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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019379
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ガス分離用カラムおよびガス分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/60 20060101AFI20230202BHJP
   G01N 30/54 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G01N30/60 D
G01N30/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124051
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】517078873
【氏名又は名称】ボールウェーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 隆光
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】武田 昭信
(72)【発明者】
【氏名】岡野 達広
(72)【発明者】
【氏名】竹田 宣生
(72)【発明者】
【氏名】山中 一司
(57)【要約】
【課題】流路の温度分布を均一に制御可能で、ガス分離性能の低下を防ぐことができるガス分離用カラムおよびガス分析装置を提供する。
【解決手段】分析対象のガスを流す流路26が、所定の平面(鏡映面11a)に対して対称の形状を成すよう、鏡映面11aの一方の側に設けられた第1流路部26bと、鏡映面11aの他方の側に設けられた第2流路部26dとを有している。ガスが、第1流路部26bから第2流路部26dに流れるよう、または、第1流路部26bと第2流路部26dとを往復しながら流れるよう構成されている。流路26を加熱可能に設けられた加熱手段を有し、加熱手段で流路26を加熱したとき、流路26の温度分布が鏡映面11aに対して対称になるよう構成されていることが好ましい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象のガスを流す流路を有し、
前記流路は、所定の平面の両側で対称の形状を成すよう、前記所定の平面の一方の側に設けられた第1流路部と、前記所定の平面の他方の側に設けられた第2流路部とを有し、前記第1流路部および前記第2流路部は、少なくとも一部に、前記ガスが前記所定の平面に対して平行に流れる範囲を有しており、
前記ガスが、前記第1流路部から前記第2流路部に流れるよう、または、前記第1流路部と前記第2流路部とを往復しながら流れるよう構成されていることを
特徴とするガス分離用カラム。
【請求項2】
前記第1流路部および前記第2流路部は、位置および形状が、前記所定の平面に対して対称になるよう設けられていることを特徴とする請求項1記載のガス分離用カラム。
【請求項3】
前記流路を加熱可能に設けられた加熱手段を有し、
前記加熱手段で前記流路を加熱したとき、前記流路の温度分布が前記所定の平面に対して対称になるよう構成されていることを
特徴とする請求項1または2記載のガス分離用カラム。
【請求項4】
平板状の中央プレートと、
前記中央プレートをその厚み方向で挟むよう設けられた、平板状の1対の表面プレートとを有し、
前記所定の平面は、前記中央プレートの厚み方向の中心面から成り、
前記第1流路部および前記第2流路部はそれぞれ、
(1)前記中央プレートの各表面に形成された溝から成る、または、
(2)各表面プレートの前記中央プレート側の表面に形成された溝から成る、または、
(3)前記中央プレートの一方の表面およびその表面に対向する一方の表面プレートの表面の双方に形成された溝、ならびに、前記中央プレートの他方の表面およびその表面に対向する他方の表面プレートの表面の双方に形成された溝から成る
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス分離用カラム。
【請求項5】
螺旋形状に巻かれた金属製の管から成り、
前記流路は、前記管の内部から成り、
前記所定の平面は、前記螺旋形状の中心線を含む平面から成ることを
特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス分離用カラム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガス分離用カラムを有し、前記流路を流れるガスを分析可能に設けられていることを特徴とするガス分析装置
【請求項7】
配管接続治具と、前記ガスを分析するためのセンサとを有し、
前記ガス分離用カラムは、請求項4記載のガス分離用カラムから成り、前記ガスを前記流路に導入可能に、前記第1流路部に連通するよう前記一方の表面プレートに設けられた導入口と、前記流路を流れた前記ガスを排出可能に、前記第2流路部に連通するよう前記他方の表面プレートの、前記中央プレートを挟んで前記導入口と同じ位置に設けられた排出口とを有し、
前記配管接続治具は、前記導入口および前記排出口を覆うよう、前記ガス分離用カラムを挟んで固定可能に設けられており、前記ガス分離用カラムを挟んで固定したとき、前記導入口および前記排出口に対応する位置にそれぞれ設けられた1対の継手挿入穴と、各継手挿入穴に挿入して、それぞれ前記導入口および前記排出口に接続可能に設けられた1対の配管継手とを有し、前記導入口に接続された配管継手が、前記ガスを導入するための配管に接続され、前記排出口に接続された配管継手が、前記センサに伸びる配管に接続されていることを
特徴とする請求項6記載のガス分析装置。
【請求項8】
2つの連結部材と、前記ガスを分析するための2つのセンサとを有し、
前記ガス分離用カラムは、2つから成り、前記ガスを前記流路に導入可能に前記第1流路部に連通するよう設けられた導入口と、前記流路を流れた前記ガスを排出可能に前記第2流路部に連通するよう設けられた排出口とを有し、
各連結部材は、一方の表面に各ガス分離用カラムの前記排出口に接続可能に設けられた第1開口と、第2開口と、第3開口と、他方の表面に各ガス分離用カラムの前記導入口に接続可能に設けられた第4開口と、前記第1開口と前記第2開口とに連通するよう設けられた第1連通孔と、前記第3開口と前記第4開口とに連通するよう設けられた第2連通孔とを有し、
一方のガス分離用カラムの前記導入口が前記ガスを導入するための配管に接続され、前記一方のガス分離用カラムの前記排出口が一方の連結部材の前記第1開口に接続され、前記一方の連結部材の前記第2開口が一方のセンサに伸びる配管に接続され、前記一方の連結部材の前記第3開口が前記一方のセンサから戻る配管に接続され、他方のガス分離用カラムの前記導入口が前記一方の連結部材の前記第4開口に接続され、前記他方のガス分離用カラムの前記排出口が他方の連結部材の前記第1開口に接続され、前記他方の連結部材の前記第2開口が他方のセンサに伸びる配管に接続されていることを
特徴とする請求項6記載のガス分析装置。
【請求項9】
筐体と冷却ファンと温度センサとを有し、
前記ガス分離用カラムは、前記流路を加熱可能に設けられた加熱手段を有し、
前記筐体は、内部に前記ガス分離用カラムを収納可能に設けられ、
前記冷却ファンは、前記ガス分離用カラムを収納した前記筐体の内部に外気を導入して、前記ガス分離用カラムを冷却可能に設けられ、
前記温度センサは、前記ガス分離用カラムの温度を測定可能に設けられ、
前記温度センサにより測定された温度に基づいて、前記加熱手段により前記ガス分離用カラムを加熱したり、前記冷却ファンにより前記ガス分離用カラムを冷却したりすることにより、前記ガス分離用カラムの温度調整を行うよう構成されていることを
特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のガス分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分離用カラムおよびガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業環境中における有害ガスのモニタリングなど、オンサイトで多種類のガスを分析するために、現場に持ち運びできる小型のガス分析装置(ガスクロマトグラフ)が求められている。従来のガス分析装置としては、ガス分離のためにキャピラリーカラムを用いるものが一般的である。このキャピラリーカラムは、長さ数10mのシリカキャピラリーチューブが直径25cm程度のリールに巻かれた構造を有しているが、ガラス製であるため、小型化のために曲率を小さくしようとしても、曲率10cm以下で破損してしまうという問題があった。また、リールに巻かれた立体構造のカラム全体を均一に昇温・冷却するために、対流式のオーブンを用いる必要があり、装置全体が大型になり消費電力も大きいという問題もあった。
【0003】
これらの問題を解決するために、MEMS技術によりシリコン基板に溝を形成し、そのシリコン基板にガラス板を陽極接合して微細流路を形成したシリコンMEMSカラムが開発されている(例えば、非特許文献1参照)。また、シリコンでは強度が低いため、強度を高めるために、エッチングで微細溝を形成した金属板を、別の金属板と拡散接合して流路を形成した金属製のプレート型カラムも開発されている(例えば、非特許文献2または特許文献1参照)。このシリコンMEMSカラムや金属製のプレート型カラムによれば、カラムの小型化を実現するとともに、平面構造であるため、シートヒーター等で効率的に温度制御を行うことができ、省電力化も期待することができる。
【0004】
ガス分析装置では、カラムの流路長が長いほど分離性能が良くなるため、流路長を長くすることが求められている。しかし、非特許文献2および特許文献1に記載の金属製のプレート型カラムでは、シリコン基板と比べて深堀ができないため、流路長を長くするとプレートの面積が大きくなってしまう。そこで、流路長を長くするために、流路溝を形成したプレートを複数積層させることにより、小面積に高密度で流路を形成したものが開発されている(例えば、特許文献2または3参照)。
【0005】
なお、複数のガスが混じり合った複雑な成分を有する混合ガスを分離するために、性質の異なる2つのカラムを用いたガス分析装置が、本発明者等により開発されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M. Nishino et al., “Development of μGC (Micro Gas Chromatography) with High Performance Micromachined Chip Column”, IEEJ Trans, 2009, 4, p.358-364
【非特許文献2】T. Iwaya et al, “Development of High Precision Metal Micro-Electro-Mechanical-Systems Column for Portable Surface Acoustic Wave Gas Chromatograph”, Jpn. J. Appl. Phys., 2012, 51, 07GC24-1-6
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6015122号公報
【特許文献2】特許第5945541号公報
【特許文献3】特開2006-90813号公報
【特許文献4】特許第5522659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2および3に記載の、複数のプレートを積層させたプレート型のカラムでは、図10に示すように、流路断面が上下方向に並進対称に並んだ構造を有しているため、積層した第1層~第3層までの複数のプレートの両側からヒーターで加熱したとき、上下の流路で温度分布に差が生じ、カラムのガス分離性能が低下する可能性があるという課題があった。
【0009】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、流路の温度分布を均一に制御可能で、ガス分離性能の低下を防ぐことができるガス分離用カラムおよびガス分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るガス分離用カラムは、分析対象のガスを流す流路を有し、前記流路は、所定の平面に対して対称の形状を成すよう、前記所定の平面の一方の側に設けられた第1流路部と、前記所定の平面の他方の側に設けられた第2流路部とを有し、前記第1流路部および前記第2流路部は、少なくとも一部に、前記ガスが前記所定の平面に対して平行に流れる範囲を有しており、前記ガスが、前記第1流路部から前記第2流路部に流れるよう、または、前記第1流路部と前記第2流路部とを往復しながら流れるよう構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るガス分離用カラムは、分析対象のガスを流路に流し、流路を流れるガスを成分毎に分離するために使用される。本発明に係るガス分離用カラムは、流路が所定の平面の両側で対称の形状を成すよう、所定の平面の一方の側に設けられた第1流路部と、所定の平面の他方の側に設けられた第2流路部とを有しているため、その所定の平面の両側から均等に加熱することにより、第1流路部と第2流路部とを同じ温度分布にすることができ、流路の温度分布を均一に制御することができる。また、これにより、ガス分離性能の低下を防ぐことができる。
【0012】
本発明に係るガス分離用カラムは、第1流路部および第2流路部が所定の平面の両側に、対称の形状を成すよう設けられているため、小面積で流路長を長くすることができる。このため、小型化することができ、設置スペースを節約可能で、容易に運搬することもできる。本発明に係るガス分離用カラムは、ガラス製であっても、シリコン製であっても、金属製であってもよいが、強度を高めるためには、金属製であることが好ましい。なお、ここでの「所定の平面の両側で対称の形状を成す」とは、所定の平面に対して対称(面対称)である場合だけでなく、面対称の形状のうち、所定の平面の一方の側の形状が、所定の平面に沿ってずれている場合や、それらの形状の所定の平面の一方の側の形状が、所定の平面に向かって左右反転および/または所定の平面に沿って回転している場合も含んでいる。
【0013】
本発明に係るガス分離用カラムで、前記第1流路部および前記第2流路部は、位置および形状が、前記所定の平面に対して対称になるよう設けられていることが好ましい。この場合、第1流路部と第2流路部とを比較的容易に同じ温度分布にすることができる。また、第1流路部および第2流路部が、所定の平面の両側に積層した状態で設けられているため、流路長をより長くすることができる。
【0014】
本発明に係るガス分離用カラムは、平板状の中央プレートと、前記中央プレートをその厚み方向で挟むよう設けられた、平板状の1対の表面プレートとを有し、前記所定の平面は、前記中央プレートの厚み方向の中心面から成り、前記第1流路部および前記第2流路部はそれぞれ、(1)前記中央プレートの各表面に形成された溝から成る、または、(2)各表面プレートの前記中央プレート側の表面に形成された溝から成る、または、(3)前記中央プレートの一方の表面およびその表面に対向する一方の表面プレートの表面の双方に形成された溝、ならびに、前記中央プレートの他方の表面およびその表面に対向する他方の表面プレートの表面の双方に形成された溝から成っていてもよい。この場合、溝が(1)~(3)のいずれの構造であっても、流路が所定の平面に対して対称の形状を成しているため、流路の温度分布を均一に制御することができる。各表面プレートは、互いに所定の平面に対して対称の形状を成していることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るガス分離用カラムは、螺旋形状に巻かれた金属製の管から成り、前記流路は、前記管の内部から成り、前記所定の平面は、前記螺旋形状の中心線を含む平面から成っていてもよい。この場合、所定の平面の両側で、螺旋形状の管の位置が、所定の平面に沿ってずれているが、形状は所定の平面の両側で対称形状を成しているため、流路の温度分布を均一に制御することができる。また、金属製の管から成るため、螺旋形状の直径を数cm程度まで小さくすることができ、容易に小型化することができる。
【0016】
本発明に係るガス分離用カラムは、前記流路を加熱可能に設けられた加熱手段を有し、前記加熱手段で前記流路を加熱したとき、前記流路の温度分布が前記所定の平面に対して対称になるよう構成されていることが好ましい。この場合、加熱手段で流路を加熱することにより、第1流路部と第2流路部とを同じ温度分布にすることができ、流路の温度分布を均一に制御することができる。
【0017】
本発明に係るガス分析装置は、本発明に係るガス分離用カラムを有し、前記流路を流れるガスを分析可能に設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るガス分析装置は、ガス分離用カラムにより、流路を流れる分析対象のガスを時間的に各成分に分離し、分離された各成分を検出して分析することができる。ガス分析装置は、ガス分離用カラムにより、流路の温度分布を均一に制御することができ、ガス分離性能の低下を防ぐことができる。また、ガス分析装置は、ガス分離用カラムを小型化することができるため、装置自体も小型化することができる。これにより、設置スペースを節約可能で、容易に運搬することもできる。
【0019】
本発明に係るガス分析装置は、前記ガス分離用カラムを複数有し、各ガス分離用カラムは、積層されており、それぞれ前記ガスを前記流路に導入可能に前記第1流路部に連通するよう設けられた導入口と、前記流路を流れた前記ガスを排出可能に前記第2流路部に連通するよう設けられた排出口とを有し、隣り合うガス分離用カラムの前記排出口と前記導入口とが、Oリングなどで封止して接続されていてもよい。この場合、流路長をさらに長くすることができる。
【0020】
本発明に係るガス分析装置は、配管接続治具と、前記ガスを分析するためのセンサとを有し、前記ガス分離用カラムは、中央プレートと各表面プレートとを有するガス分離用カラムから成り、前記ガスを前記流路に導入可能に、前記第1流路部に連通するよう前記一方の表面プレートに設けられた導入口と、前記流路を流れた前記ガスを排出可能に、前記第2流路部に連通するよう前記他方の表面プレートの、前記中央プレートを挟んで前記導入口と同じ位置に設けられた排出口とを有し、前記配管接続治具は、前記導入口および前記排出口を覆うよう、前記ガス分離用カラムを挟んで固定可能に設けられており、前記ガス分離用カラムを挟んで固定したとき、前記導入口および前記排出口に対応する位置にそれぞれ設けられた1対の継手挿入穴と、各継手挿入穴に挿入して、それぞれ前記導入口および前記排出口に接続可能に設けられた1対の配管継手とを有し、前記導入口に接続された配管継手が、前記ガスを導入するための配管に接続され、前記排出口に接続された配管継手が、前記センサに伸びる配管に接続されていてもよい。この場合、配管接続治具により、ボンベやバルブ、センサなどの配管に、ガス分離用カラムの流路を容易に接続することができる。
【0021】
また、本発明に係るガス分析装置は、2つの連結部材と、前記ガスを分析するための2つのセンサとを有し、前記ガス分離用カラムは、2つから成り、前記ガスを前記流路に導入可能に前記第1流路部に連通するよう設けられた導入口と、前記流路を流れた前記ガスを排出可能に前記第2流路部に連通するよう設けられた排出口とを有し、各連結部材は、一方の表面に各ガス分離用カラムの前記排出口に接続可能に設けられた第1開口と、第2開口と、第3開口と、他方の表面に各ガス分離用カラムの前記導入口に接続可能に設けられた第4開口と、前記第1開口と前記第2開口とに連通するよう設けられた第1連通孔と、前記第3開口と前記第4開口とに連通するよう設けられた第2連通孔とを有し、一方のガス分離用カラムの前記導入口が前記ガスを導入するための配管に接続され、前記一方のガス分離用カラムの前記排出口が一方の連結部材の前記第1開口に接続され、前記一方の連結部材の前記第2開口が一方のセンサに伸びる配管に接続され、前記一方の連結部材の前記第3開口が前記一方のセンサから戻る配管に接続され、他方のガス分離用カラムの前記導入口が前記一方の連結部材の前記第4開口に接続され、前記他方のガス分離用カラムの前記排出口が他方の連結部材の前記第1開口に接続され、前記他方の連結部材の前記第2開口が他方のセンサに伸びる配管に接続されていてもよい。この場合、2つのガス分離用カラムおよび2つのセンサを用いて、複雑な成分を有する混合ガスを分析することができる。また、各連結部材を用いることにより、2つのガス分離用カラムをコンパクトに配置することができ、装置自体を小型化することができる。
【0022】
本発明に係るガス分析装置は、筐体と冷却ファンと温度センサとを有し、前記ガス分離用カラムは、前記流路を加熱可能に設けられた加熱手段を有し、前記筐体は、内部に前記ガス分離用カラムを収納可能に設けられ、前記冷却ファンは、前記ガス分離用カラムを収納した前記筐体の内部に外気を導入して、前記ガス分離用カラムを冷却可能に設けられ、前記温度センサは、前記ガス分離用カラムの温度を測定可能に設けられ、前記温度センサにより測定された温度に基づいて、前記加熱手段により前記ガス分離用カラムを加熱したり、前記冷却ファンにより前記ガス分離用カラムを冷却したりすることにより、前記ガス分離用カラムの温度調整を行うよう構成されていてもよい。この場合、冷却ファンにより、ガス分離用カラムを速やかに冷却することができ、次の分析を素早く行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、流路の温度分布を均一に制御可能で、ガス分離性能の低下を防ぐことができるガス分離用カラムおよびガス分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態のガス分析装置を示す全体構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態のガス分離用カラムを示す、(a)流路を透視した平面図、(b)縦断面図、(c)斜視図、(d)加熱時の温度分布を示す断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態のガス分析装置の、配管接続治具を示す分解斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態のガス分析装置の、カラム温調ユニットを示す(a)断面図、(b)ガス分離用カラム等の一部を拡大した断面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態のガス分離用カラムの、(a)第1の変形例、(b)第2の変形例を示す断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態のガス分離用カラムの、螺旋形状に巻かれた金属製の管から成る第3の変形例を示す(a)斜視図、(b)カラム温調ユニットに収納された状態の断面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態のガス分析装置を示す全体構成図である。
図8】本発明の第2の実施の形態のガス分析装置の、連結部材を示す(a)平面図、(b)横断面図である。
図9】本発明の第2の実施の形態のガス分析装置の、連結部材を用いて2つのガス分離用カラムを連結した状態を示す(a)斜視図、(b)断面図である。
図10】従来の複数のプレートを積層させたプレート型のカラムを示す、加熱時の温度分布を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図6は、本発明の第1の実施の形態のガス分離用カラムおよびガス分析装置を示している。
図1乃至図6に示すように、ガス分析装置10は、ガス分離用カラム11と配管接続治具12とカラム温調ユニット13とセンサ14とを有している。
【0026】
ガス分離用カラム11は、分析対象のガスを、時間的に各成分に分離するよう構成されている。図2に示すように、ガス分離用カラム11は、金属製で平板状の中央プレート21と、中央プレート21をその厚み方向で挟むよう設けられた、金属製で平板状の1対の表面プレート22、23とを有している。中央プレート21と各表面プレート22、23は、同じ平面形状を成しており、各表面プレート22、23は、同じ厚みを有している。ガス分離用カラム11は、矩形状の本体部24と、本体部24の一方の長辺の中央部から側方に矩形状に突出した突出部25とを有している。
【0027】
ガス分離用カラム11は、分析対象のガスを流す流路26を有している。流路26は、導入口26aと第1流路部26bと貫通孔26cと第2流路部26dと排出口26eとを有している。導入口26aは、ガスを導入可能に、一方の表面プレート22の突出部25の中央に、一方の表面プレート22の厚みを貫通して設けられている。第1流路部26bは、中央プレート21の一方の表面プレート22側の表面に形成された溝から成っている。第1流路部26bは、一端が導入口26aに連通し、突出部25から本体部24に伸びて、本体部24で蛇行するよう設けられている。貫通孔26cは、第1流路部26bの他端に連通するよう、中央プレート21の厚みを貫通して設けられている。
【0028】
第2流路部26dは、中央プレート21の他方の表面プレート23側の表面に形成された溝から成っている。第2流路部26dは、中央プレート21の厚み方向の中心面(以下、「鏡映面11a」と呼ぶ)に対して、第1流路部26bと対称になるよう設けられている。すなわち、第2流路部26dは、一端が貫通孔26cに連通し、本体部24で蛇行した後、突出部25に伸びるよう設けられている。排出口26eは、他方の表面プレート23の突出部25の中央の、中央プレート21を挟んで導入口26aと同じ位置に、他方の表面プレート23の厚みを貫通して設けられている。排出口26eは、第2流路部26dの他端に連通するよう設けられている。
【0029】
流路26は、第1流路部26bと第2流路部26d、導入口26aと排出口26e、および貫通孔26cの、それぞれの位置および形状が、鏡映面11aに対して対称を成している。流路26は、導入口26aから導入されたガスが、第1流路部26b、貫通孔26c、および第2流路部26dを流れて、排出口26eから排出されるよう構成されている。また、流路26は、導入口26aから排出口26eまでがほぼ同じ断面積を有している。また、流路26は、第1流路部26bおよび第2流路部26dが、鏡映面11aに対して平行に設けられている。
【0030】
また、ガス分離用カラム11は、突出部25の4つの隅に、それぞれ厚みを貫通して設けられた治具取付穴27およびアライメント用穴28を有している。アライメント用穴28は、アライメント精度を保ちながらアライメントピンを通しやすくするために、2つの穴がピン径とのクリアランスが極小となる大きさを有する丸穴を成し、他の2つの穴が回転止め用の長穴を成している。また、ガス分離用カラム11は、突出部25とは反対側の本体部24の長辺、および本体部24の1対の短辺の縁部に、温度測定のための熱電対などを設置可能に設けられた複数の凹部29を有している。
【0031】
ガス分離用カラム11は、導入口26a、第1流路部26b、貫通孔26c、第2流路部26d、および排出口26eがウェットエッチングにより形成されている。また、複数の凹部29がハーフエッチングにより形成されている。エッチングは、形状の自由度が高いため、ガスの流れをよりスムーズにするよう、貫通孔26cを楕円形状にして、第1流路部26bおよび第2流路部26dとの接続部分における断面形状の変化を小さくすることが可能である。なお、図2に示す具体的な一例では、ガス分離用カラム11は、本体部24の表面積が71×43 mm、厚さが0.9 mmであり、流路26の総延長が10 mである。
【0032】
図3に示すように、配管接続治具12は、1対の治具本体31と2本のアライメントピン32と4本の固定ねじ33と1対の配管継手34とを有している。各治具本体31は、ガス分離用カラム11の突出部25に対応した大きさを有し、各治具取付穴27および各アライメント用穴28に対応する位置に、それぞれ4つの固定用穴35および4つのピン挿入穴36を有している。また、各治具本体31は、それぞれ導入口26aおよび排出口26eに対応する位置に、継手挿入穴37を有している。各固定用穴35および継手挿入穴37は、各治具本体31の厚みを貫通して設けられ、各ピン挿入穴36は、各治具本体31の一方の表面側にのみ設けられている。各アライメントピン32、各固定ねじ33、および各配管継手34は、市販のものであってもよい。
【0033】
配管接続治具12は、各治具本体31でガス分離用カラム11の突出部25を挟み、1本のアライメントピン32を各アライメント用穴28のうちの丸穴および、対向する1対のピン挿入穴36に挿入し、もう1本のアライメントピン32を各アライメント用穴28のうちの長穴および、対向する1対のピン挿入穴36に挿入して取付位置を調節した後、4本の固定ねじ33を各治具取付穴27および各固定用穴35に挿入して固定するよう構成されている。このとき、各治具本体31とガス分離用カラム11との間にOリングやパッキン等を挟んで、外部から封止可能になっている。固定後、各配管継手34を各継手挿入穴37に挿入することにより、各配管継手34を介して、ボンベやバルブ、センサ14などの配管に、ガス分離用カラム11の流路26を接続可能に構成されている。図1に示す具体的な一例では、ガス分離用カラム11の導入口26aに接続された配管継手34には、バルブ15に接続された配管16がガス注入部11bを介して接続され、その配管16を流れてきたガスを流路26に導入可能になっている。また、ガス分離用カラム11の排出口26eに接続された配管継手34には、センサ14に伸びる配管17が接続されている。
【0034】
図4に示すように、カラム温調ユニット13は、筐体41と断熱材42と冷却ファン43と熱伝導材44とシートヒーター45と放熱板46と温度センサ47とを有している。筐体41は、外形が直方体形状の箱から成り、内部にガス分離用カラム11を収納するための収納室41aを有している。断熱材42は、筐体41の内壁を覆うよう設けられている。冷却ファン43は、1対から成り、収納室41aに外気を導入可能かつ、収納室41aの内部の空気を排出可能に、筐体41の1対の対向面にそれぞれ設けられている。熱伝導材44は、1対から成り、シリコングリスや熱伝導パットなどから成っている。各熱伝導材44は、ガス分離用カラム11を熱的に均一にするために、ガス分離用カラム11の両面にそれぞれ設けられている。シートヒーター45は、1対から成り、ガス分離用カラム11の流路26を加熱可能に、各熱伝導材44の表面にそれぞれ貼り付けられている。放熱板46は、1対から成り、冷却時の放熱効率を上げるとともに、各シートヒーター45が丸まって剥がれるのを防ぐよう、各シートヒーター45の表面にそれぞれ貼り付けられている。温度センサ47は、サーミスタや熱電対などから成り、ガス分離用カラム11の各凹部29に取り付けられている。
【0035】
カラム温調ユニット13は、収納室41aに、各熱伝導材44と各シートヒーター45と各放熱板46とを積層させたガス分離用カラム11を収納し、温度センサ47により測定された温度に基づいて、各シートヒーター45によりガス分離用カラム11を加熱したり、各冷却ファン43および各放熱板46によりガス分離用カラム11を空冷で冷却したりすることにより、ガス分離用カラム11の温度調整を行うよう構成されている。また、カラム温調ユニット13は、ガス分離用カラム11を各シートヒーター45で加熱したとき、流路26の温度分布が鏡映面11aに対して対称になるよう構成されている。カラム温調ユニット13は、例えば、ガス分離用カラム11が金属製であるため、各冷却ファン43により数分で、200℃程度から室温までに冷却可能である。これにより、次の分析を素早く行うことができる。カラム温調ユニット13は、さらに冷却速度を速めるために、各放熱板46にフィンが設けられていてもよい。
【0036】
図1に示すように、センサ14は、配管17を介して、ガス分離用カラム11の排出口26eに接続された配管継手34に接続されている。センサ14は、ガス分離用カラム11により時間的に分離されたガスの各成分を、検出可能に構成されている。センサ14は、ガスの成分を検出可能なものであれば、いかなるものであってもよい。図1に示す具体的な一例では、センサ14は、非特許文献2に記載のボールSAWセンサ(Ball SAW sensor)から成っている。
【0037】
次に、作用について説明する。
ガス分析装置10は、ガス分離用カラム11により、流路26を流れる分析対象のガスを時間的に各成分に分離し、センサ14により、分離された各成分を検出して分析することができる。ガス分析装置10で、ガス分離用カラム11は、図2(d)に示すように、流路26が鏡映面11aに対して対称の位置および形状を成すよう、鏡映面11aの一方の側に設けられた第1流路部26bと、鏡映面11aの他方の側に設けられた第2流路部26dとを有しているため、鏡映面11aの両側から各シートヒーター45で均等に加熱することにより、第1流路部26bと第2流路部26dとを同じ温度分布にすることができ、流路26の温度分布を均一に制御することができる。また、これにより、ガス分離性能の低下を防ぐことができる。
【0038】
ガス分離用カラム11は、第1流路部26bおよび第2流路部26dが鏡映面11aの両側に、積層した状態で対称の形状を成すよう設けられているため、小面積で流路長を長くすることができる。このため、ガス分析装置10は、ガス分離用カラム11を小型化することができ、装置自体も小型化することができる。これにより、設置スペースを節約可能で、容易に運搬することもできる。
【0039】
なお、図5(a)に示すように、ガス分離用カラム11の第1流路部26bおよび第2流路部26dはそれぞれ、各表面プレート22、23の中央プレート21の側の表面に形成された溝から成っていてもよい。この場合、中央プレート21を薄くすることができる。また、図5(b)に示すように、第1流路部26bおよび第2流路部26dはそれぞれ、中央プレート21の一方の表面およびその表面に対向する一方の表面プレート22の表面の双方に形成された溝、ならびに、中央プレート21の他方の表面およびその表面に対向する他方の表面プレート23の表面の双方に形成された溝から成っていてもよい。この場合、流路26の断面を円形や、楕円などの円形に近い形状に形成することができるため、第1流路部26bおよび第2流路部26dと、それらに接続する導入口26aや排出口26e、それらに接続された配管16、17、貫通孔26cとの間の断面形状の変化を小さくすることができる。図5(a)および(b)のどちらの構造も、流路26が鏡映面11aに対して対称の形状を成しているため、流路26の温度分布を均一に制御することができる。
【0040】
また、ガス分析装置10は、積層された複数のガス分離用カラム11を有し、隣り合うガス分離用カラム11の排出口26eと導入口26aとが、Oリングなどで封止して接続されていてもよい。この場合、流路長を長くすることができる。また、各ガス分離用カラム11の排出口26eと導入口26aとが、表裏両面の同じ位置に設けられているため、各ガス分離用カラム11を容易に接続することができる。
【0041】
また、図6に示すように、ガス分離用カラム11は、螺旋形状に巻かれた金属製の管から成り、流路26は、その管の内部から成り、鏡映面11aは、螺旋形状の中心線を含む平面から成っていてもよい。この場合、ガスが第1流路部26bと第2流路部26dとを往復しながら流れるようになっている。また、配管接続治具12を用いることなく、導入口26aおよび排出口26eを、直接、ボンベやバルブ、センサなどの配管に接続することができる。また、鏡映面11aの両側で、第1流路部26bの管の位置と第2流路部26dの管の位置が、鏡映面11aに沿ってずれているが、形状は鏡映面11aの両側で対称形状を成しているため、周囲から均等に加熱することにより、流路26の温度分布を均一に制御することができる。このとき、螺旋形状の内側は保温されるため、効率的に加熱することができる。また、冷却ファン43を、螺旋形状の内部に送風するように設置することにより、効率的に冷却することができる。また、ガス分離用カラム11は、金属製であり、従来のシリカキャピラリーカラム11に比べて曲げ強度が強いため、螺旋形状の直径を数cm程度まで小さくすることができ、容易に小型化することができる。
【0042】
図7乃至図9は、本発明の第2の実施の形態のガス分析装置を示している。
図7乃至図9に示すように、ガス分析装置50は、特許文献4に示すガス分析装置と同様の構成を有し、2つのガス分離用カラム11と2つの連結部材51と4つの配管接続治具12とカラム温調ユニット13と2つのセンサ14とを有している。なお、以下の説明では、本発明の第1の実施の形態のガス分析装置10と同一の構成には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0043】
図8に示すように、各連結部材51は、薄い板状を成し、一方の表面にガス分離用カラム11の排出口26eに接続可能に設けられた第1開口61と、一方の表面に第1開口61から離れて設けられた第2開口62と、一方の表面に第1開口61および第2開口62から離れて設けられた第3開口63と、他方の表面の第1開口61とは反対側の位置に、ガス分離用カラム11の導入口26aに接続可能に設けられた第4開口64と、一方の表面に沿って第1開口61と第2開口62とに連通するよう設けられた第1連通孔65と、一方の表面に沿って第3開口63と第4開口64とに連通するよう設けられた第2連通孔66とを有している。
【0044】
また、各連結部材51は、3つの配管接続治具12を並べて取付可能に、固定ねじ33を挿入するための12個のネジ用穴67と、アライメントピン32を挿入するための12個のピン用穴68とを有している。各ネジ用穴67および各ピン用穴68は、厚みを貫通して設けられている。また、各連結部材51は、その3つの配管接続治具12を取り付けたとき、各配管接続治具12の配管継手34がそれぞれ第1開口61、第2開口62および第3開口63に接続されるよう設けられている。
【0045】
図9に示すように、ガス分析装置50は、一方のガス分離用カラム11の排出口26eが一方の連結部材51の第1開口61に接続されるよう、一方のガス分離用カラム11の突出部25が一方の連結部材51の一方の表面に配置され、他方のガス分離用カラム11の導入口26aが一方の連結部材51の第4開口64に接続されるよう、他方のガス分離用カラム11の突出部25が一方の連結部材51の他方の表面に配置されている。また、他方のガス分離用カラム11の排出口26eが他方の連結部材51の第1開口61に接続されるよう、他方のガス分離用カラム11の突出部25が他方の連結部材51の一方の表面に配置されている。すなわち、一方の連結部材51が各ガス分離用カラム11の突出部25に挟まれ、他方のガス分離用カラム11の突出部25が各連結部材51に挟まれている。この状態で、一方の連結部材51に、3つの配管接続治具12を並べて取り付ける。また、他方の連結部材51の第2開口62が、残りの1つの配管接続治具12の配管継手34に接続するよう、他方の連結部材51に残りの1つの配管接続治具12を取り付ける。
【0046】
さらに、図7および図9に示すように、一方のガス分離用カラム11の導入口26aに接続された配管継手34には、バルブ15に接続された配管16がガス注入部11bを介して接続され、一方の連結部材51の第2開口62に接続された配管継手34には、一方のセンサ14に伸びる配管17が接続され、一方の連結部材51の第3開口63に接続された配管継手34には、一方のセンサ14から戻る配管18が接続され、他方の連結部材51の第2開口62に接続された配管継手34には、他方のセンサ14に伸びる配管19が接続されている。なお、配管18には、三方バルブ18aが取り付けられている。
【0047】
これにより、ガス分析装置50は、分析するガスが、一方のガス分離用カラム11の導入口26a、流路26、および排出口26eを通り、さらに一方の連結部材51の第1開口61、第1連通孔65、および第2開口62を通って、一方のセンサ14に流れるようになっている。さらに、一方のセンサ14から戻ったガスが、一方の連結部材51の第3開口63、第2連通孔66、および第4開口64を通って、他方のガス分離用カラム11の導入口26a、流路26、および排出口26eを通り、さらに他方の連結部材51の第1開口61、第1連通孔65、および第2開口62を通って、他方のセンサ14に流れるようになっている。このように、ガス分析装置50は、各ガス分離用カラム11により2段階でガスの各成分を分離し、その各段階で各センサ14によりガスの各成分を検出するよう構成されている。
【0048】
ガス分析装置50は、2つのガス分離用カラム11および2つのセンサ14を用いることにより、複雑な成分を有する混合ガスを分析することができる。ガス分析装置50は、連結部材51を用いることにより、2つのガス分離用カラム11を厚さ方向に並べてコンパクトに配置することができ、装置自体を小型化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係るガス分析装置は、作業環境、居住空間、オイルアンドガスなどのガス成分の分析に利用することができ、環境測定装置、ガスクロマトグラフ、呼気分析器として利用することができる。また、本発明に係るガス分析装置は、小型化が可能であるため、可搬型の環境測定装置、ガスクロマトグラフ、呼気分析器として利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 ガス分析装置
11 ガス分離用カラム
11a 鏡映面
11b ガス注入部
21 中央プレート
22、23 表面プレート
24 本体部
25 突出部
26 流路
26a 導入口
26b 第1流路部
26c 貫通孔
26d 第2流路部
26e 排出口
27 治具取付穴
28 アライメント用穴
29 凹部
12 配管接続治具
31 治具本体
32 アライメントピン
33 固定ねじ
34 配管継手
35 固定用穴
36 ピン挿入穴
37 継手挿入穴
13 カラム温調ユニット
41 筐体
41a 収納室
42 断熱材
43 冷却ファン
44 熱伝導材
45 シートヒーター
46 放熱板
47 温度センサ
14 センサ
15 バルブ
16、17 配管

50 ガス分析装置
51 連結部材
61 第1開口
62 第2開口
63 第3開口
64 第4開口
65 第1連通孔
66 第2連通孔
67 ネジ用穴
68 ピン用穴
18、19 配管
18a 三方バルブ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10