(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019254
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】車両通信システム及び車両
(51)【国際特許分類】
G01S 19/40 20100101AFI20230202BHJP
【FI】
G01S19/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123852
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】谷川 颯
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062BB01
5J062CC07
5J062DD24
5J062FF01
(57)【要約】
【課題】車両の周辺環境や携帯端末の状態に応じて、適切な位置情報取得手段を選定することで、位置情報の精度向上及び安定したシステム運用を実現することができる車両通信システム及び当該車両通信システムを具備する車両を提供する。
【解決手段】制御部27は、車両1の現在位置及び携帯端末20の状態のうちの少なくとも一つに基づいて、アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、携帯端末20に設けられる複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから第1位置情報を取得するか、又は車載装置30に設けられる第2位置情報取得部32から第2位置情報を取得するか、を決定するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に設けられ、車両内の前記携帯端末自身の位置情報を示す第1位置情報を取得するように各々構成される複数の第1位置情報取得部と、
前記携帯端末と通信可能である車載装置に設けられ、前記車載装置自身の位置情報を示す第2位置情報を取得するように構成される第2位置情報取得部と、
前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより取得された前記第1位置情報又は前記第2位置情報取得部により取得された前記第2位置情報を、前記車両の位置情報として示すためのアプリケーションの表示画面を生成するように構成される制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記車両の現在位置及び前記携帯端末の状態のうちの少なくとも一つに基づいて、前記アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、(i)前記携帯端末に設けられる前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つから前記第1位置情報を取得するか、又は(ii)前記車載装置に設けられる前記第2位置情報取得部から前記第2位置情報を取得するか、を決定するように構成される、
車両通信システム。
【請求項2】
前記第1位置情報又は前記第2位置情報に基づいて、前記車両が、第1エリア及び前記第1エリアと比較して、前記第1位置情報取得部における電波強度が弱い第2エリアのどちらに位置しているかを判定する位置判定処理を実行する位置判定処理部をさらに具備し、
前記制御部は、
前記位置判定処理部により前記車両が前記第1エリアに位置していると判定された場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、
前記位置判定処理部により前記車両が前記第2エリアに位置していると判定された場合、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とする、
請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項3】
前記携帯端末の状態情報を取得する携帯端末状態情報取得部と、
前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の状態情報に基づいて、前記携帯端末の状態を判定する状態判定処理を実行する状態判定処理部と、
をさらに具備し、
前記制御部は、前記位置判定処理部による判定結果及び前記状態判定処理部による判定結果に基づいて、前記アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、(i)前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つから前記第1位置情報を取得するか、又は(ii)前記第2位置情報取得部から前記第2位置情報を取得するか、を決定するように構成される、
請求項2に記載の車両通信システム。
【請求項4】
前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の温度を取得し、
前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、
前記制御部は、前記位置判定処理部により前記車両が前記第1エリアに位置していると判定された場合であって、前記状態判定処理部による判定の結果、
(i)前記携帯端末の温度が所定の閾値未満である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、
(ii)前記携帯端末の温度が所定の閾値以上である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とする、
請求項3に記載の車両通信システム。
【請求項5】
前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の電池残量を取得し、
前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、
前記制御部は、前記位置判定処理部により前記車両が前記第1エリアに位置していると判定された場合であって、前記状態判定処理部による判定の結果、
(i)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値以上である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、
(ii)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とする、
請求項3に記載の車両通信システム。
【請求項6】
前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の温度を取得し、
前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する前記状態判定処理をさらに実行し、
前記制御部は、前記位置判定処理部により前記車両が前記第1エリアに位置していると判定された場合であって、前記状態判定処理部による判定の結果、
(i)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値以上であり、かつ前記携帯端末の温度が所定の閾値未満である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、
(ii)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満である場合、又は前記携帯端末の温度が所定の閾値以上である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とする、
請求項5に記載の車両通信システム。
【請求項7】
前記携帯端末の状態情報を取得する携帯端末状態情報取得部と、
前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の状態情報に基づいて、前記携帯端末の状態を判定する状態判定処理を実行する状態判定処理部と、
をさらに具備し、
前記制御部は、前記状態判定処理部による判定結果に基づいて、前記アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、(i)前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つから前記第1位置情報を取得するか、又は(ii)前記第2位置情報取得部から前記第2位置情報を取得するか、を決定するように構成される、
請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項8】
前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の温度を取得し、
前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、
前記制御部は、前記状態判定処理部による判定の結果、
(i)前記携帯端末の温度が所定の閾値未満である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、
(ii)前記携帯端末の温度が所定の閾値以上である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とする、
請求項7に記載の車両通信システム。
【請求項9】
前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の電池残量を取得し、
前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、
前記制御部は、前記状態判定処理部による判定の結果、
(i)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値以上である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、
(ii)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とする、
請求項7に記載の車両通信システム。
【請求項10】
前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の温度を取得し、
前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、
前記制御部は、前記状態判定処理部による判定の結果、
(i)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値以上であり、かつ前記携帯端末の温度が所定の閾値未満である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、
(ii)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満である場合、又は前記携帯端末の温度が所定の閾値以上である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とする、
請求項9に記載の車両通信システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の車両通信システムを具備する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通信システム及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット等の携帯端末で実行するアプリケーションを、車両の車載装置において動作するIVI(In-Vehicle Information System)向けにユーザインタフェースを再構築して、表示させるシステムが存在している。これらのシステムには、地図アプリケーションが含まれることが多い。通常、これらの地図アプリケーションは、携帯端末単体で利用する際には、携帯端末により取得される位置情報を参照し、上記車載装置と携帯端末とを電気的に接続した場合には、車載装置により取得される位置情報及び携帯端末により取得される位置情報のどちらか一方を参照する。
【0003】
ここで、携帯端末により取得される位置情報として、例えば、携帯端末内のセルラーモデムに組み込まれたGNSS(Global Navigation Satellite System)モジュール(例えば、GPS(Global Positioning System)、BEIDOU、QZSS(登録商標)、Galileo、GLONASS等の一般に知られているシステムモジュール)により取得した位置情報、若しくはセルラー方式の通信回線(例えば、GSM(登録商標)やCDMA、LTE、GPRS(General Packet Radio Service)、5GNR等の一般に知られている回線)の基地局により測位した位置情報、又はWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)から得られた信号に紐づく位置情報が使用されている。また、車載装置により取得される位置情報として、例えば、車載装置自身に組み込まれたGNSSモジュールにより取得した位置情報が使用されている。
【0004】
また、近年では、上記GNSSモジュールによる位置情報の精度低下が生じるとされる都市部等の場所においても、都市部の3Dデータ(特に、高層ビル群の3Dデータ)を取得し、取得した都市部の3Dデータを基に、ビルによるGNSSモジュールの電波の反射を計算して、GNSSモジュールから取得される位置情報を補正する仕組みが使用され、より高精度な位置情報を取得できる仕組みが当該携帯端末に組み込まれている。これらの仕組みから、携帯端末により取得される位置情報の精度は、車載装置に搭載されるGNSSモジュール単体により取得される位置情報の精度と比較して、優れているという利点がある。
【0005】
しかしながら、上記携帯端末の電池容量が限られるため、携帯端末において、頻繁に上記各手法による測位を実行できないという欠点がある。また、各手法による測位は、通常の携帯端末の使用より電力を多く使用するため、携帯端末の使用可能時間の短縮、携帯端末の発熱を引き起こすという欠点がある。
一方で、上記車載装置は、携帯端末より多くの電池容量を持ち、さらに、車両に搭載されたオルタネータ等の発電設備から常に電力供給を受けることができる。このため、電力消費を気にせず、GNSSモジュールを使用できるという利点がある。また、車載装置に搭載されるGNSSモジュールとして、10Hzのデータ取得周期のものが搭載されている場合が多く、上記携帯端末に搭載されるGNSSモジュールと比較して、車載装置に搭載されるGNSSモジュールの時間分解能が優れている。これらのことから、GNSSモジュール単体同士での位置情報の精度を比較した場合、車載装置に搭載されるGNSSモジュールの方が携帯端末に搭載されるGNSSモジュールより優れている。さらに、車載装置に搭載されるGNSSアンテナは、携帯端末に搭載されるGNSSアンテナよりサイズの大きいことや、車内の適切な位置にGNSSアンテナが設置されていることから、車内での利用については、車載装置に搭載されるGNSSモジュールにより取得された位置情報の精度は、携帯端末に搭載されるGNSSモジュールにより取得された位置情報の精度と比較して、高い場合がある。
【0006】
しかしながら、車両は、携帯端末のように、上記Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、セルラー方式の通信回線による測位機能、ビルの3Dデータによる位置情報の補正等の機能を使用することができないため、例えば、高層ビル群等の場所において、GNSSモジュールにより電波を捕捉しづらい。このため、電波が反射する環境においては、位置情報の精度が低下するという欠点がある。
【0007】
これらの欠点に鑑みて、携帯端末を車載装置に接続して、地図アプリケーションを使用する際にも、より高精度な携帯端末側の位置情報を極力参照できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、車両の周辺環境や携帯端末の状態に応じて、適切な位置情報取得手段を選定することで、位置情報の精度向上及び安定したシステム運用を実現することができる車両通信システム及び当該車両通信システムを具備する車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様として実現することができる。本態様に係る車両通信システムは、携帯端末に設けられ、車両内の前記携帯端末自身の位置情報を示す第1位置情報を取得するように各々構成される複数の第1位置情報取得部と、前記携帯端末と通信可能である車載装置に設けられ、前記車載装置自身の位置情報を示す第2位置情報を取得するように構成される第2位置情報取得部と、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより取得された前記第1位置情報又は前記第2位置情報取得部により取得された前記第2位置情報を、前記車両の位置情報として示すためのアプリケーションの表示画面を生成するように構成される制御部と、を具備し、前記制御部は、前記車両の現在位置及び前記携帯端末の状態のうちの少なくとも一つに基づいて、前記アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、(i)前記携帯端末に設けられる前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つから前記第1位置情報を取得するか、又は(ii)前記車載装置に設けられる前記第2位置情報取得部から前記第2位置情報を取得するか、を決定するように構成される。
【0011】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、車両の周辺環境や携帯端末の状態に応じて、適切な位置情報取得手段を選定することで、位置情報の精度向上及び安定したシステム運用を実現することができる。
また、本態様に係る車両通信システムは、前記第1位置情報又は前記第2位置情報に基づいて、前記車両が、第1エリア及び前記第1エリアよりも前記第1位置情報取得部における電波強度が弱い第2エリアのどちらに位置しているかを判定する位置判定処理を実行する位置判定処理部をさらに具備し、前記制御部は、前記位置判定処理部により前記車両が前記第1エリアに位置していると判定された場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、前記位置判定処理部により前記車両が前記第2エリアに位置していると判定された場合、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報としてもよい。
【0012】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の電波強度に応じて、第1位置情報取得部又は第2位置情報取得部を適切に選択して、位置情報を取得することができる。すなわち、本態様に係る車両通信システムは、車両の周辺環境に応じて、適切な位置情報取得手段を選定することで、より正確な位置情報を取得することができる。
また、本態様に係る車両通信システムは、前記携帯端末の状態情報を取得する携帯端末状態情報取得部と、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の状態情報に基づいて、前記携帯端末の状態を判定する状態判定処理を実行する状態判定処理部と、をさらに具備し、前記制御部は、前記位置判定処理部による判定結果及び前記状態判定処理部による判定結果に基づいて、前記アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、(i)前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つから前記第1位置情報を取得するか、又は(ii)前記第2位置情報取得部から前記第2位置情報を取得するか、を決定するように構成されていてもよい。
【0013】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の電波強度及び携帯端末の状態に応じて、第1位置情報取得部又は第2位置情報取得部を適切に選択して、第1位置情報取得部の使用を抑えつつ、携帯端末の発熱及び電力消費を抑制することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の状態を考慮しつつ、適切な位置情報取得手段を選定することで、システム停止や故障等のリスクを低減することができる。
【0014】
また、本態様に係る車両通信システムにおいて、前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の温度を取得し、前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、前記制御部は、前記位置判定処理部により前記車両が前記第1エリアに位置していると判定された場合であって、前記状態判定処理部による判定の結果、(i)前記携帯端末の温度が所定の閾値未満である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、(ii)前記携帯端末の温度が所定の閾値以上である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報としてもよい。
【0015】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の電波強度及び携帯端末の温度に応じて、第1位置情報取得部又は第2位置情報取得部を適切に選択して、第1位置情報取得部の使用を抑えつつ、携帯端末の発熱を抑制することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、正確な位置情報を取得しつつ、携帯端末の発熱に起因するシステム停止や故障等のリスクを低減することができる。
【0016】
また、本態様に係る車両通信システムにおいて、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の電池残量を取得し、前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、前記制御部は、前記位置判定処理部により前記車両が前記第1エリアに位置していると判定された場合であって、前記状態判定処理部による判定の結果、(i)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値以上である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、(ii)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報としてもよい。
【0017】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の電波強度及び携帯端末の電池残量に応じて、第1位置情報取得部又は第2位置情報取得部を適切に選択して、第1位置情報取得部の使用を抑えつつ、携帯端末の電力消費を抑制することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、正確な位置情報を取得しつつ、携帯端末の電力消費を抑制して、携帯端末の電池切れに起因するシステム停止やユーザの利便性の低下等のリスクを低減することができる。
【0018】
また、本態様に係る車両通信システムにおいて、前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の温度を取得し、前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する前記状態判定処理をさらに実行し、前記制御部は、前記位置判定処理部により前記車両が前記第1エリアに位置していると判定された場合であって、前記状態判定処理部による判定の結果、(i)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値以上であり、かつ前記携帯端末の温度が所定の閾値未満である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、(ii)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満である場合、又は前記携帯端末の温度が所定の閾値以上である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報としてもよい。
【0019】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の電波強度、並びに携帯端末の電池残量及び温度に応じて、第1位置情報取得部又は第2位置情報取得部を適切に選択して、第1位置情報取得部の使用を抑えつつ、携帯端末の発熱及び電力消費を抑制することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、正確な位置情報を取得しつつ、携帯端末の電池切れに起因するシステム停止や故障等のリスクを低減することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、正確な位置情報を取得しつつ、携帯端末の発熱に起因するシステム停止や故障等のリスクを低減することができる。
【0020】
また、本態様に係る車両通信システムは、前記携帯端末の状態情報を取得する携帯端末状態情報取得部と、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の状態情報に基づいて、前記携帯端末の状態を判定する状態判定処理を実行する状態判定処理部と、をさらに具備し、前記制御部は、前記状態判定処理部による判定結果に基づいて、前記アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、(i)前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つから前記第1位置情報を取得するか、又は(ii)前記第2位置情報取得部から前記第2位置情報を取得するか、を決定するように構成されていてもよい。
【0021】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の状態に応じて、第1位置情報取得部又は第2位置情報取得部を適切に選択して、第1位置情報取得部の使用を抑えつつ、携帯端末の発熱及び電力消費を抑制することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の状態を考慮しつつ、適切な位置情報取得手段を選定することで、システム停止や故障等のリスクを低減することができる。
【0022】
また、本態様に係る車両通信システムにおいて、前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の温度を取得し、前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、前記制御部は、前記状態判定処理部による判定の結果、(i)前記携帯端末の温度が所定の閾値未満である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、(ii)前記携帯端末の温度が所定の閾値以上である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報としてもよい。
【0023】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の温度に応じて、第1位置情報取得部又は第2位置情報取得部を適切に選択して、第1位置情報取得部の使用を抑えつつ、携帯端末の発熱を抑制することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の発熱に起因するシステム停止や故障等のリスクを低減することができる。
また、本態様に係る車両通信システムにおいて、前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の電池残量を取得し、前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、前記制御部は、前記状態判定処理部による判定の結果、(i)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値以上である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、(ii)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報としてもよい。
【0024】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の電池残量に応じて、第1位置情報取得部又は第2位置情報取得部を適切に選択して、第1位置情報取得部の使用を抑えつつ、携帯端末の電力消費を抑制することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の電力消費を抑制して、携帯端末の電池切れに起因するシステム停止やユーザの利便性の低下等のリスクを低減することができる。
【0025】
また、本態様に係る車両通信システムにおいて、前記携帯端末状態情報取得部は、前記携帯端末の状態情報として、前記携帯端末の温度を取得し、前記状態判定処理部は、前記携帯端末状態情報取得部により取得された前記携帯端末の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する前記状態判定処理を実行し、前記制御部は、前記状態判定処理部による判定の結果、(i)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値以上であり、かつ前記携帯端末の温度が所定の閾値未満である場合には、前記複数の第1位置情報取得部のいずれか一つにより前記第1位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報とし、(ii)前記携帯端末の電池残量が所定の閾値未満である場合、又は前記携帯端末の温度が所定の閾値以上である場合には、前記第2位置情報取得部により前記第2位置情報を取得して、前記表示画面の生成に使用する位置情報としてもよい。
【0026】
これにより、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の温度及び電池残量に応じて第1位置情報又は第2位置情報を適切に選択して、第1位置情報の使用を抑えつつ、携帯端末の発熱及び電力消費を抑制することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の電池切れに起因するシステム停止や故障等のリスクを低減することができる。また、本態様に係る車両通信システムは、携帯端末の発熱に起因するシステム停止や故障等のリスクを低減することができる。
【0027】
また、本態様に係る車両は、上記車両通信システムを具備する。これにより、本態様に係る車両通信システムを具備する車両は、車両の周辺環境や携帯端末の状態に応じて、適切な位置情報取得手段を選定することで、位置情報の精度向上及び安定したシステム運用を実現することができる。
【発明の効果】
【0028】
本態様に係る車両通信システム及び当該車両通信システムを具備する車両は、車両の周辺環境や携帯端末の状態に応じて、適切な位置情報取得手段を選定して、車両の位置情報を取得することで、位置情報の精度向上及び安定したシステム運用を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態に係る車両通信システムを構成する携帯端末と、当該車両通信システムを構成する車載装置(IVI)を備える車両とを示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る車両通信システムを構成する、携帯端末及び車載装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施例に係る車両通信システムの制御部において実行される、車両の現在位置に基づく位置情報取得手段の決定方法及びアプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
【
図4】第1実施例において用いられる、車両の現在位置に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。
【
図5】第2実施例に係る車両通信システムの制御部において実行される、携帯端末の温度に基づく位置情報取得手段の決定方法及びアプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第2実施例において用いられる、携帯端末の温度に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。
【
図7】第3実施例に係る車両通信システムの制御部において実行される、携帯端末の電池残量に基づく位置情報取得手段の決定方法及びアプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第3実施例において用いられる、携帯端末の電池残量に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。
【
図9】第4実施例に係る車両通信システムの制御部において実行される、車両の現在位置及び携帯端末の温度に基づく位置情報取得手段の決定方法及びアプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第4実施例において用いられる、車両の現在位置及び携帯端末の温度に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。
【
図11】第5実施例に係る車両通信システムの制御部において実行される、車両の現在位置及び携帯端末の電池残量に基づく位置情報取得手段の決定方法及びアプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
【
図12】第5実施例において用いられる、車両の現在位置及び携帯端末の電池残量に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。
【
図13】第6実施例に係る車両通信システムの制御部において実行される、携帯端末の電池残量及び温度に基づく位置情報取得手段の決定方法及びアプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
【
図14】第6実施例において用いられる、携帯端末の電池残量及び温度に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。
【
図15】第7実施例に係る車両通信システムの制御部において実行される、車両の現在位置、並びに携帯端末の電池残量及び温度に基づく位置情報取得手段の決定方法及びアプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第7実施例において用いられる、車両の現在位置、並びに携帯端末の電池残量及び温度に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る車両通信システム及び車両について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っている。
(構成)
図1は、本実施形態に係る車両通信システム100を構成する携帯端末20と、当該車両通信システム100を構成する車載装置(IVI)30を備える車両1とを示す概略構成図である。本実施形態における携帯端末20は、スマートフォンやタブレット等の一般に知られている端末装置であり、位置情報を用いるアプリケーション(例えば、地図アプリケーションやカーナビゲーションアプリケーション)を実行可能な構成を備えている。
【0031】
また、本実施形態における車載装置30は、上記携帯端末20と通信可能であり、かつ後述するハイブリッドコントロールユニット15と通信可能である。本実施形態における車載装置30は、上記携帯端末20と共に、本実施形態に係る車両通信システム100を構成している。車載装置30には、
図1に示す電圧変換装置17を介して、後述する車載電池(蓄電池)11から駆動電力が供給されている。なお、電圧変換装置17は、図示しないインバータ及びリレー回路を含み、当該車載電池11に蓄積された電力を、当該車載装置30において使用可能な電力に変換して、当該電力を車載装置30へ供給する。
【0032】
また、本実施形態における車載装置30は、ハイブリッドコントロールユニット15に対して、車両1の位置情報を、車両1周辺の地図情報等と共に提供可能である。例えば、車載装置30は、ハイブリッドコントロールユニット15に対して、上記携帯端末20において取得された位置情報(後述する第1位置情報)又は上記車載装置30自身において取得された位置情報(後述する第2位置情報)を、当該車両1の位置情報として提供可能である。
【0033】
また、本実施形態における車両1は、エンジン2の出力によって前輪3を駆動して走行可能であると共に、前輪(駆動輪)3を駆動する電動のフロントモータ4(走行用モータ)及び後輪(駆動輪)5を駆動する電動のリヤモータ6(走行用モータ)を備えた四輪駆動車である。なお、本実施形態における車両1は、例えば、車載電池11を家庭用電源又は商用電源等の外部電源によって充電可能な充電器18を備えるプラグインハイブリッド車両である。
【0034】
ここで、本実施形態における車両1は、エンジン2と、駆動機構7と、モータジェネレータ9(発電機)と、フロントモータ4と、フロントインバータ10と、リヤモータ6と、リヤインバータ12と、車載電池11とを備えている。
エンジン2は、減速機及び差動機構等を含む駆動機構7を介して、前輪3の駆動軸8を駆動可能であると共に、駆動機構7を介してモータジェネレータ9を駆動して発電させることが可能になっている。
【0035】
フロントモータ4は、フロントインバータ10を介して、車両1に搭載された車載電池11及びモータジェネレータ9から高電圧の電力を供給されて駆動し、駆動機構7を介して、前輪3の駆動軸8を駆動する。駆動機構7には、エンジン2の出力軸と前輪3の駆動軸8との間の動力の伝達を断接切換え可能なクラッチ7aが内蔵されている。
リヤモータ6は、リヤインバータ12を介して、車載電池11及びモータジェネレータ9から高電圧の電力を供給されて駆動し、減速機13を介して後輪5の駆動軸14を駆動する。
【0036】
モータジェネレータ9によって発電された電力は、フロントインバータ10を介して車載電池11を充電可能であると共に、フロントモータ4及びリヤモータ6に電力を供給可能である。
フロントインバータ10は、フロントモータコントロールユニット10a及びジェネレータコントロールユニット10bを含む。フロントモータコントロールユニット10aは、ハイブリッドコントロールユニット15からの制御信号に基づきフロントモータ4の出力を制御する。ジェネレータコントロールユニット10bは、ハイブリッドコントロールユニット15からの制御信号に基づきモータジェネレータ9の出力を制御する機能を有する。
【0037】
リヤインバータ12は、リヤモータコントロールユニット12aを含む。リヤモータコントロールユニット12aは、ハイブリッドコントロールユニット15からの制御信号に基づいて、リヤモータ6の出力を制御する。
車載電池11は、リチウムイオン電池等の二次電池により構成され、複数の電池セルをまとめて構成された図示しない電池モジュールを含む。また、車載電池11は、電池モジュールの電圧、充電率、温度等の電池モジュールの状態を監視すると共に、車載電池11全体の充電率を推定(検出)するバッテリモニタリングユニット11aを含む。さらに、バッテリモニタリングユニット11aは、温度、充電率及び使用状況(入出力電流の積算値)等に基づいて、車載電池11への受け入れ可能電力を演算する機能を有する。受け入れ可能電力は、車載電池11に対して充電のために入力可能な電力であって、低温時に低下すると共に、充電率が満充電近辺になると低下し、また使用経過に伴う劣化によっても低下する。
【0038】
また、本実施形態における車両1は、エンジン2を駆動制御するエンジンコントロールユニット16と、車載電池11を外部電源によって充電する充電器18と、ハイブリッドコントロールユニット15とを備えている。さらに、車両1の車室内には、車載電池11から外部へ電力を供給するための外部コンセント19が備えられている。
ハイブリッドコントロールユニット15は、車両1の走行制御を実行するための統括的な制御装置である。例えば、本実施形態におけるハイブリッドコントロールユニット15は、ハードウェア資源として、入出力インタフェース装置、メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性RAM)、演算処理装置(所定のプロセッサ)及びタイマ等を含む。
【0039】
ハイブリッドコントロールユニット15の入力側には、車載電池11のバッテリモニタリングユニット11a、フロントインバータ10のフロントモータコントロールユニット10a及びジェネレータコントロールユニット10b、リヤインバータ12のリヤモータコントロールユニット12a、及びエンジンコントロールユニット16が接続されており、これらの機器からの検出情報及び作動情報が入力される。
【0040】
ハイブリッドコントロールユニット15の出力側には、フロントインバータ10、リヤインバータ12、駆動機構7(クラッチ7a)、エンジンコントロールユニット16が接続されている。
ハイブリッドコントロールユニット15は、上記各種検出情報及び作動情報に基づいて、車両1の走行駆動に必要とされる要求出力及び駆動トルクを演算し、エンジンコントロールユニット16、フロントモータコントロールユニット10a、ジェネレータコントロールユニット10b、リヤモータコントロールユニット12a及び駆動機構7に制御信号を送信して、エンジン2、フロントモータ4及びリヤモータ6の出力、モータジェネレータ9での発電量を制御する。また、ハイブリッドコントロールユニット15は、上記車載装置30から提供される位置情報(第1位置情報又は第2位置情報)を使用して、車両1の走行駆動に必要とされる要求出力及び駆動トルク並びに操舵角を演算し、エンジンコントロールユニット16、フロントモータコントロールユニット10a、ジェネレータコントロールユニット10b、リヤモータコントロールユニット12a及び駆動機構7に制御信号を送信して、エンジン2、フロントモータ4及びリヤモータ6の出力、図示しないステアリングホイール並びに前輪3及び後輪5の操舵を制御してもよい。
【0041】
ここで、本実施形態に係る車両通信システム100を構成する携帯端末20及び車載装置30の内部構成について、
図2を参照しながら詳しく説明する。
図2は、本実施形態に係る車両通信システム100を構成する、携帯端末20及び車載装置30の内部構成を示すブロック図である。
まず、携帯端末20の内部構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態における携帯端末20は、バッテリ21と、バッテリマネジメントユニット22と、SoC(System on a Chip)23と、表示装置24とにより構成されている。
【0042】
バッテリ21は、リチウムイオン電池等の二次電池により構成され、複数の電池セルをまとめて構成された図示しない電池モジュールを含む。バッテリマネジメントユニット22は、SoC23による制御の下、電池モジュールの電圧、充電率、温度等の二次電池状態を監視すると共に、バッテリ21全体の充電率を推定(検出)する。さらに、バッテリマネジメントユニット22は、温度、充電率及び使用状況(入出力電流の積算値)等に基づいて、バッテリ21への受け入れ可能電力を演算する機能を有する。受け入れ可能電力は、バッテリ21に対して充電のために入力可能な電力であって、低温時に低下すると共に、充電率が満充電近辺になると低下し、また使用経過に伴う劣化によっても低下する。
【0043】
SoC23は、携帯端末20の中枢となる演算処理装置、メモリ等のデータを記憶可能な不揮発性記憶媒体、ビデオチップ、入出力インタフェース(I/O)といった機能を統合した制御装置である。本実施形態におけるSoC23は、「携帯端末状態情報取得部」として機能する。例えば、SoC23は、携帯端末20の状態情報を取得する。ここで、SoC23は、携帯端末20の状態情報として、携帯端末20の温度(具体的には、SoC23の温度及びバッテリ21の温度)及び電池残量(具体的には、バッテリ21の電池残量)を取得可能である。なお、SoC23は、上記バッテリ21の温度及びバッテリ21の電池残量を、バッテリマネジメントユニット22を介して取得する。
【0044】
また、本実施形態におけるSoC23は、端末側通信部25と、第1位置情報取得部26と、「制御部」として機能する端末側制御部27とを備えている。
端末側通信部25は、有線又は無線にて、車載装置30に設けられた後述する車両側通信部31と通信するための装置である。第1位置情報取得部26は、車両1内の携帯端末20自身の位置情報を示す第1位置情報を取得するように構成されている。
【0045】
ここで、本実施形態におけるSoC23には、衛星通信機器(GNSSモジュール)、遠距離無線通信機器(セルラー方式の通信機器)、及び近距離無線通信機器が、上記端末側通信部25及び第1位置情報取得部26として設けられている。例えば、衛星通信機器は、GPS、BEIDOU、QZSS(登録商標)、Galileo、GLONASS等の一般に知られている機器である。遠距離無線通信機器は、GSM(登録商標)やCDMA、LTE、GPRS、5GNR等の遠距離での相互通信を可能とする装置である。近距離無線通信機器は、Bluetooth(登録商標)及びWi-Fi(登録商標)等の近距離での相互通信を可能とする機器である。すなわち、本実施形態におけるSoC23には、上記端末側通信部25及び第1位置情報取得部26が複数設けられている。
【0046】
端末側制御部27は、ハードウェア資源として、所定のプロセッサを有する。端末側制御部27は、携帯端末20を構成する各機器に対する統括的な制御を実行すると共に、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つにより取得された第1位置情報、又は後述する第2位置情報取得部32により取得された第2位置情報を、車両1の位置情報として示すためのアプリケーションの表示画面を生成するように構成されている。また、端末側制御部27は、車両1の現在位置及び携帯端末20の状態のうちの少なくとも一つに基づいて、上記アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、携帯端末20に設けられる複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから第1位置情報を取得するか、又は車載装置30に設けられる第2位置情報取得部32から第2位置情報を取得するか、を決定するように構成されている。
【0047】
また、端末側制御部27は、位置判定処理部28と、状態判定処理部29とを備えている。位置判定処理部28は、上記第1位置情報又は第2位置情報に基づいて、車両1が、第1エリア及び第2エリアのどちらに位置しているかを判定する位置判定処理を実行する。なお、上記第2エリアは、当該第1エリアと比較して、第1位置情報取得部26における電波強度が弱い場所を示す。状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の状態情報に基づいて、携帯端末20の状態を判定する状態判定処理を実行する。
【0048】
ここで、本実施形態係る車両通信システム100は、上記第1エリア及び第2エリアとして、任意のエリアを設定可能である。例えば、本実施形態係る車両通信システム100は、第2位置情報の精度より第1位置情報の精度のほうが優れているエリアを、上記第1エリアとして設定してもよい。具体的には、本実施形態係る車両通信システム100は、位置情報の取得に使用できる、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、基地局(セルラー方式の通信機器)が比較的多く設置されている「都市部(市街地)」を、上記第1エリアとして設定する。
【0049】
また、本実施形態係る車両通信システム100は、例えば、第1位置情報の精度より第2位置情報の精度のほうが優れているエリアを、上記第2エリアとして設定してもよい。具体的には、本実施形態係る車両通信システム100は、GNSSモジュールによる位置情報の取得を阻害する、建造物や施設(例えば、高層ビル群)、場所(例えば、地下)が少ない「地方(田舎)」を、上記第2エリアとして設定する。
【0050】
表示装置24は、携帯端末20の統括的な制御を実行するための操作装置である。本実施形態における表示装置24は、タッチパネルディスプレイであり、入力装置及び表示装置として機能する。例えば、表示装置24は、SoC23による制御の下、端末側制御部27により生成された上記アプリケーションの表示画面を表示する。表示装置24は、表示インタフェース回路及び表示機器を有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は当該技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0051】
次に、車載装置30の内部構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態における車載装置30は、車両側通信部31と、第2位置情報取得部32と、車両側制御部33と、表示装置34と、により構成されている。
車両側通信部31は、有線又は無線にて、携帯端末20に設けられた端末側通信部25と通信するための装置である。ここで、本実施形態における車両側通信部31は、遠距離無線通信機器(セルラー方式の通信機器)及び近距離無線通信機器である。例えば、遠距離無線通信機器は、GSM(登録商標)やCDMA、LTE、GPRS、5GNR等の遠距離での相互通信を可能とする装置である。近距離無線通信機器は、Bluetooth(登録商標)及びWi-Fi(登録商標)等の近距離での相互通信を可能とする機器である。すなわち、車載装置30に設けられる遠距離無線通信機器及び近距離無線通信機器は、携帯端末20に設けられる遠距離無線通信機器及び近距離無線通信機器との通信のために設けられている。
【0052】
第2位置情報取得部32は、車載装置30自身の位置情報を示す第2位置情報を取得するように構成されている。ここで、本実施形態における第2位置情報取得部32は、衛星通信機器(GNSSモジュール)である。例えば、衛星通信機器は、GPS、BEIDOU、QZSS(登録商標)、Galileo、GLONASS等の一般に知られている機器である。すなわち、車載装置30に設けられる衛星通信機器は、携帯端末20に設けられる衛星通信機器と同様に、設置された機器の位置情報を取得するのために設けられる。また、車載装置30に設けられる衛星通信機器は、携帯端末20に設けられる衛星通信機器との通信のために設けられている。
【0053】
車両側制御部33は、ハードウェア資源として、所定のプロセッサを有する。車両側制御部33は、車載装置30を構成する各機器に対する統括的な制御を実行すると共に、上記端末側制御部27において生成される上記アプリケーションの表示画面を表示するように構成されている。
表示装置34は、車載装置30の統括的な制御を実行するための操作装置である。本実施形態における表示装置34は、タッチパネルディスプレイであり、入力装置及び表示装置として機能する。例えば、表示装置34は、車両側制御部33による制御の下、端末側制御部27により生成された上記アプリケーションの表示画面を表示する。表示装置34は、表示装置24と同様に、表示インタフェース回路及び表示機器を有する。
(処理の流れ)
次に、本実施形態に係る車両通信システム100の制御部(本実施形態では、端末側制御部27)において実行される、車両1の現在位置及び携帯端末20の状態のうちの少なくとも一つに基づく位置情報取得手段の決定方法、並びに上記アプリケーションの表示画面の生成について、
図3から
図14を参照しながら詳しく説明する。
(第1実施例)
図3は、第1実施例に係る車両通信システム100の制御部(端末側制御部27)において実行される、車両1の現在位置に基づく位置情報取得手段の決定方法及び上記アプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
図4は、第1実施例において用いられる、車両1の現在位置に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。第1実施例において、端末側制御部27は、車両1の現在位置に基づいて、どの位置情報取得手段から位置情報を取得するかを決定する。さらに、端末側制御部27は、取得した位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する。
【0054】
なお、
図4に示すテーブルにおいて、上記第1エリアは、「都市部(市街地)」と記載している。また、
図4に示すテーブルにおいて、上記第2エリアは、「地方(田舎)」と記載している。また、第1実施例以降に示す各実施例のテーブルにおいても同様に、上記第1エリアは、「都市部(市街地)」と記載し、上記第2エリアは、「地方(田舎)」と記載している。
【0055】
図3に示すように、まず、端末側制御部27は、ユーザによる表示装置24又は表示装置34に対する入力操作等を契機として、上記アプリケーションを起動する(ステップSa1)。次に、端末側制御部27は、携帯端末20に設けられる複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから第1位置情報を取得し(ステップSa2)、上記第1位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSa3)。
【0056】
ここで、端末側制御部27は、第1位置情報を取得するために、複数の第1位置情報取得部26に対して制御信号を送信する。第1位置情報取得部26は、当該制御信号に応じて動作し、第1位置情報を取得する。また、第1位置情報取得部26は、取得した第1位置情報を端末側制御部27へ送信する。これにより、端末側制御部27は、上記第1位置情報を取得することができる。
【0057】
なお、ステップSa2における第1位置情報の取得は、上記アプリケーションの起動後、最初に表示する表示画面を生成するために実行されると共に、車両1の大まかな現在位置を把握するために実行されるものである。このため、ステップSa2における第1位置情報の取得過程において、位置情報の精度及びバッテリ21の電力消費は考慮しないこととする。
【0058】
ステップSa3の終了後、端末側制御部27は、車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれるか否かを判定する(ステップSa4)。具体的には、端末側制御部27の位置判定処理部28は、上記アプリケーションを起動した後、最初に位置判定処理を実行する場合、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つにより取得された上記第1位置情報に基づいて、車両1が第1エリア(都市部(市街地))及び第2エリア(地方(田舎))のどちらに位置しているかを判定する(起動時位置判定処理)。
【0059】
車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれる場合(換言すれば、位置判定処理部28の起動時位置判定処理により、車両1が第1エリアに位置していると判定された場合)(ステップSa4のYes)、端末側制御部27は、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得し(ステップSa5)、当該最新の第1位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSa6)。このとき、端末側制御部27は、
図4に示すテーブルに記載された、上記携帯端末20に備えられる、GNSSモジュール、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びセルラー方式の通信機器のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得する。ここで、ステップSa5における最新の第1位置情報の取得方法は、ステップSa2における第1位置情報の取得方法と同様である。
【0060】
また、車両1の現在位置が上記第2エリアに含まれる場合(換言すれば、位置判定処理部28の起動時位置判定処理により、車両1が第2エリアに位置していると判定された場合)(ステップSa4のNo)、端末側制御部27は、位置情報取得手段を第1位置情報取得部26から第2位置情報取得部32に切り替え、第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報を取得し(ステップSa7)、当該最新の第2位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSa8)。このとき、端末側制御部27は、
図4に示すテーブルに記載された、上記車載装置30に備えられるGNSSモジュールから、最新の第2位置情報を取得する。
【0061】
ここで、端末側制御部27は、第2位置情報を取得するために、端末側通信部25及び車両側通信部31を介して、車両側制御部33に対して制御信号を送信する。車両側制御部33は、第2位置情報取得部32に対して当該制御信号を転送する。第2位置情報取得部32は、当該制御信号に応じて動作し、第2位置情報を取得する。また、第2位置情報取得部32は、取得した第2位置情報を車両側制御部33へ送信する。さらに、車両側制御部33は、車両側通信部31及び端末側通信部25を介して、当該第2位置情報を端末側制御部27へ転送する。これにより、端末側制御部27は、第2位置情報を取得することができる。
【0062】
ステップSa6又はステップSa8の終了後、端末側制御部27は、ユーザによる表示装置24又は表示装置34に対する入力操作等を契機として、上記アプリケーションを終了するか否かを判定する(ステップSa9)。上記アプリケーションを継続して実行する場合(ステップSa9のNo)、端末側制御部27は、ステップSa4に戻り、再び、車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれるか否かを判定する。
【0063】
具体的には、端末側制御部27の位置判定処理部28は、前回の位置判定処理において、車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれると判定され、かつ複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報が取得されている場合、上記最新の第1位置情報に基づいて、車両1が第1エリア及び第2エリアのどちらに位置しているかを判定する(第1の運用時位置判定処理)。
【0064】
また、端末側制御部27の位置判定処理部28は、前回の位置判定処理において、車両1の現在位置が上記第2エリアに含まれると判定され、かつ第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報が取得されている場合、上記最新の第2位置情報に基づいて、車両1が第1エリア及び第2エリアのどちらに位置しているかを判定する(第2の運用時位置判定処理)。
【0065】
上記アプリケーションを終了する場合(ステップSa9のYes)、端末側制御部27による一連の処理を終了する。
第1実施例において、GNSSモジュールによる位置情報の精度は、都市の高層ビル群等の場所では電波を受信できない又は反射した電波で測位することが原因で、低下するという問題がある。一方で、都市部は、位置情報の取得に使用できる、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)の信号が多い。このため、本実施形態に係る車両通信システム100は、車両1が第1エリアに位置している場合、携帯端末20から位置情報を取得することで、GNSSモジュールによる測位より精度の良い位置情報を取得することができる。また、本実施形態に係る車両通信システム100は、3Dデータが提供されている都市部であれば、GNSSモジュールを用いて、精度の低下を防ぎつつ、位置情報を取得することができる。
(第2実施例)
図5は、第2実施例に係る車両通信システム100の制御部(端末側制御部27)において実行される、携帯端末20の温度に基づく位置情報取得手段の決定方法及び上記アプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
図5は、第2実施例において用いられる、携帯端末20の温度に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。第2実施例において、端末側制御部27は、携帯端末20の温度に基づいて、どの位置情報取得手段から位置情報を取得するかを決定する。さらに、端末側制御部27は、取得した位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する。なお、第2実施例において、上記実施例と異なる部分について主に説明することとし、上記実施例と重複する説明については適宜省略する。
【0066】
まず、
図5に示すステップSb1からステップSb3において実行する処理は、
図3に示すステップSa1からステップSa3において実行する処理と同様である。
ステップSb3の終了後、端末側制御部27は、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップSb4)。具体的には、端末側制御部27の状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の温度に基づいて、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。なお、当該閾値は、ユーザにより任意の値を設定可能である。
【0067】
状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の温度が所定の閾値未満であると判定された場合(ステップSb4のNo)、端末側制御部27は、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得し(ステップSb5)、当該最新の第1位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSb6)。このとき、端末側制御部27は、
図6に示すテーブルに記載された、上記携帯端末20に備えられる、GNSSモジュール、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びセルラー方式の通信機器のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得する。ここで、ステップSb5における最新の第1位置情報の取得方法は、第1実施例に示す第1位置情報の取得方法と同様である。
【0068】
また、状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップSb4のYes)、端末側制御部27は、位置情報取得手段を第1位置情報取得部26から第2位置情報取得部32に切り替え、第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報を取得し(ステップSb7)、当該最新の第2位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSb8)。このとき、端末側制御部27は、
図6に示すテーブルに記載された、上記車載装置30に備えられるGNSSモジュールから、最新の第2位置情報を取得する。ここで、ステップSb7における最新の第2位置情報の取得方法は、第1実施例に示す第2位置情報の取得方法と同様である。
【0069】
ステップSb6又はステップSb8の終了後、端末側制御部27は、ユーザによる表示装置24又は表示装置34に対する入力操作等を契機として、上記アプリケーションを終了するか否かを判定する(ステップSb9)。上記アプリケーションを継続して実行する場合(ステップSb9のNo)、端末側制御部27は、ステップSb4に戻り、再び、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0070】
上記アプリケーションを終了する場合(ステップSb9のYes)、端末側制御部27による一連の処理を終了する。
第2実施例において、携帯端末20での位置情報の取得の際、GNSSモジュールを内蔵するセルラーモデムの発熱や、電力消費の増加に伴うバッテリ21の発熱等があり、携帯端末20本体の温度が上昇しやすい。特に、夏や陽の当たる環境では、これらの熱も加わり、本体温度がさらに上昇する。また、車載装置30と接続する際に、携帯端末20を車両1のダッシュボードやエアコン送風口等、フロントガラスから外光が当たりやすい場所に設置するケースも多い。また、車載装置30と有線で接続した場合に、携帯端末20の電池容量が少ないと自動で充電され、携帯端末20内のバッテリ21が熱を発する。温度情報は、SoC23内の温度センサや、バッテリマネジメントユニット22の温度センサから取得することができる。携帯端末20の温度が上昇すると、セルラーモデムによる通信機能が自動的にオフになること、SoC23の動作周波数が抑制されることになる。それでも本体温度が下がらない場合には、OS(Operating System)を自動的にシャットダウンする機能がある。車載装置30との接続時に通信機能がオフになれば、車載装置30で利用しているアプリケーションが使用できなくなる。SoC23の動作周波数が抑制されると、ユーザインタフェースのフレームレートが低下し、使用に不快感を覚えることとなる。OSがシャットダウンすると車載装置30との接続が途切れてアプリケーションの使用が中断してしまう。そのため、携帯端末20の温度を監視し、一定以上の温度になった場合は携帯端末20での位置情報の取得を停止し、車載装置30のGNSSモジュールでの位置情報の取得へ切り替えるようにする。
(第3実施例)
図7は、第3実施例に係る車両通信システム100の制御部(端末側制御部27)において実行される、携帯端末20の電池残量に基づく位置情報取得手段の決定方法及び上記アプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
図8は、第3実施例において用いられる、携帯端末20の電池残量に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。第3実施例において、端末側制御部27は、携帯端末20の電池残量に基づいて、どの位置情報取得手段から位置情報を取得するかを決定する。さらに、端末側制御部27は、取得した位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する。なお、第3実施例において、上記実施例と異なる部分について主に説明することとし、上記実施例と重複する説明については適宜省略する。
【0071】
まず、
図7に示すステップSc1からステップSc3において実行する処理は、
図3に示すステップSa1からステップSa3及び
図5に示すステップSb1からステップSb3において実行する処理と同様である。
ステップSc3の終了後、端末側制御部27は、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップSc4)。具体的には、端末側制御部27の状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の電池残量に基づいて、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する。なお、当該閾値は、ユーザにより任意の値を設定可能である。
【0072】
状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の電池残量が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップSc4のNo)、端末側制御部27は、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得し(ステップSc5)、当該最新の第1位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSc6)。このとき、端末側制御部27は、
図8に示すテーブルに記載された、上記携帯端末20に備えられる、GNSSモジュール、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びセルラー方式の通信機器のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得する。ここで、ステップSc5における最新の第1位置情報の取得方法は、第1実施例及び第2実施例に示す第1位置情報の取得方法と同様である。
【0073】
また、状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であると判定された場合(ステップSc4のYes)、端末側制御部27は、位置情報取得手段を第1位置情報取得部26から第2位置情報取得部32に切り替え、第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報を取得し(ステップSc7)、当該最新の第2位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSc8)。このとき、端末側制御部27は、
図8に示すテーブルに記載された、上記車載装置30に備えられるGNSSモジュール、最新の第2位置情報を取得する。ここで、ステップSc7における最新の第2位置情報の取得方法は、第1実施例及び第2実施例に示す第2位置情報の取得方法と同様である。
【0074】
ステップSc6又はステップSc8の終了後、端末側制御部27は、ユーザによる表示装置24又は表示装置34に対する入力操作等を契機として、上記アプリケーションを終了するか否かを判定する(ステップSc9)。上記アプリケーションを継続して実行する場合(ステップSc9のNo)、端末側制御部27は、ステップSc4に戻り、再び、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する。
【0075】
上記アプリケーションを終了する場合(ステップSc9のYes)、端末側制御部27による一連の処理を終了する。
第3実施例において、携帯端末20での位置情報の取得は、電力消費が多く、電池残量の減少が早くなる。携帯端末20が電池切れを起こすと、車載装置30で使用しているアプリケーションが使用不可能になる。また、携帯端末20に連絡や決済、カメラ等、様々な機能を依存している現代社会では、利用者に不便を与えることになる。車載装置30と携帯端末20とを接続する際には、有線で行われる場合と、無線で行われる場合がある。有線で行われる場合であれば通信ケーブルを介して、車載装置30から携帯端末20に充電されるため、電力消費を気にする必要がなくなる。一方で、無線接続では携帯端末20への電力供給はできず、無線接続自体による電力消費の増加が考えられる。そのため、携帯端末20の電池残量が少ない、かつ無線で車載装置30と接続している等で携帯端末20への充電が行われていない際には車載装置30のGNSSモジュールによる位置情報の取得を行う。充電がされていなくても、携帯端末20の電池残量が十分に多い際には携帯端末20による位置情報の取得を行い、携帯端末20の電池残量が閾値を下回ると車載装置30のGNSSモジュールによる位置情報の取得へ切り替えるようにする。携帯端末20と車載装置30が有線で接続される等で充電されている場合は、携帯端末20による位置情報の取得を行うようにする。
(第4実施例)
図9は、第4実施例に係る車両通信システム100の制御部(端末側制御部27)において実行される、車両1の現在位置及び携帯端末20の温度に基づく位置情報取得手段の決定方法及び上記アプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
図10は、第4実施例において用いられる、車両1の現在位置及び携帯端末20の温度に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。第4実施例において、端末側制御部27は、車両1の現在位置及び携帯端末20の温度に基づいて、どの位置情報取得手段から位置情報を取得するかを決定する。さらに、端末側制御部27は、取得した位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する。なお、第4実施例において、上記実施例と異なる部分について主に説明することとし、上記実施例と重複する説明については適宜省略する。
【0076】
まず、
図9に示すステップSd1からステップSd3において実行する処理は、
図3に示すステップSa1からステップSa3、
図5に示すステップSb1からステップSb3及び
図7に示すステップSc1からステップSc3において実行する処理と同様である。
ステップSd3の終了後、端末側制御部27は、車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれるか否かを判定する(ステップSd4)。具体的には、端末側制御部27の位置判定処理部28は、上記起動時位置判定処理を実行する。さらに、端末側制御部27は、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップSd5)。具体的には、端末側制御部27の状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の温度に基づいて、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。なお、当該閾値は、ユーザにより任意の値を設定可能である。
【0077】
車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれ(ステップSd4のYes)、かつ状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の温度が所定の閾値未満であると判定された場合(ステップSd5のNo)、端末側制御部27は、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得し(ステップSd6)、当該最新の第1位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSd7)。このとき、端末側制御部27は、
図10に示すテーブルに記載された、上記携帯端末20に備えられる、GNSSモジュール、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びセルラー方式の通信機器のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得する。ここで、ステップSd6における最新の第1位置情報の取得方法は、第1実施例から第3実施例に示す第1位置情報の取得方法と同様である。
【0078】
また、車両1の現在位置が上記第2エリアに含まれる場合(ステップSd4のNo)、又は状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップSd5のYes)、端末側制御部27は、位置情報取得手段を第1位置情報取得部26から第2位置情報取得部32に切り替え、第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報を取得し(ステップSd8)、当該最新の第2位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSd9)。このとき、端末側制御部27は、
図10に示すテーブルに記載された、上記車載装置30に備えられるGNSSモジュールから、最新の第2位置情報を取得する。ここで、ステップSd8における最新の第2位置情報の取得方法は、第1実施例から第3実施例に示す第2位置情報の取得方法と同様である。
【0079】
なお、ステップSd10において実行する処理は、
図3に示すステップSa9において実行する処理と同様である。
(第5実施例)
図11は、第5実施例に係る車両通信システム100の制御部(端末側制御部27)において実行される、車両1の現在位置及び携帯端末20の電池残量に基づく位置情報取得手段の決定方法及び上記アプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
図5は、第5実施例において用いられる、車両1の現在位置及び携帯端末20の電池残量に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。第5実施例において、端末側制御部27は、車両1の現在位置及び携帯端末20の電池残量に基づいて、どの位置情報取得手段から位置情報を取得するかを決定する。さらに、端末側制御部27は、取得した位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する。なお、第5実施例において、上記実施例と異なる部分について主に説明することとし、上記実施例と重複する説明については適宜省略する。
【0080】
まず、
図11に示すステップSe1からステップSe3において実行する処理は、
図3に示すステップSa1からステップSa3、
図5に示すステップSb1からステップSb3、
図7に示すステップSc1からステップSc3及び
図9に示すステップSd1からステップSd3において実行する処理と同様である。
ステップSe3の終了後、端末側制御部27は、車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれるか否かを判定する(ステップSe4)。具体的には、端末側制御部27の位置判定処理部28は、上記起動時位置判定処理を実行する。さらに、端末側制御部27は、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップSe5)。具体的には、端末側制御部27の状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の電池残量に基づいて、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する。なお、当該閾値は、ユーザにより任意の値を設定可能である。
【0081】
車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれ(ステップSe4のYes)、かつ状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の電池残量が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップSe5のNo)、端末側制御部27は、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得し(ステップSe6)、当該最新の第1位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSe7)。このとき、端末側制御部27は、
図12に示すテーブルに記載された、上記携帯端末20に備えられる、GNSSモジュール、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びセルラー方式の通信機器のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得する。ここで、ステップSe6における最新の第1位置情報の取得方法は、第1実施例から第4実施例に示す第1位置情報の取得方法と同様である。
【0082】
また、車両1の現在位置が上記第2エリアに含まれる場合(ステップSe4のNo)、又は状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であると判定された場合(ステップSe5のYes)、端末側制御部27は、位置情報取得手段を第1位置情報取得部26から第2位置情報取得部32に切り替え、第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報を取得し(ステップSe8)、当該最新の第2位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSe9)。このとき、端末側制御部27は、
図12に示すテーブルに記載された、上記車載装置30に備えられるGNSSモジュールから、最新の第2位置情報を取得する。ここで、ステップSe8における最新の第2位置情報の取得方法は、第1実施例から第4実施例に示す第2位置情報の取得方法と同様である。
【0083】
なお、ステップSe10において実行する処理は、
図3に示すステップSa9及び
図9に示すステップSd10において実行する処理と同様である。
(第6実施例)
図13は、第6実施例に係る車両通信システム100の制御部(端末側制御部27)において実行される、携帯端末20の電池残量及び温度に基づく位置情報取得手段の決定方法及び上記アプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
図14は、第6実施例において用いられる、携帯端末20の電池残量及び温度に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。第6実施例において、端末側制御部27は、携帯端末20の電池残量及び温度に基づいて、どの位置情報取得手段から位置情報を取得するかを決定する。さらに、端末側制御部27は、取得した位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する。なお、第6実施例において、上記実施例と異なる部分について主に説明することとし、上記実施例と重複する説明については適宜省略する。
【0084】
まず、
図13に示すステップSf1からステップSf3において実行する処理は、
図3に示すステップSa1からステップSa3、
図5に示すステップSb1からステップSb3、
図7に示すステップSc1からステップSc3、
図9に示すステップSd1からステップSd3及び
図11に示すステップSe1からステップSe3において実行する処理と同様である。
【0085】
ステップSf3の終了後、端末側制御部27は、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップSf4)。具体的には、端末側制御部27の状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の電池残量に基づいて、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する。さらに、端末側制御部27は、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップSf5)。具体的には、端末側制御部27の状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の温度に基づいて、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。なお、当該閾値は、ユーザにより任意の値を設定可能である。
【0086】
状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の電池残量が所定の閾値以上であると判定され(ステップSf4のNo)、かつ状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の温度が所定の閾値未満であると判定された場合(ステップSf5のNo)、端末側制御部27は、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得し(ステップSf6)、当該最新の第1位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSf7)。このとき、端末側制御部27は、
図14に示すテーブルに記載された、上記携帯端末20に備えられる、GNSSモジュール、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びセルラー方式の通信機器のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得する。ここで、ステップSf7における最新の第1位置情報の取得方法は、第1実施例から第5実施例に示す第1位置情報の取得方法と同様である。
【0087】
また、状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であると判定された場合(ステップSf4のYes)、又は状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップSf5のYes)、端末側制御部27は、位置情報取得手段を第1位置情報取得部26から第2位置情報取得部32に切り替え、第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報を取得し(ステップSf8)、当該最新の第2位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSf9)。このとき、端末側制御部27は、
図14に示すテーブルに記載された、上記車載装置30に備えられるGNSSモジュールから、最新の第2位置情報を取得する。ここで、ステップSf8における最新の第2位置情報の取得方法は、第1実施例から第5実施例に示す第2位置情報の取得方法と同様である。
【0088】
なお、ステップSf10において実行する処理は、
図3に示すステップSa9、
図9に示すステップSd10及び
図11に示すステップSe10において実行する処理と同様である。
(第7実施例)
図15は、第7実施例に係る車両通信システム100の制御部(端末側制御部27)において実行される、車両1の現在位置、並びに携帯端末20の電池残量及び温度に基づく位置情報取得手段の決定方法及び上記アプリケーションの表示画面の生成の流れを示すフローチャートである。
図16は、第7実施例において用いられる、車両1の現在位置、並びに携帯端末20の電池残量及び温度に応じて使用する位置情報取得手段を示すテーブルである。第7実施例において、端末側制御部27は、車両1の現在位置、並びに携帯端末20の電池残量及び温度に基づいて、どの位置情報取得手段から位置情報を取得するかを決定する。さらに、端末側制御部27は、取得した位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する。なお、第7実施例において、上記実施例と異なる部分について主に説明することとし、上記実施例と重複する説明については適宜省略する。
【0089】
まず、
図15に示すステップSg1からステップSg3において実行する処理は、
図3に示すステップSa1からステップSa3、
図5に示すステップSb1からステップSb3、
図7に示すステップSc1からステップSc3、
図9に示すステップSd1からステップSd3、
図11に示すステップSe1からステップSe3及び
図13に示すステップSf1からステップSf3において実行する処理と同様である。
【0090】
ステップSg3の終了後、端末側制御部27は、車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれるか否かを判定する(ステップSg4)。具体的には、端末側制御部27の位置判定処理部28は、上記起動時位置判定処理を実行する。また、端末側制御部27は、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップSg5)。具体的には、端末側制御部27の状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の電池残量に基づいて、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する。さらに、端末側制御部27は、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップSg6)。具体的には、端末側制御部27の状態判定処理部29は、上記携帯端末状態情報取得部(SoC23)により取得された携帯端末20の温度に基づいて、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。なお、当該閾値は、ユーザにより任意の値を設定可能である。
【0091】
車両1の現在位置が上記第1エリアに含まれ(ステップSg4のYes)、かつ状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の電池残量が所定の閾値以上であると判定され(ステップSg5のNo)、かつ状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の温度が所定の閾値未満であると判定された場合(ステップSg6のNo)、端末側制御部27は、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得し(ステップSg7)、当該最新の第1位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSg8)。このとき、端末側制御部27は、
図16に示すテーブルに記載された、上記携帯端末20に備えられる、GNSSモジュール、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びセルラー方式の通信機器のいずれか一つから、最新の第1位置情報を取得する。ここで、ステップSf7における最新の第1位置情報の取得方法は、第1実施例から第6実施例に示す第1位置情報の取得方法と同様である。
【0092】
また、車両1の現在位置が上記第2エリアに含まれる場合(ステップSg4のNo)、状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満であると判定された場合(ステップSg5のYes)、又は状態判定処理部29の状態判定処理により、携帯端末20の温度が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップSg6のYes)、端末側制御部27は、位置情報取得手段を第1位置情報取得部26から第2位置情報取得部32に切り替え、第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報を取得し(ステップSg9)、当該最新の第2位置情報を使用して、上記アプリケーションの表示画面を生成する(ステップSg10)。このとき、端末側制御部27は、
図16に示すテーブルに記載された、上記車載装置30に備えられるGNSSモジュールから、最新の第2位置情報を取得する。ここで、ステップSg9における最新の第2位置情報の取得方法は、第1実施例から第6実施例に示す第2位置情報の取得方法と同様である。
【0093】
なお、ステップSg10において実行する処理は、
図3に示すステップSa9、
図9に示すステップSd10、
図11に示すステップSe10及び
図13に示すステップSf10において実行する処理と同様である。
第4実施例から第7実施例において、車両1の現在位置と携帯端末20の状態情報とを組み合わせて、使用する位置情報取得手段の判定に用いることができる。地方(田舎)であれば、GNSSモジュールと衛星間に遮蔽物が入ることや、反射した電波を取得する場面は少なく、車載装置30のGNSSモジュールでも位置情報の精度が高く取れると考えられることから、携帯端末20の電池状態や温度を問わず、車載装置30のGNSSモジュールを使用して位置情報を取得する。一方で、都市部(市街地)では、GNSSモジュールと衛星間に遮蔽物が入ることが多く、反射した電波を取得する場面が多いことから、原則的に、携帯端末20のWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、GNSSモジュールを使用して位置情報を取得し、携帯端末20の温度が高くセルラーモデムやOSのシャットダウンが発生しやすい状況下でのみ、車載装置30のGNSSモジュールを使用する。
(総括)
上記構成によれば、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1において、「制御部」として機能する端末側制御部27は、車両1の現在位置及び携帯端末20の状態のうちの少なくとも一つに基づいて、上記アプリケーションの表示画面の生成に使用する位置情報として、携帯端末20に設けられる複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから第1位置情報を取得するか、又は車載装置30に設けられる第2位置情報取得部32から第2位置情報を取得するか、を決定している。
【0094】
例えば、端末側制御部27は、車両1が第1エリア(例えば、都市部(市街地))に位置している場合、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから第1位置情報を取得している。上述の通り、上記第1エリアは、位置情報の取得に使用できる、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、基地局(セルラー方式の通信機器)が比較的多く設置されている「都市部(市街地)」である。また、都市部の3Dデータ(特に、高層ビル群の3Dデータ)をサーバから取得し、取得した都市部の3Dデータを基に、ビルによるGNSSモジュールの電波の反射を計算して、GNSSモジュールから取得される位置情報を補正する仕組みが使用され、より高精度な位置情報を取得できる仕組みが携帯端末20に組み込まれている。つまり、上記第1エリアにおいて、第2位置情報の精度より第1位置情報の精度のほうが優れている。これらのことから、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、車両1が第1エリア(例えば、都市部(市街地))に位置している場合に、より正確な位置情報を取得することができる。
【0095】
また、端末側制御部27は、車両1が第2エリア(例えば、地方(田舎))に位置している場合、第2位置情報取得部32から第2位置情報を取得している。上述の通り、上記第2エリアは、GNSSモジュールによる位置情報の取得を阻害する、建造物や施設(例えば、高層ビル群)、場所(例えば、地下)が少ない「地方(田舎)」である。また、GNSSモジュールに関するアンテナの設置位置及び大きさが、携帯端末20より車載装置30のほうが優れており、より高精度な位置情報を取得できる。つまり、上記第2エリアにおいて、第1位置情報の精度より第2位置情報の精度のほうが優れている。これらのことから、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、車両1が第2エリア(例えば、地方(田舎))に位置している場合に、より正確な位置情報を取得することができる。
【0096】
これにより、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、携帯端末20の電波強度に応じて、第1位置情報取得部26又は第2位置情報取得部32を適切に選択して、位置情報を取得することができる。すなわち、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、車両の周辺環境に応じて、適切な位置情報取得手段を選定することで、より正確な位置情報を取得することができる。
【0097】
また、端末側制御部27は、携帯端末20の温度が所定の閾値未満である場合、又は携帯端末20の電池残量が所定の閾値以上である場合、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから第1位置情報を取得している。すなわち、端末側制御部27は、位置情報の精度を優先して、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから第1位置情報を取得している。これにより、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、携帯端末20の状態が良好である場合に、より正確な位置情報を取得することができる。
【0098】
また、端末側制御部27は、携帯端末20の温度が所定の閾値以上である場合、第2位置情報取得部32から第2位置情報を取得している。すなわち、端末側制御部27は、携帯端末20の発熱の抑制を優先して、第2位置情報取得部32から第2位置情報を取得している。これにより、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、携帯端末20の温度に応じて、第1位置情報取得部26又は第2位置情報取得部32を適切に選択して、第1位置情報取得部26の使用を抑えつつ、携帯端末20の発熱を抑制することができる。また、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、携帯端末20の発熱に起因するシステム停止や故障等のリスクを低減することができる。
【0099】
また、端末側制御部27は、携帯端末20の電池残量が所定の閾値未満である場合、第2位置情報取得部32から第2位置情報を取得している。すなわち、端末側制御部27は、携帯端末20の電力消費の抑制を優先して、第2位置情報取得部32から第2位置情報を取得している。これにより、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、携帯端末20の電池残量に応じて、第1位置情報取得部26又は第2位置情報取得部32を適切に選択して、第1位置情報取得部26の使用を抑えつつ、携帯端末20の電力消費を抑制することができる。また、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、携帯端末20の電力消費を抑制して、携帯端末20の電池切れに起因するシステム停止やユーザの利便性の低下等のリスクを低減することができる。
【0100】
すなわち、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、携帯端末20の状態を考慮しつつ、適切な位置情報取得手段を選定することで、システム停止や故障等のリスクを低減することができる。
かくして、本実施形態に係る車両通信システム100及び車両1は、車両1の周辺環境や携帯端末20の状態に応じて、適切な位置情報取得手段を選定することで、位置情報の精度向上及び安定したシステム運用を実現することができる。
【0101】
ここで、上記位置情報取得手段の切り替えは、単独の項目(すなわち、車両1の現在位置、又は携帯端末20の電池残量若しくは温度)に基づく切り替え(第1実施例から第3実施例)や、各項目の論理積、また各項目に係数を乗算した総和に基づく切り替え(第4実施例から第7実施例)の他に、温度や電池残量に時刻や熱を発する他の機能の使用度合(CPU使用時間、GPU使用時間)等をパラメータとした機械学習手法(例えば、RNNやランダムフォレスト)に基づく切り替えを行ってもよい。
【0102】
また、下記式(1)のように、各判定項目に係数を乗算すること、指数を与えることで、位置情報取得手段の決定に対して各判定項目の重みを付けてもよい。
【0103】
【数1】
なお、位置取得判定スコアSが一定値以上の場合は、携帯端末20の第1位置情報取得部26から位置情報(第1位置情報)をしてもよい。また、位置取得判定スコアSが一定値未満の場合は、車載装置30の第2位置情報取得部32から位置情報(第2位置情報)を取得してもよい。
【0104】
また、本実施形態係る車両通信システム100は、上記の他にも、予め緯度及び経度を指定することにより設定する手法、GNSSモジュールの3D補正データが提供されているか否かにより設定する手法、上記携帯端末20に設けられた遠距離無線通信機器及び近距離無線通信機器により位置情報を取得できたか否かにより設定する手法、通信キャリア等の企業から提供される通信エリア情報に基づいて設定する手法、信号品質(例えば、信号に混在するノイズの少なさ)により設定する手法等により、第1エリア及び第2エリアを設定してもよい。
【0105】
また、本実施形態における車載装置30が、位置情報を用いるアプリケーションを実行可能な構成を備えていてもよい。例えば、車両側制御部33は、第2位置情報(すなわち、上記車載装置30に備えられるGNSSモジュール)を取得するために、第2位置情報取得部32に対して制御信号を送信する。第2位置情報取得部32は、当該制御信号に応じて動作し、第2位置情報を取得する。また、第2位置情報取得部32は、取得した第2位置情報を車両側制御部33へ送信する。これにより、車両側制御部33は、上記第2位置情報を取得してもよい。
【0106】
また、車両側制御部33は、第1位置情報(すなわち、上記携帯端末20に備えられる、GNSSモジュール、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びセルラー方式の通信機器のいずれか一つにより取得される、携帯端末20の位置情報)を取得するために、車両側通信部31及び端末側通信部25を介して、端末側制御部27に対して制御信号を送信する。端末側制御部27は、複数の第1位置情報取得部26に対して当該制御信号を転送する。第1位置情報取得部26は、当該制御信号に応じて動作し、第1位置情報を取得する。また、第1位置情報取得部26は、取得した第1位置情報を端末側制御部27へ送信する。さらに、端末側制御部27は、端末側通信部25及び車両側通信部31を介して、当該第1位置情報を車両側制御部33へ転送する。これにより、車両側制御部33は、上記第1位置情報を取得してもよい。
【0107】
また、車両側制御部33は、上記アプリケーションを起動した後、最初に位置判定処理を実行する場合、第2位置情報取得部32により取得された上記第2位置情報に基づいて、車両1が第1エリア(都市部(市街地))及び第2エリア(地方(田舎))のどちらに位置しているかを判定する、起動時位置判定処理を実行してもよい。
また、車両側制御部33は、前回の位置判定処理において、複数の第1位置情報取得部26のいずれか一つから、最新の第1位置情報が取得されている場合、上記最新の第1位置情報に基づいて、車両1が第1エリア及び第2エリアのどちらに位置しているかを判定してもよい(第1の運用時位置判定処理)。
【0108】
また、車両側制御部33は、前回の位置判定処理において、第2位置情報取得部32から、最新の第2位置情報が取得されている場合、上記最新の第2位置情報に基づいて、車両1が第1エリア及び第2エリアのどちらに位置しているかを判定してもよい(第2の運用時位置判定処理)。
また、本実施形態におけるSoC23(携帯端末状態情報取得部)は、携帯端末20の状態情報として、携帯端末20の温度及び電池残量のうちの少なくとも一つを取得している。しかしながら、本実施形態におけるSoC23(携帯端末状態情報取得部)は、これに限定されない。例えば、本実施形態におけるSoC23(携帯端末状態情報取得部)は、携帯端末20の状態情報として、携帯端末20が充電中か否かを取得してもよい。
【0109】
また、本実施形態における車両1は、上記プラグインハイブリッド車両の他に、少なくともエンジン2を走行用駆動源とし、当該エンジン2の駆動力を減速機、差動装置、及び駆動軸等を介して車輪に伝達することで走行可能なエンジン車両、少なくともモータ4,6を走行用駆動源とし、当該モータ4,6の駆動力を減速機、差動装置、及び駆動軸等を介して車輪に伝達することで走行可能な電気自動車、又はエンジン2をさらに備えるハイブリッド自動車等の車両であってもよい。
【0110】
また、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の専用若しくは汎用のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device))又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素(各処理部)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理部)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
【0111】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0112】
1 車両
2 エンジン
4 フロントモータ(モータ)
6リヤモータ(モータ)
9 モータジェネレータ(発電機)
11 車載電池(蓄電池)
15 ハイブリッドコントロールユニット
16 エンジンコントロールユニット
20 携帯端末
23 SoC(System on a Chip)
26 第1位置情報取得部
27 端末側制御部
28 位置判定処理部
29 状態判定処理部
30 車載装置(IVI)
32 第2位置情報取得部
33 車両側制御部
100 車両通信システム