(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019494
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124257
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 一馬
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051BA08
2G051BB03
2G051BB07
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
(57)【要約】
【課題】物品の表面の方向推定が可能であるとともに撮像された画像のカラーバランスの校正が可能な検査システムを提供する。
【解決手段】検査システム100は、照明装置50とカメラ80とを備えている。照明装置50は、面光源10とレンズ30とカラーフィルター20とを備えている。カラーフィルター20は、面光源10とレンズ30との間であって、レンズ30の焦点位置またはその近傍に配置される。カラーフィルター20は、面光源10から出射された検査光の進行方向と交差する方向に所定の色分布が付与されている。物品200の画像は、物品200で反射され、カメラ80に入射された検査光の反射光に基づいて生成される。物品200の画像における輝度情報が、物品200に対する検査光の入射方向によらず一定となるように構成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に検査光を照射する照明装置と、前記検査光が照射された前記物品を撮像する撮像装置と、を少なくとも備えた検査システムであって、
前記照明装置は、
前記検査光を出射する面光源と、
前記面光源から出射された前記検査光を前記物品に向けて集光するレンズと、を少なくとも備え、
前記検査光は、進行方向と交差する方向に所定の色分布が付与された状態で、前記レンズに入射され、
前記撮像装置で撮像された前記物品の画像は、前記物品で反射され、かつ前記撮像装置に入射された前記検査光の反射光に基づいて生成され、
前記撮像装置で撮像された前記物品の画像における輝度情報が、前記物品に対する前記検査光の入射方向によらず一定となるように構成されていることを特徴とする検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検査システムにおいて、
前記照明装置は、
前記面光源と前記レンズとの間であって、前記レンズの焦点位置または当該焦点位置の近傍に配置されたカラーフィルターをさらに備え、
前記カラーフィルターは、前記検査光の進行方向と交差する方向において、前記色分布が付与されていることを特徴とする検査システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検査システムにおいて、
前記色分布は、色相と彩度と明度とで表現され、
前記カラーフィルターにおける前記検査光の入射面において、前記検査光の光軸からの角度を前記色相とし、前記光軸からの距離を前記彩度とし、かつ前記カラーフィルターを透過した前記検査光の強度を明度とするとき、
前記カラーフィルターは、前記検査光が前記カラーフィルターを透過する位置によらず、前記明度が一定となるように構成されていることを特徴とする検査システム。
【請求項4】
請求項3に記載の検査システムにおいて、
前記物品に照射される前記検査光は、赤色光成分と緑色光成分と青色光成分とを少なくとも含み、
前記カラーフィルターは、前記撮像装置で撮像された前記物品の画像において、前記赤色光成分の輝度と前記緑色光成分の輝度と前記青色光成分の輝度のうち少なくとも2つが、前記物品に対する前記検査光の入射方向によらずそれぞれ同じとなるように構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項5】
請求項2に記載の検査システムにおいて、
前記物品に照射される前記検査光は、赤色光成分と緑色光成分と青色光成分とを少なくとも含み、
前記カラーフィルターは、前記撮像装置で撮像された前記物品の画像において、前記赤色光成分の輝度と前記緑色光成分の輝度と前記青色光成分の輝度との和が、前記物品に対する前記検査光の入射方向によらず一定となるように構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の検査システムにおいて、
前記面光源は白色の前記検査光を出射し、
前記カラーフィルターは、赤色光を透過する赤色フィルターと、緑色光を透過する緑色フィルターと、青色光を透過する青色フィルターとが、平面的に配置されて構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれか1項に記載の検査システムにおいて、
前記面光源と前記カラーフィルターとが一体化されて、液晶ディスプレイとして構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項8】
請求項1に記載の検査システムにおいて、
前記面光源から出射される前記検査光は、赤色光成分と緑色光成分と青色光成分とを少なくとも含み、
前記撮像装置で撮像された前記物品の画像において、前記赤色光成分の輝度と前記緑色光成分の輝度と前記青色光成分の輝度のうち少なくとも2つが、前記物品に対する前記検査光の入射方向によらずそれぞれ同じとなるように構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項9】
請求項1に記載の検査システムにおいて、
前記面光源から出射される前記検査光は、赤色光成分と緑色光成分と青色光成分とを少なくとも含み、
前記撮像装置で撮像された前記物品の画像において、前記赤色光成分の輝度と前記緑色光成分の輝度と前記青色光成分の輝度との和が、前記物品に対する前記検査光の入射方向によらず一定となるように構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の検査システムにおいて、
前記面光源は、赤色光を出射する赤色光源と、緑色光を出射する緑色光源と、青色光を出射する青色光源とが、平面的に配置されて構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の検査システムにおいて、
前記物品で反射された前記反射光が前記撮像装置に向かう光路中に配置された光学部材をさらに備え、
前記光学部材は、前記レンズで集光された前記検査光を前記物品に向けて反射する一方、前記物品で反射された前記反射光を透過することを特徴とする検査システム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の検査システムにおいて、
前記撮像装置で撮像された前記物品の画像に基づいて、前記物品の外観を検査することを特徴とする検査システム。
【請求項13】
請求項12に記載の検査システムにおいて、
前記物品の画像に基づいて、前記物品の表面に傷や凹凸が形成されているか否かを検査することを特徴とする検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品の外観検査に用いられる検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の外観検査に用いられる照明装置として、特許文献1,2に開示される構成が知られている。
【0003】
特許文献1,2に開示される従来の構成では、面光源とレンズとの間に遮光フィルターが配置される。また、この遮光フィルターは、レンズの入射側の焦点位置に配置される。照明装置をこのような構成とすることで、物品の表面の各点において照明条件を同じにすることができる。また、特許文献2に開示されるように、遮光フィルターとカラーフィルターとを組み合わせることで、物品の表面の方向(傾き)に応じて反射光の色分布を変更させることができる。このことにより、照明装置を備えた検査システムにおいて、物品の表面の方向や表面凹凸や傷等を高精度に検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5866573号公報
【特許文献2】特許第6451821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検査システムにおいて、照明装置から出射された検査光は、物品の表面で反射され、反射光がカメラに入射されて、物品の画像が撮像される。また、特許文献2に開示される構成では、物品の画像はカラー画像として取得される。
【0006】
このような場合、撮像された画像におけるカラーバランスを校正する必要がある。一般的には、白色の物品を用いて画像を撮像し、ホワイトバランスが調整される。
【0007】
しかし、特許文献2に開示される構成では、カラーフィルターが、検査光の入射面内で色分布を有している。このため、検査光が物品に照射される方向によって、検査光の色が異なってしまう。また、物品の表面の方向が異なると、カメラで撮像された画像の色分布も異なってしまう。
【0008】
つまり、特許文献2に開示された構成では、物品の表面の方向推定と撮像された画像のカラーバランスの校正とが両立しないという課題があった。
【0009】
本開示は、物品の表面の方向推定が可能であるとともに撮像された画像のカラーバランスの校正が可能な検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示に係る検査システムは、物品に検査光を照射する照明装置と、前記検査光が照射された前記物品を撮像する撮像装置と、を少なくとも備えた検査システムであって、前記照明装置は、前記検査光を出射する面光源と、前記面光源から出射された前記検査光を前記物品に向けて集光するレンズと、を少なくとも備え、前記検査光は、進行方向と交差する方向に所定の色分布が付与された状態で、前記レンズに入射され、前記撮像装置で撮像された前記物品の画像は、前記物品で反射され、かつ前記撮像装置に入射された前記検査光の反射光に基づいて生成され、前記撮像装置で撮像された前記物品の画像における輝度情報が、前記物品に対する前記検査光の入射方向によらず一定となるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、撮像された画像のカラーバランスの校正を行うことができる。また、物品の表面の方向を推定することができ、物品の表面が平坦でない場合にも、物品の外観検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】実施形態1に係る検査システムの概略構成図である。
【
図2】物品に照射される検査光の照射立体角を示す模式図である。
【
図3A】物品の表面に傾きがある場合の反射光の状態を示す模式図である。
【
図3B】物品の表面に別の傾きがある場合の反射光の状態を示す模式図である。
【
図4】金属の反射率の波長依存性の一例を示す図である。
【
図6】カメラで撮像した画像のRGB色空間における輝度表現の一例を示す図である。
【
図7】実施形態2に係るカラーフィルターの平面模式図である。
【
図8A】カメラの撮像画像における赤色光成分の輝度の位相依存性を示す図である。
【
図8B】カメラの撮像画像における緑色光成分の輝度の位相依存性を示す図である。
【
図8C】カメラの撮像画像における青色光成分の輝度の位相依存性を示す図である。
【
図9】変形例1に係る液晶フィルターの平面模式図である。
【
図10】変形例2に係る検査システムの概略構成図である。
【
図11】変形例2に係る面光源の平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0014】
(実施形態1)
[検査システムの構成及び動作]
図1Aは、本実施形態に係る検査システムの概略構成図を示し、
図1Bは、
図1Aの破線で囲まれた部分の拡大図を示す。
図2は、物品に照射される検査光の照射立体角を模式的に示す。
図3Aは、物品の表面に傾きがある場合の反射光の状態を模式的に示し、
図3Bは、物品の表面に別の傾きがある場合の反射光の状態を模式的に示す。なお、以降の説明において、検査光の光軸方向をX方向と呼び、支持体からカメラ80に向かう方向をZ方向と呼ぶことがある。X方向及びZ方向とそれぞれ交差する方向をY方向と呼ぶことがある。
【0015】
図1に示すように、検査システム100は、照明装置50とハーフミラー(光学部材)60と支持台70とカメラ(撮像装置)80とを備えている。照明装置50とハーフミラー60は、筐体40の内部に配置されている。
【0016】
後で詳述するように、検査システム100では、支持台70に載置された物品200に照明装置50から検査光を照査し、物品200で反射された反射光をカメラ80で撮像する。カメラ80で撮像された画像に基づいて、物品200の外観が検査される。
【0017】
照明装置50は、面光源10とカラーフィルター20とレンズ30とで構成され、面光源10は、白色の平面光を検査光として出射する。
【0018】
カラーフィルター20は、面光源10とレンズ30との間であって、レンズ30の焦点位置、この場合は、入射側の焦点位置に配置されている。カラーフィルター20は、検査光の入射面内で所定の色分布を有している。このため、面光源10から出射された検査光は、カラーフィルター20を透過することで、検査光の進行方向と交差する方向に前述の色分布を有する平面光となる。カラーフィルター20に付与された色分布については後で詳述する。
【0019】
レンズ30は、面光源10から出射され、カラーフィルター20を透過した検査光を物品200に向けて集光する。また、検査光は、レンズ30を透過することで所定の照射立体角IS(
図2参照)が付与される。このことについてさらに述べる。
【0020】
図1に示すように、面光源10とカラーフィルター20とレンズ30とを配置した場合、検査光の光軸上であって、かつレンズ30の出射側焦点位置である点P1における照射立体角ISは、カラーフィルター20における検査光の光路の直径とレンズ30の焦点距離fにより一義的に決まる。なお、ここで言う「照射立体角」とは、検査光の光路上の所定の点を頂点とし、当該所定の点に光が照射される範囲を示す任意形状の錐体を言う(例えば、
図2参照)。前述の光路の直径をrとすると、照射立体角ISの平面半角θは式(1)に示す関係を満たす。
【0021】
θ=tan-1(r/2f) ・・・(1)
また、検査光の光軸から離れた位置であっても、レンズ30の中心からレンズ30の出射側焦点位置だけ離れた位置における照射立体角ISも、点P1における照射立体角ISと同じ形状で同じ大きさとなる。また、レンズ30の出射側焦点位置よりも遠い位置における照射立体角ISも、点P1における照射立体角ISと同じ形状で同じ大きさとなる。
【0022】
また、検査光がハーフミラー60により反射された場合にも、これらの照射立体角ISは維持される。したがって、
図2に示すように、検査光は、物品200の表面の各点において同じ照射立体角ISを有するように照射される。つまり、物品200の表面の任意の点において、面光源10からの距離に依存せず、照明条件が同じとなる。
【0023】
ハーフミラー(光学部材)60は、レンズ30を透過した検査光の光路中であって、物品200で反射された反射光がカメラ80に向かう光路中に配置されている。ハーフミラー60は、レンズ30で集光された検査光を物品200に向けて反射する一方、物品200で反射された反射光を透過する。つまり、ハーフミラー60は、検査光を物品200に照射させるとともに、物品200からの反射光をカメラ80に入射させる。
【0024】
支持台70は、平坦な表面を有しており、当該表面に物品200が載置される。
【0025】
カメラ(撮像装置)80は、物品200で反射され、ハーフミラー60を透過した反射光を受光し、物品200の画像を生成する。つまり、カメラ80は、検査光が照射された物品200の画像を撮像する。なお、カメラ80で撮像される画像はカラー画像である。よって、図示しないが、カメラ80は、撮像面を有する撮像素子として、カラーフィルターが搭載されたCMOSイメージセンサを有している。また、カメラ80は、CMOSイメージセンサの出力信号を処理して画像を生成するプロセッサ(図示せず)を備えていてもよい。
【0026】
次に、検査システム100の動作原理について説明する。
【0027】
図1に示すように、検査光は、ハーフミラー60により、光軸がZ方向に向くように反射される。物品200の表面が平坦でかつ支持台70の表面と平行である場合、物品200の表面で反射される反射光(以下、単に反射光という)は、白色光となる。例えば、
図1Bに示す物品200の表面の領域S1での反射光は白色光としてカメラ80に入射される。
【0028】
一方、カラーフィルター20は検査光の入射面内で色分布を有している。その結果、
図1Aに示す例で言えば、カラーフィルター20の赤色領域(以下、R領域(
図4参照)という)を透過した検査光の光軸は、カラーフィルター20の青色領域(以下、B領域(
図4参照)という)を透過した検査光の光軸と方向が異なっている。また、前述したように、物品200の表面の各点において、照射立体角ISは同じである。このため、物品200の表面に傾きがある場合、検査光の光軸の方向が異なることに対応して反射光の色が変化する。
【0029】
図3Aに示すように、物品200の表面が紙面の左側に傾いていると、B領域を透過した検査光はカメラ80の撮像面に向かって反射される。一方、R領域を透過した検査光の一部は、カメラ80の撮像面から離れるように反射される。その結果、カメラ80で撮像される物品200の画像は、青みがかった色となる。例えば、
図1Bに示す物品200の表面の領域S2は、青みがかった色の領域としてカメラ80で撮像される。
【0030】
また、
図3Bに示すように、物品200の表面が紙面の右側に傾いていると、R領域を透過した検査光はカメラ80の撮像面に向かって反射される。一方、B領域を透過した検査光の一部は、カメラ80の撮像面から離れるように反射される。その結果、カメラ80で撮像される物品200の画像は、赤みがかった色となる。例えば、
図1Bに示す物品200の表面の領域S3は、赤みがかった色の領域としてカメラ80で撮像される。
【0031】
以上説明したように、
図1Aに示す検査システム100によれば、カラーフィルター20の色分布を適切に設定することで、カメラ80での撮像画像における各色、例えば、赤色光、緑色光及び青色光(以下、これらを総称してRGBと呼ぶことがある。)の強度等から、物品200の表面の方向(傾き)を推定することができる。言い換えると、物品200の表面が互いに方向の求まる複数の面で構成される場合、それぞれの面の方向を推定することができる。このことを利用して、物品200の外観検査を行うことができる。例えば、白色光の照射のみでは識別が困難な物品200の表面凹凸や傷の有無等を検査することができる。
【0032】
[カラーフィルターの構成及びキャリブレーションについて]
前述した物品200の表面の方向推定を行う場合、撮像画像におけるカラーバランスが構成されていることが必要である。言い換えると、撮像画像におけるRGBの強度が校正されていることが必要である。一般には、白色の物品200を照明環境毎に撮像し、RGBの強度を調整する。
【0033】
また、物品200の材質が異なる場合、反射率の波長依存性も異なる。
図4は、金属の反射率の波長依存性の一例を示し、例えば、銀(Ag)は、可視光領域(400nm~700nm)で反射率が1程度と一定である。一方、波長が650nmから500nmにかけて、金(Au)の反射率は、1から0.4程度まで低下する。また、500nm以下の波長域では、反射率が0.4程度と略一定となる。波長が650nmから400nmにかけて、銅(Cu)は、の反射率は、1から0.5程度まで低下する。このことに鑑みれば、検査対象となる物品200の材質が異なる場合も、RGBの強度校正が必要となる。
【0034】
しかし、
図1Aに示す検査システム100では、物品200に照射される検査光は、カラーフィルター20の色分布に対応して、物品200への照射方向毎に色が異なる。よって、物品200の表面に方向(傾き)が異なる面が複数存在すると、物品200からの反射光も各面で異なる色となる。
【0035】
したがって、カメラ80の撮像面と物品200の表面における各面の方向、及び物品200への照射方向毎の検査光の色分布の三者の関係、さらに物品200の材質が予め把握できていないと、RGBの強度を校正することができない。つまり、物品200の表面の方向推定とRGBの強度校正とが両立しないという課題があった。
【0036】
そこで、本実施形態では、以下に示す手順によりRGBの強度校正を行い、また、その結果に基づいて、物品200の表面の方向推定を可能としている。
【0037】
まず、カメラ80と支持台70と照明装置50の各部の配置関係は、正確に規定する。次に、物品200の表面の方向は、カメラ80で撮像できる範囲で任意とする。さらに、カラーフィルター20に関して、検査光の照射方向によらない一つあるいは複数の色表現の制限を付加する。
【0038】
このように設定された状態で、例えば、物品200の表面の方向を変化させながら、物品200をカメラ80で撮像する。さらに、撮像された画像の輝度情報に基づき、RGBの強度を校正する。あるいは、互いに方向が異なる複数の表面を有する物品200をカメラ80で撮像する。さらに、撮像された画像における複数点の輝度情報に基づき、RGBの強度を校正する。カラーフィルター20及びその色表現の制限についてさらに説明する。
【0039】
なお、本願明細書において「輝度情報」を以下のように定義する。輝度情報には、検査光の輝度が含まれる。また、輝度情報には、検査光に含まれる赤色光成分(以下、R成分という)、緑色光成分(以下、G成分という)、青色光成分(以下、B成分という)のそれぞれの輝度が含まれる。また、輝度情報には、検査光に含まれるR成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和が含まれる。
【0040】
なお、R成分、G成分及びB成分は、それぞれ所定の波長幅を有している。例えば、R成分は、650nmの波長を含み、数十nm~100nm程度の波長幅を有している。G成分は、500nmの波長を含み、数十nm~100nm程度の波長幅を有している。B成分は、450nmの波長を含み、数十nm~100nm程度の波長幅を有している。
【0041】
図5は、カラーフィルターの平面模式図を示し、
図6は、カメラで撮像した画像のRGB色空間における輝度表現の一例を示す。
【0042】
なお、説明の便宜上、
図5に示すカラーフィルター20において、赤色領域(以下、R領域という)、G領域及びB領域をそれぞれ区分して図示しているが、実際には、面内の色分布は連続的に、あるいは段階的に変化している。
【0043】
図5に示すカラーフィルター20の色分布は、色相(Hue)と彩度(Saturation)と明度(Value Brightness)とで表現される。つまり、通常のRGB色空間ではなく、HSV色空間で表現される。具体的には、カラーフィルター20における検査光の入射面において、検査光の光軸からの角度を色相として割り当てる。当該光軸からの距離を彩度として割り当てる。カラーフィルター20を透過した検査光の強度を明度として割り当てる。
【0044】
このようにカラーフィルター20を設定し、さらに、明度に関して、検査光の照射方向によらず一定となるように、カラーフィルター20に色分布を付与する。つまり、カラーフィルター20は、検査光がカラーフィルター20を透過する位置によらず、明度が一定となるように構成されている。なお、カラーフィルター20の色分布は、具体的には、以下に示す手順で設定される。
【0045】
物品200の表面における反射率が一定の場合、カメラ80で撮像された画像上の輝度は、物品200の表面の方向によらず、色空間における所定の位置の点で記述される。例えば、RGB色空間上では、
図6に示すように、V
R=V
G=V
B(=一定)となる平面上の点となる。なお、V
Rは、撮像画像における赤色光の輝度ゲインである。V
Gは、撮像画像における緑色光の輝度ゲインである。V
Bは、撮像画像における青色光の輝度ゲインである。
【0046】
しかし、物品200の表面の方向が一定でない等の場合、ゲインVR,VG。VBの値は、それぞれ等しくならない。このため、例えばゲインVRを基準として、残りのゲインVG。VBに関し、調整係数αG,αBを求める。調整後のゲインV’G。V’Bは、それぞれ式(2)、(3)に示すように表される。
【0047】
V’
G=α
G×V
G ・・・(2)
V’
B=α
B×V
B ・・・(3)
つまり、
図6に示すG軸に垂直な平面は、V’
G=α
G×V
Gで記述される。B軸に垂直な平面は、V’
B=α
B×V
Bで記述される。
【0048】
本実施形態では、物品200の表面の方向によらず、ゲインVR=V’G=V’B(=一定)となるように、調整係数αG,αBを設定する。このようにして、明度に関して、検査光の照射方向によらず一定となるように、カラーフィルター20に色分布が付与される。
【0049】
以上の通りであるから、本実施形態の検査システム100は、以下の特徴を備えているとも言える。つまり、物品200に照射される検査光は、R成分とG成分とB成分とを少なくとも含んでいる。
【0050】
カラーフィルター20は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度とが、物品200に対する検査光の入射方向によらずそれぞれ同じとなるように構成される。
【0051】
なお、ゲイン調整前のデータのバラツキが大きい場合、撮像画像における各成分の輝度に関し、ゲインだけでなくオフセットを入れるのが好ましい。つまり、各軸に垂直な平面の原点からの距離が等しく、各点の輝度が当該平面上に位置するようにゲインに関する調整係数やオフセットを調整してもよい。
【0052】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係る検査システム100は、物品200に検査光を照射する照明装置50と、検査光が照射された物品200を撮像するカメラ(撮像装置)80と、を少なくとも備えている。
【0053】
検査システム100は、カメラ80で撮像された物品200の画像に基づいて、物品200の外観を検査するように構成される。また、検査システム100は、当該画像に基づいて、物品200の表面に傷や凹凸が形成されているか否かを検査するように構成される。
【0054】
照明装置50は、検査光を出射する面光源10と、面光源10から出射された検査光を物品200に向けて集光するレンズ30と、を少なくとも備えている。
【0055】
また、照明装置50は、面光源10とレンズ30との間であって、レンズ30の焦点位置または当該焦点位置の近傍に配置されたカラーフィルター20をさらに備えている。カラーフィルター20は、検査光の進行方向と交差する方向において、所定の色分布が付与されている。
【0056】
検査光は、進行方向と交差する方向に所定の色分布が付与された状態で、レンズ30に入射される。また、カラーフィルター20を透過した後の検査光において、異なる色成分の光は、物品200に照射されるときに、光軸の方向が互いに異なっている。
【0057】
カメラ80で撮像された物品200の画像は、物品200で反射され、かつカメラ80に入射された検査光の反射光に基づいて生成される。
【0058】
カメラ80で撮像された物品200の画像における輝度情報が、物品200に対する検査光の入射方向によらず一定となるように構成されている。なお、本実施形態では、カラーフィルター20は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度とが、物品200に対する検査光の入射方向によらずそれぞれ同じとなるように構成される。
【0059】
検査システム100をこのように構成することで、カメラ80で撮像された画像におけるRGBの強度校正を行うことができる。また、その結果に基づいて、物品200の表面の方向を推定することができる。このことにより、物品200の表面が平坦でない場合にも、物品200の外観検査を行うことができる。また、物品200の表面の方向を変えることで、カメラ80で撮像される反射光の色成分が変化するため、例えば、反射率の波長依存性が互いに異なる複数の物品200に関し、同じ検査システム100で外観検査を行うことができる。
【0060】
なお、物品200の表面の方向によっては、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分、G成分及びB成分のすべてが含まれるとは限らない。よって、カラーフィルター20は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度のうち少なくとも2つが、物品200に対する検査光の入射方向によらずそれぞれ同じとなるように構成されていればよい。この場合も、前述の効果を奏することができる。すなわち、カメラ80で撮像された画像におけるRGBの強度校正を行うことができる。また、その結果に基づいて、物品200の表面の方向を推定することができる。また、反射率の波長依存性が互いに異なる複数の物品200に関し、同じ検査システム100で外観検査を行うことができる。
【0061】
カラーフィルター20に付与された色分布は、色相と彩度と明度とで表現される。カラーフィルター20における検査光の入射面において、検査光の光軸からの角度を色相とし、光軸からの距離を前記彩度とし、かつカラーフィルター20を透過した検査光の強度を明度とする。
【0062】
この場合において、カラーフィルター20は、検査光がカラーフィルター20を透過する位置によらず、明度が一定となるように構成されている。
【0063】
このようにすることで、カメラ80で撮像された物品200の画像を用いて、RGBの強度校正を容易に行うことができる。
【0064】
検査システム100は、物品200で反射された反射光がカメラ80に向かう光路中に配置されたハーフミラー(光学部材)60をさらに備えている。ハーフミラー60は、レンズ30で集光された検査光を物品200に向けて反射する一方、物品200で反射された反射光を透過する。
【0065】
このようにハーフミラー60を設けることで、物品200を撮像する方向と、物品200に検査光を照射する方向とを一致させることができる。つまり、検査システム100をいわゆる同軸照明系とすることができ、検査システム100の小型化が図れる。
【0066】
(実施形態2)
図7は、本実施形態に係るカラーフィルターの平面模式図を示す。
図8Aは、カメラの撮像画像における赤色光成分の輝度の位相依存性を示し、
図8Bは、緑色光成分の輝度の位相依存性を示し、
図8Cは、青色光成分の輝度の位相依存性を示す。
【0067】
なお、
図8A~8Cにおいて、物品200の表面の方向を段階的に変化させた場合の輝度を同じグラフに図示している。
【0068】
また、説明の便宜上、
図7及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所について同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
図7に示すカラーフィルター21は、以下に示す点で、
図5に示すカラーフィルター20と異なる。
【0070】
まず、検査光の光軸からの距離を振幅とし、検査光の光軸を中心として、所定方向からの角度を位相とする。これら振幅と位相とは、カラーフィルター21を透過した検査光のR成分、G成分及びB成分の輝度から算出される。
【0071】
また、本実施形態では、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分、G成分及びB成分の輝度の平均値が物品200の表面の方向によらず一定となるように、カラーフィルター21に色分布が付与される。つまり、カラーフィルター21に関して、検査光の照射方向によらない一つあるいは複数の色表現の制限が付加される。
【0072】
また、カメラ80で撮像された物品200の所定領域の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和が、所定領域の面の方向によらず一定となるように、カラーフィルター21に色分布が付与される。
【0073】
具体的には、前述したゲインVR,VG,VBに関し、以下の式(4)に示す満たす関係を満たすように調整係数αG,αBを求める。
【0074】
V
R+α
GV
G+α
BV
B=一定 ・・・(4)
これらの調整係数α
G,α
Bを求めるにあたって、
図8A~8Cに示す輝度の波長依存性を参照する。例えば、
図8A~8Cに示す例で言えば、R成分の輝度は、位相が0度のときに最大となり、180度のときに最小となる。G成分の輝度は、位相が120度のときに最大となり、300度のときに最小となる。B成分の輝度は、位相が240度のときに最大となり、60度のときに最小となる。
【0075】
図8A~8Cに示す各成分の輝度の波長依存性を参照すれば、所定の位相における各成分の輝度を求めることができる。各位相における各成分の輝度の和を求めて、式(4)を満足するように調整係数α
G,α
Bを求める。なお、調整係数α
G,α
Bを求めるにあたって最小二乗法等の推定方法を用いることができる。
【0076】
求められた調整係数αG,αBに基づいて、式(4)を満足するように、カラーフィルター21に色分布が付与される。
【0077】
以上の通りであるから、本実施形態の検査システム100は、以下の特徴を備えているとも言える。つまり、物品200に照射される検査光は、R成分とG成分とB成分とを少なくとも含んでいる。
【0078】
カラーフィルター21は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和が、物品200に対する検査光の入射方向によらず同じとなるように構成される。言い換えると、カラーフィルター21は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和が、物品200に対する検査光の入射方向によらず同じとなるように構成される。
【0079】
本実施形態によれば、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、カメラ80で撮像された画像におけるRGBの強度校正を行うことができる。また、その結果に基づいて、物品200の表面の方向を推定することができる。このことにより、物品200の表面が平坦でない場合にも、物品200の外観検査を行うことができる。また、物品200の表面の方向を変えることで、カメラ80で撮像される反射光の色成分が変化するため、例えば、反射率の波長依存性が互いに異なる複数の物品200に関し、同じ検査システム100で外観検査を行うことができる。
【0080】
なお、前述したように、物品200の表面の方向によっては、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分、G成分及びB成分のすべてが含まれるとは限らない。例えば、当該画像において、R成分のみが含まれることもありうる。よって、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和において、1種類のみの色成分の輝度が含まれていてもよい。また、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和は、R成分、G成分及びB成分のうちいずれか2つの色成分の輝度の和であってもよい。
【0081】
<変形例1>
図9は、本変形例に係る液晶フィルターの平面模式図を示す。
【0082】
図1Aに示す検査システム100において、カラーフィルター20を
図9に示す液晶フィルター22に置き換えてもよい。なお、液晶フィルター22も一般的なカラーフィルターに含まれることは言うまでもない。
【0083】
この場合も、実施形態1に示す態様で液晶フィルター22における色分布が設定される。ただし、前述したように、物品200の表面の方向によっては、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分、G成分及びB成分のすべてが含まれるとは限らない。
【0084】
よって、液晶フィルター22は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度のうち少なくとも2つが、物品200に対する検査光の入射方向によらずそれぞれ同じとなるように構成される。
【0085】
あるいは、実施形態2に示す態様で液晶フィルター22における色分布が設定されてもよい。つまり、液晶フィルター22は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和が、物品200に対する検査光の入射方向によらず同じとなるように構成される。この場合、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和において、1種類のみの色成分の輝度が含まれていてもよい。また、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和は、R成分、G成分及びB成分のうちいずれか2つの色成分の輝度の和であってもよい。
【0086】
なお、これらの色分布を実現するために、液晶フィルター22において、赤色光を透過する赤色フィルター(以下、Rフィルターという)と、緑色光を透過する緑色フィルター(以下、Gフィルターという)と、青色光を透過する青色フィルター(以下、Bフィルターという)との配列関係は、適宜変更されうる。つまり、液晶フィルター22において、RフィルターとGフィルターとBフィルターとの配列関係は、
図9に示す例に特に限定されない。
【0087】
また、液晶フィルター22に限定されず、RフィルターとGフィルターとBフィルターとがモザイク状あるいはブロック状に配置されたカラーフィルターを用いてもよい。
【0088】
つまり、本変形例の検査システム100において、面光源10は白色の検査光を出射する。一方で、カラーフィルターは、Rフィルターと、Gフィルターと、Bフィルターとが、平面的に配置されて構成される。
【0089】
本変形例によれば、実施形態1や実施形態2に示す構成が奏するのと同様の効果をすすることができる。つまり、カメラ80で撮像された画像におけるRGBの強度校正を行うことができる。また、その結果に基づいて、物品200の表面の方向を推定することができる。このことにより、物品200の表面が平坦でない場合にも、物品200の外観検査を行うことができる。また、物品200の表面の方向を変えることで、カメラ80で撮像される反射光の色成分が変化するため、例えば、反射率の波長依存性が互いに異なる複数の物品200に関し、同じ検査システム100で外観検査を行うことができる。
【0090】
なお、面光源10と液晶フィルター22とが一体化されて、液晶ディスプレイとして構成されてもよい。この場合、一体化された液晶ディスプレイは、
図1Aにおけるカラーフィルター20の位置に配置される。なお、面光源10は、白色光を発するライン光源(図示せず)と光拡散版(図示せず)とで構成されてもよい。
【0091】
<変形例2>
図10は、本変形例に係る検査システムの概略構成図を示し、
図11は、面光源の平面模式図を示す。
【0092】
図10に示す検査システム100は、
図1Aに示す検査システム100に対して、カラーフィルター20が省略されている点及び面光源11が
図1Aにおけるカラーフィルター20の位置に配置されている点で異なる。また、
図11に示すように、面光源11が、LED光源11R,11G,11Bがモザイク状に配列された構成である点で異なる。なお、LED光源11Rは赤色光を出射する。LED光源11Gは緑色光を出射する。LED光源11Bは青色光を出射する。
【0093】
この場合、面光源11から出射される検査光の色分布は、実施形態1に示す態様で設定される。ただし、前述したように、物品200の表面の方向によっては、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分、G成分及びB成分のすべてが含まれるとは限らない。
【0094】
よって、面光源11から出射される検査光は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度のうち少なくとも2つが、物品200に対する検査光の入射方向によらずそれぞれ同じとなるように構成される。
【0095】
あるいは、実施形態2に示す態様で色分布が設定されてもよい。つまり、面光源11から出射される検査光は、カメラ80で撮像された物品200の画像において、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和が、物品200に対する検査光の入射方向によらず同じとなるように構成される。なお、実施形態2に示したのと同様に、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和において、1種類のみの色成分の輝度が含まれていてもよい。また、R成分の輝度とG成分の輝度とB成分の輝度との和は、R成分、G成分及びB成分のうちいずれか2つの色成分の輝度の和であってもよい。
【0096】
なお、これらの色分布を実現するために、面光源11において、LED光源11R,11G,11Bの配列関係は、適宜変更されうる。つまり、面光源11において、LED光源11R,11G,11Bの配列関係は、
図11に示す例に特に限定されない。
【0097】
つまり、本変形例の検査システム100において、面光源11は、赤色光を出射する赤色光源であるLED光源11Rと、緑色光を出射する緑色光源であるLED光源11Gと、青色光を出射する青色光源LED光源11Bとが、平面的に配置されて構成される。
【0098】
本変形例によれば、実施形態1や実施形態2に示す構成が奏するのと同様の効果をすすることができる。つまり、カメラ80で撮像された画像におけるRGBの強度校正を行うことができる。また、その結果に基づいて、物品200の表面の方向を推定することができる。このことにより、物品200の表面が平坦でない場合にも、物品200の外観検査を行うことができる。また、物品200の表面の方向を変えることで、カメラ80で撮像される反射光の色成分が変化するため、例えば、反射率の波長依存性が互いに異なる複数の物品200に関し、同じ検査システム100で外観検査を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本開示の検査システムは、物品の表面の方向推定が可能であるとともに撮像された画像のカラーバランスの校正が可能なため、物品の外観検査に用いる上で有用である。
【符号の説明】
【0100】
10,11 面光源
20,21 カラーフィルター
22 液晶フィルター(カラーフィルター)
30 レンズ
40 筐体
50 照明装置
60 ハーフミラー(光学部材)
70 支持台
80 カメラ(撮像装置)
100 検査システム
200 物品