(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001969
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】流路監視システム
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102912
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳生 里紗
(72)【発明者】
【氏名】寺田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】久保 貴博
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050AA01
2G050BA03
2G050BA10
2G050CA10
2G050EA01
2G050EA06
2G050EA10
2G050EB03
2G050EB07
2G050EB10
2G050EC01
2G050EC06
2G050EC10
(57)【要約】
【課題】劣化状態を的確かつ容易に判定することが可能な流路監視システムを提供する。
【解決手段】実施形態の流路監視システムは、流体が流れる流路の劣化状態に関する劣化データを出力するデータ出力部を有する。劣化データは、時間軸に沿って複数取得され、データ出力部は、複数の劣化データを時間軸に沿って並べて出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流路の劣化状態に関する劣化データを出力するデータ出力部
を有し、
前記劣化データは、時間軸に沿って複数取得され、
前記データ出力部は、前記複数の劣化データを時間軸に沿って並べて出力する、
流路監視システム。
【請求項2】
前記劣化データを時間軸に沿って複数取得するデータ取得部
を有し、
前記データ出力部は、前記データ取得部によって取得された前記劣化データについて出力する、
請求項1に記載の流路監視システム。
【請求項3】
前記データ取得部は、前記流体の性質を制御するときに、前記劣化データを時間軸に沿って複数取得する、
請求項2に記載の流路監視システム。
【請求項4】
前記データ取得部は、前記流体に含まれる成分を分析することによって前記劣化データを取得する、
請求項2または3に記載の流路監視システム。
【請求項5】
前記流路は、発電プラントを構成する配管を含む、
請求項1から4のいずれかに記載の流路監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、流路監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントは、重要なインフラストラクチャであって、事故等によって運転が急に停止して電力の供給が不安定になることを回避するために、計画的にメンテナンスが実施されている。
【0003】
発電プラントの構成部品において、流体が流れる流路を構成する配管等の部品は、時間の経過に伴い、腐食が進行し、損傷する場合がある。例えば、排熱回収ボイラを構成する配管(給排水配管、蒸気管など)が腐食によって損傷し、流体(水、蒸気など)が漏れる場合がある。その結果、発電プラント全体の運転を停止する場合がある。
【0004】
このため、発電プラントの信頼性を向上させるために、発電プラントの運転時には、流体の性質(水質など)を管理している。また、発電プラントの点検時には、流路を構成する配管について、たとえば、切断などを行って抜き取り、異常発生状況を確認している。この他に、センサを用いて、流路を構成する配管を監視することなどが行われている。
【0005】
また、流路を流れる流体を捕集し、その捕集した流体中に含まれる成分(元素、イオン、錯体)を分析することによって、流路の劣化状態に関する劣化データを取得すること等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-183801号公報
【特許文献2】特開2014-202603号公報
【特許文献3】特開平8-262186号公報
【特許文献4】特開2005-331262号公報
【特許文献5】特開2007-17186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、流路の環境等に応じて劣化状態の判定基準が異なる。このため、劣化データの値のみでは、劣化状態を的確に判定することが困難な場合がある。劣化状態を的確に判定するには、取得した劣化データが時間軸で変化する履歴を容易に把握する必要がある。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、劣化状態を的確かつ容易に判定することが可能な流路監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の流路監視システムは、流体が流れる流路の劣化状態に関する劣化データを出力するデータ出力部を有する。劣化データは、時間軸に沿って複数取得され、データ出力部は、複数の劣化データを時間軸に沿って並べて出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、劣化状態を的確かつ容易に判定することが可能な流路監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る流路監視システム50を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る発電システム10において、捕集物採取箇所211を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る発電システム10の流路20において、複数の断面を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態に係る発電システム10の流路20において劣化状態を模式的に示す図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態に係る発電システム10の流路20において劣化状態を模式的に示す図である。
【
図4C】
図4Cは、実施形態に係る発電システム10の流路20において劣化状態を模式的に示す図である。
【
図4D】
図4Dは、実施形態に係る発電システム10の流路20において劣化状態を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る流路監視システム50において、流路20の劣化状態に応じてデータ取得部51が取得する劣化データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る流路監視システム50において、データ出力部52が出力する画像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の変形例1において、データ出力部52が出力する画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の変形例2に係る流路監視システム50を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[A]全体構成
図1は、実施形態に係る流路監視システム50を模式的に示す図である。
【0013】
本実施形態において、流路監視システム50は、
図1に示すように、データ取得部51とデータ出力部52とを有し、発電システム10において流体Fが流れる配管で構成された流路20を監視するために設けられている。流路監視システム50は、例えば、演算器とメモリとを含み、メモリが記憶しているプログラムを用いて演算器が演算処理を行うことで、各部として機能するように構成されている。
【0014】
[A-1]発電システム10
流路監視システム50の説明の前に、流路監視システム50の監視対象である流路20を含む発電システム10について説明する。
【0015】
図1に示すように、発電システム10は、タービン等である主機11と加熱器等である補機12との間において、流体Fが循環して流れるように流路20が構成されている。発電システム10において、流路20は、例えば、配管で構成されている。例えば、発電システム10が蒸気タービン発電システムである場合には、流路20は、例えば、ボイラを構成する配管、ボイラに水を供給するための配管、ボイラから蒸気タービンに蒸気を供給するための配管、蒸気タービンから排出された蒸気が流れる配管である。この他に、流路20は、タービンの駆動によって発電を行う発電機について冷却するための冷却媒体が流れる配管であってもよい。
【0016】
流路20には、複数の捕集物採取箇所211,212,221,222が間を隔てて設けられている。複数の捕集物採取箇所211,212,221,222のそれぞれにおいては、例えば、流体Fが捕集物として捕集される。
【0017】
図2は、実施形態に係る発電システム10において、捕集物採取箇所211を模式的に示す図である。
図2では、捕集物採取箇所211を示しているが、捕集物採取箇所211以外の他の捕集物採取箇所212,221,222も同様に構成されている。
【0018】
図2に示すように、捕集物採取箇所211においては、流体Fが流れる流路20を迂回するバイパス流路BP211が設けられている。バイパス流路BP211には、バイパス弁V211と捕集物タンク211aとが設けられている。捕集物タンク211aは、流体Fの流れ方向においてバイパス弁V211よりも下流側に設置されている。捕集物採取箇所211において、捕集物の捕集を行うときは、バイパス弁V211を開状態にすることで、流体Fを捕集物として捕集物タンク211aで捕集する。これに対して、捕集物の捕集を行わないときは、バイパス弁V211を全閉状態にする。
【0019】
図3は、実施形態に係る発電システム10の流路20において、複数の断面を示す図である。
図3においては、流体Fの流れ方向に並ぶ、第1面から第5面について順次示している。
【0020】
図3に示すように、配管である流路20の内面には、形成物201,202,203が形成される。発電システム10の流路20は、各断面において環境(温度など)が異なるので、各断面においては、材料が異なる形成物201,202,203が形成される場合がある。形成物201,202,203は、たとえば、酸化皮膜である。具体的には、流路20の構成材料が鉄を含む場合、水酸化鉄、マグネタイト、粗錆、ヘマタイト、緻密錆等によって、形成物201,202,203が形成される。たとえば、第1面では、形成物201は、水酸化鉄である。第2面では、形成物202は、マグネタイトや粗錆である。第3面および第4面では、形成物202であるマグネタイトや粗錆と、形成物203であるヘマタイトや緻密錆との積層体である。第5面では、形成物203は、ヘマタイトや緻密錆である。なお、流路20の構成材料が銅を含む場合には、銅の水酸化物、銅の酸化物、銅の塩化物、銅の硫化物等で形成物201,202,203が形成される。また、形成物201,202,203は、水に含有するケイ素やカルシウムなどに起因して堆積したスケールを含む。
【0021】
上記のように、複数の捕集物採取箇所211,212,221,222のそれぞれにおいては、剥離した形成物201,202,203などの固形分を含む流体Fが捕集物として捕集される場合がある。捕集物は、固形分として、剥離した形成物201,202,203の他に、流路20の構成材料が削り取られた破片を含む。このため、捕集物タンク211aは、固形分と液体成分とを分離するために、フィルタ(図示省略)を備えていてもよい。フィルタの他に、イオン交換樹脂、吸着材などを、捕集物タンク211aが備えていてもよい。
【0022】
[A-2]流路監視システム50
つぎに、流路監視システム50を構成する各部について順次説明する。
【0023】
[A-2-1]データ取得部51
流路監視システム50のうち、データ取得部51は、発電システム10において流体Fが流れる流路20の劣化状態に関する劣化データを取得するために設けられている。データ取得部51は、劣化データを時間軸に沿って複数取得し、その取得した劣化データを記憶する。
【0024】
データ取得部51は、複数の捕集物採取箇所211,212,221,222のそれぞれにおいて捕集した捕集物に関して測定や分析を行うことで劣化データを取得する。ここでは、複数の捕集物採取箇所211,212,221,222のそれぞれで捕集された捕集物の特性をセンサ(図示省略)が検知した検知データ、および、その検知データについて処理することで求められた各種データ等が劣化データとして取得される。
【0025】
たとえば、上記した形成物201,202,203などの固形分を含む流体Fを捕集物として捕集した場合には、データ取得部51は、濁度、電導度、pH、溶存酸素濃度などの値を測定することで、劣化データを取得する。また、データ取得部51は、捕集物に関して前処理(酸処理やアルカリ処理等)を施した後に、前処理後の捕集物に関して、全鉄濃度、および、他の含有元素の分析を行うことで、劣化データを取得してもよい。
【0026】
この他に、捕集物に含まれる固形物を分離した後に、固形物について各種分析を行うことで劣化データを取得してもよい。例えば、エネルギー分散型X線分析(SEM-EDX、SEM-EDS、TEM-EDS、FE-TEM)、電子線マイクロアナライザー(EPMA)、発光分光分析を行うように構成されていてもよい。たとえば、金属元素価数と酸素との比率を解析することによって、固形物の酸化状態(すなわち酸化皮膜に関する情報)を劣化データとして取得できる。固形物が流路20を構成する成分(たとえば、鉄)以外の成分である場合には、異物が混入した状況を把握することができる。捕集物に含まれる固形物を分離した液体については、イオン成分などの各種分析を実施してもよい。
【0027】
データ取得部51は、測定や分析の対象に応じて、適宜、構成可能である。
【0028】
図4Aから
図4Dは、実施形態に係る発電システム10の流路20において劣化状態を模式的に示す図である。
図5は、実施形態に係る流路監視システム50において、流路20の劣化状態に応じてデータ取得部51が取得する劣化データの一例を示す図である。
【0029】
図4Aでは、流路20を構成する配管H20の内面に保護皮膜221が形成された[ケース1]の場合の様子を示しており、流路20においては酸化反応と還元反応とが平衡した状態になるため、イオンの溶出および皮膜の剥離が進行しない。
図4Bでは、流路20を構成する配管H20の内面の全体が腐食して、酸化皮膜である腐食膜222で被覆された[ケース2]の場合の様子を示しており、流体Fが高速である場合には腐食膜222の剥離が僅かに生じ、イオンの溶出も生ずる場合がある。
図4Cでは、流路20を構成する配管H20において、局所的に「流れ加速型腐食」(FAC;Flow-accelerated corrosion)が生じた[ケース3]の場合の様子を示しており、主にイオンの溶出が進行する。
図4Aでは、流路20を構成する配管H20の内面において、エロージョンおよびコロージョンが生じた[ケース4]の場合について示しており、腐食膜222を剥離させる作用が強い。
【0030】
図5では、[ケース1]から[ケース4]のそれぞれの場合において、データ取得部51が取得する劣化データの一例を示している。[ケース1]から[ケース4]のそれぞれにおいて、流路20は、上述した状況であるため、
図5に示すように、各種の劣化データが取得される。
【0031】
[A-2-2]データ出力部52
流路監視システム50のうち、データ出力部52は、データ取得部51によって取得した劣化データについて出力するために設けられている。ここでは、データ出力部52は、データ取得部51において時間軸に沿って取得された複数の劣化データを時間軸に沿って並べて出力する。
【0032】
データ出力部52は、例えば、ディスプレイ(図示省略)を含み、複数の劣化データが時間軸に沿って並んだ画像を生成し、その画像をディスプレイの画面に表示することによって、劣化データの出力を実施するように構成されている。
【0033】
図6は、実施形態に係る流路監視システム50において、データ出力部52が出力する画像の一例を示す図である。
【0034】
図6において、横軸は、時間tであり、縦軸は、流路20を構成する配管の厚みDである。横軸である「時間t」において、「時点t0」は、初期点検時(運転開始前)であり、「時点t1」は、第1回目の点検時であり、「時点t2」は、第2回目の点検時であり、「時点t3」は、第3回目の点検時である。縦軸である「配管の厚みD」において、厚みD0は、初期の厚みであり、厚みD1は、次回の点検時に交換を推奨する厚み(次回交換推奨厚み)であり、厚みD2は、交換を推奨する厚み(交換推奨厚み)であり、厚みD3は、配管が圧力に耐える限界の厚み(耐圧限界厚み)である。
【0035】
図6に示すように、データ出力部52は、たとえば、流路20を構成する配管の厚みDを劣化データとして時間軸に沿って並べたグラフの画像を画面に表示する。配管の厚みDは、たとえば、流路20を流れる流体Fについて測定等を行った結果からデータ取得部51が算出することで取得した劣化データであって、各点検時(t0、t1,t2,t3)の他に、発電システム10が運転を行っている期間においても取得され、データ出力部52において出力が行われる。
【0036】
このため、
図6に示すように、第2回目の点検時(t2)に配管の厚みDが次回交換推奨厚みD1になった後に、予測に反して、配管の厚みDが、第3回目の点検時(t3)よりも前の時点txで交換推奨厚みD2に達した場合であっても、その劣化状況を容易に把握することができる。その結果、配管の厚みDが更に耐圧限界厚みD3よりも薄くなって、流体Fが漏洩することを防止可能である。
【0037】
データ出力部52は、たとえば、複数の捕集物採取箇所211,212,221,222のそれぞれについてデータ取得部51が取得した劣化データに関して時間軸に沿って並べて出力する。これにより、流路20の各位置における劣化状態を容易に把握することができる。
【0038】
なお、データ出力部52は、ディスプレイ(図示省略)の他に、例えば、プリンタを含み、複数の劣化データが時間軸に沿って並んだ画像を紙面に印刷することによって、劣化データの出力を実施するように構成されていてもよい。
【0039】
[A-3]その他
流路監視システム501を構成する各部の動作は、制御装置(図示省略)によって制御される。制御装置は、たとえば、メモリ装置が記憶しているプログラムを用いて演算器が演算処理を行うことで、流路監視システム50を構成する各部の動作を制御する。ここでは、制御装置は、オペレータが入力した操作指令などが入力信号として入力される。そして、制御装置は、その入力された操作指令などの入力信号に基づいて、流路監視システム50を構成する各部に制御信号を出力する。これにより、流路監視システム50の各部が上記した動作を実行する。
【0040】
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の流路監視システム50は、発電システム10において流体Fが流れる流路20の劣化状態に関する劣化データをデータ出力部52が時間軸に沿って並べて出力する。このため、本実施形態では、流路20の劣化状態を容易に判定することが可能であって、流路20の補修などの運用管理を的確に実施可能であるので、流路20から流体Fが漏洩することを防止することができる。
【0041】
[C]変形例
上記実施形態の変形例に関して説明する。
【0042】
[C-1]変形例1
変形例1では、流体Fの性質を制御するときに、データ取得部51が劣化データを時間軸に沿って複数取得する。具体的には、流体Fに薬剤(防錆剤、pH調整剤、洗浄剤等)を添加する処理を実施することで流体Fの性質を制御するときに、劣化データの取得を時間軸に沿って実施する。そして、データ取得部51において時間軸に沿って取得された複数の劣化データをデータ出力部52が時間軸に沿って並べて出力する。
【0043】
図7は、実施形態の変形例1において、データ出力部52が出力する画像の一例を示す図である。
【0044】
図7において、横軸は、時間t(運転時間)を示し、縦軸は、流路20を構成する配管の厚みが減少する減肉速度Vを示している。
図7では、「OT」は、酸素処理を実行した場合であり、「AVT」は、pH水処理を実行した場合であり、「トラブル時」は、流れ加速型腐食(FAC)によるトラブルが発生した場合を示している。縦軸である「減肉速度V」において、「Hematite」、「Magnetite」、「Fe-OOH」、および、「FAC(Fe)」と示した破線は、それぞれ、検出される検出比率を示している。
【0045】
図7に示すように、データ出力部52は、たとえば、流路20を構成する配管の厚みが減少する減肉速度Vを劣化データとして時間軸に沿って並べたグラフの画像を画面に表示する。減肉速度Vは、たとえば、流路20を流れる流体Fについて測定等を行った結果からデータ取得部51が算出することで取得した劣化データである。
図7に示すように、データ出力部52が画像を表示することによって、流体Fの性質を制御したときの劣化状況の変化を容易に把握することができる。
【0046】
[C-2]変形例2
図8は、実施形態の変形例2に係る流路監視システム50を模式的に示す図である。
【0047】
図8に示すように、変形例2では、流路監視システム50は、判定部53を更に備える。判定部53は、データ取得部51によって取得された劣化データに基づいて、流路20の劣化状態に関して判定を行うように構成されている。
【0048】
判定部53は、たとえば、固形分の濃度、全鉄濃度、固形分の材質、鉄イオン濃度、電導度が劣化データとしてデータ取得部51から入力され、その劣化データの組合せに応じて、流路20の劣化状態を判定する。
【0049】
たとえば、固形分の濃度が閾値を超える場合において、全鉄濃度が閾値を超え、固形分の材質がFe3O4であり、かつ、鉄イオン濃度が閾値を超える場合には、判定部53は、流れ加速型腐食、エロージョン、コロージョンが発生していると判定する。固形分の濃度が閾値を超える場合において、全鉄濃度が閾値を超えるが、固形分の材質が水酸化物である場合には、判定部53は、流れ加速型腐食が発生していると判定する。固形分の濃度が閾値を超えるが、全鉄濃度が閾値以下である場合には、判定部53は、非鉄酸化物の発生や局所的にFe2+イオンが溶出していると判定する。
【0050】
また、たとえば、固形分の濃度が閾値以下である場合において、電導度が閾値を超え、かつ、鉄イオン濃度が閾値を超える場合には、判定部53は、流れ加速型腐食が発生していると判定する。固形分の濃度が閾値以下である場合において、電導度が閾値を超えるが、鉄イオン濃度が閾値以下である場合には、判定部53は、腐食成分の混入が発生していると判定する。固形分の濃度が閾値以下であり、かつ、電導度が閾値以下である場合には、判定部53は、保護皮膜が形成された状態であって安定状態であると判定する。
【0051】
[C-3]その他
上記の実施形態では、データ取得部51とデータ出力部52との間がオンラインで接続されている場合について説明したが、これに限らない。データ取得部51とデータ出力部52との間がオフライン状態であってもよい。同様に、データ取得部51と判定部53との間についてもオンラインとオフラインとのいずれの状態であってもよい。
【0052】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10:発電システム、11:主機、12:補機、20:流路、50:流路監視システム、51:データ取得部、52:データ出力部、53:判定部、201:形成物、202:形成物、203:形成物、211,212,221,222:捕集物採取箇所、211a:捕集物タンク、221:保護皮膜、222:腐食膜、501:流路監視システム、BP211:バイパス流路、F:流体、H20:配管、V211:バイパス弁