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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019626
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20230202BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20230202BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A61F13/511 500
A61F13/514 400
A61F13/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124516
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 智恵子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA13
3B200BB03
3B200BB17
3B200CA14
3B200CA15
3B200DB11
3B200DD09
3B200DF03
3B200DF08
3B200DF09
(57)【要約】
【課題】介助者が、吸収性物品内での吸収体の存在位置を正確に知ることができ、かつ、吸収性物品を被介護者の衣類に当てる際の目印及び被介護者の排尿位置を知ることができる、吸収性物品を提供する。
【解決手段】液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシートとバックシートの間に吸収体と、を設けた吸収性物品であって、肌当接面側と非肌当接面側の双方において、吸収性物品を長手方向に三等分する位置にそれぞれ、吸収性物品を幅方向に略直線状に横断する長手方向目印が設けられ、長手方向目印の幅方向両端部において、長手方向目印の前後にそれぞれ、略楕円形の調整用目印が設けられ、吸収性物品の長手方向両端部にそれぞれ、吸収性物品の幅方向中央を示す幅方向目印が設けられ、幅方向目印同士を結ぶように略直線状に、水分と接触すると顕色する部材が塗布されている、吸収性物品を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に吸収体と、を設けた吸収性物品であって、
吸収性物品の長手方向の寸法は、200mm以上300mm以下であり、
肌当接面側と非肌当接面側の双方において、吸収性物品を長手方向に三等分する位置にそれぞれ、吸収性物品を幅方向に略直線状に横断する長手方向目印が設けられ、
前記長手方向目印の幅方向両端部において、前記長手方向目印の前後にそれぞれ、略楕円形の調整用目印が設けられ、
吸収性物品の長手方向両端部にそれぞれ、吸収性物品の幅方向中央を示す幅方向目印が設けられ、
前記幅方向目印同士を結ぶように略直線状に、水分と接触すると顕色する部材が塗布されていることを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
吸収性物品の製品形態は個包装折りであり、
前記個包装折りにおける折り目の位置に前記長手方向目印が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記長手方向目印の幅方向両端部及び/又は前記調整用目印が設けられた位置に、吸収性物品の内側に凸する形状の切り欠き構造が設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記部材はホットメルト系インクであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記ホットメルト系インクは、吸収性物品の肌当接面側に連続的に塗布されていることを特徴とする、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収体は、不織布シート単独又は不織布シートの繊維間に高吸収性ポリマー粒子を固定したシートであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記不織布シートは、スパンボンド不織布に水流交絡でパルプを打ち込んだ複合不織布のシートであることを特徴とする、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
吸収量が20g以上400g以下であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面に目印が設けられた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、で構成されている。
【0003】
おりものシートや軽失禁ケア製品に分類される吸収性物品は、対象とする使用者の症状の程度によって吸収性物品の長手方向の寸法が異なるが、症状の程度が軽い使用者向けの物は長手方向の寸法も短い。一方で、介護向けの紙おむつに分類される吸収性物品は、長手方向の寸法は長いが、吸収性物品の吸収目安量も排尿数回分と非常に高い。
【0004】
被介護者の中には、失禁量は非常に少ない(紙おむつ程の商品を着用するほどではない)が、四肢の不自由などの理由から、トイレ介助と排泄ケア製品の使用を要する人もいる。そのような人の排泄ケアには、自立性や経済性、介助のしやすさの面から、紙おむつでなく軽失禁ケア製品を利用したいが、軽失禁ケア製品は吸収目安量が少ない商品ほど長手方向の寸法が短く、介助者(介護する人)が被介護者の下着に装着すると、前後位置が不適当になることが多く、吸収性物品における排尿の的を外しやすいという問題がある。
【0005】
このような課題を解決するための吸収性物品の先行技術として、例えば、特許文献1には吸収本体のほぼ中心に位置する、トップシートの表面を覆うカバーシートの表面に、衣類に対する吸収本体の位置決めを容易にするための目印が設けられており、目印には着色加工が施され、目印の周りの周囲部分には着色処理が施されない、生理用ナプキンが開示されている。
また、特許文献2には、吸収性物品を適切な位置に固定するための目印の視認性が高く、該吸収性物品の位置決めが容易である吸収性物品が開示されている。該吸収性物品において、バックシートには複数の図柄が付されており、エンドフラップ部に、一部の図柄が肌対向面側から視認可能な窓領域を有し、窓領域を通じて視認される図柄は、窓領域を介して視認可能な範囲に縦中心線に対して左右対称の標識図柄を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-240454号公報
【特許文献2】特開2020-171387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1及び2はいずれも介助者(介護する人)のためというよりも着用者(被介護者)の視点から位置決めの目印が考案されているものであって、介助者目線ではないため、尿量が比較的少ないものの一定の介助が必要な被介護者と介助者双方に向けたものではなく、そのような被介護者において適切な装着ができない(すなわち、介助者が適切に装着させることができない)という問題が依然として存在する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、介助者が、吸収性物品内での吸収体の存在位置を正確に知ることができ、かつ、吸収性物品を被介護者の衣類に当てる際の目印及び被介護者の排尿位置を知ることができる、吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行い、所定の長手方向の寸法である吸収性物品において、肌当接面側と非肌当接面側の双方に目印を設け、かつ、該目印の前後にも調整用目印を設け、更に、吸収性物品の幅方向中央を横断するように水分と接触すると顕色する部材を略直線状に塗布することで、介助者が、吸収性物品内での吸収体の存在位置を正確に知ることができ、かつ、吸収性物品を被介護者の衣類に当てる際の目印及び被介護者の排尿位置を知ることができる、吸収性物品とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0010】
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記トップシートと上記バックシートの間に吸収体と、を設けた吸収性物品であって、吸収性物品の長手方向の寸法は、200mm以上300mm以下であり、肌当接面側と非肌当接面側の双方において、吸収性物品を長手方向に三等分する位置にそれぞれ、吸収性物品を幅方向に略直線状に横断する長手方向目印が設けられ、上記長手方向目印の幅方向両端部において、上記長手方向目印の前後にそれぞれ、略楕円形の調整用目印が設けられ、吸収性物品の長手方向両端部にそれぞれ、吸収性物品の幅方向中央を示す幅方向目印が設けられ、上記幅方向目印同士を結ぶように略直線状に、水分と接触すると顕色する部材が塗布されていることを特徴とする、吸収性物品である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、吸収性物品の製品形態は個包装折りであり、上記個包装折りにおける折り目の位置に上記長手方向目印が設けられることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の吸収性物品であって、上記長手方向目印の幅方向両端部及び/又は上記調整用目印が設けられた位置に、吸収性物品の内側に凸する形状の切り欠き構造が設けられることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の吸収性物品であって、上記部材はホットメルト系インクであることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(4)に記載の吸収性物品であって、上記ホットメルト系インクは、吸収性物品の肌当接面側に連続的に塗布されていることを特徴とするものである。
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載の吸収性物品であって、上記吸収体は、不織布シート単独又は不織布シートの繊維間に高吸収性ポリマー粒子を固定したシートであることを特徴とするものである。
(7)本発明の第7の態様は、(6)に記載の吸収性物品であって、上記不織布シートは、スパンボンド不織布に水流交絡でパルプを打ち込んだ複合不織布のシートであることを特徴とするものである。
(8)本発明の第8の態様は、(1)から(7)のいずれかに記載の吸収性物品であって、吸収量が20g以上400g以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、介助者が、吸収性物品内での吸収体の存在位置を正確に知ることができ、かつ、吸収性物品を被介護者の衣類に当てる際の目印及び被介護者の排尿位置を知ることができる、吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の吸収性物品をトップシート側から見た平面図である。
図2】本発明の吸収性物品をバックシート側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0014】
また、本明細書の説明において、吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、肌当接面とは、吸収性物品1の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、非肌当接面とは、吸収性物品1の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側(下着側)に向けられる面である。さらに、吸収性物品1としては、特に軽失禁用製品が例示される。
【0015】
<吸収性物品>
図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品1をトップシート10側から見た平面図であり、図2は、本発明の実施形態に係る吸収性物品1をバックシート20側から見た平面図である。本発明の吸収性物品1は、液透過性のトップシート10と液不透過性のバックシート20と、トップシート10とバックシート20との間に吸収体30とを設ける。
なお、吸収性物品1は、長手方向の寸法は200mm以上300mm以下である。また、幅方向の寸法は50mm以上170mm以下であることが好ましい。各寸法が上記の数値範囲内であることにより、軽失禁用製品に適した吸収性物品1を得ることができる。また、吸収性物品1の長手方向の寸法が上記の数値範囲内であることにより、被介護者に吸収性物品1を装着するときも、排尿の位置を外しにくくなる。
【0016】
また、吸収性物品1の吸収量は20g以上400g以下であることが好ましい。吸収量が上記の数値範囲内であることにより、失禁量が少ない被介護者にも対応できる吸収性物品1を得ることができる。
吸収量の測定方法としては、個包装体や剥離紙などを除いた吸収性物品を0.9%生理食塩水に10分間浸し、金網の上にトップシートを下にして置き30秒間水切りをする。そして、吸収前後の重量変化量(g)を、吸収量とする。また、吸収量は表示吸収目安量という表記で、吸収性物品1の製品パッケージ等に記載することができる。
【0017】
<トップシート>
トップシート10は、尿が吸収体30へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されればよく、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布など公知の親水性不織布等を使用できる。また、トップシート10には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート10には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
強度、加工性及び液戻り量の点から、トップシート10の坪量は、13g/m以上200g/m以下であることが好ましく、15g/m以上30g/m以下であることがより好ましい。トップシート10の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体30へと誘導するために必要とされる、吸収体30を覆う形状であればよい。
【0018】
<バックシート>
バックシート20は、吸収体30が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、通気性又は非通気性である、不透液性のポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムを使用できる。
【0019】
強度及び加工性の点から、バックシート20の坪量は、13g/m以上40g/m以下であることが好ましく、15g/m以上30g/m以下であることがより好ましい。バックシート20に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート20にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0020】
<吸収体>
本発明の吸収性物品1において、吸収体30の長手方向の最長幅LOの寸法は、150mm以上290mm以下であることが好ましく、200mm以上290mm以下であることがより好ましい。また、吸収体30の幅方向の最長幅WOの寸法は、60mm以上120mm以下であることが好ましく、70mm以上100mm以下であることがより好ましい。
【0021】
(不織布)
吸収体30は、不織布シート単独であるか、又は不織布シートの繊維間に高吸収性ポリマー(以下、SAPとも称する)粒子を固定したシートであることが好ましい。吸収体30がシート状であることにより、吸収体30が薄くなり、それによって介助者が扱いやすい吸収性物品1とすることができる。なお、不織布に高吸収性ポリマー粒子を固定したシート(SAPシート)は、あらかじめ市販されているシートを用いてもよい。
吸収体30に用いることができる不織布としては、エアレイド不織布等の親水性不織布を用いることができ、また、スパンボンド不織布に水流交絡でパルプを打ち込んだ複合不織布であってもよい。そのような複合不織布としては、例えばハイドロニット(登録商標)不織布が挙げられる。ハイドロニット不織布とは、米国キンバリークラーク社の商品名で、米国特許第5284703号明細書に開示されているように、ポリプロピレン不織布にパルプを、バインダー(接着剤)を使わずに、高水圧(ウォータージェット)で強固に絡めてシート化したもので、強度、吸収性に優れた素材である。
【0022】
(高吸収性ポリマー)
吸収体30に含まれる高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。
また、吸収体30が高吸収性ポリマーを含む場合、吸収体30全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、高吸収性ポリマーの重量/吸収体30全体の重量×100(%)が、10%以上80%以下であることが好ましく、20%以上70%以下であることがより好ましい。
【0023】
<目印>
本発明の吸収性物品1は、図1及び図2に示すように、肌当接面側と非肌当接面側の双方において、吸収性物品1を長手方向に三等分する位置にそれぞれ、吸収性物品1を幅方向に略直線状に横断する長手方向目印40が設けられている。長手方向目印40が設けられることにより、介助者が被介護者の下着に吸収性物品1を装着するときに、長手方向目印40が装着位置及び吸収体30の位置を下着のクロッチ位置に合わせるための目印として機能し、吸収性物品1を装着しやすくなる。
【0024】
なお、本発明の吸収性物品1の製品形態は特に限定されないが、中でも個包装折りであることが好ましく、個包装折りにおける折り目の位置に、長手方向目印40が設けられる(すなわち、個包装で三つ折りになった吸収性物品1の折り目の位置にそれぞれ長手方向目印40が設けられる)ことが好ましい。折り目の位置と長手方向目印40の位置が同じであることにより、より吸収性物品1の位置を下着のクロッチの位置に合わせやすくなる。
【0025】
また、図1及び図2に示すように、長手方向目印40の幅方向両端部において、長手方向目印40の前後にそれぞれ、略楕円形の調整用目印50が設けられることが好ましい。調整用目印50が設けられることにより、2回目以降に介助者が被介護者に吸収性物品1を装着する際、使用済みの吸収性物品1と新しい吸収性物品1を突き合わせ、介助者が被介護者個人の排尿位置に合わせて新しい吸収性物品1の位置を調整することができ、吸収性物品1の装着位置を調整しやすくなる。
このとき、調整用目印50の幅方向の寸法は、0.2mm以上7mm以下であることが好ましい。また、各々の調整用目印50とそれに長手方向上で最も近い長手方向目印40との、吸収性物品1の長手方向に平行な距離は、5mm以上10mm以下であることが好ましい。なお、調整用目印50は視認性を損なわなければ形状は特に限定されず、略矩形状や、略三角形状でも構わない。調整用目印50は吸収性物品1の肌当接面側のみに設けられてもよいが、図2に示すように非肌当接面側にも設けられることが好ましい。
【0026】
なお、長手方向目印40の幅方向両端部及び/又は調整用目印50が設けられた位置に、吸収性物品1の内側に凸する形状の切り欠き構造が設けられることが好ましい(図示しない)。切り欠き構造が設けられることにより、位置合わせの箇所(長手方向目印40及び/又は調整用目印50)が強調され、吸収性物品1の装着位置をより調整しやすくなる。
【0027】
さらに、吸収性物品1の長手方向両端部にそれぞれ、吸収性物品1の幅方向中央を示す幅方向目印60が設けられる。幅方向目印60が設けられることにより、吸収性物品1の幅方向中央を目立たせることになり、下着に装着する際の吸収性物品1の左右のゆがみを見つけやすく、それによって吸収性物品1の形や装着位置を直しやすくなる。幅方向目印60は吸収性物品1の肌当接面側にのみ設けられることが好ましいが、非肌当接面側にも設けられてもよい(図示しない)。
【0028】
上述した長手方向目印40、調整用目印50及び幅方向目印60は、吸収性物品1のいずれの構成部材に設けられてもよいが、印刷が容易なバックシート20に印刷することで設けられることが好ましい。印刷方法は制限なく使用できる。また、バックシート20のみの印刷では、肌当接面側から目視した際に構成部材の重なりによって目印が不明瞭になることもあるので、トップシート10や吸収体30を構成する部材に印刷することもできる。そのような場合は、ホットメルト系インクが印刷されて設けられることが好ましい。印刷方式としてはインクジェット印刷が好ましい。ホットメルト系インクの吐出方式は、特に制限はなく、サーマル方式、ピエゾ方式等を用いることができる。また、ホットメルト系インクは、120℃で0.1Pa.s以下の溶融粘度を有することが好ましく、0.06Pa.s以下の溶融粘度を有することがより好ましい。
【0029】
ホットメルト系インクとしては、上述の溶融粘度を満たすものであれば特に制限はなく、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン等のポリオレフィン、それらの混合物、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、ポリビニルピリジン、ポリエーテル、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、コポリエステル、オレフィン系ブロックコポリマーゴム、ポリスチレン-アクリル共重合体、テルペン樹脂、ロジン流動体、フェノール樹脂、クマロン-インデン樹脂等を用いることができる。これらのホットメルト系インクとしては、例えば、商品名:MDL5800(製造元:イーデーエム株式会社)等を挙げることができる。ホットメルト系インクにおけるバインダーの質量割合は、20%以上50%以下であることが好ましく、30%以上40%以下であることがより好ましい。
【0030】
また、これらのホットメルト系インクは、流動特性等を改善するために、ワックス、オイル等の添加材を含有していてもよい。例えば、ポリアルキレンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、Fischer-Tropschワックス、直鎖1級アルコール、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ステアリン酸アミド、パラフィンワックス及びモンタンワックス、エトキシル化長鎖アルコール等を用いることができる。これらのワックスは単独で又は組み合わせて使用してもよい。ホットメルト系インクにおける添加剤の質量割合は、40%以上70%以下であることが好ましく、50%以上60%以下であることがより好ましい。
【0031】
さらに、これらのホットメルト系インクは、無機顔料、有機顔料又は染料を含有していてもよく、ホットメルト系インクに通常用いられるものであれば特に制限はない。例えば、無機顔料は、二酸化チタン(ホワイト)、カーボンブラック(ブラック)、酸化鉄(レッド、イエロー、ブラウン)、酸化クロム(グリーン)、フェロシアン化第2鉄アンモニウム(ブルー)等を使用することができる。また、例えば、有機顔料は、ジアリライドイエロー(ピグメントイエロー)、フタロシアニンブルー(ピグメントブルー)、レッドレーキ(ピグメントレッド)等を使用することができる。ホットメルト系インクにおける顔料又は染料の質量割合は、0.1%以上20%以下であることが好ましく、0.5%以上10%以下であることがより好ましい。
【0032】
また、これらのホットメルト系インクは、バインダー、添加剤及び顔料又は染料に加え、可塑剤、増量剤、増粘剤、脱泡剤、湿潤剤又は界面活性剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。
【0033】
これらのホットメルト系インクをインクジェット印刷する際には、ホットメルト系インクの温度を60℃以上150℃以下とする工程を有していることが好ましく、70℃以上120℃以下とすることがより好ましい。
【0034】
<インジケーター>
本発明の吸収性物品1において、幅方向目印60同士を結ぶように略直線状に、水分と接触すると顕色する部材が塗布されている。該部材が塗布されている箇所は、図1に示すように、尿と接触すると顕色し、排尿位置を示す、インジケーター70である。インジケーター70が設けられることにより、使用済みの吸収性物品1において介助者が排尿位置を確認して、2回目以降の新しい吸収性物品1の装着の際に、介助者が新しい吸収性物品1において排尿が予想される位置の調整(吸収性物品1の装着位置の調整)がしやすくなる。なお、インジケーター70は吸収性物品1の肌当接面側にのみ設けられることが好ましい。
【0035】
インジケーター70に塗布されている部材は、ホットメルト系インクであることが好ましい。ホットメルト系インクとしては、上述した長手方向目印40、調整用目印50及び幅方向目印60の形成に用いるホットメルト系インクと同様のものであることが好ましく、印刷方法等についても上述した長手方向目印40、調整用目印50及び幅方向目印60の形成において用いられるものを用いることが好ましい。
また、インジケーター70に塗布されているホットメルト系インクには、顔料や染料の代わりに指示薬(水分と接触すると顕色する薬品)が含まれるが、指示薬としては、エチルレッドやブロモフェノールブルー等、指示薬として一般的に用いられているものを使用することができる。なお、ホットメルト系インクは、吸収性物品1の肌当接面側に連続的に塗布されている(すなわち、インジケーター70は吸収性物品1の肌当接面側に、途切れずに連続的に形成されている)ことが好ましい。
【0036】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0037】
1 吸収性物品
10 トップシート
20 バックシート
30 吸収体
40 長手方向目印
50 調整用目印
60 幅方向目印
70 インジケーター
図1
図2