(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001991
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】ハンドユニット及びハンドリング装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20221227BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B25J15/06 M
B25J15/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102945
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】516065135
【氏名又は名称】株式会社IHI物流産業システム
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】大辻 啓貴
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707BS10
3C707ES03
3C707ET03
3C707FS01
3C707FT06
3C707FT11
3C707HS27
3C707KS03
3C707KS07
3C707KT01
3C707KT06
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】ハンドユニット及びハンドリング装置において、水平移動時に搬送物を側方から支持可能とすると共に、搬送物を隣接物に対して隙間なく配置可能とする。
【解決手段】ケースXの天面を吸着する吸着スポンジ1e2が設けられた吸着ユニット1eを備えるハンドユニット1cであって、ケースXの側面に当接可能な側面当接部1hと、側面当接部1hを、ケースXの側面に当接する当接姿勢と、吸着ユニット1eの上方に配置されると共に平面視にて吸着ユニット1eの縁部1e3よりも吸着ユニット1eの内側に全体が配置される収容姿勢とに姿勢変更する姿勢変更駆動部1iとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の天面を吸着する天面用吸着部が設けられた吸着ユニットを備えるハンドユニットであって、
前記搬送物の側面に当接可能な側面当接部と、
前記側面当接部を、前記搬送物の側面に当接する当接姿勢と、前記吸着ユニットの上方に配置されると共に平面視にて前記吸着ユニットの縁部よりも前記吸着ユニットの内側に全体が配置される収容姿勢とに姿勢変更する姿勢変更部と
を備えることを特徴とするハンドユニット。
【請求項2】
前記側面当接部は、
前記搬送物の側面に当接される当接パッドと、
前記当接パッドが固定されると共に前記吸着ユニットに対して回動可能に接続されたアームと
を備え、
前記姿勢変更部は、前記アームを回動することで前記側面当接部を姿勢変更する
ことを特徴とする請求項1記載のハンドユニット。
【請求項3】
前記当接パッドは、前記搬送物の側面を吸着可能であることを特徴とする請求項2記載のハンドユニット。
【請求項4】
前記側面当接部は、前記当接姿勢にて前記吸着ユニットに側方から当接されることを特徴とする請求項3記載のハンドユニット。
【請求項5】
前記吸着ユニットを上方から支持する基部と、
前記吸着ユニットを前記基部に対して水平方向に移動可能に接続するスライド支持機構と、
前記吸着ユニットを前記基部に対して水平方向に移動させる水平位置変更部と
を備えることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載のハンドユニット。
【請求項6】
前記側面当接部が複数設けられていることを特徴とする請求項1~5いずれか一項に記載のハンドユニット。
【請求項7】
前記吸着ユニットが複数設けられ、前記吸着ユニットごとに前記側面当接部及び前記姿勢変更部が設けられていることを特徴とする請求項6記載のハンドユニット。
【請求項8】
請求項1~7いずれか一項に記載のハンドユニットと、
前記ハンドユニットを移動させる移動装置と
を備えることを特徴とするハンドリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドユニット及びハンドリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流設備等においては、吸着により搬送物を支持して移載するハンドリング装置が設置されている。ハンドリング装置には、例えば特許文献1に示されているように、吸着パッドを備えるハンドユニットが備えられている。このようなハンドリング装置は、例えば、パレット等に段積みされた搬送物を1つずつばらすデパレタイズや、搬送物をパレット等に積み付けするパレタイズ等を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハンドリング装置で搬送物を水平移動させると搬送物に慣性力が作用する。搬送物の天面のみを吸着支持する場合には、上記慣性力によって搬送物がハンドリング装置から外れる恐れがある。例えば特許文献1には、搬送物を側方から支持するクランプ体が備えられている。このクランプ体によって慣性力が作用する搬送物を側方から支持することで、搬送物がハンドリング装置から外れることを抑止することが可能となる。
【0005】
ところが、特許文献1のようなクランプ体を備える場合には、搬送物と隣接物との間にクランプ体を配置可能な隙間を設ける必要がある。このため、クランプ体を設ける場合には、パレット等に水平方向に隙間なく搬送物を配置することや、運搬用台車の壁部に対して隙間なく搬送物を配置することができず、収容効率の低下を招くことになる。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ハンドユニット及びハンドリング装置において、水平移動時に搬送物を側方から支持可能とすると共に、搬送物を隣接物に対して隙間なく配置可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の第1の態様は、搬送物の天面を吸着する天面用吸着部が設けられた吸着ユニットを備えるハンドユニットであって、上記搬送物の側面に当接可能な側面当接部と、上記側面当接部を、上記搬送物の側面に当接する当接姿勢と、上記吸着ユニットの上方に配置されると共に平面視にて上記吸着ユニットの縁部よりも上記吸着ユニットの内側に全体が配置される収容姿勢とに姿勢変更する姿勢変更部とを備えるという構成を採用する。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記側面当接部が、上記搬送物の側面に当接される当接パッドと、上記当接パッドが固定されると共に上記吸着ユニットに対して回動可能に接続されたアームとを備え、上記姿勢変更部が、上記アームを回動することで上記側面当接部を姿勢変更するという構成を採用する。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記当接パッドが、上記搬送物の側面を吸着可能であるという構成を採用する。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、上記側面当接部は、上記当接姿勢にて上記吸着ユニットに側方から当接されるという構成を採用する。
【0012】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4いずれかの態様において、上記吸着ユニットを上方から支持する基部と、上記吸着ユニットを上記基部に対して水平方向に移動可能に接続するスライド支持機構と、上記吸着ユニットを上記基部に対して水平方向に移動させる水平位置変更部とを備えるという構成を採用する。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記第1~第5いずれかの態様において、上記側面当接部が複数設けられているという構成を採用する。
【0014】
本発明の第7の態様は、上記第6の態様において、上記吸着ユニットが複数設けられ、上記吸着ユニットごとに上記側面当接部及び上記姿勢変更部が設けられているという構成を採用する。
【0015】
本発明の第8の態様は、ハンドリング装置であって、上記第1~第7いずれかの態様におけるハンドユニットと、上記ハンドユニットを移動させる移動装置とを備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、搬送物の側面に当接可能な側面当接部を備えている。このため、搬送物の水平搬送時には、搬送物を側方から支持することが可能となる。また、本発明においては、側面当接部が、搬送物の側面に当接する当接姿勢と、吸着ユニットの上方に配置されると共に平面視にて吸着ユニットの縁部よりも吸着ユニットの内側に全体が配置される収容姿勢とに姿勢変更が可能とされている。このため、搬送物を隣接物に対して隣接配置する場合には、側面当接部を収容姿勢とすることで、搬送物を隣接物に対して隙間なく配置することが可能となる。また、側面当接部を収容姿勢とすることで、隣接物に対して隙間なく配置された搬送物を吸着支持することが可能となる。したがって、本発明によれば、ハンドユニット及びハンドリング装置において、水平移動時に搬送物を側方から支持可能とすると共に、搬送物を隣接物に対して隙間なく配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態におけるハンドリング装置を含む搬送システムの概略構成図であり、(a)が側面図であり、(b)が平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるハンドリング装置を含む搬送システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態におけるハンドリング装置が備えるハンドユニットを模式的に示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態におけるハンドリング装置が備えるハンドユニットを模式的に示す側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態におけるハンドリング装置が備えるハンドユニットの動作を説明するための模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態におけるハンドリング装置が備えるハンドユニットの変形例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係るハンドユニット及びハンドリング装置の一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態のハンドリング装置1を含む搬送システムSの概略構成図であり、(a)が側面図であり、(b)が平面図である。また、
図2は、搬送システムSの概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の搬送システムSは、パレットP上に段積みされたケースX(搬送物)をコンベアC上にばらして移載するデパレタイズを行う。なお、ケースXの移載先は、コンベアCに限られるものではなく、他のハンドリング装置へケースXを受け渡す受渡スペース等であっても良い。また、ケースXが段積みされている部材は、パレットPに限定されるものではなく、運搬用台車等であっても良い。
【0020】
また、搬送システムSは、デパレタイズを行うものに限定されるものではない。例えば、元パレットや運搬用台車からケースXを分離し、別パレットや運搬用台車に載せ替える容器変換に搬送システムSを用いることも可能である。また、ケースXをパレットや運版用台車等に積み付けるパレタイズに搬送システムSを用いることも可能である。また、トラックやコンテナからケースXを降ろすバニング(入庫)、トラックやコンテナにケースXを積むデバニング(出庫)に搬送システムSを用いることも可能である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、搬送システムSは、ハンドリング装置1と、負圧供給部2と、センサ3(
図2参照)と、制御装置4とを備えている。本実施形態のハンドリング装置1は、ケースXを吸着支持して移動する産業用ロボットであり、
図1に示すように、基台1aと、多関節アームユニット1b(移動装置)と、ハンドユニット1cとを備えている。
【0022】
基台1aは、多関節アームユニット1bを支持する台部である。多関節アームユニット1bは、互いに傾動可能に関節部で接続された複数のアームを備えている。このような多関節アームユニット1bは、根本部が基台1aに対して傾動かつ回転可能に接続されており、先端部がハンドユニット1cに接続されている。
【0023】
また、多関節アームユニット1bは、不図示の駆動機構を備えている。駆動機構は、多関節アームユニット1bの姿勢を変更するための機構であり、多関節アームユニット1bを基台1aの略中心を通過する旋回軸心を中心に旋回させる旋回モータや、関節部等に設けられてアームを傾動させる駆動モータ等を含んでいる。なお、アーム駆動部に含まれる旋回モータや駆動モータは、例えば多関節アームユニット1bのケース内に収容されている。
【0024】
ハンドユニット1cは、多関節アームユニット1bの先端に装着されており、多関節アームユニット1bによって移動される。
図3は、ハンドユニット1cを模式的に示す正面図である。
図4は、ハンドユニット1cを模式的に示す側面図であり、
図3における矢印A方向から見た図である。なお、ハンドユニット1cの姿勢は多関節アームユニット1bによって任意に変更可能であるが、説明の便宜上、後述する吸着面Mが鉛直方向における下方に向けられた姿勢(
図3及び
図4に示す姿勢)を基準姿勢とする。
【0025】
ハンドユニット1cは、
図3に示すように、基部1dと、吸着ユニット1eと、スライド支持機構1fと、スライド駆動部1g(水平位置変更部)と、側面当接部1hと、姿勢変更駆動部1i(姿勢変更部)と、着脱部1jとを備える。本実施形態においては、2つの吸着ユニット1eが設けられており、各々の吸着ユニット1eに対して、側面当接部1h及び姿勢変更駆動部1iが設けられている。
【0026】
基部1dは、吸着ユニット1e、スライド支持機構1f、スライド駆動部1g、側面当接部1h、姿勢変更駆動部1i及び着脱部1jを支持する剛性部材である。吸着ユニット1eは、基準姿勢における基部1dの下面に固定されている。本実施形態においては、2つの吸着ユニット1eが設けられている。
図3に示すように、これらの吸着ユニット1eと吸着ユニット1eとの間には、隙間が設けられている。
【0027】
各々の吸着ユニット1eは、
図3に示すように、ベース部材1e1と、吸着スポンジ1e2(天面用吸着部)とを備えている。ベース部材1e1は、基部1dに固定されると共に基準姿勢における下面に吸着スポンジ1e2が取り付けられた部材である。つまり、ベース部材1e1は、吸着スポンジ1e2を支持している。吸着スポンジ1e2は、ケースXの上面(天面)に対して直接当接される部位であり、クッション性を有する例えば樹脂材によって形成されている。この吸着スポンジ1e2の下面は、基準姿勢にて水平となる平面状の吸着面Mである。
【0028】
本実施形態において吸着スポンジ1e2は、上下貫通して吸着面Mに接続された複数の貫通部が設けられている。これらの貫通部は、平面視で格子状に配列されている。この貫通部に負圧供給部2で生成された負圧が供給される。吸着面MがケースXの上面に当接された状態で吸着スポンジ1e2の貫通部に負圧が供給されることで、ケースXの上面が吸着スポンジ1e2に吸着される。
【0029】
なお、本実施形態においては、吸着スポンジ1e2に複数の貫通部が設けられている。しかしながら、各々の貫通部に対応するように設けられた個別の吸着パッドを複数設けるようにしても良い。また、各々の貫通部あるいは個別に設けられた吸着パッドのうち、ケースXの上面に対して当接していないものに対しては、負圧が供給されないように構成することが望ましい。
【0030】
スライド支持機構1fは、吸着ユニット1eを基部1dに対して水平方向に移動可能に接続する機構である。このスライド支持機構1fは、例えば、基部1dに対して固定されるレールと、吸着ユニット1eに固定されてレールに沿って移動される移動体とを有している。このようなスライド支持機構1fによって、2つの吸着ユニット1eは、同一の水平軸に沿って各々が移動可能とされている。
【0031】
図5は、本実施形態のハンドリング装置1が備えるハンドユニット1cの動作を説明するための模式図である。この図に示すように、2つの吸着ユニット1eを反対方向に移動させることで、2つの吸着ユニット1eを近接させたり離間させたりすることが可能となる。
【0032】
スライド駆動部1gは、吸着ユニット1eを水平方向に沿って移動させる動力を生成し、生成した動力を吸着ユニット1eに伝達することで、吸着ユニット1eを基部1dに対して水平方向に移動させる。このようなスライド駆動部1gは、例えば、動力を生成するモータと、モータと吸着ユニット1eに伝達する伝達ギアとを備えている。
【0033】
側面当接部1hは、ケースXの側面に対して当接可能な部材である。本実施形態において側面当接部1hは、各々の吸着ユニット1eに対して設けられている。つまり、吸着ユニット1eが2つ(複数)設けられており、側面当接部1hは吸着ユニット1eごとに設けられている。
【0034】
各々の側面当接部1hは、ケースXの側面に当接される当接パッド1h1と、当接パッド1h1が固定されると共に吸着ユニット1eに対して回動可能に接続されたアーム1h2とを備えている。
【0035】
当接パッド1h1は、ケースXの側面に吸着可能な吸着パッドである。当接パッド1h1は、負圧供給部2から負圧が供給されることによってケースXの側面に吸着される。
図4に示すように、当接パッド1h1は、水平方向に延伸して設けられている。
【0036】
アーム1h2は、先端部に当接パッド1h1が固定されており、根本部が姿勢変更駆動部1iに接続されている。
図4に示すように、アーム1h2は、水平方向に延伸する当接パッド1h1の一端部と他端部との各々に対して設けられている。つまり、1つの当接パッド1h1に対して2つのアーム1h2が設けられている。ただし、1つの当接パッド1h1に対して1つのアーム1h2を設ける構成とすることも可能である。本実施形態において、各々のアーム1h2は、
図3に示すように、途中部位にて屈曲されることで、L字形状に形成されている。
【0037】
本実施形態においては、アーム1h2は、姿勢変更駆動部1iに接続された根本部を中心として回動可能に設けられている。つまり、側面当接部1hは、
図3に示すように、アーム1h2の根本部を中心として回動可能に設けられている。
【0038】
姿勢変更駆動部1iは、アーム1h2に接続されており、アーム1h2を回動することによって側面当接部1hの姿勢を変更する。姿勢変更駆動部1iは、吸着ユニット1eのベース部材1e1に固定されており、本実施形態においては1つのアーム1h2に対して1つ設けられている。このような姿勢変更駆動部1iは、吸着ユニット1eごとに設けられている。これらの姿勢変更駆動部1iの各々は、例えば動力を生成するモータと、モータで生成された動力を側面当接部1hに伝達する動力伝達部とを備えている。
【0039】
このような姿勢変更駆動部1iは、側面当接部1hの姿勢を、当接姿勢(
図3にて実線で示す姿勢)と、収容姿勢(
図3で二点鎖線で示す姿勢)とに姿勢変更する。当接姿勢は、側面当接部1hがケースXの側面に当接する姿勢である。この当接姿勢では、当接パッド1h1が吸着ユニット1eの吸着面Mよりも下方に位置し、当接パッド1h1が吸着面Mに吸着されたケースXの側面に当接可能になる。このような当接姿勢では、平面視において当接パッド1h1は、吸着ユニット1eよりも外側(ハンドユニット1cの中心位置に対して遠い側)に配置される。
【0040】
また、収容姿勢は、側面当接部1hが吸着ユニット1eの上方に配置されると共に平面視にて吸着ユニット1eの縁部1e3よりも吸着ユニット1eの内側に全体が配置される姿勢である。この収容姿勢では、当接パッド1h1が吸着ユニット1eの上方に位置し、平面視において、当接パッド1h1が吸着ユニット1eの縁部1e3よりも内側(ハンドユニット1cの中心位置に対して近い側)に配置される。
【0041】
なお、側面当接部1hは、当接姿勢において、アーム1h2が吸着ユニット1eの縁部1e3に側方から当接される。このようにアーム1h2が吸着ユニット1eの縁部1e3に側方から当接されることで、当接姿勢の側面当接部1hの回動が規制される。つまり、当接姿勢において側面当接部1hの当接パッド1h1が、吸着ユニット1eの下方で吸着ユニット1eの縁部1e3よりも内側に入り込むことが防止されている。
【0042】
着脱部1jは、多関節アームユニット1bの先端部に対して着脱可能に取り付けられる部位であり、基部1dの基準姿勢における上部に接続されている。このような着脱部1jは、多関節アームユニット1bの先端部と共に、いわゆるツールチェンジャを構成している。
【0043】
図1及び
図2に示すように、負圧供給部2は、負圧を発生させると共に負圧を吸着ユニット1eに対して供給する。また、負圧供給部2は、制御装置4に接続されており、制御装置4の制御の下に、吸着ユニット1e及び側面当接部1hに対して負圧を供給する。なお、ハンドリング装置1が設置される工場等にて負圧が生成されている場合には、負圧供給部2は、負圧を発生させずに外部から供給される負圧を吸着ユニット1e及び側面当接部1hに供給しても良い。
【0044】
また、負圧供給部2は、制御装置4の制御の下に、吸着スポンジ1e2に設けられた複数の貫通部に対して選択的に負圧を供給可能とされていることが好ましい。例えば、負圧供給部2は、貫通部の各々に対して接続された流路と、各々の流路に設置された逆止弁とを備えることで、複数の貫通部に対して選択的に負圧を供給することが可能となる。
【0045】
また、負圧供給部2は、制御装置4の制御の下に、側面当接部1hの当接パッド1h1の各々に対して、選択的に負圧を供給可能とされていることが好ましい。例えば、負圧供給部2は、当接パッド1h1の各々に対して接続された流路と、各々の流路に設置された逆止弁とを備えることで、2つの当接パッド1h1に対して選択的に負圧を供給することが可能となる。
【0046】
センサ3は、ハンドユニット1cとケースXとの相対的な位置関係やケースXの形状を取得する。例えば、センサ3としては、ケースXを上方から撮像してケースXを含む撮像データを出力する撮像センサや、ハンドユニット1cからケースXまでの距離を測定する距離センサ等が用いられる。なお、センサ3は、1つである必要はなく、複数あるいは複数種類のセンサ3を設置しても良い。また、センサ3の設置箇所は特に限定されるものではなく、ハンドリング装置1に設置されても、ハンドリング装置1の外部に設置されても良い。
【0047】
制御装置4は、
図1に示すように、ハンドリング装置1、負圧供給部2及びセンサ3と接続されている。この制御装置4は、予め記憶されたプログラム、センサ3から入力される信号に基づいて、ハンドリング装置1及び負圧供給部2を統括的に制御する。
【0048】
例えば、本実施形態において制御装置4は、センサ3からの入力信号に基づいてケースXの幅寸法を求める。さらに制御装置4は、ケースXの幅寸法に基づいて、スライド駆動部1gに吸着ユニット1eの水平方向の位置(すなわち2つの吸着ユニット1eの離間距離)を調整させる。
【0049】
また、制御装置4は、姿勢変更駆動部1iに側面当接部1hの姿勢を当接姿勢と収容姿勢とに変更させる。例えば、ケースXをパレットPから持ち上げる場合には、制御装置4は側面当接部1hを収容姿勢とする。また、例えば、ケースXを水平移動させる場合には、制御装置4は側面当接部1hを当接姿勢とする。
【0050】
次に、このように構成された搬送システムSの動作の一例について説明する。
【0051】
制御装置4は、例えば、センサ3からの入力信号に基づいて、パレットP上のケースXの形状や位置情報を取得する。続いて、制御装置4は、ハンドリング装置1にハンドユニット1cをケースXの上方まで移動させ、ハンドユニット1cを基準姿勢とする。また、制御装置4は、ケースXの幅寸法に基づいて、2つの吸着ユニット1eの離間距離を調整し、側面当接部1hの姿勢を収容姿勢とする。
【0052】
続いて、制御装置4は、吸着ユニット1eの吸着面MをケースXの上面に当接させ、負圧供給部2に吸着ユニット1eに対して負圧を供給させる。これによって、ケースXが吸着ユニット1eに吸着支持される。
【0053】
続いて、制御装置4は、ハンドリング装置1に、吸着支持されたケースXの隣接物が存在しない高さまでケースXを上昇させる。また、制御装置4は、側面当接部1hの姿勢を当接姿勢とする。さらに、制御装置4は、負圧供給部2に当接パッド1h1に負圧を供給させ、当接パッド1h1をケースXの側面に吸着させる。
【0054】
続いて、制御装置4は、ハンドリング装置1に吸着支持したケースXをコンベアC上まで移動させる。その後、制御装置4は、負圧供給部2からの吸着ユニット1e及び当接パッド1h1に対する負圧の供給を停止させ、吸着ユニット1e及び当接パッド1h1からケースXを離間させる。この結果、ケースXがコンベアC上に載置される。
【0055】
以上のような搬送システムSに備えられた本実施形態のハンドリング装置1のハンドユニット1cは、ケースXの天面を吸着する吸着スポンジ1e2が設けられた吸着ユニット1eを備えている。さらに、ハンドユニット1cは、ケースXの側面に当接可能な側面当接部1hを備えている。また、ハンドユニット1cは、側面当接部1hを、ケースXの側面に当接する当接姿勢と、吸着ユニット1eの上方に配置されると共に平面視にて吸着ユニット1eの縁部1e3よりも吸着ユニット1eの内側に全体が配置される収容姿勢とに姿勢変更する姿勢変更駆動部1iを備えている。
【0056】
このようなハンドユニット1cは、ケースXの側面に当接可能な側面当接部1hを備えている。このため、ケースXの水平搬送時には、ケースXを側方から支持することが可能となる。また、ハンドユニット1c本発明においては、側面当接部1hが、ケースXの側面に当接する当接姿勢と、吸着ユニット1eの上方に配置されると共に平面視にて吸着ユニット1eの縁部1e3よりも吸着ユニット1eの内側に全体が配置される収容姿勢とに姿勢変更が可能とされている。このため、ケースXを隣接物に対して隣接配置する場合には、側面当接部1hを収容姿勢とすることで、ケースXを隣接物に対して隙間なく配置することが可能となる。また、側面当接部1hを収容姿勢とすることで、隣接物に対して隙間なく配置されたケースXを吸着支持することが可能となる。したがって、ハンドユニット1cによれば、水平移動時にケースXを側方から支持可能とすると共に、ケースXを隣接物に対して隙間なく配置することが可能となる。
【0057】
また、ハンドユニット1cにおいて側面当接部1hは、ケースXの側面に当接される当接パッド1h1と、当接パッド1h1が固定されると共に吸着ユニット1eに対して回動可能に接続されたアーム1h2とを備えている。また、姿勢変更駆動部1iは、アーム1h2を回動することで側面当接部1hを姿勢変更する。このため、簡易な構成にて側面当接部1hの姿勢を変更することが可能となる。
【0058】
また、ハンドユニット1cにおいて当接パッド1h1は、ケースXの側面を吸着可能である。このため、ケースXの移動中に当接パッド1h1がケースXの側面から離れることを抑止することが可能となる。
【0059】
また、ハンドユニット1cにおいて側面当接部1hは、当接姿勢にて吸着ユニット1eに側方から当接される。このため、当接パッド1h1に吸着されたケースXに慣性力が作用した場合であっても、側面当接部1hが吸着ユニット1eによって支持される。つまり、本発明によれば、ケースXの作用する慣性力の少なくとも一部を吸着ユニット1eで受け止めることができる。このため、姿勢変更駆動部1iに作用する上記慣性力を小さくすることができ、姿勢変更駆動部1iを小型化することが可能となる。
【0060】
また、ハンドユニット1cは、吸着ユニット1eを上方から支持する基部1dと、吸着ユニット1eを基部1dに対して水平方向に移動可能に接続するスライド支持機構1fと、吸着ユニット1eを基部1dに対して水平方向に移動させるスライド駆動部1gとを備えている。このため、ケースXの形状に合わせて側面当接部1hの位置を調整することが可能となる。したがって、確実にケースXの側面に側面当接部1hを当接させることが可能となる。
【0061】
また、ハンドユニット1cにおいては、側面当接部1hが複数設けられている。このため、複数の側面当接部1hをケースXの側面に当接させることができ、より確実にケースXを支持することが可能となる。また、複数の側面当接部1hが異なる方向からケースXの側面に当接される。このため、ケースXを複数の方向から支持することが可能となる。
【0062】
また、ハンドユニット1cにおいては、吸着ユニット1eが複数設けられ、吸着ユニット1eごとに側面当接部1h及び姿勢変更駆動部1iが設けられている。このため、吸着ユニット1eを移動させることで、側面当接部1h及び姿勢変更駆動部1iも同時に移動させることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態のハンドリング装置1は、上述のハンドユニット1cと、ハンドユニット1cを移動させる多関節アームユニット1b(移動装置)とを備えている。このため、本実施形態のハンドリング装置1においても、水平移動時にケースXを側方から支持可能とすると共に、ケースXを隣接物に対して隙間なく配置することが可能となる。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態においては、側面当接部1hが、当接パッド1h1とアーム1h2とを備え、姿勢変更駆動部1iがアーム1h2を回動させることで側面当接部1hの姿勢を変更する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、側面当接部1hをスライドさせることで、当接姿勢と収容姿勢とに姿勢変更可能な構成を採用することも可能である。
【0066】
また、上記実施形態においては、当接パッド1h1がケースXの側面に吸着可能である構成について説明した。しかしながら、当接パッド1h1は、必ずしもケースXの側面に吸着可能である必要はない。例えば、姿勢変更駆動部1iがケースXに作用する慣性力を受け止めることが可能である場合には、当接パッド1h1がケースXの側面に吸着するこことなく接触する構成とすることも可能である。
【0067】
また、上記実施形態においては、2つの側面当接部1hが設けられた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。単一の側面当接部1hを備える構成を採用することも可能である。
【0068】
また、上記実施形態においては、吸着ユニット1eが基部1dに対して水平方向に移動可能である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、吸着ユニット1eが基部1dに対して移動されない構成を採用することも可能である。
【0069】
また、上記実施形態においては、吸着部として吸着スポンジ1e2に複数の貫通部が設けられた構成について説明した。しかしながら、例えば、
図6に示すように、吸着部として、複数の吸着パッド1e4を複数設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0070】
1……ハンドリング装置、1a……基台、1b……多関節アームユニット、1c……ハンドユニット、1d……基部、1e……吸着ユニット、1e1……ベース部材、1e2……吸着パッド(天面用吸着部)、1e3……縁部、1e4……吸着パッド(吸着部)、1f……スライド支持機構、1g……スライド駆動部(水平位置変更部)、1h……側面当接部、1h1……当接パッド、1h2……アーム、1i……姿勢変更駆動部(姿勢変更部)、1j……着脱部、2……負圧供給部、3……センサ、4……制御装置、……吸着面、P……パレット、S……搬送システム、X……ケース(搬送物)