(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001973
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】信号機
(51)【国際特許分類】
G08G 1/095 20060101AFI20221227BHJP
E01F 9/00 20160101ALI20221227BHJP
【FI】
G08G1/095 D
E01F9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102917
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】520060391
【氏名又は名称】門園 富美子
(71)【出願人】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】門園 富美子
【テーマコード(参考)】
2D064
5H181
【Fターム(参考)】
2D064EA03
5H181GG11
5H181GG15
5H181HH11
5H181HH14
5H181HH19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】太陽光により順光で照らされているときも、信号の視認性を向上させる。
【解決手段】信号機のパネル前面に、赤色灯、黄色灯、緑色灯の3色の信号灯のうち少なくとも2色の信号灯が設けられ、かつパネル前面が紫色の構造色塗料により塗装することで信号の視認性を向上する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機のパネル前面に、赤色灯、黄色灯、および緑色灯の3色の信号灯から選ばれる少なくとも2色の信号灯が設けられている信号機であって、
前記パネル前面が紫色の構造色塗料により塗装されている、信号機。
【請求項2】
前記構造色塗料は、扁平なAlフレークの表面を2層のシリカ層により被覆し、かつ2層のシリカ層の界面にAgのナノ粒子層を設けた、構造色顔料を含むことを特徴とする、請求項1の信号機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は信号機に関し、特に信号の視認性を向上させることに関する。
【背景技術】
【0002】
信号機が太陽光により順光で照らされているとき、赤色と緑色を見分けにくいことがある。特に色弱や弱視の人は見分けるのが難しい。また眩しさなどですぐに信号灯の色が見分けられないことがある。現状の信号機では、信号灯の背景色を主にグレーとし、信号灯の上部をカバーで覆い、直射日光が信号に達しないようにしている。しかし現状では、信号の視認性は不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、信号の視認性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の信号機では、パネル前面に、赤色灯、黄色灯、緑色灯の3色の信号灯のうちスクなことも2色の信号灯が設けられ、かつパネル前面が紫色の構造色塗料により塗装されている。
【0005】
構造色塗料は好ましくは、扁平なAlフレークの表面を2層のシリカ層により被覆し、かつ2層のシリカ層の界面にAgのナノ粒子層を設けた、構造色顔料を含んでいる。
【0006】
構造色の紫色塗料は一般に彩度が高い。そして紫は黄色に対する補色で、赤、黄、緑の信号の黄味が強まり、紫の彩度が高いため、補色との対比効果により各色の信号の彩度も高く感じられ、信号を視認しやすくなる。また逆光などで信号が見づらい時も、背景の中に赤、黄、緑の信号が浮かび上がり、信号の視認性が増す。
【0007】
彩度の高い紫の背景の中に信号があるので信号が目立ち、遠距離からでも信号を見やすくなる。すなわち、紫の心理補色である黄色の影響で信号灯が進出色となるために、実際よりも大きく見える。
【0008】
一般的な顔料は光を等方的に散乱するのに対して、構造色顔料では反射光の指向性が高いため、遠距離でも暗くなりにくく、色が視認しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例0011】
図1,
図2に、実施例の信号機2を示す。4は緑色の信号灯、5は黄色の信号灯、6は赤色の信号灯で、蛍光灯、白熱灯などの電球の光を着色したガラスを通して取り出すものでも、LED光源でも良い。カバー8は信号灯4~6の上部を覆い、直射日光により信号灯4~6が視認し難くなることを防止する。信号機2のパネル前面10に信号灯4~6が取り付けられ、パネル前面10、あるいはパネル前面10とカバー8の底面が構造色塗料により紫色に着色されている。
【0012】
構造色塗料は構造色顔料を塗膜中に分散させたもので、
図3に構造色顔料20を示す。21は顔料20の中心にあるAlフレークで、扁平なフレークである。フレーク21の表面を2層のシリカ層22,23が被覆し、シリカ層22,23の界面にAgのナノ粒子層24が設けられている。Agのナノ粒子層24は例えば薄いメッキ膜を設けることにより成膜し、Agのナノ粒子がシリカ層22上にアイランド状に不連続に付着した半透明の層である。シリカ層22,23は透明で気密性と水密性が高く、シリカ層22の膜厚は均一で有る。シリカ層22,23は合成樹脂層などでも良い。Agのナノ粒子層24はシリカ層22、23の界面を部分的に被覆し、金属層24の表面で反射する光と、Agのナノ粒子層24を通過しAlフレーク21の表面で反射する光を発生させる。
【0013】
顔料20への入射光から、Agのナノ粒子層24で反射する光と、Alフレーク21の表面で反射しシリカ層22を往復する光とが生じ、これらの光が干渉することにより、入射光が白色でも反射光は発色する。反射光の色調は入射光の入射角θにより変化し、同じ構造色塗料でも、見る角度が異なると色調が異なることがある。構造色塗料は一般に彩度が高く鮮やかに見える。
【0014】
構造色顔料20を塗膜形成用の適宜の樹脂と混合したものが、構造色塗料である。構造色は干渉色と呼ばれることもある。またAlフレークを基材とする構造色顔料は、メタリック調の色調を有する。信号機2のパネル前面8あるいはパネル前面10とカバー8の底面を、紫色の構造色顔料により塗装する。紫の構造色塗料を用いると、紫色の彩度が高いので信号機の存在が遠方から視認でき、また彩度が高いため、色相が異なる赤、黄、緑の信号色をより際だたせることができる。
【0015】
紫の構造色塗料で信号機を塗装すると、以下の効果が得られる。紫は黄の補色で、紫は赤と緑からも色相が離れているため、何れの信号色もより視認しやすくなる。このことは補色による効果の一種である。また構造色の紫は彩度が高いので、補色効果がより強まる。
【0016】
逆光などで信号が見えにくい時でも、背景が紫であると、補色の紫の中に信号が浮かんで見え、視認性が高まる。また補色効果により信号の視認性が増すので、遠くからでも信号が明瞭に見える。
【0017】
さらに 紫の構造色塗料により信号機を塗装すると、反射光の指向性が高いため、遠距離でも紫の背景が視認しやすくなる。