(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019303
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】位置特定支援装置、位置特定支援システム、位置特定支援方法及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/029 20180101AFI20230202BHJP
A01K 11/00 20060101ALI20230202BHJP
H04W 4/30 20180101ALI20230202BHJP
【FI】
H04W4/029
A01K11/00 Z
H04W4/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123928
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新関 智明
(72)【発明者】
【氏名】伴 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】武井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】砂留 光利
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB21
5K067DD20
5K067FF22
5K067HH22
5K067JJ51
(57)【要約】
【課題】対象領域内で飼育される動物に関して、特定の動物の位置をより容易に知ること。
【解決手段】個々に対象端末装置を装着した複数の動物の中から特定の動物を示す識別情報を取得する情報取得部と、取得された前記識別情報が示す前記動物に装着されている前記対象端末装置に対し、前記対象端末装置が備える出力装置が人間によって感知可能な態様で出力を実行するように制御する出力制御部と、を備える位置特定支援装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に対象端末装置を装着した複数の動物の中から特定の動物を示す識別情報を取得する情報取得部と、
取得された前記識別情報が示す前記動物に装着されている前記対象端末装置に対し、前記対象端末装置が備える出力装置が人間によって感知可能な態様で出力を実行するように制御する出力制御部と、
を備える位置特定支援装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、ネットワークを介して他の装置から前記識別情報を取得し、
前記出力制御部は、前記出力装置を制御するための情報である出力制御情報をネットワークを介して前記対象端末装置10に届くように送信する、
請求項1に記載の位置特定支援装置。
【請求項3】
前記識別情報が示す動物の位置を取得する位置情報取得部をさらに備え、
ユーザーが操作するユーザー端末に、前記位置を示す情報を送信する、請求項1又は2に記載の位置特定支援装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、前記動物の状況を解析する管理装置から、所定の条件を満たした動物の識別情報を取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載の位置特定支援装置。
【請求項5】
複数の対象端末装置と、位置特定支援装置と、を備え、
前記対象端末装置は、個々の動物に装着され、人間によって感知可能な態様で出力を実行する出力装置を備え、
前記位置特定支援装置は、
前記対象端末装置を装着した複数の動物の中から特定の動物を示す識別情報を取得する情報取得部と、
取得された前記識別情報が示す前記動物に装着されている前記対象端末装置に対し、前記対象端末装置が備える出力装置が動作するように制御する出力制御部と、
を備える、位置特定支援システム。
【請求項6】
個々に対象端末装置を装着した複数の動物の中から特定の動物を示す識別情報を取得する情報取得ステップと、
取得された前記識別情報が示す前記動物に装着されている前記対象端末装置に対し、前記対象端末装置が備える出力装置が人間によって感知可能な態様で出力を実行するように制御する出力制御ステップと、
を有する位置特定支援方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の位置特定支援装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の領域における動物の位置を認知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、乳牛の飼養形態として、乳牛を特定の位置につなぎ留めて飼養するつなぎ飼いが一般的であった。これに対し、近年は新たな乳牛の飼養形態として、乳牛が所定の領域内を自由に移動可能な形態が提案されている。このような飼養形態の具体例として、フリーストールやルーズバーン(フリーバーン)がある。乳牛の飼育において、個々の乳牛の状態を知りたいという要求がある。このような要求に対しては、例えば特許文献1に記載のようにセンサモジュールを乳牛に取り付けて情報を取得する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乳牛の飼育においては、特定の乳牛の位置を知りたい場合もある。従来のつなぎ飼いでは、容易に乳牛の位置を把握できていた。しかし、フリーストールやルーズバーン等の飼養形態では、特定の乳牛の位置をすぐに知ることは困難である。このような課題は、乳牛に限られた課題ではなく、移動可能な状態で飼育される動物全般に共通する課題である。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、対象領域内で飼育される動物に関して、特定の動物の位置をより容易に知ることが可能となる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、個々に対象端末装置を装着した複数の動物の中から特定の動物を示す識別情報を取得する情報取得部と、取得された前記識別情報が示す前記動物に装着されている前記対象端末装置に対し、前記対象端末装置が備える出力装置が人間によって感知可能な態様で出力を実行するように制御する出力制御部と、を備える位置特定支援装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上記の位置特定支援装置であって、前記情報取得部は、ネットワークを介して他の装置から前記識別情報を取得し、前記出力制御部は、前記出力装置を制御するための情報である出力制御情報をネットワークを介して前記対象端末装置10に届くように送信する。
【0008】
本発明の一態様は、上記の位置特定支援装置であって、前記識別情報が示す動物の位置を取得する位置情報取得部をさらに備え、ユーザーが操作するユーザー端末に、前記位置を示す情報を送信する。
【0009】
本発明の一態様は、上記の位置特定支援装置であって、前記情報取得部は、前記動物の状況を解析する管理装置から、所定の条件を満たした動物の識別情報を取得する。
【0010】
本発明の一態様は、複数の対象端末装置と、位置特定支援装置と、を備え、前記対象端末装置は、個々の動物に装着され、人間によって感知可能な態様で出力を実行する出力装置を備え、前記位置特定支援装置は、前記対象端末装置を装着した複数の動物の中から特定の動物を示す識別情報を取得する情報取得部と、取得された前記識別情報が示す前記動物に装着されている前記対象端末装置に対し、前記対象端末装置が備える出力装置が動作するように制御する出力制御部と、を備える、位置特定支援システムである。
【0011】
本発明の一態様は、個々に対象端末装置を装着した複数の動物の中から特定の動物を示す識別情報を取得する情報取得ステップと、取得された前記識別情報が示す前記動物に装着されている前記対象端末装置に対し、前記対象端末装置が備える出力装置が人間によって感知可能な態様で出力を実行するように制御する出力制御ステップと、を有する位置特定支援方法である。
【0012】
本発明の一態様は、上記の位置特定支援装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、対象領域内で飼育される動物に関して、特定の動物の位置をより容易に知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の位置特定支援システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】対象端末装置10の機能構成の具体例を示す図である。
【
図3】位置特定支援装置40の機能構成例を示す概略ブロック図である。
【
図4】位置情報を取得するための仕組みの一例を示す図である。
【
図5】位置特定支援システム100の動作の具体例を示すシーケンスチャートである。
【
図6】本発明の位置特定支援システム100の変形例のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の位置特定支援システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【0016】
位置特定支援システム100は、複数の対象端末装置10、無線通信機器20、ゲートウェイ30、位置特定支援装置40及びユーザー端末装置50を備える。対象端末装置10と無線通信機器20とは、無線通信を行うことによってデータを送受信する。この無線通信は、例えば短距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標))であってもよいし、無線LAN(Local Area Network)であってもよいし、Wi-Fiであってもよいし、LPWA(Low Power, Wide Area)であってもよい。無線通信機器20とゲートウェイ30とは、通信を行うことによってデータを送受信する。無線通信機器20とゲートウェイ30との間で行われる通信は、無線通信であってもよいし有線通信であってもよい。
【0017】
ゲートウェイ30、位置特定支援装置40及びユーザー端末装置50は、ネットワーク90を介して通信する。ネットワーク90は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク90は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0018】
図2は、対象端末装置10の機能構成の具体例を示す図である。対象端末装置10は、通信可能な情報機器を用いて構成される。対象端末装置10は、例えばシングルボードコンピューター等の小型の情報機器を用いて構成されてもよい。対象端末装置10は、飼育対象の動物に装着される。対象端末装置10は、例えば首輪の形状の装置として構成されてもよいし、耳輪や鼻輪の形状の装置として構成されてもよいし、四肢や胴体に装着される装置として構成されてもよい。対象端末装置10は、通信部11、出力部12、記憶部13及び制御部14を備える。
【0019】
通信部11は、通信インターフェースを用いて構成される。通信部11は、無線通信で無線通信機器20に接続し、無線通信機器20との間でデータ通信する。
【0020】
出力部12は、人間が感知可能な態様で情報を出力する。例えば、出力部12は、1又は複数の発光装置を用いて構成されてもよい。この場合、出力部12は、発光することによって出力を行う。出力部12は、制御部14の制御に応じて、予め定められた一つの態様で光を発してもよいし、予め定められた複数の態様で光を発してもよい。複数の態様で光が発せられる場合には、飼育対象の動物の状態と、その状態に応じた発光の態様とが予め対応付けられていることが望ましい。例えば、出力部12は、スピーカーを用いて構成されてもよい。この場合、出力部12は音を出力する。
【0021】
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部13は、制御部14によって使用されるデータを記憶する。記憶部13に記憶されているデータは、制御部14によって読み出される。記憶部13は、例えば識別情報記憶部131として機能する。識別情報記憶部131は、自装置に予め割り当てられている端末識別情報を記憶する。端末識別情報は、他の対象端末装置10に記憶されている端末識別情報と重複しない値が付与されていることが望ましい。このように、対象端末装置10毎に異なる端末識別情報が記憶されていることで、端末識別情報を用いて個々の対象端末装置10を区別することが可能となる。
【0022】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部14は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、出力制御部141として機能する。なお、制御部14の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。プログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0023】
出力制御部141は、通信部11を介して他の装置から出力制御情報を受信する。出力制御部141は、受信された出力制御情報が自装置宛の情報であるか否か判定する。例えば、出力制御情報に含まれている端末識別情報が、自装置の識別情報記憶部131に記憶されている端末識別情報と一致している場合には、出力制御部141は自装置宛の出力制御情報であると判定する。一方、出力制御情報に含まれている端末識別情報が、自装置の識別情報記憶部131に記憶されている端末識別情報と一致していない場合には、出力制御部141は自装置宛の出力制御情報ではないと判定する。出力制御部141は、自装置宛の出力制御情報に応じて出力部12を制御する。例えば、出力部12を発光させることを示す自装置宛の出力制御情報が受信された場合には、出力制御部141は、予め定められた態様で出力部12を発光させる。
【0024】
無線通信機器20は、無線通信を行う通信機器である。無線通信機器20は、対象端末装置10と無線通信可能であればどのような態様で実装されてもよい。無線通信機器20は、ゲートウェイ30を介して位置特定支援装置40等の他の装置とデータ通信する。
【0025】
ゲートウェイ30は、ネットワーク90を介して位置特定支援装置40と通信する。ゲートウェイ30は、例えばSIMカードを備えることによって携帯通信網を経由してネットワーク90に接続してもよい。ゲートウェイ30は、例えば無線LAN(Local Area Network)の通信を行うことによってネットワーク90に接続されてもよい。ゲートウェイ30がネットワーク90に接続する手段は限定される必要は無い。
【0026】
位置特定支援装置40は、情報処理装置を用いて構成される。位置特定支援装置40は、パーソナルコンピューターやサーバー等の情報処理装置を用いて構成される。
図3は、位置特定支援装置40の機能構成例を示す概略ブロック図である。位置特定支援装置40は、通信部41、記憶部42及び制御部43を備える。
【0027】
通信部41は、通信インターフェースを用いて構成される。通信部41は、ネットワーク90を介して他の機器(例えば無線通信機器20やゲートウェイ30)とデータ通信する。
【0028】
記憶部42は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部42は、認証情報記憶部421及び端末識別情報記憶部422として機能する。
【0029】
認証情報記憶部421は、ユーザー端末装置50の認証に使用される情報(以下「認証情報」という。)を記憶する。例えば、認証情報記憶部421は、ユーザーを示す識別情報(以下「ユーザー識別情報」という。)と、そのユーザーの認証に用いられる認証情報とを対応付けて記憶してもよい。認証情報は、例えばパスワードを示す情報であってもよいし、生体情報(例えば虹彩の情報、指紋の情報、顔の情報など)であってもよいし、他の情報であってもよい。
【0030】
端末識別情報記憶部422は、各対象端末装置10に割り当てられている端末識別情報を記憶する。端末識別情報記憶部422は、対象端末装置10が装着されている動物に割り当てられている他の識別情報(以下「管理識別情報」という。)をさらに記憶してもよい。この場合、端末識別情報記憶部422は、ある動物の管理識別情報と、その動物に装着されている対象端末装置10の端末識別情報と、を対応付けて記憶してもよい。管理識別情報は、例えば牛に対して与えられる耳票(耳タグ)の識別情報であってもよい。管理識別情報は、例えば牛が装着している他の装置において用いられている識別情報であってもよい。例えば、牛の生体情報を取得する装置(例えばバイタルセンサー)や、牛の動きを示す情報を取得する装置(例えばジャイロセンサー)を含む機器に対して割り当てられている識別情報が管理識別情報として使用されてもよい。
【0031】
制御部43は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部43は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、要求情報取得部431、認証部432、出力制御部433、位置情報取得部434及び情報提供部435として機能する。なお、制御部43の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。プログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0032】
要求情報取得部431は、ユーザー端末装置50から送信される要求情報を受信する。要求情報は、特定の動物に装着されている対象端末装置10に対する出力の実行を要求することを示す情報である。要求情報には、動物を特定するための識別情報が含まれる。例えば、要求情報には、端末識別情報が含まれてもよいし、管理識別情報が含まれてもよい。要求情報には、ユーザー端末装置50のユーザーを示す識別情報が含まれてもよい。要求情報には、ユーザー端末装置50のユーザーを認証するために用いられる認証情報が含まれてもよい。
【0033】
認証部432は、要求情報に含まれる認証情報と、認証情報記憶部421に記憶されている認証情報とを用いて、要求情報の送信元であるユーザー端末装置50のユーザーを認証する。例えば、認証部432は、要求情報に含まれているユーザー識別情報に対応付けて記憶されている認証情報と、要求情報に含まれている認証情報とを用いて認証処理を実行してもよい。
【0034】
出力制御部433は、要求情報に含まれる識別情報によって特定される動物の対象端末装置10が出力処理を実行するように対象端末装置10を制御する。例えば、要求情報に管理識別情報が含まれている場合には、出力制御部433は、この管理識別情報に対応付けて端末識別情報記憶部422に記憶されている端末識別情報を読み出す。そして、出力制御部433は、読み出された端末識別情報を含む出力制御情報を送信する。出力制御部433は、出力部12の出力態様を示す情報を含んでもよい。出力態様は、単に発光することを示す情報であってもよいし、特定のパターンで発光することや特定の色で発光することを示す情報であってもよいし、特定の音を発することを示す情報であってもよい。このような出力態様を示す情報は、例えば要求情報に含まれてもよい。
【0035】
位置情報取得部434は、出力制御部433によって制御される対象端末装置10の位置を示す情報(以下「位置情報」という。)を取得する。位置情報取得部434は、どのような手段で位置情報を取得してもよい。以下、位置情報取得部434が行う処理の具体例について説明する。
【0036】
図4は、位置情報を取得するための仕組みの一例を示す図である。例えば、複数の無線通信機器20が所定の領域(対象端末装置10を装着した動物が移動することが許容されている領域:以下「対象領域」という:例えば
図4において破線で示される領域)に設置され、各無線通信機器20(20-1~20-4)から送信される信号の受信強度を対象端末装置10から受信することによって、その対象端末装置10の位置が推定されてもよい。このような位置推定は、複数の無線通信機器20の位置が予め特定されており、各無線通信機器20から送信された信号の受信強度を取得することで行うことができる。この場合、対象端末装置10は、各無線通信機器20から送信された信号毎の受信強度を位置特定支援装置40へ送信する必要がある。この場合、自装置宛の出力制御情報が受信された対象端末装置10のみが受信強度を示す情報を送信してもよい。また、対象端末装置10が装着された動物に装着されている他の機器から受信強度を示す情報が送信されてもよい。
【0037】
例えば、
図4に示される構成において、対象端末装置10又は動物に装着されている他の装置から所定の無線信号(例えばビーコン)を発信し、各無線通信機器20によって受信されたビーコンの受信強度に基づいて位置推定が行われてもよい。このような場合にも、自装置宛の出力制御情報が受信された対象端末装置10のみがビーコンを送信してもよい。また、対象端末装置10が装着された動物に装着されている他の機器からビーコンが送信されてもよい。
【0038】
例えば、対象領域を撮影することができる1台又は複数台の撮影装置が設置され、撮影装置によって撮影された画像において発光した対象端末装置10を検出することによって位置推定が行われてもよい。この場合、各撮影装置の設置位置や画角等のカメラパラメーターが予め特定されていることで、位置推定を行うことが可能である。より具体的には、位置情報取得部434は、出力制御部433によって出力制御情報が送信された後に対象端末装置10が発光している期間において撮影装置によって撮影された画像を取得する。位置情報取得部434は、取得された画像から、特定の色(対象端末装置10の発光色)の画素領域を検出し、検出された画素領域に応じて実空間における位置情報を推定する。
【0039】
例えば、対象領域を撮影することができる1台又は複数台の撮影装置が設置され、撮影装置によって撮影された画像において動物の形や模様や大きさに基づいて位置推定が行われてもよい。この場合も、上述した説明と同様に、各撮影装置の設置位置や画角等のカメラパラメーターが予め特定されていることで、位置推定を行うことが可能である。
【0040】
情報提供部435は、位置情報取得部434によって取得された位置情報を、要求情報の送信元であるユーザー端末装置50に送信する。
【0041】
ユーザー端末装置50は、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター、ウェアラブルコンピューター、テレビ受像器、ゲーム機器、スマートスピーカー等のユーザーインターフェースを備えた情報処理装置を用いて構成される。ユーザー端末装置50は、ユーザーによる操作を受け付けて要求情報を生成し、生成された要求情報を位置特定支援装置40へ送信する。また、ユーザー端末装置50は、位置特定支援装置40から位置情報を受信すると、受信された位置情報をユーザーに対して出力する。例えば、位置を特定する対象の動物の場所を地図上に表示する形で出力が行われてもよいし、位置を特定する対象の動物の場所を示す情報(位置を示す識別情報)を文字又は画像の形で表示する形で出力が行われてもよいし、位置を特定する対象の動物の場所を示す情報(位置を示す識別情報)の文字を音声で出力することで出力が行われてもよい。
【0042】
図5は、位置特定支援システム100の動作の具体例を示すシーケンスチャートである。まず、ユーザーがユーザー端末装置50を操作することによって、位置を特定したい動物の識別情報を指定する。指定される識別情報は、端末識別情報であってもよいし、管理識別情報であってもよい。ユーザー端末装置50は、指定された識別情報を含む要求情報を生成し、位置特定支援装置40へ送信する(ステップS101)。
【0043】
位置特定支援装置40は、要求情報を受信すると、要求情報に含まれる認証情報を用いて認証処理を行う(ステップS102)。ユーザー端末装置50が認証されなかった場合には、そこで処理は終了する。一方、ユーザー端末装置50が認証された場合には、位置特定支援装置40は、出力制御処理を実行する(ステップS103)。具体的には、位置特定支援装置40は、要求情報に含まれる識別情報に対応する対象端末装置10へ送信される出力制御情報を生成する。そして、位置特定支援装置40は、出力制御情報を複数の対象端末装置10へ送信する(ステップS104)。この出力制御情報の送信は、例えば無線通信機器20を介して行われてもよいし、無線通信機器20及びゲートウェイ30を介して行われてもよい。
【0044】
対象端末装置10は、出力制御情報を受信すると、受信された出力制御情報が自装置宛であるか否か判定する(ステップS105)。自装置宛の出力制御情報でない場合には(ステップS105-NO)、対象端末装置10は、出力せずに、受信された出力制御情報に基づく動作を終了する(ステップS106)。一方、自装置宛の出力制御情報である場合には(ステップS105-YES)、対象端末装置10は、受信された出力制御情報に応じて出力部12を動作させ出力を行う(ステップS107)。
【0045】
位置特定支援装置40は、出力制御情報の送信先(宛先)となった対象端末装置10の位置情報を取得する(ステップS108)。位置特定支援装置40は、取得された位置情報をユーザー端末装置50へ送信する(ステップS109)。ユーザー端末装置50は、位置情報を受信すると、受信された位置情報を出力する(ステップS110)。
【0046】
このように構成された位置特定支援システム100では、対象領域内で飼育される動物に関して、特定の動物の位置をより容易に知ることが可能となる。具体的には以下の通りである。位置特定支援システム100では、ユーザーが位置を特定したい対象となる動物について識別情報をユーザー端末装置50に入力すると、識別情報に応じた動物の対象端末装置10が出力を行う。この出力は、人間が感知可能な態様で行われる。そのため、動物が存在している特定領域において、ユーザーは対象端末装置10の出力を感知することによって、位置を特定したい対象の動物の位置を容易に知ることが可能となる。例えば、対象端末装置10の出力部12が発光する場合には、光を探すことで容易に動物の位置を知ることが可能となる。
【0047】
また、位置特定支援システム100では、ユーザーが位置を特定したい対象となる動物について識別情報をユーザー端末装置50に入力すると、識別情報に応じた動物の位置を示す位置情報がユーザー端末装置50から出力される。そのため、ユーザーはユーザー端末装置50の出力に基づいて、位置を特定したい対象の動物の位置を容易に知ることが可能となる。
【0048】
(変形例)
図6は、本発明の位置特定支援システム100の変形例のシステム構成を示す概略ブロック図である。
図6に示される位置特定支援システム100は、管理装置60をさらに備える。管理装置60は、動物に装着されるセンサーの出力に応じて、動物の状況を解析してユーザーに提供する装置である。管理装置60は、例えば動物の生体情報に基づいて、動物の健康状態や発情期であるか否かを示す情報を解析してもよい。管理装置60は、例えば動物の動きを示す情報に基づいて、動物の健康状態や発情期であるか否かを示す情報を解析してもよい。管理装置60は、解析結果が所定の条件(以下「通知条件」という。)を満たす場合には、条件を満たした情報が得られた動物の識別情報を含む要求情報を位置特定支援装置40へ送信する。位置特定支援装置40は、管理装置60から要求情報を受信すると、受信された要求情報に基づいて処理を行い、対象端末装置10に対して出力制御情報を送信する。また、位置特定支援装置40は、位置情報と、管理装置60から受信された要求情報に含まれる動物の解析結果を示す情報と、をユーザー端末装置50に送信する。ユーザー端末装置50は、位置情報と解析結果を示す情報とを出力する。これにより、所定の条件を満たした動物の位置をユーザーはすぐに知ることが可能となる。
【0049】
位置特定支援装置40は、位置情報をユーザー端末装置50に送信することに代えて、管理装置60に送信してもよい。この場合、管理装置60は、解析結果と位置情報とをユーザー端末装置50に送信してもよい。
図6を用いた説明は以上である。
【0050】
出力制御部433は、複数の対象端末装置10の出力部12を同じタイミングで動作させてもよい。例えば、要求情報に複数の識別情報が含まれる場合や、複数の要求情報が同じタイミングで受信された場合に、出力制御部433はこのように動作してもよい。
【0051】
出力制御部433は、複数の対象端末装置10の出力部12を同じタイミングで動作させる場合に、複数の対象装置10の出力部12を、同じ態様で出力を行うように制御してもよい。例えば、出力制御部433は、複数の対象装置10の出力部12を、同じ色で発光するように制御してもよいし、同じパターンで明滅するように制御してもよい。このように構成されることで、たとえ複数の動物が同じタイミングで位置を把握する対象となった場合であっても、目的の動物の位置をより迅速に確認することが可能となる。
【0052】
出力制御部433は、複数の対象端末装置10の出力部12を同じタイミングで動作させる場合に、複数の対象装置10の出力部12を、それぞれ異なる態様で出力を行うように制御してもよい。例えば、出力制御部433は、複数の対象装置10の出力部12を、それぞれ異なる色で発光するように制御してもよいし、異なるパターンで明滅するように(一部の出力部12は点灯したままで)制御してもよい。この場合、情報提供部435は、ユーザー端末装置50に対し、各対象端末装置10に関連する識別情報と、その対象端末装置10における出力態様と、を対応付けた情報を送信してもよい。ユーザー端末装置50は、各対象端末装置10に関連する識別情報と、その対象端末装置10における出力態様と、を対応付けてユーザーに対し出力する。このように構成されることで、ユーザーは、複数の対象端末装置10が同じタイミングで出力を行っている場合に、各対象端末装置10の出力態様に応じて目的の動物の位置をより迅速に確認することが可能となる。
【0053】
無線通信機器20とゲートウェイ30とは一体の装置として構成されてもよい。無線通信機器20は、ゲートウェイ30を介すること無く、直接ネットワーク90に接続するように構成されてもよい。
【0054】
位置特定支援装置40は、位置情報取得部434及び情報提供部435を備えないように構成されてもよい。位置特定支援装置40は、出力制御部433を備えないように構成されてもよい。位置特定支援装置40は認証部432を備えないように構成されてもよい。位置特定支援システム100は、少なくとも位置特定支援装置40と対象端末装置10とを備えるシステムとして構成されてもよい。対象端末装置10は、直接ネットワーク90に通信可能に接続されてもよい。
【0055】
位置特定支援装置40は必ずしも1台の装置として構成される必要は無い。例えば、位置特定支援装置40が複数台の情報処理装置を用いて構成されてもよい。位置特定支援装置40を構成する複数台の情報処理装置は、ネットワーク90等の通信路を介して通信可能に接続され、クラスタマシンやクラウドなどのシステムとして構成されてもよい。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100…位置特定支援システム, 10…対象端末装置, 11…通信部, 12…出力部, 13…記憶部, 14…制御部, 20…無線通信機器, 30…ゲートウェイ, 40…位置特定支援装置, 41…通信部, 42…記憶部, 421…認証情報記憶部, 422…端末識別情報記憶部, 43…制御部, 431…要求情報取得部, 432…認証部, 433…出力制御部, 434…位置情報取得部, 435…情報提供部