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特開2023-2008人力プレス機の加工打点数監視装置および加工打点数監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002008
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】人力プレス機の加工打点数監視装置および加工打点数監視方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/00 20060101AFI20221227BHJP
   B30B 1/04 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B30B15/00 B
B30B15/00 D
B30B1/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102977
(22)【出願日】2021-06-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】519194984
【氏名又は名称】ラムテクノロジーズ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 裕一
【テーマコード(参考)】
4E088
4E090
【Fターム(参考)】
4E088JJ01
4E088JJ02
4E088JJ04
4E088JJ08
4E088LL02
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA05
4E090BB10
4E090CB02
4E090CB05
4E090EA01
4E090EB01
4E090EC01
4E090HA01
4E090HA02
4E090HA03
4E090HA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人力プレス機を利用した加工作業において加工打点数のカウントを正確に行う人力プレス機の加工打点数監視装置および方法を提供する。
【解決手段】人力プレス機の加工打点数監視装置は、フットプレス機の加工ヘッド6に作用する衝撃力を検出する衝撃センサ21Aと、加工ヘッド6の位置を検出する位置センサ22Bと、検出された衝撃力および位置に基づき、加工ヘッド6によってプレス加工が行われたか否かを判断する演算処理部とを備えている。人力プレス機における加工ヘッドの位置および加工ヘッドに作用する衝撃力の双方に基づき、加工ヘッドによりプレス加工が行われたか否かを判断している。人力プレス機に特有な加工ヘッドの位置決め、プレス加工のやり直しに起因してプレス加工が行われたと誤った判断が行われ、加工打点数が誤カウントされてしまうという弊害を解消できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原点位置と加工点位置の間を往復移動可能な加工ヘッドを備えた人力プレス機を用いたプレス作業における加工打点数を監視する加工打点数監視装置であって、
前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出する衝撃センサと、
前記加工ヘッドの位置を検出する位置センサと、
検出された前記衝撃力および前記位置に基づき、前記加工ヘッドによってプレス加工が行われたか否かを判断する演算処理部と、
を備えていることを特徴とする人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記演算処理部は、前記原点位置以外の前記加工点位置を含む設定範囲内の位置に前記加工ヘッドが位置している間において、前記衝撃力あるいは当該衝撃力の時間微分値が、設定値以上の場合に、前記加工ヘッドにより前記プレス加工が1回行われたとのプレス加工判定を行う人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記演算処理部による前記プレス加工判定に基づき、前記プレス加工の加工打点数を積算するショットカウンタを有している人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ショットカウンタは、予め設定した時間幅の間に、複数回の前記プレス加工判定が発生した場合には、前記時間幅内において1回の前記プレス加工判定が発生したと判断して前記加工打点数の積算を行う人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のうちのいずれか一つの項において、
前記演算処理部は、
前記衝撃センサによって検出される前記衝撃力から前記時間微分値を算出する微分処理部と、
前記衝撃力および前記時間微分値のいずれを用いるのかを切り替える衝撃信号処理切替部と、
前記衝撃信号処理切替部によって選択された前記衝撃力あるいは前記時間微分値を、前記設定値と比較する衝撃判定部と、
を備えている人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記衝撃信号処理切替部によって選択された前記衝撃力あるいは前記時間微分値を表示する衝撃レベル表示部と、
前記設定値を設定する衝撃レベル設定部と、
を有している人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項7】
請求項2ないし6のうちのいずれか一つの項において、
前記位置センサは、前記演算処理部に、前記加工ヘッドが前記設定範囲内の位置にあることを示す第1の論理信号、または、前記原点位置を含む前記設定範囲から外れた位置にあることを示す第2の論理信号を入力するものであり、
前記演算処理部は、
前記第2の論理信号の反転信号を生成する信号反転部と、
前記第1の論理信号および前記反転信号のうちのいずれの位置信号を前記プレス加工判定のために用いるのかを切り替える位置検出信号処理切替部と、
を備えている人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記演算処理部は、
前記衝撃センサによって検出される前記衝撃力から前記時間微分値を算出する微分処理部と、
前記衝撃力および前記時間微分値のいずれを用いるのかを切り替える衝撃信号処理切替部と、
前記衝撃信号処理切替部によって選択された前記衝撃力あるいは前記時間微分値を、前記設定値と比較する衝撃判定部と、
前記位置検出信号処理切替部によって選択された前記位置信号と、前記衝撃判定部の判定出力とに基づき、前記プレス加工判定を行う判定回路と、
を備えており、
さらに、前記衝撃信号処理切替部によって選択された前記衝撃力あるいは前記時間微分値を表示する衝撃レベル表示部と、
前記設定値を設定する衝撃レベル設定部と、
前記演算処理部による前記プレス加工判定に基づき、前記プレス加工の加工打点数を積算するショットカウンタと、
を有している人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項9】
請求項8に記載の加工打点数監視装置を用いて、原点位置と加工点位置の間を往復移動可能な加工ヘッドを備えた人力プレス機を用いたプレス作業における加工打点数を監視する加工打点数監視方法であって、
前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出可能な前記人力プレス機の部位に、前記衝撃センサを外付けして、前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出し、
前記原点位置以外の前記加工点位置を含む設定範囲内の位置に前記加工ヘッドが位置していることを検出可能な前記人力プレス機の部位に、前記位置センサを外付けして、前記加工ヘッドの位置を検出し、
前記演算処理部、前記ショットカウンタおよび前記衝撃レベル表示部を、前記人力プレス機に外付けし、または、前記人力プレス機から離れた位置に設置し、
プレス作業を行う作業員が、前記衝撃レベル表示部およびショットカウンタの表示部を目視して、衝撃力のレベルおよび前記加工打点数を確認できるようにしたことを特徴とする人力プレス機の加工打点数監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力プレス機を用いたプレス作業において加工打点数をカウントする加工打点数監視装置および加工打点数監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人力プレス機を用いた作業では、プレス作業者の操作力がプレス機に備わっている梃子の原理を利用した機構によって増幅され、これによって得られる加圧力でワークにカシメ、穴あけ、曲げ等のプレス加工が行われる。人力プレス機を用いたプレス加工においても、駆動源を備えた一般的なプレス機と同様に、加工打点数の過不足は、後工程に於いて致命的な欠陥につながるので、加工打点数を正確に管理、監視する必要がある。
【0003】
現状では、作業者が、加工図面を確認し、加工指定箇所を記憶し、必要箇所に指定数の加工を行い、後の検査工程で打点数の過不足をチェックするダブルチェックで、加工打点数が過不足状態の製品が流出しないようにしている。この方法では、ヒューマンエラーが発生する可能性があり、加工打点数を正確に管理、監視できない。
【0004】
プレス加工におけるヒューマンエラーを低減するために、全加工が終了したことをカウンタでカウントし、未だ未加工の部分を含む半製品を次の工程に渡そうとすると、エラーを作業者に知らせる構成としたプレス加工忘れ監視装置が知られている。(特許文献1)
【0005】
また、プレス機械等の汎用工作機械の本体にセットされた同期信号回路内にその信号で励磁作動するプリセットカウンター装置を接続し、一回のプレス行程の信号で電磁カウンタの積算による表示と合わせ、並列に設けたパワーリレーのリレーで、プリセットカウンターにセットした数字を順次減じていき、セット数字が0になると同時に警報器や警報ランプで作業者に作業の終了を知らせる装置が知られている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-038495号公報
【特許文献2】特開昭49-129984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、人力によるプレス機として、作業者自らの足の力で、プレス機に備わっている専用のペダルなどを踏み込むことで、その力を複数の伝達アームに伝え、これらのアームの組み合わせによる梃子で増幅した力を加工ヘッド(シリンダ)へ伝達する足踏みプレス機(蹴とばしプレス機)や、手の力を専用のハンドルを介して梃子の原理を利用したアーム等を介してシリンダに加えて加工を行うハンドプレス機などが一般的に存在する。加工を行う製品の位置合わせは、作業者が手や体の一部で製品をプレス加工位置に合わせることによって行い、この状態を維持しながら、空いている自らの足や手などでプレス機に加工のための力を加える必要がある。
【0008】
作業者は、加圧と、加工の位置合わせの双方に注意を注ぎ加工を行う必要があるため、プレス作業途中において、加工位置の調整または加工のやり直しを行う場合が頻繁にあり、1か所で複数回の加工ヘッドの上下動や、やり直し加工を行うことがしばしばある。このため、単に加工ヘッド(シリンダ)の動きをカウントするだけ、あるいは、加工ヘッドに加わる衝撃を感知するだけでは、カウントされた加工打点数と、実際の加工打点数とが一致しないことが多々ある。
【0009】
例えば、市販のカウンタを加工位置に取り付けて加工打点数のカウントを試みるケースが見受けられる。上記の理由により、加工ヘッド(シリンダ)の上下の回数と加工打点数とが、必ずしも一致しない為、正確な加工打点数をカウントできない。また、誤カウントを都度修正する必要があり、効率よく加工打点数の管理、監視を行うことができない。
【0010】
また、プレス加工時に発生する衝撃を感知して加工打点数をカウントする方法の場合には、加工位置の調整を行う際に繰り返し衝撃が加工ヘッド(シリンダ)に加わり、繰り返し誤カウントしてしまう可能性がある。さらに、人力プレス機の加工ヘッド(シリンダ)が原点位置に戻った際にも加工時と同等の衝撃を受けるので、この衝撃を感知して誤カウントしてしまう可能性がある。
【0011】
一方、動力源をモータやエアーで駆動するプレス機においては、ロードセル即ち圧力センサで加工打点数をカウントする方法がある。この場合、センサ部を加工ヘッドへ精密に配置する必要があり、専用の加工治具及び段取りが必要となる。頻繁に変化する人力プレス機を用いたプレス加工に、ロードセル等の圧力センサを用いて加工打点数をカウントする方法を採用することは困難である。
【0012】
また、動力源を持つプレス機は、作業者からのスタート信号受け、加工完了まで、自動で行うため、加工が途中で止まるケースが少ない。例えば、上述の特許文献1及び特許文献2は、共に駆動源を内蔵したプレス機の管理を行うことを目的としているため、加工ヘッド(シリンダ)の動きと、加工数が必ず一致していることを前提としている。作業者が自らの身体の力を利用してプレス加工を行う人力プレス機を用いた作業においては、加工ヘッド(シリンダ)の上下動と加工打点回数とが必ずしも一致しないので、これら特許文献1、2に記載の方法は、人力プレス機を用いた加工作業における加工打点数のカウントには不向きである。
【0013】
近年の加工品は、少量多品種でありながらも、短納期の需要が増え、自動機械を使用したいが、コストのアップや、セッティング時間の増加が理由で、対応困難なケースが多くあり、未だに、職人技術を必要とする工法が一定量存在し、作業者へ加工の品質と加工数の管理を同時要求するケースが多く存在している。
【0014】
本発明の目的は、人力プレス機を用いた加工作業を経て得られる製品が加工打点に過不足がある状態のまま次工程または外部へ流出することのないように、作業現場でリアルタイムに加工打点数を正確にカウントできる人力プレス機の加工打点数監視装置を提供すること、および加工打点数監視方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決するために、人力プレス機を用いたプレス作業において加工打点数をカウントする本発明の加工打点数監視装置および加工打点数監視方法では、次のようにしている。すなわち、プレス加工を行う加圧は、作業者の足又は、手や腕の力が人力プレス機のアームへ伝搬され、ここを介して、加工ヘッドのシリンダへ伝搬する。このアーム部分に振動又は衝撃力を感知する衝撃センサを配置し、シリンダあるいは加工ヘッドに、その位置を捉える位置センサを配置する。演算処理部において、衝撃センサおよび位置センサの双方のセンサ出力信号を捉え、双方のセンサ出力信号を用いてプレス加工が実行されたことの判断を行うため演算処理を行う。演算処理部での判断結果に基づきショットカウンタにおいてプレス加工の加工打点数をカウントして表示等の出力を行う。
【0016】
このように、本発明は、原点位置と加工点位置の間を往復移動可能な加工ヘッドを備えた人力プレス機を用いたプレス作業における加工打点数を監視する加工打点数監視装置において、
前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出する衝撃センサと、
前記加工ヘッドの位置を検出する位置センサと、
検出された前記衝撃力および前記位置に基づき、前記加工ヘッドによってプレス加工が行われたか否かを判断する演算処理部と、
を備えていることを特徴としている。
【0017】
また、前記演算処理部は、前記原点位置以外の前記加工点位置を含む設定範囲内の位置に前記加工ヘッドが位置している間において、前記衝撃力あるいは当該衝撃力の時間微分値が、設定値以上の場合に、前記加工ヘッドにより前記プレス加工が1回行われたとのプレス加工判定を行う。さらに、前記演算処理部による前記プレス加工判定に基づき、前記プレス加工の加工打点数を積算するショットカウンタを有している。
【0018】
一方、本発明は、上記構成の加工打点数監視装置を用いて、原点位置と加工点位置の間を往復移動可能な加工ヘッドを備えた既存あるいは既設の人力プレス機を用いたプレス作業における加工打点数を監視する加工打点数監視方法において、
前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出可能な前記人力プレス機の部位に、前記衝撃センサを外付けして、前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出し、
前記原点位置以外の前記加工点位置を含む設定範囲内の位置に前記加工ヘッドが位置していることを検出可能な前記人力プレス機の部位に、前記位置センサを外付けして、前記加工ヘッドの位置を検出し、
前記演算処理部、前記ショットカウンタおよび衝撃レベル表示部を、前記人力プレス機に外付けし、または、前記人力プレス機から離れた位置に設置し、
プレス作業を行う作業員が、前記衝撃レベル表示部および前記ショットカウンタの表示部を目視して、衝撃力のレベルおよび前記加工打点数を確認できるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の装置、方法によれば、人力プレス機における加工ヘッドの位置および加工ヘッドに作用する衝撃力の双方に基づき、加工ヘッドによりプレス加工が行われたか否かを判断している。人力プレス機に特有な加工ヘッドの位置決め、プレス加工のやり直しに起因してプレス加工が行われたと誤った判断が行われ、加工打点数が誤カウントされてしまうという弊害を解消できる。よって、本発明の装置、方法を用いることで、新設の人力プレス機、既存・既設の人力プレス機を用いたプレス作業において加工打点数の過不足が生じることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明を適用した加工打点数監視装置が取り付けられたフットプレス機のプレス機原点位置の状態を示す説明図であり、(B)はその加工位置の状態を示す説明図であり、(C)は位置センサの別の取付位置を示す説明図である。
図2】加工打点数監視装置を示す概略機能ブロック図である。
図3】加工打点数監視装置の信号処理動作を示すタイムチャートである。
図4】加工打点数監視装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した人力プレス機の加工打点数監視装置の実施の形態を説明する。以下の例は、加工打点数監視装置を人力プレス機であるフットプレス機に取り付けて用いる場合のものである。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の加工打点数監視装置はハンドプレス機等の人力プレス機に対しても同様に用いることができる。
【0022】
[加工打点数監視装置を取り付けたフットプレス機の全体構成]
図1(A)、(B)を参照してフットプレス機の全体構成を説明する。フットプレス機1は、例えば、既存のプレス機であり、加工打点数監視装置がフットプレス機1に後付けされている。フットプレス機1はプレス機架台2を備えており、このプレス機架台2の水平な上面の後側の部位に、上方および前方に延びる支持アーム3が取り付けられている。支持アーム3の先端部に、シリンダガイド4が垂直に取り付けられている。シリンダガイド4によって上下方向に往復移動可能に昇降シリンダ5が支持されており、昇降シリンダ5の下端部に加工ヘッド6が取り付けられている。プレス機架台2の上面において加工ヘッド6の真下の位置はワーク載置面となっている。
【0023】
プレス機架台2の裏面からは、下方および前方に延びる足踏みペダル8が取り付けられている。足踏みペダル8は図1(A)に示す待機位置から図1(B)に示す踏み込み位置まで踏み込むことができる。足踏みペダル8の踏み込み力は、伝達アーム9、10、11を備えた伝達用リンク機構を介して梃子の原理を利用した倍力機構により増幅されて、昇降シリンダ5(加工ヘッド6)に伝達される。
【0024】
足踏みペダル8を待機位置8Aから踏み込み位置8Bまで勢いよく踏み込むと、昇降シリンダ5が図1(A)に示す原点位置HPから図1(B)に示す加工点位置WPに勢いよく押し下げされ、加工ヘッド6によって、ワーク載置面に載せたワークWに対して所定の力で、プレス加工(カシメ、絞り、穴あけ、曲げ加工等)が施される。踏み込みが解除されると、錘、復帰バネなどの復帰機構(図示せず)によって、足踏みペダル8が再び待機位置8Aに戻ると共に、昇降シリンダ5も上側の原点位置HPに戻る。
【0025】
図2は加工打点数監視装置を示す概略機能ブロック図である。フットプレス機1に取り付けた加工打点数監視装置20は、図2に示すように、衝撃センサ部21と、位置センサ部22と、支持アーム3の下端側の部位の側面に取り付けた制御ユニット25から構成される。
【0026】
衝撃センサ部21は、図1(A)、(B)に示すように、昇降シリンダ5に連結された伝達アーム11の側面に取り付けられた衝撃センサ21A(加速度センサ)を備えており、下端に加工ヘッド6が取り付けられている昇降シリンダ5に加わる衝撃力を検出する。衝撃センサ21Aの取付位置は、プレス加工により生じた衝撃を感知できる場所であればよい。昇降シリンダ5、加工ヘッド6、これに動力を伝達する伝達アーム11などに配置することができる。
【0027】
位置センサ部22は、昇降シリンダ5の加工位置、したがって加工ヘッド6の加工位置を検出するためのものである。図1(A)、(B)に示すように、位置センサ部22は、例えば、昇降シリンダ5に取り付けた磁石22Aと、固定の位置において磁石22Aを検知する位置センサ22B(磁気センサ)とを備えている。位置センサ22Bは例えばシリンダガイド4の側に取り付けられる。位置センサ22Bはシリンダガイド4の上端から上方に突出している昇降シリンダ5の上端部の側面に取り付けられ、昇降シリンダ5が図1(B)に示す加工点位置WPに降下すると、磁石22Aが位置センサ22Bの検出領域内に入る。これにより昇降シリンダ5の位置が検出される。すなわち、原点位置HPから外れた加工点位置WPを含む所定範囲内の位置にあることが検出される。
【0028】
フットプレス機1の構造や加工の状態で上記の位置に磁石22Aを配置して昇降シリンダ5の位置を検出することができない場合がある。この場合には、図1(C)に示すように、シリンダガイド4の下端から下方に突出している昇降シリンダ5の下端部の側面に磁石22Aを取り付け、昇降シリンダ5が図1(A)に示す原点位置HPに復帰すると磁石22Aが位置センサ22Bの検出領域に入るようにする。これにより、昇降シリンダ5が、原点位置HPを含む所定範囲内の位置にあることが検出される。この場合には、後述のように、位置センサ22Bの検出信号である二値論理信号の反転信号を用いて昇降シリンダ5が加工点位置WPを含む所定範囲内の位置にあることを検出できる。
【0029】
加工打点数監視装置20の制御ユニット25は、例えば、図1(A)、(B)に示すように、支持アーム3の下端部の側面に取り付けられている。制御ユニット25は、演算処理部30、ショットカウンタ40および操作・出力部50を備えている。衝撃センサ21Aおよび位置センサ22Bは、それぞれ、制御ユニット25に配線接続されている。演算処理部30は、衝撃センサ21Aおよび位置センサ22Bのセンサ出力に基づき、プレス加工が行われたか否かを判別し、プレス加工が1回行われる毎に1パルスのカウント信号CSを生成してショットカウンタ40に供給する。
【0030】
ショットカウンタ40はカウント信号CSのパルス数をカウントしてプレス加工の加工打点数の積算値を求める。操作・出力部50は、衝撃レベル表示部51および衝撃レベル設定部52を備えている。
【0031】
[加工打点数監視装置]
図3はプレス加工動作における加工ヘッドの動きと、これに伴って行われる加工打点数監視装置20での信号処理動作を示すタイムチャートである。図1図3を参照して、加工打点数監視装置20の構成および動作を詳しく説明する。
【0032】
(加工ヘッドの動き)
まず、1回のプレス加工動作において、加工ヘッド6(昇降シリンダ5)は、図3(A)の時点T1~T6に示すように、原点位置HPから加工点位置WPに降下し、加工後に再び原点位置HPに復帰する。すなわち、プレス加工が開始されると(図3の時点T1)、加工ヘッド6が原点位置HP(図1(A)参照)から加工点位置WP(図1(B)参照)に向けて降下する。加工ヘッド6が加工点位置WPまで降下して、ワークWに対してプレス加工が施される(図3の時点T3からT4)。足踏みペダル8の踏み込みが解除されると、加工ヘッド6は加工点位置WPから原点位置HPに引き戻される(図3の時点T4~T6)。
【0033】
(衝撃センサによる加工ヘッドの衝撃検出)
プレス加工動作において衝撃センサ21Aから得られる衝撃信号は、図2に示すように、演算処理部30のノイズフィルタ31を介してノイズが除去された後に衝撃信号切替部33に供給されると共に、ノイズフィルタ・微分処理部32を介してノイズ除去後の衝撃信号GWが微分処理された後に衝撃微分信号Gdtとして衝撃信号切替部33に供給される。図3(B)にはノイズ除去後の衝撃信号GWの信号波形を示し、図3(C)には衝撃微分信号Gdtの信号波形を示す。
【0034】
衝撃センサ21Aによって検出される衝撃レベルは、人力プレス機の種類、そのプレス加工の内容、加工方法により異なる。検出される衝撃レベルが相対的に大きい場合には、ノイズフィルタ31を介して得られる衝撃信号GWを用い、衝撃レベルが相対的に小さい場合には、微分処理を行って衝撃の検出精度を維持している。例えば、ハンドプレス機等の場合にはプレス加工時の衝撃レベルが相対的に小さいので、微分処理した後の信号を用いて衝撃を検知することが望ましい。微分処理のための微分係数は、衝撃センサ21Aのサンプリング周波数以下で、任意に設定することで、加工状態をより正確に捉えることができる。また、衝撃信号切替部33の切替は、対象の人力プレス機に応じて事前に設定される。あるいは、操作・出力部50の操作部に切替スイッチ(図示せず)を配置し、検出される衝撃レベルに基づき、切替設定できるようにしてもよい。
【0035】
衝撃信号切替部33によって選択された衝撃信号GWまたは衝撃微分信号Gdtは、操作・出力部50の衝撃レベル表示部51に表示される。作業者は、衝撃レベル表示部51の衝撃レベル表示を認識し、プレス加工の衝撃を確実に捉えることができる。また、作業者は、操作・出力部50の衝撃レベル設定部52から、加工ヘッド6の移動で生じる衝撃を不感知とする適切な衝撃レベルを設定入力できる。あるいは、ティーチング機能を備えた衝撃レベル設定部52によって、衝撃レベル設定を行うこともできる。
【0036】
ここで、ティーチング機能は、実際の加工で生じる衝撃力と時間経過とを合わせた図3(B)の衝撃センサ出力波形(GW)、または、衝撃センサ出力波形の微分値Gdtの絶対値と時間経過とを合わせた波形データを対象とする。実際の加工を行い、この波形データを衝撃レベル設定部52において記憶保持し、この波形データに基づき衝撃レベル設置を行い、衝撃センサ出力値を演算処理部30において比較し、その偏差値でプレス加工の判定を行う。
【0037】
衝撃信号切替部33によって選択された衝撃信号GWまたは衝撃微分信号Gdtは、コンパレータ34に供給される。コンパレータ34において、衝撃レベル設定部52によって設定された衝撃レベル(設定値)GLa(GLb)と比較され、設定衝撃レベルよりも大きな衝撃が抽出される。換言すると、プレス加工が行われたことが検出される。なお、衝撃の加わった方向も判定用のパラメータとして加えることもできる。
【0038】
図3(B)において衝撃信号GWに対する衝撃レベルの設定値は±GLaであり、衝撃微分信号Gdtに対する衝撃レベルの設定値はGLbである。このように衝撃レベルを設定して不感帯を設けることで、プレス加工レベルの衝撃以外の衝撃、例えば加工ヘッド6を加工位置へ移動させる時(図3の時点T1)の衝撃、プレス加工動作を途中で停止した場合の衝撃、加工ヘッド6がプレス加工後に原点位置に復帰した時の衝撃(図3の時点T6)などの衝撃が排除される。
【0039】
(位置センサによる加工ヘッドの位置検出)
次に、位置センサ22Bからは、昇降シリンダ5(加工ヘッド6)の上下方向の位置を表す2値論理信号である位置信号PSが得られる。位置信号PSは、昇降シリンダ5が図1(A)に示す原点位置を含む上側領域にある場合には、磁石22Aが位置センサ22Bの検出領域から上方に外れており、ローレベル出力の状態にある。プレス加工が開始されると(図3の時点T1)、昇降シリンダ5が原点位置HPから図1(B)の加工点位置WPに向けて降下する。昇降シリンダ5と共に降下する磁石22Aが位置センサ22Bの検出領域に入ると(図3の時点T2)、位置センサ検出処理出力である位置信号PSがハイレベルに立ち上がる(図3(E))。足踏みペダルの踏み込みが解除され昇降シリンダ5が原点位置HPに引き戻される途中において、磁石22Aが位置センサ22Bの検出領域から外れて位置信号PSが再びローレベルに立ち下がる(図3の時点T5)。
【0040】
フットプレス機1の構造、ワークの形状、プレス加工の状態によっては、昇降シリンダ5の上端部の側面に磁石22Aを取り付けることができない場合がある。この場合には、先に述べたように、図1(C)に示す位置に位置センサ部22を配置する。
【0041】
演算処理部30は、図2に示すように、位置センサ22Bからの位置信号PSを、そのまま取り込むと共に、信号反転部35を介して論理レベルを反転させた反転信号を生成している。位置検出信号切替部36において、位置センサ部22の取付位置に応じて、位置信号PSおよびその反転信号のいずれかを選択できるようになっている。位置検出信号切替部36の切替は、対象の人力プレス機に応じて事前に設定される。あるいは、操作・出力部50の操作部に切替スイッチ(図示せず)を配置し、位置センサ22Bの取付位置に応じて、切替設定できるようにしてもよい。
【0042】
位置センサ22Bの反転信号から加工ヘッド6の動きを判断する場合は、図3(A)においてL(22)で示す不感知距離が得られる箇所に、位置センサ22Bを配置する。これにより、加工点位置WPにより近い位置を検出することができると同時に、原点復帰などに発生する位置センサ22Bの検出信号や衝撃センサ21Aの検出信号のチャタリングなどの防止効果を得られる。
【0043】
なお、位置センサ部22として、近接スイッチや磁性材など、磁気を利用したセンサの他、光の遮断・受光・反射の変化を検出する光センサ、超音波などの音を検知するセンサを用いることができる。位置検出を光で行う場合は、加工ヘッド6の動きを捉えるセンサ光と対になる光の遮断或いは、反射を司る部分の長さを一定距離取り、原点位置付近から原点位置までの所定範囲を検出できる様に調整できる機構、則ち、図3(A)にL(22)で示す位置センサ信号の不感知距離を有することが望ましい。また、位置センサの検出信号は、位置センサ部22又は演算処理部30において、入力が入ってからの一定時間の間に、その信号が反転しても、信号を保持するヒステリシスを有することで、人力での加工で生じてしまう、加工ヘッド6の揺らぎ又はブレに起因する信号ノイズ成分を電気的に排除できる。
【0044】
(プレス加工が行われたことの判断処理)
次に、演算処理部30において、衝撃センサ出力から得られる衝撃信号GS(図3(D))および位置センサ出力から得られる位置信号PS(図3(E))は、アンド回路37に入力される。位置信号PSがハイレベルの期間ΔTの間に、衝撃信号GSがハイレベルに立ち上がった場合には、アンド回路37が開き、ハイレベルの1パルスのカウント信号CS(図3(F))が出力され、ショットカウンタ40に供給される。
【0045】
具体的に説明すると、フットプレス機1を用いたプレス加工において、加工ヘッド6が原点位置HPから加工点位置WPに向けて降下する間(図3の時点T1~T3)において、加工ヘッド6は位置センサ22Bを通過し(時点T2)、その検出信号である位置信号PSを反転させる(図3の時点T2,図3(E))。位置信号PSがハイレベルに立ち上がると、アンド回路37が開き、ショットカウンタ40へのカウント信号CSの入力が有効になる。
【0046】
衝撃センサ21Aからは、加工開始時に踏み込みの強さに応じた出力が生じる(図3の時点T1)。しかし、その信号レベルが予め設定した衝撃レベル設定値GLa以下であれば、衝撃処理信号GSのレベルは変化しない。また、衝撃レベル設定値GLa値を超した衝撃を加えても、位置センサ出力PSがハイレベルに(有効)切り替わっていないので、アンド回路が閉じており、カウント信号CSに反映されない。
【0047】
加工ヘッド6が加工点位置WPに達した時点(図3の時点T3)で、実際の加工の衝撃が衝撃センサ21Aによって捉えられ、衝撃処理出力信号GSに反映される。同時に、位置信号PSもハイレベルに立ち上がって有効となり、アンド回路37が開く。よって、プレス加工があったものと判断され、衝撃処理出力信号GSがカウント信号CSに反映され、例えば、操作・出力部50あるいはショットカウンタ40がビープ音を発生して、加工打点数がカウントアップされたことを作業者へ知らせる。
【0048】
ハンドプレスや衝撃の少ない加工に於いては、衝撃センサ21Aのピーク値が低い又は、衝撃センサ21Aのノイズ成分が多く、加工を捉えにくいケースがある。この場合は、衝撃信号切替部33を切り替えることで、衝撃センサ出力を微分処理した値の絶対値(Gdt)を衝撃レベルGLbと比較して、加工の衝撃であるか否かを判断することができる。
【0049】
加工を終え(図3の時点T4)、加工ヘッド6が上昇して原点位置HPに戻る際に(時点T6)、加工ヘッド6が原点位置HPで停止する衝撃を衝撃センサ21Aが再び感知し、衝撃処理出力信号GSに反映されることがある。衝撃が衝撃処理出力信号GSに反映されても、加工ヘッド6は原点位置HPにあり、位置信号PSがローレベルの無効状態となっている。よって、原点位置HPに復帰する際に検出される衝撃がカウント信号CSには反映されないので、誤カウントが防止される。
【0050】
(ショットカウンタ)
次に、ショットカウンタ40は、入力されるカウント信号CSのパルス数をカウントすることで、フットプレス機1における加工打点数を積算する。ショットカウンタ40は、カウント部41と、加工打点数、ロット数等の設定・判定部42と、操作・出力部43とを備えている。ショットカウンタ40は、設定入力により、加工打点数を設定可能である。操作・出力部43の操作部を介して入力される加工打点数(SHOT)、ロット数(LOT)等が、設定・判定部42に設定される。操作・出力部43の操作部を介してリセット信号が入力されると、加工打点数のカウント動作を開始し、カウント信号CSが入力される毎にカウント部41は加工打点数を積算する。積算値は、操作・出力部43の表示器に表示される。加工打点数の積算値が加工打点数の設定値に達すると、操作・出力部43の警報部から警報が発生されて1ロット分の加工が終了したことを作業者に知らせる。作業者が、操作・出力部43の操作部を介してリセット信号を入力すると、警報およびカウント値がリセットされる。
【0051】
ショットカウンタ40のカウント部41は、カウント信号CSの入力受付けに時間幅を設定している。設定された時間幅(不感帯)の間に、カウント信号CSが複数パルス分入力されても、設定時間内であれば、そのカウント数を1回とする機能を有している。プレス加工の際の加圧不足などのミスで、再加圧を行う場合等に、短い時間の間にプレス加工動作が繰り返されることがある。このような打ち直し等によって短時間の間に生じる衝撃に起因して複数回分の加工打点がカウントされてしまうという弊害を解消できる。
【0052】
(加工打点数監視装置の動作例)
なお、図4は、フットプレス機1に取り付けた加工打点数監視装置20の動作を纏めて示す概略のフローチャートである。フローチャートに従って、動作概要を以下に簡単に説明する。
【0053】
加工打点数監視装置20のショットカウンタ40をオンにする。まず、プレス加工のワークWに対する加工打点数(SHOT)の設定、および加工対象のワークWのロット数(LOT)を設定し(ステップST1)、必要に応じて、衝撃信号処理切替設定および位置検出信号切替設定を行う。また、衝撃センサ部21および位置センサ部22による検出を開始すると共に、衝撃レベル設定部52を介してコンパレータ34による衝撃レベル判別値を設定する(ステップST21)。プレス加工が1回行われる毎に、位置センサ出力および衝撃センサ出力に基づき、演算処理部30においてカウントビープ音が発せられると共に、ショットカウンタ40にカウント信号CS(1パルス)が出力される(ステップST22~ST25)。
【0054】
ショットカウンタ40は、入力されるカウント信号CSに基づき加工打点数をカウントアップし(ステップST2:SHOTカウント)、その積算値を設定加工打点と比較し(ステップST3:SHOTカウント比較)、積算値が設定加工打点数に達すると警告音を発生し作業者にその旨を報知する(ステップST4)。作業者がリセット入力を行うと(ステップST5)、これを検知して(ステップST6)、ロット数をカウントアップする(ステップST7)。この後は、加工打点数の積算値をリセットし(ステップST8)、ロット数が設定ロット数に達したか否かを判断し、達した場合には、作業が終了した旨の警報音を発する(ステップST9、10)。作業者がリセット入力を行うと、これを検知して警報音の発生を止めてカウントしたロット数をリセットして、処理を終了する(ステップST11、12、13)。
【0055】
(作用効果)
先に述べたように、人力プレス機を用いたプレス作業の現状は、現場の作業者が、図面を確認し、作業者が加工指定箇所及び数を記憶した上で、必要箇所に指定数の加工を行い、検査工程で打点数の過不足をチェックする、ダブルチェックで、加工打点の過不足流出を防止していた。本発明による加工打点数監視装置20を使用すれば、製品の必要数のプレス加工を感知し、作業完了(加工完了)を、作業者へ警告音及び光の点灯または、点滅で知らせることが可能である。また、作業現場内で、作業者の認識と、本発明の装置、方法による加工打点数の監視とによって、ダブルチェック体制を構築できる。
【0056】
また、LOT数の大小に拘わらず、加工忘れや検査の見落としなど、ヒューマンエラーを発生させる可能性があるが、本発明の装置、方法を使用することにより、プレス加工作業をリアルタイムで監視できるので、加工打点数の過不足を防ぎ、次工程への不良品の流出を防ぐことができる。さらに、加工打点数を本発明の装置、方法によって監視することで、作業者は加工作業のみに集中出来るので、作業者の負担軽減の効果がある。
【符号の説明】
【0057】
1 フットプレス機
2 プレス機架台
3 支持アーム
4 シリンダガイド
5 昇降シリンダ
6 加工ヘッド
8 踏込みペダル
8A 待機位置
8B 位置
9、10、11 伝達アーム
20 加工打点数監視装置
21 衝撃センサ部
21A 衝撃センサ
22 位置センサ部
22A 磁石
22B 位置センサ
25 制御ユニット
30 演算処理部
31 ノイズフィルタ
32 ノイズフィルタ・微分処理部
33 衝撃信号切替部
34 コンパレータ
35 信号反転部
36 位置検出信号切替部
37 アンド回路
40 ショットカウンタ
41 カウント部
42 設定・判定部
43 操作・出力部
50 操作・出力部
51 衝撃レベル表示部
52 衝撃レベル設定部
HP 原点位置
WP 加工点位置
PS 位置信号
GS 衝撃処理出力信号
CS カウント信号
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原点位置と加工点位置の間を往復移動可能な加工ヘッドを備えた人力プレス機を用いたプレス作業における加工打点数を監視する加工打点数監視装置であって、
前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出する衝撃センサと、
前記加工ヘッドの位置を検出する位置センサと、
検出された前記衝撃力および前記位置に基づき、前記加工ヘッドによってプレス加工が行われたか否かを判断する演算処理部と、
を備えており、
前記演算処理部は、前記原点位置以外の前記加工点位置を含む設定範囲内の位置に前記加工ヘッドが位置している間において、前記衝撃力あるいは当該衝撃力の時間微分値が、設定値以上の場合に、前記加工ヘッドにより前記プレス加工が1回行われたとのプレス加工判定を行う人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記演算処理部による前記プレス加工判定に基づき、前記プレス加工の加工打点数を積算するショットカウンタを有している人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ショットカウンタは、予め設定した時間幅の間に、複数回の前記プレス加工判定が発生した場合には、前記時間幅内において1回の前記プレス加工判定が発生したと判断して前記加工打点数の積算を行う人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項4】
原点位置と加工点位置の間を往復移動可能な加工ヘッドを備えた人力プレス機を用いたプレス作業における加工打点数を監視する加工打点数監視装置であって、
前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出する衝撃センサと、
前記加工ヘッドの位置を検出する位置センサと、
検出された前記衝撃力および前記位置に基づき、前記加工ヘッドによってプレス加工が行われたか否かを判断する演算処理部と、
を備えており、
前記演算処理部は、
前記衝撃センサによって検出される前記衝撃力から当該衝撃力の時間微分値を算出する微分処理部と、
前記衝撃力および前記時間微分値のいずれを用いるのかを切り替える衝撃信号処理切替部と、
前記衝撃信号処理切替部によって選択された前記衝撃力あるいは前記時間微分値を、設定値と比較する衝撃判定部と、
を備えており、
前記原点位置以外の前記加工点位置を含む設定範囲内の位置に前記加工ヘッドが位置している間において、前記衝撃判定部による比較に基づき、前記衝撃力あるいは当該衝撃力の時間微分値が、前記設定値以上の場合に、前記加工ヘッドにより前記プレス加工が1回行われたとのプレス加工判定を行う人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記衝撃信号処理切替部によって選択された前記衝撃力あるいは前記時間微分値を表示する衝撃レベル表示部と、
前記設定値を設定する衝撃レベル設定部と、
を有している人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項6】
原点位置と加工点位置の間を往復移動可能な加工ヘッドを備えた人力プレス機を用いたプレス作業における加工打点数を監視する加工打点数監視装置であって、
前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出する衝撃センサと、
前記加工ヘッドの位置を検出する位置センサと、
検出された前記衝撃力および前記位置に基づき、前記加工ヘッドによってプレス加工が行われたか否かを判断する演算処理部と、
を備えており、
前記演算処理部は、前記原点位置以外の前記加工点位置を含む設定範囲内の位置に前記加工ヘッドが位置している間において、前記衝撃力あるいは当該衝撃力の時間微分値が、設定値以上の場合に、前記加工ヘッドにより前記プレス加工が1回行われたとのプレス加工判定を行い、
前記位置センサは、前記演算処理部に、前記加工ヘッドが前記設定範囲内の位置にあることを示す第1の論理信号、または、前記原点位置を含む前記設定範囲から外れた位置にあることを示す第2の論理信号を入力するものであり、
前記演算処理部は、
前記第2の論理信号の反転信号を生成する信号反転部と、
前記第1の論理信号および前記反転信号のうちのいずれの位置信号を前記プレス加工判定のために用いるのかを切り替える位置検出信号処理切替部と、
を備えている人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記演算処理部は、
前記衝撃センサによって検出される前記衝撃力から前記時間微分値を算出する微分処理部と、
前記衝撃力および前記時間微分値のいずれを用いるのかを切り替える衝撃信号処理切替部と、
前記衝撃信号処理切替部によって選択された前記衝撃力あるいは前記時間微分値を、前記設定値と比較する衝撃判定部と、
前記位置検出信号処理切替部によって選択された前記位置信号と、前記衝撃判定部の判定出力とに基づき、前記プレス加工判定を行う判定回路と、
を備えており、
さらに、前記衝撃信号処理切替部によって選択された前記衝撃力あるいは前記時間微分値を表示する衝撃レベル表示部と、
前記設定値を設定する衝撃レベル設定部と、
前記演算処理部による前記プレス加工判定に基づき、前記プレス加工の加工打点数を積算するショットカウンタと、
を有している人力プレス機の加工打点数監視装置。
【請求項8】
請求項7に記載の加工打点数監視装置を用いて、原点位置と加工点位置の間を往復移動可能な加工ヘッドを備えた人力プレス機を用いたプレス作業における加工打点数を監視する加工打点数監視方法であって、
前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出可能な前記人力プレス機の部位に、前記衝撃センサを外付けして、前記加工ヘッドに作用する衝撃力を検出し、
前記原点位置以外の前記加工点位置を含む設定範囲内の位置に前記加工ヘッドが位置していることを検出可能な前記人力プレス機の部位に、前記位置センサを外付けして、前記加工ヘッドの位置を検出し、
前記演算処理部、前記ショットカウンタおよび前記衝撃レベル表示部を、前記人力プレス機に外付けし、または、前記人力プレス機から離れた位置に設置し、
プレス作業を行う作業員が、前記衝撃レベル表示部およびショットカウンタの表示部を目視して、衝撃力のレベルおよび前記加工打点数を確認できるようにしたことを特徴とする人力プレス機の加工打点数監視方法。