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  • 特開-キャブの前部構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019330
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】キャブの前部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
B62D25/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123984
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】善村 英治
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA14
3D203BB33
(57)【要約】
【課題】樹脂製のフロントカバーが車両の振動により微振動することがないようフロントカバーの剛性を上げると共に、フロントカバーとフロントパネルとの隙間に起因した風切り音の発生を防止するキャブの前部構造を提供する。
【解決手段】車両のキャブ2の前面に設けられるフロントパネル4と、フロントパネル4の上部にフロントパネル4に対して隙間を空けて設けられるフロントカバー20と、フロントカバー20の裏面に設けられ、車幅方向に延設された補強リブ23と、補強リブ23に固定され、前記隙間を埋めるシール部材15と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のキャブ前面に設けられるフロントパネルと、
前記フロントパネルの上部に前記フロントパネルに対して隙間を空けて設けられるフロントカバーと、
前記フロントカバーの裏面に設けられ、車幅方向に延設された補強リブと、
前記補強リブに固定され、前記隙間を埋めるシール部材と、
を備えるキャブの前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のキャブの前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
非ボンネット型のトラックなどの車両では、キャブ前面にワイパー装置が設けられ、ワイパー装置を駆動するモータなどを走行風の影響から守ると共にキャブ前面の外観を良好にする目的で樹脂製のフロントカバーが設けられる場合がある。
【0003】
特許文献1には、車両のワイパー機構の前方にワイパーカバー(フロントカバー)を設けることにより、風切音と走行抵抗を低減させるワイパーカバーが開示されている。特許文献2には、支持強度の低下を伴うことなく、車体パネルに対して所望の角度でワイパーモータユニットを取り付けることが可能な車載部品の取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-049337号公報
【特許文献2】特開2008-105629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャブ前面に設けられた樹脂製のフロントカバーの下方には、フロントカバーとは別部品となる板金製のフロントパネルが設けられる。フロントカバーとフロントパネルとの間には、樹脂製のフロントカバーが走行時の振動などにより微振動することによって両部品が干渉してしまうことを防止するため、隙間が空いている。キャブ前面の外観を良好とするためには隙間は小さい方が好ましいが、隙間を小さくした場合、走行時に風切り音が発生することがある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂製のフロントカバーが車両の振動により微振動することがないようフロントカバーの剛性を上げると共に、フロントカバーとフロントパネルとの隙間に起因した風切り音の発生を防止するキャブの前部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0008】
本適用例に係るキャブの前部構造は、車両のキャブ前面に設けられるフロントパネルと、前記フロントパネルの上部に前記フロントパネルに対して隙間を空けて設けられるフロントカバーと、前記フロントカバーの裏面に設けられ、車幅方向に延設された補強リブと、前記補強リブに固定され、前記隙間を埋めるシール部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このように構成されたキャブの前部構造は、フロントカバーの裏面(車両後方側)に車幅方向に延設された補強リブを設けることによって、フロントカバーの剛性を向上し、車両の振動によりフロントカバーが微振動することを防止する。また、補強リブを活用してフロントパネルとフロントカバーとの隙間を埋めるようにシール部材を設けたため、フロントカバーとフロントパネルとの隙間に起因した風切り音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のキャブの前部構造を適用した車両の左前方からの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態のキャブの前部構造の要部組立斜視図である。
図3図1に示すI-Iにおけるキャブの前部構造の側断面図である。
図4】フロントカバーを車両後方から見た背面図である。
図5】シール部材を部分的に設けた変形例を示すフロントカバーの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下の説明において、上下方向とは、車両の車高方向(鉛直方向)、左右方向とは車両の車幅方向、前後方向とは車両の進行方向を表すものとする。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態のキャブの前部構造を適用した車両の左前方からの斜視図である。
【0013】
図1に示す車両はトラック等の貨物車両であり、本実施形態のキャブの前部構造1は車両前側に配置されるキャブ2に適用されている。キャブ2は、主に、下面にフロアパネル3、前面にフロントパネル4及びフロントウインドウ5、上面にルーフパネル6、両側面にドア7とドア開口部を形成するサイドパネル8、後面にバックパネル(不図示)、が設けられて、略箱型の車室を形成している。これらパネルは板金を成型加工して製造されたものである。
【0014】
キャブ2の前面において、フロントパネル4とフロントウインドウ5の間には、左右両側にミラーカバー9及び中央にフロントカバー20が設けられている。ミラーカバー9及びフロントカバー20は樹脂を成型加工して製造されたものである。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態のキャブの前部構造の要部組立斜視図である。
【0016】
図2に示すように、ミラーカバー9及びフロントカバー20は、フロントパネル4の上部のフロントウインドウ5の下縁側に車幅方向に設けられた帯状の溝部11を車両の前方から覆うように図示しない締結部材等で取り付けられている。
【0017】
図3は、図1に示すI-Iにおけるキャブの前部構造の要部側断面図である。図4は、フロントカバーを車両後方から見た背面図である。
【0018】
溝部11は、図3に示すように、フロントパネル4の上部において後方に窪むことで、その前側に設けられるフロントカバー20との間に空間を形成している。具体的には、溝部11は、フロントウインドウ5の下縁付近からフロントウインドウ5に略平行に下方へ延出する第1後壁部11aと、第1後壁部11aの下端から後方に延出する第2後壁部11bと、第2後壁部11bの後端から下方に延出する第3後壁部11cと、第3後壁部11cの下端から前方へ延出する第4後壁部11dと、第4後壁部11dの前端から下方前方で延出する第5後壁部11eと、第5後壁部11eの下端から前方に延出する第6後壁部11fと、を有する。また、溝部11は、フロントウインドウ5と上部連結材12(を介して連結されている。上部連結材12は、ゴム材等の樹脂で形成され、フロントウインドウ5の下縁に沿って車幅方向に設けられている。
【0019】
フロントカバー20は、図3及び図4に示すように、主に上部を形成する第1前壁部20aと、下部を形成する第4前壁部20dと、第1前壁部20aと第4前壁部20dとの間に後方に窪みを形成する第2前壁部20b及び第3前壁部20cと、から形成される。具体的には、第1前壁部20aは、その上端が上部連結材12の下端に接し、上部連結材12の下端から第4後壁部11dの前方延長線上付近まで、前下方に延出する。第2前壁部20b(図3では破線で表示)は、第1前壁部20aの下端から第4後壁部11dの前端付近まで後方に延出する。第3前壁部20cは、第2前壁部20bの後端から第4前壁部20dの前端付近まで前方に延出する。第4前壁部20dは、第3前壁部20cの前端から第6後壁部11fの前端付近まで下方に延出し、下端が第6後壁部11fの前端上面と隙間31を介して近接している。フロントカバー20は、フロントパネル4に取り付けられた状態で、その前面がフロントパネル4の前面との段差がほぼ生じない位置に取り付けられるが、フロントカバー20の下端は、フロントパネル4と接しておらず、隙間31が開いている。
【0020】
フロントカバー20は、また、図2から図4に示すように、上部の右側及び中央付近にワイパー装置のワイパー軸13等を、樹脂製の保持部14を介して保持するための孔32を有する。ワイパー装置の駆動機構や配線等は溝部11及びフロントカバー20の間の空間に収容される。また、フロントカバー20には、フロントカバー20をフロントパネル4に固定する締結部材用の図示しない孔が設けられている。
【0021】
フロントカバー20は、さらに、第2前壁部20bの車幅方向の一部において、外気を導入するための開口部33が設けられている。
【0022】
フロントカバー20は、第4前壁部20dの後面、すなわちフロントカバー20の前側を表としたときの裏面から、略垂直かつ図3に示す長さLで後方に延出し、かつ、車幅方向に延在する補強リブ23が形成されている。また、補強リブ23は、第6後壁部11fの上面からの距離がLより少し小さくなる位置に設けられる。そして、補強リブ23の下面には、一辺の長さが略Lの側断面略正方形形状のシール部材15の上面が接着等により固定されている。さらに、シール部材15は、第4前壁部20dの後面及び第6後壁部11fの上面に当接するように固定される。本実施形態において、補強リブ23は、第6後壁部11fの上面に対し、後方に向かうにつれて第6後壁部11fに近づく傾斜を有して形成されている。そのため、補強リブ23の下面に固定されたシール部材15は、後方下部(図3のCで示す部分)の角部が第6後壁部11fの上面に押し付けられた状態となる。シール部材15は比較的弱い弾性特性を有する樹脂、例えばスポンジ等で形成されており、当接部分に対して容易に変形し、また車両の走行等による振動による隙間31の増減を吸収することができる。即ち、シール部材15により隙間31が埋められている。
【0023】
また、フロントカバー20には、シール部材15の収縮による反力が、図3のDで示す矢印の方向に発生する。補強リブ23は、この反力に対して十分な剛性を確保できる上下方向の厚さ及び前後方向の長さに設定される。すなわち、補強リブ23は、矢印Dで示す反力の上下方向の成分を相殺できる厚さを有する。これにより、シール部材15と第6後壁部11fとの密着度を維持することができる。また、補強リブ23は、矢印Dで示す反力の前後方向の成分を相殺できる長さを有する。本実施形態では、補強リブ23の前後方向の長さをシール部材15の一辺の長さLと同程度の長さとしている。これにより、フロントカバー20が前方に突出するのが防止され、キャブ2の前面の外観が損なわれることがない。
【0024】
以上のように構成されたキャブの前部構造1は、フロントカバー20の裏面(車両後方側)に車幅方向に延設された補強リブ23を設けることによって、フロントカバー20の剛性を向上し、車両の振動によりフロントカバー20が微振動することを防止する。また、補強リブ23を活用してフロントパネル4とフロントカバー20との隙間31を埋めるようにシール部材15を設けたため、フロントカバー20とフロントパネル4との隙間31に起因した風切り音の発生を防止することができる。
【0025】
以上で本発明に係るキャブの前部構造の実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0026】
上記実施形態においては、シール部材15を車幅方向全体に設けていたが、図5に示す変形例のように、間欠的に設けてもよい。又は、シール部材15を通水性のある比較的目の粗いスポンジ等にしてもよい。これにより、フロントカバー20と溝部11の間の空間に雨などにより水が浸入してもシール部材15の設けられていない部分の隙間31から水を排出したり、目の粗いスポンジを通して水を排出したり、することができる。
【0027】
上記実施形態において、シール部材15の断面形状は正方形であったが、矩形や台形等他の形状であっても構わない。
【符号の説明】
【0028】
1 :前部構造
2 :キャブ
3 :フロアパネル
4 :フロントパネル
5 :フロントウインドウ
6 :ルーフパネル
7 :ドア
8 :サイドパネル
9 :ミラーカバー
11 :溝部
11a :第1後壁部
11b :第2後壁部
11c :第3後壁部
11d :第4後壁部
11e :第5後壁部
11f :第6後壁部
12 :上部連結材
13 :ワイパー軸
14 :保持部
15 :シール部材
20 :フロントカバー
20a :第1前壁部
20b :第2前壁部
20c :第3前壁部
20d :第4前壁部
23 :補強リブ
31 :隙間
32 :孔
33 :開口部
40 :フロントパネル
図1
図2
図3
図4
図5