(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019477
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】第1種無線装置、第2種無線装置、無線測距システム、通信方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/34 20180101AFI20230202BHJP
G01S 11/02 20100101ALI20230202BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20230202BHJP
G01S 5/14 20060101ALN20230202BHJP
【FI】
H04W76/34
G01S11/02
H04W76/10
G01S5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124226
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】植田 真介
(72)【発明者】
【氏名】神前 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】河地 玄
(72)【発明者】
【氏名】大村 恒介
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 亮太
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062CC11
5K067AA34
5K067BB21
5K067GG21
(57)【要約】
【課題】2つの無線装置間の距離を測定するための無線通信において、トラヒックの増加を抑制する技術を提供する。
【解決手段】通信部102は、無線通信を実行可能である。制御部160は、通信部102とタグ200との接続処理を実行する。測距部140は、制御部160による接続処理により通信部102がタグ200に接続された場合、通信部102とタグ200との無線通信により、タグ200との間の距離を測定する。制御部160は、通信部102とタグ200との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、通信部102とタグ200との接続を解除する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1種無線装置であって、
無線通信を実行可能な通信部と、
前記通信部と第2種無線装置との接続処理を実行する制御部と、
前記制御部による接続処理により前記通信部が第2種無線装置に接続された場合、前記通信部と前記第2種無線装置との無線通信により、前記第2種無線装置との間の距離を測定する測距部とを備え、
前記制御部は、前記通信部と前記第2種無線装置との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、前記通信部と前記第2種無線装置との接続を解除する第1種無線装置。
【請求項2】
前記第1条件は、前記測距部が前記第2種無線装置との間の距離の測定を完了したことを含む請求項1に記載の第1種無線装置。
【請求項3】
前記第1条件は、前記測距部が前記第2種無線装置との間の距離の測定を完了した後、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置の少なくとも1つの状態が第2条件を満たすことを含む請求項1に記載の第1種無線装置。
【請求項4】
前記第2条件は、前記第2種無線装置の状態が移動状態であることを含む請求項3に記載の第1種無線装置。
【請求項5】
前記第2条件は、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置の少なくも1つの同時接続台数がしきい値を超えたことを含む請求項3に記載の第1種無線装置。
【請求項6】
外部システムと通信する外部通信部をさらに備え、
前記第1条件は、前記外部通信部が接続解除の要求を前記外部システムから受信したことを含む請求項1に記載の第1種無線装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2種無線装置から定期的に送信される報知信号の間隔を、前記測距部が距離を測定してからの期間に応じて決定する請求項1に記載の第1種無線装置。
【請求項8】
第1種無線装置と無線通信可能な第2種無線装置であって、
無線通信を実行可能な通信部と、
前記通信部と前記第1種無線装置との接続処理を実行する制御部とを備え、
前記通信部は、前記制御部による接続処理により前記通信部が第1種無線装置に接続された場合、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との間の距離を前記第1種無線装置に測定させるために、前記通信部と前記第1種無線装置との無線通信を実行し、
前記制御部は、前記通信部と前記第1種無線装置との無線通信がなされた後、第3条件を満たすと、前記通信部と前記第1種無線装置との接続を解除する第2種無線装置。
【請求項9】
前記第3条件は、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との間の距離の測定を前記第1種無線装置が完了した後、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置の少なくとも1つの状態が第4条件を満たすことを含む請求項8に記載の第2種無線装置。
【請求項10】
前記第4条件は、前記第2種無線装置の状態が移動状態であることを含む請求項9に記載の第2種無線装置。
【請求項11】
前記第4条件は、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置の少なくも1つの同時接続台数がしきい値を超えたことを含む請求項9に記載の第2種無線装置。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか1項に記載の第1種無線装置と、
請求項8から11のいずれか1項に記載の第2種無線装置と、
を備える無線測距システム。
【請求項13】
無線通信を実行可能な第1種無線装置における通信方法であって、
前記第1種無線装置と第2種無線装置との接続処理を実行するステップと、
接続処理により前記第1種無線装置が第2種無線装置に接続された場合、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との無線通信により、前記第2種無線装置との間の距離を測定するステップと、
前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との接続を解除するステップと、
を備える通信方法。
【請求項14】
第1種無線装置と無線通信を実行可能な第2種無線装置における通信方法であって、
前記第2種無線装置と前記第1種無線装置との接続処理を実行するステップと、
接続処理により前記第2種無線装置が第1種無線装置に接続された場合、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との間の距離を前記第1種無線装置に測定させるために、前記第2種無線装置と前記第1種無線装置との無線通信を実行するステップと、
前記第2種無線装置と前記第1種無線装置との無線通信がなされた後、第3条件を満たすと、前記第2種無線装置と前記第1種無線装置との接続を解除するステップと、
を備える通信方法。
【請求項15】
無線通信を実行可能な第1種無線装置におけるプログラムであって、
前記第1種無線装置と第2種無線装置との接続処理を実行するステップと、
接続処理により前記第1種無線装置が第2種無線装置に接続された場合、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との無線通信により、前記第2種無線装置との間の距離を測定するステップと、
前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との接続を解除するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
第1種無線装置と無線通信を実行可能な第2種無線装置におけるプログラムであって、
前記第2種無線装置と前記第1種無線装置との接続処理を実行するステップと、
接続処理により前記第2種無線装置が第1種無線装置に接続された場合、前記第1種無線装置と前記第2種無線装置との間の距離を前記第1種無線装置に測定させるために、前記第2種無線装置と前記第1種無線装置との無線通信を実行するステップと、
前記第2種無線装置と前記第1種無線装置との無線通信がなされた後、第3条件を満たすと、前記第2種無線装置と前記第1種無線装置との接続を解除するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定技術に関し、特に2つの装置間の距離を測定する第1種無線装置、第2種無線装置、無線測距システム、通信方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの無線装置間の距離を測定するために、2つの無線装置間において無線通信がなされる。例えば、1つ目の無線装置(以下、「第1無線装置」という)から2つ目の無線装置(以下、「第2無線装置」という)にキャリア信号が送信されるとともに、第2無線装置から第1無線装置にもキャリア信号が送信される。第1無線装置における受信結果と、第2無線装置における受信結果とをもとに、第1無線装置と第2無線装置との間の距離が測定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の第1無線装置と、複数の第2無線装置とが含まれると、2つの無線装置間における無線通信のトラヒックが増加する。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、2つの無線装置間の距離を測定するための無線通信において、トラヒックの増加を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の第1種無線装置は、第1種無線装置であって、無線通信を実行可能な通信部と、通信部と第2種無線装置との接続処理を実行する制御部と、制御部による接続処理により通信部が第2種無線装置に接続された場合、通信部と第2種無線装置との無線通信により、第2種無線装置との間の距離を測定する測距部とを備える。制御部は、通信部と第2種無線装置との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、通信部と第2種無線装置との接続を解除する。
【0007】
本開示の別の態様は、第2種無線装置である。この装置は、第1種無線装置と無線通信可能な第2種無線装置であって、無線通信を実行可能な通信部と、通信部と第1種無線装置との接続処理を実行する制御部とを備える。通信部は、制御部による接続処理により通信部が第1種無線装置に接続された場合、第1種無線装置と第2種無線装置との間の距離を第1種無線装置に測定させるために、通信部と第1種無線装置との無線通信を実行し、制御部は、通信部と第1種無線装置との無線通信がなされた後、第3条件を満たすと、通信部と第1種無線装置との接続を解除する。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、通信方法である。この方法は、無線通信を実行可能な第1種無線装置における通信方法であって、第1種無線装置と第2種無線装置との接続処理を実行するステップと、接続処理により第1種無線装置が第2種無線装置に接続された場合、第1種無線装置と第2種無線装置との無線通信により、第2種無線装置との間の距離を測定するステップと、第1種無線装置と第2種無線装置との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、第1種無線装置と第2種無線装置との接続を解除するステップと、を備える。
【0009】
本開示のさらに別の態様もまた、通信方法である。この方法は、第1種無線装置と無線通信を実行可能な第2種無線装置における通信方法であって、第2種無線装置と第1種無線装置との接続処理を実行するステップと、接続処理により第2種無線装置が第1種無線装置に接続された場合、第1種無線装置と第2種無線装置との間の距離を第1種無線装置に測定させるために、第2種無線装置と第1種無線装置との無線通信を実行するステップと、第2種無線装置と第1種無線装置との無線通信がなされた後、第3条件を満たすと、第2種無線装置と第1種無線装置との接続を解除するステップと、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、2つの無線装置間の距離を測定するための無線通信において、トラヒックの増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1に係る無線測距システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2(a)-(b)は、
図1の無線測距システムにおけるスキャナ、タグ、位置推定装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3(a)-(b)は、
図1の無線測距システムにおいて使用される信号のフォーマットを示す図である。
【
図4】
図1の無線測距システムによる通信手順を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5(a)-(b)は、
図1の無線測距システムにおけるタグ、スキャナの別の構成を示す図である。
【
図6】
図6(a)-(b)は、
図2(a)のスキャナあるいは
図5(b)のスキャナによる通信手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)-(b)は、実施例2に係るタグ、スキャナの構成を示す図である。
【
図8】
図8(a)-(b)は、
図2(a)のスキャナあるいは
図7(b)のスキャナによる通信手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。実施例1は、2つの無線装置間の距離を測定する無線測距システムに関する。無線測距システムに含まれる無線装置は、例えばスキャナとタグである。スキャナは、タグに対して測定用信号を送信する。タグは、測定用信号の受信結果(以下、「第1受信データ」という)を生成する。タグは、スキャナに対して測定用信号と第1受信データとを送信する。スキャナは、測定用信号の受信結果(以下、「第2受信データ」という)を生成する。スキャナは、第1受信データと第2受信データとを平均化して受信データを生成し、受信データをもとにMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法により距離を測定する。さらに、無線測距システムには、位置が固定されたスキャナが複数含まれており、各スキャナにおいて測定されたタグとの距離をもとに、タグの位置が推定される。
【0014】
無線測距システムに複数のタグが含まれる場合、1つのスキャナから送信された測定用信号が複数のタグに受信されると、複数のタグのそれぞれは第1受信データをスキャナに送信する。そのため、スキャナは、距離の測定対象でないタグからの第1受信データを送信することもある。無線測距システムに含まれるスキャナとタグの数が増加すると、不要な第1受信データの増加によってトラヒックが増加する。
【0015】
本実施例において、タグは、タグの存在を知らせるための信号(以下、「アドバタイズ」という)を定期的にブロードキャスト送信する。スキャナは、アドバタイズを受信することによってタグの存在を認識する。スキャナは、距離の測定対象となるタグを決定すると、当該タグに対して接続要求を送信することによって、スキャナとタグとの間の接続処理が実行される。これに続いて、スキャナとタグとの間において測定用信号の送信がなされ、スキャナにおいて距離が測定される。距離の測定終了後、スキャナは、タグに対して切断要求を送信することによって、スキャナとタグの間の切断処理が実行される。つまり、スキャナとタグは、距離を測定する際に接続処理と切断処理を実行するので、スキャナとタグとが1対1で無線通信される。スキャナとタグとが1対1で無線通信されることによって、トラヒックの増加が抑制される。
【0016】
本実施例では、さらに処理の条件を満たす場合に、スキャナは、距離の測定終了後もタグに対して切断処理を実行しない。これによって、スキャナとタグとの間の接続処理が実行されずに、スキャナとタグとの間において測定用信号の送信がなされる。その結果、切断処理と接続処理とが省略されることによって、トラヒックの増加が抑制される。
【0017】
ここでは、無線測距システム1000によるタグ200の位置推定の原理を説明してから、無線測距システム1000での処理を説明する。
図1は、無線測距システム1000の構成を示す。無線測距システム1000は、スキャナ100と総称される第1スキャナ100aから第4スキャナ100d、タグ200と総称される第1タグ200a、第2タグ200b、位置推定装置300を含む。無線測距システム1000に含まれるスキャナ100の数は「4」に限定されず、タグ200の数は「2」に限定されない。スキャナ100を第1種無線装置と呼ぶ場合、タグ200は第2種無線装置と呼ばれる。
【0018】
各スキャナ100の位置は固定であり、スキャナ100はタグ200との無線通信機能を有する。例えば、第1スキャナ100aと第1タグ200aとの組合せにおいて無線通信がなされることによって、第1スキャナ100aは、第1スキャナ100aと第1タグ200aとの間の距離(以下、「第1距離」という)を測定する。また、第2スキャナ100bと第1タグ200aとの組合せにおいて無線通信がなされることによって、第2スキャナ100bは、第2スキャナ100bと第1タグ200aとの間の距離(以下、「第2距離」という)を測定する。さらに、第3スキャナ100cと第1タグ200aとの組合せにおいて無線通信がなされることによって、第3スキャナ100cは、第3スキャナ100cと第1タグ200aとの間の距離(以下、「第3距離」という)を測定する。各スキャナ100は、有線または無線により位置推定装置300と通信可能であり、測定した距離の情報を位置推定装置300に送信する。
【0019】
位置推定装置300は、各スキャナ100から距離の情報を受信する。また、位置推定装置300は、各スキャナ100が固定された位置情報を記憶する。位置情報は、例えば緯度と経度により示される。位置推定装置300は、第1距離、第2距離、第3距離と、第1スキャナ100aから第3スキャナ100cのそれぞれの位置情報とをもとに、三点測位を実行することによって第1タグ200aの位置を推定する。第2タグ200bに対しても同様の処理が実行される。
【0020】
図2(a)-(b)は、無線測距システム1000におけるスキャナ100、タグ200、位置推定装置300の構成を示す。
図2(a)は、スキャナ100、タグ200の構成を示す。スキャナ100は、通信部102、導出部130、測距部140、外部通信部150、制御部160を含み、通信部102は、送信部110、受信部120を含む。タグ200は、通信部202、導出部230を含み、通信部202は、送信部210、受信部220を含む。スキャナ100は距離を測定する処理を実行する装置であり、タグ200は距離の測定対象となる装置である。
【0021】
スキャナ100の送信部110は、タグ200における受信環境の測定に使用すべき第1測定用信号と、第1測定用信号の送信タイミングが示されるトリガ信号とをタグ200に送信する。
図3(a)-(b)は、無線測距システム1000において使用される信号のフォーマットを示す。
図3(a)は、送信部110から送信される信号のフォーマットを示す。信号の先頭にはトリガ信号が配置される。トリガ信号は予め定められたパターンを有し、これに続いて第1測定用信号が配置されることを示す。第1測定用信号では、互いに異なる複数の周波数「f
1」、「f
2」、・・・、「f
K」の無変調波が時分割多重されている。無変調波の周波数間隔は等間隔である。第1測定用信号では、「f
1」、「f
2」、・・・、「f
n-1」、「f
n+1」、・・・、「f
K」のように、特定の周波数「f
n」がはじめから欠落されてもよい。
図3(b)は後述するので、
図2に戻る。
【0022】
タグ200の受信部220は、トリガ信号と第1測定用信号とをスキャナ100から受信する。受信部220は送信部110と非同期で動作する。受信部220は、トリガ信号を受信することによって、第1測定用信号の受信を認識する。導出部230は、受信部220において受信した第1測定用信号に含まれる複数の周波数の無変調波のそれぞれに対して受信結果を導出する。各受信結果は、受信部220における直交検波の結果であり、かつ同相成分と直交成分とを含む複素データである。複数の周波数のそれぞれに対する受信結果の組合せが、前述の第1受信データに相当する。第1受信データは、トリガ信号が示す送信タイミングにおいてタグ200が第1測定用信号をもとに測定した受信環境を示す。
【0023】
送信部210は、導出部230において導出した第1受信データと、スキャナ100における受信環境の測定に使用すべき第2測定用信号とをスキャナ100に送信する。
図3(b)は、送信部210から送信される信号のフォーマットを示す。信号の先頭には第1受信データが配置される。第1受信データに続いて第2測定用信号が配置される。第2測定用信号では、互いに異なる複数の周波数「f
1」、「f
2」、・・・、「f
K」の無変調波が時分割多重されている。無変調波の周波数間隔は等間隔である。
図2に戻る。
【0024】
スキャナ100の受信部120は、第1受信データと第2測定用信号とをタグ200から受信する。受信部120は送信部210と非同期で動作する。受信部120は、第1受信データを測距部140に出力する。導出部130は、受信部220において受信した第2測定用信号に含まれる複数の周波数の無変調波のそれぞれに対して受信結果を導出する。各受信結果は、受信部120における直交検波の結果であり、かつ同相成分と直交成分とを含む複素データである。複数の周波数のそれぞれに対する受信結果の組合せが、前述の第2受信データに相当する。第2受信データは、スキャナ100が第2測定用信号をもとに測定した受信環境を示す。導出部130は、第2受信データを測距部140に出力する。
【0025】
測距部140は、導出部において導出した第2受信データと、受信部において受信した第1受信データを受けつける。第1受信データと第2受信データは、前述のごとく、複数の周波数のそれぞれに対応した成分を含み、かつ複素データである。測距部140は、第1受信データと第2受信データとを成分毎に対応づけてから成分毎に平均を計算することによって、第1受信データと第2受信データをもとに受信データを生成する。そのため、受信データも、複数の周波数のそれぞれに対応した成分を有する。前述のごとく、送信部110と受信部220は同期せず、受信部120と送信部210は同期しないので、スキャナ100とタグ200は非同期で動作する。そのため、第1受信データと第2受信データのそれぞれには同期のずれの成分が含まれており、第1受信データと第2受信データは、距離に応じた位相情報を示さない。しかしながら、第1受信データには、スキャナ100に対するタグ200の同期のずれの成分が含まれ、第2受信データには、タグ200に対するスキャナ100の同期のずれの成分が含まれる。第1受信データと第2受信データとを平均化することによって、同期のずれが相殺されるので、距離に応じた位相情報が得られる。
【0026】
測距部140は、受信データをもとに、MUSIC法により、タグ200との間の距離を測定する。受信データに含まれる成分の数をKとすると、時刻tでの受信データX(t)は、次のように示される。
【数1】
x
1(t)、x
2(t)等は、受信データX(t)に含まれる各成分であり、例えば、x
1(t)は周波数f
1に対応した成分を示す。周波数f
1に対応した成分は、同相成分の状態を示すI
1(t)と、直交成分の状態を示すQ
1(t)とを使用すると、次のように示される。
【数2】
ここで、Aは、無変調波の振幅を示す。また、周波数f
iに対応した成分は、同相成分の状態を示すI
i(t)と、直交成分の状態を示すQ
i(t)とを使用すると、次のように示される。
【数3】
【0027】
受信データの相関行列R
xxは、次のように示される。
【数4】
Hは複素共役転置、E[]は時間平均を示す。相関行列R
xxに対する固有値展開は、次のように示される。
【数5】
ここで、e
iは相関行列R
xxの固有ベクトルを示し、λ
iは固有値を示し、σ
2は雑音電力を示す。
【0028】
距離推定で使用されるモードベクトルa(r
i)は次のように示される。
【数6】
Tは転置を示す。これらより以下の関係が成り立つ。
【数7】
【0029】
そのため、MUSIC評価関数P
MUSICは次のように示される。
【数8】
式(8)において、rを変化させると、MUSIC評価関数P
MUSICの値も変化する。MUSIC評価関数P
MUSICのピークを検出し、当該ピークに対応するrの値が、測定すべき距離rに相当する。
【0030】
外部通信部150は、有線または無線により
図1の位置推定装置300と接続されており、位置推定装置300と通信可能である。外部通信部150は、測距部140において測定した距離の情報を位置推定装置300に送信する。その際、本スキャナ100を識別するための識別情報(以下、「スキャナID」という)と、距離を測定したタグ200を識別するための識別情報(以下、「タグID」という)も送信される。制御部160は、スキャナ100の動作を制御し、制御部260は、タグ200の動作を制御する。
【0031】
図2(b)は、位置推定装置300の構成を示す。位置推定装置300は、距離記憶部310、位置推定部320を含む。距離記憶部310は、各スキャナ100と通信することによって、各スキャナ100から距離の情報を受信する。距離記憶部310は、スキャナID、タグID、距離を対応づけながら記憶する。また、距離記憶部310は、各スキャナ100のスキャナIDと、スキャナ100が固定された位置情報とを対応づけながら記憶する。
【0032】
位置推定部320は、距離記憶部310から、スキャナID、タグID、距離の組合せであって、推定対象の1つのタグIDが含まれた組合せを3つ以上、例えば3つ抽出する。また、位置推定部320は、抽出した組合せに含まれたスキャナIDの位置情報を距離記憶部310から抽出する。さらに、位置推定部320は、抽出した組合せに含まれた距離と、抽出した位置情報をもとに、三点測位を実行する。三点測位の結果が、推定対象のタグ200の位置である。
【0033】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0034】
本実施例では、
図1、
図2(a)-(b)に示される無線測距システム1000において、スキャナ100とタグ200との間の接続処理、切断処理が追加される。
図4は、無線測距システム1000による通信手順を示すシーケンス図である。タグ200は、アドバタイズを定期的にブロードキャスト送信する(S10)。スキャナ100は、アドバタイズを受信するとスキャナ100との距離の測定を決定し、接続要求をタグ200に送信する(S12)。このようにスキャナ100とタグ200との間の接続処理が実行される。スキャナ100は、第1測定用信号をタグ200に送信する(S14)。タグ200は、第1測定用信号の受信結果をスキャナ100に送信する(S16)。タグ200は、第2測定用信号をスキャナ100に送信する(S18)。スキャナ100は、受信した第2測定用信号と受信結果とをもとにタグ200との間の距離を測定し、切断要求をタグ200に送信する(S20)。このようにスキャナ100とタグ200との間の切断処理が実行される。
【0035】
図5(a)-(b)は、無線測距システム1000におけるタグ200、スキャナ100の別の構成を示す。
図5(a)はタグ200の構成を示し、タグ200では、
図2(a)の構成に移動検知部270が追加される。また、
図5(a)のタグ200は、例えば
図2(a)のスキャナ100と通信する。タグ200の送信部210は、制御部260からの指示によりアドバタイズを定期的にブロードキャスト送信する。アドバタイズにはタグIDが含まれる。
【0036】
スキャナ100の受信部120は、タグ200からのアドバタイズを定期的に受信する。制御部160は、受信部120において受信したアドバタイズをもとに、アドバタイズに含まれたタグIDのタグ200との距離の測定を決定する。制御部160は、送信部110に対して、タグ200との接続処理の実行を指示する。送信部110は、制御部160からの指示により接続要求を送信する。接続要求にはスキャナIDが含まれるとともに、接続要求の宛先はタグIDのタグ200に設定される。
【0037】
タグ200の受信部220は、スキャナ100からの接続要求を受信する。制御部260は、受信部220において受信した接続要求をもとに、通信部202とスキャナ100との接続処理を実行する。このような処理の結果、スキャナ100とタグ200とが接続される。スキャナ100とタグ200とが接続されると、前述のごとく、通信部102と通信部202との間において無線通信が実行され、測距部140は、スキャナ100とタグ200との間の距離を測定する。
【0038】
また、タグ200の移動検知部270は、タグ200の移動を検知するためのセンサであり、例えば加速度センサである。移動検知部270は、移動を検知した場合に、移動の検知を送信部210に通知する。送信部210は、移動検知部270において移動が検知された場合に、移動を示す移動情報をスキャナ100に送信する。タグ200が移動情報を送信した場合、スキャナ100の受信部120は、移動情報を受信する。受信部120は、移動情報を受信した場合、移動情報を制御部160に出力する。
【0039】
制御部160は、通信部202とスキャナ100との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、タグ200とスキャナ100との接続解除を決定する。第1条件は、測距部140がタグ200との間の距離の測定を完了した後、スキャナ100とタグ200の少なくとも1つの状態が第2条件を満たすことであり、第2条件は、例えば、タグ200の状態が移動状態であることである。タグ200の状態が移動状態であることとは、制御部160が移動情報を受けつけていることに相当する。つまり、制御部160は、測距部140が距離の測定を完了し、かつタグ200からの移動情報を受けつけている場合に、接続解除を決定する。制御部160は、送信部110に対して、タグ200との切断処理の実行を指示する。送信部110は、制御部160からの指示により切断要求を送信する。
【0040】
タグ200の受信部220は、スキャナ100からの切断要求を受信する。制御部260は、受信部220において受信した切断要求をもとに、通信部202とスキャナ100との切断処理を実行する。このような処理の結果、スキャナ100とタグ200との接続が切断される。つまり、制御部260は、通信部202とスキャナ100との無線通信がなされた後、第3条件を満たすと、通信部202とスキャナ100との接続を解除する。第3条件は、スキャナ100とタグ200との間の距離の測定をスキャナ100が完了した後、スキャナ100とタグ200の少なくとも1つの状態が第4条件を満たすことであり、第4条件は、例えば、タグ200の状態が移動状態であることである。第3条件は第1条件に対応し、第4条件は第2条件に対応する。
【0041】
一方、スキャナ100の制御部160は、第1条件または第2条件を満たさない場合、タグ200とスキャナ100との接続を継続させる。この場合、通信部102と通信部202との間において無線通信が実行され、測距部140は、スキャナ100とタグ200との間の距離を測定する。タグ200の制御部260は、第3条件または第4条件を満たさない場合にタグ200とスキャナ100との接続を継続させる。
【0042】
タグ200の移動は移動検知部270において検知されているが、それに限定されない。
図5(b)はスキャナ100の構成を示し、スキャナ100では、
図2(a)の構成に移動判定部170が追加される。また、
図5(b)のスキャナ100は、例えば
図2(a)のタグ200と通信する。移動判定部170は、タグ200の距離の履歴を観測し、距離の変動がしきい値よりも大きくなった場合に、タグ200の移動を検知する。制御部160は、移動判定部170においてタグ200の移動が検知された場合に、第2条件を満たしたと判定する。
【0043】
さらに、第2条件および第4条件は、タグ200の状態が移動状態であることに限定されない。第2条件および第4条件は、スキャナ100とタグ200の少なくも1つの同時接続台数がしきい値を超えたことであってもよい。スキャナ100が、複数のタグ200との間で前述の接続処理を実行すると、複数のタグ200を同時に接続する。制御部160は、タグ200の接続台数を管理する。制御部160は、第2条件を判定するために接続台数としきい値とを比較する。
【0044】
以上の構成による無線測距システム1000の動作を説明する。
図6(a)-(b)は、スキャナ100による通信手順を示すフローチャートである。
図6(a)において通信部102はタグ200との接続処理を実行する(S100)。測距部140は、タグ200との間の測距処理を実行する(S102)。測定が完了し(S104のY)、タグ200が移動状態であれば(S106のY)、通信部102はタグ200との切断処理を実行する(S108)。測定が完了しない場合(S104のN)、あるいはタグ200が移動状態でない場合(S106のN)、ステップ102に戻る。
【0045】
図6(b)において通信部102はタグ200との接続処理を実行する(S150)。測距部140は、タグ200との間の測距処理を実行する(S152)。測定が完了し(S154のY)、接続後に新たなタグ200の接続台数がしきい値を超えれば(S156のY)、通信部102はタグ200との切断処理を実行する(S158)。測定が完了しない場合(S154のN)、あるいは接続後に新たなタグ200の接続台数がしきい値を超えない場合(S156のN)、ステップ152に戻る。
【0046】
本実施例によれば、スキャナ100とタグ200との間で距離を測定した後に切断処理がなされるので、接続されたままの状態を回避できる。また、接続されたままの状態が回避されるので、2つの無線装置間の距離を測定するための無線通信においてトラヒックの増加を抑制できる。また、距離の測定毎に切断がなされるので、スキャナ100におけるタグ200の管理を簡易化できる。また、スキャナ100とタグ200との間で接続処理を実行するので、スキャナ100におけるタグ200の事前登録を不要にできる。
【0047】
また、距離の測定が完了し、かつタグ200が移動している場合に、スキャナ100とタグ200との接続を切断するので、移動するタグ200に適したスキャナ100に距離を測定させることができる。また、タグ200が移動していない場合に接続を維持するので、接続のためのトラヒックの増加を抑制できる。また、トラヒックの増加が抑制されることによって、無線測距システム1000の収容台数の増加あるいは周辺の他の無線システムへの影響を軽減できる。また、スキャナ100におけるタグ200の同時接続台数がしきい値を超えたときに、スキャナ100とタグ200を切断するので、接続台数の増加を抑制できる。
【0048】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の第1種無線装置(100)は、第1種無線装置(100)であって、無線通信を実行可能な通信部(102)と、通信部(102)と第2種無線装置(200)との接続処理を実行する制御部(160)と、制御部(160)による接続処理により通信部(102)が第2種無線装置(200)に接続された場合、通信部(102)と第2種無線装置(200)との無線通信により、第2種無線装置(200)との間の距離を測定する測距部(140)とを備える。制御部(160)は、通信部(102)と第2種無線装置(200)との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、通信部(102)と第2種無線装置(200)との接続を解除する。
【0049】
第1条件は、測距部(140)が第2種無線装置(200)との間の距離の測定を完了したことを含んでもよい。
【0050】
第1条件は、測距部(140)が第2種無線装置(200)との間の距離の測定を完了した後、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)の少なくとも1つの状態が第2条件を満たすことを含んでもよい。
【0051】
第2条件は、第2種無線装置(200)の状態が移動状態であることを含んでもよい。
【0052】
第2条件は、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)の少なくも1つの同時接続台数がしきい値を超えたことを含んでもよい。
【0053】
外部システム(300)と通信する外部通信部(150)をさらに備えてもよい。第1条件は、外部通信部(150)が接続解除の要求を外部システム(300)から受信したことを含んでもよい。
【0054】
本開示の別の態様は、第2種無線装置(200)である。この装置は、第1種無線装置(100)と無線通信可能な第2種無線装置(200)であって、無線通信を実行可能な通信部(202)と、通信部(202)と第1種無線装置(100)との接続処理を実行する制御部(260)とを備える。通信部(202)は、制御部(260)による接続処理により通信部(202)が第1種無線装置(100)に接続された場合、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)との間の距離を第1種無線装置(100)に測定させるために、通信部(202)と第1種無線装置(100)との無線通信を実行し、制御部(260)は、通信部(202)と第1種無線装置(100)との無線通信がなされた後、第3条件を満たすと、通信部(202)と第1種無線装置(100)との接続を解除する。
【0055】
第3条件は、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)との間の距離の測定を第1種無線装置(100)が完了した後、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)の少なくとも1つの状態が第4条件を満たすことを含んでもよい。
【0056】
第4条件は、第2種無線装置(200)の状態が移動状態であることを含んでもよい。
【0057】
第4条件は、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)の少なくも1つの同時接続台数がしきい値を超えたことを含んでもよい。
【0058】
本開示のさらに別の態様は、通信方法である。この方法は、無線通信を実行可能な第1種無線装置(100)における通信方法であって、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)との接続処理を実行するステップと、接続処理により第1種無線装置(100)が第2種無線装置(200)に接続された場合、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)との無線通信により、第2種無線装置(200)との間の距離を測定するステップと、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)との無線通信がなされた後、第1条件を満たすと、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)との接続を解除するステップと、を備える。
【0059】
本開示のさらに別の態様もまた、通信方法である。この方法は、第1種無線装置(100)と無線通信を実行可能な第2種無線装置(200)における通信方法であって、第2種無線装置(200)と第1種無線装置(100)との接続処理を実行するステップと、接続処理により第2種無線装置(200)が第1種無線装置(100)に接続された場合、第1種無線装置(100)と第2種無線装置(200)との間の距離を第1種無線装置(100)に測定させるために、第2種無線装置(200)と第1種無線装置(100)との無線通信を実行するステップと、第2種無線装置(200)と第1種無線装置(100)との無線通信がなされた後、第3条件を満たすと、第2種無線装置(200)と第1種無線装置(100)との接続を解除するステップと、を備える。
【0060】
(実施例2)
次に実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様の無線測距システム1000に関する。前述のごとく、タグ200はアドバタイズを定期的にブロードキャスト送信する。実施例2では、トラヒックの増加を抑制するために、アドバタイズの送信間隔が調節される。実施例2に係る無線測距システム1000は、
図1と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0061】
図7(a)-(b)は、タグ200、スキャナ100の構成を示す。
図7(a)はタグ200の構成を示し、タグ200では、
図2(a)の構成に移動検知部270が追加される。また、
図7(a)のタグ200は、例えば
図2(a)のスキャナ100と通信する。移動検知部270は、前述のごとく、タグ200の移動を検知するためのセンサである。移動検知部270は、移動を検知した場合に、移動の検知を制御部260に通知する。
【0062】
制御部260は、移動検知部270が移動を検知していなければ、アドバタイズの送信間隔を第1値に決定する。制御部260は、送信間隔を第1値として、アドバタイズの定期的なブロードキャスト送信を送信部210に指示する。一方、制御部260は、移動検知部270が移動を検知すると、アドバタイズの送信間隔を第2値に決定する。第2値は第1値よりも小さい値である。制御部260は、送信間隔を第2値として、アドバタイズの定期的なブロードキャスト送信を送信部210に指示する。
【0063】
そのため、タグ200が移動していない場合では、タグ200が移動している場合よりもアドバタイズの送信間隔が長くされるので、アドバタイズの送信頻度が低くされる。その結果、トラヒックの増加が抑制される。
【0064】
図7(b)はスキャナ100の構成を示し、スキャナ100では、
図2(a)の構成に期間測定部180が追加される。また、
図7(b)のスキャナ100は、例えば
図2(a)のタグ200と通信する。期間測定部180は、測距部140が距離を測定してからの期間を測定する。期間は、測距部140が距離を測定したときにリセットされる。制御部160は、期間測定部180において測定された期間をもとに、タグ200から定期的にブロードキャスト送信されるアドバタイズの間隔を決定する。制御部160は、期間がしきい値以上経過していなければ、アドバタイズの送信間隔を第1値に決定する。一方、制御部260は、期間がしきい値以上経過していれば、アドバタイズの送信間隔を第2値に決定する。第2値は第1値よりも小さい値である。制御部160は、決定したアドバタイズの送信間隔の値を送信部110からタグ200に送信させる。
【0065】
タグ200の制御部260は、アドバタイズの送信間隔の値を受信部220が受信した場合に、アドバタイズの送信間隔の値をもとに、送信部210からブロードキャスト送信させるアドバタイズの間隔を制御する。つまり、スキャナ100の測距部140において距離の測定が終了した後、しきい値を経過するまで、送信部210は、アドバタイズを第1値の間隔でブロードキャスト送信する。また、しきい値を経過すると、送信部210は、アドバタイズを第2値の間隔でブロードキャスト送信する。つまり、時間の経過とともに、アドバタイズのブロードキャスト送信の間隔は短くされる。
【0066】
以上の構成による無線測距システム1000の動作を説明する。
図8(a)-(b)は、スキャナ100による通信手順を示すフローチャートである。
図8(a)において移動検知部270がタグ200の移動を検知していない場合(S200のN)、制御部260は、アドバタイズの送信間隔を第1値に決定する(S202)。移動検知部270がタグ200の移動を検知した場合(S200のY)、制御部260は、アドバタイズの送信間隔を第2値に決定する(S204)。
【0067】
図8(b)において測距部140における前回の測距からしきい値以上経過していない場合(S250のN)、制御部160は、アドバタイズの送信間隔を第1値に決定する(S252)。測距部140における前回の測距からしきい値以上経過している場合(S250のY)、制御部260は、アドバタイズの送信間隔を第2値に決定する(S254)。
【0068】
本実施例によれば、アドバタイズの送信間隔を制御するので、トラヒックの増加を抑制できる。また、移動が少なくために距離の測定を頻繁に行う必要がないタグ200においてアドバタイズの送信間隔を拡大するので、トラヒックの増加を抑制できる。また、測定をしてからの期間が短いために距離を測定する必要がないタグ200においてアドバタイズの送信間隔を拡大するので、トラヒックの増加を抑制できる。また、測定をしてからの期間が長いために距離を測定する必要があるタグ200においてアドバタイズの送信間隔を短縮するので、距離を測定しやすくできる。
【0069】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。制御部(160)は、第2種無線装置(200)から定期的に送信される報知信号の間隔を、測距部(140)が距離を測定してからの時間に応じて決定してもよい。
【0070】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0071】
実施例1において、第1条件は、距離の測定を完了し、かつ第2条件を満たすこととされている。しかしながらこれに限らず例えば、第1条件は、測距部140がタグ200との間の距離の測定を完了したことだけであってもよい。本変形例によれば、処理を簡易にできる。
【0072】
実施例1における第1条件は、外部通信部150が接続解除の要求を外部システムから受信したことであってもよい。外部システムは、位置推定装置300であってもよく、あるいは位置推定装置300とは別の装置であってもよい。本変形例によれば、スキャナ100以外の装置から接続解除を指示できる。
【0073】
実施例2において送信間隔は第1値、第2値の2段階で規定されている。しかしながらこれに限らず例えば、送信間隔は3段階以上で規定されていてもよい。本変形例によれば、送信間隔を詳細に設定できる。
【符号の説明】
【0074】
100 スキャナ(第1種無線装置)、 102 通信部、 110 送信部、 120 受信部、 130 導出部、 140 測距部、 150 外部通信部、 160 制御部、 170 移動判定部、 180 期間測定部、 200 タグ(第2種無線装置)、 202 通信部、 210 送信部、 220 受信部、 230 導出部、 260 制御部、 270 移動検知部、 300 位置推定装置、 310 距離記憶部、 320 位置推定部、 1000 無線測距システム。