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特開2023-20062射出成形機、および射出成形機の管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020062
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】射出成形機、および射出成形機の管理システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/84 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
B29C45/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125222
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹堂 公貴
(72)【発明者】
【氏名】下中 保知
(72)【発明者】
【氏名】大谷 愛
(72)【発明者】
【氏名】樋口 和也
(72)【発明者】
【氏名】大川内 亮
(72)【発明者】
【氏名】酒井 崇幸
(72)【発明者】
【氏名】江上 卓也
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM04
4F206AM09
4F206AM19
4F206AP10
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL07
4F206JP13
4F206JP14
4F206JP15
4F206JP22
4F206JP25
4F206JP27
4F206JP30
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】射出成形機に含まれる複数の部品の寿命をオペレータに分かり易く表示し、寿命に達した部品の交換を支援する射出成形機を提供する。
【解決手段】射出成形機100は、第1部品と、第2部品と、成形条件に基づいて第1部品および第2部品の寿命を予測可能な制御装置40と、制御装置40の予測結果を示す結果画面RSを表示可能な表示装置30とを備える。制御装置40は、第1部品および第2部品の各々の予測結果を同時に示す結果画面RSを表示装置30に表示させる。制御装置40は、少なくとも第1部品の詳細情報を含む詳細画面DSを表示装置30に表示させる。制御装置40は、結果画面RSで第1部品に対応する項目が選択されたとき、結果画面RSを第1部品の詳細情報を含む詳細画面DSに切り替えて表示装置30に表示させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品と、
前記第1部品と異なる第2部品と、
成形条件に基づいて前記第1部品および前記第2部品の寿命を予測可能な制御装置と、
前記制御装置の予測結果を示す結果画面を表示可能な表示装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第1部品および前記第2部品の各々の予測結果を同時に示す前記結果画面を前記表示装置に表示させ、
少なくとも前記第1部品の詳細情報を含む詳細画面を前記表示装置に表示させ、
前記結果画面で前記第1部品に対応する項目が選択されたとき、前記結果画面を前記第1部品の詳細情報を含む前記詳細画面に切り替えて前記表示装置に表示させる、射出成形機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1部品の予測結果が寿命に到達していることを示す場合、前記結果画面で前記第1部品が寿命に到達している旨を示す記号を前記表示装置に表示させる、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記詳細画面は、少なくとも前記第1部品の位置情報を詳細情報として含む、請求項1または請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記位置情報として前記第1部品の位置を特定可能な第1画像を前記表示装置に表示させ、
前記第1画像は、前記第1部品と他の部品とを含む画像であり、
前記表示装置が前記第1部品を表示する色は、前記表示装置が前記他の部品を表示する色と異なる色である、請求項3に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記表示装置が前記第1部品を表示する色を前記第1部品の寿命に関する情報に基づいて変更する、請求項4に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記第1部品は、同一の型式の第3部品と第4部品とを含み、
前記制御装置は、前記詳細画面で前記第3部品と前記第4部品とを区別して前記表示装置に表示させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第1部品の予測結果が示す第1日程と前記第2部品の予測結果が示す第2日程とをカレンダーを用いて視覚的に示す画面を前記表示装置に表示させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第1部品の交換手順を示す画面を前記表示装置に表示させる、請求項1~7のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記制御装置は、成形条件に応じて前記第1部品の寿命を長くするためのアドバイスを示す画面を前記表示装置に表示させる、請求項1~8のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項10】
射出成形機の管理システムであって、
各々が、第1部品と、前記第1部品と異なる第2部品とを含む複数の射出成形機と、
成形条件に応じて、前記第1部品および前記第2部品の寿命を予測可能な制御装置と、
前記制御装置の予測結果を示す結果画面を表示可能な表示装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第1部品および前記第2部品の各々の予測結果を同時に示す前記結果画面を前記表示装置に表示させ、
少なくとも前記第1部品の詳細情報を含む詳細画面を前記表示装置に表示させ、
前記結果画面で前記第1部品に対応する項目が選択されたとき、前記結果画面を前記第1部品の詳細情報を含む前記詳細画面に切り替えて前記表示装置に表示させる、射出成形機の管理システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記第1部品の予測結果が寿命に到達していることを示す場合、通信回線を介して前記第1部品の発注先の受信装置へと前記第1部品の予測結果を送信する、請求項10に記載の射出成形機の管理システム。
【請求項12】
第1部品と、
前記第1部品と異なる他の部品と、
表示装置と、
前記表示装置に前記第1部品の詳細情報を含む詳細画面を表示させる制御装置とを備え、
前記詳細画面は、少なくとも前記第1部品の位置情報を詳細情報として含み、
前記制御装置は、前記位置情報として前記第1部品の位置を特定可能な第1画像を前記表示装置に表示させ、
前記第1画像は、前記第1部品と前記他の部品とを含む画像であり、
前記表示装置が前記第1部品を表示する色は、前記表示装置が前記他の部品を表示する色と異なる色である、射出成形機。
【請求項13】
前記制御装置は、前記表示装置が前記第1部品を表示する色を前記第1部品の寿命に関する情報に基づいて変更する、請求項12に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機、および射出成形機の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機等の工場で用いられる成形機では、マシントラブルが発生して、成形機の稼働時間を確保できない場合、損害が発生し得る。特許文献1(特開平3-118131号公報)には、射出成形機器全体を統括的に制御するマイクロコンピュータとCRTディスプレイ等の表示装置を備えた射出成形機が開示されている。
【0003】
マシントラブルの発生を抑制するため、特許文献1の射出成形機は、予め定められた定期点検日が到来したことを契機としてオペレータに点検を促す。より具体的には、特許文献1の射出成形機は、たとえば1ヶ月毎点検、6ヶ月毎点検等の予め定められたスケジュールに従って定期点検表示モード画面を自動的に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3-118131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の射出成形機では、射出成形機に含まれる部品が使用不可能となる時期を事前に知ることができないため、部品が寿命により突然破損した場合、射出成形機の稼働を停止しなければならない場合がある。また、射出成形機には複数の部品が備えられているため、複数の部品の寿命を統括的に管理し、適切な時期に各部品の交換を好適に促すことは困難である。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、射出成形機に含まれる複数の部品の寿命をオペレータに分かり易く表示し、寿命に達した部品の交換を支援する射出成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る射出成形機は、第1部品および第2部品の各々の予測結果を同時に示す結果画面で、第1部品に対応する項目が選択されたとき、結果画面を第1部品の詳細情報を含む詳細画面に切り替えて表示装置に表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る射出成形機によれば、射出成形機に含まれる複数の部品の寿命をオペレータに分かり易く表示し、寿命に達した部品の交換を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における射出成形機の外観図である。
図2】射出成形機の概略ブロック図である。
図3】寿命予測の結果を示す結果画面について説明する図である。
図4】寿命到達画面が表示された後の結果画面の例を示す図である。
図5】寿命予測の方法を説明するための図である。
図6】負荷積算および部品経年の各々の劣化度を示す図である。
図7】冷却ファンの詳細画面を示す図である。
図8】リレーの詳細画面を示す図である。
図9】基板の負荷設定画面である。
図10】寿命予測の結果を示すカレンダー表示画面である。
図11】交換手順画面が表示される例を示す図である。
図12】アドバイス画面が表示される例を示す図である。
図13】実施の形態2における射出成形機の管理システムの構成図である。
図14】実施の形態2における寿命予測の結果を示すカレンダー表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<射出成形機>
以下では、図1を用いて実施の形態1における射出成形機100について説明する。図1は、実施の形態1における射出成形機100の外観図である。射出成形機100は、金型を型締めする型締装置10と、射出材料を溶融して射出する射出装置20と、表示装置30と、制御装置40とを備える。
【0011】
射出成形機100は、XY平面上に載置されている。XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。図1におけるZ軸の正方向を上面側または上方、負方向を下面側または下方と称する場合がある。
<型締装置>
実施の形態1では、型締装置10は、ベッド11と、固定盤12と、型締ハウジング13と、可動盤14と、タイバー15と、型締機構16と、金型17,18と、ボールねじ51とを備える。ベッド11は、固定盤12、型締ハウジング13、可動盤14等の型締装置10が備える構成を保持する。固定盤12は、ベッド11に固定されている。型締ハウジング13は、ベッド11上をX軸方向にスライド可能であるように構成されている。同様に、可動盤14は、ベッド11上をX軸方向にスライド可能であるように構成されている。
【0012】
タイバー15は、固定盤12と型締ハウジング13との間に配置され、固定盤12と型締ハウジング13とを連結する。タイバー15は、複数のバーを含む。実施の形態1における射出成形機100は、4本のバーを含むタイバー15が備えられている。ある局面では、タイバー15は、5本以上のバーを含んでもよい。
【0013】
可動盤14は、固定盤12と型締ハウジング13との間でX軸方向にスライド可能であるように構成される。型締機構16は、型締ハウジング13と可動盤14との間に設けられる。実施の形態1における型締ハウジング13は、トグル機構を含んで構成される。なお、型締機構16は、直圧式の型締機構を含んで構成されてもよい。直圧式の型締機構とは、すなわち型締シリンダを意味する。
【0014】
金型17,18は、固定盤12と可動盤14との間に設けられる。金型17,18は、型締機構16が駆動することにより、開閉されるように構成されている。ボールねじ51は、回転運動を直線運動に変換することにより、型締機構16を開閉させる。
<射出装置>
射出装置20は、基台21と、加熱シリンダ22と、スクリュ23と、駆動機構24と、ホッパ25と、射出ノズル26と、ノズルタッチ装置27と、熱電対55とを備える。基台21は、ベッド11のX軸の正方向側に配置され、駆動機構24等を保持する。スクリュ23は、加熱シリンダ22の内部に配置される。駆動機構24は、X軸方向を中心軸としてスクリュ23を回転させ、スクリュ23自体をX軸方向にスライドするように駆動させる。
【0015】
ホッパ25は、加熱シリンダ22のZ軸の正方向側に設けられる。射出ノズル26は、加熱シリンダ22のX軸の負方向側の端部に設けられる。ノズルタッチ装置27は、射出装置20をX軸方向にスライドさせて、射出ノズル26を金型18のスプルーブッシュに接触させる。熱電対55は、射出ノズル26の近傍および加熱シリンダ22の近傍に配置され得る。熱電対55は、配置された箇所の温度を検出する温度センサである。ある局面では、射出成形機100は、熱電対55ではない他の温度センサを備えてもよい。
【0016】
基台21は、内部に制御装置40と、サーボアンプ53a,53bと、冷却ファン54と、リレー56a,56b,56cとを備える。制御装置40は、CPU、メモリ等を搭載した基板52を含む。制御装置40は、熱電対55を含む各種センサの検出値を取得し、射出成形機100を統括的に制御する。各種センサの検出値とは、たとえば、加熱シリンダ22の温度情報、または、型締機構16、金型17,18、射出ノズル26等の各種可動部品の位置情報等を含む。
【0017】
サーボアンプ53a,53bは、対応するモータに対して三相交流電力を供給する。サーボアンプ53aとサーボアンプ53bとは、同一の型式のサーボアンプである。空冷用の冷却ファン54は、基台21の内部に配置されている発熱部品が過熱しないように送風する。リレー56a,56b,56cは、たとえば、サーマルリレーや電流リレー等のモータの過負荷を防止するためのリレーである。リレー56a,56b,56cは、同一の型式のリレーである。なお、リレー56a,56b,56cは、モータの過負荷を防止する以外の目的で使用されるリレーであってもよい。実施の形態1において、サーボアンプ53aとサーボアンプ53bとは同一の型式であり、リレー56a,56b,56cの各々も同一の型式であるが、これらの接続先の機器によっては、型式が異なってもよい。
【0018】
以下では、サーボアンプ53a,53bのうちのいずれか1つを代表して、単にサーボアンプ53と称する場合がある。同様に、リレー56a,56b,56cのうちのいずれか1つを代表して、単にリレー56と称する場合がある。
【0019】
表示装置30は、射出成形機100のY軸の負方向側に設けられている。なお、表示装置30の配置は、射出成形機100のY軸の負方向側に限られず、たとえば、射出成形機100のY軸の正方向側もしくは射出成形機100とは別体として配置されてもよい。表示装置30は、ディスプレイ31と入力装置32とを備える。入力装置32は、たとえば、複数のボタンを含んで構成される。ある局面では、表示装置30は、複数のディスプレイおよびスピーカー等を備えてもよい。また、ディスプレイ31と入力装置32とは、タッチパネルとして一体的に設けられてもよい。なお、図1においては、横型の射出成形機の例を説明したが、実施の形態1の射出成形機100は、これに限られるものではなく、竪型の射出成形機であってもよい。
<射出成形機の概略ブロック図>
図2は、射出成形機100の概略ブロック図である。制御装置40は、記憶部44と基板52とを備える。記憶部44は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Flash Solid State Drive)等を含んで構成され得る。基板52は、制御部41と、入力インターフェース42と、出力インターフェース43とが搭載されている。制御部41は、CPU41aとメモリ41bとを備える。
【0020】
メモリ41bは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、CPU41aにより実行されるプログラム等を記憶する。CPU41aは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。
【0021】
ある局面では、制御部41は、専用のハードウェア回路により構成されてもよい。すなわち、制御部41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等により実現され得る。また、制御部41は、プロセッサおよびメモリ、ASIC、FPGA等を適宜組み合わせて実現してもよい。
【0022】
制御部41は、入力インターフェース42を介して、熱電対55等の各種センサから検出値を受信する。制御部41は、出力インターフェース43を介して、駆動機構24および表示装置30へ制御命令を送信する。制御部41は、各種センサの検出値を用いて、駆動機構24を駆動させる。制御部41は、各種センサの検出値に基づいて射出成形機100の状態を表示装置30に表示させる。
【0023】
実施の形態1における制御装置40は、成形条件に基づいて射出成形機100が備える部品の寿命を予測する。表示装置30は、制御装置40の寿命予測の結果をオペレータに対して表示する。以下では、表示装置30に表示される寿命予測の結果を示す結果画面RSについて説明する。
<寿命予測の結果を示す結果画面>
図3は、寿命予測の結果を示す結果画面RSについて説明する図である。実施の形態1では、制御装置40によってボールねじ51、基板52、サーボアンプ53、冷却ファン54、熱電対55、リレー56の寿命が予測される例について説明する。
【0024】
以下では、「ボールねじ51、基板52、サーボアンプ53、冷却ファン54、熱電対55、リレー56」を総称して、寿命予測および管理の対象となる「対象部品」と称する。なお、対象部品には、ボールねじ51、基板52、サーボアンプ53、冷却ファン54、熱電対55、リレー56以外の部品が含まれてもよい。対象部品は、本開示における「第1部品」および「第2部品」に対応する。以下では、図3を用いて表示装置30に表示される寿命予測の結果を示す結果画面RSの具体例について説明する。表示装置30は、結果画面RSをディスプレイ31に表示させる。
【0025】
図3に示されるように、結果画面RSには、対象部品の寿命予測の結果が並べて表示されている。結果画面RSの下部には、予測実行年月60が表示されている。予測実行年月60は、寿命予測が実行されたときの年月である。図3の例では、2024年1月に寿命予測が実行されている。予測結果51Rは、ボールねじ51の寿命予測の結果を示す。予測結果51Rには、寿命到達年月が示されている。寿命到達年月は、対象部品が寿命に達すると予測された年月である。図3におけるボールねじ51の寿命到達年月は、2029年1月である。予測結果51Rが表示されていることによって、オペレータは、ボールねじ51を交換するべき目安となる時期が2029年1月であることを把握できる。
【0026】
寿命到達年月の下部には、劣化度の割合がメーターとして表示されている。劣化度の割合とは、対象部品が導入されたときからの寿命の進行度合いを示す割合である。対象部品が導入された導入開始年月における劣化度は0%であり、対象部品が稼働するごとに劣化度は上昇し、対象部品が寿命に達したとき劣化度は100%となる。
【0027】
図3の例では、ボールねじ51の劣化度は50%である。予測実行年月である2024年1月から寿命到達年月である2029年1月までの期間は5年間である。これらの情報から、オペレータは、ボールねじ51の導入開始年月がおおよそ5年前であることを推測することができる。
【0028】
なお、対象部品の導入開始年月は、結果画面RSに表示されてもよい。導入開始年月、予測実行年月、寿命到達年月、劣化度の割合の整合が取れていない場合、オペレータは、制御装置40の寿命予測にエラーが生じていることを認識できる。また、導入開始年月、予測実行年月、寿命到達年月について、制御装置40は、年月に加えて日時を表示してもよい。すなわち、記憶部44は、年月に加えて導入された日時に関する情報を記憶する。
【0029】
予測結果52Rは、基板52の寿命予測の結果を示す。基板52の寿命予測年月は2024年2月であり、劣化度は90%である。予測結果53Rは、サーボアンプ53の寿命予測の結果を示す。サーボアンプ53の寿命予測年月は、2024年2月であり、劣化度は95%である。上述で説明したように、サーボアンプ53は、複数の同一の型式のサーボアンプ53a,53bを含む。図3の結果画面RSでは、サーボアンプ53a,53bのうち、最も寿命到達年月が早いサーボアンプが代表して表示される。なお、結果画面RSで、サーボアンプ53a,53bの両方の寿命到達年月が表示されてもよい。
【0030】
予測結果54Rは、冷却ファン54の寿命予測の結果を示す。冷却ファン54の寿命予測年月は2022年6月であり、劣化度は110%である。すなわち、寿命予測を行った予測実行年月の時点では、寿命予測年月は既に経過している。そのため、劣化度は100%を超えている。このように、制御装置40は、劣化度が100%を超えていることを表示させてオペレータに冷却ファン54の交換すべき目安となる時期が過ぎていることを報知できる。
【0031】
制御装置40は、劣化度が100%を超えている冷却ファン54に対して交換推奨マークEx1を表示させる。すなわち、制御装置40は、対象部品の寿命予測の結果が寿命に到達していることを示す場合、結果画面RSで当該対象部品が寿命に到達している旨を示す記号を表示装置30に表示させる。これにより、実施の形態1における射出成形機100では、冷却ファン54が交換すべき目安となる時期が過ぎていることを好適にオペレータに認識させることができる。
【0032】
予測結果55Rは、熱電対55の寿命予測の結果を示す。熱電対55の寿命予測年月は2026年11月であり、劣化度は40%である。予測結果56Rは、リレー56の寿命予測の結果を示す。リレー56の寿命予測年月は2024年3月であり、劣化度は85%である。上述で説明したように、リレー56は、複数の同一の型式のリレー56a~56cを含む。図3の結果画面RSでは、リレー56a~56cのうち、最も寿命到達年月が早いリレーが代表して表示される。なお、結果画面RSで、リレー56a~56cの各々の寿命到達年月が表示されてもよい。
【0033】
このように、制御装置40は、図3に示す結果画面RSを表示装置30に表示させる。結果画面RSは、ボールねじ51、基板52、サーボアンプ53、冷却ファン54、熱電対55、リレー56の各々の寿命予測の結果を同時に表示する画面である。これにより、実施の形態1における射出成形機100では、オペレータに対して、各対象部品の寿命予測の結果を一括で表示することが可能となり、各対象部品の寿命予測の結果の顕現性を向上させることが可能となる。
【0034】
続いて、結果画面RSに配置された複数のボタンおよび選択領域について説明する。結果画面RSには、警告通知ボタンBtEx、カレンダー表示ボタンBtCa、選択ボタン51B~選択ボタン56B、選択領域50S~56Sが配置されている。
【0035】
警告通知ボタンBtExは、図4に示す寿命警告画面LW1を表示させるか否かをオペレータに選択させるためのボタンである。具体的には、オペレータは、警告通知ボタンBtExを選択することにより警告通知モードを切り替えることができる。警告通知モードがON状態である場合、制御装置40は、対象部品が寿命に到達したことに基づいて図4に示す寿命警告画面LW1を表示する。
【0036】
図4は、寿命警告画面LW1が表示された後の結果画面RSの例を示す図である。寿命警告画面LW1は、対象部品が寿命に到達したことに基づいて表示されるポップアップ画面である。図4では、結果画面RSが表示されているときに、ボールねじ51が寿命に到達した例が示されている。すなわち、図4では、ボールねじ51の寿命である2029年1月に結果画面RSが表示されている例が示されている。そのため、予測実行年月60には、2029年1月が示されている。
【0037】
寿命警告画面LW1は、対象部品が寿命に到達したことに基づき、ディスプレイ31の最も前面に表示される。制御装置40は、寿命警告画面LW1を表示するとき、寿命警告画面LW1以外の画面を一時的に操作できない状態に制御してもよい。また、寿命警告画面LW1は、結果画面RS以外の画面がディスプレイ31に表示されているときにおいても、対象部品が寿命に到達したことに基づいて、ディスプレイ31の最も前面に表示される。これにより、射出成形機100では、対象部品が寿命に到達したことをオペレータに好適に報知することができ、オペレータが交換推奨マークEx1を見落とすことを防止できる。制御装置40は、寿命警告画面LW1を表示させるとともに、寿命に到達した対象部品に対して、交換推奨マークEx1を表示させる。
【0038】
カレンダー表示ボタンBtCaは、図10にて後述するカレンダー表示画面CS1を表示するためのボタンである。制御装置40は、カレンダー表示ボタンBtCaが選択されたことに基づいて、カレンダー表示画面CS1を表示する。
【0039】
選択領域50Sは、結果画面RSを表示するための選択領域である。制御装置40は、選択領域50Sが選択されたことに基づいて結果画面RSを表示する。結果画面RSが既に表示されている場合、制御装置40は、寿命予測を再度行い、寿命予測の結果を更新する。選択ボタン51B~56Bおよび選択領域51S~55Sは、対象部品の詳細画面DSを表示するためのボタンおよび選択領域である。
<表示順序>
以下では、対象部品の表示順序について説明する。図3では、結果画面RSの上部から、ボールねじ51、基板52、サーボアンプ53、冷却ファン54、熱電対55、リレー56の順序で寿命予測の結果が表示されている。図3に示されるボールねじ51、基板52、サーボアンプ53、冷却ファン54、熱電対55、リレー56が並べられている順序は、対象部品の重要度の高さに基づいた順序である。
【0040】
上述で説明したように、重要度とは、対象部品が使用不可能となることにより、射出成形機100の稼働に対する影響度合いに基づいて定められる指標である。たとえば、ボールねじ51が使用不可能となった場合、射出成形機100は、型締機構16を開閉することができず射出成形をすることができない。さらに、ボールねじ51は他の対象部品と比較して代用品の入手に時間を要する部品である。そのため、ボールねじ51の重要度は、他の対象部品よりも高い。
【0041】
一方で、冷却ファン54、熱電対55、リレー56が使用不可能となったとしても、射出成形機100は継続して射出成形をすることができる場合があり得る。たとえば、冷却ファン54が使用不可能となったとしても、発熱部品の発熱量を抑えることによって、射出成形機100は継続して射出成形をすることができる。また、熱電対55、リレー56は他の対象部品と比較して代用品を容易に入手することができる。そのため、冷却ファン54、熱電対55、リレー56の重要度は、他の対象部品と比較して低い。
【0042】
対象部品の重要度は、対象部品が直接的に射出成形に必要な部品であるか、代用品の入手が容易であるか等から総合的に定められ得る。図3に示されるように重要度の最も高いボールねじ51の寿命予測の結果は、結果画面RSの最も上部に表示される。一方で、重要度の低い冷却ファン54、熱電対55、リレー56の寿命予測の結果は、結果画面RSの下部に表示される。なお、重要度の高い対象部品が表示される位置は、結果画面RSの上部に限られず、オペレータが最も認識し易い位置に表示されていればよい。
【0043】
このように、実施の形態1における射出成形機100では、各対象部品の寿命予測の結果が重要度順に並べられて表示されていることにより、重要度の高い部品を重要度の低い部品よりも優先して寿命予測の結果を表示させることができる。
【0044】
実施の形態1における射出成形機100は、表示順序を重要度順から他の順序に変更することができる。たとえば、制御装置40は、メンテナンスの頻度が高い順で各対象部品の寿命予測の結果を表示する。制御装置40は、入力装置32から表示順序を変更する操作を受け付けたことに応じて、表示順序を重要度順とメンテナンスの頻度が高い順との間で切り替える。
【0045】
また、制御装置40は、寿命到達年月の早い順で各対象部品の寿命予測の結果を表示させることができる。これにより、制御装置40は、オペレータに交換準備を始めるべき対象部品の順序を容易に把握させることができる。さらに、制御装置40は、劣化度の高い順序で寿命予測の結果を表示させることができる。
<寿命予測の方法>
図5は、寿命予測の方法を説明するための図である。実施の形態1における制御装置40は、負荷積算による劣化度に基づく寿命予測と、部品経年による劣化度に基づく寿命予測との2つの寿命予測を実行する。制御装置40は、負荷積算による劣化度および部品経年による劣化度の両方を考慮して、図3に示す寿命到達年月を表示させる。以下では、負荷積算による劣化度について説明する。
【0046】
負荷積算による劣化度は、対象部品に対して発生する単位時間あたりの負荷を算出することにより求められる。単位時間とは、たとえば1つの成形品を成形する時間であり得る。1つの成形品を成形する期間を「1ショット」または「1サイクル」と称される。
【0047】
対象部品に発生する負荷とは、射出成形が行われることにより、対象部品に生じる荷重、摩擦、熱などの劣化要因を意味する。たとえば、ボールねじ51に発生する負荷は、1ショットを行ったときのボールねじ51の回転数から求められ得る。基板52に発生する負荷は、1ショットを行ったときに基板52に印加される電流負荷が該当し得る。
【0048】
単位時間あたりの対象部品に生じる負荷は成形条件に応じて異なる。すなわち、成形品の形状、使用される樹脂の種類等によって、射出成形機100の成形方法が異なり、1ショットのボールねじ51の回転数または電流負荷は異なるためである。
【0049】
各対象部品に与えられる負荷は、オペレータによって設定されてもよいし、実際に1ショットの試運転を行い、対象部品に発生する負荷の大きさをセンサによって検出してもよい。これにより、制御装置40は、単位時間あたりの各対象部品に発生する負荷を取得する。
【0050】
制御装置40は、過去の射出成形機100の稼働時間に基づいて予測実行年月における負荷積算を取得する。すなわち、制御装置40は、過去のショット数に対して1ショットあたりの対象部品に生じる負荷を乗じることで、対象部品が導入されてからの負荷積算を算出できる。制御装置40は、算出した負荷積算と定格寿命とを比較して劣化度を算出する。定格寿命とは、交換の目安となる負荷の総量である。定格寿命は、対象部品ごとに予め定められている。たとえば、対象部品がボールねじ51である場合、定格寿命としてボールねじ51の寿命回転数が定められ得る。
【0051】
制御装置40は、過去のショット数と、1ショットあたりのボールねじ51の回転数とに基づいて予測実行年月におけるボールねじ51の総回転数を算出する。制御装置40は、寿命回転数に対する総回転数の割合を劣化度とし結果画面RSに表示する。
【0052】
制御装置40は、過去の1日あたりの平均ショット数に基づいて未来の1日あたりのショット数を予測する。たとえば、制御装置40は、過去の1日あたりの平均ショット数と同じショット数で未来においても射出成形が行われることを予測する。図5に示されているように、制御装置40は、実線で示される過去のデータに基づいて、破線で示される寿命予測を行い、負荷積算が定格寿命に達する年月を寿命到達年月として算出する。
【0053】
続いて、部品経年による劣化度について説明する。部品経年による劣化度は、射出成形機100の稼働時間にかかわらず、対象部品の導入開始年月から予測実行年月までの間に経過した時間に基づいて算出される。各対象部品は、射出成形機100が稼働されていない期間にも外気に晒されることにより経年劣化する。各対象部品は、経年劣化の定格寿命が予め定められている。たとえば、ボールねじ51の定格寿命が30年であって、導入されてから15年が経過している場合、制御装置40は、部品経年による劣化度が50%であると算出する。
【0054】
図6は、負荷積算および部品経年の各々の劣化度を示す図である。上述で説明したように、制御装置40は、負荷積算による劣化と部品経年による劣化度とを別々に算出する。そのため、制御装置40は、対象部品ごとに図6に示すような2つの劣化度を内部的に有する。
【0055】
制御装置40は、負荷積算による劣化度と部品経年による劣化度とを比較し、寿命到達年月が早い劣化度を図3の予測結果51R~56Rとして表示させる。このように、負荷積算による劣化度と部品経年による劣化度とのいずれか一方のみを表示させることにより、制御装置40は、好適に寿命予測の結果をオペレータに表示することができる。
【0056】
なお、制御装置40は、オペレータから操作を受け付けたことに応じて負荷積算による劣化度と部品経年による劣化度との両方を表示装置30に表示させてもよい。
<詳細画面>
図7は、冷却ファン54の詳細画面DSを示す図である。制御装置40は、オペレータによって図3に示す選択ボタン54Bまたは選択領域54Sが選択されたときに、結果画面RSを冷却ファン54の詳細情報を示す詳細画面DSに切り替える。すなわち、制御装置40は、結果画面RSで対象部品に対応する項目が選択されたときに、対象部品に対応する詳細画面DSを表示させる。詳細画面DSでは、冷却ファン54の予測結果54Rに加えて、リセットボタンBtRと、内観画像P1と、外観画像WP1とが表示されている。
【0057】
リセットボタンBtRは、対象部品の劣化度をリセットするためのボタンである。制御装置40は、リセットボタンBtRが選択されたことに応じて上述で説明した負荷積算による劣化度および部品経年による劣化度を初期値(0%)に戻す。オペレータは、新しい部品に交換した際に、リセットボタンBtRを選択することによって劣化度をリセットすることができる。
【0058】
詳細画面DSは、射出成形機100における冷却ファン54の位置情報を含む画面である。すなわち、制御装置40は、射出成形機100における冷却ファン54の位置情報を表示させることによって、冷却ファン54の交換に慣れていないオペレータに対しても容易に冷却ファン54を交換させる。なお、詳細画面DSは、射出成形機100における冷却ファン54の位置情報のみならず、型式番号、製造元情報などを含んでもよい。
【0059】
外観画像WP1は、射出成形機100における冷却ファン54が格納されている配置を示すための画像である。外観画像WP1は、冷却ファン54が格納されている配置をオペレータに示すことができればよい。外観画像WP1は、射出成形機100の外観の全体像が表示されていてもよいし、図7に示すように射出成形機100の外観の一部のみが表示されていてもよい。
【0060】
外観画像WP1には、破線で囲われた領域Ar1が示されている。領域Ar1は、冷却ファン54が格納されている配置を示す領域である。内観画像P1は、オペレータに冷却ファン54の位置を特定させるための画像である。すなわち、内観画像P1は、領域Ar1における射出成形機100の詳細な内部構造を示す。
【0061】
図7に示されるように、内観画像P1は、冷却ファン54と他の部品とを含む画像である。他の部品とは、たとえば、図7に示されるように部品E1~E4を含む。部品E1~E4は、例示として示されているに過ぎず、内観画像P1は、実際には冷却ファン54とともに、射出成形機100が備える複数の部品を表示する。制御装置40は、内観画像P1内に示されている部品E1~E4が選択されたことに応じて、部品E1~E4の詳細画面DSを表示してもよい。
【0062】
制御装置40は、冷却ファン54の色を部品E1~E4と異なる色で表示させる。すなわち、表示装置30が冷却ファン54を表示する色は、表示装置30が他の部品E1~E4を表示する色と異なる色である。これにより、制御装置40は、冷却ファン54の位置をオペレータに容易に特定させることができる。なお、制御装置40は、外観画像WP1および内観画像P1を用いずに、文字情報、音声情報などを用いて冷却ファン54の位置をオペレータに特定させてもよい。また、制御装置40は、冷却ファン54の色を冷却ファン54の寿命予測の結果に応じて変更する。すなわち、冷却ファン54の色は、予測結果54Rに示されている劣化度に応じて異なる色となる。
【0063】
制御装置40は、たとえば、劣化度が高ければ赤色に近い色で冷却ファン54を表示する。制御装置40は、劣化度が低ければ緑色に近い色で冷却ファン54を表示する。これにより、制御装置40は、冷却ファン54の劣化度をオペレータに視覚的に把握させることができる。図7では、冷却ファン54における詳細画面DSについてのみ説明した。制御装置40は、結果画面RSにおける冷却ファン54以外の対象部品に対応する項目が選択されることにより、各対象部品に対応する詳細画面DSを表示することができる。なお、劣化度の高さは、色情報のみならず、白黒の濃淡、または文字が冷却ファン54の近傍に表示されることにより劣化度を表示してもよい。
【0064】
また、制御装置40は、劣化度の高さではなくその他の各対象部品の寿命に関する情報に基づいて、各対象部品を表示する色を変更してもよい。たとえば、制御装置40は、単位時間あたりに生じる負荷の大きさ、寿命に到達するまでの残り日数、対象部品の重要度の高さなどに基づいて、各対象部品を表示する色を変更する。これにより、射出成形機100では、各対象部品を表示する色を用いて、各対象部品の寿命に関する情報を容易にオペレータに把握させることができる。
【0065】
図8は、リレー56a,56b,56cの詳細画面DSを示す図である。上述で説明したように、射出成形機100は、対象部品として同一の型式のリレー56a,56b,56cを備える。図8では、リレー56bが選択されている詳細画面DSを示す。すなわち、詳細画面DSには、選択ボタンBta,Btb,Btcが配置されている。選択ボタンBta,Btb,Btcには、リレー56a,56b,56cがそれぞれ対応付けられている。
【0066】
制御装置40は、選択ボタンBtbが選択されたことに応じて、リレー56bの詳細画面DSを表示させる。詳細画面DSには、リレー56bの機器番号Nm1が表示されている。これにより、制御装置40は、リレー56bの機器番号Nm1が「Xb」であることをオペレータに認識させることができる。また、図7と同様に、詳細画面DSには、外観画像WP1と内観画像P2が表示されている。内観画像P2は、領域Ar2における射出成形機100の内部構造を示す。内観画像P2は、リレー56a,56b,56cが表示されている。
【0067】
制御装置40は、選択ボタンBtaが選択されたことに応じて、リレー56aの詳細画面DSに切り替えて表示させる。制御装置40は、選択ボタンBtcが選択されたことに応じて、リレー56cの詳細画面DSに切り替えて表示させる。このように、制御装置40は、詳細画面DSで同一の型式であるリレー56a,56b,56cを区別して表示させる。これにより、対象部品に同一の型式を含む部品が含まれていても、制御装置40は、同一の型式のいずれの部品を交換すべきであるかについてオペレータが混乱することを防止できる。
【0068】
このように、実施の形態1における射出成形機100では、図3に示されるように複数の対象部品の寿命予測の結果が一括で表示される。これにより、実施の形態1における射出成形機100では、射出成形機100に含まれる複数の対象部品の寿命をオペレータに分かり易く表示させることができる。さらに、図3の結果画面RSで対象部品に対応する項目が選択されたとき、結果画面RSを対象部品の詳細画面DSに切り替えて表示させる。これにより、実施の形態1における射出成形機100では、対象部品の詳細情報を好適に表示することができ、オペレータに容易に対象部品を交換させることができる。
<負荷設定画面>
図9は、基板52の負荷設定画面LSである。図5および図6で寿命予測の方法について説明した際に各対象部品に与えられる負荷は、オペレータによって設定され得ることを説明した。図9では、オペレータが基板52に与えられる負荷を設定するための画面の一例として負荷設定画面LSが示されている。
【0069】
基板52は、複数の接続先AX1~AX8に接続される。制御装置40は、オペレータから各接続先の負荷を受け付ける。図9に示す例では、接続先AX5の負荷を選択するためのプルダウンS1が表示されている。プルダウンS1は、選択項目として、「OFF」、「小」、「中」、「大」を表示する。
【0070】
制御装置40は、オペレータが選択した選択項目に応じて、基板52に与えられる負荷を設定し、負荷積算に用いる。たとえば、「小」が選択された場合、制御装置40は、基板52が接続先AX5と接続されていることにより、100mA未満の電流負荷が生じると判断する。また、「中」が選択された場合、制御装置40は、基板52が接続先AX5と接続されていることにより、100mA以上400mA未満の電流負荷が生じると判断する。また、「大」が選択された場合、制御装置40は、基板52が接続先AX5と接続されていることにより、400mA以上の電流負荷が生じると判断する。
<カレンダー表示>
図10は、寿命予測の結果を示すカレンダー表示画面CS1である。図3では、複数の対象部品の寿命予測の結果を一括で並べて表示する結果画面RSについて説明した。図10では、寿命予測の結果を一括で並べて表示せずに、カレンダーを用いて複数の対象部品の寿命を表示する例について説明する。
【0071】
制御装置40は、図3におけるカレンダー表示ボタンBtCaがオペレータによって選択されることにより、結果画面RSをカレンダー表示画面CS1に切り替えて表示させる。なお、制御装置40は、結果画面RSをカレンダー表示画面CS1に切り替えずに、結果画面RSにカレンダー表示画面CS1を重畳させるように表示させてもよい。
【0072】
図3では、寿命到達年月として、年月に関する情報のみが表示されていた。制御装置40は、対象部品の寿命を算出する際に、年月に加えて日にちに関する情報を算出する。カレンダー表示画面CS1は、2024年2月と2024年3月とのカレンダーを表示している。図10に示されるように、2024年2月10日、2024年2月19日、2024年3月8日、2024年3月24日の各々に互いに異なる記号が付されており、対象部品の寿命到達年月日を表わしている。
【0073】
2024年2月10日に付されている円形状の記号は、基板52の寿命到達年月日を示している。2024年2月19日に付されている三角形状の記号は、サーボアンプ53の寿命到達年月日を示している。2024年3月8日に付されている四角形状の記号は、リレー56aの寿命到達年月日を示している。2024年3月24日に付されている星形状の記号は、リレー56bの寿命到達年月日を示している。
【0074】
このように、制御装置40は、対象部品に対応した記号をカレンダーの日程に付すことにより、異なる対象部品の寿命到達年月日を視覚的に表示できる。これにより、射出成形機100では、オペレータに対して、より直感的に寿命到達年月日を把握させることができる。なお、カレンダー表示画面CS1には、寿命予測の結果のみならず、対象部品の点検予定日を表示してもよい。
<交換手順表示>
図11は、交換手順画面W1が表示される例を示す図である。実施の形態1における射出成形機100では、交換手順を表示することができる。図11では、基板52が寿命に到達した場合に、交換手順を表示する例が示されている。
【0075】
交換手順画面W1は、基板52の負荷設定画面LSに重畳して表示されている。なお、交換手順画面W1は、結果画面RS,基板52の詳細画面DSに重畳するように表示されてもよいし、単独の画面として表示されてもよい。
【0076】
図11の例では、制御装置40は、基板52が寿命に達したことを条件として、交換手順画面W1を表示させる。これにより、射出成形機100では、交換が必要となった対象部品の交換手順をオペレータに対して適切に表示することができる。なお、制御装置40は、オペレータからの操作に応じて、寿命に達していない対象部品に関する交換手順画面W1を表示させてもよい。
<アドバイス表示>
図12は、アドバイス画面W2が表示される例を示す図である。実施の形態1における射出成形機100では、対象部品の寿命を長くするためのアドバイスを表示することができる。図12では、サーボアンプ53の寿命を長くするためのアドバイスを表示する例が示されている。
【0077】
アドバイス画面W2は、サーボアンプ53の詳細画面DSに重畳して表示されている。なお、アドバイス画面W2は、結果画面RS,サーボアンプ53の負荷設定画面LSに重畳するように表示されてもよいし、単独の画面として表示されてもよい。制御装置40は、たとえば、サーボアンプ53に高い負荷が生じていると判断した場合に、アドバイス画面W2を表示させる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、対象部品の寿命予測の結果を表示する単独の射出成形機100について説明した。実施の形態2では、複数の射出成形機における対象部品の寿命予測の結果を表示する管理システム200の構成を説明する。実施の形態2では、実施の形態1と同様の構成についての説明を繰り返さない。
【0078】
図13は、実施の形態2における射出成形機100の管理システム200の構成図である。図13では、工場300と射出成形機100の発注先400が示されている。工場300は、4機の射出成形機100a,100b,100c,100dを備える。各射出成形機100a~100dは、制御装置40Aと接続される。
【0079】
制御装置40Aは、各射出成形機100a~100dが含む対象部品の寿命を予測し、寿命予測の結果を表示装置30Aに表示させる。これにより、射出成形機の管理システム200では、各射出成形機100a~100dが含む対象部品の寿命予測の結果を一括して表示させることができる。
【0080】
また、制御装置40Aは、各射出成形機100a~100dが含む対象部品のうちのいずれかが寿命に近くなれば、通信回線INを介して、発注先400に連絡をする。寿命に近くなるとは、たとえば、寿命到達年月日までの残り期間が1ヶ月となることを含む。制御装置40Aが発注先400に連絡を行う残り期間は、対象部品ごとに定められてもよい。制御装置40Aは、寿命に到達している対象部品の型式、寿命到達年月日を含む情報を発注先400が有する受信装置410へと送信する。これにより、管理システム200では、工場300が発注先400へ発注の連絡を行うことなく、自動で発注処理を行うことができる。
<実施の形態2におけるカレンダー表示>
図14は、実施の形態2における寿命予測の結果を示すカレンダー表示画面CS2である。図14におけるカレンダー表示画面CS2では、対象部品の寿命到達年月日を表わすために日程に付される記号の背景が異なるように表示されている。記号の背景は、射出成形機100a~100dのそれぞれに対応付けられている。
【0081】
具体的には、2024年2月5日に付されている三角形状の記号は、射出成形機100aのサーボアンプ53の寿命到達年月日を示しており、2024年3月14日に付されている円形状の記号は、射出成形機100aの基板52の寿命到達年月日を示している。さらに、2024年2月10日に付されている円形状の記号は、射出成形機100bの基板52の寿命到達年月日を示しており、2024年3月8日に付されている四角形状の記号は、射出成形機100aのリレー56aの寿命到達年月日を示している。
【0082】
2024年2月14日に付されている円形状の記号は、射出成形機100cの基板52の寿命到達年月日を示しており、2024年3月19日に付されている三角形状の記号は、射出成形機100cのサーボアンプ53の寿命到達年月日を示している。さらに、2024年2月16日に付されている四角形状の記号は、射出成形機100dのリレー56aの寿命到達年月日を示しており、2024年3月4日に付されている円形状の記号は、射出成形機100dの基板52の寿命到達年月日を示している。
【0083】
このように、図14に示すカレンダー表示画面CS2では、記号の形状を用いて対象部品の種類を示すとともに、記号の背景を用いて射出成形機100a~100dのいずれの射出成形機の対象部品であるかを表現している。記号の背景は、記号に付された色が異なるものであってもよい。たとえば、射出成形機100a~100dに青色、赤色、黄色、緑色がそれぞれ対応付けられ、記号の色が青色、赤色、黄色、緑色のいずれかで表示される。
【符号の説明】
【0084】
10 型締装置、11 ベッド、12 固定盤、13 型締ハウジング、14 可動盤、15 タイバー、16 型締機構、17,18 金型、20 射出装置、21 基台、22 加熱シリンダ、23 スクリュ、24 駆動機構、25 ホッパ、26 射出ノズル、27 ノズルタッチ装置、30,30A 表示装置、31 ディスプレイ、32 入力装置、40,40A 制御装置、41 制御部、41b メモリ、42 入力インターフェース、43 出力インターフェース、44 記憶部、50S~55S 選択領域、51 ボールねじ、51B~56B,Bta~Btc 選択ボタン、51R~56R 予測結果、52 基板、53,53a,53b サーボアンプ、54 冷却ファン、55 熱電対、56,56a~56c リレー、60 予測実行年月、100,100a~100d 射出成形機、200 管理システム、300 工場、400 発注先、410 受信装置、AX1~AX8 接続先、Ar1,Ar2 領域、BtCa カレンダー表示ボタン、BtEx 警告通知ボタン、BtR リセットボタン、CS1,CS2 カレンダー表示画面、DS 詳細画面、E1~E4 部品、Ex1 交換推奨マーク、IN 通信回線、LS 負荷設定画面、P1,P2 内観画像、RS 結果画面、S1 プルダウン、W1 交換手順画面、W2 アドバイス画面、WP1 外観画像、LW1 寿命警告画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14