(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019808
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】医療用吸引デバイス
(51)【国際特許分類】
A61C 17/06 20060101AFI20230202BHJP
A61B 1/24 20060101ALI20230202BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A61C17/06 Z
A61B1/24
A61B1/01 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124801
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】308039193
【氏名又は名称】株式会社フォレスト・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100114502
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】山野 泰穗
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA08
4C161BB01
4C161GG23
(57)【要約】
【課題】内視鏡等の操作に支障がなく、受診者から発生したエアロゾル等を簡単に吸引できるようにする。
【解決手段】吸引装置に接続して使用する医療用吸引デバイス10であって、(a)中空穴20kを有する端部材20と、(b)それぞれの一方端21a,22a,23aが端部材20に結合され、三角錐の一つの頂点から延在する各辺に沿うように互いに異なる方向に延在する第1乃至第3の部材21,22,23と、を備える。第1及び第2の部材21,22に、第1乃至第3の部材21,22,23によって規定される三角錐状の空間12に連通する開口21s,22sと、開口21s,22sと端部材20の中空穴20kとの間を連通する吸引穴21t,22tとが形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置に接続して使用する医療用吸引デバイスであって、
中空穴を有する端部材と、
それぞれの一方端が前記端部材に結合され、三角錐の一つの頂点から延在する各辺に沿うように互いに異なる方向に延在する第1乃至第3の部材と、
を備え、
前記第1及び第2の部材に、前記第1乃至第3の部材によって規定される三角錐状の空間に連通する開口と、前記開口と前記端部材の前記中空穴との間を連通する吸引穴とが形成された、医療用吸引デバイス。
【請求項2】
前記第3の部材の他方端と、前記第1の部材の他方端とを結合する第4の部材と、
前記第3の部材の前記他方端と、前記第2の部材の他方端とを結合する第5の部材と、
をさらに備える、請求項1に記載の医療用吸引デバイス。
【請求項3】
前記第1及び第2の部材を含む面に垂直に見たとき、前記第3の部材の前記他方端は、前記第1及び第2の部材の前記他方端と前記第1及び第2の部材の前記一方端とを頂点とする三角形の内側に配置され、
前記第4の部材は、前記第3の部材の前記他方端に結合された第1の部分を含み、
前記第5の部材は、前記第3の部材の前記他方端に結合された第2の部分を含み、
前記第1及び第2の部分は、前記第1及び第2の部材を含む面に垂直に見たとき、前記第1及び第2の部材に沿ってC字状又はV字状に延在している、請求項2に記載の医療用吸引デバイス。
【請求項4】
前記第1の部材の前記他方端と、前記第2の部材の前記他方端との間に空間を設ける、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の医療用吸引デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用吸引デバイスに関し、詳しくは、内視鏡等を使用する際に、吸引装置に接続して使用する医療用吸引デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科診療中に口腔外に飛散する粉塵等を吸引する吸引装置が知られている。例えば、
図11は、このような吸引装置の概略側面図である。この装置は、
図11に示すように、本体スタンド1にダクト部材4を介して吸引フード5を連通させ、吸引フード5内の空気を吸引するように構成されている。吸引装置に接続された吸引フード5を、治療を行う患者の口元に接近するように配置して、吸引する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口腔や鼻腔に内視鏡等を挿入して検査するとき、検査を受ける人(受診者)から飛沫やエアロゾル等(以下、「エアロゾル等」という。)が発生する。このようなエアロゾル等について、感染症防止等の観点から、周囲に飛散しないように吸引して、術者やスタッフの感染リスクを低減することが考えられる。その場合、内視鏡等の操作に支障がなく、エアロゾル等を簡単に吸引できることが望まれる。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み、内視鏡等の操作に支障がなく、受診者から発生したエアロゾル等を簡単に吸引できるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した医療用吸引デバイスを提供する。
【0007】
医療用吸引デバイスは、吸引装置に接続して使用するものである。医療用吸引デバイスは、(a)中空穴を有する端部材と、(b)それぞれの一方端が前記端部材に結合され、三角錐の一つの頂点から延在する各辺に沿うように互いに異なる方向に延在する第1乃至第3の部材と、を備える。前記第1及び第2の部材に、前記第1乃至第3の部材によって規定される三角錐状の空間に連通する開口と、前記開口と前記端部材の前記中空穴との間を連通する吸引穴とが形成されている。
【0008】
上記構成によれば、端部材に吸引装置を接続することにより、第1及び第2の部材の吸引穴を介して吸引することができる。第1及び第2の部材が受診者の口等を囲むように医療用吸引デバイスを配置し、医療用吸引デバイスをシートで覆った状態で吸引することにより、受診者から発生したエアロゾル等を簡単に吸引できる。医療用吸引デバイスが枠状に構成されているので、内視鏡等の操作に支障を及ぼさない適宜な位置に、医療用吸引デバイスを容易に配置することができる。
【0009】
好ましくは、医療用吸引デバイスは、(c)前記第3の部材の他方端と、前記第1の部材の他方端とを結合する第4の部材と、(d)前記第3の部材の前記他方端と、前記第2の部材の他方端とを結合する第5の部材と、をさらに備える。
【0010】
この場合、医療用吸引デバイスの機械的強度が向上する。
【0011】
好ましくは、前記第1及び第2の部材を含む面に垂直に見たとき、前記第3の部材の前記他方端は、前記第1及び第2の部材の前記他方端と前記第1及び第2の部材の前記一方端とを頂点とする三角形の内側に配置されている。前記第4の部材は、前記第3の部材の前記他方端に結合された第1の部分を含み、前記第5の部材は、前記第3の部材の前記他方端に結合された第2の部分を含む。前記第1及び第2の部分は、前記第1及び第2の部材を含む面に垂直に見たとき、前記第1及び第2の部材に沿ってC字状又はV字状に延在している。
【0012】
この場合、医療用吸引デバイスを、内視鏡等の操作に支障を及ぼさない適宜位置に、容易に配置できる。
【0013】
好ましくは、前記第1の部材の前記他方端と、前記第2の部材の前記他方端との間に空間を設ける。
【0014】
この場合、医療用吸引デバイスの配置や、内視鏡等の操作に支障がない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内視鏡等の操作に支障がなく、受診者から発生したエアロゾル等を簡単に吸引できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は医療用吸引デバイスの正面図である。(実施例1)
【
図2】
図2は医療用吸引デバイスの右側面図である。(実施例1)
【
図3】
図3は医療用吸引デバイスの背面図である。(実施例1)
【
図4】
図4は医療用吸引デバイスの平面図及び線B-Bで切断した断面図である。(実施例1)
【
図5】
図5は
図1の線A-Aで切断した断面図である。(実施例1)
【
図6】
図6は医療用吸引デバイスの斜視図である。(実施例1)
【
図7】
図7は医療用吸引デバイスの斜視図である。(実施例1)
【
図8】
図8は医療用吸引デバイスの試作品の写真図である。(実施例1)
【
図9】
図9は医療用吸引デバイスの使用状態を示す写真である。(実施例1)
【
図10】
図10は医療用吸引デバイスの使用状態を示す写真である。(実施例1)
【
図11】
図11は歯科用吸引装置の概略側面図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<実施例1> 実施例1の医療用吸引デバイス10(以下、「吸引デバイス10」という。)について、
図1~
図10を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、吸引デバイス10の正面図である。
図2は、吸引デバイス10の右側面図である。
図3は、吸引デバイス10の背面図である。
図4は、吸引デバイス10の平面図及び線B-Bで切断した断面図である。
図5は、
図1の線A-Aで切断した断面図である。
図6及び
図7は、吸引デバイス10の斜視図である。
【0020】
図1~
図7に示すように、吸引デバイス10は、互いに結合された第1乃至第5の部材21,22,23,24,25と、端部材20とを備え、略三角錐状に構成されている。
【0021】
端部材20は中空穴20kを有し、端部材20に、第1乃至第3の部材21,22,23それぞれの一方端21a,22a,23aが結合されている。第1乃至第3の部材21,22,23は、三角錐の一つの頂点から延在する各辺に沿うように互いに異なる方向に直線状に延在している。
【0022】
第1及び第2の部材21,22には、第1乃至第3の部材21,22,23によって規定される三角錐状の空間12に連通する開口21s,22sと、開口21s,22sと端部材20の中空穴20kとの間を連通する吸引穴21t,22tとが形成されている。吸引デバイス10は、端部材20に不図示の吸引装置を接続して、三角錐状の空間12内の空気を、第1及び第2の部材21,22の開口21s,22sから吸引することができるように構成されている。
【0023】
詳しくは、第1乃至第2の部材21,22は、第1乃至第3の部材21,22,23によって規定される三角錐状の空間12に対向する平面部21k,22kを有し、この平面部21k,22kに、円形の複数個の開口21s,22sが形成されている。なお、開口21s,22sの形状や個数は、適宜に選択すればよく、第1及び第2の部材21,22の開口21s,22sが形成される部分が、曲面でも構わない。
【0024】
第4の部材24は、第3の部材23の他方端23bと、第1の部材21の他方端21bとを結合する。第5の部材は、第3の部材23の他方端23bと、第2の部材22の他方端22bとを結合する。第4及び第5の部材24,25により吸引デバイス10の機械的強度が向上するが、第4及び第5の部材24,25を省略することも可能である。
【0025】
第1の部材21の他方端21bと第2の部材22の他方端22bとを結合する不図示の第6の部材を追加すると、吸引デバイス10の機械的強度が向上するが、第6の部材が邪魔になり、吸引デバイス10の使用時に吸引デバイス10の配置に制約が生じたり、内視鏡等の操作に支障が生じたりすることがある。そのため、第6の部材を追加せずに、第1の部材21の他方端21bと第2の部材22の他方端22bとの間に空間を設けることが好ましい。
【0026】
図4に示すように、第1及び第2の部材21,22を含む面に垂直な方向から見たとき、第3の部材23の他方端23bは、第1及び第2の部材21,22の他方端21b,22bと、第1及び第2の部材21,22の一方端21a,21aとを頂点とする三角形の内側に配置されている。
【0027】
第4の部材24は、第3の部材23の他方端23bに結合された第1の部分24kを含み、第5の部材25は、第3の部材23の他方端23bに結合された第2の部分25kを含む。これらの第1及び第2の部分24k,25kは、
図4に示すうように、第1及び第2の部材21,22を含む面に垂直な方向から見たとき、第1及び第2の部材21,22に沿ってC字状に延在している。図示していないが、第4及び第5の部材24,25の第3の部材23の他方端23bに結合された部分を、第1及び第2の部材21,22を含む面に垂直な方向から見たときV字状に延在するように形成してもよい。
【0028】
図8は、吸引デバイス10の試作品の写真図である。
図8に示すように、吸引デバイスの端部材20に、自在継手32を介して、例えばテーパ状の接続部材30の一方端を接続し、接続部材30の他方端に、不図示の吸引装置を接続する。自在継手32を用いると、吸引デバイス10の向きを容易に調整できるが、自在継手32を介さずに、吸引デバイス10を吸引装置に接続して使用してもよい。
【0029】
次に、吸引デバイス10の使用方法について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9及び
図10は、吸引デバイス10の使用状態を示す写真である。
【0030】
図9に示すように、受信者が横たわり顔を横に向けている状態で口から内視鏡等を装入する場合、吸引デバイス10は、第1及び第2の部材21,22が顔にできるだけ近づくように配置し、吸引装置に接続する。例えば、端部材20が上になり、第1乃至第3の部材21,22,23の他方端21b,22b,23b側が下を向き、第1及び第2の部材21,22の間に口が対向し、第3の部材23の他方端23bに結合された第1及び第2の部分24k,25kが間隔を設けて口に対向するように、吸引デバイス10を配置する。吸引デバイス10は枠状に構成されているので、口との相対位置を確認しながら、吸引デバイス10を、適宜な位置及び向きに配置することが容易である。
【0031】
図10に示すように、吸引デバイス10の上部が適宜なシートで覆われている状態で、吸引デバイス10の開口21s,22sから吸引する。このとき、少なくとも、吸引デバイス10の第1の部材21と第3の部材23との間と、第2の部材22と第3の部材23との間とをシートで覆うことにより、第1乃至第3の部材21,22,23によって規定される三角錐状の空間12を閉鎖する。シートが吸引デバイス10からはみ出るようにして、吸引デバイス10の周囲の隙間を無くし又はできるだけ小さくする。これにより、口から放出されたエアロゾル等が、シートで覆われた空間から外部に漏れ出るのを防ぎながら、内視鏡等を操作することができる。
【0032】
シートは、クリップ等を用いて、吸引デバイス10に着脱可能に固定してもよい。吸引デバイス10の適宜箇所に、シートを着脱可能に固定するための突起や係合部などの適宜な構造を設けてもよい。
【0033】
シートは、適宜な材質を選択すればよい。例えば、透明でも、半透明でも、不透明でもよい。シートは、通気性がなく、変形自在であるものが好ましいが、多少、通気性があってもよい。
【0034】
シートの代りに、適宜な形状の被覆部材で、吸引デバイス10を覆ってもよい。その場合、被覆部材を吸引デバイス10に着脱可能に取り付けるための穴、突起などの構造を、被覆部材及び/又は吸引デバイス10に設けてもよい。
【0035】
内視鏡等は、吸引デバイス10のC字状の第1及び第2の部分24k,25kの付近を通って口に装入されている状態で操作することができる。吸引デバイス10は、C字状の第1及び第2の部分24k,25kが設けられているので、内視鏡等の操作に支障がない適切な位置に容易に配置することできる。
【0036】
<まとめ> 以上に説明したように、本発明の吸引デバイスを用いると、内視鏡等の操作に支障なく、受診者から発生したエアロゾル等を簡単に吸引でき、受診者から発生したエアロゾル等の拡散を防止して、術者やスタッフの感染リスクを低減できる。
【0037】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0038】
例えば、吸引デバイスの第1乃至第3の部材は、直線状に延在する場合を例示したが、曲線状に延在しても構わない。
【符号の説明】
【0039】
10 吸引デバイス(医療用吸引デバイス)
12 三角錐状の空間
20 端部材
20k 中空穴
21 第1の部材
22 第2の部材
23 第3の部材
24 第4の部材
25 第5の部材
21a,22a,23a 一方端
21b,22b,23b 他方端
21s,22s 開口
21t,22t 吸引穴
24k,25k 部分