(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020034
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20230202BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20230202BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230202BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230202BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230202BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20230202BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230202BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230202BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230202BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20230202BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230202BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230202BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230202BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K31/05
A61K8/37
A61K8/39
A61K47/14
A61K8/60
A61K47/26
A61Q19/08
A61Q19/00
A61Q19/02
A61P17/14
A61P43/00 107
A61K9/10
A61K8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125171
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】松永 陽香
(72)【発明者】
【氏名】中村 将行
(72)【発明者】
【氏名】森山 昌明
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸次
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076DD45N
4C076DD46N
4C076DD47N
4C076FF11
4C076FF16
4C076FF34
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC072
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4C083AC351
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4C206AA01
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4C206CA19
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4C206MA02
4C206MA05
4C206MA42
4C206MA83
4C206NA05
4C206ZA89
(57)【要約】
【課題】本発明においては、カンナビジオールの経皮吸収促進作用を有する皮膚外用剤を見出し、(a)カンナビジオール及び(b)油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することにより、カンナビジオールの皮膚への透過性を高めた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】(a)カンナビジオール及び(b)油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有する皮膚外用剤において、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)をカンナビジオールの皮膚吸収促進剤として配合することにより、カンナビジオールの皮膚への透過性を高めることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カンナビジオール及び(b)油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
(b)成分がエステル油及び油脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
(b)成分が炭素数8~24の脂肪酸と炭素数3~24の脂肪族アルコールからなるエステル油、炭素数2以上の多価アルコールと炭素数8~24の脂肪酸からなるエステル油、及び、ジカルボン酸と炭素数3~18の脂肪族アルコールからなるエステル油から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
(b)成分が、溶解度パラメーター(SP値)が16.5~22.0の油剤であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
(b)成分がイソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3及び4のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
さらに、(c)多価アルコールを含有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
さらに、(d)グリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体を含有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
乳化物であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
水中油型乳化物であることを特徴とする、請求項8に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビジオールと特定の油剤とを含有する皮膚外用剤に関する。詳細には、カンナビジオールの皮膚への透過性を高めたことを特徴とする皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは、カンナビジオールと油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とする皮膚外用剤において、カンナビジオールの皮膚への透過性を高める目的で油剤を配合することを特徴とする皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
新たな薬理作用を期待した成分としてカンナビジオール(CBD)が注目されている。カンナビジオールとは麻に含まれるカンナビノイドの1種であり、例えばてんかん発作の治療薬や結節性硬化症の治療用組成物等が開発されている(特許文献1、2)。また、外用剤としての使用も開発されている。
【0003】
しかし、カンナビジオールは親油性が高い化合物であるため皮膚への透過性が低く、皮膚等の膜から吸収されにくい。このため、カンナビジオールの経皮吸収が向上された皮膚外用剤が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013-523708号公報
【特許文献2】特表2017-537064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明においては、カンナビジオールの皮膚や粘膜への吸収効果を高めた皮膚外用剤を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、カンナビジオールを含有する皮膚外用剤において、カンナビジオールの経皮吸収促進作用に優れた皮膚外用剤を見出すために、種々の物質についてカンナビジオールの経皮吸収作用に関する検討を行った。その結果、炭化水素油及びシリコーン油以外の油剤に優れたカンナビジールの経皮吸収促進作用を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明はカンナビジオール及び油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とする皮膚外用剤に関する。また、本発明はカンナビジオール及び油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とする皮膚外用剤であって、カンナビジオールの経皮吸収促進作用を有するものが、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)であることを特徴とする前記皮膚外用剤に関する。
【0007】
本発明の概要は以下の通りである。
[1](a)カンナビジオール及び(b)油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
[2](b)成分がエステル油及び油脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、[1]に記載の皮膚外用剤。
[3](b)成分が炭素数8~24の脂肪酸と炭素数3~24の脂肪族アルコールからなるエステル油、炭素数2以上の多価アルコールと炭素数8~24の脂肪酸からなるエステル油、及び、ジカルボン酸と炭素数3~18の脂肪族アルコールからなるエステル油から選ばれる少なくとも1種である[2]に記載の皮膚外用剤。
[4](b)成分が、溶解度パラメーター(SP値)が16.5~22.0の油剤であることを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[5](b)成分がイソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、[3]及び[4]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[6]さらに、(c)多価アルコールを含有することを特徴とする、[1]乃至[5]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[7]さらに、(d)グリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体を含有することを特徴とする、[1]乃至[6]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[8]乳化物であることを特徴とする、[1]乃至[7]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[9]水中油型乳化物であることを特徴とする、[8]に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カンナビジオールの皮膚への透過性を高めた皮膚外用剤を提供することができる。特に、カンナビジオール及び油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有する皮膚外用剤において、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)をカンナビジオールの皮膚吸収促進剤として配合することにより、カンナビジオールの皮膚への透過性を高めることができる。また、本発明によれば、カンナビジオール及び油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有する乳化物である皮膚外用剤において、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)をカンナビジオールの皮膚吸収促進剤として配合することにより、カンナビジオールの皮膚への透過性を高めることができる。また、本発明によれば、カンナビジオール及び油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有する水中油型乳化物である皮膚外用剤において、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)をカンナビジオールの皮膚吸収促進剤として配合することにより、カンナビジオールの皮膚への透過性を高めることができる。また、本発明によれば、カンナビジオール及び油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)に、さらに多価アルコールを含有する皮膚外用剤において、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)及び多価アルコールをカンナビジオールの皮膚吸収促進剤として配合することにより、カンナビジオールの皮膚への透過性をさらに高めることができる。また、本発明によれば、カンナビジオール及び油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)に、さらにグリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体を含有する皮膚外用剤において、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)、並びに、グリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体をカンナビジオールの皮膚吸収促進剤として配合することにより、カンナビジオールの皮膚への透過性をさらに高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、カンナビジオール及び油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とする皮膚外用剤であって、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用を有するものが油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)であることを特徴とする前記皮膚外用剤に関する。
【0010】
(a)カンナビジオール
本発明の皮膚外用剤はカンナビジオールを含有することを特徴とする。カンナビジオールはカンナビノイドの1種であり、麻に含まれることが知られている。カンナビジオールは、同じカンナビノイドの1種であるテトラヒドロカンナビノールとはその薬理効果が異なることが知られている。本発明において、カンナビジオールは麻や柑橘類の果皮等植物から抽出、精製したものや、合成したものを使用することができるが、安全性、カンナビジオールの高い細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用を高める点から天然物から精製したものや合成したものを使用することが好ましい。
【0011】
本発明の皮膚外用剤におけるカンナビジオールの含有量は特に制限はなく、0.000001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.00001質量%以上であり、高い細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から特に好ましくは0.001質量%以上である。また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、高い細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から3質量%以下が特に好ましい。
【0012】
(b)油剤
本発明の皮膚外用剤はカンナビジオールと共に油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とする。本発明で用いる本発明で用いる油剤は、皮膚に塗布して使用可能な油剤であれば良く、極性、非極性のいずれも使用できる。また、常温(20℃)において液体、固体のいずれであっても良く特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から常温で液体の油剤が好ましい。
【0013】
本発明で用いる油剤は、炭化水素油、シリコーン油以外の油剤であれば良く、特に制限されない。油剤としては、例えば高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、ロウ、油脂を挙げることができ、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点からエステル油、油脂が好ましく、エステル油が特に好ましい。
【0014】
本発明で用いる油剤がエステル油の場合、エステル化反応を利用して合成した油性成分であれば良く特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から炭素数8~24の脂肪酸と炭素数3~24の脂肪族アルコールからなるエステル油、炭素数2以上の多価アルコールと炭素数8~24の脂肪酸からなるエステル油、及び、ジカルボン酸と炭素数3~18の脂肪族アルコールからなるエステル油が好ましい。
【0015】
エステル油の具体例としては、例えばイソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、セチルイソブチルエーテル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ジオクチルエーテル、ミリスチン酸イソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソプロピルパルミテート、トリイソステアリン、アルキル-1,3-ジメチルブチルエーテル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸アルキル(C12-C15)、トリエチルヘキサノイン、リン酸トリスエトキシジグリコール、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、乳酸オクチルドデシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、dl-α-トコフェロール、オレイン酸モノグリセライド、モノイソステアリン酸ジグリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等を挙げることができ、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2が好ましい。
【0016】
本発明で用いる油剤が油脂の場合、グリセリンと高級脂肪酸とのトリグリセリドを主成分とした物質であれば良く特に制限されず、例えば植物油脂、動物油脂のいずれであっても良いし、常温(20℃)において液体の脂肪油、常温において固体の脂肪のいずれであっても良く特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から植物油脂、脂肪油が好ましく、植物の脂肪油が特に好ましい。植物の脂肪油としては、例えばアマナズナ種子油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ果実油、ククイナッツ油、硬化ヒマシ油、ゴマ油、コムギ胚芽油、コメヌカ油、大豆油、月見草油、ツバキ種子油、トウモロコシ油、ナタネ油、アンズ核油、パーム油、ハトムギ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ種子油、マカデミア種子油、メドウフォーム油、綿実油、ヤシ油、ピーナッツ油、カニナバラ果実油、チャ種子油、ラベンダー油等を挙げることができ、ククイナッツ油、硬化ヒマシ油、ホホバ種子油、ヤシ油が好ましい。
【0017】
本発明で用いる油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)は、溶解度パラメータ(SP値)が16.5~22.0(cal/cm3)1/2であることが好ましい。SP値は溶解度パラメーターδであって、液体の分子凝集エネルギーEと分子容Vからδ=(E/V)1/2(J/cm3)で求められる物質定数である。この値から物質の相対的な極性の高さを推定することができる。SP値は種々の方法で実測または計算で決定され、例えばFedorsの方法に従い、J.BRANDR UP著「POLYMER HANDBOOK 4th」(JHON WILEY&SONS,INC 1999年発行)、VII685~686項に示されるパラメーターを用いて求められる。本発明の皮膚外用剤において油剤が混合物である場合、(b)成分のSP値は加重平均、すなわち、構成成分それぞれのSP値と質量分率の積の総和として求める。また、本発明の皮膚外用剤において油剤が天然物やポリマー等、構造式を特定できないものである場合、(b)成分のSP値は代表構造に従って計算する。
【0018】
本発明で用いるSP値が16.5~22.0の油剤は、SP値が16.5~22.0であれば良く特に制限されないが、16.7~21.5が好ましく、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から17.0~21.0が特に好ましい。
【0019】
SP値が16.5~22.0の油剤としては、例えばイソステアリン酸イソプロピル(SP値16.6)、イソノナン酸イソトリデシル(SP値16.6)、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル(SP値16.6)、ステアリン酸ブチル(SP値16.7)、ミリスチン酸オクチルドデシル(SP値16.7)、セチルイソブチルエーテル(SP値16.8)、パルミチン酸イソプロピル(SP値16.8)、ミリスチン酸ミリスチル(SP値16.8)、ジオクチルエーテル(SP値16.9)、ミリスチン酸イソステアリル(SP値16.9)、イソノナン酸イソトリデシル(SP値17.0)、イソプロピルパルミテート(SP値17.0)、ジメチコン(10cs)(SP値17.0)、トリイソステアリン(SP値17.1)、アルキル-1,3-ジメチルブチルエーテル(SP値17.2)、イソステアリン酸(SP値17.5)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)(SP値17.5)、イソパルミチン酸(SP値17.6)、オレイン酸(SP値17.6)、リノール酸(SP値17.6)、イソミリスチン酸(SP値17.7)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(SP値17.7)、安息香酸アルキル(C12-C15)(SP値18.0~18.2)、トリエチルヘキサノイン(SP値18.1)、リン酸トリスエトキシジグリコール(SP値18.1)、ラウリルアルコール(SP値18.2)、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル(SP値18.4)、オレイルアルコール(SP値18.5)、乳酸オクチルドデシル(SP値18.5)、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(SP値18.5)、リンゴ酸ジイソステアリル(SP値18.5)、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(SP値18.6)、ミリスチン酸イソプロピル(SP値18.6)、ジイソステアリン酸ジグリセリル(SP値18.7)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(SP値19.0)、4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(SP値19.0)、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル(SP値19.1)、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(SP値19.2)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10(SP値19.4)、dl-α-トコフェロール(SP値19.4)、リシノール酸(SP値19.8)、メチルフェニルポリシロキサン(SP値20.0)、オレイン酸モノグリセライド(SP値20.6)、モノイソステアリルグリセリルエーテル(SP値20.6)、ソルビタンセスキオレエート(SP値20.9)、モノイソステアリン酸ジグリセリル(SP値21.7)等を挙げることができる。このうち、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点からイソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン、アルキル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リン酸トリスエトキシジグリコール、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルが好ましく、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルがより好ましく、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2が特に好ましい。
【0020】
(イソノナン酸イソトリデシル)
イソノナン酸イソトリデシルは炭素数9の中鎖分岐脂肪酸であるイソノナン酸と中鎖分岐アルコールであるイソトリデシルアルコールのエステル油であって、SP値が17.0であり、7-メチルオクタン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソトリデシルとも呼ばれる。本発明で用いるイソノナン酸イソトリデシルは、常温(20℃)において液体、固体のいずれであっても良く特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から常温で液体の油剤が好ましい。本発明においては市販品を使用することができる。
【0021】
(ジカプリン酸ネオペンチルグリコール)
ジカプリン酸ネオペンチルグリコールは多価アルコールの1種であるネオペンチルグリコールに炭素数10の中鎖脂肪酸かつ飽和脂肪酸であるカプリン酸を2つエステル結合してつくられるジエステルであって、SP値が17.7である。本発明で用いるジカプリン酸ネオペンチルグリコールは、常温(20℃)において液体、固体のいずれであっても良く特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から常温で液体の油剤が好ましい。本発明においては市販品を使用することができる。
【0022】
(リンゴ酸ジイソステアリル)
リンゴ酸ジイソステアリルはα-ヒドロキシ酸(AHA:alpha hydroxy acid)の1種であるリンゴ酸に炭素数18の合成高級アルコールであるイソステアリルアルコールを2つエステル結合してつくられるジエステル(α-ヒドロキシ酸エステル)であって、SP値が18.5であり、リンゴ酸ジステアリルとも呼ばれる。リンゴ酸ジイソステアリルは、常温(20℃)において液体、固体のいずれであっても良く特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から常温で液体の油剤が好ましい。本発明においては市販品を使用することができる。
【0023】
(ミリスチン酸イソプロピル)
ミリスチン酸イソプロピルは低級アルコール(一価アルコール)の1種であるイソプロパノールのヒドロキシ基(水酸基)に高級脂肪酸の1種であるミリスチン酸のカルボキシル基を結合した脂肪酸エステルであって、SP値が18.6であり、イソプロピルミリステートとも呼ばれる。本発明で用いるミリスチン酸イソプロピルは、常温(20℃)において液体、固体のいずれであっても良く特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から常温で液体の油剤が好ましい。本発明においては市販品を使用することができる。
【0024】
(ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2)
ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2は炭素数18の合成飽和脂肪酸であるイソステアリン酸2つを疎水基(親油基)とし、多価アルコールの1種であり、4個の水酸基をもつジグリセリンを親水基としたジエステルであって、SP値が19.0であり、ジイソステアリン酸ポリグリセリルとも呼ばれる。本発明で用いるジイソステアリン酸ポリグリセリル-2は、常温(20℃)において液体、固体のいずれであっても良く特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から常温で液体の油剤が好ましい。本発明においては市販品を使用することができる。
【0025】
本発明で用いる油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)はこれらの1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。
【0026】
本発明の皮膚外用剤における油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)の含有量は特に制限はなく、0.000001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.0001質量%以上であり、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から特に好ましくは0.001質量%以上である。また、99.99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から90質量%以下が特に好ましい。なお、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を2種以上使用する場合、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)の含有量はその合計量である。
【0027】
本発明の皮膚外用剤におけるカンナビジオールに対する油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)の含有量は特に制限はなく、カンナビジオールの含有量を1とした場合、1:0.1~100000000が好ましく、より好ましくは1:1~1000000であり、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から特に好ましくは1:7.5~10000である。なお、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を2種以上使用する場合、カンナビジオールに対する油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)の含有量はその合計量である。
【0028】
(c)多価アルコール
本発明の皮膚外用剤はカンナビジオールと油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とし、さらに多価アルコールを含有することができる。本発明で用いる多価アルコールは1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する有機化合物である。本発明で用いる多価アルコールは、皮膚に塗布して使用可能な多価アルコールであれば良く特に制限されないが、例えばグリセリン;ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン;エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオールなどの2価アルコール;エリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール;スクロース、トレハロースなどの糖類等を挙げることができる。このうち、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点からグリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオールが好ましく、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオールが特に好ましい。
【0029】
本発明で用いる多価アルコールはこれらの1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。
【0030】
本発明の皮膚外用剤に多価アルコールの含有量は特に制限はなく、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から特に好ましくは0.05質量%以上である。また、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から20質量%以下が特に好ましい。なお、多価アルコールを2種以上使用する場合、多価アルコールの含有量はその合計量である。
【0031】
本発明の皮膚外用剤におけるカンナビジオールに対する多価アルコールの含有量は特に制限はなく、カンナビジオールの含有量を1とした場合、1:0.001~10000000が好ましく、より好ましくは1:0.01~100000であり、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から特に好ましくは1:0.05~10000である。
【0032】
(d)グリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体
本発明の皮膚外用剤はカンナビジオールと油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)を含有することを特徴とし、さらにグリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体を含有することができる。本発明で用いるグリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体は、皮膚に塗布して使用可能な成分であれば良く特に制限されないが、例えばPPG-9ジグリセリル、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル等を挙げることができる。このうち、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点からPPG-9ジグリセリル、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリンが好ましい。
【0033】
本発明で用いるグリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体はこれらの1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。
【0034】
本発明の皮膚外用剤にグリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体の含有量は特に制限はなく、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上であり、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から特に好ましくは0.01質量%以上である。また、15質量%以下が好ましく、12.5質量%以下がより好ましく、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から10質量%以下が特に好ましい。なお、グリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体を2種以上使用する場合、グリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体の含有量はその合計量である。
【0035】
本発明の皮膚外用剤におけるカンナビジオールに対するグリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体の含有量は特に制限はなく、カンナビジオールの含有量を1とした場合、1:0.05~100000000が好ましく、より好ましくは1:0.07~1000000であり、カンナビジオールの経皮吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用が得られる観点から特に好ましくは1:0.09~10000である。
【0036】
本発明の皮膚外用剤の剤形は、水系、油性系、乳化系(油中水型、水中油型等)、可溶化系、粉体系、溶剤系等のものを挙げることができ、特に制限されないが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用、塗布のしやすさ、製剤性の観点から水系、油性系、乳化系、可溶化系であることが好ましく、乳化系、すなわち、乳化物であることがより好ましい。本発明の皮膚外用剤が乳化物である場合、本発明の皮膚外用剤の乳化形態は使用する形状に合わせて適宜変更でき、水中油型、油中水型、水中油中水型、油中水中油型のいずれの形態もとり得るが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用、塗布のしやすさの観点から水中油型乳化物であることが好ましい。
【0037】
本発明の皮膚外用剤は皮膚に塗布して使用する組成物であり、皮膚に塗布して使用する外用剤であれば特に制限はなく、例えば化粧品、医薬品、医薬部外品として使用される。本発明の皮膚外用剤が化粧品、医薬部外品である場合、ローション、美容液、美容クリーム、乳液、オールインワンジェル、パック、洗浄剤、石鹸、軟膏を挙げることができるが、カンナビジオールの皮膚吸収促進作用、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用、使用のしやすさの観点からローション、美容液、クリーム、オールインワンジェル、乳液、洗浄剤又は石鹸であることが好ましく、ローション、美容液、クリーム、乳液、洗浄剤であることがより好ましく、クリーム、乳液であることが特に好ましい。
【0038】
本発明の皮膚外用剤は、前記のカンナビジオール、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)、多価アルコール、グリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体に加え、本願発明の効果を損なわない範囲で用途や目的に応じて各種有効成分、pH調整剤、増粘剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防菌防かび剤、炭化水素油、シリコーン油、アルコール(但し多価アルコールを除く)、無機塩、滑沢剤、溶剤等、通常皮膚外用剤に使用される成分を配合することができる。
【0039】
以下、本発明に係る皮膚外用剤に含有される成分であって、カンナビジオール、油剤(但し、炭化水素油及びシリコーン油を除く)、多価アルコール、グリセリン及び/又はジグリセリンのアルキレンオキシド付加誘導体以外の代表的なものについて更に説明する。
【0040】
本発明に使用される有効成分は、特に限定されることなく、化粧品、医薬品、医薬部外品等に用いられる薬剤や植物抽出物等を目的に応じ使用することができる。代表的なものとして、例えば、グリチルリチン酸又はその誘導体、胎盤抽出物等の美白剤、甘草等の植物成分等を挙げることができる。なお、植物成分としては、その全草、葉(葉身、葉柄等)、果実(成熟、未熟等)、種子、花(花弁、子房等)、茎、根茎、根、塊根等を乾燥若しくは粉末化して用いることもできるが、水、エタノール、多価アルコール等の溶媒を用いて常法により抽出したエキスを用いるのが一般的である。
【0041】
本発明に係る皮膚外用剤はカンナビジオールの経皮吸収性に優れるものであり、カンナビジオールを皮膚に吸収させることにより、細胞賦活、抗老化、肌荒れ改善、美白等を目的とする化粧料や医薬品、医薬部外品として使用することができる。本発明の皮膚外用剤を化粧料や医薬品、医薬部外品として使用する場合、保存や使用に適した容器に入れて使用することができる。容器については、例えばプラスチック、ガラス、金属等を挙げることができ、特に制限されないが、カンナビジオールの安定性、保存性の維持、及び、カンナビジオールの作用、効果の維持、向上の観点から遮光性のある容器が好ましい。
【実施例0042】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
<皮膚外用剤の調製>
表1に示す組成に従い、本発明の皮膚外用剤を調製した。
カンナビジオールとして、天然物から精製したCBD粉末(CBD含量98.0%以上)を使用した。
エステル油として、SP値が17.0で常温(20℃)で液体のイソノナン酸イソトリデシル、SP値が18.5で常温(20℃)で液体のリンゴ酸ジイソステアリル、SP値が18.6で常温(20℃)で液体のミリスチン酸イソプロピル、SP値が19.0で常温(20℃)で液体のジイソステアリン酸ポリグリセリル-2を使用した。
炭化水素油として、SP値が16.2のスクワラン、SP値が22.5のミネラルオイルを使用した。
また、対照として、多価アルコールであり、SP値が27.5のDPGを使用した。
【0044】
【0045】
<経皮吸収促進効果の確認試験>
パネラー(3名)の上腕部に、8mm四方の孔のあいたパッチテスト用絆創膏を貼った後、試料30μLを塗布した。塗布後、1時間で絆創膏をはがし、次いで塗布部をセロハンテープで5回テープストリップピングを行い、セロハンテープに密着した角層中のカンナビジオールの量を測定した。カンナビジオールの定量は5枚それぞれのセロハンテープからのエタノール抽出物を液体クロマトグラフィーで測定した。カンナビジオールと油剤をエタノールに溶かした場合の溶解性を確認し、以下の溶解性判定基準により判定した。その後、下記式により経皮吸収率を求め、以下の経皮吸収性判定基準により判定した。
【0046】
カンナビジオールと油剤のエタノールへの溶解性判定基準
溶解:エタノールへ溶解
難溶:エタノールへ溶解しにくい
不溶:エタノールへ溶解しない
【0047】
経皮吸収率
X:4及び5枚目のセロハンテープに密着した角層中のカンナビジオール量(3人の総計)
Y:2及び3枚目のセロハンテープに密着した角層中のカンナビジオール量(3人の総計)
経皮吸収率(%)=(X/Y)×100
【0048】
経皮吸収性判定基準
○:カンナビジオールと油剤とが完全に溶け、経皮吸収率が10%以上
△:カンナビジオールと油剤とが完全に溶け、経皮吸収率が0%以上10%未満
×:カンナビジオールと油剤とが完全に溶けず、判定不可
【0049】
結果を表2に示す。表2の結果より、カンナビジオールと、SP値が16.5~22.0のエステル油を含有した場合、カンナビジオールと、SP値が17未満又は21越えの炭化水素油又はシリコーン油を含有した場合に比べて、経皮吸収率が高かった。したがって、本発明に係る経皮吸収促進剤はカンナビジオールの肌への吸収を促進する効果に優れていることが分かった。
【0050】
【0051】
上記試験結果から明らかなように、本発明によればカンナビジオールの皮膚への透過性が高められた皮膚外用剤を提供することができる。
【0052】
<製造例1~8>
下記表3、4に記載の組成に従って、水中油型乳化物である皮膚外用剤を製造した。具体的には、所定の温度において、水相成分と油相成分をそれぞれ調製し乳化を行った。下記製造例にて得られた皮膚外用剤は、カンナビジオールの経皮吸収促進作用が高く、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用細胞賦活作用に優れるものである。
【0053】
【0054】
【0055】
<製造例9~14>
下記表5、6に記載の組成に従って、水中油型の乳化物であるクリームを製造した。具体的には、水相を撹拌しながら溶解した油相を添加し、均一になるまで撹拌する事により、下記クリームを得た。下記製造例にて得られた皮膚外用剤は、カンナビジオールの経皮吸収促進作用が高く、細胞賦活作用、抗老化作用、肌荒れ改善作用、美白作用細胞賦活作用に優れるものである。
【0056】
【0057】