(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019258
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】膜ろ過システム、膜ろ過方法、凝集剤添加装置、および凝集剤添加装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20230202BHJP
【FI】
C02F1/44 A
C02F1/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123860
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 佳介
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA01
4D006JA71
4D006KA01
4D006KA41
4D006KA67
4D006KB13
4D006KB21
4D006KC03
4D006KC13
4D006KC16
4D006KD04
4D006KD11
4D006KD12
4D006KD15
4D006KD16
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4D006KD24
4D006KE30P
4D006KE30Q
4D006MA01
4D006PA01
4D006PB08
4D006PC01
4D006PC11
(57)【要約】
【課題】ろ過膜を用いる膜ろ過処理において、被処理水の性状が変動しても、膜ファウリングを抑制することができ、安定運転が可能な膜ろ過システムを提供する。
【解決手段】メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置10と、サブろ過膜を用いてメイン膜ろ過装置10の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置12と、メイン膜ろ過装置10の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段と、サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段と、サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて所定の出力を行う出力手段と、を備える、膜ろ過システム1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置と、
サブろ過膜を用いて前記メイン膜ろ過装置の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置と、
前記メイン膜ろ過装置の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段と、
前記サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段と、
前記サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて所定の出力を行う出力手段と、
を備えることを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項2】
請求項1に記載の膜ろ過システムであって、
前記サブ膜ろ過装置は、前記メイン凝集剤添加手段によってメイン凝集剤が添加された被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過する装置であることを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項3】
請求項1に記載の膜ろ過システムであって、
前記サブ膜ろ過装置の分岐被処理水にサブ凝集剤を添加するサブ凝集剤添加手段をさらに備え、
前記サブ膜ろ過装置は、前記メイン凝集剤が添加される前の被処理水から分岐され、前記サブ凝集剤添加手段によってサブ凝集剤が添加された分岐被処理水をろ過する装置であることを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の膜ろ過システムであって、
前記サブ膜ろ過装置において、前記メイン膜ろ過装置よりも高いフラックスで通水することを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の膜ろ過システムであって、
前記サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて、前記メイン凝集剤添加手段の条件を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の膜ろ過システムであって、
前記サブろ過抵抗検知手段によって検知されたろ過抵抗値のデータが保管される記録部を有し、
前記記録部に保管されたデータを、教師データとして用いることを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項7】
メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過工程と、
サブろ過膜を用いて前記メイン膜ろ過工程の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過工程と、
前記メイン膜ろ過工程の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加工程と、
前記サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知工程と、
前記サブろ過抵抗検知工程により検知されたろ過抵抗値に基づいて所定の出力を行う出力工程と、
を含むことを特徴とする膜ろ過方法。
【請求項8】
メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置の被処理水へメイン凝集剤を添加する凝集剤添加装置であって、
サブろ過膜を用いて前記メイン膜ろ過装置の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置と、
前記メイン膜ろ過装置の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段と、
前記サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段と、
前記サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて、前記メイン凝集剤添加手段の条件を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする凝集剤添加装置。
【請求項9】
請求項8に記載の凝集剤添加装置であって、
前記サブ膜ろ過装置において、前記メイン膜ろ過装置よりも高いフラックスで通水することを特徴とする凝集剤添加装置。
【請求項10】
メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置の被処理水へのメイン凝集剤の添加を制御する凝集剤添加装置の制御装置であって、
前記凝集剤添加装置は、サブろ過膜を用いて前記メイン膜ろ過装置の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置と、前記メイン膜ろ過装置の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段と、前記サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段と、を備え、
前記サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて、前記メイン凝集剤添加手段の条件を制御する制御手段を備えることを特徴とする凝集剤添加装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除濁膜等のろ過膜を用いて被処理水の膜ろ過処理を行う膜ろ過システム、膜ろ過方法、その膜ろ過システムに用いられる凝集剤添加装置、および凝集剤添加装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の水需要の高まりから排水を回収再利用する要求が増えている。排水を回収再利用する排水回収において、生物処理や凝集および固液分離処理の後に、除濁膜等のろ過膜を用いて懸濁物質等を含む生物処理水や固液分離水の膜ろ過処理を行う方法がある。この方法では、被処理水の性状が変動すること等によって、生物処理や凝集および固液分離処理が不安定となり、膜ろ過処理において膜のファウリング(閉塞)が発生することがある。
【0003】
被処理水の性状の変動に連動した制御を行うため、被処理水の濁度、色度、紫外線吸光度等に応じて凝集条件を変化させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
被処理水の性状の変動に連動した制御を、濁度、色度、紫外線吸光度等で行う場合、その手法で検知できないそれ以外の水質が原因(例えば、アルカリ度)で膜のファウリングが引き起こされると、被処理水の性状の変動に連動した制御を行っても膜ファウリングが発生してしまうことがある。また、様々な水質変動に対応するために水質測定機器を増やすことは経済性を損ねる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ろ過膜を用いる膜ろ過処理において、被処理水の性状が変動しても、膜ファウリングを抑制することができ、安定運転が可能な膜ろ過システム、膜ろ過方法、その膜ろ過システムに用いられる凝集剤添加装置、および凝集剤添加装置の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置と、サブろ過膜を用いて前記メイン膜ろ過装置の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置と、前記メイン膜ろ過装置の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段と、前記サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段と、前記サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて所定の出力を行う出力手段と、を備える、膜ろ過システムである。
【0008】
前記膜ろ過システムにおいて、前記サブ膜ろ過装置は、前記メイン凝集剤添加手段によってメイン凝集剤が添加された被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過する装置であることが好ましい。
【0009】
前記膜ろ過システムにおいて、前記サブ膜ろ過装置の分岐被処理水にサブ凝集剤を添加するサブ凝集剤添加手段をさらに備え、前記サブ膜ろ過装置は、前記メイン凝集剤が添加される前の被処理水から分岐され、前記サブ凝集剤添加手段によってサブ凝集剤が添加された分岐被処理水をろ過する装置であることが好ましい。
【0010】
前記膜ろ過システムにおいて、前記サブ膜ろ過装置において、前記メイン膜ろ過装置よりも高いフラックスで通水することが好ましい。
【0011】
前記膜ろ過システムにおいて、前記サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて、前記メイン凝集剤添加手段の条件を制御する制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0012】
前記膜ろ過システムにおいて、前記サブろ過抵抗検知手段によって検知されたろ過抵抗値のデータが保管される記録部を有し、前記記録部に保管されたデータを、教師データとして用いることが好ましい。
【0013】
本発明は、メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過工程と、サブろ過膜を用いて前記メイン膜ろ過工程の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過工程と、前記メイン膜ろ過工程の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加工程と、前記サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知工程と、前記サブろ過抵抗検知工程により検知されたろ過抵抗値に基づいて所定の出力を行う出力工程と、を含む、膜ろ過方法である。
【0014】
前記膜ろ過方法における前記サブ膜ろ過工程において、前記メイン凝集剤添加工程によって前記メイン凝集剤が添加された被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過することが好ましい。
【0015】
前記膜ろ過方法において、前記サブ膜ろ過工程の分岐被処理水にサブ凝集剤を添加するサブ凝集剤添加工程をさらに含み、前記サブ膜ろ過工程において、前記メイン凝集剤が添加される前の被処理水から分岐され、前記サブ凝集剤添加工程によってサブ凝集剤が添加された分岐被処理水をろ過することが好ましい。
【0016】
前記膜ろ過方法において、前記サブ膜ろ過工程において、前記メイン膜ろ過工程よりも高いフラックスで通水することが好ましい。
【0017】
前記膜ろ過方法において、前記サブろ過抵抗検知工程により検知されたろ過抵抗値に基づいて、前記メイン凝集剤添加工程の条件を制御することが好ましい。
【0018】
前記膜ろ過方法において、前記サブろ過抵抗検知工程によって検知されたろ過抵抗値のデータを、教師データとして用いることが好ましい。
【0019】
本発明は、メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置の被処理水へメイン凝集剤を添加する凝集剤添加装置であって、サブろ過膜を用いて前記メイン膜ろ過装置の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置と、前記メイン膜ろ過装置の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段と、前記サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段と、前記サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて、前記メイン凝集剤添加手段の条件を制御する制御手段と、を備える、凝集剤添加装置である。
【0020】
前記凝集剤添加装置において、前記サブ膜ろ過装置は、前記メイン凝集剤添加手段によってメイン凝集剤が添加された被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過する装置であることが好ましい。
【0021】
前記凝集剤添加装置において、前記サブ膜ろ過装置の分岐被処理水にサブ凝集剤を添加するサブ凝集剤添加手段をさらに備え、前記サブ膜ろ過装置は、前記メイン凝集剤が添加される前の被処理水から分岐され、前記サブ凝集剤添加手段によってサブ凝集剤が添加された分岐被処理水をろ過する装置であることが好ましい。
【0022】
前記凝集剤添加装置において、前記サブ膜ろ過装置において、前記メイン膜ろ過装置よりも高いフラックスで通水することが好ましい。
【0023】
前記凝集剤添加装置において、前記サブろ過抵抗検知手段によって検知されたろ過抵抗値のデータが保管される記録部を有し、前記記録部に保管されたデータを、教師データとして用いることが好ましい。
【0024】
本発明は、メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置の被処理水へのメイン凝集剤の添加を制御する凝集剤添加装置の制御装置であって、前記凝集剤添加装置は、サブろ過膜を用いて前記メイン膜ろ過装置の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置と、前記メイン膜ろ過装置の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段と、前記サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段と、を備え、前記サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて、前記メイン凝集剤添加手段の条件を制御する制御手段を備える、凝集剤添加装置の制御装置である。
【0025】
前記凝集剤添加装置の制御装置において、前記サブ膜ろ過装置は、前記メイン凝集剤添加手段によってメイン凝集剤が添加された被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過する装置であることが好ましい。
【0026】
前記凝集剤添加装置の制御装置において、前記凝集剤添加装置は、前記サブ膜ろ過装置の分岐被処理水にサブ凝集剤を添加するサブ凝集剤添加手段をさらに備え、前記サブ膜ろ過装置は、前記メイン凝集剤が添加される前の被処理水から分岐され、前記サブ凝集剤添加手段によってサブ凝集剤が添加された分岐被処理水をろ過する装置であることが好ましい。
【0027】
前記凝集剤添加装置の制御装置において、前記サブ膜ろ過装置において、前記メイン膜ろ過装置よりも高いフラックスで通水することが好ましい。
【0028】
前記凝集剤添加装置の制御装置において、前記サブろ過抵抗検知手段によって検知されたろ過抵抗値のデータが保管される記録部を有し、前記記録部に保管されたデータを、教師データとして用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によって、ろ過膜を用いる膜ろ過処理において、被処理水の性状が変動しても、膜ファウリングを抑制することができ、安定運転が可能な膜ろ過システム、膜ろ過方法、その膜ろ過システムに用いられる凝集剤添加装置、および凝集剤添加装置の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係る膜ろ過システムの一例を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る膜ろ過システムの他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0032】
<膜ろ過方法および膜ろ過システム>
本発明の実施形態に係る膜ろ過システムの一例の概略を
図1に示し、その構成について説明する。
【0033】
膜ろ過システム1は、メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置10と、サブろ過膜を用いてメイン膜ろ過装置10の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置12と、メイン膜ろ過装置10の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段として、メイン凝集剤添加装置20と、サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段として、サブろ過抵抗検知装置14と、サブろ過抵抗検知装置14により検知されたろ過抵抗値に基づいて所定の出力を行う出力手段として、出力部16と、を備える。膜ろ過システム1は、制御手段として制御装置18を備えてもよい。膜ろ過システム1は、メイン膜ろ過装置10で得られる処理水を貯留する処理水槽22と、メイン膜ろ過装置10のメインろ過膜の逆洗や薬品添加逆洗を行うためのメイン逆洗手段としてメイン逆洗配管30と、サブ膜ろ過装置12のサブろ過膜の逆洗や薬品添加逆洗を行うためのサブ逆洗手段としてサブ逆洗配管36と、を備えてもよい。
【0034】
図1の膜ろ過システム1において、メイン膜ろ過装置10の被処理水入口には、メイン被処理水配管24が接続されている。メイン処理水出口と処理水槽22の入口とは、メイン処理水配管26により接続され、処理水槽22のメイン処理水出口には、メイン処理水配管28が接続されている。処理水槽22のメイン逆洗液出口とメイン膜ろ過装置10の2次側のメイン逆洗液入口とは、メイン逆洗配管30により接続されている。メイン膜ろ過装置10の1次側のメイン逆洗排液出口には、メイン逆洗排液配管32が接続されている。メイン凝集剤添加装置20の出口とメイン被処理水配管24とは、メイン凝集剤添加配管42により接続されている。
【0035】
サブ膜ろ過装置12の分岐被処理水入口には、メイン被処理水配管24におけるメイン凝集剤添加配管42の接続点の下流側から分岐したサブ分岐被処理水配管34が接続され、サブ処理水出口には、サブ処理水配管40が接続されている。処理水槽22のサブ逆洗液出口とサブ膜ろ過装置12の2次側のサブ逆洗液入口とは、サブ逆洗配管36により接続されている。サブ膜ろ過装置12の1次側のサブ逆洗排液出口には、サブ逆洗排液配管38が接続されている。サブ膜ろ過装置12の2次側には、サブろ過抵抗検知装置14が設置されている。
【0036】
出力部16とサブろ過抵抗検知装置14、出力部16と制御装置18、サブろ過抵抗検知装置14と制御装置18、制御装置18とメイン凝集剤添加装置20とは、有線または無線の電気的接続等によって通信可能に接続されていてもよい。膜ろ過システム1は、さらに通信手段として通信装置を備えてもよい。通信装置は制御装置18に接続されており、例えば、インターネットを経由してサーバに接続される。サーバには少なくとも記録部または演算部を設けられている。記録部には、例えば、サブろ過抵抗検知装置14によって測定されたろ過抵抗値等のデータが保管される。演算部では、サブろ過抵抗検知装置14によって測定されたろ過抵抗値等のデータを用いた演算が行われ、警報やメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤添加の実行等の出力が行われてもよいし、記録部に保管されたデータが合わせて用いられて、凝集剤添加の実施履歴、使用凝集剤量および凝集剤コスト等が計算され、保管または出力されてもよい。出力は再びインターネットを経由して制御装置18に送られ、出力部16に警報を出したり、凝集剤添加が実行されたり、凝集剤添加条件の変更がなされてもよい。
【0037】
本実施形態に係る膜ろ過方法および膜ろ過システム1の動作について説明する。
【0038】
処理対象の被処理水は、メイン被処理水配管24を通してメイン膜ろ過装置10に送液される。ここで、メイン被処理水配管24において、メイン凝集剤添加装置20からメイン凝集剤がメイン凝集剤添加配管42を通して被処理水に添加される(メイン凝集剤添加工程)。メイン膜ろ過装置10において、メインろ過膜を用いて被処理水の膜ろ過処理が行われる(メイン膜ろ過工程)。得られたメイン処理水は、メイン処理水配管26を通して、必要に応じて処理水槽22へ送液され、貯留される。処理水槽22に貯留されたメイン処理水は、メイン処理水配管28を通して排出される。
【0039】
一方、メイン凝集剤添加装置20によってメイン凝集剤が添加された被処理水から分岐された分岐被処理水は、サブ分岐被処理水配管34を通してサブ膜ろ過装置12に送液される。サブ膜ろ過装置12において、サブろ過膜を用いて分岐被処理水の膜ろ過処理が行われる(サブ膜ろ過工程)。得られたサブ処理水は、サブ処理水配管40を通して、排出される。
【0040】
メイン膜ろ過装置10およびサブ膜ろ過装置12は、膜ろ過工程と洗浄工程とを繰り返し行う。洗浄工程の種類としては、処理水を用いてろ過膜の2次側から1次側へ通水する逆洗工程と、逆洗工程のときに酸やアルカリ剤、酸化剤等の薬品等を添加する薬品添加逆洗工程があり、少なくとも一方の洗浄を行えばよい。
【0041】
サブ膜ろ過装置12では、サブろ過抵抗検知装置14によって、ろ過工程中にサブろ過抵抗値が測定されればよい。
【0042】
膜ろ過システム1では、メイン膜ろ過装置10を連続運転する際に例えば定期的にメイン膜ろ過装置10の洗浄が行われる。メインろ過膜の洗浄は、例えばメイン処理水の少なくとも一部がメイン逆洗水として処理水槽22からメイン逆洗配管30を通してメイン膜ろ過装置10の2次側から1次側に逆流されて行われる(メイン逆洗工程)。メイン逆洗排液は、メイン膜ろ過装置10の1次側からメイン逆洗排液配管32を通して排出される。
【0043】
そしてこのメイン逆洗を行ってもメインろ過膜のファウリングが解消しない場合には、薬品をメイン逆洗水に加えたメイン薬品添加逆洗液により薬品添加逆洗が行われる(メイン薬品添加逆洗工程)。メイン薬品添加逆洗工程では、例えば、メイン処理水の少なくとも一部に薬品が添加されたメイン薬品添加逆洗液がメイン逆洗配管30を通してメイン膜ろ過装置10の2次側から1次側に逆流されて行われる(メイン薬品添加逆洗工程)。メイン薬品添加逆洗排液は、メイン膜ろ過装置10の1次側からメイン逆洗排液配管32を通して排出される。メイン薬品添加逆洗工程において、メインろ過膜をメイン薬品添加逆洗液に所定の時間、浸漬する浸漬工程を行ってもよい。また、メイン薬品添加逆洗工程において、メイン膜ろ過装置10の1次側から排出されたメイン薬品添加逆洗排液をメイン膜ろ過装置10の2次側に循環させてもよい。
【0044】
上記の通り、被処理水の性状が変動すること等によって、前段の生物処理や凝集および固液分離処理が不安定となり、膜ろ過処理において膜のファウリング(閉塞)が発生することがある。膜ろ過システム1では、メイン膜ろ過装置10によるメイン膜ろ過工程とは別に、サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段を備えたサブ膜ろ過装置12によるサブ膜ろ過工程を設け、サブろ過抵抗検知手段であるサブろ過抵抗検知装置14により検知された、サブ膜ろ過工程におけるろ過抵抗値に基づいて、サブ膜ろ過装置12における膜ろ過の状況に応じた出力、例えばろ過抵抗値があらかじめ定めた閾値を超えた場合に警報等の出力を出す。
【0045】
例えば、サブ膜ろ過装置12のろ過抵抗値は記録され、所定の条件を満たした場合に、メイン膜ろ過装置10の凝集剤添加量等を制御することが好ましい。
【0046】
図1の膜ろ過システム1では、例えば、サブろ過抵抗値を用いた以下の(1)~(3)の制御のうち少なくとも1つを行ってもよい。
【0047】
(1)例えば、サブ膜ろ過装置12のろ過工程中におけるサブろ過抵抗値の上昇率が所定の値以上となった場合に、メイン膜ろ過装置10におけるメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤の添加量を増やす。
【0048】
(2)例えば、サブ膜ろ過装置12における「洗浄後のサブろ過抵抗値」対「サブ膜ろ過装置のろ過量の傾き」が、所定の値以上になった場合に、メイン膜ろ過装置10におけるメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤の添加量を増やす。
【0049】
(3)例えば、メイン膜ろ過装置10におけるメイン凝集剤の添加量を変化させながら、「洗浄後のサブろ過抵抗値」対「サブ膜ろ過装置のろ過量の傾き」を算出し、傾きが小さくなる条件、またはその条件に近づくようにメイン膜ろ過装置10におけるメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤の添加量等を制御する。
【0050】
これによって、サブ膜ろ過装置12におけるサブろ過膜のファウリングの発生を早期に検知することができる。サブろ過膜のファウリングの発生を検知した場合にメイン膜ろ過装置10において凝集剤の添加条件を変更すれば、被処理水の性状が変動しても膜のファウリングを抑制することができ、メイン膜ろ過装置10の安定運転が可能となる。メイン膜ろ過装置10とは別にサブ膜ろ過装置12を設けることによって、メイン膜ろ過装置10を停止しなくても凝集剤の添加条件を変更することができ、メイン膜ろ過工程を継続してもよい。これによって、メイン膜ろ過装置10の稼働時間を最大限にすることができる。
【0051】
本発明の実施形態に係る膜ろ過システムの他の例を
図2に示す。
図2に示す膜ろ過システム3は、メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置10と、サブろ過膜を用いてメイン膜ろ過装置10の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置12と、メイン膜ろ過装置10の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段として、メイン凝集剤添加装置20と、サブ膜ろ過装置12の分岐被処理水にサブ凝集剤を添加するサブ凝集剤添加手段として、サブ凝集剤添加装置46と、サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段として、サブろ過抵抗検知装置14と、サブろ過抵抗検知装置14により検知されたろ過抵抗値に基づいて所定の出力を行う出力手段として、出力部16と、を備える。膜ろ過システム1は、制御手段として制御装置18を備えてもよい。膜ろ過システム1は、メイン膜ろ過装置10で得られる処理水を貯留する処理水槽22と、メイン膜ろ過装置10のメインろ過膜の逆洗や薬品添加逆洗を行うためのメイン逆洗手段としてメイン逆洗配管30と、サブ膜ろ過装置12のサブろ過膜の逆洗や薬品添加逆洗を行うためのサブ逆洗手段としてサブ逆洗配管36と、を備えてもよい。
【0052】
図2の膜ろ過システム3において、メイン膜ろ過装置10の被処理水入口には、メイン被処理水配管24が接続されている。メイン処理水出口と処理水槽22の入口とは、メイン処理水配管26により接続され、処理水槽22の処理水出口には、メイン処理水配管28が接続されている。処理水槽22のメイン逆洗液出口とメイン膜ろ過装置10の2次側のメイン逆洗液入口とは、メイン逆洗配管30により接続されている。メイン膜ろ過装置10の1次側のメイン逆洗排液出口には、メイン逆洗排液配管32が接続されている。メイン凝集剤添加装置20の出口とメイン被処理水配管24とは、メイン凝集剤添加配管42により接続されている。
【0053】
サブ膜ろ過装置12の分岐被処理水入口には、メイン被処理水配管24におけるメイン凝集剤添加配管42の接続点の上流側から分岐したサブ分岐被処理水配管34が接続され、サブ処理水出口には、サブ処理水配管40が接続されている。処理水槽22のサブ逆洗液出口とサブ膜ろ過装置12の2次側のサブ逆洗液入口とは、サブ逆洗配管36により接続されている。サブ膜ろ過装置12の1次側のサブ逆洗排液出口には、サブ逆洗排液配管38が接続されている。サブ膜ろ過装置12の2次側には、サブろ過抵抗検知装置14が設置されている。サブ凝集剤添加装置46の出口とサブ分岐被処理水配管34とは、サブ凝集剤添加配管44により接続されている。
【0054】
出力部16とサブろ過抵抗検知装置14、出力部16と制御装置18、サブろ過抵抗検知装置14と制御装置18、制御装置18とメイン凝集剤添加装置20、制御装置18とサブ凝集剤添加装置46とは、有線または無線の電気的接続等によって通信可能に接続されていてもよい。膜ろ過システム1は、さらに通信手段として通信装置を備えてもよい。通信装置は制御装置18に接続されており、例えば、インターネットを経由してサーバに接続される。サーバには少なくとも記録部または演算部を設けられている。記録部には、例えば、サブろ過抵抗検知装置14によって測定されたろ過抵抗値等のデータが保管される。演算部では、サブろ過抵抗検知装置14によって測定されたろ過抵抗値等のデータを用いた演算が行われ、警報やメイン凝集剤添加装置20やサブ凝集剤添加装置46による凝集剤添加の実行等の出力が行われてもよいし、記録部に保管されたデータが合わせて用いられて、メイン凝集剤添加装置20やサブ凝集剤添加装置46による凝集剤添加の実施履歴、使用凝集剤量および凝集剤コスト等が計算され、保管または出力されてもよい。出力は再びインターネットを経由して制御装置18に送られ、出力部16に警報を出したり、メイン凝集剤添加装置20やサブ凝集剤添加装置46による凝集剤添加が実行されたり、凝集剤添加条件の変更がなされてもよい。記録部に記録されたデータを、AI(機械学習やディープラーニング等)の教師データとして用いてもよい。例えば、記録部に記録された凝集条件および水質に対してサブろ過抵抗検知装置14によって測定されたろ過抵抗値を教師データとして用いたモデルをつくり、将来の水質に対してろ過抵抗値が低くなるような凝集条件を提示またはその凝集条件となるように制御するようにしてもよい。また、例えば、演算後に行われる警報や凝集剤添加の実行といった出力が正しかったかどうかをジャーテストや装置のメンテナンス等により行い、演算の正誤をラベルとして与えたものを教師データとして用い、モデルを調整して警報や凝集剤添加の精度向上を図ってもよい。
【0055】
処理対象の被処理水は、メイン被処理水配管24を通してメイン膜ろ過装置10に送液される。ここで、メイン被処理水配管24において、メイン凝集剤添加装置20からメイン凝集剤がメイン凝集剤添加配管42を通して被処理水に添加される(メイン凝集剤添加工程)。メイン膜ろ過装置10において、メインろ過膜を用いて被処理水の膜ろ過処理が行われる(メイン膜ろ過工程)。得られたメイン処理水は、メイン処理水配管26を通して、必要に応じて処理水槽22へ送液され、貯留される。処理水槽22に貯留されたメイン処理水は、メイン処理水配管28を通して排出される。
【0056】
一方、メイン凝集剤添加装置20によってメイン凝集剤が添加される前の被処理水から分岐された分岐被処理水は、サブ分岐被処理水配管34を通してサブ膜ろ過装置12に送液される。ここで、サブ分岐被処理水配管34において、サブ凝集剤添加装置46からサブ凝集剤がサブ凝集剤添加配管44を通して分岐被処理水に添加される(サブ凝集剤添加工程)。サブ膜ろ過装置12において、サブろ過膜を用いて分岐被処理水の膜ろ過処理が行われる(サブ膜ろ過工程)。得られたサブ処理水は、サブ処理水配管40を通して、排出される。
【0057】
メイン膜ろ過装置10およびサブ膜ろ過装置12は、膜ろ過工程と洗浄工程とを繰り返し行う。洗浄工程は、
図1の膜ろ過システム1と同様にして行われる。
【0058】
サブ膜ろ過装置12では、サブろ過抵抗検知装置14によって、ろ過工程中にサブろ過抵抗値が測定されればよい。
【0059】
膜ろ過システム3では、メイン膜ろ過装置10によるメイン膜ろ過工程とは別に、サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段を備えたサブ膜ろ過装置12によるサブ膜ろ過工程を設け、サブろ過抵抗検知手段であるサブろ過抵抗検知装置14により検知された、サブ膜ろ過工程におけるろ過抵抗値に基づいて、サブ膜ろ過装置12における膜ろ過の状況に応じた出力、例えばろ過抵抗値があらかじめ定めた閾値を超えた場合に警報等の出力を出す。
【0060】
例えば、サブ膜ろ過装置12のろ過抵抗値は記録され、所定の条件を満たした場合に、メイン膜ろ過装置10とサブ膜ろ過装置12のうち少なくともメイン膜ろ過装置10の凝集剤添加量等を制御することが好ましい。
【0061】
図2の膜ろ過システム3では、例えば、サブろ過抵抗値を用いた以下の(1)~(3)の制御のうち少なくとも1つを行ってもよい。
【0062】
(1)例えば、サブ膜ろ過装置12の膜ろ過工程中におけるサブろ過抵抗値の上昇率が所定の値以上となった場合に、メイン膜ろ過装置10におけるメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤の添加量と、サブ膜ろ過装置12におけるサブ凝集剤添加装置46によるサブ凝集剤の添加量を増やす。
【0063】
(2)例えば、サブ膜ろ過装置12における「洗浄後のサブろ過抵抗値」対「サブ膜ろ過装置のろ過量の傾き」が、所定の値以上になった場合に、メイン膜ろ過装置10におけるメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤の添加量と、サブ膜ろ過装置12におけるサブ凝集剤添加装置46によるサブ凝集剤の添加量を増やす。
【0064】
(3)例えば、サブ膜ろ過装置12におけるサブ凝集剤の添加量を変化させながら、「洗浄後のサブろ過抵抗値」対「サブ膜ろ過装置のろ過量の傾き」を算出し、傾きが小さくなる条件、またはその条件に近づくようにメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤の添加量等を制御する。
【0065】
これによって、サブ膜ろ過装置12におけるサブろ過膜のファウリングの発生を早期に検知することができる。サブろ過膜のファウリングの発生を検知した場合にメイン膜ろ過装置10において凝集剤の添加条件を変更すれば、被処理水の性状が変動しても膜のファウリングを抑制することができ、メイン膜ろ過装置10の安定運転が可能となる。メイン膜ろ過装置10とは別にサブ膜ろ過装置12を設けることによって、メイン膜ろ過装置10を停止しなくても凝集剤の添加条件を変更することができ、メイン膜ろ過工程を継続してもよい。これによって、メイン膜ろ過装置10の稼働時間を最大限にすることができる。
【0066】
サブ膜ろ過装置12におけるサブろ過膜は、例えば、メイン膜ろ過装置10におけるメインろ過膜と同様の膜材質と膜形状と膜孔径とを有し、メインろ過膜よりも膜面積が小さい膜が用いられる。メイン膜ろ過装置10よりも小型のサブ膜ろ過装置12でファウリングを検知すれば、メイン膜ろ過装置10におけるファウリングを早期に予測することができる。
【0067】
サブ膜ろ過装置12(サブ膜ろ過工程)において、メイン膜ろ過装置10(メイン膜ろ過工程)よりも高いフラックスで通水することが好ましい。これによって、サブ膜ろ過装置12におけるサブろ過膜のファウリングの発生をより早期に検知することができる。サブろ過膜のファウリングの発生を検知した場合に、メイン膜ろ過装置10において凝集剤の添加条件を変更すれば、被処理水の性状が変動しても膜のファウリングを抑制することができ、メイン膜ろ過装置10の安定運転が可能となる。
【0068】
サブ膜ろ過装置12(サブ膜ろ過工程)におけるフラックスは、メイン膜ろ過装置10(メイン膜ろ過工程)におけるフラックスの例えば2倍~10倍であり、4倍~6倍であることが好ましい。サブ膜ろ過装置12におけるフラックスがメイン膜ろ過装置10におけるフラックスの2倍未満であると、サブろ過膜のファウリングの発生をより早期に検知することできない場合があり、10倍を超えると、ファウリング発生の評価を過剰にしてしまい、予測精度が下がるおそれがある。
【0069】
また、例えば、サブろ過抵抗検知装置14により検知された、サブ膜ろ過装置12におけるろ過抵抗値に基づいて、メイン膜ろ過装置10において行われるメイン凝集剤の添加条件やサブ膜ろ過装置12において行われるサブ凝集剤の添加条件を制御してもよい。例えば、サブ膜ろ過装置12における抵抗上昇の傾向から、メイン膜ろ過工程の凝集剤添加の条件、例えば、凝集剤の種類、添加量等を制御すればよい。これらの制御は手動で行ってもよいし、自動で行ってもよい。
【0070】
サブろ過抵抗検知装置14としては、サブ膜ろ過装置12におけるろ過抵抗値を検知できるものであればよく、特に制限はないが、例えば、圧力計等の圧力測定手段、流量計等の流量測定手段等が挙げられる。サブろ過抵抗検知装置14としては、圧力計等の圧力測定手段、流量計等の流量測定手段の両方を備えることが好ましい。被処理水の温度依存性を考慮する場合には、温度測定手段として温度計をさらに備えることが好ましい。
【0071】
制御装置18は、サブ膜ろ過装置12において分岐被処理水を通水した際の圧力と流量等を測定したデータを記憶し、ろ過抵抗上昇のデータを算出し、これに基づいてメイン膜ろ過装置10におけるメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤添加の条件(例えば、メイン凝集剤の種類、添加量等)や、サブ膜ろ過装置12におけるサブ凝集剤添加装置46によるサブ凝集剤添加の条件(例えば、サブ凝集剤の種類、添加量等)を自動で制御してもよい。
【0072】
出力部16における出力としては、サブ膜ろ過装置12における膜ろ過の状況を示す表示や音等の視聴覚的に認知可能な警報の他に、膜ろ過の状況に対応するための対応方法、改善提案等が表示されてもよい。出力部16は、例えば、情報を表示、出力することができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示手段である表示装置や、スピーカ等の音声出力手段である音声出力装置等が挙げられる。例えば、警報の方法としては、制御盤のタッチパネル上に表示する、インターネット通信を介して運転員に通知する、監視室等に通知する等が挙げられる。
【0073】
出力部16は、サブ膜ろ過装置12におけるろ過抵抗値が例えばあらかじめ定めた閾値を超えた場合に警報等の出力を出してもよい。警報の閾値は、1つに予め決めてもよいし、段階的、比例的に変化させてもよい。
【0074】
制御装置18は、例えば、プログラムを演算するCPU等の演算手段、プログラムや演算結果を記憶するROMおよびRAM等の記憶手段等を含んで構成されるマイクロコンピュータと電子回路等で構成される。制御装置18は、例えば、サブろ過抵抗検知手段により検知されたろ過抵抗値に基づいて、メイン膜ろ過装置10において行われるメイン凝集剤添加装置20によるメイン凝集剤添加の条件や、サブ膜ろ過装置12において行われるサブ凝集剤添加装置46によるサブ凝集剤添加の条件を制御する機能を有する。制御装置18は、例えば、メイン凝集剤添加装置20またはサブ凝集剤添加装置46における凝集剤の添加に用いられるポンプのオン/オフや流量、バルブの開閉等を調整して、被処理水への凝集剤の添加量を制御する機能を有する。
【0075】
処理対象となる被処理水は、例えば懸濁物、有機物、金属粒子等の無機物等を含む水であり、特に制限はないが、例えば、半導体製造工場、食品工場等から排出される有機物を含む排水が生物処理された(生物処理工程)生物処理水、凝集および固液分離処理(凝集/固液分離処理工程)された固液分離処理水、生物処理された後、その生物処理水について凝集および固液分離処理された固液分離処理水等が挙げられる。生物処理工程、凝集/固液分離処理工程の前後段に他の工程が入って処理された水であってもよい。
【0076】
生物処理は、微生物を用いて、被処理水の処理を行うものであればよく、特に制限はない。凝集および固液分離処理は、ポリ塩化アルミニウム等の無機凝集剤や高分子凝集剤等の凝集剤を用いて、被処理水の凝集処理および固液分離処置を行うものであればよく、特に制限はない。
【0077】
被処理水の性状が、TOCで示される有機物の含有量が1~50mg/Lの範囲で変動し、またはICP分析法で示される鉄、アルミニウム、マンガン等の金属粒子および溶存金属等の無機物の含有量がそれぞれ0.01~20mg/Lの範囲で変動する水である場合に、本実施形態に係る膜ろ過システムおよび膜ろ過方法が好適に適用される。
【0078】
メインろ過膜、サブろ過膜は、例えば、限外ろ過膜(UF膜)または精密ろ過膜(MF膜)等の除濁膜である。膜の形状は、例えば、中空糸膜等である。
【0079】
薬品添加逆洗に用いる薬品としては、酸、酸化剤、アルカリ等が挙げられる。酸としては、特に制限はないが、塩酸、硫酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸が挙げられ、薬品添加逆洗のときの回復性等の点から、シュウ酸、クエン酸等の有機酸を用いることが好ましい。
【0080】
薬品添加逆洗に用いる酸化剤としては、特に制限はないが、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系酸化剤等が挙げられる。
【0081】
薬品添加逆洗に用いるアルカリとしては、特に制限はないが、比較的安価な水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム等を用いることが好ましい。
【0082】
薬品添加逆洗において、必要に応じて酸、アルカリ、酸化剤以外の他の薬品、例えば、界面活性剤等の膜洗浄剤等を使用してもよい。
【0083】
<凝集剤添加装置>
本発明の実施形態に係る凝集剤添加装置は、
図1、
図2に示す、メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置10の被処理水へメイン凝集剤を添加する凝集剤添加装置である。凝集剤添加装置は、サブろ過膜を用いてメイン膜ろ過装置10の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置12と、メイン膜ろ過装置10の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段として、メイン凝集剤添加装置20と、サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段として、サブろ過抵抗検知装置14と、サブろ過抵抗検知装置14により検知されたろ過抵抗値に基づいて、メイン凝集剤添加装置20の条件を制御する制御手段として、制御装置18と、を備える。
【0084】
図1に示す凝集剤添加装置において、サブ膜ろ過装置12は、メイン凝集剤添加装置20によってメイン凝集剤が添加された被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過する装置である。
【0085】
図2に示す凝集剤添加装置において、サブ膜ろ過装置12の分岐被処理水にサブ凝集剤を添加するサブ凝集剤添加手段として、サブ凝集剤添加装置46をさらに備え、サブ膜ろ過装置12は、メイン凝集剤が添加される前の被処理水から分岐され、サブ凝集剤添加装置46によってサブ凝集剤が添加された分岐被処理水をろ過する装置である。
【0086】
凝集剤添加装置におけるサブ膜ろ過装置12において、メイン膜ろ過装置10よりも高いフラックスで通水することが好ましい。
【0087】
<凝集剤添加装置の制御装置>
本発明の実施形態に係る凝集剤添加装置の制御装置は、メインろ過膜を用いて被処理水をろ過するメイン膜ろ過装置10の被処理水へのメイン凝集剤の添加を制御する凝集剤添加装置の制御装置である。凝集剤添加装置は、サブろ過膜を用いてメイン膜ろ過装置10の被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過するサブ膜ろ過装置12と、メイン膜ろ過装置10の被処理水にメイン凝集剤を添加するメイン凝集剤添加手段として、メイン凝集剤添加装置20と、サブろ過膜のろ過抵抗値を検知するためのサブろ過抵抗検知手段として、サブろ過抵抗検知装置14と、を備える。凝集剤添加装置の制御装置は、サブろ過抵抗検知装置14により検知されたろ過抵抗値に基づいて、メイン凝集剤添加装置20の条件を制御する制御手段として、制御装置18を備える。
【0088】
図1に示す凝集剤添加装置の制御装置における凝集剤添加装置において、サブ膜ろ過装置12は、メイン凝集剤添加装置20によってメイン凝集剤が添加された被処理水から分岐された分岐被処理水をろ過する装置である。
【0089】
図2に示す凝集剤添加装置の制御装置における凝集剤添加装置において、サブ膜ろ過装置12の分岐被処理水にサブ凝集剤を添加するサブ凝集剤添加手段として、サブ凝集剤添加装置46をさらに備え、サブ膜ろ過装置12は、メイン凝集剤が添加される前の被処理水から分岐され、サブ凝集剤添加装置46によってサブ凝集剤が添加された分岐被処理水をろ過する装置である。
【0090】
凝集剤添加装置の制御装置における凝集剤添加装置において、サブ膜ろ過装置12において、メイン膜ろ過装置10よりも高いフラックスで通水することが好ましい。
【符号の説明】
【0091】
1,3 膜ろ過システム、10 メイン膜ろ過装置、12 サブ膜ろ過装置、14 サブろ過抵抗検知装置、16 出力部、18 制御装置、20 メイン凝集剤添加装置、22 処理水槽、24 メイン被処理水配管、26,28 メイン処理水配管、30 メイン逆洗配管、32 メイン逆洗排液配管、34 サブ分岐被処理水配管、36 サブ逆洗配管、38 サブ逆洗排液配管、40 サブ処理水配管、42 メイン凝集剤添加配管、44 サブ凝集剤添加配管、46 サブ凝集剤添加装置。