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  • 特開-車内カメラの配置構造 図1
  • 特開-車内カメラの配置構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019333
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】車内カメラの配置構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/04 20060101AFI20230202BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B60R11/04
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123987
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】市田 敬子
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BC03
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】夫々のカメラの機能を損なうことがなく、さらに、ドライバーの前方視界を十分確保することが可能な車内カメラの配置構造を提供する。
【解決手段】車内カメラの配置構造は、フロントガラス6の下方部に設置され、車両1前方を撮影する車両前方撮影カメラ7と、ダッシュボード4の上方部に設置され、ドライバーDの顔を撮影するドライバー撮影カメラ8と、を備える。ドライバー撮影カメラ8は、車両前方撮影カメラ7によって生じるドライバーDの死角エリア92内に配置される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントガラスの下方部に設置され、車両前方を撮影する車両前方撮影カメラと、
ダッシュボードの上方部に設置され、ドライバーの顔を撮影するドライバー撮影カメラと、
を備え、
前記ドライバー撮影カメラは、前記車両前方撮影カメラによって生じるドライバーの死角エリア内に配置される
ことを特徴とする車内カメラの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車内カメラの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車、トラックやバスなどの商用車などの車両にはドライバーの安全運転をサポートするために様々な安全運転支援装置が装着されている。例えば、ドライバーの意識状態や注意力を監視するために、運転席周辺にドライバーを撮影するためのカメラが設けられている車両がある。このようなカメラは主にドライバーの顔に向けられており、ドライバーの顔の向きや目の動き等を撮影することで、ドライバーの意識状態や注意力を監視している。
【0003】
特許文献1には、ステアリングハンドル前方のインストルメントパネルのメータ類の上部から車両前後方向に向け庇状に張り出すメータフードの張出部下面に、該張出部内の空きスペースを利用して監視用カメラを配置することが開示されている。特許文献2には、インストルメントパネルのメータフードの上面にカメラ及びその指示器具を配置し、かつカメラ及び指示器具をメータフードに収納可能した構成が開示されている。
【0004】
また、上記以外の安全運転支援装置として、自車前方の車線(車線逸脱警報)や障害物(衝突回避)などを監視するために、ダッシュボードの上部にカメラが設けられている場合がある。このようなカメラは自車両側の車線を撮影するため、ダッシュボードの中央部に設けられることが望ましい。
【0005】
特許文献3には、非ボンネット型車両の前方を撮像する車載用カメラをダッシュボード上面に脚部を介して取り付けられた収納部に収納して、ダッシュボード、収納部、及び脚部に囲まれた空間を形成することで、搭乗者の視界を十分に確保しつつ、非ボンネット型車両の前方を広範囲且つ鮮明に撮像して高精度に監視することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-254084
【特許文献2】特開2008-189230
【特許文献3】特開2018-177104
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した自車前方を撮影するカメラとドライバーを撮影するカメラの複数のカメラを車載する場合、例えば、自車前方を撮影するカメラをダッシュボードの上面の中央部に設置し、ドライバーを撮影するカメラを運転席前のメータフード付近に設置すると、異なる位置に設置された2つのカメラによって、ドライバーの前方視界を狭めてしまう。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、自車前方を撮影するカメラとドライバーを撮影するカメラの複数のカメラの機能を損なうことがなく、さらに、ドライバーの前方視界を十分確保可能な車内カメラの配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0010】
本適用例に係る車内カメラの配置構造は、フロントガラスの下方部に設置され、車両前方を撮影する車両前方撮影カメラと、ダッシュボードの上方部に設置され、ドライバーの顔を撮影するドライバー撮影カメラと、を備え、前記ドライバー撮影カメラは、前記車両前方撮影カメラによって生じるドライバーの死角エリア内に配置されることを特徴とする。
【0011】
このように構成された車内カメラの配置構造は、前記車両前方撮影カメラによって生じるドライバーの死角エリア内にドライバー撮影カメラが配置されるため、夫々のカメラの機能を損なうことがなく、さらに、ドライバーの前方視界を十分確保することが可能な車内カメラの配置構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の車内カメラの配置構造を示す車両の内部の平面方向から見た模式図である。
図2】車内カメラの配置構造を示す車両の内部を図1のP方向(左側面側からの右方向)に見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態の車内カメラ(車両前方撮影カメラ7及びドライバー撮影カメラ8)の配置構造を示す車両1の内部の平面方向(上方)から見た模式図である。また、図2は、本発明の一実施形態の車内カメラの配置構造を示す車両1の内部を図1のP方向(左側面側からの右方向)に見た模式図である。本実施形態では、トラック等の所謂非ボンネット型の車両1を示している。車両1は、車室2内に、運転席31と、助手席32と、運転席31の前方に配置されたダッシュボード4とを備える。ダッシュボード4は、運転席31側にメータベゼル41及びインストルメントパネル42を有する。インストルメントパネル42は、メータベゼル41よりも車室2の内側(運転席31側から見た助手席32側)に配置される。メータベゼル41の上部には、メータベゼル41を庇状に覆うように運転席31側に延設されたフード部43(詳細な構成は不図示)が設けられる。
【0015】
インストルメントパネル42と運転席31との間には、ステアリングコラム51と、ステアリングコラム51に取り付けられたハンドル52とが設けられる(図2参照)。
【0016】
車室2の前方(即ち、ダッシュボード4の前方)には、運転席31及び助手席32が位置する左右方向に亘ってフロントガラス6が配置されている。フロントガラス6は、前面が前方やや上方を向くように傾斜して配置されている(図2参照)。また、フロントガラス6の左右の両端部は、後方に僅かに湾曲するように設けられる(図1参照)。
【0017】
車両1は、ダッシュボード4の上方であって、フロントガラス6の下方部(図2も参照)に、多目的カメラを用いた車両前方撮影カメラ7を備える。車両前方撮影カメラ7は、車両1の前方を撮影して監視する装置であり、車両1の前方に位置する他の車両との車間距離や、車線などを検出することができる。ダッシュボード4の上面4aは、図2に示すように、前方へ向かうに従い下方へ傾斜しており、フロントガラス6とダッシュボード4との間の空間が下方へ向かうに従って窄まるように形成される。
【0018】
車両1の車室2には、ドライバーD側からフロントガラス6越しに自車外を視認可能な視界エリア91が形成される。車両前方撮影カメラ7は、フロントガラス6の下方部に配置されており、ドライバーDの顔の位置よりも下方に設けられている。車両前方撮影カメラ7は、フロントガラス6の車室2側の内面に固定されている。また、車両前方撮影カメラ7は、ドライバーD側からフロントガラス6越しの自車外の視界を遮る直接視界妨害範囲である死角エリア92を形成する。死角エリア92は、車両前方撮影カメラ7の外形状に応じて形成される所定の立体角を有した錐体状の空間領域である。例えば、死角エリア92は角錐状に形成されており、ドライバーDの顔の位置から車両1の前方下方に向かって延設される。
【0019】
ダッシュボード4の上方部には、ドライバーDの顔を撮影するドライバー撮影カメラ8が設置されている。本実施形態のドライバー撮影カメラ8は、ダッシュボード4のインストルメントパネル42側における上面4aに設けられる。ドライバー撮影カメラ8は、撮影エリア93内に位置するドライバーDの顔を撮影して、ドライバーDの視線方向や瞬き動作を検出し、ドライバーDの運転時の不注意等を監視することができる。ドライバー撮影カメラ8は、ドライバーDの顔の近く(例えば、顔から1m以内)に配置されることで、ドライバーDの顔を良好に認識することができる。
【0020】
ドライバー撮影カメラ8は、車両前方撮影カメラ7によって生じるドライバーDの死角エリア92内に配置される。ドライバー撮影カメラ8の死角エリア92内に配置される構成としては、ドライバー撮影カメラ8の一部(例えば筐体の一部)又は全部が死角エリア92内に配置される構成を含む。本実施形態では、図1の平面視においてドライバー撮影カメラ8の筐体の全部が死角エリア92内に配置されており、図2の側面視においてドライバー撮影カメラ8の上方側の大部分が死角エリア92内に配置されている。なお、ドライバーDの顔は移動する場合があるが、ドライバー撮影カメラ8はドライバーDの顔が移動しても死角エリア92内に位置可能な範囲に設けられる。
【0021】
また、図2に示すように、車両前方撮影カメラ7の死角エリア92の一部には、ダッシュボード4等の車両1の他の構造物が位置する場合がある。本実施形態では、ドライバー撮影カメラ8の一部が車両前方撮影カメラ7の死角エリア92内に位置し、ドライバー撮影カメラ8の他の一部がダッシュボード4による死角エリア(ドライバーD側から見てフロントガラス6の視界エリア91がダッシュボード4により遮られるエリア)内に位置するため、ドライバー撮影カメラ8を配置しない場合と比較してドライバーDの視界エリア91を減少させることなく、ドライバー撮影カメラ8を車両1に配置することができる。
【0022】
また、図1に示すように、車両前方撮影カメラ7は車両1の左右方向の略中央に位置するため、死角エリア92はハンドル52の左側(即ち、運転席31に対する助手席32側)に設けられる。このため、死角エリア92に配置されたドライバー撮影カメラ8と、ドライバーDの顔との間がハンドル52によって遮られることがない。従って、ドライバー撮影カメラ8はドライバーDの顔を良好に撮影することができる。
【0023】
また、本実施形態では、図2に示したように、ドライバー撮影カメラ8がドライバーDの顔の位置よりも下方に設けられる。このため、ドライバー撮影カメラ8は、ドライバーDが斜め下方を向いた場合(例えば、ドライバーDがうつむくような姿勢の状態である場合)においても、ドライバーDの顔を認識して視線方向や瞬き動作を良好に認識することができる。更に、本実施形態では、ドライバー撮影カメラ8をインストルメントパネル42の上方部に配置したため、ドライバーDがインストルメントパネル42を操作した場合においても、ドライバーDの手等によりドライバー撮影カメラ8の撮影エリア93が遮られることを低減することができる。
【0024】
なお、ドライバー撮影カメラ8の筐体の一部が死角エリア92内に配置されて、他の一部がドライバーDから見た視界エリア91内(即ち、死角エリア92外)に位置する場合であっても、既に車両前方撮影カメラ7によって形成された死角エリア92を有効利用して視界エリア91の減少を抑制することができるため、車両前方撮影カメラ7及びドライバー撮影カメラ8の機能を損なうことがなく、ドライバーDの前方視界を十分に確保することができる。
【0025】
以上のように構成された車内カメラの配置構造は、フロントガラス6の下方部に設置され、車両1の前方を撮影する車両前方撮影カメラ7と、ダッシュボード4の上方部に設置され、ドライバーDの顔を撮影するドライバー撮影カメラ8と、を備え、ドライバー撮影カメラ8が、車両前方撮影カメラ7によって生じるドライバーDの死角エリア92内に配置される。このため、本実施形態で説明した車内カメラの配置構造は、夫々のカメラ(車両前方撮影カメラ7及びドライバー撮影カメラ8)の機能を損なうことがなく、さらに、ドライバーDの前方視界を十分確保することが可能となる。
【0026】
以上で本発明に係る車内カメラの配置構造の実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0027】
例えば、本実施形態において、車内カメラの配置構造を所謂バス、トラック、バス等の非ボンネット型の車両1に適用した例について説明したが、車両前方撮影カメラ7によって生じるドライバーDの死角エリア92内にドライバー撮影カメラ8が配置される構成であれば、乗用自動車等のボンネット型の車両に適用してもよい。
【0028】
また、フロントガラス6の下方部に車両前方撮影カメラ7が配置される構成は、車両前方撮影カメラ7が、フロントガラス6の下端位置や、該下端位置よりも上方の一定範囲を含む任意の位置に配置する構成を含むことができる。
【0029】
また、本実施形態の図1及び図2では、ドライバー撮影カメラ8が車両前方撮影カメラ7よりも小さく形成された例について図示したが、ドライバー撮影カメラ8は車両前方撮影カメラ7と同じ又は車両前方撮影カメラ7よりも大きくてもよい。この場合も、車両前方撮影カメラ7によって生じるドライバーDの死角エリア92内にドライバー撮影カメラ8が配置される構成とすることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 車両
2 車室
4 ダッシュボード
4a 上面
6 フロントガラス
7 車両前方撮影カメラ
8 ドライバー撮影カメラ
31 運転席
32 助手席
41 メータベゼル
42 インストルメントパネル
43 フード部
51 ステアリングコラム
52 ハンドル
91 視界エリア
92 死角エリア
93 撮影エリア
D ドライバー
図1
図2