(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020024
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】植物育成システム及び植物育成方法
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
A01G7/00 601A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125156
(22)【出願日】2021-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】521335694
【氏名又は名称】株式会社プロスペック
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】金光 靖典
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AB17
2B022DA01
(57)【要約】
【課題】低コストで植物の育成が可能な植物育成システム及び植物育成方法を提供する。
【解決手段】植物育成システムは、植物を育成するための断熱された植物育成室と、前記植物育成室内の温度を測定する測定手段と、前記植物に光を照射するための照射手段とを備え、前記照射手段は、光を照射している照射手段の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照射手段が光を照射する照射時間との対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記測定手段により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を育成するための断熱された植物育成室と、
前記植物育成室内の温度を測定する測定手段と、
前記植物に光を照射するための照射手段とを備え、
前記照射手段は、光を照射している照射手段の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照射手段が光を照射する照射時間との対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記測定手段により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射すること
を特徴とする植物育成システム。
【請求項2】
前記植物育成室の床部に設けられる加熱手段をさらに備え、
前記加熱手段は、前記測定手段により測定された温度が前記目標温度以下であるとき、前記植物育成室を加熱すること
を特徴とする請求項1に記載の植物育成システム。
【請求項3】
前記植物育成室に設けられる換気手段をさらに備え、
前記換気手段は、前記測定手段により測定された温度が前記目標温度以上であるとき、前記植物育成室を換気すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物育成システム。
【請求項4】
前記植物育成室に設けられる窓をさらに備えること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の植物育成システム。
【請求項5】
温度センサを用いて、植物を育成するための断熱された植物育成室内の温度を測定し、前記植物に光を照射するための照明器具を用いて、光を照射している照明器具の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照明器具が光を照射する照射時間との対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記温度センサにより測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射すること
を特徴とする植物育成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を育成するための植物育成システム及び植物育成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
育成場所の気候や天候は、植物の育成において、重要な要素である。例えば、カルフォルニアやメキシコに生息する乾燥と高温を好む植物を日本で育成する場合、気温が低い冬の時期において、植物は深刻な冷害を受ける。また、梅雨の時期において、降水により、土中に含まれる水分が過多となり、植物は根腐れを起こす。これらのため、気候の影響を受けずに植物を育成できる装置が必要とされている。このため、例えば特許文献1に開示されている庫内で野菜を育成可能な冷蔵庫が注目されている。
【0003】
特許文献1では、野菜貯蔵室内に断熱された着脱可能な野菜育成室を備える冷蔵庫が開示されている。これにより、特許文献1に開示されている冷蔵庫は、外部の気候の影響を受けずに植物を育成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている冷蔵庫では、ヒータ等の加熱器を用いて、野菜育成室の温度を均一にすることを前提としている。このため、温度を均一にするために加熱器は常に加熱し続ける必要があるため、消費電力が大きくなり、植物の育成にかかるコストが高くなってしまうことが問題点となっている。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点を解決するために導出されたものであり、その目的とするところは、低コストで植物の育成が可能な植物育成システム及び植物育成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る植物育成システムは、植物を育成するための断熱された植物育成室と、前記植物育成室内の温度を測定する測定手段と、前記植物に光を照射するための照射手段とを備え、前記照射手段は、光を照射している照射手段の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照射手段が光を照射する照射時間との対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記測定手段により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射することを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る植物育成システムは、第1発明において、前記植物育成室の床部に設けられる加熱手段をさらに備え、前記加熱手段は、前記測定手段により測定された温度が前記目標温度以下であるとき、前記植物育成室を加熱することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る植物育成システムは、第1発明又は第2発明において、前記植物育成室に設けられる換気手段をさらに備え、前記換気手段は、前記測定手段により測定された温度が前記目標温度以上であるとき、前記植物育成室を換気することを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る植物育成システムは、第1発明~第3発明のいずれかにおいて、前記植物育成室に設けられる窓をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る植物育成方法は、温度センサを用いて、植物を育成するための断熱された植物育成室内の温度を測定し、前記植物に光を照射するための照明器具を用いて、予め取得された光を照射している照明器具の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照明器具が光を照射する照射時間との対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記温度センサにより測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明~第4発明によれば、照射手段は、温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、光を照射する。これにより、照射手段による光の照射に伴い発生する熱を利用して、植物育成室内の温度を操作できる。これにより、低コストで植物の育成が可能となる。
【0013】
特に、第2発明によれば、加熱部は、温度が目標温度以下であるとき、植物育成室の内部を加熱する。これにより、より高精度に温度を操作することが可能となる。これにより、低コストでより植物に適した環境で植物を育成することができる。
【0014】
特に、第3発明によれば、換気手段は、温度が目標温度以上であるとき、内部を換気する。これにより、より高精度に温度を操作することが可能となる。これにより、低コストでより植物に適した環境で植物を育成することができる。
【0015】
特に、第4発明によれば、植物育成システムは、植物育成室に設けられる窓を備える。これにより、植物育成室の外部から内部を可視することが可能となり、植物育成室を断熱させたまま、植物を観察することができる。
【0016】
特に、第5発明によれば、照明器具は、温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、光を照射する。これにより、照明器具による光の照射に伴い発生する熱を利用して、植物育成室内の温度を操作できる。これにより、低コストで植物の育成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1実施形態における植物育成室の構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における植物育成室の内部の構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態におけるパネルの一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における制御系統を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における照射部の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における加熱部の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態における照射時間と植物育成室の温度の関係を示す図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態における植物育成室の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した実施形態における植物育成システム及び植物育成方法の一例について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、植物育成システム100の構成の一例を示す模式図である。植物育成システム100は、植物育成室1と、植物育成室1の側面である壁部2と、壁部2の上端に接合される植物育成室1の天井である天井部3と、壁部2の下端に接合される植物育成室1の床である床部5と、壁部2に設けられた換気部6と、壁部2に設けられた電気配線7と、壁部2に設けられた入口扉21とを備える。
【0020】
図2は、植物育成室1の内部の構造の一例を示す模式図である。植物育成システム100は、
図2に示すように、植物育成室1の天井部3に設けられたレール31に懸下された照射部30と、床部5に設置された加熱部51と、壁部2に設けられた温度センサ8と、壁部2に設けられた制御部17とを備える。
【0021】
植物育成室1は、植物9を育成するための断熱された閉空間である。植物育成室1は、直方体の閉空間であるが、この限りではなく、任意の形状、及び大きさの閉空間であってよい。植物育成室1は、例えばストレージタイプ、ボックスタイプ、リーチインタイプ、ウォークインタイプ等の任意の形状又は設計により構成されてもよい。
【0022】
植物9は、植物育成システム100により育成される対象物である。植物9は、サボテン等の多肉植物が好ましいが、この限りではなく、任意の植物であってよい。また、植物9は、例えば爬虫類又は両生類の生物であってもよい。
【0023】
天井部3と、壁部2と、床部5とは、それぞれ公知の接合方法により接合される。天井室3と壁部2と床部5とは、それぞれパネル10により構成される。
【0024】
図3は、パネル10の接合を示す模式図である。パネル10は、側面10aに凹部102と、側面10aの対面の側面10bに凹部102に嵌合される凸部101とを備える。各パネル10は、それぞれの凹部102と凸部101とが、それぞれ隣接するパネル10の凸部101と凹部102とに嵌合されることで接合される。また、各パネル10は、溶接等の公知の接合方法により接合されてよい。
【0025】
パネル10は、断熱材104の主平面の両面に2つの表面材103を接合させることにより構成される。
【0026】
断熱材104は、ポリウレタン発泡体等により構成される。
【0027】
表面材103は、例えば銅板、ステンレス、アルミ板、塩ビ銅板、フッ素銅板等により構成される。また、表面材103は、表面が樹脂によりコーティングされてもよい。また、表面材103は、酸化チタン等により、抗菌コーティングされてもよい。
【0028】
電気配線7は、照射部30、加熱部51、換気部6、及び制御部17等に電力を供給するための配線である。電気配線7は、任意の電源に接続される。
【0029】
入口扉21は、利用者及び植物9が出入りするための扉である。入口扉21は、片開き扉、両開き扉、観音扉、スライド扉等の任意の扉を用いてよい。
【0030】
温度センサ8は、植物育成室1の内部に設けられ、内部の温度を測定する。温度センサ8は、例えば熱電対等のいかなる公知の技術を用いたセンサでもよい。また、温度センサ8は、植物育成室1の内部の湿度を計測するための電気抵抗式等のいかなる公知の技術を用いた湿度センサを内蔵してもよい。
【0031】
図4は、本発明における制御系統を示すブロック図である。制御部17は、温度センサ8と、照射部30と、加熱部51と、換気部6とに接続される。制御部17は、温度センサ8から出力された温度の情報に応じて、照射部30、加熱部51、及び換気部6等を制御する。制御部17は、植物育成室1の内部に設けられてもよいが、この限りではなく、植物育成室1の外部に設けられてもよい。かかる場合、制御部17は、インターネット又はLAN(Local Area Network)等の無線通信網を介して、各種機器等に接続されてもよい。
【0032】
制御部17は、
図4に示すように、温度センサ8に接続される171と、選択部172と、照射部30と加熱部51と換気部6に接続される出力部173と、記憶部174とを備える。これら制御部17における取得部171と、選択部172と、出力部173と、記憶部174とは互いに接続される。これら制御部17における取得部171と、選択部172と、出力部173と、記憶部174とは、ソフトウェアにより実現されてもよい。
【0033】
取得部171は、温度センサ8が測定した温度の情報を取得する。また、取得部171は、温度センサ8が測定した湿度の情報を取得してもよい。また、取得部171は、利用者が各種情報を入力するためのキーボード等を備えてもよい。
【0034】
選択部172は、取得部171が取得した温度に応じて、出力する命令を選択する。選択部172は、例えば予め取得された光を照射している照射部30の発熱による植物育成室1の温度の変化の差分と照射部30が光を照射する照射時間との対応関係を参照し、予め設定された目標温度と温度センサ8により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、照射部30に光を照射させる命令を選択する。
【0035】
記憶部174は、取得部171により取得した温度の情報、及び目標温度の情報、対応関係等の各種情報を記憶する。
【0036】
出力部173は、選択部172により選択された命令を各種装置に出力する。
【0037】
図5は、植物9に光を照射するための照射部30を示す図である。照射部30は、
図5に示すように、植物育成室1の内部に設けられた植物9に光を照射するための照明器具である。照射部30は、天井部3に設けられたレール31に接続される連結部32と、連結部32に接続される調整部33と、調整部33に接続される光源部34とを備える。
【0038】
連結部32は、レール31に取り付けられ、レール31に懸下された状態でレール31に沿って走行移動する。
【0039】
調整部33は、連結部32と、光源部34との間の長さを調整することにより、光源部34と植物9の間の距離Lを調整する。調整部33は、光源部34と植物9との距離Lが、15~25cmとなるように調整するが、この限りではなく、15~150cmの何れかとなるように調整してもよい。
【0040】
光源部34は、植物9に光を照射するための光源である。光源部34は、600~700nmの赤色波長帯の複数の波長の光と、400~500nmの青色波長帯の複数の波長の光とが合成された光を照射するが、この限りではなく、任意の波長の光を照射してよい。
【0041】
また、光源部34は、例えば消費電力が10~20WのLED(Light Emitting Diode)光源を用いるが、この限りではなく、任意の消費電力の光源を用いてよい。
【0042】
加熱部51は、
図6に示すような、床部5に設置される植物育成室1を加熱するための、シート状のヒータであるが、この限りではなく、任意の加熱器具を用いてよい。また、加熱部51は、床部5の底に設けられてよい。
【0043】
換気部6は、植物育成室1の内部を換気するための換気扇等である。
【0044】
次に、本実施形態における植物育成システム100の動作について説明する。
【0045】
まず、温度センサ8は、植物育成室1の内部の温度を測定する。取得部171は、測定した温度の情報を温度センサ8から取得する。取得部171は、取得した温度の情報及び湿度の情報を選択部172に出力する。また、取得部171は、取得した温度の情報及び湿度の情報を記憶部174に記憶させてもよい。
【0046】
また、取得部171は、利用者により設定された植物育成室1の内部の温度である目標温度を予め取得してもよい。また、取得部171は、利用者から、植物9の種類に関する情報を取得してもよい。かかる場合、予め設定された植物9の種類に対する適切な温度の情報が設定された設定表を参照し、利用者から取得した植物9の種類に関する情報から適切な温度の情報を取得し、取得した適切な温度の情報を目標温度として記憶部174に記憶させてもよい。また、取得部171は、利用者により設定された植物育成室1の内部の湿度である目標湿度を予め取得してもよい。
【0047】
また、取得部171は、利用者により入力された、植物育成室1の形状又は大きさに関する情報、植物育成室1に設けられた照明器具の種類、数、又は密度に関する情報、植物育成室1の外部の温度に関する情報等を取得してもよい。取得部171は、取得したこれらの情報を選択部172に出力する。また、取得部171は、これらの情報を記憶部174に記憶させる。
【0048】
次に選択部172は、取得部171により取得した温度の情報に基づいて、各種器具に出力する命令を選択する。選択部172は、例えば予め取得された対応関係を参照し、予め設定された目標温度と温度センサ8により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択する。
【0049】
対応関係は、例えば表1に示すような、光を照射している照射部30の発熱による植物育成室1の温度の変化の差分と照射部30が光を照射する照射時間とが互いに一義的に関連付けられたテーブルである。
【0050】
【0051】
図7は、照射時間と植物育成室1の温度の関係を示すグラフである。
図7は、照射部30を用いて光の照射を開始した開始時点t
1である6:00から光の照射を終了した終了時点t
2である18:00の12時間、照射部30を用いて光を照射したときの植物育成室1の温度の変化を示している。対応関係は、例えば
図7のように照射部30を用いて、実際に光を照射したときの照射時間と、温度センサ8により測定した温度の変化の差分との関係を示すグラフに基づいて生成され、記憶部174に予め記憶されてもよい。かかる場合、照射時間を開始時点t
1から終了時点t
2までの時間幅とすると、温度の変化の差分は、終了時点t
2における温度Aと開始時点t
1における温度Bとの差であるが、この限りではなく、任意の時点から任意の時点までを照射時間とし、この2時点における温度の差を温度の変化の差分としてもよい。
【0052】
また、対応関係は、利用者により任意に設定された照射時間と温度の変化の差分とが互いに一義的に関連付けられたテーブルであってもよい。また、対応関係は、仮想時間軸上の任意の時点から任意の時点までを照射時間とし、仮想空間上のシミュレーションにより算出したこの2時点における温度の差を温度の変化の差分としてもよい。
【0053】
また、対応関係は、例えば形状又は大きさが異なる植物育成室1毎に、実際に照射部30を用いて光を照射したときの照射時間と植物育成室1の温度の変化のグラフに基づいて生成され、植物育成室1の形状又は大きさに関する情報毎に紐づけて、記憶部174に予め記憶されてもよい。
【0054】
選択部172は、予め記憶部174に記憶された対応関係を参照し、予め設定された目標温度と温度センサ8により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択する。選択部172は、選択した照射時間に亘り、照射部30に光を照射させる命令を出力部173に出力する。
【0055】
また、選択部172は、取得部171により取得した各種情報に応じて、参照する対応関係を選択してもよい。かかる場合、選択部172は、植物育成室1の形状又は大きさに関する情報毎に紐づけて、記憶部174に予め記憶された対応関係のうち、取得した植物育成室1の形状又は大きさに関する情報に紐づく対応関係を選択する。さらに選択部172は、この対応関係を参照し、予め設定された目標温度と温度センサ8により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択する。
【0056】
また、選択部172は、取得部171により取得した温度の情報に基づいて、加熱部51に植物育成室1を加熱させる命令を選択する。かかる場合、取得部171により取得した温度の情報が目標温度より低いとき、選択部172は、加熱部51に植物育成室1を加熱させるように命令してもよい。
【0057】
また、選択部172は、取得部171により取得した温度の情報に基づいて、換気部6に植物育成室1を換気させる命令を選択する。かかる場合、取得部171により取得した温度の情報が目標温度より高いとき、選択部172は、換気部6に植物育成室1を換気させるように命令してもよい。また、選択部172は、照射部30に光を照射するように命令する照射時間に亘り、換気部6に植物育成室1を換気させるように命令を選択してよい。また、選択部172は、取得部171により取得した湿度の情報に基づいて、換気部6に植物育成室1を換気させる命令を選択する。かかる場合、取得部171により取得した湿度の情報が目標湿度より高いとき、選択部172は、換気部6に植物育成室1を換気させるように命令してもよい。
【0058】
また、選択部172は、予め設定された時間帯において、光を照射しないように照射部30を制御してもよい。例えば予め設定された時間帯が夜間である場合、夜間の間、照射部30に光を照射させないことにより、植物育成室1の外で植物9を育成するときに近い環境を作ることが可能となる。
【0059】
出力部173は、選択部172が選択した各種情報を、各種器具に出力する。出力部173は、例えば選択部172が、選択した照射時間に応じた命令を照射部30に出力する。
【0060】
照射部30は、制御部17から出力された命令に応じて、光を出力する。かかる場合、照射部30は、選択部172が選択した照射時間に亘り、光を照射する。これにより、光を照射している照射部30の発熱を利用して、植物育成室1内の温度を操作できる。これにより、低コストで植物9の育成が可能となる。
【0061】
また、加熱部51は、制御部17から出力された命令に応じて、植物育成室1を加熱する。これにより、より高精度に温度を操作することが可能となる。これにより、低コストでより植物9に適した環境で植物を育成することができる。
【0062】
また、換気部6は、制御部17から出力された命令に応じて、植物育成室1を換気する。これにより、より高精度に温度を操作することが可能となる。これにより、低コストでより植物9に適した環境で植物を育成することができる。
【0063】
これにより、本実施形態における植物育成システム100の動作が終了する。
【0064】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を適用した植物育成システム100について、詳細に説明をする。第2実施形態は、植物育成室1に窓が設けられる点で第1実施形態と異なる。
【0065】
本実施形態における植物育成室1の構成について説明する。植物育成室1は、例えば
図8に示すように、壁部2に窓23と、開閉可能な天井部3と壁部2とに接続される支え部25と、床部5の底に設けられる車輪24とを備える。
【0066】
窓23は、植物育成室1の外部から内部を可視可能な透明なガラス等で構成される。
【0067】
支え部25は、天井部3を開けたときに、天井部3が閉まらないようにするために、天井部3を係止する。
【0068】
車輪24は、植物育成室1を滑走させるために設けられる。
【0069】
本実施形態における植物育成システム100は、植物育成室1に窓23を設けることにより、植物育成室1の外部から内部を可視することが可能となり、植物育成室1を断熱させたまま、植物9を観察することができる。
【0070】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 :植物育成室
2 :壁部
3 :天井部
5 :床部
6 :換気部
7 :電気配線
8 :温度センサ
9 :植物
10 :パネル
17 :制御部
21 :入口扉
23 :窓
24 :車輪
25 :支え部
30 :照射部
31 :レール
32 :連結部
33 :調整部
34 :光源部
51 :加熱部
100 :植物育成システム
171 :取得部
172 :選択部
173 :出力部
174 :記憶部
【手続補正書】
【提出日】2021-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を育成するための断熱された植物育成室と、
前記植物育成室内の温度を測定する測定手段と、
前記植物に光を照射するための照射手段と、
前記照射手段の照明器具の種類、数、又は密度に関する照明情報を取得する取得手段とを備え、
前記照射手段は、光を照射している照射手段の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照射手段が光を照射する照射時間との、前記取得手段により取得された照明情報に紐づく対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記測定手段により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射すること
を特徴とする植物育成システム。
【請求項2】
前記植物育成室の床部に設けられる加熱手段をさらに備え、
前記加熱手段は、前記測定手段により測定された温度が前記目標温度以下であるとき、前記植物育成室を加熱すること
を特徴とする請求項1に記載の植物育成システム。
【請求項3】
前記植物育成室に設けられる換気手段をさらに備え、
前記換気手段は、前記測定手段により測定された温度が前記目標温度以上であるとき、前記植物育成室を換気すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物育成システム。
【請求項4】
前記植物育成室に設けられる窓をさらに備えること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の植物育成システム。
【請求項5】
温度センサを用いて、植物を育成するための断熱された植物育成室内の温度を測定し、前記植物に光を照射するための照明器具の種類、数、又は密度に関する照明情報を取得し、前記照明器具を用いて、光を照射している照明器具の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照明器具が光を照射する照射時間との、前記照明情報に紐づく対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記温度センサにより測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射すること
を特徴とする植物育成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1発明に係る植物育成システムは、植物を育成するための断熱された植物育成室と、前記植物育成室内の温度を測定する測定手段と、前記植物に光を照射するための照射手段と、前記照射手段の種類、数、又は密度に関する照明情報を取得する取得手段とを備え、前記照射手段は、前記取得手段により取得された照明情報に紐づく、光を照射する照射時間との対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記測定手段により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射することを特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冬において多肉植物を育成するための断熱された植物育成室と、
前記植物育成室内の温度を測定する測定手段と、
前記多肉植物に光を照射するための照射手段と、
前記照射手段の照明器具の種類、数、又は密度に関する照明情報を取得する取得手段とを備え、
前記照射手段は、光を照射している照射手段の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照射手段が光を照射する照射時間との、前記取得手段により取得された照明情報に紐づく対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記測定手段により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射すること
を特徴とする植物育成システム。
【請求項2】
前記植物育成室の床部に設けられる加熱手段をさらに備え、
前記加熱手段は、前記測定手段により測定された温度が前記目標温度以下であるとき、前記植物育成室を加熱すること
を特徴とする請求項1に記載の植物育成システム。
【請求項3】
前記植物育成室に設けられる換気手段をさらに備え、
前記換気手段は、前記測定手段により測定された温度が前記目標温度以上であるとき、前記植物育成室を換気すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物育成システム。
【請求項4】
前記植物育成室に設けられる窓をさらに備えること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の植物育成システム。
【請求項5】
温度センサを用いて、冬において多肉植物を育成するための断熱された植物育成室内の温度を測定し、前記多肉植物に光を照射するための照明器具の種類、数、又は密度に関する照明情報を取得し、前記照明器具を用いて、光を照射している照明器具の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照明器具が光を照射する照射時間との、前記照明情報に紐づく対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記温度センサにより測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射すること
を特徴とする植物育成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1発明に係る植物育成システムは、冬において多肉植物を育成するための断熱された植物育成室と、前記植物育成室内の温度を測定する測定手段と、前記多肉植物に光を照射するための照射手段と、前記照射手段の種類、数、又は密度に関する照明情報を取得する取得手段とを備え、前記照射手段は、前記取得手段により取得された照明情報に紐づく、光を照射する照射時間との対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記測定手段により測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第5発明に係る植物育成方法は、温度センサを用いて、冬において多肉植物を育成するための断熱された植物育成室内の温度を測定し、前記多肉植物に光を照射するための照明器具の種類、数、又は密度に関する照明情報を取得し、前記照明器具を用いて、光を照射している照明器具の発熱による植物育成室の温度の変化の差分と照明器具が光を照射する照射時間との、前記照明情報に紐づく対応関係を参照し、予め設定された目標温度と前記温度センサにより測定された温度との差分に対応する照射時間を選択し、選択した照射時間に亘り、前記光を照射することを特徴とする。