(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019744
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】光パワー計測装置、光パワー計測方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20230202BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G01J1/42 D
G01J1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124698
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 拡平
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 智仁
(72)【発明者】
【氏名】井原 健史
(72)【発明者】
【氏名】待永 崇宏
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB09
2G065BA02
2G065BA09
2G065BC33
2G065BC35
2G065DA01
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる光パワー計測装置、光パワー計測方法、及びプログラムを得る。
【解決手段】光パワー計測装置10は、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた画素毎の階調値、及び光射出部から撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得する取得部11Aと、取得部11Aによって取得された画素毎の階調値の合計値と上記計測値との比率に関する値を補正係数として導出する導出部11Bと、光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出部11Bによって導出された補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測する計測部11Cと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた前記画素毎の階調値、及び前記光射出部から前記撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記画素毎の階調値の合計値と前記計測値との比率に関する値を補正係数として導出する導出部と、
前記光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで前記撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、前記導出部によって導出された補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測する計測部と、
を備えた光パワー計測装置。
【請求項2】
前記導出部は、前記合計値の対象とする画素を、少なくとも前記光の受光領域を含む予め定められた領域内の画素に制限する、
請求項1に記載の光パワー計測装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記対象光のパワーを、前記光が前記光射出部から射出されていない状態で得られた光のパワーを減じた値として計測する、
請求項1又は請求項2に記載の光パワー計測装置。
【請求項4】
前記撮像素子は、モノクロ画像を撮像対象としたものである、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の光パワー計測装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記対象光のパワーを、単位面積当たりのパワーとして計測する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の光パワー計測装置。
【請求項6】
計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた前記画素毎の階調値、及び前記光射出部から前記撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得し、
取得した前記画素毎の階調値の合計値と前記計測値との比率に関する値を補正係数として導出し、
前記光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで前記撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出した補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測する、
光パワー計測方法。
【請求項7】
計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた前記画素毎の階調値、及び前記光射出部から前記撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得し、
取得した前記画素毎の階調値の合計値と前記計測値との比率に関する値を補正係数として導出し、
前記光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで前記撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出した補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パワー計測装置、光パワー計測方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コヒーレント光であるレーザ光の特性を利用して光無線給電や長距離光照射の研究が盛んである。これらのシステムは、従来のレーザシステムより遥かに高出力の光強度のレーザ光を空間に放射する。レーザ光は小出力であってもエネルギー密度が高く、人体への悪影響が及ぶ可能性がある。このため、高出力のレーザ光を使用するためには十分な安全機構を設ける必要がある。
【0003】
しかし、高出力レーザ光を用いたレーザシステムは、少量のレーザ光の漏洩(照射面の拡散反射光、空間エアロゾル等による散乱光等)であっても人体へ悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、システム外に漏洩するレーザ光のパワーを計測する必要がある。なお、ここでいう「パワー」は、「仕事率」や「工率」とも呼ばれるものであるが、本明細書では「パワー」と統一して記載する。
【0004】
従来、高出力レーザ光の計測に関する技術として、次の技術があった。
【0005】
特許文献1には、高出力レーザ光を大気中の伝送路に伝搬させるときに、この伝送路の特性を、この伝送路から離れた場所で、伝搬の前に取得し、取得された特性に基づいて高出力レーザの波面を補正する光学システムが開示されている。
【0006】
この光学システムは、第1光路を介して外部のターゲットに向けて光を照射する照射装置と、前記第1光路から離れた第2光路に配置され、前記第1光路の大気環境の、前記光に対する特性を取得する大気特性取得システムと、を具備する。そして、この光学システムは、前記照射装置が、前記特性に基づいて、前記光の波面を補正する波面補正光学系を具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、高出力レーザの波面を補正することはできるものの、簡易な構成でレーザ光の拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができない、という問題点があった。なお、この問題点は可視領域のレーザ光に限るものではなく、赤外領域のレーザ光、太陽光等の光全般に関わる問題点である。
【0009】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、簡易な構成で拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる光パワー計測装置、光パワー計測方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の本発明に係る光パワー計測装置は、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた前記画素毎の階調値、及び前記光射出部から前記撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記画素毎の階調値の合計値と前記計測値との比率に関する値を補正係数として導出する導出部と、前記光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで前記撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、前記導出部によって導出された補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測する計測部と、を備えている。
【0011】
請求項1に記載の本発明に係る光パワー計測装置によれば、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた画素毎の階調値、及び光射出部から撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得し、取得した画素毎の階調値の合計値と計測値との比率に関する値を補正係数として導出し、光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出した補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測することで、補正係数が導出された後は撮像素子を用いて光のパワーを計測することができるため、簡易な構成で拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0012】
請求項2に記載の本発明に係る光パワー計測装置は、請求項1に記載の光パワー計測装置であって、前記導出部が、前記合計値の対象とする画素を、少なくとも前記光の受光領域を含む予め定められた領域内の画素に制限するものである。
【0013】
請求項2に記載の本発明に係る光パワー計測装置によれば、上記合計値の対象とする画素を、少なくとも光の受光領域を含む予め定められた領域内の画素に制限することで、より高精度に拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係る光パワー計測装置は、請求項1又は請求項2に記載の光パワー計測装置であって、前記計測部が、前記対象光のパワーを、前記光が前記光射出部から射出されていない状態で得られた光のパワーを減じた値として計測するものである。
【0015】
請求項3に記載の本発明に係る光パワー計測装置によれば、対象光のパワーを、光が光射出部から射出されていない状態で得られた光のパワーを減じた値として計測することで、より高精度に拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0016】
請求項4に記載の本発明に係る光パワー計測装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の光パワー計測装置であって、前記撮像素子を、モノクロ画像を撮像対象としたものとするものである。
【0017】
請求項4に記載の本発明に係る光パワー計測装置によれば、撮像素子を、モノクロ画像を撮像対象としたものとすることで、より低コストで拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0018】
請求項5に記載の本発明に係る光パワー計測装置は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の光パワー計測装置であって、前記計測部が、前記対象光のパワーを、単位面積当たりのパワーとして計測するものである。
【0019】
請求項5に記載の本発明に係る光パワー計測装置によれば、対象光のパワーを、単位面積当たりのパワーとして計測することで、利便性を、より向上させることができる。
【0020】
請求項6に記載の本発明に係る光パワー計測方法は、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた前記画素毎の階調値、及び前記光射出部から前記撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得し、取得した前記画素毎の階調値の合計値と前記計測値との比率に関する値を補正係数として導出し、前記光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで前記撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出した補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測する。
【0021】
請求項6に記載の本発明に係る光パワー計測方法によれば、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた画素毎の階調値、及び光射出部から撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得し、取得した画素毎の階調値の合計値と計測値との比率に関する値を補正係数として導出し、光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出した補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測することで、補正係数が導出された後は撮像素子を用いて光のパワーを計測することができるため、簡易な構成で拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0022】
請求項7に記載の本発明に係るプログラムは、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた前記画素毎の階調値、及び前記光射出部から前記撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得し、取得した前記画素毎の階調値の合計値と前記計測値との比率に関する値を補正係数として導出し、前記光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで前記撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出した補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測する、処理をコンピュータに実行させる。
【0023】
請求項7に記載の本発明に係るプログラムによれば、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた画素毎の階調値、及び光射出部から撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得し、取得した画素毎の階調値の合計値と計測値との比率に関する値を補正係数として導出し、光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出した補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測することで、補正係数が導出された後は撮像素子を用いて光のパワーを計測することができるため、簡易な構成で拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、簡易な構成で拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る光パワー計測装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る光パワー計測装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る光パワー計測装置による補正係数の導出時における計測系の構成の一例を示す側面図である。
【
図4】実施形態に係る光パワー計測装置による補正係数の導出時における計測系の構成の他の一例を示す側面図である。
【
図5】実施形態に係る光パワー計測装置による散乱光のパワーの計測時における計測系の構成の一例を示す側面図である。
【
図6】実施形態に係る補正係数管理情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図7】実施形態に係る補正係数導出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る補正係数導出処理の説明に供する図であり、画像データのマスキングの様子、及びヒストグラムの一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る光パワー計測処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係る光パワー計測処理の説明に供する図であり、画像データのマスキングの様子、及びヒストグラムの一例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る光パワー計測処理の説明に供する図であり、単位面積当たりのパワーの算出の説明に供する斜視図である。
【
図12】実施形態に係る計測結果画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図13】実施形態に係る光パワー計測装置による拡散反射光のパワーの計測時における計測系の構成の他の一例を示す側面図である。
【
図14】実施形態に係る光パワー計測装置による太陽光からの拡散反射光のパワーの測定方法の説明に供する側面図である。
【
図15】実施形態に係る光パワー計測装置による太陽光からの拡散反射光のパワーの測定方法の説明に供する側面図である。
【
図16】実施形態に係る光パワー計測装置による太陽光からの拡散反射光のパワーの測定方法の説明に供する図であり、画像データにマスキングを行わない場合のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図17】実施形態に係る光パワー計測装置による太陽光からの拡散反射光のパワーの測定方法の説明に供する図であり、画像データにマスキングを行う場合のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図18】実施形態に係る光パワー計測装置の応用例の説明に供する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、レーザ光による散乱光のパワーを計測する光パワー計測装置に適用した場合の形態例について説明する。
【0027】
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る光パワー計測装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る光パワー計測装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、
図2は、本実施形態に係る光パワー計測装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。なお、光パワー計測装置10の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る光パワー計測装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16、及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、及び通信I/F部18はバスBを介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0029】
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、補正係数導出プログラム13A及び光パワー計測プログラム13Bが記憶されている。補正係数導出プログラム13Aは、補正係数導出プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの補正係数導出プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。光パワー計測プログラム13Bも、光パワー計測プログラム13Bが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの光パワー計測プログラム13Bの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、補正係数導出プログラム13A及び光パワー計測プログラム13Bの各プログラムを記憶部13から適宜読み出してメモリ12に展開し、当該各プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0030】
また、記憶部13には、補正係数管理情報データベース13Cが記憶される。補正係数管理情報データベース13Cについては、詳細を後述する。
【0031】
一方、通信I/F部18には、撮影装置20及び光パワーメータ30が接続されている。
【0032】
本実施形態に係る撮影装置20は、詳細を後述する光射出部から射出された光を撮像する撮像素子が内蔵されたものであり、本実施形態に係る光パワーメータ30は、当該光射出部から射出された光のパワーを計測するためのものである。
【0033】
本実施形態では、撮影装置20として市販のカメラを適用しているが、これに限るものではない。例えば、光射出部から射出される光に感度を有する撮像素子を備えた専用のカメラを、撮影装置20として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、撮像素子として、CCDイメージセンサを適用しているが、これに限るものではない。例えば、C-MOSイメージセンサを撮像素子として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、光パワーメータ30として、フォトダイオード型のパワーセンサを適用しているが、これに限るものではない。光射出部から射出された光のパワーを検出することができるものであれば、他の形式のパワーセンサであっても光パワーメータ30として適用可能である。
【0034】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る光パワー計測装置10の機能的な構成について説明する。
【0035】
図2に示すように、本実施形態に係る光パワー計測装置10は、取得部11A、導出部11B、及び計測部11Cを含む。光パワー計測装置10のCPU11が補正係数導出プログラム13Aを実行することで、取得部11A及び導出部11Bとして機能する。また、光パワー計測装置10のCPU11が光パワー計測プログラム13Bを実行することで、計測部11Cとして機能する。
【0036】
本実施形態に係る取得部11Aは、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子(以下、単に「撮像素子」という。)の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた画素毎の階調値を取得する。また、取得部11Aは、光射出部から撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値(以下、単に「計測値」という。)を取得する。
【0037】
なお、本実施形態では、光射出部として、可視領域のレーザ光を射出するレーザ素子を適用しているが、これに限るものではない。例えば、赤外領域のレーザ光、太陽光等の他の光源を光射出部として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、撮像素子として、グレイスケールのモノクロ画像を撮像対象としたものを適用しているが、これに限るものではない。例えば、カラー画像を撮像対象としたものを撮像素子として適用する形態としてもよい。ここでいう撮像素子が、上述した撮影装置20に内蔵されているものである。
【0038】
また、本実施形態に係る導出部11Bは、取得部11Aによって取得された画素毎の階調値の合計値(以下、単に「合計値」という。)と計測値との比率に関する値を補正係数として導出する。なお、本実施形態では、上記合計値と計測値との比率に関する値として、計測値を合計値で除算して得られた値を適用しているが、これに限るものではない。例えば、合計値を計測値で除算して得られた値を、上記合計値と計測値との比率に関する値として適用する形態としてもよい。
【0039】
そして、本実施形態に係る計測部11Cは、光射出部から射出された光が何らかの物質(空気中の塵、水蒸気、エアロゾルと呼ばれる微粒子、人が視認することのできるサイズの塵や飛来物等)と干渉して発生する散乱光である対象光(以下、単に「対象光」という。)を撮像することで撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値(期待値に相当。)に対して、導出部11Bによって導出された補正係数による補正を行う。これにより、計測部11Cは、当該対象光のパワーを計測する。このように、本実施形態では、対象光として散乱光を適用しているが、これに限るものではなく、拡散反射光を対象光として適用してもよく、散乱光及び拡散反射光の双方を対象光として適用する形態としてもよい。
【0040】
ここで、本実施形態に係る導出部11Bは、合計値の対象とする画素を、少なくとも光の受光領域を含む予め定められた領域内の画素に制限する。また、本実施形態に係る計測部11Cは、対象光のパワーを、光が光射出部から射出されていない状態で得られた光のパワーを減じた値として計測する。更に、本実施形態に係る計測部11Cは、対象光のパワーを、単位面積当たりのパワーとしても計測する。
【0041】
即ち、本実施形態に係る光パワー計測装置10では、事前準備として、取得部11A及び導出部11Bにより補正係数を導出し、記憶部13に登録しておく。そして、本実施形態に係る光パワー計測装置10では、実際の光射出部から射出された光に応じて発生した散乱光のパワーの計測を、記憶部13に登録しておいた補正係数を用いて行うものとしている。
【0042】
次に、
図3及び
図4を参照して、実施形態に係る光パワー計測装置10による補正係数の導出時における計測系の構成を説明する。
図3は、本実施形態に係る光パワー計測装置10による補正係数の導出時における計測系の構成の一例を示す側面図である。また、
図4は、本実施形態に係る光パワー計測装置10による補正係数の導出時における計測系の構成の他の一例を示す側面図である。
【0043】
補正係数を導出する際に、光パワー計測装置10のユーザ(以下、単に「ユーザ」という。)は、まず、一例として
図3に示すように、光射出部50から射出されたレーザ光Lが受光部に入射されるように光パワーメータ30を配置する。そして、ユーザは、この状態において光射出部50からのレーザ光Lの射出を開始させる操作を行う。この操作により、光パワーメータ30から、光射出部50から射出されたレーザ光Lのパワーを示す信号(以下、「光パワー検出信号」という。)が光パワー計測装置10に送信される。
【0044】
次いで、ユーザは、一例として
図4に示すように、光射出部50から射出されたレーザ光Lが撮像素子の撮像面に入射されるように撮影装置20を配置する。そして、ユーザは、この状態において光射出部50からのレーザ光Lの射出を開始させる操作を行った後、撮影装置20に対して撮影を実行させる操作を行う。これらの操作により、撮影装置20から、光射出部50から射出されたレーザ光Lを撮像して得られた画像データ(以下、単に「画像データ」という。)が光パワー計測装置10に送信される。
【0045】
光パワー検出信号及び画像データを受信すると、光パワー計測装置10は、受信した光パワー検出信号及び画像データを用いて補正係数を導出して登録する。
【0046】
次に、
図5を参照して、実施形態に係る光パワー計測装置10による散乱光のパワーの計測時における計測系の構成を説明する。
図5は、本実施形態に係る光パワー計測装置10による散乱光のパワーの計測時における計測系の構成の一例を示す側面図である。
【0047】
光射出部50から射出されたレーザ光からの散乱光のパワーを計測する際に、ユーザは、一例として
図5に示すように、撮影装置20を配置する。即ち、この場合、ユーザは、光射出部50と、当該光射出部50から射出されたレーザ光Lを受信する受信部60との間における、パワーの計測対象とする散乱光70が生じている領域が撮影可能な位置に撮影装置20を配置する。そして、ユーザは、この状態において光射出部50に対してレーザ光Lの射出を開始させる操作を行った後、撮影装置20に対して撮影を実行させる操作を行う。これらの操作により、撮影装置20から、散乱光70を撮像して得られた画像データが光パワー計測装置10に送信される。
【0048】
画像データを受信すると、光パワー計測装置10は、受信した画像データと、事前に登録しておいた補正係数とを用いて、散乱光70のパワーを計測する。
【0049】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る補正係数管理情報データベース13Cについて説明する。
図6は、本実施形態に係る補正係数管理情報データベース13Cの構成の一例を示す模式図である。なお、補正係数管理情報データベース13Cは、上述した補正係数に関する情報を登録するためのデータベースである。
【0050】
図6に示すように、本実施形態に係る補正係数管理情報データベース13Cは、対象ID(Identification)、撮影装置ID、補正係数、センサ情報、及びレンズ情報の各情報が関連付けられて記憶される。
【0051】
上記対象IDは、計測対象を識別するために当該計測対象毎に異なるものとして予め付与された情報である。また、上記撮影装置IDは、対応する計測対象に対して補正係数を導出するために用いた撮影装置20を識別するために撮影装置20毎に異なるものとして予め付与された情報である。
【0052】
また、上記補正係数は、対応する計測対象について導出された、上述した補正係数の値そのものを示す情報であり、上記センサ情報は、対応する補正係数を導出する際に、対応する撮影装置20の撮像素子で適用した感度(以下、「センサ感度」という。)及びシャッタ速度を示す情報である。更に、上記レンズ情報は、対応する撮影装置20に搭載されている撮影レンズの焦点距離及びF値を示す情報である。
【0053】
次に、
図7~
図12を参照して、本実施形態に係る光パワー計測装置10の作用を説明する。
【0054】
まず、
図7~
図8を参照して、補正係数導出処理を実行する場合の光パワー計測装置10の作用を説明する。ユーザによって補正係数導出プログラム13Aの実行を開始する指示入力が入力部14を介して行われた場合に、光パワー計測装置10のCPU11が当該プログラム13Aを実行することにより、
図7に示す補正係数導出処理が実行される。
図7は、本実施形態に係る補正係数導出処理の一例を示すフローチャートである。また、
図8は、本実施形態に係る補正係数導出処理の説明に供する図であり、画像データのマスキングの様子、及びヒストグラムの一例を示す図である。なお、ここでは、錯綜を回避するために、使用する撮影装置20の撮影装置IDと、当該撮影装置20に内蔵されている撮像素子に設定するセンサ感度及びシャッタ速度とが予め指定されている場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、当該撮影装置20に搭載されている撮影レンズの焦点距離及びF値が予め指定されている場合について説明する。
【0055】
この補正係数導出処理の実行に先立ち、ユーザは、計測対象に対して、一例として
図3を参照して説明したように、計測対象における光射出部50から射出されたレーザ光Lが受光部に入射される位置に光パワーメータ30を配置する。
【0056】
図7のステップ100で、CPU11は、指定されているセンサ感度及びシャッタ速度を、使用する撮影装置20に設定する。
【0057】
ユーザは、補正係数導出プログラム13Aの実行を開始する指示入力を行うと、光射出部50からのレーザ光Lの射出を開始させる操作を行う。これに応じて、光パワーメータ30からは光パワー検出信号が光パワー計測装置10に送信される。
【0058】
そこで、ステップ102で、CPU11は、光パワーメータ30からの光パワー検出信号が受信されるまで待機する。
【0059】
次いで、ユーザは、一例として
図4を参照して説明したように、光射出部50から射出されたレーザ光Lが撮像素子の撮像面に入射されるように撮影装置20を配置する。そして、ユーザは、この状態において光射出部50からのレーザ光Lの射出を開始させる操作を行った後、撮影装置20に対して撮影を実行させる操作を行う。これらの操作により、撮影装置20から、光射出部50から射出されたレーザ光Lを撮像して得られた画像データが光パワー計測装置10に送信される。
【0060】
そこで、ステップ104で、CPU11は、撮影装置20からの画像データが受信されるまで待機する。
【0061】
ステップ106で、CPU11は、一例として
図8に示すように、受信した画像データが示す撮影画像22に対してマスク24によるマスキングを行うことにより、上述した合計値の対象とする画素を、レーザ光Lの受光領域を含む領域内の画素に制限する。なお、本実施形態では、マスキングを、受信した画像データにおける、マスク24によりマスクされる領域に対応する画素値を、黒を示す値(本実施形態では、0(零))に置き換えることで行っているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0062】
ステップ108で、CPU11は、以上のマスキング処理を経た画像データの各画素の画素値のヒストグラムを作成する。これにより、一例として
図8の右端の図に示すヒストグラム26が得られる。
【0063】
ステップ110で、CPU11は、次の式(1)により、補正係数Cを算出する。ここで、式(1)におけるPmeasureは光パワーメータ30から受信した光パワー検出信号が示すレーザ光Lのパワー(W)を表し、nはマスキングを経た画像データの各画素値を表し、hcnは当該画像データのヒストグラム値(度数)を表す。
【0064】
【0065】
ステップ112で、CPU11は、算出した補正係数Cを、指定されている撮影装置ID、センサ感度、シャッタ速度、焦点距離、及びF値と関連付けて、新たに生成した対象IDと共に、補正係数管理情報データベース13Cに記憶(登録)する。その後、CPU11は、本補正係数導出処理を終了する。
【0066】
以上の補正係数導出処理を計測対象毎に実行することにより、一例として
図6に示す補正係数管理情報データベース13Cが構築される。
【0067】
次に、
図9~
図12を参照して、光パワー計測処理を実行する場合の光パワー計測装置10の作用を説明する。ユーザによって光パワー計測プログラム13Bの実行を開始する指示入力が入力部14を介して行われた場合に、光パワー計測装置10のCPU11が当該プログラム13Bを実行することにより、
図9に示す光パワー計測処理が実行される。
図9は、本実施形態に係る光パワー計測処理の一例を示すフローチャートである。また、
図10は、本実施形態に係る光パワー計測処理の説明に供する図であり、画像データのマスキングの様子、及びヒストグラムの一例を示す図である。また、
図11は、本実施形態に係る光パワー計測処理の説明に供する図であり、単位面積当たりのパワーの算出の説明に供する斜視図である。更に、
図12は、本実施形態に係る計測結果画面の構成の一例を示す正面図である。なお、ここでは、錯綜を回避するために、補正係数管理情報データベース13Cが構築済みである場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、計測対象が予め指定されている場合について説明する。
【0068】
光パワー計測処理の実行に先立ち、ユーザは、一例として
図5を参照して説明したように、計測対象における光射出部50と、当該光射出部50から射出されたレーザ光Lを受信する受信部60との間における、パワーの計測対象とする散乱光70が生じている領域が撮影可能な位置に撮影装置20を配置する。
【0069】
図7のステップ200で、CPU11は、指定されている計測対象に対応する補正係数C、センサ感度、シャッタ速度、焦点距離、及びF値を補正係数管理情報データベース13Cから読み出す。ステップ202で、CPU11は、読み出したセンサ感度及びシャッタ速度を、使用する撮影装置20に設定する。
【0070】
次いで、ユーザは、光射出部50に対してレーザ光Lの射出を開始させる操作を行った後、撮影装置20に対して撮影を実行させる操作を行う。これらの操作により、撮影装置20から、光射出部50から射出されたレーザ光Lにおける、計測対象とする散乱光70を撮影して得られた画像データ(以下、「レーザ照射画像データ」という。)が光パワー計測装置10に送信される。
【0071】
そこで、ステップ204で、CPU11は、撮影装置20からのレーザ照射画像データが受信されるまで待機する。
【0072】
次いで、ユーザは、光射出部50に対してレーザ光Lの射出を停止させる操作を行った後、撮影装置20に対して撮影を実行させる操作を行う。これらの操作により、撮影装置20から、光射出部50からのレーザ光Lの射出が行われていない状態において撮影して得られた画像データ(以下、「レーザ非照射画像データ」という。)が光パワー計測装置10に送信される。
【0073】
そこで、ステップ206で、CPU11は、撮影装置20からのレーザ非照射画像データが受信されるまで待機する。
【0074】
ステップ208で、CPU11は、一例として
図10に示すように、受信したレーザ照射画像データが示す撮影画像23に対してマスク24によるマスキングを行うことにより、上述した合計値の対象とする画素を制限する。また、ステップ208で、CPU11は、受信したレーザ非照射画像データが示す撮影画像に対してマスク24によるマスキングを行う。なお、本実施形態では、マスキングを、受信した各画像データにおける、マスク24によりマスクされる領域に対応する画素値を、黒を示す値(本実施形態では、0(零))に置き換えることで行っているが、これに限るものではないことは言うまでもない。
【0075】
ステップ210で、CPU11は、以上のマスキング処理を経たレーザ照射画像データの各画素の画素値のヒストグラムを作成する。これにより、一例として
図10の右端の図に示すヒストグラム27が得られる。また、ステップ210で、CPU11は、以上のマスキング処理を経たレーザ非照射画像データの各画素の画素値のヒストグラムを作成する。
【0076】
ステップ212で、CPU11は、次の式(2)により、観測点における散乱光70のパワーPobs(W)を算出する。ここで、式(2)におけるCは読み出した補正係数であり、nはマスキングを経たレーザ照射画像データの各画素値を表し、hnは当該レーザ照射画像データのヒストグラム値(度数)を表す。
【0077】
【0078】
また、CPU11は、以上の処理によって得られた、レーザ非照射画像データに関する値を式(2)に代入することにより、レーザ光Lが照射されていない状態でのパワーPD(W)を算出する。そして、CPU11は、次の式(3)により、最終的な散乱光70のパワーPscat(W)を算出する。
【0079】
【0080】
ステップ214で、CPU11は、撮影装置20による受光部の単位面積当たりの受光パワーを算出する。
【0081】
即ち、CPU11は、まず、一例として
図11に示すように、次の式(4)によって、撮影装置20に搭載されており、かつ、撮像素子20Bの撮像面に入射光を集光する撮影レンズ20Aのレンズ径d
Lens(mm)を算出する。ここで、式(4)におけるfは撮影レンズ20Aの焦点距離を表し、Fは撮影レンズ20AのF値を表す。
【0082】
【0083】
次いで、CPU11は、次の式(5)によって撮影レンズ20Aの受光部の面積As(mm2)を算出する。
【0084】
【0085】
そして、CPU11は、次の式(6)によって撮影レンズ20Aの受光部の単位面積当たりの受光パワー、即ち、散乱光70の光強度Iscat(W/mm2)を算出する。
【0086】
【0087】
ステップ216で、CPU11は、以上の処理によって得られた散乱光70のパワーPscat及び光強度Iscatを用いて、予め定められた構成とされた計測結果画面を表示するように表示部15を制御し、その後に本光パワー計測処理を終了する。
【0088】
図12に示すように、本実施形態に係る計測結果画面では、以上の処理によって得られた散乱光70のパワーP
scat及び光強度I
scatが表示される。従って、ユーザは、計測結果画面を参照することで、これらの値を把握することができる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、計測対象とする光射出部から射出された光を、複数の画素を有する撮像素子の撮像面に入射させることで当該撮像素子によって得られた画素毎の階調値、及び光射出部から撮像素子の撮像面に入射された光のパワーの計測値を取得する取得部11Aと、取得部11Aによって取得された画素毎の階調値の合計値と上記計測値との比率に関する値を補正係数として導出する導出部11Bと、光射出部から射出された光により生じる拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光である対象光を撮像することで撮像素子によって得られた画素毎の階調値の合計値に対して、導出部11Bによって導出された補正係数による補正を行うことで、当該対象光のパワーを計測する計測部11Cと、を備えている。従って、補正係数が導出された後は撮像素子を用いて光のパワーを計測することができるため、簡易な構成で拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、上記合計値の対象とする画素を、少なくとも光の受光領域を含む予め定められた領域内の画素に制限している。従って、より高精度に拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、対象光のパワーを、光が光射出部から射出されていない状態で得られた光のパワーを減じた値として計測している。従って、より高精度に拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、撮像素子を、モノクロ画像を撮像対象としたものとしている。従って、より低コストで拡散反射光及び散乱光の少なくとも一方の光のパワーを計測することができる。
【0093】
更に、本実施形態によれば、対象光のパワーを、単位面積当たりのパワーとして計測している。従って、利便性を、より向上させることができる。
【0094】
なお、上記実施形態では、レーザ光の散乱光を光パワー計測装置10による計測対象とした場合について説明したが、これに限定されない。例えば、一例として
図13に示すように、レーザ光の拡散反射光72を光パワー計測装置10による計測対象とする形態としてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、レーザ光を計測対象とした場合について説明したが、これに限定されない。例えば、太陽光からの反射光を計測対象とする形態としてもよい。
【0096】
この場合の形態例としては、一例として
図14に示すように、ピンホールレンズ80を通して、対象物90をモノクロセンサ82によって撮影する。その後、一例として
図15に示すように、ピンホールレンズ80の位置は変えずに、モノクロセンサ82をソーラーパワーメータ84に置き換え、ピンホールレンズ80からの透過光のパワーP
measure(W)を計測する。
【0097】
次いで、一例として
図16に示すように、モノクロセンサ82による撮影画像92に対してマスキングを行わない状態でヒストグラムを作成すると共に、一例として
図17に示すように、当該撮影画像92に対してマスク94によりマスキングした状態でヒストグラムを作成する。
【0098】
そして、以上の処理によって得られた各種値を用いて、次の式(7)により、反射光の光強度(W/mm2)を算出する。ここで、式(7)におけるnはマスキングを経た画像データの各画素値を表し、hcnは当該画像データのヒストグラム値を表す。また、式(7)におけるmはマスキングを行っていない画像データの各画素値を表し、hcmは当該画像データのヒストグラム値を表す。更に、式(7)におけるAsはピンホールレンズ80のピンホールの開口面積(mm2)を表す。
【0099】
【0100】
この形態により、一例として
図18に示すように、例えば、太陽光のビルAの外壁からの反射光と、太陽光のビルBの外壁からの反射光と、を個別に計測することができ、観測点における加熱の要因を明確にすることができる。
【0101】
また、上記実施形態で適用した補正係数管理情報データベース13Cの構成や各種数式は一例であり、例示したものに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0102】
また、上記実施形態において、例えば、取得部11A、導出部11B、及び計測部11Cの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0103】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0104】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0105】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0106】
10 光パワー計測装置
11 CPU
11A 取得部
11B 導出部
11C 計測部
12 メモリ
13 記憶部
13A 補正係数導出プログラム
13B 光パワー計測プログラム
13C 補正係数管理情報データベース
14 入力部
15 表示部
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
20 撮影装置
20A レンズ
20B 撮像素子
22 撮影画像
23 撮影画像
24 マスク
26 ヒストグラム
27 ヒストグラム
30 光パワーメータ
50 光射出部
60 受信部
70 散乱光
72 拡散反射光
80 ピンホールレンズ
82 モノクロセンサ
84 ソーラーパワーメータ
90 対象物
92 撮影画像
94 マスク
L レーザ光