位置に付勢される。挿入部11の内筒には、バネ16を収容するために凹部が設けられる。そのため、バネ16を挿入部11の内筒の外径から突出させることなく、カメラ部13に取り付けることができる。挿入部11の外筒は、内筒が挿入された状態でカメラ部13を径方向に押圧し、カメラ部13を格納位置で保持する。
【0029】
挿入部11の体腔への挿入の際には、挿入部11の外筒はカメラ部13を格納位置で保持するように内筒に対して固定され、挿入部11の体腔への挿入が完了すると、外筒をスライドさせることで、カメラ部13の押圧が解除される。挿入部11の外筒による押圧が解除されることで、カメラ部13は、バネ16による付勢力により、展開位置に展開することができる。
【0030】
図6に示すように、本実施形態に係るトロカール10は、センサ17をさらに備える。センサ17は、カメラ部13の近傍に設けられる。センサ17は、挿入部11の長尺方向に存在する測定対象(例えば、体内の組織)までの距離D
Tに関する第1情報を取得する。センサ17は、例えば、光学式の距離センサである。この場合、センサ17は、測定対象に向けて光を照射してから、照射した光が測定対象で反射した反射光を受光するまでの時間により測定対象までの距離D
Tを測定するTOF(Time of Flight)方式により、測定対象までの距離D
Tに関する第1情報を取得する。センサ17による距離D
Tの測定方法は上述した方式に限られるものではなく、任意の方式を用いることができる。
【0031】
図1を再び参照すると、警告装置20は、制御装置30の制御に従い、例えば、トロカール10を用いた手技を行う術者などに所定の警告を行う。警告装置20は、例えば、警告音を発する、術者が携帯している機器を振動させる、表示装置に警告画面を表示するなどの方法により、警告を行う。警告装置20自体が表示装置であってもよい。
【0032】
制御装置30は、挿入部11の先端部11aから突出する処置具の先端から測定対象までの距離に応じた所定の処理を行う。制御装置30は、体腔内観察システム1に用いられる専用のコンピュータであってよいし、汎用のコンピュータであってもよい。汎用のコンピュータである場合、制御装置30は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、ノートPC(Personal Computer)またはデスクトップPCなどであってよい。
【0033】
【0034】
図7に示すように、制御装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。
【0035】
通信部31は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースまたはBluetooth(登録商標)インタフェースなどである。通信部31は、ネットワークを介してまたは直接、トロカール10および警告装置20と通信可能である。通信部31は、カメラ部13の撮像画像を取得する。また、通信部31は、センサ17から第1情報を取得する。
【0036】
記憶部32は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリまたは光メモリであるが、これらに限定されない。記憶部32は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置またはキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部32は、制御装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラムおよび通信部31により受信された各種情報などを記憶してよい。記憶部32に記憶された情報は、例えば、通信部31を介して受信される情報を用いて更新可能であってもよい。記憶部32の一部は、制御装置30の外部に設置されてよい。その場合、外部に設置される記憶部32の一部は、任意のインタフェースを介して制御装置30と接続されてよい。
【0037】
制御部33は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路またはこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)もしくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサまたは特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部33は、制御装置30の各部を制御しながら、制御装置30の動作に関わる処理を実行する。
【0038】
制御部33は、通信部31を介して、トロカール10のカメラ部13から撮像画像を取得する。また、制御部33は、通信部31を介して、トロカール10のセンサ17から第1情報を取得する。制御部33は、取得した撮像画像に基づき、挿入部11の先端部11aから、先端部11aから突出する処置具の先端までの距離DFに関する第2情報を取得する。制御部33は、第1情報と第2情報とに基づき、処置具の先端から測定対象までの距離DNに関する第3情報を取得する。
【0039】
制御部33による距離D
Nの測定について、
図8,9を参照して説明する。
図8は、挿入部11の先端部11aから、挿入部11の長尺方向に存在する測定対象2(例えば、体内の組織)に向かって、処置具3が突出した状態を示す図である。
図9は、
図8に示す状態における、カメラ部13の撮像画像を模式的に示す図である。なお、
図8では、説明の都合上、カメラ部13、および、センサ17の挿入部11に対するサイズ、厚み等が大きく表されている。
【0040】
上述したように、センサ17は、挿入部11の長尺方向に存在する測定対象2までの距離DTに関する第1情報を取得する。センサ17は、例えば、TOF方式により、第1情報を取得する。
【0041】
カメラ部13は、挿入部11の先端部11aから、挿入部11の長尺方向に突出する処置具3を撮像可能である。したがって、カメラ部13の撮像画像には、
図9に示すように、測定対象2に向かって延在する処置具3が含まれる。制御部33は、カメラ部13の撮像画像を解析することで、挿入部11の先端部11aから、先端部11aから突出する処置具の先端までの距離D
Fを算出する。トロカール10に装着されたカメラ部13と、先端部11aから突出する処置具3との位置関係は固定である。制御部33は、この位置関係に基づき、カメラ部13の撮像画像を解析して距離D
Fを算出し、距離D
Fに関する第2情報を取得する。
【0042】
制御部33は、第1情報と、第2情報とに基づき、処置具3の先端から測定対象2までの距離D
Nに関する第3情報を取得する。上述したように、センサ17は、カメラ部13の近傍に設けられている。この場合、制御部33は、
図8に示すように、距離D
Tから距離D
Tを引くことで、処置具3の先端から測定対象2までの距離D
Nを算出し、距離D
Nに関する第3情報を取得することができる。
【0043】
トロカール10にカメラ部13を設けることで、体腔内に挿入した処置具3の先端を常時観察することが可能である。しかしながら、処置具3の先端とその近傍の組織との距離を視覚的に把握することが難しく、処置具3と体内の組織との誤接触の防ぐことが困難である。本開示によれば、カメラ部13の近傍に設けられたセンサ17が、挿入部11の長尺方向に存在する測定対象2(例えば、体内の組織)までの距離DTに関する第1情報を取得する。また、制御部33は、カメラ部13の撮像画像により、挿入部11の先端部11aから、先端部11aから突出する処置具3の先端までの距離DFに関する第2情報を取得する。そして、制御部33は、第1情報と第2情報とに基づき、処置具3の先端から測定対象2までの距離DNに関する第3情報を取得する。
【0044】
このように、距離DTに関する第1情報と距離DFに関する第2情報とに基づき、処置具3の先端から測定対象2までの距離DNを算出することで、距離DNを高精度に測定することができる。したがって、本開示によれば、処置具3と体内の組織との誤接触のリスクの低減を図ることができる。
【0045】
距離D
Fの算出方法は、上述したカメラ部13と、先端部11aから突出する処置具3との位置関係に基づいて算出する方法に限られない。例えば、処置具3の先端から基端側に向かって、目盛りなどの周期的な構造3a(
図10A)あるいは複数の色からなる周期的な模様3b(
図10B)が設けられている場合、制御部33は、周期的な構造3aあるいは模様3bを用いて、距離D
Nに関する第3情報を取得してもよい。なお、
図10Bにおいては、ハッチングにより色の相違を示している。この場合、制御部33は、処置具3が移動する際にカメラ部13により連続的に撮像された撮像画像に基づき、距離D
Fに関する第2情報を取得してよい。例えば、制御部33は、カメラ部13の撮像画像の特定領域(例えば、挿入部11の先端部11aの近傍の領域)における、周期的な構造3aまたは周的な模様3bに基づく画素情報の変化が起こった回数に基づき、距離D
Fに関する第2情報を取得してよい。
【0046】
図1を再び参照すると、制御部33は、取得した第3情報に応じた処理を行う。具体的には、制御部33は、取得した第3情報に応じて、警告装置20により術者などに対して警告を行う。例えば、制御部33は、第3情報に示される距離D
Nが所定の閾値以下である場合、警告装置20を用いて、術者などに警告を行う。
【0047】
本開示に係る体腔内観察システム1は、
図11に示すように、第2の医療器具としての内視鏡40をさらに備えてよい。内視鏡40は、本開示に係るトロカール10あるいはカメラ部13を有さない一般的なトロカールを用いて体腔内に挿入され、体腔内を撮像する。内視鏡40は特に、鏡視下手術による処置対象の部位およびその周辺を撮像するように配置される。
【0048】
制御部33は、内視鏡40の撮像画像に挿入部11および処置具3の少なくとも一方が含まれるか否かに応じて、警告装置20による所定の処理(術者などに対する警告)を制御してよい。例えば、制御部33は、内視鏡40の撮像画像に挿入部11および処置具3の少なくとも一方が含まれている場合、処置具3の先端から測定対象2までの距離DNが所定の閾値以下であっても警告装置20による警告を行わない。
【0049】
上述したように、内視鏡40は、鏡視下手術における処置対象の部位およびその周辺を撮像するように配置される。内視鏡40の撮像画像に挿入部11および処置具3の少なくとも一方が含まれる場合、処置対象の部位の近傍まで挿入部11あるいは処置具3が接近している、すなわち、正当な操作により、挿入部11あるいは処置具3が生体の組織に接近していると考えられる。このような場合、警告は不要であるため、制御部33は、内視鏡40の撮像画像に挿入部11および処置具3の少なくとも一方が含まれていれば、距離DNが所定の閾値以下であっても警告を行わないようにする。こうすることで、不要な警告が行われることを防ぐことができる。また、この場合において測定対象2は処置対象の部位となる。そのため、距離DNは、処置対象の部位となる測定対象2と、処置具3との距離として取得することができる。よって、距離DNを利用することで、処置具3を測定対象2に従来よりも安全に接近させることができる。
【0050】
次に、本実施形態に係る体腔内観察システム1の動作について説明する。
【0051】
図12は、本実施形態に係る体腔内観察システム1の動作の一例を示すフローチャートであり、体腔内観察システム1による情報取得方法について説明するための図である。
【0052】
上述したように、挿入部11が体腔内に挿入されと、カメラ部13は、保持位置から展開位置に展開される。展開位置に展開、あるいは、所定の操作などに応じて、カメラ部13は、撮像を開始する。挿入部11の先端部11aから処置具3が突出すると、その処置具3がカメラ部13により撮像される(ステップS11)。
【0053】
センサ17は、挿入部11が体腔内に挿入されと、挿入部11の長尺方向に存在する測定対象2までの距離DTに関する第1情報を取得する(ステップS12)。上述したように、センサ17は、例えば、TOF方式により第1情報を取得する。
【0054】
制御部33は、通信部31を介して、カメラ部13から撮像画像を取得し、センサ17から第1情報を取得する。制御部33は、取得した撮像画像に基づき、挿入部11の先端部11aから処置具3の先端までの距離DFに関する第2情報を取得する(ステップS13)。上述したように、制御部33は、例えば、カメラ部13と処置具3との位置関係に基づき、第2情報を取得する。
【0055】
制御部33は、第1情報と第2情報とに基づき、処置具3の先端から測定対象2までの距離D
Nに関する第3情報を取得する(ステップS14)。
図8を参照して説明したように、制御部33は、第1情報に示される距離D
Tから第2情報に示される距離D
Fを引くことで、距離D
Nに関する第3情報を取得することができる。
【0056】
このように本実施形態に係る体腔内観察システム1は、医療器具としてのトロカール10と、制御装置30とを備える。トロカール10は、体腔内に挿入される長尺状の挿入部11と、カメラ部13と、センサ17とを備える。挿入部11は、先端部11aから処置具3が挿入部11の長尺方向に進退移動可能である。カメラ部13は、挿入部11に設けられ、先端部11aから突出する処置具3を撮像可能である。センサ17は、カメラ部13の近傍に設けられ、挿入部11の長尺方向に存在する測定対象2までの距離DTに関する第1情報を取得する。制御装置30は、制御部33を備える。制御部33は、カメラ部13の撮像画像と、第1情報とを取得する。制御部33は、撮像画像に基づき、挿入部11の先端部11aから処置具3の先端までの距離DFに関する第2情報を取得する。制御部33は、第1情報と第2情報とに基づき、処置具3の先端から測定対象2までの距離DNに関する第3情報を取得する。
【0057】
このように、距離DTに関する第1情報と距離DFに関する第2情報とに基づき、処置具3の先端から測定対象2までの距離DNを算出することで、距離DNを高精度に測定することができる。したがって、本開示によれば、処置具と体内の組織との誤接触のリスクの低減を図ることができる。
【0058】
なお、上述した実施形態においては、処置具3は、トロカール10の挿通路14を介して体内に挿入される例を用いて説明したが、本開示はこれに限られるものではない。例えば、処置具3は、挿入部11の先端部11aに取り付けられ、挿入部11の長尺方向に伸縮可能であってもよい。
【0059】
また、上述した実施形態においては、医療器具としてトロカール10の例を用いて説明したが、本開示はこれに限られるものではない。例えば、医療器具は、少なくとも体腔内に当該医療器具の一部を入れることが可能な構成を有し、体腔内に入っている部分にカメラ部、センサ、および、センサの測定対象の方向に伸縮可能な処置具を備えていればよい。
【0060】
また、上述した実施形態においては、カメラ部13の撮像画像に基づき、挿入部11の先端部11aから処置具3の先端までの距離D
Fに関する第2情報を取得する例を用いて説明したが、本開示はこれに限られるものではない。トロカール10は、カメラ部13の代わりに、または、カメラ部13に加えて、
図13に示すように、情報取得部18をさらに備えてよい。
【0061】
情報取得部18は、挿入部11の先端部11aから処置具3の先端までの距離DFに関する第2情報を取得する。例えば、処置具3の進退移動に伴って回転するローラーがトロカール10に設けられている場合、情報取得部18は、ローラーの回転数をカウントすることで、距離DFに関する第2情報を取得する。また、例えば、処置具3に照射された光の反射光を検出する光センサがトロカールに設けられている場合、情報取得部18は、光センサの検出結果から処置具3の進退移動を検出することで、距離DFに関する第2情報を取得する。
【0062】
トロカール10が情報取得部18を備える場合、制御装置30の制御部33は、センサ17が取得した第1情報と、情報取得部18が取得した第2情報とに基づき、処置具3の先端から測定対象2までの距離DNに関する第3情報を取得する。
【0063】
本開示に係る実施形態について、諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形または改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0064】
また、上述したように、制御装置30は、コンピュータとプログラムとによっても実現することができる。また、当該プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMおよびDVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。また、当該プログラムは、ネットワークを介して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 体腔内観察システム
2 測定対象
3 処置具
10 トロカール(医療器具)
11 挿入部
11a 先端部
12 ヘッド部
13 カメラ部
14 挿通路
15 トロカールシャフト
15a 穿刺部
16 バネ
17 センサ
18 情報取得部
20 警告部
30 制御装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
40 内視鏡(第2の医療器具)