(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019308
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】特装車通信システム
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20230202BHJP
B65F 3/00 20060101ALI20230202BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20230202BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B60R11/02 W
B65F3/00 L
B65F3/00 A
H04W84/10 110
B60R16/023 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123935
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】今岡 大策
(72)【発明者】
【氏名】福原 健大朗
【テーマコード(参考)】
3D020
3E024
5K067
【Fターム(参考)】
3D020BA06
3D020BB07
3D020BC01
3D020BE03
3E024AA07
3E024BA01
3E024CA05
3E024DB02
3E024DC03
3E024HB03
3E024HB04
3E024HC02
3E024HE01
5K067EE02
5K067EE35
(57)【要約】
【課題】 簡易な構成でありながら、ユーザ端末装置との通信品質を向上させることのできる特装車通信システムを提供する。
【解決手段】 キャビン内制御装置UFのマイコン61には近距離無線ユニット63が接続されている。さらに、そのアンテナ65も、キャビン202の中に設けている。したがって、キャビン202内のユーザ端末装置160から、近距離無線ユニット63を介して、キャビン内制御装置UFとの通信を安定して行うことができ、ユーザ携帯装置160がキャビン内にあるタイミングでも、架装物側制御装置UKとユーザ携帯装置160とは、良好に通信を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の外殻を有するキャビンを備えた特装車に搭載された制御対象装置を制御するために、前記キャビンの外に設けられたキャビン外制御装置、
前記キャビン外制御装置と有線通信にて通信可能に構成され、前記キャビンの中に設けられたキャビン内制御装置、
を備えた特装車通信システムにおいて、
前記キャビン内に設けられたアンテナ、
前記キャビン内に設けられ、前記アンテナを介してユーザ端末装置との間で通信可能な近距離無線送受信装置であって、前記ユーザ端末装置と前記キャビン内制御装置との間の通信を仲介する近距離無線送受信装置、
を備えた特装車通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特装車通信システムに関するものであり、特に、キャビン内における通信品質向上に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集装置などの架装物を車両に取り付けた特装車が用いられている。また、架装物などを制御して駆動するための制御装置が設けられている。この制御装置においては、架装物などの可動状況をデータとして記録している。
【0003】
稼働状況を管理するため、この稼働状況のデータをサーバ装置に送信することが行われている。たとえば、特許文献1には、
図10に示すようなシステムが開示されている。
【0004】
特装車の前方には、運転者が運転を行うためのキャビン302が設けられている。特装車の車体には、制御装置304が設けられている。この制御装置304に近距離無線通信装置306が接続されている。
【0005】
キャビン302内には、制御装置304に制御指令を与えるためのボタンを備えたキャビン内制御装置(図示せず)が設けられている。キャビン内制御装置からの制御信号は、配線を介して、制御装置304に与えられる。これを受けて、制御装置304は、各部を制御し、稼働状況データを記録する。
【0006】
操作者によって操作されるスマートフォンなどのユーザ端末装置(図示せず)は、近距離無線通信装置306を介して制御装置304と通信を行う。そして、制御装置304に記録されている稼働状況データを取得する。ユーザ端末装置は、キャリアによる無線通信によって、取得した稼働状況データを、インターネット上のサーバ装置に送信する。
【0007】
このようにして、操作者がユーザ端末装置を操作することで、稼働状況データをサーバ装置に送ることができ、サーバ装置において様々な稼働管理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような従来の技術では、次のような問題があった。
【0010】
第1に、操作者がユーザ端末装置を使用する場合、キャビン302の中で行うことが多い。キャビン302は、金属製の外殻に窓などのガラスを填め込んだものであり、金属である外殻によって電波がシールドされ、通信ができないあるいは通信が不安定になるという問題があった。
【0011】
この点は、仮に、キャビン302の中に近距離無線通信装置306を設ければ解消しそうであるが、この場合であっても、次の第二の問題は解消できない。
【0012】
第2に、近距離無線通信装置306のために制御装置304から、別途、配線308を設けなければならず煩雑であった。可動装置を有することの多い特装車においては、可動装置の接触などによる断線を避けるため、可能な限りこのような配線308を増やしたくないという要請がある。
【0013】
この発明は、上記のような問題点を解決して、簡易な構成でありながら、ユーザ端末装置との通信品質を向上させることのできる特装車通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る特装車通信システムは、金属製の外殻を有するキャビンを備えた特装車に搭載された制御対象装置を制御するために、前記キャビンの外に設けられたキャビン外制御装置、前記キャビン外制御装置と有線通信にて通信可能に構成され、前記キャビンの中に設けられたキャビン内制御装置、を備えた特装車通信システムにおいて、前記キャビン内に設けられたアンテナ、前記キャビン内に設けられ、前記アンテナを介してユーザ端末装置との間で通信可能な近距離無線送受信装置であって、前記ユーザ端末装置と前記キャビン内制御装置との間の通信を仲介する近距離無線送受信装置を備えている。
【0015】
したがって、前記近距離無線送受信装置をキャビン内制御装置と接続するため、キャビン外制御装置とキャビン内制御装置との有線通信を兼用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】特装車通信システム1において採用する塵芥収集車Vについて一部を破断した全体側面図である。
【
図2】塵芥収集車Vにおける各部の制御関係を説明するための概略図である。
【
図3】特装車稼働動作データ管理システムの機能ブロック図である。
【
図4】特装車管理サーバ100のハードウェア構成を示す図である。
【
図5】特装車管理サーバ100のログインデータ、ユーザ別車両データの一例を示す図である。
【
図6】特装車管理サーバ100の稼働動作データの一例を示す図である。
【
図7】ユーザ携帯装置160のハードウェア構成を示す図である。
【
図8】送信設定時および送信時のフローチャートである。
【
図10】従来の特装車通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
(1.特装車の説明)
まず、特装車稼働動作データ管理システム1で用いる塵芥収集車Vについて説明する。
【0019】
図1に示す塵芥収集車Vは、ベース車両Vbと、そのベース車両Vbの組立完成後にその車体F上に架装される塵芥収集作業用の架装物Kとから構成されている。ベース車両Vbには車両側制御装置UVが、また架装物Kには架装物側制御装置UKがそれぞれ配備されている。
【0020】
図2に示すように、ベース車両Vbの車体Fには、エンジンE、バッテリB、電動モータM、動力選択取出機構PS、および車両側制御装置UVが搭載されている。
【0021】
エンジンEは車輪Wに駆動力を付与する。電動モータMはバッテリBにインバータ12を介して接続されてバッテリBからの電力で作動する。動力選択取出機構PSは、エンジンE及び電動モータMを含む駆動系としての車輪駆動系DからエンジンE又は電動モータMの動力を選択的に取出可能である。車両側制御装置UVはマイコンを主要部として構成されており、エンジンE、電動モータM、バッテリB及び電磁クラッチ11を制御する。エンジンEを始動操作するためのスタータスイッチS-SWも、車両側制御装置UVに接続されている。
【0022】
なお、車両側制御装置UVと、エンジンE、電動モータM及びバッテリBとの各間は、実際には複数の電力線及び/又は信号線で各々接続されるが、その表示を
図2では簡略的に示している。
【0023】
動力取出装置PTOの出力側は、架装物Kの一部である油圧ポンプPに連動、連結される。また、動力取出装置PTOは、車両側制御装置UVに接続されており、同じく車両側制御装置UVに接続された動力取出スイッチP-SWへの操作入力に応じて、変速機10(
図1参照)の出力を車輪W側と油圧ポンプP側とに選択的に切り換えて伝達する。具体的には、動力取出スイッチP-SWがオフ(OFF)の状態では、変速機10の出力が車輪W側に伝達されて走行駆動に利用される。これに対して、同スイッチP-SWがオン操作された状態では、変速機10の出力が油圧ポンプP側に伝達されてポンプ駆動に利用される。
【0024】
架装物Kは、後端を開放したボックス状の塵芥収容箱1をベース体(架装物本体)としており、この塵芥収容箱1は、ベース車両Vbの車体F上に後付けで搭載、固定される。塵芥収容箱1の後端には塵芥投入箱3が連設されている。塵芥投入箱3は、塵芥を塵芥収容箱1内に投入するための塵芥投入口3aを後端に有する。開閉扉3tは塵芥投入口3aを開閉する。
【0025】
塵芥投入箱3内には、作業機としての塵芥積込装置2が設けられる。塵芥積込装置2は、投入箱3が積込位置にあるときに、投入箱3内の投入塵芥を塵芥収容箱1内に強制的に積み込む。
【0026】
塵芥積込装置2の構造は、圧縮板式と呼ばれる従来周知のものであり昇降体4、第2シリンダA2、圧縮板5、第3シリンダA3とを有する。昇降体4は、塵芥収容箱1の後端開口1aに臨む位置で塵芥投入箱3の左右両側壁に昇降可能に支持されている。第2シリンダA2は、昇降体4と、その昇降体4を強制昇降させる。圧縮板5は、昇降体昇降用の第2シリンダA2と、塵芥投入箱3内でその横幅一杯に延び且つ昇降体4の下部に前後回動可能に軸支されている。第3シリンダA3は圧縮板5を強制回動させる。
【0027】
また、
図1に示す塵芥投入箱3の塵芥投入口3a周辺の外面には後部操作盤CRが固定、支持されている。後部操作盤CRには、操作スイッチCR-SW1~3、第1動力源選択スイッチM-SW1、および報知ランプL1~L5が設けられる。操作スイッチCR-SW1~3は、塵芥積込装置2の作動態様を選択操作する。特に操作スイッチCR-SW3は危険状態の場合に緊急停止を指示するスイッチである。第1動力源選択スイッチM-SW1はオン操作されたときモータ選択信号を出力する。これにより、油圧ポンプPはエンジンEで駆動されるエンジン駆動状態から、電動モータMで駆動されるモータ駆動状態に切り換えられる。
【0028】
図1に示すように、ベース車両Vbの運転室内には、操作盤CFを有するキャビン内制御装置UFが設けられている。キャビン内制御装置UFは
図2に示すように、マイコン61、近距離無線通信ユニット63、アンテナ65、および操作盤CFを有する。
【0029】
操作盤CFには、操作スイッチCF-SW1~3、第2動力源選択スイッチM-SW2、および報知ランプL1~L5が設けられる。操作スイッチCF-SW1~3は、操作スイッチCR-SW1~3と同様、塵芥積込装置2及び塵芥排出装置7の作動態様を選択操作する。第2動力源選択スイッチM-SW2は、前記第1動力源選択スイッチM-SW2と同様、オン操作されたときモータ選択信号を出力する。
【0030】
また、
図1に示すように、塵芥投入箱3の上部にはカメラ53が設けられている。かかるカメラ53からの画像は、制御ユニットボックスUKB内に設けられた画像処理部51にて画像が解析される。画像処理部51は架装物側制御装置UKと接続されており、前記画像解析により危険状態と判断すると架装物側制御装置UKに緊急停止信号を出力する。すなわち操作スイッチCR-SW3が押された状態と同じとなる。
【0031】
なお本実施形態においては、特装車として塵芥収集車を例として説明したが、塵芥収集車には限定されない。
【0032】
2. 特装車通信システムの全体概要
図1に示すように、キャビン302は、金属製の枠体302aおよびガラス302bで構成された閉鎖空間である。本実施形態においては、枠体302aは金属製で構成された外殻(枠や天井、側面、前後面など)で構成した。キャビン302内には、キャビン内制御装置UFが設けられている。また、キャビン302外には、架装物側制御装置UKおよび車両側制御装置UVが設けられている。
【0033】
キャビン内制御装置UF、架装物側制御装置UKおよび車両側制御装置UVで制御装置で構成されている。
【0034】
図2に、各制御装置の接続関係を示す。従来と同じように、架装物側制御装置UKは、後部操作盤CRのスイッチCR-SW1、CR-SW2、CR-SW3のオンオフを検出して、車両側制御装置UVに伝達する。また、架装物側制御装置UKは、車両側制御装置UVからの信号を受けて、後部操作盤CRに表示を行う。これら信号の伝達は、車両と架装物との間に配された配線によって行われる。
【0035】
なお、キャビン内制御装置UFと架装物側制御装置UKとの間、架装物側制御装置UKと車両側制御装置UVとの間の通信は、CAN規格によって行われる。
【0036】
また、キャビン内制御装置UFにも、操作のためのスイッチCF-SW1、CF-SW2、CF-SW3が設けられている。キャビン内制御装置UFのマイコン61は、これらスイッチCF-SW1、CF-SW2、CF-SW3のオンオフを検知して、これを架装物側制御装置UKを介して、車両側制御装置UVに伝達する。また、キャビン内制御装置UFは、車両側制御装置UVからの信号を架装物側制御装置UKを介して受けて、操作盤CFに表示を行う。これら信号の伝達は、キャビンと車両と架装物との間に配された配線によって行われる。
【0037】
この実施形態では、キャビン内制御装置UFのマイコン61にBluetooth(商標)規格で通信を行う近距離無線ユニット63を接続している。本実施形態においては、アンテナ65を内蔵した近距離無線ユニット63をキャビン内制御装置UFに近接して、設けている。
【0038】
アンテナ65の位置は、本実施形態においては、キャビン202の天井部分内側としたが、近距離無線ユニット63の近傍に設けるようにしてもよい。
【0039】
このように、本実施形態においては、ユーザ端末装置160(
図3参照)がキャビン内にいる場合であっても、アンテナ65、近距離無線ユニット63を介して、キャビン内制御装置UFとのデータ通信が可能となる。また、キャビン内制御装置UFは架装物側制御装置UKとCAN規格で通信を行う。これにより、架装物側制御装置UKからのデータ、たとえば、稼働状況データを安定して取得することができる。
【0040】
本実施形態においては、架装物側制御装置UKと車両側制御装置UVとを別体で構成したが、一体の制御装置として構成してもよい。その場合、ユーザ携帯装置160とかかる制御装置とのデータ通信となる。
【0041】
なお、架装物側制御装置UKから受信したデータが、操作盤CFに表示すべきデータであるか、近距離無線ユニット63を介してユーザ携帯装置に送信すべきデータであるかは、マイコン61がデータに付された属性(たとえば宛先やデータ種別など)に基づいて判断すればよい。
【0042】
3. 特装車稼働動作データ管理システムの概要
この特装車通信システムを用いて、たとえば、特装車稼働動作データ管理システムを構築できる。かかる特装車稼働動作データ管理システムの概要について説明する。
【0043】
特装車稼働動作データ管理システム1は、特装車に搭載された制御対象装置を制御する制御装置201から、制御対象装置210の稼働動作データを取得して、特装車180の稼働動作を管理する特装車稼働動作データ管理システムであって、特装車管理サーバ100、ユーザ携帯装置160、およびユーザ側管理者端末装置120および特装車180aを備えている。ここで、制御装置201は、上記のキャビン内制御装置UF、キャビン外制御装置(架装物側制御装置UK、車両側制御装置UV)、および近距離無線ユニット63を総称したものである。
【0044】
特装車180aの制御装置201は、近距離無線送受信手段203、稼働データ記憶手段205、特装車特定データ記憶手段209、および制御手段207を有する。近距離無線送受信手段203は、制御装置201の近距離無線送受信手段164と近距離無線通信によって接続する。稼働データ記憶手段205は、制御対象装置210の稼働動作データを記憶する。特装車特定データ記憶手段209は特装車の識別子を記憶する。制御手段207は稼働データ記憶手段205に記憶された稼動動作データを近距離無線送受信手段203で送信する際の管理を行う。
【0045】
ユーザ携帯装置160は、近距離無線送受信手段164、稼働動作データ取得手段165、稼働動作データ記憶手段166、稼働動作データ送信手段162、接続管理手段161、および送信条件設定手段163を有する。稼働動作データ取得手段165は、近距離無線送受信手段164に特装車車両側制御装置201と無線通信接続させ、架装物の稼働動作データを取得する。稼働動作データ記憶手段166は、取得した稼働動作データを記憶する。稼働動作データ送信手段162は、定められた送信条件に基づいて稼働動作データを管理サーバに送信する。接続管理手段161は、接続している特装車車両側制御装置との無線通信が切断されると、アラート報知する。送信条件設定手段163は稼働動作データ送信手段166の送信条件を設定する。この送信条件は、所定時間毎の自動送信で自動送信モードおよびユーザから送信希望要求があった時機である随時送信モードの双方である。
【0046】
特装車管理サーバ100は、ユーザ別稼働動作データ記憶手段107、稼働状況報告データ生成送信手段103、地図データ生成送信手段105を備えている。ユーザ別稼働動作データ記憶手段107は、ユーザ携帯装置160から受け取った稼働動作データをユーザ別に記憶する。稼働状況報告データ生成送信手段103はユーザ別稼働動作データ記憶手段107からユーザ別の稼働動作データを読み出して、各ユーザ別の稼働状況報告データを生成してユーザ側管理者端末装置120に送信する。地図データ生成送信手段105は、地図データを記憶しており、各稼働動作データから読み出した位置を時系列順に並べた移動軌跡地図データを生成して、ユーザ側管理者端末装置120に送信する。
【0047】
ユーザ側管理者端末装置120は、表示制御手段121、表示手段123、および稼働状況報告データ要求手段125を備えている。稼働状況報告データ要求手段125は特装車管理サーバ100に稼働状況報告データを要求する。表示制御手段121は、特装車管理サーバ100から稼働状況報告データを受け取って表示手段123に表示する。
【0048】
このように、稼働動作データ送信手段166の送信条件は、所定時間毎の自動送信で自動送信モードおよびユーザから送信希望要求があった時機である随時送信モードの双方である。これにより特装車の稼働動作データを定期送信以外も送信可能となる。
【0049】
4.ハードウェア構成
(4.1 特装車管理サーバ100のハードウェア構成)
特装車管理サーバ100を、CPUを用いて構成したハードウェア構成について、
図4を用いて説明する。
【0050】
特装車管理サーバ100は、CPU23、メモリ27、ハードディスク26、モニタ30、光学式ドライブ25、入力デバイス28、通信ボード31、およびバスライン29を備えている。CPU23は、ハードディスク26に記憶された各プログラムにしたがいバスライン29を介して、各部を制御する。
【0051】
ハードディスク26は、オペレーティングシステムプログラム26o(以下OSと略す)、メインプログラム26m、地図データ記憶部26c、ユーザID対応データ記憶部26u、およびユーザ別稼働動作データ記憶部26dを有する。
【0052】
ユーザ別登録車両データ26cのデータ構造を
図5Aに示す。ユーザ別登録車両データ記憶部26cには、ユーザIDと当該ユーザが管理する特装車の製造番号を対応づけたユーザ別登録車両データ記憶されている。ユーザID記憶部26uに記憶されるログインデータのデータ構造を
図5Bに示す。ログインデータはユーザIDとパスワードが対応づけて記憶されている。
【0053】
ユーザ別稼働動作データ記憶部26dに記憶される稼働動作データのデータ構造を
図6に示す。稼働動作データは、製造番号に対応付けて、時刻、積算積込回数、積算TG上昇回数、PTO稼働時間、および位置データが記憶されている。かかる稼働動作データはユーザ携帯装置160を介して与えられる。
【0054】
本実施形態においては、オペレーティングシステムプログラム(OS)26oとして、Windows 10(登録商標または商標)を採用したが、これに限定されるものではない。
【0055】
なお、上記各プログラムは、光学式ドライブ25を介して、プログラムが記憶されたCD-ROM25aから読み出されてハードディスク26にインストールされたものである。なお、CD-ROM以外に、フレキシブルディスク(FD)、ICカード等のプログラムをコンピュータ可読の記録媒体から、ハードディスクにインストールさせるようにしてもよい。さらに、通信回線を用いてダウンロードするようにしてもよい。
【0056】
本実施形態においては、プログラムをCD-ROMからハードディスク26にインストールさせることにより、CD-ROMに記憶させたプログラムを間接的にコンピュータに実行させるようにしている。しかし、これに限定されることなく、CD-ROMに記憶させたプログラムを光学式ドライブ25から直接的に実行するようにしてもよい。なお、コンピュータによって、実行可能なプログラムとしては、そのままインストールするだけで直接実行可能なものはもちろん、一旦他の形態等に変換が必要なもの(例えば、データ圧縮されているものを、解凍する等)、さらには、他のモジュール部分と組合して実行可能なものも含む。
【0057】
(4.2 ユーザ携帯装置160のハードウェア構成)
ユーザ携帯装置160について
図7を用いて説明する。同図は、ユーザ端末装置120を、CPUを用いて構成したハードウェア構成の一例である。
【0058】
ユーザ携帯装置160は、一般的なスマートフォンの構成であり、CPU123、メモリ127、フラッシュメモリ126、表示部130、無線通信部128、操作部125、音声入出力部124、位置情報検出部122、近距離無線通信ユニット121、およびバスライン129を備えている。位置情報検出部122は、GNNS(Global Navigation Satellite System)により位置情報を検出するモジュールである。近距離無線通信ユニット121はBluetooth(登録商標)規格での通信をおこなう。本実施形態においては、OSとしてiOS(商標)を採用した。
【0059】
CPU123は、フラッシュメモリ126に記憶された各プログラムにしたがいバスライン129を介して、各部を制御する。
【0060】
フラッシュメモリ126は、オペレーティングシステムプログラム126o(以下OSと略す)、メインプログラム126mを有する。
【0061】
メインプログラム126mの処理は後述する。
【0062】
本実施形態においては、近距離無線通信ユニットとして、Bluetooth(登録商標)を採用したが、これに限定されない。
【0063】
フラッシュメモリ126は、稼働動作データ記憶部126k、送信条件記憶部126dを有する。稼働動作データ記憶部26dの稼働動作データは、以下の手順でユーザ端末装置160に記憶される。CPU123はメインプログラム126mに基づいて、制御装置201(
図3参照)と定期的に(たとえば30秒毎)近距離無線で接続するとともに、稼働動作データの取得命令を与える。特装車の制御装置201は、かかる取得命令を受けとると、架装物側制御装置UK内のメモリ(
図2にて図示せず)に記憶されている稼働動作データを、ユーザ端末装置160に送信する。CPU123はかかる稼働動作データを受け取ると稼働動作データ記憶部126kに記憶する。
【0064】
(4.3 ユーザ側管理者端末装置120のハードウェア構成)
図3に示すユーザ側管理者端末装置120のハードウェア構成は、
図4と同様であり、またハードディスクに登録されているメインプログラムによる処理が後述するように異なる。
【0065】
5.稼働動作データ送信処理
図8を用いて、特装車稼働動作データ管理システム1において、ユーザ携帯装置160から特装車管理サーバ100への稼働動作データ送信処理について説明する。
【0066】
以下ではユーザID1001のユーザ(特殊車両操作者)が、ユーザID1001のIDとパスワードを入力して特装車稼働動作データ管理システム1にログインをして、製造番号17R810008Mの制御装置201とBluetooth接続して稼働動作データを取得し、これを特装車管理サーバ100へ送信する場合について説明する。
【0067】
特装車稼働動作データ管理システム1にログイン後、製造番号17R810008Mの制御装置201とユーザ携帯装置160をBluetooth接続すると、ユーザ携帯装置160の画面には、
図9Aに示すような画面が表示される。ここで、ユーザは、送信設定ボタン310をクリックする。これにより、
図8Aに示す送信条件設定処理が開始される。
【0068】
ユーザ携帯装置160のCPU123は、
図9Bに示す送信設定画面を表示する(
図8AステップS1)。ユーザは、定期送信モード枠331および随時送信モード枠333を操作して、定期送信モードの頻度および随時送信モードの送信条件を入力して、設定変更ボタン335(
図9B参照)を選択する。
【0069】
CPU123は、送信設定画面を表示したあと、キャンセルボタン337または設定変更ボタン335のいずれかが選択されるかを判断している(
図8AステップS3,S5)。この場合、設定変更ボタンが押されたので、選択された送信条件に定期送信モードの頻度および随時送信モードを設定する(ステップS7)。かかる送信条件はフラッシュメモリ126の送信条件記憶部126d(
図7参照)に記憶される。
【0070】
ここでは定期送信モードが1分ごと、随時送信モードがオン(ON)に設定されたものとする。
【0071】
CPU123は、随時送信モードがオン(ON)であるかを判断し(ステップS8)、ONである場合には、送信ボタン312(
図9A参照)をアクティブ設定とする。
【0072】
なお、本実施形態においては、アクティブ表示として、当該ボタンが選択可能であることがユーザがわかるように外周枠を太字で囲んで表示する様にしたが、これに限定されない。
【0073】
また、ステップS3にてキャンセルボタンが押された場合、送信設定を終了する。ステップS8にて随時送信モードがOFFである場合には、送信ボタンを非アクティブにする(ステップS10)。
【0074】
また、
図9Aの定期送信頻度および随時送信モードの表示部314に設定が表示される(図示せず)。
【0075】
既に説明したように、稼働動作データは、Bluetooth接続された製造番号17R810008Mの制御装置201から、所定時間毎に繰り返し自動取得される。ユーザ携帯装置160のCPU123は、これを、稼働動作データ記憶部126K(
図7参照)に記憶する。稼働動作データとしては、たとえば塵芥収集車であれば、積算回数(積算積込回数、T/G 操作回数、PTO 稼動時間)、および各種のエラー履歴などである。
【0076】
かかる稼働動作データの特装車管理サーバ100への送信処理について、
図8Bを用いて説明する。以下では、定期送信モードによる送信タイミングではなく、ユーザが随時送信ボタンを選択して送信する場合として説明する。
【0077】
ユーザ携帯装置160のCPU123は、定期送信モードがオンか否か判断する(ステップS11)。この場合、定期送信モードはオンであるので、送信頻度を読み出して設定する。
【0078】
このようにして設定された送信モードに基づいて、ユーザ携帯装置160が取得した稼働動作データは特装車管理サーバ100へ送信される。
図8Bを用いて送信処理について説明する。
【0079】
以下では、ユーザ携帯装置160には操作画面(
図9A参照)が表示されており、ユーザが送信設定ボタン310を押した場合の処理について説明する。また定期送信モードの頻度「5分」、および随時送信モード「オン」、である場合とする。
【0080】
ユーザ携帯装置160のCPU123は、定期送信モードがオンであるか否か判断している(ステップS11)。現在は、定期送信モードがオンであるので、送信頻度をフラッシュメモリ126から読み出して、タイマーに設定する(ステップS12)。この場合、定期送信頻度が5分であるので、タイマーに「5分」がセットされる。CPU123はタイマーをスタートする(ステップS13)。CPU123はタイマー残「0」であるか否か判断する(ステップS15)。
【0081】
この場合、タイマー残「0」ではないので、CPU123は制御装置201ら送信命令があるか否か判断する(ステップS17)。制御装置201からの送信命令については後述する。
【0082】
制御装置201から送信命令がなければ、CPU123は随時送信ボタンが押されたか否か判断する(ステップS18)。この場合、随時送信ボタンが押されているので、制御装置201とBluetooth接続がなされているか判断する(ステップS19)。制御装置201とBluetooth接続がなされていれば、CPU123は、稼働動作データ(積算積込回数、積算TG上昇回数、PTO稼働時間および位置データ)に現在時刻を付与した稼働動作データを生成して、特装車管理サーバ100にかかる稼働動作データを送信する(ステップS23)。
【0083】
ステップS19にて制御装置201とBluetooth接続がなされていなければ、CPU123は切断されている旨をアラート表示する(ステップS21)。
【0084】
ステップS17における制御装置201からの随時送信命令について説明する。
【0085】
図2に示すキャビン内制御装置UFは、ユーザ携帯装置160からの命令に基づく定期的な稼働動作データのやりとりとは別に、操作スイッチCR-SW1~3または操作スイッチCF-SW1~3が押されると、その時機(タイミング)における稼働動作データを、近距離無線ユニット63を介してユーザ携帯装置160に送信する。これらのスイッチは、特装車の架装物Kが稼働したこと又はエラーが生じたことを表しているのでその時機のデータを収集することが有意義だからである。ユーザ携帯装置160のCPU123は、かかるデータの受信を制御装置201からの送信命令として判断して、
図8BのステップS19の処理を実行する。
【0086】
本実施形態においては、前記操作スイッチCR-SW1~3または操作スイッチCF-SW1~3が押されると、特装車車両側制御装置がその時機の稼働動作データを送信するようにしたが、これに限定されず、前記スイッチが操作されるとその旨をユーザ携帯装置160に送信し、ユーザ携帯装置160から稼働動作データを取得する命令を制御装置201に与えるようにしてもよい。
【0087】
なお、ステップS11にて定期送信モードがオフ(OFF)である場合は、ステップS17に進み、随時送信モードの判断を行う。
【0088】
以上により、各ユーザ携帯装置160からの稼働動作データが特装車管理サーバ100に送信される。特装車管理サーバ100のCPU23は、かかるデータを受け取ると、ユーザ別稼働動作データ記憶部26に記憶する。
【0089】
また、定期送信モードONで、タイマー残「0」となるとステップS19以下の処理が実行される。これにより定期的に稼働動作データ(位置データを含む)が特装車管理サーバ100に送信される。
【0090】
このように本実施形態においては、定期送信モードおよび/または随時送信モードは設定をオフに切り替え可能である。これにより、特装車管理サーバ100との通信がつながりにくい場合には、定期送信モードを切断するなど柔軟な通信設定が可能となる。
【0091】
また、随時送信モードは、制御装置201におけるスイッチの操作以外でも、操作者が必要と判断した場合に随時送信が可能となる。
【0092】
このように、積込スイッチ 、テールゲート上昇スイッチ、またはPTOスイッチのいずれかの状態が変わった時、およびエラー発生時の手動送信ボタンが押されたタイミングで随時送信がなされ、積込装置の作動回数、テールゲート上昇回数、PTO接続、エラー情報、安全装置作動などの稼働動作データが特装車管理サーバ100に送信される。
【0093】
ステップS19、ステップS21では、現在、制御装置201とBluetooth接続がなされているか否かを判断し、接続されていない場合にはアラート表示することで、随時送信モードにて、稼働動作データにおける時刻データの正確性が担保される。たとえば、ユーザが、エラー発生時に制御装置201から離れた位置で随時送信ボタンを押したような場合、ユーザ携帯装置160はエラーが生じたタイミングにおける稼働動作データではなく、1つ前の稼働動作データを送信することとなる。
【0094】
したがって、特装車管理サーバ100のユーザ別稼働動作データ記憶部26dに蓄積されたデータを用いて、ユーザが随時送信ボタンで送信した稼働動作データであるを目安にしてエラー解析などを行う場合に、間違った解析を行うことを防止できる。
【0095】
蓄積した稼働動作データは従来と同様に種々の解析に用いることができる。
【0096】
このように、ユーザ携帯装置160は、制御装置201から受け取ったデータを所定のタイミングで稼働動作データを特装車管理サーバ100に送信する。本実施形態においては、特装車通信システムはBluetooth接続のためのアンテナをキャビン内に設けたので、制御装置201とユーザ携帯装置160との接続が途切れにくい。
【0097】
すなわち、ユーザ端末装置160の稼働動作データ記憶部126kには、確実に最新のデータが蓄積される。また、特装車管理サーバ100へのデータ送信についても同様である。このように、ユーザ携帯装置160に最新のデータが記憶されていることにより、以下のようなメリットがある。たとえば、ユーザ携帯装置160からの最新のエラーメッセージに応じた一時的な修理でよいと判断した場合、ユーザ側管理者端末装置120からそのような指示ができる。
【0098】
(6.他の実施形態)
本実施形態においては、近離無線通信としてBluetooth(商標)を採用したが、他の近距離無線通信規格を採用してもよい。
【0099】
本実施形態においては、アンテナ65を近離無線ユニット63内を設けた場合に説明したが、アンテナ65は、近距離無線ユニット63外に設けてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、キャビン302内にアンテナ65を設けている。しかし、近距離無線ユニットに接続されたアンテナ65を、キャビン302の内側および外側の双方に設けるようにしてもよい。これにより、キャビン302であっても外であっても、良好な通信が可能となる。
【0101】
本実施形態においては、
図3において、1ユーザのユーザ端末150として、1のユーザ側管理者端末装置120、1のユーザ携帯装置160であるとして図示したが、ユーザ携帯装置160は、ユーザが同時に使用する特装車の数だけ、必要となる。一般的には、1ユーザで、複数のユーザ携帯装置160、複数の特装車で構成される。なお、ユーザ側管理者端末装置120を複数設けてもよい。
【0102】
本実施形態においては、ユーザ携帯装置160とユーザ側管理者端末装置120で同じユーザIDでログインする様にしているが、作業者と管理者でユーザIDを変えてもよい。この場合、作業者と管理者のIDで同じユーザ別稼働動作データへの登録および読み出しができるように関係づけておけばよい。
【0103】
本実施形態においては、特装車として塵芥収集車を採用した場合について説明したので稼働動作データは積算積込回数、積算TG上昇回数、PTO稼働時間および位置データとした。しかし特装車の稼働動作データであればどのようなデータであってもよい。
【符号の説明】
【0104】
63 近距離無線ユニット
65 アンテナ
160 ユーザ携帯装置