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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001983
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】毛髪用ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A45D 24/04 20060101AFI20221227BHJP
   A46B 9/02 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A45D24/04
A46B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102931
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】390024316
【氏名又は名称】池本刷子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】池本 達也
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202BA03
3B202BA05
3B202BA06
3B202EA00
3B202ED02
(57)【要約】
【課題】毛髪の通りが良く毛髪を細かくときほぐすことができると共に、毛髪のボリュームをなくしてしまうということがなく逆に毛髪のボリュームをアップすることができると共に、充分な整髪力と共に、毛髪の流れを細かく一定方向に揃えることにより毛髪表面のキューティクルの面方向がそろい、毛髪に当たる光の反射作用により「艶」と「滑らかな髪触り感」を与え、より快適なブラッシング感を与えることができる毛髪用ブラシを提供する。
【解決手段】ブラシ面部4に、面ファスナー5のフック面側を配設し、毛髪を梳いたときに面ファスナー5が毛髪に接触する1/3以下の領域に、そのブラシ面部4の長さ方向に1~3列に並んで突出するように、ブラシ毛6を植設したものとしている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ面部に、面ファスナーのフック面側を配設し、毛髪を梳いたときに面ファスナーが毛髪に接触する1/3以下の領域に、そのブラシ面部の長さ方向に1~3列に並んで突出するように、ブラシ毛を植設したことを特徴とする毛髪用ブラシ。
【請求項2】
ブラシ面部に、面ファスナーのフック面側を配設し、毛髪を梳いたときに面ファスナーが毛髪に接触する2/3以下の領域に、そのブラシ面部の長さ方向に4~6列に並んで突出するように、ブラシ毛を植設したことを特徴とする毛髪用ブラシ。
【請求項3】
前記面ファスナーのフック面に配設されたフックが、基台の長さ方向と直交する方向に、毛髪が入り込める適度な間隔をあけたものとして多数列に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の毛髪用ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアブラシやペットブラシ等として使用することができる毛髪用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の毛髪用ブラシにおいて、小さなループを多数設けたループ面側と、小さな鉤状フックを多数設けたフック面側の二枚で一組となった「マジックテープ」(登録商標)や「マジックバンド」(登録商標)などと一般に称される面ファスナーを用いたものが存在する。
【0003】
例えば、毛髪用ブラシの植毛部分に化学繊維からなる伸縮自在なネットをかぶせ、このネットの両端を面ファスナーのフック体で固定した「清掃の容易なヘヤーブラシ」(特許文献1)や、面ファスナーのフック体を整列して植設したシート状本体の背面に手指で保持できる手掛け部を配設した「髪すき具」(特許文献2)などが存在する。
【0004】
前記特許文献1に記載された毛髪用ブラシでは、面ファスナーのフック体をネットの固定用にしか用いておらず、毛髪のブラッシングには何の作用効果も与えていない。
【0005】
前記特許文献2に記載された毛髪用ブラシでは、手指を面ファスナーのフック体を設置したシート状本体と手掛け部の間に挿入して、シート状本体を支えることにより、面ファスナーのフック体によって容易にブラッシングができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭51-118376号公報
【特許文献2】実開平3-49008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献2に記載された毛髪用ブラシにおいても、シート状本体の表面の全体に面ファスナーに細かく配置されたフック体を植設しているので、複雑に絡みあった毛髪に対して使用した場合、絡み合った毛髪は、フック体が細かく密集した、複数設置された面ファスナーのフック内部には、充分に入り込むことが困難となり、毛髪表面を押しなでつけるようになってしまい、充分な整髪力がなく、毛髪の通りが悪く毛髪を細かくときほぐすことができないという課題を有していた。
【0008】
さらに、前記毛髪用ブラシでは、毛髪の表面を押しなで付けるような状態となり、毛髪のボリュームをなくしてしまうという課題も有していた。
【0009】
また、前記毛髪用ブラシでは、毛髪の表面を滑るようなブラッシング使用感となってしまい、整毛髪ヘアブラシとして充分な整髪力を果たせず、不安定なブラッシング感になってしまうという課題も有していた。
【0010】
さらにまた、従来の毛髪用ブラシでは、ブラッシングの際、ブラシ部の面ファスナーの全面に設置されたフック体で細かく整髪された毛髪が、ブラシ部に設置された充分な整髪力を持つブラシ毛により、再び大きくかき分けられてしまい、毛髪を細かくときほぐす効果が損なわれてしまうという課題も有していた。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ブラッシングの際、ブラシ毛の通りが良く、毛髪を細かくときほぐすことができると共に、毛髪のボリュームをなくさず、さらに、従来の毛髪用ブラシではできなかった、充分な整髪力を持ちながら毛髪表面の髪を細かく流れを一定方向に揃え、毛髪表面のキューティクルの面方向がそろうことにより、毛髪に当たる光の反射作用で「艶」と「滑らかな髪触り感」を与えることができる、毛髪用ブラシを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の毛髪用ブラシは、ブラシ面部4に、面ファスナー5のフック面側を配設し、毛髪を梳いたときに面ファスナー5が毛髪に接触する1/3以下の領域に、そのブラシ面部4の長さ方向に1~3列に並んで突出するように、ブラシ毛6を植設したものとしている。
【0013】
また、本発明の毛髪用ブラシは、ブラシ面部4に、面ファスナー5のフック面側を配設し、毛髪を梳いたときに面ファスナー5が毛髪に接触する2/3以下の領域に、そのブラシ面部4の長さ方向に4~6列に並んで突出するように、ブラシ毛6を植設したものとしている。
【0014】
本発明の毛髪用ブラシにおいて、前記面ファスナー5のフック面に配設されたフック5aが、基台3の長さ方向と直交する方向に、毛髪hが入り込める適度な間隔をあけたものとして多数列にわたって配設されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の毛髪用ブラシは、このように構成されているので、毛髪をブラッシングするだけで、ブラシ毛6により複雑に絡み合った毛髪を充分な整髪力で整えると共に、面ファスナー5に毛髪が入り込める適度な間隔をあけて設置されたフック5aが、毛髪を細かくときほぐし、毛髪の流れを細かく一定方向に揃えることにより、毛髪表面のキューティクルの面方向がそろい、毛髪に当たる光の反射作用により「艶」と「滑らかな髪触り感」を与え、さらに充分な整髪力と快適なブラッシング感を与えることができるものとなる。
【0016】
さらに、本発明の毛髪用ブラシは、面ファスナーのフック面で毛髪の表面を押しなでるが、この押しなでた毛髪をブラシ毛とフック5aで起こすような使用状態となるので、毛髪のボリュームをなくしてしまうということがなく逆に毛髪のボリュームをアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の毛髪用ブラシの一実施形態の平面図である。
図2図1中のAーA線による断面図である。
図3図1に示す本発明の毛髪用ブラシの側面図である。
図4図3中の円で囲んだ部分の拡大図である。
図5】本発明の毛髪用ブラシの他の実施形態の側面図である。
図6図5中の円で囲んだ部分の拡大図である。
図7】本発明の毛髪用ブラシの基台の形状が異なる他の実施形態を示す断面図である。
図8】本発明の毛髪用ブラシの基台の形状が異なるさらに他の実施形態を示す断面図である。
図9】本発明の毛髪用ブラシのブラシ毛の植設状態が異なる他の実施形態を示す断面図である。
図10】本発明の毛髪用ブラシのブラシ毛の植設状態が異なるさらに他の実施形態を示す断面図である。
図11】本発明の毛髪用ブラシのブラシ毛の植設状態が異なるさらに他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の毛髪用ブラシを実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
本発明の毛髪用ブラシは、図示したように、本体1と持ち手2から構成され、本体部1は、基台3とブラシ面部4とから構成されている。
【0020】
前記ブラシ面部4には、面ファスナー5のフック面側を配設し、毛髪を梳いたときに面ファスナー5が毛髪に接触する1/3以下の領域に、そのブラシ面部4の長さ方向に1~3列に並んで突出するように、ブラシ毛6を植設したものとしている。
【0021】
また、前記ブラシ面部4には、面ファスナー5のフック面側を配設し、毛髪を梳いたときに面ファスナー5が毛髪に接触する2/3以下の領域に、そのブラシ面部4の長さ方向に4~6列に並んで突出するように、ブラシ毛6を植設したものとしてもよい。
【0022】
図1~6に示したものでは、前記基台3は、円柱軸状に形成したものとし、前記ブラシ面部4は、この基台3の円柱側面の全周に形成したものとしている。これら基台3やブラシ面部4は、図7、8に示す形態としても実施することができるが、これらの形態に限定されるものではない。なお、前記基台3の形状によっては、この基台3を持ち手代わりとして使用することもできるので、このような場合には前記持ち手2はなくてもよい。
【0023】
図7(1)に示したものでは、前記基台3は、縦断面を略エ字状とした長軸状に形成したものとし、前記ブラシ面部4は、この基台3から上方に約3/4となる部分円筒を突設した、いわゆるクォータランド型としている。図7(2)に示したものでは、前記基台3は、縦断面を略船底形状とした長尺板状に形成したものとし、前記ブラシ面部4は、この基台3から上方に約1/2となる部分円筒を突設した、いわゆるハーフランド型としている。図7(3)に示したものでは、前記基台3は、縦断面を略船底形状とした長尺板状に形成したものとし、前記ブラシ面部4は、この基台3の上方に平坦面を形成した、いわゆる平型としている。図8(1)に示したものでは、前記基台3は、縦断面を略船底形状とした長尺板状に形成したものとし、前記ブラシ面部4は、この基台3の上方に凸曲面を形成した、いわゆるラウンド型としている。図8(2)に示したものでは、前記基台3は、縦断面を略船底形状とした長尺板状に形成したものとし、前記ブラシ面部4は、この基台3の上方に三角面を形成した、いわゆる山型としている。図8(3)に示したものでは、前記基台3は、縦断面を略船底形状とした長尺板状に形成したものとし、前記ブラシ面部4は、この基台3の上方に凸曲面を形成し、両側方に平坦面を形成した、いわゆるラウンド型(側面有り)としている
【0024】
前記面ファスナー5のフック面は、合成樹脂の短繊維の先端を半円状に曲げたり、合成樹脂からなるループ体の一部を切断して先端に半円状の曲げ部を形成したり、合成樹脂成形によって先端を矢尻状に形成したりした多数のフック5aが全面に、図3~6に示したように、基台3の長さ方向と直交する方向に多数列にわたって配設されている。この多数列は、図3、4に示したように、毛髪hが入り込めないほど接近させたものとしてもよいが、図5、6に示したように、毛髪hが入り込める適度な間隔をあけたものとするのが好ましい。このように毛髪hが入り込める適度な間隔をあけたものとすると、毛髪の通りが良くなり、毛髪をより細かくときほぐすことができる。
【0025】
さらに、前記フック5aの先端を半円状に曲げたり、前記フック5aの先端に半円状の曲げ部を形成したものでは、図示したように、その先端を基台3の長さ方向の後方にむかって曲げたり、曲げ部を形成したり、図示していないが、その先端を基台3の長さ方向の前方にむかって曲げたり、曲げ部を形成したものとするのが好ましい。このようにすると、毛髪の通りがより良くなり、毛髪をさらに細かくときほぐすことができる。
【0026】
前記ブラシ毛6は、柔毛とした場合は、直径約0. 1~0. 5mmの柔毛を複数本、束ねたものとすることができる。前記ブラシ毛6を剛毛とした場合は、直径約1~2mmの剛毛の単一毛とするのが好ましい。
【0027】
図2図7(1)~(3)および図8(1)~(3)に示したものでは、前記ブラシ毛6は、毛髪を梳いたときに面ファスナー5が毛髪に接触する1/3以下の領域において、そのブラシ面部4の長さ方向に3列に並んで植設されているが、図9(1)~(4)に示したように、前記ブラシ面部4の長さ方向に1列や2列に並んで植設されていてもよい。
【0028】
また、図10(1)~(3)に示したものでは、前記ブラシ毛6は、毛髪を梳いたときに面ファスナー5が毛髪に接触する2/3以下の領域において、ブラシ面部4の長さ方向に5列に並んで植設されているが、図11(1)~(3)に示したように、前記ブラシ面部4の長さ方向に4列や6列に植設されていてもよい。
【0029】
このように構成した本発明の毛髪用ブラシは、毛髪をブラッシングした際に、ブラシ面部4に設置された面ファスナー5のフック5aに接触した、細かくときほぐされた毛髪は、次に充分な整髪力を持ったブラシ毛6により再びかき分けられるが、次に、ブラシ毛6を通過した毛髪は、面ファスナー5のフック5aに再び接触することにより、再び細かくときほぐされ毛髪の流れを細かく一定方向に揃えることにより、毛髪表面のキューティクルの面方向がそろい、毛髪に当たる光の反射作用により「艶」と「滑らかな髪触り感」を与えることができる。
【0030】
さらに、本発明の毛髪用ブラシにおいて、前記基台3とブラシ面部4の間に、育毛剤、養毛剤、整髪剤、香料、消臭剤、消毒剤、抗菌剤、毛染め剤、シリコーン剤など様々な機能性のある液剤を面ファスナー5のフック面に浸み出させるようにした液体保持体(図示せず)を設置しておくことができる。このようにすれば、毛髪を梳いたときに前記液剤を毛髪に塗布することができるので、前記液剤の様々な機能を毛髪に付与することができるものとなる。
【0031】
また、本発明の毛髪用ブラシにおいて、前記ブラシ毛6をステンレス繊維や銅イオン化された繊維などの静電気除去機能を備えたものにすることができる。このようにすれば、毛髪を梳いたときに発生した静電気を、コロナ放電作用により空気中に放電することができるものとなる。
【0032】
さらにまた、本発明の毛髪用ブラシにおいて、前記ブラシ面部4と面ファスナー5の間に、鉄やアルミ、真鍮などの熱保持剤(図示せず)を設置しておくことができる。このようにすれば、毛髪を梳いたときにドライヤーの熱風などを吹き付ければ、保温効果が高まり、毛髪の寝癖などを直したり、毛髪を強力にセットしたりすることができるものとなる。
【0033】
本発明の毛髪用ブラシは、以上に述べたように構成されているので、ブラッシングをするだけで毛髪の通りが良く、充分な整髪力と共に毛髪を細かくときほぐすことができ、毛髪に「艶」と「滑らかな髪触り感」を与えることとなる。
【0034】
さらに、本発明の毛髪用ブラシは、面ファスナー5のフック面で毛髪の表面を押しなでるが、適度な間隔をおいて面ファスナー5のフック5aを配置しているため、複雑に絡み合った毛髪がフック内部に入り込むため、この押しなでた毛髪をフックで引き起こすような使用状態となるので、逆に毛髪のボリュームをアップすることができる。
【0035】
また、本発明の毛髪用ブラシは、前記したように面ファスナー5のフック面で毛髪の表面を押しなでると共に、細かく毛髪を揃えこの押しなでた毛髪をブラシ毛6で起こすような使用状態となるので、より快適なブラッシング感を与えることができるものとなる。
【符号の説明】
【0036】
3 基台
4 ブラシ面部
5 面ファスナー
5a フック
6 ブラシ毛
h 毛髪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11