(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019323
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】水難救助支援ユニット及び水難救助支援システム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/08 20060101AFI20230202BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230202BHJP
B63C 9/00 20060101ALI20230202BHJP
B63C 9/20 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G08B21/08
G08B25/04 K
B63C9/00 A
B63C9/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123966
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】521277589
【氏名又は名称】TMS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510304760
【氏名又は名称】三嶋電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521334675
【氏名又は名称】株式会社TFD
(71)【出願人】
【識別番号】521334686
【氏名又は名称】株式会社相武システム
(74)【代理人】
【識別番号】100156362
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 健一
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕信
(72)【発明者】
【氏名】清水 忠夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 亘
(72)【発明者】
【氏名】檀浦 逸克
(72)【発明者】
【氏名】関谷 健史
(72)【発明者】
【氏名】和田 雅資
(72)【発明者】
【氏名】後藤 司
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA15
5C086AA22
5C086CA01
5C086CB08
5C086DA08
5C086EA04
5C086EA08
5C086FA02
5C086FA12
5C086FA17
5C086GA10
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA10
5C087AA12
5C087AA32
5C087BB20
5C087DD03
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF11
5C087FF13
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】水難事故時等において、より迅速かつ的確に救助者を発見することを支援する水難救助支援ユニット及び水難救助支援システムを提供する。
【解決手段】水難救助支援ユニット1は、光を発光する発光部31と、所定の開口部から水を受け入れることで水電池21からの発電した信号を水検出信号として、水を検知する水電池検知センサ20と、現在の位置情報を検出する位置検知部50と、外部装置と無線通信をするためのユニット通信部60と、少なくとも水電池検知センサ20により水が検知されると、ユニット通信部60を介して位置検知部50によって検出された位置情報を外部装置80に送信するユニット制御部40とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発光する発光部と、
所定の開口部から水を受け入れることで水電池からの発電した信号を水検出信号として、水を検知する水電池検知センサと、
現在の位置情報を検出する位置検知部と、
外部装置と無線通信をするための通信部と、
少なくとも前記水電池検知センサにより水が検知されると、前記通信部を介して前記位置検知部によって検出された位置情報を前記外部装置に送信するユニット制御部と、を備えた
ことを特徴とする水難救助支援ユニット。
【請求項2】
少なくとも前記位置検知部、前記通信部及び前記ユニット制御部を作動させるための電力を供給するバッテリを更に備え、
前記発光部は、
前記バッテリからの電力の供給を受けずに、前記水電池検知センサに含まれる水電池からの電力の供給を受けることにより光が発光される
ことを特徴とする請求項1に記載の水難救助支援ユニット。
【請求項3】
前記水電池検知センサに含まれる水電池からの電力は、補助電源として、前記位置検知部、前記通信部及び前記ユニット制御部にも供給する
ことを特徴とする請求項2に記載の水難救助支援ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の水難救助支援ユニットと、前記水難救助支援ユニットと通信可能に接続された外部装置と、外部装置と通信可能に接続された携帯端末とにより構成された水難救助支援システムにおいて、
前記外部装置は、
前記水難救助支援ユニットから前記水難救助支援ユニットの位置情報を受信すると、前記携帯端末に前記水難救助支援ユニットの位置情報を送信し、
前記携帯端末は、
前記外部装置から前記水難救助支援ユニットの位置情報を受信すると、前記水難救助支援ユニットの位置情報を表示する
ことを特徴とする水難救助支援システム。
【請求項5】
前記ユニット制御部は、
所定の単位時間ごとに前記通信部を介して前記位置検知部によって検出された位置情報を前記外部装置に送信し、
前記携帯端末は、
前記水難救助支援ユニットが指定エリア範囲内にあることを監視するための前記指定エリア範囲の設定が可能であり、前記指定エリア範囲が設定されると、前記指定エリア範囲の情報を外部装置に送信し、
前記外部装置は、
前記携帯端末から前記指定エリア範囲の情報を受信すると、前記水難救助支援ユニットから受信した現在の位置情報が前記指定エリア範囲内にあるか否かを判定し、現在の位置情報が前記指定エリア範囲内にないと判定したときには、前記携帯端末に通報を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の水難救助支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海や河川、湖沼における水難事故時に救助者の発見を支援する水難救助支援ユニット及び水難救助支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水難事故、特に夜間の水難事故等の際に、漂流している救助者の居場所を知らせるための救命用ライトが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されている救命用ライトにおいては、市販の乾電池を使用することから、長期間の保存が困難であり、さらに長期間保存後長時間にわたって安定した放電を維持できないという問題や、水難等の際に救助者のスイッチの入れ忘れ等により点灯しないという問題があり、かかる問題点を改善すべく、水電池を用い、水難等の際に遭難者の居場所を知らせる救難用ライト及びライフジャケットが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-62687号公報
【特許文献2】特許第5737731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水難事故時には水の流れがあるため目視の範囲内ではライトの点灯を発見できず、救助者の位置を特定できない恐れがあり、より迅速かつ的確に救助者を発見し、安心及び安全を備えた水難救助支援ユニット及び水難救助支援システムの開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、水難事故時等において、より迅速かつ的確に救助者を発見することを支援する水難救助支援ユニット及び水難救助支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、水難救助支援ユニットにおいて、光を発光する発光部と、所定の開口部から水を受け入れることで水電池からの発電した信号を水検出信号として、水を検知する水電池検知センサと、現在の位置情報を検出する位置検知部と、外部装置と無線通信をするための通信部と、少なくとも前記水電池検知センサにより水が検知されると、前記通信部を介して前記位置検知部によって検出された位置情報を前記外部装置に送信するユニット制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
好適には、少なくとも前記位置検知部、前記通信部及び前記ユニット制御部を作動させるための電力を供給するバッテリを更に備え、前記発光部は、前記バッテリからの電力の供給を受けずに、前記水電池検知センサに含まれる水電池からの電力の供給を受けることにより光が発光されることが望ましい。
【0009】
好適には、前記水電池検知センサに含まれる水電池からの電力は、補助電源として、前記位置検知部、前記通信部及び前記ユニット制御部にも供給することが望ましい。
【0010】
また、本発明は、前記記載の水難救助支援ユニットと、前記水難救助支援ユニットと通信可能に接続された外部装置と、外部装置と通信可能に接続された携帯端末とにより構成された水難救助支援システムにおいて、
前記外部装置は、前記水難救助支援ユニットから前記水難救助支援ユニットの位置情報を受信すると、前記携帯端末に前記水難救助支援ユニットの位置情報を送信し、前記携帯端末は、前記外部装置から前記水難救助支援ユニットの位置情報を受信すると、前記水難救助支援ユニットの位置情報を表示することを特徴とする。
【0011】
好適には、前記ユニット制御部は、所定の単位時間ごとに前記通信部を介して前記位置検知部によって検出された位置情報を前記外部装置に送信し、前記携帯端末は、前記水難救助支援ユニットが指定エリア範囲内にあることを監視するための前記指定エリア範囲の設定が可能であり、前記指定エリア範囲が設定されると、前記指定エリア範囲の情報を外部装置に送信し、前記外部装置は、前記携帯端末から前記指定エリア範囲の情報を受信すると、前記水難救助支援ユニットから受信した現在の位置情報が前記指定エリア範囲内にあるか否かを判定し、現在の位置情報が前記指定エリア範囲内にないと判定したときには、前記携帯端末に通報を行うことが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水難事故時等において、より迅速かつ的確に救助者を発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る水難救助支援ユニットの斜視図の一例である。
【
図2】実施形態に係る水難救助支援ユニットと外部装置と携帯端末とにより構成された水難救助支援システムの機能的構成を示すブロック図の一例である。
【
図3】実施形態に係る水難救助支援システムの処理遷移を示すシーケンス図の一例である。
【
図4】実施形態に係る携帯端末の表示部に表示される指定エリア設定表示画像の一例である。
【
図5】実施形態に係る携帯端末の表示部に表示されるエリア外警報表示画像の一例である。
【
図6】実施形態に係る携帯端末の表示部に表示される正常作動表示画像の一例である。
【
図7】実施形態に係る携帯端末の表示部に表示される緊急警報表示画像の一例である。
【
図8】実施形態に係る携帯端末の表示部に表示される最終漂流位置表示画像の一例である。
【
図9】本発明の変形例1に係る水難救助支援ユニットの斜視図の一例である。
【
図10】本発明の変形例2に係る水難救助支援ユニットの斜視図の一例である。
【
図11】本発明の変形例3に係る水難救助支援ユニットの斜視図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例を示すものであって、本発明の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本発明の構成及び動作として必須であるとは限らない。
【0015】
本実施形態では、水難救助支援ユニットを装着する者(以下「監視対象者」ともいう)を基準に正面方向を「前方」と称し、前方とは反対方向を「後方」と称する。また、監視対象者の左手側を「左方」、右手側を「右方」、監視対象者の頭頂部側を「上方」、足側を「下方」と称する。
【0016】
[水難救助支援ユニットの外観構成]
まず、実施形態に係る水難救助支援ユニット1の外部構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る水難救助支援ユニット1の斜視図の一例である。また、
図1(a)は、前方から見た水難救助支援ユニット1の斜視図の一例であり、
図1(b)は、後方から見た水難救助支援ユニット1の斜視図の一例である。
【0017】
水難救助支援ユニット1は、ライフジャケット500の両肩部に取り付け可能な肩背面式のユニットである。
【0018】
図1に示すように、水難救助支援ユニット1は、監視対象者の頭部後方に配置しライフジャケット500の両肩部501に取り付けられるように構成されている。
【0019】
水難救助支援ユニット1は、浮力を有する発砲ウレタン等の浮力性部材を用いて外郭が構成されており、前面部3が監視対象者の首後部に沿うように湾曲して形成されるとともに、側面部4は上面部2が後方から前方に向けて下り傾斜するように略三角形状に形成されている。このため、監視対象者が落水したときには、浮力性部材を用いて構成された水難救助支援ユニット1により監視対象者の頭部を水面から浮き上がらせることを補助している。
【0020】
水難救助支援ユニット1の上面部2には、上方向に向けて光を発光する複数の上方発光部6が設けられており、側面部4には、側方に向けて光を発光する複数の側方発光部7が設けられている。また、後面部5には、後方に向けて光を発光する複数の後方発光部8が設けられている。
【0021】
上方発光部6、側方発光部7及び後方発光部8は、発光ダイオード(LED)から構成されている。なお、本実施形態においては、上方発光部6、側方発光部7及び後方発光部8を発光ダイオードから構成したが、電球や有機EL照明を用いて構成してもよい。
【0022】
なお、水難救助支援ユニット1に設けられる発光部の数及び場所は適宜設計変更自由であり、少なくとも上面部2、側面部4及び後面部5のいずれかに設けられていればよい。
【0023】
水難救助支援ユニット1の底面部には、水を受け入れることが可能な開口部9が形成されており、後述する水電池検知センサ20により開口部9に侵入した水が検知されることになる。
【0024】
水難救助支援ユニット1の内部には、インターネットに接続された基地局に情報を送信するための通信アンテナ10が設けられている。この通信アンテナ10は、水没による通信妨害を抑制できるように、水難救助支援ユニット1の内部の上端部に設けられていることが望ましい。
【0025】
また、水難救助支援ユニット1の後面部5には、後述する水難救助支援システム100の動作チェックを行うための押圧式の通信チェックボタン11が設けられている。通常時に通信チェックボタン11を押圧することにより、水難救助支援ユニット1が後述する外部装置80と正常に通信できるか等の確認が行われ、水難救助支援システム100の安心及び安全をより高めることができる。なお、通信チェックボタン11の設置個所は、適宜設計変更自由である。
【0026】
[水難救助支援システムのブロック図]
次に、実施形態に係る水難救助支援ユニット1と、水難救助支援ユニット1と通信可能に接続された外部装置80と、外部装置80と通信可能に接続された携帯端末90とにより構成された水難救助支援システム100の機能的構成について説明する。
図2は、実施形態に係る水難救助支援ユニット1と外部装置80と携帯端末90とにより構成された水難救助支援システム100の機能的構成を示すブロック図の一例である。
【0027】
図2に示すように、水難救助支援システム100は、水難救助支援ユニット1と、水難救助支援ユニット1と通信可能に接続された外部装置80と、外部装置80と通信可能に接続された携帯端末90とにより構成されている。
【0028】
水難救助支援ユニット1は、水難救助支援システム100の動作チェックを行うための通信チェックボタン11と、水を検知する水電池検知センサ20と、救助の報知を行う救助報知部30と、水難救助支援ユニット1の動作を制御するユニット制御部40と、現在の位置情報を検出する位置検出部50と、外部装置80と無線通信をするためのユニット通信部60と、電力を供給するバッテリ70とを備えている。
【0029】
水電池検知センサ20は、水電池21を有しており、水電池からの発電した信号を水検出信号として制御部40に出力する。
【0030】
水電池21は、イオン化傾向が互いに異なる異種電極による正極及び負極を水に浸漬すると電気化学反応を起こし起電力を得る電池(例えば、三嶋電子株式会社製)である。
【0031】
水電池21は、産業廃棄物となる乾電池に対し、分別廃棄が可能であり環境にやさしく、電池サイズにより異なるが、乾電池の連続通電時間が72時間であるのに対し、水電池21の連続通電時間は400~1500時間と長く長寿命である。また、乾電池の保存期間は約1~2年間であるのに対し、水電池21の保存期間は、水に浸漬しなければ、約4~5年間(真空パック保管で10年)の長期保存も可能である。さらに、水電池21は、単1乾電池が3本で約390gの重さであるのに対し、同じ起電力を得るのに、約60gの1/6以下の重さしかなく、非常に軽量である。
【0032】
このため、水電池検知センサ20は、非常に軽量であり、電池切れのリスクが少なく、監視対象者による操作が不要で自動的に水を検知できる。
【0033】
また、水電池21は、水に浸漬すると、救助報知部30に電力を供給するとともに、補助電源としてユニット制御部40にも電力を供給する。補助電源としてユニット制御部40に供給された電力は、ユニット制御部40を介して位置検出部50とユニット通信部60とにも電力が供給されている。
【0034】
なお、本実施形態においては、水電池21は、補助電源としてユニット制御部40、位置検出部50及びユニット通信部60に電力を供給しているが、救助報知部30にのみ電力を供給するように構成してもよい。
【0035】
救助報知部30は、上方発光部6、側方発光部7及び後方発光部8からなる発光部31と、スピーカからなり水難時に警報音を出力する警報音出力部32とを備えている。なお、救助報知部30は、警報音出力部32を備えずに、発光部31のみから構成されるようにしてもよい。
【0036】
ユニット制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのプロセッサまたは制御回路からなり、水難救助支援ユニット1の各種動作を制御している。
【0037】
位置検出部50は、GPS(Global Positioning System)衛星からの時刻情報等からなる測位情報を受信するGPS受信アンテナを備え、測位情報を受信するために必要なGPSモジュールからなる。
【0038】
ユニット通信部60は、インターネットに接続された基地局に情報を送信する通信アンテナ10を備え、基地局を介して外部装置80にデータを送信するために必要な通信モジュールからなる。
【0039】
バッテリ70は、リチウムイオンバッテリからなり、救助報知部30には電力を供給せずに、ユニット制御部40に電力を供給するとともに、ユニット制御部40を介して位置検出部50とユニット通信部60とにも電力を供給している。なお、本実施形態においては、バッテリ70としてリチウムイオンバッテリを用いたが、マンガン電池、アルカリ電池、リチウム電池、ニカド電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池等を用いてもよい。
【0040】
このように、本実施形態における水難救助支援ユニット1によれば、バッテリ70によりユニット制御部40、位置検出部50及びユニット通信部60に電力が供給されるので、ユニット制御部40、位置検出部50及びユニット通信部60が安定した制御を行うことができることに加え、水難救助支援ユニット1が着水する前であっても、ユニット制御部40、位置検出部50及びユニット通信部60が各種制御を行うことができる。
【0041】
また、本実施形態における水難救助支援ユニット1によれば、水電池21は、救助報知部30に電力を供給するとともに、補助電源としてユニット制御部40、位置検出部50及びユニット通信部60にも電力を供給しているので、万が一、バッテリ70の電池容量が無くなったときであっても、水電池21により水難救助支援ユニット1を作動させることができる。
【0042】
外部装置80は、水難救助支援ユニット1を監視する監視サーバであり、水難救助支援ユニット1の監視を行う監視制御部81と、水難救助支援ユニット1からの測位情報を記憶する記憶部82と、インターネットに有線または無線により接続された通信部83とを少なくとも備えている。
【0043】
監視制御部81は、CPU、ROM、RAMなどのプロセッサを備え、水難救助支援ユニット1からの測位情報を受信して水難救助支援ユニット1の位置情報を記憶部83に記憶させたり、携帯端末90からの指示情報を受信して所定の設定処理を行ったり、携帯端末90に通報を行ったりする。
【0044】
記憶部82は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SDD)、光ディスクドライブ、磁気テープ装置等の大容量の記憶装置からなり、水難救助支援ユニット1の位置情報等を経時的に記憶している。
【0045】
通信部83は、インターネットからの情報を送受信する通信モジュールからなり、通信部83を介して水難救助支援ユニット1からの測位情報を受信したり、携帯端末90に所定の情報を送信したりする。
【0046】
携帯端末90は、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット型端末からなり、携帯端末の統括的な制御を行う端末制御部91と、所定の情報を記憶する端末記憶部92と、無線によりインターネットに接続するための端末通信部93と、所定の画像を表示する表示部94と、ユーザからの操作を入力する操作入力部95とを少なくとも備えている。
【0047】
端末制御部91は、CPU、ROM、RAMなどのプロセッサを備え、操作入力部95から入力された入力情報や端末通信部93を介して外部装置90から入力された入力情報に基づいて各種処理を行ったり、表示部94に所定の画像を表示させたり、端末通信部93を介して外部装置90に指示情報を送信したりする。
【0048】
端末記憶部92は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置からなり、端末制御部91からの指示により所定の情報を記憶している。
【0049】
端末通信部93は、インターネットからの情報を送受信する通信モジュールからなり、端末通信部93を介して外部装置90との情報の送受信を行っている。
【0050】
表示部94は、液晶パネル、有機ELなどの表示装置からなり、端末制御部91からの指示により所定の画像を表示している。
【0051】
操作入力部95は、抵抗膜方式、静電容量方式等のタッチパネル、または押圧式のキーボードからなり、ユーザからの操作を入力している。
【0052】
[水難救助支援システムのシーケンス図]
次に、水難救助支援システム100の処理遷移について説明する。
図3は、実施形態に係る水難救助支援システム100の処理遷移を示すシーケンス図の一例である。
【0053】
また、
図3の左列は水難救助支援ユニット1(ユニット制御部40の処理)を示し、中列は外部装置80(監視制御部81の処理)を示し、右列は携帯端末90(端末制御部91の処理)の処理を示している。なお、以下に説明する各処理については、例示的な順序でステップの要素を図示しており、図示した特定の順序に限定されない。したがって、
図3に示すシーケンス図において、処理結果に矛盾が生じない限り、順序を入れ替えることが可能である。
【0054】
まず、携帯端末90は、端末通信部93を介して外部から水難救助支援システム100のアプリ(以下「水難救助支援アプリ」という)をダウンロードし、端末記憶部92にインストールする。
【0055】
(ステップS10)
携帯端末90は、水難救助支援アプリを起動し、少なくとも監視対象者が装着する水難救助支援ユニット1のユニット固有情報を入力する「端末初期設定処理」を行う。この端末初期設定処理においては、ユニット固有情報が入力されると、少なくともユニット固有情報と携帯端末90の端末固有情報(例えば、ユーザーID、MACアドレス等)とを対応付けて外部装置80に送信する。なお、端末初期設定処理においては、1つの水難救助支援ユニット1のユニット固有情報を入力することに限定されず、複数の水難救助支援ユニット1のユニット固有情報を入力することも可能である。また、端末初期設定処理においては、メールアドレスを入力することも可能であり、メールアドレスが入力された場合には、ユニット固有情報と端末固有情報とメールアドレスとを対応付けて外部装置80に送信する。
【0056】
(ステップS20)
外部装置80は、携帯端末90から新規なユニット固有情報と端末固有情報とを受信すると、ユニット固有情報と端末固有情報とを対応付けて記憶部82に記憶し、携帯端末90のユーザを登録する「ユーザ登録処理」を行う。また、ユーザ登録処理においては、メールアドレスを受信したときには、端末固有情報に対してメールアドレスを対応付けて記憶部82に記憶する。
【0057】
(ステップS30)
水難救助支援ユニット1は、単位時間ごとに少なくともユニット固有情報と位置検出部50が受信した測位情報とを対応付けて外部装置80に送信するGPS制御処理を行う。
【0058】
(ステップS40)
外部装置80は、水難救助支援ユニット1からユニット固有情報と測位情報とを受信するごとに、受信した測位情報から水難救助支援ユニット1の位置情報を算出し、ユニット固有情報に対して水難救助支援ユニット1の位置情報と現在の時刻情報とを対応付けて、記憶部82に記憶する「位置記憶処理」を行う。
【0059】
(ステップS50)
携帯端末90は、水難救助支援アプリから水難救助支援ユニット1が指定エリア範囲内にあることを監視するための「指定エリア設定処理」を行う。この指定エリア設定処理においては、基準位置から水難救助支援ユニット1までの距離を指定可能であり、基準位置は、任意の位置を設定したり、携帯端末90の現在の位置を設定したりすることができる。指定エリア範囲の設定がされると、少なくとも基準位置の情報と距離の情報と端末固有情報とを対応付けて外部装置80に送信する。また、指定エリア設定処理において、基準位置として携帯端末90の現在の位置が設定された場合には、単位時間ごとに少なくとも基準位置の情報と端末固有情報とを対応付けて外部装置80に繰り返し送信する。この指定エリア設定処理により携帯端末90の表示部94に表示される指定エリア設定表示画像については、詳しくは
図4を用いて後述する。
【0060】
なお、ステップS50の指定エリア設定処理は、ユーザが任意に設定する処理であり、指定エリア設定処理を行わなくてもよい。指定エリア設定処理が行われない場合には、後述するステップS60の指定エリア登録処理、ステップS70の指定エリア判定処理、及びステップS80のエリア外警報処理も行われないことになる。
【0061】
(ステップS60)
外部装置80は、携帯端末90から新規な基準位置の情報と距離の情報と端末固有情報とを受信すると、ユーザ登録処理により端末固有情報に対応付けられてるユニット固有情報に対して、指定エリア範囲を登録する「指定エリア登録処理」を行う。
【0062】
(ステップS70)
外部装置80は、指定エリア範囲が登録されている場合には、水難救助支援ユニット1からユニット固有情報と測位情報とを受信するか、携帯端末90から端末固有情報と基準位置の情報とを受信すると、水難救助支援ユニット1の位置情報が指定エリア範囲内にあるか否かを判定する「指定エリア判定処理」を行う。この指定エリア判定処理においては、水難救助支援ユニット1の位置情報が指定エリア範囲外にある場合には、水難救助支援アプリに通常警報を出力させる指定エリア範囲外情報を携帯端末90に送信するとともに、ユーザ登録処理においてメールアドレスが登録されているときにはメールアドレスに通報メールを送信する。また、指定エリア判定処理においては、水難救助支援ユニット1の位置情報が指定エリア範囲内にある場合には、指定エリア範囲外情報や通報メールを送信しない。
【0063】
(ステップS80)
携帯端末90は、外部装置80から指定エリア範囲外情報を受信すると、水難救助支援アプリにより水難救助支援ユニット1が指定エリア範囲外にあることを警報する「エリア外警報処理」を行う。このエリア外警報処理により携帯端末90の表示部94に表示されるエリア外警報表示画像については、詳しくは
図5を用いて後述する。
【0064】
(ステップS90)
水難救助支援ユニット1は、通信チェックボタン11が押圧されると、「通信チェック処理」を行う。この通信チェック処理においては、少なくともユニット固有情報と通信テスト情報とを対応付けて外部装置80に送信する。また、本実施形態においては、ユニット固有情報と通信テスト情報とに加え、バッテリ70のバッテリ容量を算出し、バッテリ70の容量情報も送信する。なお、バッテリ70の容量情報は送信しなくてもよい。
【0065】
(ステップS100)
外部装置80は、水難救助支援ユニット1からユニット固有情報と通信テスト情報とを受信すると、ユニット固有情報に対応付けられている端末固有情報を有する携帯端末90に対し、通信テスト情報とバッテリ70の容量情報とを送信する「チェック情報送信処理」を行う。
【0066】
(ステップS110)
携帯端末90は、外部装置80から通信テスト情報とバッテリ70の容量情報とを受信すると、水難救助支援アプリにより水難救助支援システム100が正常に作動していることを報知するとともに、バッテリ70の容量情報を報知する「通常作動報知処理」を行う。この通常作動報知処理により携帯端末90の表示部94に表示される正常作動表示画像については、詳しくは
図6を用いて後述する。
【0067】
なお、本実施形態においては、水難救助支援システム100の動作チェックを行うための通信チェックボタン11を備えて構成したが、通信チェックボタン11を備えず構成してもよい。通信チェックボタン11を備えない場合には、上記ステップS90の通信チェック処理、上記ステップS100のチェック情報送信処理及び上記ステップS110の通常作動報知処理も行われないことになる。
【0068】
(ステップS120)
水難救助支援ユニット1は、水電池検知センサ20により水が検知されたか否かの「着水判定処理」を行う。この着水判定処理においては、水電池検知センサ20により水を検知した場合には、少なくともユニット固有情報と測位情報と着水情報とを対応付けて外部装置80に送信する。
【0069】
(ステップS130)
水難救助支援ユニット1は、水電池検知センサ20により水を検知した場合には、水電池21から救助報知部30に電力が供給され、救助報知部30により監視対象者の位置を報知するための「警報報知」を行う。この警報報知においては、発光部31が点滅表示を行うとともに、警報音出力部32が警報音を出力する。また、警報音出力部32から出力される警報音は、水電池21から救助報知部30に電力が供給されたときに自動的に出力されるが、警報音を停止させる停止ボタンを備えて構成してもよい。なお、上記ステップS120の着水判定処理において、水電池検知センサ20により水を検知しなかった場合には、水電池21から救助報知部30に電力が供給されず、警報報知は行われないことになる。
【0070】
(ステップS140)
外部装置80は、水難救助支援ユニット1からユニット固有情報と測位情報と着水情報とを受信すると、測位情報から水難救助支援ユニット1の着水位置情報と着水時刻情報とを算出し、ユニット固有情報に対応付けられている端末固有情報を有する携帯端末90に対し、少なくとも着水位置情報と着水時刻情報とを送信するとともに、ユーザ登録処理においてメールアドレスが登録されているときにはメールアドレスに警報メールを送信する「警報通知信処理」を行う。
【0071】
(ステップS150)
携帯端末90は、外部装置80から着水位置情報と着水時刻情報とを受信すると、水難救助支援アプリにより監視対象者が着水して救助が必要であることを警報する「緊急警報処理」を行う。この緊急警報処理により携帯端末90の表示部94に表示される緊急警報表示画像については、詳しくは
図7を用いて後述する。
【0072】
(ステップS160)
外部装置80は、水難救助支援ユニット1から着水情報を受信した後は、水難救助支援ユニット1のGPS制御処理により送信されたユニット固有情報と測位情報とを受信するごとに「漂流位置記憶処理」を行う。この漂流位置記憶処理においては、受信した測位情報から水難救助支援ユニット1の漂流位置情報を算出し、ユニット固有情報に対して水難救助支援ユニット1の漂流位置情報と現在の時刻情報とを対応付けて、記憶部82に記憶するとともに、ユニット固有情報に対応付けられている端末固有情報を有する携帯端末90に対し、少なくとも漂流位置情報を送信する。
【0073】
(ステップS170)
携帯端末90は、外部装置80から漂流位置情報を受信すると、水難救助支援アプリにより監視対象者の漂流位置を表示する「漂流位置表示報処理」を行う。この漂流位置表示報処理においては、表示部94に今回受信した水難救助支援ユニット1の現在の漂流位置を表示させることに加え、過去に受信した水難救助支援ユニット1の漂流位置に基づく漂流軌跡も表示させている。
【0074】
(ステップS180)
外部装置80は、水難救助支援ユニット1から着水情報を受信した後は、水難救助支援ユニット1が各基地局の通信範囲外となったか否かを判定する「通信範囲外判定処理」を行う。この通信範囲外判定処理においては、単位時間を超える特定時間となっても、水難救助支援ユニット1のGPS制御処理からユニット固有情報と測位情報とを受信できなかった場合には、水難救助支援ユニット1が各基地局の通信範囲外となったと判定する。そして、水難救助支援ユニット1が各基地局の通信範囲外となった場合には、ユニット固有情報に対応付けられている端末固有情報を有する携帯端末90に対し、少なくとも水難救助支援アプリに水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が通信エリア範囲外に漂流したことを報知させる通信エリア範囲外情報を送信する。また、本実施形態においては、水難救助支援ユニット1が各基地局の通信範囲外となった場合には、記憶部82に記憶された最終の漂流位置情報を最終漂流位置情報とし、最終漂流位置情報の周辺の基地局の情報から通信エリア範囲外の領域を示す探索範囲情報を作成し、作成した探索範囲情報を通信エリア範囲外情報とともに送信する。なお、探索範囲情報を作成しなくてもよい。
【0075】
外部装置80における上記ステップS140の警報通知信処理、上記ステップS160の漂流位置記憶処理、上記ステップS180の漂流位置記憶処理は、強制処理であり、例えば水難救助支援ユニット1の位置情報が指定エリア範囲内にある場合であっても実行され、上記ステップS20のユーザ登録処理が行われていなくても実行されるものである。ここで、ユーザ登録処理が行われていない場合にあっては、事後的にユーザ登録処理が行われたときに携帯端末90に各種情報が送信できるように、外部装置80では各種情報を記憶部82に記憶しておくことになる。
【0076】
(ステップS190)
携帯端末90は、外部装置80から通信エリア範囲外情報と探索範囲情報とを受信すると、水難救助支援アプリにより監視対象者の最終漂流位置を表示する「最終漂流位置表示処理」を行う。この最終漂流位置表示処理により携帯端末90の表示部94に表示される最終漂流位置表示画像については、詳しくは
図8を用いて後述する。
【0077】
なお、上述したシーケンス図における水難救助支援ユニット1、外部装置80及び携帯端末90の処理は、水難救助支援ユニット1、外部装置80及び携帯端末90の全ての処理を示したものではなく、この他にも多数の機能を果たすための処理が行われている。
【0078】
また、本実施形態においては、携帯端末90は、水難救助支援アプリをダウンロード/インストールし、水難救助支援アプリを起動することで、上述した各種処理を実行するように構成したが、外部装置90が水難救助支援アプリに相当するプログラムを記憶し、携帯端末90が、外部装置90によって管理されるWebサイトで上述した各種処理を実行するように構成してもよい。
【0079】
このように、本実施形態における水難救助支援システム100によれば、水難事故時においては、電池切れのリスクが少ない水電池検知センサ20により監視対象者が海水や河川等に着水したことを自動的に検知し、水難救助支援ユニット1の警報報知(ステップS130)により目視等から救助者の位置を特定できることに加え、水難救助支援ユニット1のGPS制御処理(ステップS30)等により携帯端末90から救助者の位置を特定でき、より迅速かつ的確に救助者を発見することができる。
【0080】
また、本実施形態における水難救助支援システム100によれば、携帯端末90の指定エリア設定処理(ステップS50)等により監視対象者の行動範囲を監視できることから、海水や河川周辺の集合研修・集合練習等においても水難事故時を未然に防止することができる。
【0081】
さらに、本実施形態における水難救助支援システム100によれば、水難救助支援ユニット1の通信チェック処理(ステップS90)等により水難救助支援ユニット1が正常に作動していることを確認でき、水難救助支援システム100の安心及び安全をより高めることができる。
【0082】
[携帯端末の表示部に表示される表示画像]
次に携帯端末90の表示部94に表示される表示画面の一例について説明する。
【0083】
(指定エリア設定表示画像)
まず、
図4を参照して、指定エリア設定処理(ステップS50)により携帯端末90の表示部94に表示される指定エリア設定表示画像について説明する。
図4は、実施形態に係る携帯端末90の表示部94に表示される指定エリア設定表示画像の一例である。
【0084】
図4に示すように、指定エリア設定表示画像910は、基準位置を設定するための基準位置設定画像911と、基準位置から水難救助支援ユニット1までの距離を指定するための距離指定画像912とを少なくとも備えて構成されている。なお、基準位置設定画像911と距離指定画像912とを同時に表示せずに、基準位置設定画像911と距離指定画像912とを切り替えられるように構成してもよい。
【0085】
基準位置設定画像911には、周辺の地図画像が表示されるとともに、地図画像上には基準位置を示す基準位置画像901が表示されている。基準位置設定画像911は、携帯端末90の現在の位置を基準位置として設定したり、任意の位置を基準位置として設定したりすることができるように構成されている。
【0086】
距離指定画像912には、基準位置から水難救助支援ユニット1までの距離が表示されており、ユーザが基準位置から水難救助支援ユニット1までの距離を指定できるように構成されている。
【0087】
このように、指定エリア設定表示画像910によれば、携帯端末90を有するユーザが基準位置を設定できるとともに、基準位置から水難救助支援ユニット1までの距離を指定することができる。
【0088】
(エリア外警報表示画像)
図5を参照して、エリア外警報処理(ステップS80)により携帯端末90の表示部94に表示されるエリア外警報表示画像について説明する。
図5は、実施形態に係る携帯端末90の表示部94に表示されるエリア外警報表示画像の一例である。
【0089】
図5に示すように、エリア外警報表示画像920は、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が指定エリア範囲外に移動したことを報知する指定エリア範囲外報知画像921と、水難救助支援ユニット1の現在位置を地図上に表示する地図画像922と、水難救助支援ユニット1の位置情報の詳細を表示する位置情報画像923とを少なくとも備えて構成されている。
【0090】
地図画像922には、周辺の地図画像が表示されるとともに、基準位置を示す基準位置画像901と、水難救助支援ユニット1の現在位置を示すユニット位置画像902とが表示されている。
【0091】
位置情報画像923には、水難救助支援ユニット1の現在位置を示す緯度・経度と、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が指定エリア範囲外に移動したときの移動日時などが表示されている。
【0092】
このように、エリア外警報表示画像920によれば、携帯端末90を有するユーザが、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が指定エリア範囲外に移動したことを把握できるとともに、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者の現在位置を把握することができる。
【0093】
(正常作動表示画像)
図6を参照して、通常作動報知処理(ステップS110)により携帯端末90の表示部94に表示される正常作動表示画像について説明する。
図6は、実施形態に係る携帯端末90の表示部94に表示される正常作動表示画像の一例である。
【0094】
図6に示すように、正常作動表示画像930は、水難救助支援システム100が正常に作動していることを通知する正常作動通知画像931と、水難救助支援ユニット1の現在位置を地図上に表示する地図画像932と、水難救助支援ユニット1の位置情報の詳細を表示する位置情報画像933とを少なくとも備えて構成されている。また、本実施形態においては、正常作動表示画像930は、バッテリ70の容量情報を表示するバッテリ情報画像934も備えて構成されている。
【0095】
地図画像932には、周辺の地図画像が表示されるとともに、基準位置を示す基準位置画像901と、水難救助支援ユニット1の現在位置を示すユニット位置画像902とが表示されている。
【0096】
位置情報画像933には、水難救助支援ユニット1の現在位置を示す緯度・経度と、現在日時などが表示されている。
【0097】
バッテリ情報画像934には、バッテリ70の残存容量を数値化して表示している。なお、バッテリ情報画像934は、数値化せずに、スマホ等の電池画像のようにレベル分けして表示してもよい。
【0098】
このように、正常作動表示画像930によれば、携帯端末90を有するユーザが、水難救助支援システム100が正常に作動していることを把握できるとともに、バッテリ70の残存容量も把握することができる。
【0099】
(緊急警報表示画像)
図7を参照して、緊急警報処理(ステップS150)により携帯端末90の表示部94に表示される緊急警報表示画像について説明する。
図7は、実施形態に係る携帯端末90の表示部94に表示される緊急警報表示画像の一例である。
【0100】
図7に示すように、緊急警報表示画像940は、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が着水したことを報知する緊急警報画像941と、水難救助支援ユニット1の現在位置を地図上に表示する地図画像942と、水難救助支援ユニット1の位置情報の詳細を表示する位置情報画像943とを少なくとも備えて構成されている。
【0101】
地図画像942には、周辺の地図画像が表示されるとともに、水難救助支援ユニット1の現在位置を示すユニット位置画像902が表示されている。
【0102】
位置情報画像943には、水難救助支援ユニット1の現在位置を示す緯度・経度と、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が着水したときの着水日時などが表示されている。
【0103】
このように、緊急警報表示画像940によれば、携帯端末90を有するユーザが、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が着水したことを把握できるとともに、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者の現在位置を把握することができる。
【0104】
(最終漂流位置表示画像)
図8を参照して、最終漂流位置表示処理(ステップS190)により携帯端末90の表示部94に表示される最終漂流位置表示画像について説明する。
図8は、実施形態に係る携帯端末90の表示部94に表示される最終漂流位置表示画像の一例である。
【0105】
図8に示すように、最終漂流位置表示画像950は、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が通信エリア範囲外に漂流したことを報知する特別緊急警報画像951と、水難救助支援ユニット1の最終現在位置を地図上に表示する地図画像952と、水難救助支援ユニット1の位置情報の詳細を表示する位置情報画像953とを少なくとも備えて構成されている。
【0106】
地図画像952には、地図画像が表示されるとともに、水難救助支援ユニット1の最終現在位置を示すユニット位置画像902と、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が着水してから通信エリア範囲外に漂流するまでの水難救助支援ユニット1の漂流軌跡を示す漂流軌跡画像903と、水難救助支援ユニット1の最終現在位置の周辺の基地局から通信エリア範囲外の領域を示す通信エリア範囲外画像904とが表示されている。
【0107】
位置情報画像953には、水難救助支援ユニット1の最終現在位置を示す緯度・経度と、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が着水したときの着水日時などが表示されている。
【0108】
このように、最終漂流位置表示画像950によれば、携帯端末90を有するユーザが、水難救助支援ユニット1を装着している監視対象者が通信エリア範囲外に漂流したことを把握できるとともに、漂流軌跡画像903と通信エリア範囲外画像904とから探索エリアを絞り込んで監視対象者の救助を支援することができる。
【0109】
以上のように、本実施形態における水難救助支援ユニット1及び水難救助支援システム100によれば、水難事故時においては、水電池検知センサ20により監視対象者が海水や河川等に着水したことを自動的に検知し、水難救助支援ユニット1の側方発光部7及び後方発光部8からなる発光部31により目視等から救助者の位置を特定できることに加え、水難救助支援ユニット1の位置検出部50及びユニット通信部60を介して携帯端末90から救助者の位置を特定でき、より迅速かつ的確に救助者を発見することができる。
【0110】
[変形例1]
本実施形態において、水難救助支援ユニット1はライフジャケット500の両肩部501に取り付ける肩背面式のユニットとして構成したが、ライフジャケット400の襟に取り付ける襟元式のユニットとして構成してもよい。
【0111】
次にライフジャケット500の襟に取り付ける襟元式のユニットとしての水難救助支援ユニット200について説明する。
図9は、本発明の変形例1に係る水難救助支援ユニット200の斜視図の一例である。
【0112】
図9に示すように、水難救助支援ユニット200は、監視対象者の首に沿うようにやや湾曲して形成された本体部201を備えて構成されている。
【0113】
本体部201の上面部には、上方向に向けて光を発光する複数の上方発光部202が設けられており、本体部201の左側面部には、左方向に向けて光を発光する複数の側方発光部203が設けられている。また、図示は省略するが、本体部201の右側面部にも、右方向に向けて光を発光する複数の側方発光部203が設けられている。
【0114】
上方発光部202と側方発光部203は、発光ダイオード(LED)から構成されている。なお、本実施形態においては、上方発光部202と側方発光部203とを発光ダイオードから構成したが、電球や有機EL照明を用いて構成してもよい。
【0115】
なお、水難救助支援ユニット200に設けられる発光部の数及び場所は適宜設計変更自由であり、少なくとも本体部201の上面部、左側面部及び右側面部のいずれかに設けられていればよい。
【0116】
本体部201の左側面部と右側面部の下端には、水を受け入れることが可能な開口部205が形成されており、水電池検知センサ20により開口部205に侵入した水が検知されることになる。
【0117】
本体部201の内部には、インターネットに接続された基地局に情報を送信するための通信アンテナ206が設けられている。この通信アンテナ206は、水没による通信妨害を抑制できるように、本体部201の内部の上端部に設けられていることが望ましい。
【0118】
また、本体部201の上面部には、水難救助支援システム100の動作チェックを行うための押圧式の通信チェックボタン207が設けられている。なお、通信チェックボタン207の設置個所は、適宜設計変更自由である。
【0119】
このように、水難救助支援ユニット200を用いても、水難事故時においては、水電池検知センサ20により監視対象者が海水や河川等に着水したことを自動的に検知し、水難救助支援ユニット200の上方発光部202と側方発光部203により目視等から救助者の位置を特定できることに加え、水難救助支援ユニット200の位置検出部50及びユニット通信部60を介して携帯端末90から救助者の位置を特定でき、より迅速かつ的確に救助者を発見することができる。
【0120】
[変形例2]
また、本実施形態において、水難救助支援ユニット1はライフジャケット500の両肩部501に取り付ける肩背面式のユニットとして構成したが、監視対象者の肩に取り付ける肩掛け式のユニットとして構成してもよい。
【0121】
監視対象者の肩に取り付ける肩掛け式のユニットとしての水難救助支援ユニット300について説明する。
図10は、本発明の変形例2に係る水難救助支援ユニット300の斜視図の一例である。
【0122】
図10に示すように、水難救助支援ユニット300は、矩形上の本体部301と、監視対象者の肩に取り付ける取付部301とを備えて構成されている。
【0123】
本体部301の上面部には、上方向に向けて光を発光する複数の上方発光部303が設けられており、本体部301の右側面部には、右方向に向けて光を発光する複数の側方発光部304が設けられている。また、図示は省略するが、本体部301の左側面部にも、左方向に向けて光を発光する複数の側方発光部304が設けられており、本体部301の後面部にも、後方に向けて光を発光する複数の後方発光部が設けられている。
【0124】
上方発光部303、側方発光部304及び後方発光部は、発光ダイオード(LED)から構成されている。なお、本実施形態においては、上方発光部303、側方発光部304及び後方発光部を発光ダイオードから構成したが、電球や有機EL照明を用いて構成してもよい。
【0125】
なお、水難救助支援ユニット300に設けられる発光部の数及び場所は適宜設計変更自由であり、少なくとも本体部301の上面部、右側面部、左側面部及び後面部のいずれかに設けられていればよい。
【0126】
本体部301の両側面部の下方には、水を受け入れることが可能な開口部305が形成されており、水電池検知センサ20により開口部305に侵入した水が検知されることになる。
【0127】
本体部301の内部には、インターネットに接続された基地局に情報を送信するための通信アンテナ306が設けられている。この通信アンテナ306は、水没による通信妨害を抑制できるように、本体部301の内部の上端部に設けられていることが望ましい。
【0128】
また、本体部301の上面部には、水難救助支援システム100の動作チェックを行うための押圧式の通信チェックボタン307が設けられている。なお、通信チェックボタン207の設置個所は、適宜設計変更自由である。
【0129】
取付部302は、ナイロン等の合成繊維布で構成されており、本体部301の前端かつ下端部に取り付けられた前端取付部302Fと、本体部301の後端かつ下端部に取り付けられた後端取付部302Bとを備えている。前端取付部302Fと後端取付部302Bとには、面ファスナー、いわゆるマジックテープ(登録商標)が形成されており、前端取付部302Fと後端取付部302Bとが面ファスナーにより係合可能となっている。
【0130】
このように、水難救助支援ユニット300を用いても、水難事故時においては、水電池検知センサ20により監視対象者が海水や河川等に着水したことを自動的に検知し、水難救助支援ユニット300の上方発光部303、側方発光部304及び後方発光部により目視等から救助者の位置を特定できることに加え、水難救助支援ユニット300の位置検出部50及びユニット通信部60を介して携帯端末90から救助者の位置を特定でき、より迅速かつ的確に救助者を発見することができる。
【0131】
[変形例3]
本実施形態において、水難救助支援ユニット1はライフジャケット500の両肩部501に取り付ける肩背面式のユニットとして構成したが、監視対象者の首に掛ける首掛け式のユニットとして構成してもよい。
【0132】
次に首掛け式のユニットとしての水難救助支援ユニット400について説明する。
図11は、本発明の変形例3に係る水難救助支援ユニット400の斜視図の一例である。
【0133】
図11に示すように、水難救助支援ユニット400は、監視対象者の首に沿うようにやや湾曲して形成された左側本体部401L、右側本体部401R、及び左側本体部401Lと右側本体部401Rとを連結する可撓式の連結部402を備えて構成されている。
【0134】
左側本体部401L及び右側本体部401Rの上面部には、上方向に向けて光を発光する複数の上方発光部403が設けられており、右側本体部401Rの右側面部には、右方向に向けて光を発光する複数の側方発光部404が設けられている。また、図示は省略するが、左側本体部401Lの左側面部にも、左方向に向けて光を発光する複数の側方発光部404が設けられている。
【0135】
上方発光部403と側方発光部404は、発光ダイオード(LED)から構成されている。なお、本実施形態においては、上方発光部403と側方発光部404とを発光ダイオードから構成したが、電球や有機EL照明を用いて構成してもよい。
【0136】
なお、水難救助支援ユニット400に設けられる発光部の数及び場所は適宜設計変更自由であり、少なくとも左側本体部401L及び右側本体部401Rの上面部、左側面部及び右側面部のいずれかに設けられていればよい。
【0137】
左側本体部401Lの右側面部と右側本体部401Rの左側面部とには、水を受け入れることが可能な開口部405が形成されており、水電池検知センサ20により開口部405に侵入した水が検知されることになる。
【0138】
左側本体部401L及び右側本体部401Rの内部には、インターネットに接続された基地局に情報を送信するための通信アンテナ406が設けられている。この通信アンテナ406は、水没による通信妨害を抑制できるように、左側本体部401L及び右側本体部401Rの内部の上端部に設けられていることが望ましい。
【0139】
また、左側本体部401Lの上面部には、水難救助支援システム100の動作チェックを行うための押圧式の通信チェックボタン407が設けられている。なお、通信チェックボタン407の設置個所は、適宜設計変更自由である。
【0140】
このように、水難救助支援ユニット400を用いても、水難事故時においては、水電池検知センサ20により監視対象者が海水や河川等に着水したことを自動的に検知し、水難救助支援ユニット400の上方発光部403と側方発光部404により目視等から救助者の位置を特定できることに加え、水難救助支援ユニット400の位置検出部50及びユニット通信部60を介して携帯端末90から救助者の位置を特定でき、より迅速かつ的確に救助者を発見することができる。
【0141】
[その他の変形例]
また、本実施形態の水難救助支援システム100は、水難救助支援ユニット1の通信アンテナ10を介して、インターネットに接続された基地局により水難救助支援ユニット1と監視サーバからなる外部装置とが無線通信ができるように構成した。しかしながら、水難救助支援システム100は、水難救助支援ユニット1の通信アンテナ10を介して、船舶等に備えられる無線受信装置により水難救助支援ユニット1と船舶等に備えられる制御装置(外部装置)とも無線通信ができるように構成してもよい。このように構成した場合には、船舶等から救助者を移動しながら探索している場合には、船舶等に備えられる無線受信装置の通信エリア範囲内に救助者が入ったときには、迅速に監視対象者を発見することができる。
【0142】
また、本実施形態、変形例1及び変形例2の水難救助支援ユニット1、200、300、400は、ライフジャケット500に取り付け可能であったり、ライフジャケット500とは別に監視対象者に取り付け可能に構成したが、水難救助支援ユニットを備えたライフジャケットとして構成してもよい。
【0143】
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用し得ることは、当業者には明らかであろう。
【0144】
上述の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本発明の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0145】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語は、限定的でない用語として解釈されるべきである。例えば、「含む」という用語は、「含むものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「備える」という用語は、「備えるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0146】
1、200、300、400 水難救助支援ユニット
20 水電池検知センサ
21 水電池
30 救助報知部
31 発光部
32 警報音出力部
40 ユニット制御部
50 位置検出部
60 ユニット通信部
70 バッテリ
80 外部装置
81 監視制御部
82 記憶部
90 携帯端末
100 水難救助支援システム
100 水難救助支援システム
500 ライフジャケット500